牛鬼の目にも
-----
--
-
パチ、パチパチ…
ゴオオ…
騒がしい…聞き慣れない音だ
奇妙な音で目が覚め、むくりと起き上がる
今は恐らく…夜、夜中。
それにしては少し明るく感じる、そう思い住み家の洞窟から外に出ると
赤い…?火?
川の傍にある森の奥が明るく照っている、気になってその方角へその黒く毛に覆われた蜘蛛の足を動かす事にした…
「なん、だ…」
燃えている、家が、作物が、人が、家畜が
ゴウゴウゴウ、バキバキ。
里が全域に渡って燃え盛っていた
眩しく柱を立てる炎が目に痛く、その熱が離れていても身を焦がし足を竦ませる
「う、ううっ」
私は、逃げた
炎が怖いと言うものもあったが…
それ以上に里が焼ける姿、何より…人が苦しみながら焼ける姿がどうしようも無く怖かったのだ
私は、初めて死を間近で目にした
人は、あんな風に苦しんで。人は、あんな風に焼けて。人は、あんな風に…
あんな…あんな顔、一生好きになれない。
牛鬼は足早々と、目に焼き付いた光景を振り払うように住み家へ戻り…出来る限り小さくなって眠りに就いた
-----
その日の昼前。
眠気を押し退けて不快感が襲う、悪い寝覚めだ
まだ昨日浴びた熱が残っているのか酷く蒸し暑い
外はしとしとと小雨が降っている。
火は…消えているだろうか
私はもう一度里へと足を向けた
-
雨のお陰か、炎は消えていたようだ
ただこの里は…もう人が住める状態ではない
跡形もないわけではないが…全ての建物は壁か屋根、もしくはその両方が無い。
所々煙が上がっており、色々な物が焦げた臭いがする
そんな異臭に顔をしかめていると
「……ふえっ、えっ、うええええええん!」
泣き声か…赤ん坊の?
こんな地獄絵図の中、弱々しくも生きている事を知らせるように泣いているのだ
あたりを見回して探してみると…半分乾いた田畑の中、うずくまる女性…その傍に。母に守られる様にして。
「うええええええん!ふえええええん!」
私は赤ん坊を抱いていた
子だ、母が命を賭して守った子
人さらいの様に見えるかもしれない、だがこの子を救いたいと強く思った
「子、赤子よ」
話し掛けると、赤ん坊は不思議そうにしていたが泣き止み…
「だあ…」
「怖くないか?」
私の問いを理解してか、赤ん坊は手を伸ばして無邪気に微笑んだ
「そうか」
私は住みかへと大切に運ぶ事とした
あの猛火から母の愛と共に生き残った、力強い奇跡の子を
-------
私は、ウシオニだ
ただまだ若い、と自負している
夫も無く、当然子も成したことは無い。
故に…
「びええええええええっ!!!」
「な、何故だ、何故…お、おしめは、変えた。腹が減ったか」
「ふえっ、むーっうーっ!」
「何故だ…」
こういう事も多々あった
一応乳離れはしていたようだが、どうにも解せない
そうして、月日は経ってゆき
--
「罠、仕掛けたな」
「うん」
「取れたか?」
ニンマリ、と一匹のウサギを両手いっぱいに抱えて顔を綻ばせた
まだまだ小人のように小さいにも関わらず獲物を取れるようになり、すくすくと大きく成長していった
もう立派な男の子だ…
--
子を拾って10年
里も所々廃屋があり、元通りとは言わないが元の活気は戻っていた
「これは?」
「釣竿…こう、だ」
「じゃあ、これは?」
「…」
言葉も覚え、少しだけだが文字は書けたので教えているのだが解らないものも。
里の復活に伴い、本も数冊だが売られていたので子と一緒に学んだものだ
--
そして…それから。また、10年。
この子も最近は勉学と体力作りに勤しんでいた、それと…悲しそうな顔も多くなって
ついに
「ねえ」
「なんだ?」
「俺、うっすら覚えてるんだ。あの日、貴女じゃないお母さんが守ってくれた事」
「…そうか」
「俺…名前、あるのかな」
「…解らない」
「お父さん、いるのかな」
「…解らない」
「…ねえ、俺…」
「解ってる、好きな所へ行け。お前は強い、あれから更に強くなった」
「…ごめん」
