「ふう……いいお湯だなぁ。心も身体も、あったまるよ」

　ルナと鮮烈な口付けを交わしてから四日後。ようやく全ての包帯が取れ、傷がほぼ塞がった。献身的な看病をしてくれたルナに、ヘリオは深く感謝していた。

　そんな彼は今、城にある大浴場でお湯に浸かっている。この七日、身体を蒸しタオルで吹いてもらうくらいでまともにお風呂に入れていない。今の彼にとっては、安らぎの一時だ。

「……傷も、ほとんど治ったな。でも……」

　湯船の中で、ヘリオは自分の身体を見下ろす。エリックの部下たちによって付けられた傷はほぼ癒えているが、それより前。

　教団にいた頃に受けた、様々な折檻によるアザや傷痕はクッキリと残っていた。腹部や腕、脚、背中。おおよそ服で隠れる場所には、多くの傷痕がある。

　ヘリオは無言になり、左手の甲を見つめる。そこには、丸い形をした、平べったい水色のクリスタルが埋め込まれていた。

『いやだ、いやだぁ！　司教さま、助けて！　僕、こんなものいらない！』

『安心しなさい、ヘリオくん。あなたに特別な洗礼を施すだけですから。その力を受け入れれば、あなたはより強力な勇者となれるのです。さあ、主神様に身を委ねて……』

『あああああああああ！！！』

　ヘリオの脳裏に、忌まわしい記憶がよみがえる。心が沈み、湯船の中で膝を抱える。と、その時。浴場と脱衣所を隔てる扉が開く。

「待たせたな、ヘリオ。我が身体を洗ってやろう。隅から隅まで、な」

　入ってきたのは、仁王立ちしたルナだった。当然とばかりに、タオルなど巻いていない全裸である。艶かしい肢体を前に、ヘリオは慌てて視線を逸らす。

　その顔は、トマトのように真っ赤になっている。そんな少年が、ルナは愛しくてたまらないようだ。

「な、ななな、なんで入ってくるんですか！？　まだ僕が入ってるのに！」

「ふふ、おかしなことを言うね。君はもう我のモノだ。こうして共に湯浴みしても問題はないのさ。では、隣に失礼するよ」

　身体を洗った後、大きく実った胸を揺らしながら、ルナはヘリオの隣に座る。お湯の温かさを堪能した後、少しして真剣な表情を浮かべる。

「……さて。これまでは、傷の治療に専念していたからあえて聞かなかったけど。傷も癒えたし、我に教えてくれないか？　君の全身に、何故そんな傷があるのか。そして」

「あ……」

「このプレートが、一体何なのかをね」

　ルナはヘリオの左手に自分の手を重ね、そう口にする。しばし迷った後、ヘリオは決意を固め……自身の過去について、語り出した。

「……僕は、生まれてすぐに親を亡くして主神教団が運営する孤児院で育ってきました。院長先生もシスターも、皆いい人たちで……八歳までは、楽しく暮らしてました」

「八歳までは？」

「はい。僕が八歳になったある日……教団の検査で、僕に勇者の素質があることが分かったんです。その日から、僕の生活は変わりました。見習い勇者として、教団の宿舎で暮らすことになったんです」

