剣術修行奮闘?記
いいっすね〜♪ こういったストーリーなかなか面白いです♪ 続きを期待します(笑) beru 10/06/04 12:19
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一話ごとが短いの残念。 もっと読みたい 奇天烈 10/06/05 04:49
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始めまして、リヒターと申します。連載開始時から作品を読ませて頂いていました。 今回大変な不幸に見舞われたようで落胆のこととは思われますが、何とかお力になれないかと色々検討した結果、消えた部分4話の内「樹海の水浴び」と「本に埋もれた少女」のキャッシュコピーを発見しました。 感想欄にコピーしておきますのでどうぞお使い下さい。 リヒター 10/06/13 11:00
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「樹海の水浴び」(1) アラクネを倒した俺達はまだ樹海を抜けられずにいた。 もう日も暮れて星が瞬き始めている。 これ以上進んでも、今日中にこの樹海を抜けるのは無理。 そう判断した俺達は適当な場所にキャンプをはった。 またいつアラクネが襲いかかってくるかわからないが、先を急いでも無駄に体力を消耗するだけ。 身体を休ませることを優先させた俺達は、適当に夕食をすませてまったりとした時間を過ごしていた。 「どうしたの、テテス?」 先程から耳をすますような素振りを見せるテテスを不思議に思ったエフィは彼女に問いかける。 一体どうしたというのだろうか。 「なんか、水の音が聞こえます・・・。川があるのかもしれない。」 「川!?」 歓喜の声をあげるエフィとティタン。 俺達旅をする者にとって、川は風呂の代わりであった。 男はそれほど気にしないが、女の子には風呂は必要不可欠。 この2日、川など無かったので久しぶりの風呂が嬉しいのだろう。 「ねぇねぇ、ちょっと行ってみましょうよ。ワタクシの身体、汗と汚れでドロドロなの。」 弾むようなステップでティタンは水音の方へ向かう。 俺達もそれについていくと広大な浅い川にでた。 水は底が見えるほど澄み切っており、深さもそれほどないように見える。 深くて俺の腰ぐらいまでというところだろうか。 水浴びにはうってつけだ。 幸い気温も高いので、風邪を引くようなこともない。 「広いですね〜。流れも急じゃないし、結構浅いみたいです。ここで水浴びしましょう。」 そう言い、テテスは服を脱ぎ始める。 同じくティタンとエフィも・・・、って服!? 「どうしたの、ダーリン?入らないの?」 「お、俺はいいよ・・・。後で入るから。」 「遠慮するな、ワタシ達が背中を流してやるよ。さあ、カイ。こっちへ来いよ。」 「うう・・・。すまん!!」 ダダダッと駆け出す俺。 ここで流されてはいけない。 おそらく流されたら、またしてしまうだろう。 正直するのは嫌いではないが、彼女達の一途さを見ているとした後に罪悪感が残る。 まして中に出したときの自己嫌悪は尋常じゃない。 もう少し立派な男になって自分に責任がとれるようになってからだ。 キャンプまで戻ってきた俺は、近くにあった適当な大きさの岩に腰掛ける。 少し惜しい事したかな、と後悔したのは内緒だ。 座って待っているとエフィ達の会話が聞こえてくる。 どれだけ大きな声で喋ってるんだろう? いや周囲が静かだから余計に彼女達の声を引き立てるのかもしれない。 「テテスって本当におっぱい大きいよね。ワタシのなんかホラ、これだけしかないんだ。」 「そ、そうですか?」 「まぁエフィの身体が貧相なのはよく知ってるわ。」 「何ですって!?ティタンとそれほど大差ないわよ!!」 「そういうのはテテスぐらいの胸になってから言ってちょーだい。ん〜、でもこの胸は反則よねぇ・・・。」 「ちょっ・・・、ティタンさん。も、揉まないでください・・・んあっ。」 「何これ、こんなに柔らかいの!?正直に言いなさい、一体何人の男にこの胸揉まれたのよ!?」 「カ、カイさんだけですぅ・・・。」 「嘘つかないでっ!!それならこんな凶暴でエロい乳になるワケないでしょ!!」 「確かに。ワタシもカイに何度か揉まれたけど、全然大きくならないしな。」 「何!?もしかして皆ダーリンとしちゃってるの!?いいなぁ、ワタクシも抱かれたいわ。ところで、ダーリンのアレってどれぐらいなの?」 「他の人がどれほどなのかはわからないけど、結構大きいと思う。」 「奥にまでゴツンゴツン届いてきますからね。」 一体何の話をしてるんだお前等!? まさかの話題に俺は一人、空にツッコミをいれる。 あ、やばい・・・。俺のエクスカリバーが反応してしまった。 心頭滅却、心頭滅却・・・と。 自分を落ち着かせて、股間から血液が引くのを待つ。 だが、中々おさまってくれなかった。 リヒター 10/06/13 11:02