「いい、いつかは思っていた。お前は私の元を離れる、覚悟はあった」
「…俺、忘れないから。絶対、絶対」
当然の事だ、私はいわゆる代理の母
名前を付けなかったのも、私が付けて良いものじゃないから
だから覚悟していたのも本当…しかし、あまりにもあっけなかった
でも、お前もそれだけあっけない方が良かった筈だ。
気兼ね無く、探しに行け。
------
あれからというもの、住み家の洞窟は静かになった
何日…経っただろう、料理どころか食べ物すら口に入れていない
気にしてみると案外腹は空くもので、久し振りに獲物でも探すか…と重い腰を上げた矢先
「ここにも魔物が居そうだな…おい、調べてみろ。あの里の如く根絶やしだ」
「はいッ!」
物騒な声が耳に入ってきた
男…男か…久し振りに見る…
「男…!」
「隊長!居まし…ヒッ!?」
「な、なんだ!?」
「がああああああ!!!!」
私は暴れていた
男だ、強そうだ、食らい甲斐がある
この20数年間の飢えを満たせるのだ
一人、また一人と弱そうな者から気絶させていく
「ひ、ひっグぶッ」
「ば、化け物…!ぐあっ!?」
「く、くそっ!これでも食らえ!!」
不意に不気味な魔力の通じた剣が襲って来た
足に衝撃が走って、切れた、痛い、痛い、痛い
「グ…」
「は、ははっ。痛いか?対魔の聖なる剣…だ…」
「グるるる…!」
「な、なんで、効いてない…!」
「がぁッ!」
腕を力一杯振るう、バキィン。と折れる剣、
「ひ…あっ、ウグッ」
「フー…フー、フー!」
「こんな所にウシオニが居るなんて聞いてないぞ…!お、お前行け!」
「む、無理で…」
「良いから行け!」
「い、嫌だ!嫌だぁっ!」
ああ、一人が逃げてしまった。勿体ない。
まああいつは大きい鎧だけあって屈強そうだ、あいつを食らえばさぞ満たされるだろう
「おいッ!糞、反逆者め…」
「ぐる…」
「ヒ…ば、化け物ッ!成敗してくれる!!」
剣が奮え、鎧がカチャカチャと鳴っている
弱い者しか相手にした事が無いのか?
「ガァアアッ!!」
「う、うわあっ!」
ガラン、ガラン
まともに握れていない剣を払い落とし、突進し押し倒す
「男…!」
「ひ、わ、解った、もう何も襲わない!た、助けて…」
男だ、目の前に…男…
「ぐ、ぐ…う…」
「な、なんだ?」
餌だ…餌があるんだ…あるのに…
「ぐあああっ!」
どうして…どうして…!
私は心にも無く男を掴み上げ、壁に押しつける
「うがっ!?」
「去ね」
「…へっ?」
「コイツ等抱えろ!どこかへ去ね!さもなけば本当に食らってやるぞ!!」
「は、はいィッ!!」
承認の言葉を聞き、手を離すと、コケながらも素早く逃げていってしまった
連れを持っていけと言った筈だが…森にでも捨てておこう
醒めた頭を振るい、落ち着いた所で思い出す
…そうだ、里、里の如くと言っていた
大丈夫だろうか、二度も火を放たれていては…
そう思い、私は急いで里へ迎う
「は、はあっ、はあっ…」
焼ける音は聞こえないが、兵士のような人が幾らか居る…
「だ、大丈夫か!」
「あ、あぁ、一度駄目になった里だからって教団の奴等舐めてかかってやがったみたいでな…御覧の通りだ」
いつの間にか魔物を受け入れる里になっていた様で、皆兵士を縛り奉行所へ…所によっては品定めをする魔物も居た
「良かった…」
胸を撫で下ろし、一安心する。
元の見た目ではないとは言えあいつの故郷だ、二回も汚したまま迎えたくはない…
「あ…っ」
あの子、子。じゃない
あいつ、そうか…
解った。これで、これで…ようやく…!
でも、あいつは…
いや、仕方がない。いくらでも待とう、忘れないなら帰ってきてくれる
そう思い、ふと顔を上げると懐かしい顔が見えた
生きた時間からすれば短くも、長い年月を共にしたあの顔と…
他の、魔物の…
「…っ!!」
理解した時には、森の奥だった
呼吸が荒い、胸が痛い、傷が痛い。
そうだ、あちらからすれば母と子…夫として迎えた訳じゃない
でも…!