　反魔物領に暮らす人々からすれば、とても名誉なことだ。ヘリオ自身、最初はとても喜んでいた。……だが。

「僕が配属された部隊の教官は、とても乱暴な人で。事あるごとに、訓練と称して僕を鞭で打ったり、罰と称して焼きごてを押し付けてきたりしたんです」

「……なんだと？　君のような幼い子どもに、そんな非道な真似をしたのか！？」

　ヘリオの言葉に、ルナは驚愕する。そんなことをする人間がいるなど、到底信じられなかった。だが、横にいるヘリオの身体にはそうした虐待の跡が無数に残っている。

　嫌が応にも、彼の言葉が真実なのだと認めざるを得なかった。あまりのショックに、ルナの目から涙が一粒落ちていく。

「それでも、僕は歯を食いしばって耐えてきました。勇者になって出世すれば、僕を育ててくれた孤児院の先生たちに恩返しが出来る。それだけを励みにして」

　ヘリオが地獄の中で折れることなく生き抜いてこられたのは、ひとえにその決意があったからだった。実の親のように敬愛する孤児院の院長たちの恩に報いたい。

　その一心で、ヘリオは虐待そのものな訓練を耐え抜いてきた。だが……主神は、彼にさらなる過酷な運命を課した。

「しばらくして、僕の才能と努力が認められたんです。教団が新しく設立した、特別な勇者の部隊に……ぶたい、に……」

「……ヘリオ。つらいなら、無理をして言わなくていい。我はそこまで求めぬ。君が壊れてしまうくらいなら、真実など知らなくてもいい」

「それは、だめです。ルナさんに、全部話したいんです。僕のことを、ぜんぶ」

　忌まわしい過去の記憶が、ヘリオに恐怖を呼び覚ます。震える少年を抱き締め、ルナはそう口にするが……ヘリオは首を横に振った。

「僕が勇者の素質を認められてから一年後……司教様が、僕たち勇者部隊に『特別な洗礼』を行うと言ったんです」

「特別な洗礼、だと？」

　そこまで聞いたところで、ルナは悪寒に襲われる。温かいお湯に浸かっているのに、身体が震える。少しして、ヘリオが語る。自分が何をされたのかを。

「司教様は言いました。僕たちの身体に、教団が新しく開発した魔道具を埋め込むって。主神様の加護を何倍にも増幅する、ホーリープレートを」

　そう言うと、ヘリオは自身の左手を見る。それと同時に、プレートを埋め込むために行われた手術の激痛を思い出し顔が歪む。

「僕は、教団の騎士たちに拘束されて。椅子に身体をくくりつけられて、左手を……」

「……もう、いい。もう、それ以上は語らなくていい。我の想像していた以上の苦しみを、味わってきたのだな」

「あ……」

　ルナはそっとヘリオを抱き締め、優しく語りかける。腕だけでなく、大きな翼や尾も使い、ヘリオを守るように覆い尽くす。

　柔らかな温もりに包まれ、これまで封じ込めてきた涙がヘリオの目から溢れていく。もう、限界だった。これまでの悲しみを、苦しみを吐き出すように――ヘリオは大声で泣きはじめた。

