読切小説
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『とある戦士の話』
ん…?私に話しかけるとは…。何の用です?

…ボロ布を被ってて怪しい格好だった?顔も見えない?

見えなく…してるんです……。あまり、見せられる物ではないので……。

そ、そういうのが気になる……?(深呼吸)そ、そうですか…。

いえ……物好きな方もいるのですね…。ガー…おっと、彼を…相棒の事を思い出しました。……この格好はあまり目立たない格好だと思っていたのですが…。

とりあえず、言える事はありませんし、私はもう少ししたらここを去る予定です。

ふむ……そうですね…。語れる事はあります。折角です、吟遊詩人程ではありませんが……少し…話を聞いていきませんか?

……とある……戦士の話です。

『ある1人の戦士がいた。黒い鎧で、一部が金色に塗られた防具を身に付けていた。

その戦士は、この世界では「異世界の者」と呼ばれる類いの人物だった。
この世界には無い武器を持ち、この世界には無い能力を持ち、この世界に居る筈の無い小さな機械の相棒を持っていた。
何よりも、他の「異世界の者」とは違い、元の世界に帰る手段を持ってしまっていた。

(……帰る手段、というのも語弊がありますが。)

そして、帰らねばならない理由があった。

戦士は"不思議の国"に迷い混んでしまっていた。なぜ迷い混んだのか、なぜこの世界に来てしまったのか、詳しい事は語られていない。

(語りたくなかったのかもしれません。)

戦士は何者かから逃げ切った後だった。体に少し異常がある事に気付かずに。
戦士は言った。「いつまでここに居ればいいんだ!」
相棒は答えた。「まだ暫く掛かると思います!」
戦士は走りながら言った。「どこか隠れれる所に行くしかない……どこかに……!」

周りには奇妙な建造物や奇妙な植物でいっぱいだった。

戦士は言った。「ホント、確かにここは気が狂いそうになるな!」
相棒は答えた。「行動さえ間違えなければ、正気でいられる筈です!」

戦士は走り続けていると、前方にティーポットをそのまま大きくしたかのような家が目が入った。ドアが開いたままなのも見える。

戦士は言った。「なんでもいい!あの建物に隠れるぞ!」
相棒は答えた。「分かりました!」

無事にティーポットの家に入った戦士は、すぐにドアを閉めて鍵をかけた。

戦士は安堵しながら、その家には既に何者かが居る気配を感じ取った。

戦士は家の中を見回した。そして、ベッドの上に何者かが寝ているのに気が付いた。
戦士はその"寝ている者"にゆっくりと近付いた。

戦士は近付きながら言った。「既に誰か居たのか……。でも寝ているな…。」
相棒は答えた。「起こさないように。」

戦士が"寝ている者"の正体を確認した。子供のような容姿。丸い耳。細長い尻尾。寝ているのは"ドーマウス"だった。

戦士は言った。「こいつは……ドーマウス…だったっけ?」
相棒は答えた。「そうですね…ええ、あの文献の挿し絵とは少し異なりますが、ドーマウスで間違いないでしょう。」

戦士はドーマウスの寝ているベッドから離れ、壁にもたれるように座った。

戦士は言った。「ドーマウスか……。うぅん……。」
相棒は答えた。「まだ時間は掛かります。ここで待ちましょう。」

戦士は座りながら、"その時"が来るまで待っていた。待つつもりでいた。しかし、体の異常が牙を剥き始める。

戦士はその場で立ち上がり言った。「ドーマウスは本当に寝ているんだよな?」
相棒は答えた。「はい。寝ていますね。ぐっすりと。」

戦士はドーマウスの寝ているベッドに近付いていった。

ドーマウスは服を着ているとは言い難く、胸や下着が少し露出しており、下着は簡単に脱がせそうな状態だった。

戦士は自身の体の異常に気付いてしまった。

戦士がドーマウスの腹に触れる。防具越しでも確りと肌を感じた。

戦士が呟いた。「少しだけならば…。」
相棒は強く言った。「何をするつもりですか!」
戦士は言い返した。「いずれこの体はここから消える。なら少しだけ楽しんでもいいだろ。記憶も消える。思い出そうとしても曖昧なままになるだろうな。」
相棒は呆れて答えた。「どうなっても知りませんからね。」
戦士は笑うように言った。「こいつは寝ている。起きる前に去ればいい。」
相棒は溜め息をつき、何も言い返さなかった。