「はぁ…っ、ようやく追い付いた。早いね、やっぱり…」
後ろから、今は聞きたくない音が聞こえた
「な、なんで…」
「お父さん、結構近くに居たから。三つか四つか程隣の里に」
草を踏むがさ、がさという足音が近づいてくる
私は、振り返らない
「どうして…」
「あの女の人、お父さんの再婚相手だって。助けを呼びに行った後どこ探しても…お母さんしか居なくって、傷ついてた所を助けて貰ったらしくて」
足音が隣で止まる
私は…
「ねえ…」
「俺の名前、――って言うんだって」
名前を聞いた瞬間、全部弾けて
涙も…気持ちも…
「あ…あぁ…!」
「…ただいま」
強く、強く、抱き締めてくれて
もっと気持ちはふくらんで
「うん…うん…!ぐす…おかえり…っ!」
「あとそれと…今でなんだけど。貴女が、大好きです」
「うん…っ!私も、私も、大好き…!」
気が付けば泣いていて、気が付けば抱きついていて、気が付けば…
「…はあっ…」
「…ど、どうしたの?」
「待ち望んだ、夫だ…私の…」
「あの、ちょっと?」
心の底から、体の芯から熱くなってくる
夫の…におい…
「我慢、出来ない…から。ずっと、食べてない…」
「…そうだね。じゃあ…」
私は、言葉を聞く前に彼を押し倒す
森の中だけれど気にしない
「はっ…はっ…はぁ…」
彼のあそこも…だんだんカタく…
「俺も、我慢出来ない…お願いしてもいいか?」
「うん…!」
私は彼の履き物をずりさげてカタくなったものにやさしく触れる
あの時、兵士を襲った時とは違う…満ちていく感覚
もどかしさや嫌悪感は一切無い…
私は裏筋にキスをして、愛でるように唇と舌でゆっくり。にゅるにゅると扱く。
「ぅ…」
「んん…ちゅっ。れる、はぷ…んっんっ…ちゅ」
「は…あっ」
彼が切ない声を上げると私も気分が昂揚する…
口で深く咥え、私はナカの疼きを抑えきれなかった
「んうっ、んっ…ちゅぱっ。アナタ…私、私も気持ち良く…」
「うん、おいで…一緒に気持ち良くなろう」
そう言われ、私は腰の飾りを外しぬらぬらと雫の滴る秘部に熱すぎる先端を擦り付ける
ちゅくっ、ちゅ…ちゅぱっ。
「んぁ…ぅ、はぁっ…挿れる、ぞっ」
「ああ…俺と二人で。幸せに、なろう…!」
ずずっ、にゅく…ぷつ、ず…
破れていく。私の膜と、快楽の詰まった袋…
「うっ、ぁ…!」
「はぁ、あっ…!ふ、んぅあっ!?」
最奥まで届き、軽く痺れてしまう。軽い痺れが止まらない…震える度に奥がこすれる
たまらなくて、こんなの…こんなの…
「はぁーっ…はぁーっ…ぁ、んっ…あっ…」
「ご、ごめん…動くよ…!」
きゅうきゅう言っている私のナカがぱちゅっ、ぬち、ぬと、ずりゅ…と擦れ、肌と肌が打ち合い乾いた音が空を切る
待ち望んだとろける快楽が全身に…
「は…へっ?ひぅ、はっ、あ…っ!は、あっ!んぁっ!ぅあっ!ひあぁっ!」
「はぁ…はぁ…ぅ…」
乾いた音の中にぐち、ぐちぐちといやらしい水音が響き、二人の快楽をより一層引き立たせ
「ふぁっ!あっ、あんっ、ひぁっ!は、あぁっ!」
「は、ぁっ、くぁ…」
くちっ、くちっくちっくちっ…
性欲を掻き立て尚も響く水音は先程より早く、快楽は膨れ上がる。まるで我儘にその先を求めるように
「い、イクっ、イクぞ…!」
「きてっ、きてぇ!子供…欲しいの!アナタのぉ!」
「ふ、く、くぁぁっ…!」
くち、くち、くちっ。どぷ、どぷどぷどぷ…っ
「ひぁっ、ひ、は、あぁぁぁぁぁぁあああ!」
どろどろと濃く、袋から大量に溶けだした快楽を勢い良く子宮口に打ち付け、ぶちまけ、ぬりたくる
同時に二人は永遠の幸せを誓い、甘い甘い快楽と絶頂を貪った…
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パチ、パチパチ…
ゴオオ…
騒がしい…聞き慣れない音だ
奇妙な音で目が覚め、むくりと起き上がる
今は恐らく…夜、夜中。
それにしては少し明るく感じる、そう思い住み家の洞窟から外に出ると
赤い…?火?