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「樹海の水浴び」(2) しばらくすると水浴びを終えたエフィ達が帰ってきた。 心なしか全員の顔が晴れやかに見える。 「気持ちよかったよ〜。カイも入って来ていいよ。」 「おう。じゃ、行ってくるわ。」 彼女達と入れ替わりに俺は川に向かう。 すぐさま服を脱ぎ川に足を入れる。 おお、思った以上にに気持ちいいな・・・。 ひんやりとした水がとても心地よかった。 水の冷たさに慣れた後、俺は水浴びを始める。 たまにはこういうのもいいな。 「ダーリン、どう?気持ちいいでしょ。」 「ああ。思った以上にな。」 あれ? 気のせいか、ティタンの声が聞こえる。 嫌な予感がしつつもふと後ろを振り向くと、そこには全裸のティタンが立っていた。 さっきまでのヘビの下半身じゃなく、ちゃんとした人間の足で。 なので彼女の秘所が丸見えである。 「どうしたんだ、その格好!?」 「あら、ヘビの姿のほうが良かった?でも。ヘビの身体に挿入るとこなんてないわよ。」 「いやいやいや!!俺が言いたいのはそこじゃない!!何故お前が全裸でここにいるかってことだ!!水浴びは終わったんだろ!?」 「うん。水浴びは終わったわ。でもね、こうでもしないとダーリンと一緒にできないじゃない。」 そのまま俺の身体は彼女に押し倒される。 俺のモノはこの場合でも立ち上がり始めていた。 そして彼女は甘い声で耳元に囁きかける。 「お願い、私にもして。」 温かい息があたり、俺の息子が完全にそり返った。 ティタンは「わぁ」とうっとりした声をあげる。 「思った以上に大きい・・・。待ってて、今楽にしてあげるから。」 そう言うと彼女は、自分自身の谷間に俺の肉棒をはさむ。 ふよふよした感触が優しく包んでくれた。 その状態のまま、豊満な胸で俺のをしごき始める。 やべぇ、これは気持ちよすぎる・・・。 「ふふふっ、まだ終わりじゃないわよ。」 「え?・・・うぅっ!?」 なんと彼女は挟んだまま長い舌を使い、俺の先っぽの口を舐めた。 先っぽだけの刺激ってこんなに気持ちいいものなのか!? 胸でしごかれながら、先っぽだけを舐められる。 あまりの快楽に目がチカチカしてきた。 「可愛い。ダーリン、女の子みたいね。ふふふ・・・。」 「うぅ、くぅっ・・・。もうダメだっ、出るっ!!」 「きゃっ!!」 噴き出した精液が彼女の顔を汚す。 上気した顔でニコリと微笑むティタン。 その瞬間、背筋にゾクゾクしたものが走った。 何てエロいんだ・・・。 ビクンビクン震えている俺の息子の先に残った精液も、彼女は舐めとってくれる。 まだ硬さを失ってない俺のモノを見て、彼女は満足そうにこう言った。 「まだまだいけるわね。次はこっちにちょうだい・・・。」 彼女は自分の秘部をくぱぁと広げる。 糸を引いて落ちる愛液がとてもやらしく見えた。 ごくりと唾を飲み込む。 「ねぇ、入れて・・・。その大っきいのでワタクシの中、かきまわして。」 俺は前に立ち、彼女の右足を持ち上げて中にいれる。 ぷちっと音をたてて彼女は俺のモノを飲み込んだ。 この音は聞いたことがある。 俺は目を丸くして、彼女とつながっている部分を見た。 まさに俺の想像通り。 そう・・・、ティタンは処女だったのだ。 その証拠に鮮血が俺の肉棒を伝って、流れ落ちる。 まさかティタンもだったとは・・・。 「ティタン・・・。」 「大丈夫・・・。もう大分慣れてきたからっ。んっ。」 そう言った直後、彼女は腰を振り始める。 今までの誰よりも締めつけがきつい。 まるで俺の精を残らず搾り取ろうとしてるかのようだった。 リヒター 10/06/13 11:09
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「樹海の水浴び」(3) 「んっ、大っきいよぉ・・・。はぁっんっ。ダーリンの、んっ、ワタクシの中で暴れてる、あっ。」 だんだん慣れてきたのか、彼女は苦悶の表情から笑顔のような充足感に満ちた表情に変わる。 「んあっ、気持ち、いいっ!!グチュグチュって、太いのがっ、ワタクシの中をかき回してるっ!!」 甘い嬌声が耳の奥まで響いてくる。 気が付けば俺も必死で腰を振っていた。 エロい音が更に俺を興奮させて、理性を溶かしていく。 やばい、何も考えられない・・・。 彼女の胸を揉みしだくと甘い声が漏れでた。 「もうダメッ!!ひっちゃう、イっちゃうのぉっ!!しあわせぇっ、ダーリンのがいっぱいなのがしあわせなのぉっ!!」 「くぅ、も、もう出る・・・。」 「出してぇっ!!いっぱい、いっぱいビュクビュクって!!全部受け止めるからぁっ、んああぁぁぁ!!」 絶叫とともに勢いよく潮を吹くティタン。 俺も彼女の中から抜いた途端、俺のモノは白濁を吐き出した。 飛び出た精液は下へ落ちて川に流されていく。 ティタンはそれを見ると不満気な表情をして、文句をいう。 「何で中に出してくれなかったの?ワタクシはダーリンの赤ちゃんが欲しいのに・・・。」 