戦士はドーマウスの脚に跨がるようにベッドの上に座った。

戦士はドーマウスの下着をするりと剥ぎ、ドーマウスの胸を露にさせた。

お世辞にも膨らみがあるとは言い難かったが、それでも戦士の視線を奪うには十分な程、とても魅力的な胸だった。

相棒が警告した。「これ以上はどうなっても知りませんよ。」
戦士には聞こえていなかった。

戦士は呟いた。「お前らが……お前らが悪いんだ……。こんな所に引きずり込んで………誘惑してきやがって……!……こうしてやる……!」

戦士はドーマウスの乳首を弄り始めた。摘まむように、弾くように、擦るように。

ドーマウスは眠りながらもピク……ピク……と体を震わせる。

戦士は嘆くように呟いた。「あぁ…ちくしょう……!生殺しだ……!だからまだここには来たくなかったんだ……!」

戦士は手を止め、兜は身に付けたままドーマウスの小さな胸に顔を埋める。
兜越しでも、なぜか彼女の温もりを感じる事が出来た。

戦士は寂しげに呟いた。「……あんな日さえ来なければ……良かったのにな……。けど……あんな日が来なければ……こんな事にも……ならなかったんかな……。」

戦士は体から意識が抜けていくのを感じた。そして、このままでもいいと思い始めた。

戦士はドーマウスに身を委ねたまま、目を閉じていく。

相棒が戦士の呼び名を叫んだ。
相棒は続けて叫んだ。「眠ってはダメです!!虜にされてしまいます!」

相棒はその小さな図体で戦士の頭に突進する。

金属同士を思い切りぶつけたような音が響く。

戦士は意識を取り戻した。同時にドーマウスから勢いをつけて離れる。

戦士は焦るように言った。「ヤバい!!ここはもうダメだ!!出るぞ!!」
相棒は怒るように言った。「危なかったですよ!本当に!」
戦士は答えた。「あぁそうだな!ありがとう!」

戦士と相棒は急いでティーポットの家から出る。

戦士は少し走った所で振り返り、ティーポットの家を見る。

ドーマウスが家から出て来ていた。戦士達の元へと少しづつ近付いている。

戦士は戦慄しながら言った。「不味い事をした……このままじゃ搾られるのも時間の問題だ!遠くへ逃げんと!」

戦士は走った。遠くへ。遠くへ。進行方向を変えながら。少しでも距離を取るように。ティーポットの家からは既に遠く離れていた。

しばらく走った戦士は再び振り返る。
ティーポットの家は見えない距離、ドーマウスは見当たらない。

戦士は呟いた。「大丈夫……大丈夫……。」
相棒は言った。「……まだです。」
戦士は目を疑った。
ドーマウスを確認したと思いきや、 距離はそれほど変わっていなかったのだから。
戦士は再び呟いた。「あぁ…クソが…。」

戦士は再び走りながら叫んだ。「なんでだよ!なんで距離変わってねぇんだよ!」
相棒は不思議そうに呟いた。「あの家から距離は相当に離れている筈です…。」

戦士は走り続け、さっきの二倍以上は走ったであろう距離で、後ろを振り向く。

戦士は呟いた。「……来ないよな…ここまで走ったんだ……。歩きでは追い付けまい…。」
相棒は緊張しながら答えた。「油断しないように。」
戦士は応じた。「そうだな。」

