連載小説
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#01 遺跡の中で会った、ような・・・
「最近はヤシの実が高値で売れるなぁ・・・・・ブームが来てるな、こりゃ」
とある温暖な地方にある反魔物領で小さな酒店を営んでいる私の耳に、誰がいったかそんなセリフが飛び込んできた。
ヤシの実、砂漠・・・・。
別にブームに乗ろうとした訳じゃない。
ただ、『ヤシの実でお酒を作ったら・・・・・それはとっても美味しいな』ってそう思ってしまっただけ。

まぁ「物は試し」と言うコトで、早速ちょっと作ってみようかと思ったんだけど
あんまりにも高額過ぎる値段に目を開けられず、しょうがなく自分で取りに行くことに。

幸いにこの町は結構近くに砂漠があったので、朝に出掛けて夕方に帰る予定だったのに・・・・












「・・・みぃ・・・・・みずぅぅぅ・・・・・・・・・」


3時間後、そこには今にも死にそうに遭難している私の姿が!!


って言ってる場合じゃなぁぁぁぁぁあああああああいいい!!!!!!!

一面360°古今東西南北上下左右。何処を見ても砂!!砂!!砂!!砂ぁぁぁぁぁぁっ!!?

地図?今まさに砂丘が崩れたりしてるのにアテになるワケがないよ!分かるか!!

どうしよう!?マジでどうしよう!?まだ若いのに死にたくないよ!!そうなんだよぉぉ!!

「・・・・・・ぷっ」

って古典的なだじゃれで軽く笑ってる場合じゃなあああああああああああぁぁぁぁぁぁ・・・・・。



ばたっ。


私の身体が砂に倒れこみ、細かい砂埃が舞った。

「・・・・・・あぅー・・・・・」

ダメだ、本格的にマズい。だじゃれで笑っている場合じゃナイ。

砂が口の中でジャリンジャリンしてる。細かい。

何か小説とかだとこういう場面は、荷物がただの重りになるっていう表現がよく使われるけど。

砂漠で遭難したなら、もう水が一滴も残ってないからむしろ軽すぎてコワイ。

「みずー・・・・・・みず・・・・・」

喉がカラカラで声もかすれてきちゃってるよ。

だったら黙ればいいじゃない?それが出来ないのが人間の性だよ(キリッ

カンカン照りの太陽を、いつぞやの猛暑でもこれほど恨んだことはなかったよ。

だがこんなところで終わってはダメだぁっ・・・・・私のっ・・・・・私の野望(仮)がぁぁぁぁ・・・・・。

そう心が身体に強く訴えかけるけど、まったく動いてくれない私の身体。


ゆらっ・・・・。



・・・・あれ・・・・・・なんか・・・・砂が・・・・舞って・・・・・・・・影・・・・・?

あぁ、そっか・・・・これは蜃気楼・・・・っていうの?

・・・・・それとも・・・・・死ぬ前に見るアレ・・・・あの・・・・なんとか灯?何だっけ、忘れた。


ゆらん、ゆらん。


『何だろ・・・・・?これ・・・・・・・。』


そんな言葉を口に出そうとしたけど乾きすぎていて声が出なかった。

何とか開けていた目も、次第にうつらうつらと言う風に閉じていく。


せめて・・・・・机の引き出しに入れてある・・・・・男達の宴を・・・・・処分・・・・・したかっ・・・・


そう心の中での魂の叫びを最後に、彼女の意識はぷっつりと途絶えた。



ゆらっ、ゆらゆら。


砂の地面に突っ伏している彼女をじっと見詰める、2人、もしくは2匹の人の姿をした影。



「・・・・ナニコレー」
「行倒れだと思う、軽装だし。」
「オトコ?オンナ?私的にはオトコを希望。」
「ちょっと待って・・・・・あー、残念、オンナノコでした。」
「そんなー」
「私は『アヌビス様』かとおもっちゃったー。」
「あー、言われるとうん、ちょっと似てるねぇ。」
「・・・どうする?」
「どーしよ?」

「「うーん・・・・・。」」

しばしの腕を組んでの沈黙ののち、片方が

「・・・・・まぁとりあえず持ってかえってみよっか?」
「え、まさかこのニンゲンを?」
「うん、放っておいたら死にそうだもの、助けても怒られないって。」

「えー、でももしかしたら起きたとたんに私達におそいかかってきたりするんじゃない?」
「だからってこのままにして報告するだけだと怒られるでしょ?
 とりあえず持ってかえろー。」
「もう、おそわれても知らないよぉ・・・・・?」
「あはは、大丈夫だってー。むしろ大歓迎だよ?」