「そ、それは・・・。」 「まあ、いいわ。次は中にお願いね。あと・・・。」 彼女は急に大声で呼びかける。 「のぞいてるんでしょ、わかってるわよ!!」 「ひゃうっ!?」 「気付かれてたのっ!?」 あれ?声が二方向から聞こえたぞ。 言った張本人も片方の声は予想外だったようで、目を丸くしていた。 まず彼女が呼びかけてたであろう方からはエフィとテテスが茂みからがさがさと出てくる。 もう片方は・・・。 そう、さっきまで俺達と激闘を繰り広げたアラクネ達だった。 俺達は慌てて戦闘態勢をとる。(まあ、俺とティタンは裸だが) だが、彼女は俺達以上に焦りながら両手を横にふる。 「違う、違うわ!!別に戦いにきたんじゃないの!!」 「じゃあ、何しに来たって言うのよ!!」 「そこの男に頼みごとをしにきたのっ!!」 「・・・俺に?」 「そうっ!!私達の子供を作って欲しいの!!」 ・・・は? 予想の斜め上のことに思わず聞き返す。 子供を作って欲しいって言ったか? それはつまり・・・。 「私達と性交をして、あなたの精子を私達に授けてほしいの!!責任とれとか子供を認知してとか言わないから!!」 他の者もコクコクうなずく。 どうやら全員、それを頼みに来たようだ。 あまりの事に思考がついていかない。 「あのなぁ、それはでき・・・むぐっ。」 いきなりエフィに手で口を抑えられた。 しかもとても真剣な目つきで俺を見ている。 「頼む。彼女達に子供を作ってやってくれないか?」 「俺は責任が取れないから、それは無理だ。」 「カイ。責任だの何だのは人間の常識なんだ。少なくともワタシ達は望んで、お前の子供を求めている。」 「で、でもっ・・・。」 「ダーリン、ちょっと聞いて。」 エフィだけじゃない、ティタンも真面目な顔で俺を見つめた。 彼女にしては珍しく笑顔の一つもない。 リヒター 10/06/13 11:12
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「樹海の水浴び」(4) 「ワタクシ達にとって子作りはとても大事なことなの。」 「ならっ・・・、ちゃんと責任がとれる相手とっ・・・。」 「それは人間同士の理屈。ワタクシ達は一人の相手だけと交わって、人間一人を夫とするような事はあまりできないの。」 「・・・?どうしてだ?」 「魔物が産む子供は・・・、女の子だけなの。わかる?ダーリンの言うような責任が取れる人間だけと子を成して行くと、いつしか魔物だけじゃなく人間も滅びてしまうわ。」 何を言いたいのかさっぱりわからない。 何故、人間や魔物が滅びるようなスケールの大きい話になっているのだろうか。 「ダーリンが責任とれる相手ってつまりワタクシ達と結婚して一生面倒を見てくれる相手という意味よね?」 「そうだけど・・・。」 「そうやってワタクシ達がもし人間の男性を一人ずつ独占していくと、男が増えることには絶対ならないの。だって、ワタクシ達は人間と違って男の子を産めないから・・・。」 今、言おうとしていることがわかった。 つまり未来に待っているのは男の個体の減少。 俺達人間の倫理で責任をとっていくと人間(♂)+魔物(♀)=魔物(♀)にしかならない。 こうすればどんどん男の数も減っていく。 魔物には女性の個体しかいないからだ。 その調子で進んでいくといつしか男そのものがいなくなり、そうなれば人間も魔物も増えることはなくなる。 いわゆる絶滅だ。 「何が言いたいかわかったようね。」 「ああ。」 「ワタクシ達は未来まで魔物を存在させなければならない義務と、優秀な子供を産んで種族を繁栄させる義務の両方にはさまれているの。これを両方こなすには責任をとらなくてもいいから優秀な男と交わり、子供を作るしかないわ。そしてその男には人間と交わって、男の子を作ってもらわないとね。」 「・・・事情はわかった。子供を作ってあげる、と言いたいところだけど、今出したばかりでとても全員は・・・。」 「あら、心配ないわ。」 アラクネがそんな事を言う。 そして皮袋から何十個も木の実を取り出した。 「何だそれ?」 「強壮剤の原料となっているデワスの実。強壮剤はこれを薄めているけど、これはそのまま。つまり・・・。」 「むぐっ!!!??」 それを全て口の中に放り込まれる。 うえっ、苦い!! 舌がえぐれそうだ・・・。 なんとかそれを飲み込むと、すぐに身体に変化が起こり始めた。 「さすがデワスの実・・・、もう効果があらわれたわね。その実には強い催淫作用があるの。それだけじゃなくて精巣のはたらきも活発にするわ。」 身体が熱い・・・、喉がカラカラに渇いていく。 それだけじゃない。 収まっていた俺のモノが急に硬く、大きくなった。 さっきまでヘトヘトだったのに今はビンビンに立ち上がっている 「ちゃんと水も飲んで。そうすればもう心配ないわ。」 水筒を渡され、俺はそれを飲み干した。 「これでもうできるわ。皆、行くわよ。」 「え?ちょ・・・待て・・・。一人ずつじゃないのか?」 「ねぇ、ワタシ達も混ざっていい?ティタンの見ていたらムラムラしてきたの。」 「ワタクシも混ざるわよ。まだできるわ。」 「お前らもっ!?」 「かまわないですよ。まだまだデワスの実はありますから。」 アラクネ達四人とエフィ、テテス、ティタンにがっしり捕まえられる俺。 目がまずいことになってるよ、みなさん・・・。 「さあ、いただきまーす。」 「ちょ、待てっ!!いっぺんにはむr・・・。アーーーーーーーッ!!!!」 樹海に俺の絶叫がこだまする。 そうして俺は魔物達に精という精を搾り取られた。 リヒター 10/06/13 11:14