川の傍にある森の奥が明るく照っている、気になってその方角へその黒く毛に覆われた蜘蛛の足を動かす事にした…
「なん、だ…」
燃えている、家が、作物が、人が、家畜が
ゴウゴウゴウ、バキバキ。
里が全域に渡って燃え盛っていた
眩しく柱を立てる炎が目に痛く、その熱が離れていても身を焦がし足を竦ませる
「う、ううっ」
私は、逃げた
炎が怖いと言うものもあったが…
それ以上に里が焼ける姿、何より…人が苦しみながら焼ける姿がどうしようも無く怖かったのだ
私は、初めて死を間近で目にした
人は、あんな風に苦しんで。人は、あんな風に焼けて。人は、あんな風に…
あんな…あんな顔、一生好きになれない。
牛鬼は足早々と、目に焼き付いた光景を振り払うように住み家へ戻り…出来る限り小さくなって眠りに就いた
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その日の昼前。
眠気を押し退けて不快感が襲う、悪い寝覚めだ
まだ昨日浴びた熱が残っているのか酷く蒸し暑い
外はしとしとと小雨が降っている。
火は…消えているだろうか
私はもう一度里へと足を向けた
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雨のお陰か、炎は消えていたようだ
ただこの里は…もう人が住める状態ではない
跡形もないわけではないが…全ての建物は壁か屋根、もしくはその両方が無い。
所々煙が上がっており、色々な物が焦げた臭いがする
そんな異臭に顔をしかめていると
「……ふえっ、えっ、うええええええん!」
泣き声か…赤ん坊の?
こんな地獄絵図の中、弱々しくも生きている事を知らせるように泣いているのだ
あたりを見回して探してみると…半分乾いた田畑の中、うずくまる女性…その傍に。母に守られる様にして。
「うええええええん!ふえええええん!」
私は赤ん坊を抱いていた
子だ、母が命を賭して守った子
人さらいの様に見えるかもしれない、だがこの子を救いたいと強く思った
「子、赤子よ」
話し掛けると、赤ん坊は不思議そうにしていたが泣き止み…
「だあ…」
「怖くないか?」
私の問いを理解してか、赤ん坊は手を伸ばして無邪気に微笑んだ
「そうか」
私は住みかへと大切に運ぶ事とした
あの猛火から母の愛と共に生き残った、力強い奇跡の子を
-------
私は、ウシオニだ
ただまだ若い、と自負している
夫も無く、当然子も成したことは無い。
故に…
「びええええええええっ!!!」
「な、何故だ、何故…お、おしめは、変えた。腹が減ったか」
「ふえっ、むーっうーっ!」
「何故だ…」
こういう事も多々あった
一応乳離れはしていたようだが、どうにも解せない
そうして、月日は経ってゆき
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「罠、仕掛けたな」
「うん」
「取れたか?」
ニンマリ、と一匹のウサギを両手いっぱいに抱えて顔を綻ばせた
まだまだ小人のように小さいにも関わらず獲物を取れるようになり、すくすくと大きく成長していった
もう立派な男の子だ…
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子を拾って10年
里も所々廃屋があり、元通りとは言わないが元の活気は戻っていた
「これは?」
「釣竿…こう、だ」
「じゃあ、これは?」
「…」
言葉も覚え、少しだけだが文字は書けたので教えているのだが解らないものも。
里の復活に伴い、本も数冊だが売られていたので子と一緒に学んだものだ
--
そして…それから。また、10年。
この子も最近は勉学と体力作りに勤しんでいた、それと…悲しそうな顔も多くなって
ついに
「ねえ」
「なんだ?」
「俺、うっすら覚えてるんだ。あの日、貴女じゃないお母さんが守ってくれた事」
「…そうか」
「俺…名前、あるのかな」
「…解らない」
「お父さん、いるのかな」
「…解らない」
「…ねえ、俺…」