相棒は息を詰めるような声を出した。


ドーマウスを確認出来なかった。


その方向からは。


戦士は再び走るために逃げる方向へと向きを変えた。


5歩分ほど先にドーマウスが居た。
ドーマウスの目は少しだけ開いていた。

戦士は勢いをつけて後ろに飛び退く。
距離を取った戦士は武器を構えドーマウスに向ける。

戦士は威圧するように叫ぶ。「これ以上近付くな!!!近付いたらどうなるか!!」

戦士はドーマウスの足元を狙い、構えた武器を放つ。

小さな爆裂音が響いたと同時に、ドーマウスの足元の地面に指の太さ程の小さな穴が空く。

(この武器と似たような武器はこの世界にもあると聞きました。ご存知ないでしょうか?おっと、失礼。)

戦士は続けて叫んだ。「こんな穴を体に開けられたく無いだろう?!だからこれ以上近付くな!」

ドーマウスは言った。「つづき……しないの?」

戦士はきょとんとして言った。「……は?」

ドーマウスは続けて言った。「わたしのおっぱい……もっと、いじめないの?」

戦士は焦りながら答えた。「そんなこと言ってる場合じゃねぇだろう!」

ドーマウスは不思議そうに返した。「どうして?」

戦士は焦るように言った。「お前の今の状況が分かってるのか!!」

ドーマウスは緊張感無さげに答えた。「わかんない。」

ドーマウスは戦士へ向かって歩み始めた。

それに合わせて戦士は後退りし始めた。

戦士は怯えるように叫んだ。「来るな!!こっちに来るな!!!」

ドーマウスはそれでも歩いてくる。

戦士は後退りし続けていたが、木にぶつかり、尻餅をついた。

戦士は叫んだ。「クソっ!クソっ!!来るな!!安易にあんな事したのは謝る!!だから来るな!!!」

ドーマウスはそれでも近付いてくる。

戦士は持っていた武器を放つ。

爆裂音と共に射出物がドーマウスの一歩横を掠める。

それでもドーマウスは近付いてくる。

戦士はまた一発、また一発と武器を放つ。

ドーマウスには当たっていない。

ドーマウスは戦士の目の前まで迫った。

戦士は武器を向けたまま叫んだ。「ぁぁぁああああクソがぁぁぁ!!!」

その叫びと同時に、ドーマウスは戦士の懐に飛び込み


抱きしめた。


ドーマウスは優しく呟いた。「だいじょうぶ……、だいじょうぶ…。んぅ……。ん……。」

戦士は動けないでいた。ドーマウスの包み込むような抱擁に圧倒されていた。

戦士は掠れたような声を出した。「あ……が…………お……ぁ。」

ドーマウスは目を瞑り、優しく戦士に囁いた。「おにいさん……やさしい……ね。」
戦士はハッとし、言った。「や、優しい?なんで……あんなことしたのに……。」
ドーマウスは答えた。「こうげき……あてなかった……。あてれた……はずなのに……。」

戦士は俯いた。

ドーマウスは続けて言った。「それに……だきしめて……くれてる……んぅっ……。」

確かに戦士は武器を持っていない片腕でドーマウスを抱きしめていた。無意識だった。

戦士は俯きながら言った。「あーー……。はぁ……。確かに…当てれた筈だ……。……でも……当てたらどうなるか……分からなくて……怖かったんだ……。……なんで抱きしめたんだろうな、自分。」

ドーマウスは眠っていた。
戦士は魔物娘の図鑑を読んだ事を思い出し、ドーマウスは眠っている時も受け答えができる事も思い出した。

戦士は呟いた。「……あ。やったこと丸バレやんけ。」
戦士は大きく溜め息をついた。

戦士は複雑な心境になりながらも、ドーマウスを撫でる。

戦士は呟く。「これが聞こえてるかどうかは分からんし、曲解されるかも知れんが……別に、魔物むす……魔物が嫌いな訳じゃない。寧ろとても大好きなんだ。……けど、大好きだから交わりたいというのは少し違う。と言うより……今はまだ…交わっちゃダメなんだ…………自分は本来ここに来る筈じゃなかった。もし交わっちゃったら……その後、とても悲しませる事になるだろうから。」