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「樹海の水浴び」(5) 「ありがとうございました、これで私達にも優秀な子供ができると思います。」 「あ、ああ・・・。」 夜が明けてアラクネ達は俺達を樹海の外まで案内してくれた。 俺は剣を杖代わりにして歩いている。 昨日は大変だった・・・。 何十回、射精したかわからない。 いや数えるのもやめていた。 おかげで後半の記憶など全くと言っていいほどない。 「何よ、だらしないわねぇ。」 「う、うるせぇ・・・、エフィも俺の立場になってみたらわかるはずだ。」 「さすがに昨日は頑張りすぎでしたね、カイさん。」 テテスは俺に笑顔でそう言ってくる。 あなたも原因の一部なんですよ、テテスさん。 「あ、そうだ。アラクネ。」 「はい?」 「子供ができたら会いに来るよ。一応、子供も顔も見たいからな。」 アラクネの顔が柔らかく微笑む。 もう母親の顔つきだな。 「はい、待っています。あ、そうだ・・・。これ、お礼の品です。」 そう言って渡されたのは一つの皮袋。 なんだろう、嫌な予感しかしねぇ。 袋にぎっしり入っていたのは・・・。 俺のトラウマ、デワスの実だった。 「やったわ。ダーリン、これで毎晩できるわね。」 「か、勘弁してくれぇーーーーーー!!」 10/06/11 00:14更新 / アカフネ 戻る 次へ ■作者メッセージ 休憩時間などをフルに利用し完成させました。 デワスの実・・・、もう主人公のトラウマですね。(笑) 今回の話おそらく最長の話になっています。 PS baku様 温かいお言葉、本当に感謝です!! これをはげみにこれからも頑張っていきたいと思います!! リヒター 10/06/13 11:15
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「本に埋もれた少女」(1) カラタ樹海を抜けた俺達はとても順調にサマデントへ向けて進んでいた。 そして予定より1日早く学芸都市フォルヘストに着く。 なおここに来て初めて知ったのだが、嵐が近づいてるらしい。。 もし予定通り明日フォルヘストに着いていたら、俺達は嵐の中で野宿をしなければならなかった。 そういう意味ではとても幸運だった。 早く着いたことでこうして宿をとることができている。 「なんかワタクシ達とってもラッキーじゃない?」 「そうね。もし着いてなかったら多分今頃大慌てだ。『嵐が来るー』って。」 「ねぇ、ダーリン。今夜一杯やらない?酒場に行ってパーッと。」 「いいですねぇ。アタイもその意見に賛成です。」 「お、それもいいな。でもまだまだ飯までには時間があるぜ。」 「それならクルッコス王立図書館に行かないか?ワタシはそこに興味があるんだ。」 「あら、エフィに本なんて読めるの?」 「失礼な、読めるわよ!!」 「図書館か、たまにはいいかもな。そこで時間潰してから酒場に行くか。」 俺達は出かける準備を整え、宿屋を出発する。 雨がポツポツと降り出していて、風も強くなってきた。 やはり嵐が来るというのは本当らしい。 あまり濡れたくない俺達は駆け足気味で図書館へと向かう。 そうして図書館に着くと、そこには天井まで届くほどの本棚が何十個と並んでいた。 あまりの光景に言葉を失ってしまう。 ちゃんと読書スペースも作ってあり、その場所には同じような服を着た子供達が座っていた。 来ている服は同じだが人間だけでなく、魔物もいる。 「あれ、クルッコス王立アカデミーの制服じゃない?」 「クルッコス王立アカデミー?」 「あれ、カイが知らない事って珍しいな。クルッコス王立アカデミーは魔物も人間も差別なく入れる学園だ。やっていることはより高い魔法使いの育成と魔法の研究。それに差別なくとは言っても、魔力が高くなければ入れない。」 「へぇ、そうなのか。」 「ちなみにティタンみたいなエキドナはおそらく顔パスだろうな。」 「まあ、そうよね。ワタクシ達エキドナは総じて生まれつきの魔力が高いの。おそらく歓迎されると思うわ。でもねぇ・・・。」 はぁっとため息をつくティタン。 「あまりこういう所には入りたくないわ。自分で言うのもなんだけど、エキドナは魔物の中でも希少種。ワタクシ達が研究対象として見られることもあるらしいのよね。」 「なるほど。」 俺も生徒として入ったのに研究対象扱いされるのは勘弁して欲しいな。 そういう面では勤勉なのも困り者かもしれない。 