「解ってる、好きな所へ行け。お前は強い、あれから更に強くなった」
「…ごめん」
「いい、いつかは思っていた。お前は私の元を離れる、覚悟はあった」
「…俺、忘れないから。絶対、絶対」
当然の事だ、私はいわゆる代理の母
名前を付けなかったのも、私が付けて良いものじゃないから
だから覚悟していたのも本当…しかし、あまりにもあっけなかった
でも、お前もそれだけあっけない方が良かった筈だ。
気兼ね無く、探しに行け。
------
あれからというもの、住み家の洞窟は静かになった
何日…経っただろう、料理どころか食べ物すら口に入れていない
気にしてみると案外腹は空くもので、久し振りに獲物でも探すか…と重い腰を上げた矢先
「ここにも魔物が居そうだな…おい、調べてみろ。あの里の如く根絶やしだ」
「はいッ!」
物騒な声が耳に入ってきた
男…男か…久し振りに見る…
「男…!」
「隊長!居まし…ヒッ!?」
「な、なんだ!?」
「がああああああ!!!!」
私は暴れていた
男だ、強そうだ、食らい甲斐がある
この20数年間の飢えを満たせるのだ
一人、また一人と弱そうな者から気絶させていく
「ひ、ひっグぶッ」
「ば、化け物…!ぐあっ!?」
「く、くそっ!これでも食らえ!!」
不意に不気味な魔力の通じた剣が襲って来た
足に衝撃が走って、切れた、痛い、痛い、痛い
「グ…」
「は、ははっ。痛いか?対魔の聖なる剣…だ…」
「グるるる…!」
「な、なんで、効いてない…!」
「がぁッ!」
腕を力一杯振るう、バキィン。と折れる剣、
「ひ…あっ、ウグッ」
「フー…フー、フー!」
「こんな所にウシオニが居るなんて聞いてないぞ…!お、お前行け!」
「む、無理で…」
「良いから行け!」
「い、嫌だ!嫌だぁっ!」
ああ、一人が逃げてしまった。勿体ない。
まああいつは大きい鎧だけあって屈強そうだ、あいつを食らえばさぞ満たされるだろう
「おいッ!糞、反逆者め…」
「ぐる…」
「ヒ…ば、化け物ッ!成敗してくれる!!」
剣が奮え、鎧がカチャカチャと鳴っている
弱い者しか相手にした事が無いのか?
「ガァアアッ!!」
「う、うわあっ!」
ガラン、ガラン
まともに握れていない剣を払い落とし、突進し押し倒す
「男…!」
「ひ、わ、解った、もう何も襲わない!た、助けて…」
男だ、目の前に…男…
「ぐ、ぐ…う…」
「な、なんだ?」
餌だ…餌があるんだ…あるのに…
「ぐあああっ!」
どうして…どうして…!
私は心にも無く男を掴み上げ、壁に押しつける
「うがっ!?」
「去ね」
「…へっ?」
「コイツ等抱えろ!どこかへ去ね!さもなけば本当に食らってやるぞ!!」
「は、はいィッ!!」
承認の言葉を聞き、手を離すと、コケながらも素早く逃げていってしまった
連れを持っていけと言った筈だが…森にでも捨てておこう
醒めた頭を振るい、落ち着いた所で思い出す
…そうだ、里、里の如くと言っていた
大丈夫だろうか、二度も火を放たれていては…
そう思い、私は急いで里へ迎う
「は、はあっ、はあっ…」
焼ける音は聞こえないが、兵士のような人が幾らか居る…
「だ、大丈夫か!」
「あ、あぁ、一度駄目になった里だからって教団の奴等舐めてかかってやがったみたいでな…御覧の通りだ」
いつの間にか魔物を受け入れる里になっていた様で、皆兵士を縛り奉行所へ…所によっては品定めをする魔物も居た
「良かった…」
胸を撫で下ろし、一安心する。
元の見た目ではないとは言えあいつの故郷だ、二回も汚したまま迎えたくはない…
「あ…っ」
あの子、子。じゃない
あいつ、そうか…
解った。これで、これで…ようやく…!
でも、あいつは…
いや、仕方がない。いくらでも待とう、忘れないなら帰ってきてくれる
そう思い、ふと顔を上げると懐かしい顔が見えた
生きた時間からすれば短くも、長い年月を共にしたあの顔と…
他の、魔物の…
「…っ!!」
理解した時には、森の奥だった
呼吸が荒い、胸が痛い、傷が痛い。
そうだ、あちらからすれば母と子…夫として迎えた訳じゃない
でも…!