ドーマウスの抱擁が強くなる。

戦士は続けて呟く。「自分の事を好いてくれるのは構わない。……けど、それ以上の関係は求めないでくれ……。」

戦士はドーマウスを抱きしめながら、片手に持っている武器を何もない方向に向けて構える。

戦士は再び呟いた。「……こんな自分だが、魔物むす……魔物は守りたいんだ。自分じゃ幸せにしてやれないからさ……いや、業務柄、"護る"って事と"戦う"って事には慣れてて"殺しあう"って事にも慣れちまってて………何万回と…死んだ事も、倒した事もあって……早く……帰らなきゃいけなくて……これ以上は……。」

戦士はドーマウスを離そうとする。

案の定離れない。

戦士は溜め息をついて言った。「そういうところなんだよ……魔物さんよぉ。獲物を逃がしたくないってのは分かる。けどな、獲物を捕らえた結果互いが悲しんだらダメだろ?…………こっちにも、都合ってのあるんだよ…分かってくれ……。」

ドーマウスの抱擁がより強くなる。

相棒が咳払いをして戦士を呼んだ。
相棒は言った。「魔物娘に言葉は無駄です。無理矢理剥がしましょう。」
戦士は頷き答えた。「……分かった、でも、少しだけ。」

戦士は武器を収め、ドーマウスをしっかりと抱き締めた。

戦士はドーマウスに囁いた。「不甲斐ない自分を許してくれ、ドーマウス。……恨んでくれてもいいさ……。恨まれて当然か……ごめんよ……。……自分は……戦わなきゃいけないんだ……ずっと……ずっと……。」

戦士はドーマウスを無理矢理突き放す。

突き飛ばされたドーマウスは尻餅をつき、目を少し開いた。

戦士は立ち上がり言った。「本来なら、ドーマウスから離れられずにそのままになっちまうんだろう。けどな、自分は"この世界の人間"じゃない。そうだな……"別の時空"から来た……と言うよりは来てしまった、か。……ある友人の手を借りてではあるが。」
戦士は続けて言った。「見たことの無い装備、見たことの無い武器、明らかにここの人間とは違うナリをしてるだろ?」

ドーマウスはきょとんとしている。

戦士はドーマウスに問いかけた。「難しい事を聞こう。……人間の本質の成分はどの時空でも同じだと思うか?」
ドーマウスは首を傾げた。
戦士は案の定と言いたげな態度で言った。「まぁうん。自分の答えとしては、"違う"だと思ってる。ここの人間と会ってないから分からないが……。ドーマウスも何かしら感じるんじゃないか?"何かが違う"ってさ。」
ドーマウスは反対方向に首を傾げた。
戦士は少し呆れたように言った。「マジか。……まぁ難しすぎた話かな。うん、話を変えよう。」

戦士はドーマウスに近付き、ドーマウスの頭を撫でた。
戦士は言った。「そうだな……どうしても自分と交わりたいってんなら……。一つだけ、手があるかな。……でも現実的じゃないぞ?」
戦士は続けて語った。「この世界には、召喚される事で別の時空と繋がれる施設だか組合だかがあるらしい。つまり、その別の時空を行き来出来るって事だろうな。その組織?の奴と何回か接触した事があるんだ。記憶が曖昧な部分はあるが……召喚されるのを利用して別の時空の男性とイチャつ……交流するってのがそいつらの理念だったかな。」
ドーマウスは目が点になっている。
戦士は困ったように言った。「まぁ、なんだ。その、別の時空と交流できる奴らを探し出して、別の時空に行く。そしたらまぁ、奇跡的な偶然が重なれば……また自分に会えるかも知れないな。」
ドーマウスはハッとした。
戦士はドーマウスの頬をつつきながら言った。「自分はその召喚のシステムが気になっててよくやってるんだ。ま、ホントに"もしかしたら"の話だがな。…とはいえ、忙しかったりするとできない事が多いが。」
ドーマウスは戦士に抱きつこうとする。
しかし戦士は素早く飛び退き、言い放つ。「おっとぉ!その抱き付きはまた会えた時の為にとっておけ!…ああそうだな……確かに自分は抱き合うのが大好きなんだよなぁ!感動の再会で熱烈なハグされたらどうなっちゃうんだろうかねぇ!」