まあ、どっちにしても魔力の『ま』の字もない俺には関係ないが。 「さて、ここからは自由行動にしよう。読みたい本はそれぞれ違うと思うし。ワタシは剣術指南書を探す。」 「ワタクシは魔術書でも読もうかしら。」 「アタイは食べ物の本でも・・・。」 皆勤勉なんだな、と驚く。一人を除いては。 彼女達は散り散りに己が読みたい本のところへ向かう。 特に読みたい本がなかった俺はブラブラ本棚を見回った。 剣術、槍術、馬術と様々な指南書。高名な魔法使いが書いた書物。 料理のレシピ本に色々な図鑑、童話に伝説なんてものまである。 これを読みきるにはおそらく尋常じゃない時間が必要だな。 「ん?すごい量の本を読んでる子がいるな。」 読書スペースにアカデミーの制服を着た少女が熱心に本を読んでいた。 明らかに人間と違う尖った耳、間違いない。エルフだ。 その子が座っている机の上には本が山のように積み重なっている。 おそらく右がまだ読んでいないほうで、左が読み終わったほうなのだろう。 左だけ向きがバラバラだ。 何冊ぐらいあるんだ・・・? そう思い数えてみる。 1,2,3・・・。8冊も読んでいるのか。 すると少女は俺の視線に気付き、顔をあげた。 リヒター 10/06/13 11:18
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「本に埋もれた少女」(2) 「・・・?・・・あのボクに何か御用でしょうか?」 「いや、すごいなぁと思って。それ、君が全部読んだんだろ?」 「・・・すごい、ですか?」 「ああ。俺はそんなに本読まないからさ。正直、感心してる。」 「・・・あ、ありがとうございます。」 オドオドしてはいるがそれほど悪い子じゃなさそうだ。 しかも褒められ慣れていないのか、すぐに顔が真っ赤になる。 自然と微笑みが出てしまった。 「・・・あなたは誰です?あ、や・・・。ボクから名乗らなきゃ失礼ですね。・・・ボクの名前はセシリア=ヘゲンウッドです。」 「俺はカイ=シュターゼン。色々あって旅をしているんだ。」 「・・・旅、ですか?」 彼女の顔が好奇心で煌き始める。 「あの・・・、良ければボクに旅の話をしてくれません?」 「ああ、いいよ。」 それから今までの旅の話をしてやった。 彼女は楽しそうに俺の話を聞いている。 それだからつい嬉しくなってしまって、長々と話をしてしまった。 しばらくしてエフィ達がやってくる。 「カイ、そろそろ行こう。・・・って誰、その子?」 「もしかしてダーリンそっちの趣味が!?」 「違うわ!!この子が旅の話を聞きたいって言うから話をしただけだ!!」 「へぇ〜、それじゃこのティタンお姉さんの話も聞きたい?」 「・・・ハイ、・・・聞きたいです。」 「じゃ、聞かせてあげるわ。一緒に酒場に行くわよ。」 「・・・え、え?酒場・・・?」 「大丈夫よ、別に取って食おうって訳じゃないから。あなたもそろそろお腹が減ってくる時間でしょ?今日はワタクシ達があなたにご飯をご馳走してあげる。」 「・・・いいの?」 セシリアは俺のほうに確認をとる。 俺は笑顔で頷いた。 断る理由なんかどこにもない。 その瞬間、彼女の顔が眩しいほどの笑顔に変わる。 「じゃ、決定。酒場に行くわよ。」 そうして俺達はセシリアを連れて酒場へと向かった。 「あ〜あ、美味しかった。」 酒場から帰ってきた俺達はすぐに宿のベッドで横になる。 セシリアのおかげで食事がより楽しいものとなった。 この子は本当に人の話を聞くのが上手い。 それなので俺達の話が止むことはなかったのだ。 当の本人のセシリアは疲れたのか、ぐっすり眠っている。 俺がおんぶをしてここまで運んできたのだが・・・。 いくらなんでも少女をこのまま置いておく訳にもいかない。 彼女の住んでいるところに運んでやらなきゃな。 そう思った俺は彼女を起こし、訪ねる。 「セシリアの家ってどこ?」 「・・・家じゃないの。・・・ボクは寮暮らし。クルッコス王立アカデミーの生徒寮・・・。」 半分眠ったままでそう応えるセシリア。 その様子をみて、俺達は暖かい気持ちに包まれる。 「寮暮らしか・・・。こんな時間まで連れまわしたことをこの子の先生に謝らないきゃいけないな。」 「ワタシ達全員で謝りに行って、この子が怒られないようにしないと。」 「そうですわね。なら、行きましょう。」 先程より強くなっている雨足の中、俺達は宿からアカデミーの寮へと足を急がせた。 寮に着くと、傘を持った教官らしき人間の男が立っている。 彼はこちらに気付くと、近寄ってきた。 「あの、すいません!!この子を送りに来ました!!」 「この子・・・?ミス・ヘゲンウッド!?一体、この子はこんな時間まで何をやっていたんですか!?」 「すいません。ワタクシ達が無理やり酒場へ連れて行きました。」 「酒場!?お酒を飲ませたんですか!?」 「いえ、お酒は飲ませてません。ただ食事に誘っただけなんです。」 彼に詳細な事情を説明する。 その上でセシリアには何の非もないことを伝えた。 しかし教官の怪訝な目つきはかわらない。 リヒター 10/06/13 11:19