そんな会話を交わした後、二匹のマミーの片方が砂の地面に突っ伏している人間をかついだ。

「よっとっ・・・・・うわっ、軽いなぁ、もう結構ヤバそうだよこれ。」
「やめときなよーおそわれるよーおいときなよー」
「夢見が悪いって・・・・あ、その落ちてるビン拾ってあげてー」
「もー・・・・」

不安症な方のマミーが、拾ったビンをブラブラさせながらもう一匹の後をついていく。

赤みがかかった砂が舞い荒れる砂漠に、彼女達が進む先にあるデルタ型の建物

――――ピラミッドが悠然と異彩を放っていた。





「「ただいま帰りましたぁー」」
「・・・・・遅い、遅すぎにゃ!門限はきちんと守るにゃ!!二人とも心配したにゃよー!!」

声を揃えての私達二匹の挨拶に、大きな怒声を返すスフィンクス様は今日も元気です。
その声こそ怒ってはいたが、表情は無事に帰ってきた2匹にほっと安堵したような顔だった。
ほんのちょっと嬉しい。
そして私達の無事を確かめたスフィンクス様の興味は、どうやら私が抱えている人間へと移行したらしい。

「・・・・・その物体はにゃんにゃのにゃ?」
「スフィンクス様ー、にゃんにゃん言い過ぎて訳がわかりませーん。」「ですです」
「にゃっ!?それは酷すぎる言い方にゃ!!
 もしアヌビスが居ればお前ら「御仕置き部屋」行き確定にゃ・・・・くぅ」

子供のように地団駄をふむスフィンクス様。なんだか悔しがっているご様子。
一体どうしてだろうか。あの尻尾の荒ぶり具合は尋常じゃない。

「で、そんな事よりコレ、拾いました。」

言いながら担いであった人間の身体を砂で出来た天然のクッションにドサッという音と
砂埃を立てながら置いた。

(せめてもうちょっと大事に扱おうよ・・・・)「何か言った?」「イイエナニモ」
「行倒れの人間・・・・かにゃ?」
「えぇ、残念ながらオンナですが。ホントに残念です。」「ですです」
「うーむ、別に教会の信者っぽいカンジでもないし、冒険者でもなさそうだにゃぁ。」

ゴソゴソと人間の身体や持ち物を弄るスフィンクス様、変なトコロに手が当たっても仕方ない。

あ、この人間、私より胸が無いや、よし勝った(グッ


「どうします?相当衰弱してるようですが。」
「にゃぁっ!?そんな事はスグに言うもんにゃよっ!!早く水を飲ませに行ってやるにゃ!!!」

スフィンクス様は本当に心の優しいお方。
私もいつかコレくらい器が大きいマミーになってみたいものです。
まぁとりあえず器の大きいマミーになる為にも、まずこの人間を助けてあげましょう。

「はいなー」スタコラサッサ
(何その効果音!?)
「走るんだにゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああ!!!!!!」
「はいさー」ダッ
(最初から走ろうよ!!)

マミーに走らすなんて、何て残虐で器の小さなスフィンクス様。

(いや、今のはアナタが悪いって・・・・)

隣のマミーが何か言ってるけど聞こえませんでした。えぇ聞こえなかったですとも。





「あー・・・・・うー・・・・・」

頭がボーッとしてる、身体が重い、こんな気持ちで起きるのなんて初めて。

「そんにしてもホントアヌビスは何処に行っちゃったんだにゃ?
 もう3日になるにゃよ、こんな時に侵入者でも来られたら・・・・」ブルブル
「?そのときはスフィンクス様が指揮をされれば良いじゃないですか」「うんうん」
「アタシにあの広い地図と山積みの書類とマミーたちをどうにかしろってのかにゃ!!?」
(ムリだね)(うんうん、余裕で天井突きぬけてるし。)


ん?スフィンクス?アヌビス?・・・・・・・ってか何この声。
私は確か砂漠にヤシの実を取りに来て・・・・あぁ、遭難してぶっ倒れたんだった。
我ながらなんと情けない。
と言うことはまさかこの声の人たちが助けてくれたのだろうか。

「じゃあどうするんです、何とかしないと財宝がバーゲンセール状態になっちゃいますよぅ?」
「わ、分かってるにゃぁ・・・・にゃれどアタシはムリだし、かといってマミーらの中にアヌビスの代わりが務まる奴がいるにゃ?」
「いませーん」「うんうん、あんなカリスマ性を持ってるマミー・・・・・いないよね。」
「にゃぅぅぅ・・・・一体どうするにゃ・・・・・・・」


にゃんにゃん言い過ぎて何言ってるかわかんない。
それよりアヌビスの代わりって何?財宝?マミー?この人たちは一体何を言ってるんだろうか?
アヌビス・・・・マミー・・・・えっと・・・・なんかどっかで・・・・。


・・・・・・ああああああああああああああああああああああああああ!!!!??
魔物ぉぉぉぉぉぉぉおお!!??