相棒が戦士を呼んだ。
相棒が言った。「彼との連絡がつきました。いつでもいいそうです。そして、早急に戻るように、と。」
戦士が答えた。「あぁ、"時間"か。……仕方ねぇか。ま、そういうことだ、ドーマウス。」
戦士はドーマウスに背を向け、歩き出す。

ドーマウスが小さく叫ぶ。「ま……まって……!」
戦士は振り替える。ドーマウスの目には涙が浮かんでいる。
ドーマウスは続けて言う。「なまえ……きいてない……。」
戦士は俯いて答えた。「聞かれても、まだ言えないな……。」
ドーマウスはそれでも言葉を放つ。「それでもっ……わたしのっ……なまえっ───!」

その刹那、戦士は武器をドーマウスの顔に向けて叫んだ。「言うな!」
ドーマウスは息を詰める。
戦士は…。「これ以上言うな。……"ここ"に来た記憶は全部消えるんだ……だから……まだ………言わない方が……良いんだ……。」
ドーマウスは涙を流した。
戦士は呟いた。「あぁ……最悪だ……。だからここには来たくなかった……。」

辺りにはドーマウスのすすり泣く声だけが響く。

戦士は言った。「泣きたいならいくらでも泣いてろ。……その分、自分の姿がボヤけるぞ。……確かに記憶は消える。……でも、それは"自分とコイツの記憶"だ。泣いてる暇あるなら自分の姿を目に焼き付けたらどうだ?」
戦士は武器を納める。

ドーマウスは涙を拭い、戦士を見る。

戦士は言った。「黒い防具で所々が金色、布の部分は濃い緑色。横にいる小さいのはなんか角ばっててふよふよ浮いてる。今はこうやって外に出てるけど普段は背中やらポケットやらに隠れてるんだっけか。」
相棒が戦士を睨む。
戦士は続けて言った。「まぁ防具を色々組み換えることはあるだろうが、大体はこの色にしてる事が多いな。……よーく覚えておけよ。……あ、そうだ。……これらを持たせた方が良いか……?」
相棒が驚きながら言う。「正気ですか!?」
戦士は答える「まぁ見ておけ。」
戦士は再びドーマウスに近付いて言った。「ドーマウス……ちょっと手ぇ出せ。」
ドーマウスが手を差し出す。
戦士はドーマウスの手に"あるもの"を落とす。

水色に光輝く立方体の物質。
紫色の水晶のような欠片。
真ん中が水色に光輝き、幾何学的な模様が大きく描かれた銀色のコイン。

ドーマウスは物珍しそうに見入る。
戦士は言った。「人を試すような事は本当はしたくないんだが……。よく聞け。お前がどうしても自分にまた会いたいと言うならば。それを受け取ってお守りにしな。自分を思い出せるようにな。ただ、それを受け取るって事はその分他の男には近付けれなくなる事を意味するんだろう。魔物にとってはとんだ苦痛だろうな……。その苦痛に耐えれるのなら、長い長い苦痛に耐えると言うならば。それを受け取って、また自分に会いに来い。……それで、魔法でもいいから記憶が消えてる自分にここでの記憶を思い出させろ。」
ドーマウスは考えているような表情をしている。
戦士は続けて言った。「よーく考えろよ…お前にとっても大事な選択だ。やらないなら、それらは返してもらう。一応貴重品だからな……やるか?」