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「本に埋もれた少女」(3) 「まったくこの子には困ったものです。授業はいつも無断欠席ですし、その代わりいつも図書館にいる。まったくここに何をしに来てるのやら・・・。」 「無断欠席?」 「はい。本当にこの子はどうしようもない子ですよ。魔力が高いだけで魔法の一つも使えない。正直、あの能力がなければ退学にしています。」 「あの能力?」 教官の口調に腹立たしさを覚えながらも、それを飲み込み別の話題にきりかえる。 何だ、こいつは・・・。 ふと隣を見るとティタンが今にも怒り出しそうなのを唇を噛み締めながら耐えていた。 「はい。この子は特異な能力を持っているんです。エルフにもサキュバスにも両方に姿を変えることができる、という能力を。普通エルフはサキュバス化するともう二度とエルフに戻れません。しかしこの子は自分の意思で、その姿をエルフに戻すことができるんです。これはとても興味深い。」 教官の眼鏡が光る。 その目は生徒を見ているというよりも、実験動物を見る目だった。 「さ、これ以上は部外者の立ち入る所ではないですよ。ほら、ミス・ヘゲンウッド。起きなさい。」 俺の背中の上で寝ているセシリアの頬をペシペシ叩いて起こす。 彼女はその声を聞くと、跳ねるように飛び起きた。 「ゲルメイ先生・・・。ボクは・・・。」 「いいからもう中に入りなさい、消灯時間は過ぎてますよ。あなたへの処罰はこの人達に免じて与えません。その代わり、次から気をつけるように。」 「・・・はい。」 ショボショボしながら寮へと戻っていくセシリア。 その足取りは酒場に行くまでの歩き方とはまったく正反対である。 そのまま門が閉められ、俺達はやるせない気持ちのまま宿屋に戻っていった。 次の日。 まだ嵐が去っていないため、出発できない俺達は再度図書館へと足を運んだ。 目的はもちろんセシリアに会うため。 昨日のことが聞きたかったからだ。 雨の中駆け足で図書館に行くと、彼女は昨日と同じ場所にいた。 「やあ、セシリア。また来たぞ。」 「・・・あ、カイさん。皆さんもおはようございます。」 「おはよう、セシリア。」 「おはようございます、セシリアさん。」 「おはよう、セシリアちゃん。」 何だろう・・・? 彼女の表情が浮かない。 昨日あの後何かあったのか? 俺が口を開くよりも早く、ティタンが彼女に尋ねた。 「元気ないわね。昨日何かあったの?」 「いえ・・・。そういうわけじゃ・・・。」 「じゃあ、何でそんな表情をしているの?」 「・・・はい。あの・・・。」 彼女は声に出そうとしたが、何かに阻まれるように口を閉じた。 明らかに大丈夫な様子じゃないぞ・・・。 心配が増す俺達。 ティタンが真剣な顔で彼女に語りかける。 「大丈夫よ。ワタクシ達はあなたの力になりたいの。だから、話して。」 「え・・・、でも迷惑じゃ・・・。」 彼女は俺達をキョロキョロ見回す。 全員、首を横に振っていた。 それだけで彼女は話しても良い相手だという事を理解する。 「迷惑だなんて思ってないわ、だから、ね?」 このティタンの言葉が決め手となった。 セシリアは渋るような素振りを見せたが、やがてその重い口を開く。 枯れた喉から搾り出すような言葉。 声を搾り出そうとするたび、セシリアは涙を落とす。 それが彼女にとって重大なことを話すのだ、という事が理解できた。 「ボク・・・、えぐっ。もうすぐボクじゃなくなるんです・・・。」 確かにその時、時間が止まった。 いや、世界の中から俺達の時間だけが切り取られたようだった。 セシリアが・・・、セシリアじゃなくなる・・・? 俺達はその言葉の意味がわからず、ただ呆然と立ち尽くしていた。 10/06/11 20:56更新 / アカフネ 戻る 次へ ■作者メッセージ 二話構成です。 今回はシリアスすぎるパートです。 次もシリアスになるのは許してください。 この話が終われば、おバカな話に戻りますので、はい。 リヒター 10/06/13 11:20
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>「重大なお知らせ。」を読んだ感想 今回見つけたのはここまでです。 残りの2話分については残念ながら今のところ発見出来ませんでした。 引き続き探してみて見つけたらまた書き込みます。 一生懸命書いたお話が4話も消えたしまって大変落胆のことと思います。 しかしこれで少なくとも消えた部分の内半分は書き直せるのではないでしょうか。 お願いですから戻ってこないなんて言わないで下さい。 あなたの作品をもっともっと読みたいです。 少しでもアカフネさんのモチベーションが回復してくれることを願います。 これからも応援していきますので、どうかよろしくお願いします。 リヒター 10/06/13 11:36