「・・・・あれ?」
「?どうしたにゃ?」
「いや・・・・今なんか人間が動いた気がして・・・」


ってやばいやばいやばいやばいどうしよう!!!

「う、動いてませんよー」

って何言ってるんだ私はぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああああああああああ!!??
駄目だ死んだ、殺される・・・・父さん母さん、先立つ不幸をお許しください・・・・・・。


「そっかー動いてにゃいかー」
「ないかー」


えええええええええええええええええええええええええええええ!!?
今ので!?今ので大丈夫なの!?

で、でも侮ってはいけない。
確か学校の先生は
「魔物と言うモノはとても恐ろしい全ての人間の敵、人を殺めたり騙したりする事しか知らない残虐な奴等だ」
とか言ってた。
残虐な奴等・・・・・ゴクリ。



「し、失礼します!!教会の調査隊と思われる集団がこのピラミッドに接近中ですぅ!!」


「「「えええええええええええええええええええええええええ!!!???」」」


「にゃああああああああああああ!!!??きちゃったにゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!??」
「あわわっわあおお、落ち着いててててっててててくdさささあ・・・・いたっ、舌噛んだ・・・」

「もうダメだぁ・・・・おしまいだぁ・・・!!」
「まだ・・・・まだ彼氏も見つかってないのにぃ・・・・・」

「にゃああああああ!!!???ふにゃあああああアアアアァァァァァ!!??」
「落ち着いてーぇッ!!スフィンクスさまぁああああ!!!」



残虐な奴等・・・・・・。



「わたし今まで黙ってたけど実はあなたのことが・・・・・」
「お、おちついて!!私は女よ!!?」

「あぬびすぅーっ!!!どこにゃああああああああああああああああ!!??」
「スフィンクス様!砂の中には居ないと思います!!」

「(((((((( ;゚Д゚)))))))ガクガクブルブルガタガタブルガタガクガクガクガクガク」
「ヒィー(((゚Д゚)))ガタガタ」


残虐・・・・な・・・・・。
・・・・・どうでも良いけど調査隊ってせいぜい10人そこらだよね?



「皆の衆・・・・今までよく『ファラオ』様に仕えてくれたにゃ・・・・・」
「うぅ・・・えぐっ・・・・ひぐっ・・・・・・」
「スフィンクスさまぁ・・・・うわぁぁぁん・・・・・!!」

「こんなのってないよ!!あんまりだよ!!」シクシク
「奇跡も、魔法も、ないんだね・・・・ひぐっ・・・・うわぁぁぁぁぁぁぁっぁあぁぁ」メソメソ
「一人ぼっちは寂しいもんな、一緒に逝ってやるよぉぉぉぉぉおおおおお!!」エッサッサー



ざんぎゃ・・・・く・・・・。
・・・・あ、こんなところに内部の地図が。どれどれ・・・・。



「もうこうなればリーダーなんていらないにゃッ!!(キリッ」
「と、言いますと?」
「もう破れかぶれにゃ!!最後に信じれるのは己の肉体のみ(キリッ!!
 皆で一斉に特攻するにゃぁぁぁっ!!」
「「おおおおおおおおおおお・・・・・!!!」」



「ちょっと待ってぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!!!」



危ない判断に思わず大声で叫ぶ私。
(ハッ・・・・・!?)、と思ったときにはポカンとした表情が何個もこっちに向けられていた。


「「「・・・・・へ?」」」「にゃ?」
「あ・・・・・いや、『へ?』とか『にゃ?』じゃ無くてさ・・・うーん・・・・・・まぁこの地図見なよ・・・。」

そう言って私が彼女達に突き出したのは手元に置いてあったピラミッドの内部地図。

「はにゃ・・・・?一体地図なんか見せられても・・・それよりオマエもう大丈夫にゃ?」
「訳が分からないよー」「よー」


わぁ、あざとい。「私は大丈夫です、助けてくれてありがとう」


「まさか魔物に助けられるとは思ってもいなかったけど・・・ってかあなた達ホントに魔物なの?」
「そっ、それはどういう意味にゃッ!!?」

懐疑の目を向ける私。

「いやだって、数十人そこらの人間相手にさ、リーダーが居ないからって「もうダメだ」とか「お終いだぁ」とか言ってるのがさぁ・・・・・」
「ぐ、ぐぬぬ・・・・」
(ぐぬぬしてるスフィンクス様カワイイ・・・・♪)(うわぁ・・・・・)