ドーマウスは考えた後…………渡された物を大事に握りしめ……、しっかりと戦士を見つめて言った。「やる……。ぜったいに……またあう!!」

戦士はクスりと笑い、言った。「そうか……そうか、そうかい!そりゃ楽しみだな!見事自分に会えて記憶を戻させれたら、いくらでも交わってやろうじゃねえか!」
相棒が戦士の呼び名を叫びながら言う。「何をさせようとしてるんですか!!彼女をどれだけ苦しめるか分かってるんですか?!ドーマウスも、あなたがどれだけ苦しむ事になるか分からないんですよ!?」
ドーマウスは答えた。「おにいさんにあうまで、ぜったいに!がんばる!」
相棒は呆れてそれ以上何も言わなかった。


戦士はドーマウスから離れながら言った。「さて、じゃあ自分は帰るとするよ。大事にしておけ。それと、それらを見て『なんでお前がそれを持ってるんだ!』って反応をしたら、まぁ多分自分か同業者だろうな。…………お前は魔物だ。色んな魔物が協力してくれるだろう……。だから…………。」


戦士はドーマウスに背を向け歩きながら言った。

「───また会おう、ドーマウス。そして、どうか自分の記憶を戻してくれ。」

その時の戦士はとても辛そうな顔をしていたが、それを知っているのは相棒だけだった。
相棒はドーマウスに言った。「私が彼を何と呼んでいたか聞いていましたか?もしまた私達に会えた際に言ってみてください!彼はとても動揺する筈です!」
戦士は相棒を睨んだ。

暫く歩いた後、戦士は片手を耳に当てて誰かと話した。「おい、聞こえるかー。……ああそうだ。自分だ。ここであった事だが一つ────。いや、そうだったな。"何も言わないように"だったな。」
相棒が戦士に言った。「ここで少し気になる事があります。先に行っててください。」
戦士は答えた。「だってさ、聞こえたか?…………おう、了解。……何かは知らんが、無理はするなよ。」
相棒は言った。「大丈夫です、安心してください。」
戦士は再び誰かと話した。「よし、んじゃあ頼むわ。」






戦士は最後に…ポツリと呟いた…。「………だからここには……まだ来たくなかったんだ……。ホントに、最低最悪な奴だよ…自分は…。クソッタレが…。」





戦士は青白い光と粒子を放ちながら消えた。




相棒がその後どこへ向かったのか、ドーマウスはその後どうなったのか、戦士に会うことは出来たのか。

我々が知ることはないだろう。』


……ふぅ、以上。『とある戦士の話』でした。……若干人が増えたような気がしますが……私は吟遊詩人ではありませんよ?

あっお金を置かれても困ります…。すぐにここを去るので……。しまって下さい…。

あまりこういった長い語りをすることは少ないので……少し分かりにくい部分はあったかもしれませんね……そこだけは、申し訳ありません。

本当はあまり目立ちたくなかったんですが……。

(謎の人物は立ち上がったがボロ布が大きすぎて本当に足すら見えない)

私が何者なのか、気になりますか?……そうですね……。では……なぜ、魔物は私を見て不思議そうな表情をするのでしょうか…?あなた方が魔力を感じることが出来るならば、私をどう感じ取っているのでしょうか?

(謎の人物は歩き始めた……が、足音が聞こえない。しかし、片目が青く光っているのが見えた。)

そうですね、最後に一つだけ。……私の話を最後まで聞いてくれて……ありがとうごさいいました。それだけで……十分ですよ。では……私はこれで……。


(謎の人物は歩いていった……姿が見えなくなる前に追いかけた。人気が無いところに向かっているようだ。)



(謎の人物に追い付きそうな時、その謎の人物は青白い光と粒子を放ちながら消えていった。)
19/02/27 07:14更新 / オニタケ

■作者メッセージ
こっちにSSを上げるのはホントに初めてなので勝手がわからない…。
11月12日は自分の誕生日なのでどうしてもこの日の内に上げたかった。
自分の為に書きたかった事を重点的にして欲望マシマシで書いていたのでホントに所々粗はあると思います。
とにかく最後まで読んでくれた方、ありがとうございました!
Happy Birthday 自分!

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