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通りすがりの読者の一人です。 今回の件は本当にお気の毒としか言いようがなく、アカフネさんのショックもさぞ大きかったことだろうと思います。 私はただ読ませてもらうだけの立場であり、こんなことを言うのは図々しいのですが、私は是非続きが読みたいです。アカフネさんの文章が好きなので。いつでも応援しています、がんばってください! 10/06/13 12:57
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これからも頑張って 下さいね! 楽しみにしています。 リジェネレイト 10/06/13 13:17
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>「甘えたことばかり言ってました。」を読んだ感想 どうやら気力を回復して下さったたようで一安心です。 最近SS投稿用CGIではバージョンアップの際のエラーとか503騒動とか今回のデータ破壊とか何かとトラブルが多いので、これからは万一に備え私の方でも掲載された作品は保存しておくようにします。 今後はそちらの方でもバックアップを取られると思いますので、もし同様の事故があってもSS投稿用CGIとあなたのパソコンと私のパソコンのデータが同時に壊れない限り作品は生き残ります。 安心して執筆を続けて下さい。 リヒター 10/06/13 13:18
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思いの他早くデータの完全復旧に成功したようで何よりです。 これからもお互い困ったときは助け合いながら小説を作っていけたら良いですね。 リヒター 10/06/14 05:25
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>「到着、サマデント。」を読んだ感想 すいません、今までサマカンドをサマルカンドだと思ってました。どこのウズベキスタンだよ…… セシリア可愛いよセシリア。 シービショップも可愛いよシービショップ。 せんしょくたい 10/06/15 00:27
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>「到着、サマデント。」を読んだ感想 デワスの実・・・・販売したら即完売しそうww baku 10/06/15 12:21
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アカフネさんが復活されたようで安心しました これからも大変かもしれませんががんばってくださいです 白い黒猫 10/06/15 13:10
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>「海底に眠る神殿。」を読んだ感想 ここの作者s40%くらいはロリコンだと思いますがw 貴方は・・・・? baku 10/06/17 00:17
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>「少女が見た英雄。」を読んだ感想 >少女が見た英雄。読ませて頂きました そこで一部、隊長さんの名前がデルタになってます この二人は全くの別人なら申し訳ない…私のミスです これからも頑張って下さい 蒼穹の翼 10/06/18 12:27
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修正前もおもいろかったけど、こっちの方がスッキリしていて良かった。 次も期待してます 奇天烈 10/06/27 23:40
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>「リュコスの秘湯。」を読んだ感想 相変わらずデワスの実大活躍だな。 これ本当に画期的な発明ですよ。 リヒター 10/07/01 02:36
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読みました… ギャグあり、涙あり、エロありととても面白かったです。 合作がんばってください〜!! zeno 10/07/03 02:22
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>「女だらけの遺跡探検。」を読んだ感想 待ってました。 さっそくですがテテスさんのまろび出る乳が見たかっt(殴 いや、暑さに負けず頑張ってください 10/08/06 23:38