「う、う……うわああああああん！！」

「いいんだ、たくさん泣いて。ここには我と君しかいない。誰も君を傷付けない。大丈夫、君の心が癒えるまで……ずっと、我が抱き締めてあげるから」

　愛する者の壮絶な過去を知り、ルナもまた悲しみの涙を流す。何故、こんなにも小さな少年が苦しまねばならないのだろう。

　望まざる力を与えられ、その果てに裏切られ死の運命を辿らねばならないのだろう。やりきれない怒りと悲しみが、ルナの心を支配する。

「ひっく、ひっく……」

「よしよし、苦しかったね。悲しかったね。でも、もん大丈夫。これからは、我は君も守る。そのためにも……まずは、君を『愛』で包み込もう」

「え、あ……」

「我が与えよう。尽きることなき無限の愛と……悲しみを癒す快楽を」

「ま、待って……んんっ！」

　ヘリオの悲しみを癒さんと、ルナは口付けを交わす。以前と同じ、情熱的で激しいキスを。だが、今回は違う部分が一つある。

　両者ともに、裸で抱き合っているということだ。柔らかな二つの膨らみを直に押し当てられ、ヘリオの中に眠る『雄の本能』が目覚めはじめる。

（ま、まずいよ……ちんちんが、大きくなっちゃう。このままじゃ、ルナさんにバレちゃうよ）

　なんとかして身体を離し、固く大きくなった自身のソレを気付かれないようにしようとするヘリオ。だが、魔物であるルナにそんな努力は意味を成さない。

　己の腹部にお押し付けられる、熱い肉棒の存在に――とうの昔に、ルナは気付いているのだ。

「ん！？　むむうう！」

「ん……ぷはっ。ふふっ、見てごらんヘリオ。ほら、君のおちんちんがこんなに……大きく固くなっているよ♥️」

「やあぁ……さ、触らないでぇぇ♥️」

　そっと片手を離し、ルナは腹に押し当てられているソレを指で摘まむ。はじめて他人に肉棒を触られる、羞恥と快感。

　それらがヘリオの身体を、稲妻のように駆け抜ける。とろんとした表情を浮かべるヘリオに、ルナの子宮がきゅんきゅん疼いていた。

「ああ……本当に、君はかわいいね。さあここに座って。君の熱いおちんちん、我に味わわせておくれ♥️」

　浴槽から出たルナはヘリオを浴槽のフチに座らせ、尾で身体を支える。愛しい少年の股ぐらに顔を埋め、歳相応に小さな皮かぶりのソレを見つめる。

「ふふ、ヘリオはおちんちんまでかわいいんだね♥️　もう、我慢が出来なくなるよ♥️」

「ひうっ！？　やっ、だめっ♥️　おちんちん咥えちゃやだぁ♥️」

　ピクピク震える小さな肉棒に、ルナは夢中でむしゃぶりつく。睾丸もろとも口に含み、飴玉を転がすように舌で舐めつくす。

　愛しいヘリオのモノを頬張っている。その事実が、彼女に多大な幸福感を与え頬を上気させる。じゅぽじゅぽと、いやらしい水音が浴場の中に響く。

「あっ♥️　ふあっ♥️　だめっ、はなしてぇ♥️　おちんちんがっ、おちんちんが変になっちゃうからぁっ♥️」

「ふふ、ひいふぉ。われのふひに、たふさんらひて（ふふ、いいよ。我の口に、たくさん射精して）！」

　あまりの快楽に耐えきれず、ヘリオはルナの頭は生えた二本のツノを掴む。だらしなくよだれを垂らし、与えられる快楽に身悶える。

「あっ、あっ……ふあああぁぁぁ♥️」

「んっ！！　ん、ふふ……たくさん、射精たね。ふふ、飲みきれないなこれは……」

「な、なにそれぇ……いつもの、おしっこじゃない……」

　数分ももたずに、ヘリオは限界を迎えた。ルナのフェラチオによって、精通したのだ。ルナの口に放たれた大量の精液が、ポタポタと床に垂れる。

　だが、ヘリオに性知識の類いは一切なく、自分が放った白い液体がなんなかすら分かっていない。性的なものを過剰に嫌悪する教団が、彼を性から遠ざけていたのだ。

「怯えなくていい。これはね、精液というんだ。簡単に言うと、赤ちゃんを作るためのモトなのさ。これをね……我のここに注ぎ込むことで……ヘリオと我の、赤ちゃんが出来るんだ」

　正体不明の液体に怯えるヘリオに、ルナは優しく声をかけ知識を授ける。そして、床に腰掛け脚を開く。愛液で濡れそぼった肉壺を見せつけ、淫らに誘う。

「僕のと、ちがう……おちんちんがない……？」

「そう。我のような魔物や人間の女性におちんちんはない。その代わりに、おまんこという穴がある。ここにヘリオのおちんちんを挿入れて、精液を出すと……赤ちゃんが出来るのさ♥️」

「へ？　わわっ！」

　ルナは尾を操り、ヘリオを自分の元に手繰り寄せる。ヘリオのペニスは、まだ萎えていなかった。むしろ、これから起こるであろう出来事を感じ取りさらに固く反り立っている。

「ほら、我のおまんこが待っているぞ♥️　ヘリオのおちんちんが欲しくて、ずっとヒクヒクしているんだ」

「ここに……僕の、おちんちんを……」

「そうさ。我はこの七日、ずっと待ち望んできた。ヘリオと繋がり、愛を交わす日が来るのを」

　ヘリオを仰向けに床に寝かせ、尾による拘束を解く。ルナは愛しい少年の腰に股がり、手でそっとペニスを支え、己の肉壺にあてがう。

　そして……一気に腰を下ろした。

「ん、あああああああ♥️」

「ふわああああ♥️」

　ヘリオにとっても、ルナにとってもはじめてのセックス。お互いに童貞と処女を捧げあった二人の身体を、強い快感が襲う。

「ふ、ふふ。やっと……やっと、一つになれた。この破瓜の痛みも……その証なんだね」

「なに、これぇ……さっきと、全然違う……おちんちんが、ぎゅーってされて……」

「気持ちいいだろう？　でも、これで終わりじゃないんだ。こうやって、腰を動かせば♥️　もっともっと、ん、気持ちよくなれるから♥️」

　ルナは一切の容赦なく、快楽を貪り尽くさんと激しく腰を上下させる。肉壺の内側似あるヒダとペニスが擦れ、激しい快感が二人を襲う。

「ふあっ♥️　やああ♥️　また、まだでちゃう♥️　白いおしっこ、またでちゃうよぉぉ♥️」

「んっ、んうっ♥️　いいぞ、たくさん……んあっ♥️　我のナカに注いでくれ♥️　ヘリオの精液で、我を満たしてくれ！」

「あっ、でちゃ……ふあああああ♥️」

　激しい締め付けに、経験のないうぶな少年が耐えられるわけもない。ルナと手を繋ぎ、身体を震わせながら……二回目とは思えない量の精液を肉壺の中に放った。

　愛しいヘリオの精が身体に満ちていく悦びが、ルナの心を支配する。もっと欲しい。ヘリオの全てを、自分のモノにしたい。いつまでもずっと繋がっていたい。

「ほら、まだ終わらないよ♥️　今日はずっと、朝が来るまで繋がっていよう♥️　絶対に、離さないからね♥️」

「やああ♥️　だめぇ、これ以上はだめですぅ♥️　おちんちん壊れちゃう♥️　止められなくなっちゃうのぉ♥️」

　その想いが、ルナを突き動かす。萎えたペニスを肉壺で締め付け、また勃起させる。いやいやとかぶりを振るヘリオだが、言葉とは裏腹に腰が上下する。

　彼もまた、自分の上に股がる竜と愛し合いたいと望んでいるのだ。それが嬉しくて、ルナはさらに腰を動かす速度を上げる。

　夜が明けるまで……二人はずっと、互いを求め続けるのだった。

■作者メッセージ
いろいろ盛り込んだ結果、二倍ほどの文量になってしまいました。
でも、書いてて楽しかったのでよしとします、はい。