「はぁ…っ、ようやく追い付いた。早いね、やっぱり…」
後ろから、今は聞きたくない音が聞こえた
「な、なんで…」
「お父さん、結構近くに居たから。三つか四つか程隣の里に」
草を踏むがさ、がさという足音が近づいてくる
私は、振り返らない
「どうして…」
「あの女の人、お父さんの再婚相手だって。助けを呼びに行った後どこ探しても…お母さんしか居なくって、傷ついてた所を助けて貰ったらしくて」
足音が隣で止まる
私は…
「ねえ…」
「俺の名前、――って言うんだって」
名前を聞いた瞬間、全部弾けて
涙も…気持ちも…
「あ…あぁ…!」
「…ただいま」
強く、強く、抱き締めてくれて
もっと気持ちはふくらんで
「うん…うん…!ぐす…おかえり…っ!」
「あとそれと…今でなんだけど。貴女が、大好きです」
「うん…っ!私も、私も、大好き…!」
気が付けば泣いていて、気が付けば抱きついていて、気が付けば…
「…はあっ…」
「…ど、どうしたの?」
「待ち望んだ、夫だ…私の…」
「あの、ちょっと?」
心の底から、体の芯から熱くなってくる
夫の…におい…
「我慢、出来ない…から。ずっと、食べてない…」
「…そうだね。じゃあ…」
私は、言葉を聞く前に彼を押し倒す
森の中だけれど気にしない
「はっ…はっ…はぁ…」
彼のあそこも…だんだんカタく…
「俺も、我慢出来ない…お願いしてもいいか?」
「うん…!」
私は彼の履き物をずりさげてカタくなったものにやさしく触れる
あの時、兵士を襲った時とは違う…満ちていく感覚
もどかしさや嫌悪感は一切無い…
私は裏筋にキスをして、愛でるように唇と舌でゆっくり。にゅるにゅると扱く。
「ぅ…」
「んん…ちゅっ。れる、はぷ…んっんっ…ちゅ」
「は…あっ」
彼が切ない声を上げると私も気分が昂揚する…
口で深く咥え、私はナカの疼きを抑えきれなかった
「んうっ、んっ…ちゅぱっ。アナタ…私、私も気持ち良く…」
「うん、おいで…一緒に気持ち良くなろう」
そう言われ、私は腰の飾りを外しぬらぬらと雫の滴る秘部に熱すぎる先端を擦り付ける
ちゅくっ、ちゅ…ちゅぱっ。
「んぁ…ぅ、はぁっ…挿れる、ぞっ」
「ああ…俺と二人で。幸せに、なろう…!」
ずずっ、にゅく…ぷつ、ず…
破れていく。私の膜と、快楽の詰まった袋…
「うっ、ぁ…!」
「はぁ、あっ…!ふ、んぅあっ!?」
最奥まで届き、軽く痺れてしまう。軽い痺れが止まらない…震える度に奥がこすれる
たまらなくて、こんなの…こんなの…
「はぁーっ…はぁーっ…ぁ、んっ…あっ…」
「ご、ごめん…動くよ…!」
きゅうきゅう言っている私のナカがぱちゅっ、ぬち、ぬと、ずりゅ…と擦れ、肌と肌が打ち合い乾いた音が空を切る
待ち望んだとろける快楽が全身に…
「は…へっ?ひぅ、はっ、あ…っ!は、あっ!んぁっ!ぅあっ!ひあぁっ!」
「はぁ…はぁ…ぅ…」
乾いた音の中にぐち、ぐちぐちといやらしい水音が響き、二人の快楽をより一層引き立たせ
「ふぁっ!あっ、あんっ、ひぁっ!は、あぁっ!」
「は、ぁっ、くぁ…」
くちっ、くちっくちっくちっ…
性欲を掻き立て尚も響く水音は先程より早く、快楽は膨れ上がる。まるで我儘にその先を求めるように
「い、イクっ、イクぞ…!」
「きてっ、きてぇ!子供…欲しいの!アナタのぉ!」
「ふ、く、くぁぁっ…!」
くち、くち、くちっ。どぷ、どぷどぷどぷ…っ
「ひぁっ、ひ、は、あぁぁぁぁぁぁあああ!」
どろどろと濃く、袋から大量に溶けだした快楽を勢い良く子宮口に打ち付け、ぶちまけ、ぬりたくる
同時に二人は永遠の幸せを誓い、甘い甘い快楽と絶頂を貪った…
14/08/03 03:22更新 / それなりにグラタン