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>「女だらけの遺跡探検。」を読んだ感想 SS投稿お疲れ様です、そして私のSS内の人物を使ってくださりありがとうございます。 アルトが強い・・・だと・・・ありえない、何かの(ry カイさんのパシリ化がどんどん進んでいる気がしますが・・・頑張ってください オマケの詳細を詳しく(ry 白い黒猫 10/08/07 12:55
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>「女だらけの遺跡探検。」を読んだ感想 デワスの実はアルジールの秘薬に進化したwww ここでまさかの精力剤パワーアップイベント。 カイもこれでますます搾られ放題だな。 これまで2、3日おきの更新が基本だったので何かトラブルがあったんじゃないかと心配していましたが、何事も無かったようなので安心しました。 では、これからも楽しみにしています。 リヒター 10/08/07 17:01
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>「女だらけの遺跡探検。」を読んだ感想 おまけヤバイ ??? 10/08/07 19:48
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>「襲来、紅き翼。」を読んだ感想 前から気になってたけど、何故剣術名が訓読みなんだろう? でも面白いからいいぞもっとやれ アリオネ 10/08/26 01:31
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>「襲来、紅き翼。」を読んだ感想 これでこそ戦いだと言いつつ、相手の動きを封じてトドメを刺そうとするところに若干違和感を感じましたが、レザエルの理不尽さを演出しているという解釈でよいのでしょうか? ΔII 10/08/26 08:29
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>「襲来、紅き翼。」を読んだ感想 続きキボンヌ 10/08/28 00:01
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とても気になるところで終わっているのが悲しいですが面白かったです。 白澤 [MAIL] 11/04/30 01:16
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>「テテスのお料理修行。」を読んだ感想 お待ち申し上げていた続編がご光臨なされたぞぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!〔殴 失礼しました、ついテンションがあがってしまいw にしてもなんといううらやますぃ状況・・・枯れ果てて もいいから変わってほ(殴打 クロウ 11/06/11 02:00
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>「テテスのお料理修行。」を読んだ感想 ははは・・・夢じゃないんだな。 あれから1年近く・・・もう更新は無いものと諦めてた剣術修行奮闘?記がまさかの復活。 ああー、また楽しみが一つ戻って来たんだなあ。何かもう感慨深くて涙が出そうです。 何はともあれ復活おめでとう。 改めて完結まで応援していきますので頑張って下さい。 リヒター 11/06/11 03:25
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おおおおw遂にアカフネさん復活ですなw これだけのクオリティをだせるだけに更新がピタッと止まってしまったのがすごく残念でしたが、再開おめでとうございます!竜騎士〜も再開予定とのことでこちらも楽しみです><とはいえ、こちらはあくまで読ませていただく側。気長に自分のペースで進めてください! KOJIMA 11/06/11 05:43
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>「テテスのお料理修行。」を読んだ感想 復活おめでとうございます、これからも楽しみに世増させていただきますね。 カイさん…いろいろと頑張って… 白い黒猫 11/06/11 18:16
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>「テテスのお料理修行。」を読んだ感想 お久しぶりです! 剣術修行奮闘記の更新待っていましたよ! いきなりカイが車いす生活になってびっくりしましたよ! それだと言うのにエロw しかもなおっているww これはあれですね。 王子様はお姫様のキスで呪いが解けた(カエルから人に戻った)ならぬ、王子さまはお姫様とセックスして(殴) さて、カイが復活したところでこれからどうなるか楽しみです! 沈黙の天使 11/06/11 21:25
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