「だ、だったらオマエだったらどうにか出来るってのかにゃ!!?」ズシズシ
砂埃を立てながらにじり寄って来るスフィンクス、尻尾の荒ぶり具合が尋常じゃない。


「いやだから、この地図、入り口から財宝が置いてある部屋までには・・・・にーしーろーはー・・・・
 ざっと百個以上のトラップがあるって書いてあるじゃない。吹き矢毒ガス吊り天井からテレポーテーションまで何でもござれ。
 こんだけの罠とこれだけのマミー達がいれば、数十人かそこらスグに追い出せるでしょ・・・・・。」


と、数十匹のマミーと目の前のスフィンクスに地図を指差しながら説明する私。
その反応はと言うと。



マミー「ポポポポポ( ゚д゚)゚д゚)゚д゚)゚д゚)゚д゚)ポカーン」


スフィンクス「 ( ゚д゚)ポカーン・・・・」

       
「・・・・・まさか・・・・知らなかったの?自分らの住処なのに?」
半ば呆れた様な声音で聞いてみると、ものの見事に全員が頷いた。

「はぁ・・・まぁいいや、とりあえず教会の調査団が来てるんなら、それに付いて行って私も帰るよ。
 拾ってくれてありがとう・・・・それじゃ」

マミー達の間をすり抜け、部屋の出口へと立った。

「ちょ、ちょっと待つにゃ!!」
「?」
何だろう、何かゴミでも付いてたのかな?
そう思って振り返ると、そこには
両手を合わせて『お願いの姿勢』を取るスフィンクス(涙目)とマミー達が・・・・


「ちょっと・・・・・手伝ってくれにゃいか?」
「へ・・・・?」

もしこのスフィンクスの頼みを断ってたら・・・・いや、考えるのはよしとこう・・・・。







「じゃあその背の低い子・・・・そう、アナタはここの出っ張りに隠れて待ち伏せするの。
 そしたらあそこで逃げた敵がこっちに逃げてくるから、そう、いい?分かっ・・・・分かってない?
 スフィンクスさんー!!教えといてー!!
 ・・・・へ?『入り口の近くが良い』?なんでまた・・・・オトコが捕まえやすいから!?そんなの言ってる場合じゃ・・・って独断先行するなぁぁぁぁ!!
 !?今度は何!?『吊り天井を落すタイミング間違えちゃった♪(テヘペロッ』!?だぁぁぁぁぁ!!!
 そこの黒っぽい子と包帯が絡まってる子!!吊り天井持ち上げるの手伝ってあげて!!
 あぁもうそこ!!ボーッと何して・・・・
男を見たからって柱に股擦り付けてオナニーするなぁぁぁぁぁあああああ!!!


まだ体力も回復しきってないのに、広い遺跡の中を縦横無尽に駆け巡りマミー達に指示する私。
ぜんっぜん思い通りに動いてくれない、もしくは失敗するマミー達・・・・。はぁ・・・・。


「いやぁ頑張ってくれてますねぇ、人間さん・・・・ノウンちゃんだっけ?」「ですねぇ」
「うんうん、楽させてもらってるみたいで悪いにゃぁ♪」


「そう思ってるなら少しは手伝ってよぉぉぉぉぉおぉぉ!!!!!!
 ・・・あっ、そこには吹き矢を配置・・・・そこじゃないって!右!もっと右!あーもう!」



・・・・・何でわたしこんな事してるのぉぉぉぉぉぉぉぉお!!!!!??

え?落とし穴が動かない?あーもう・・・・・・。






「ぜぇ・・・・ぜぇ・・・死ぬぅ・・・・」

数時間後、そこには今にも死にそうな私の姿が!!

罠やマミー達の活躍で気絶した(or逃げていった)教会の方々を砂漠に放り出す作業がやっと終わった・・・・。
マミー達にやらせようと思ったけど、皆口をそろえて『疲れましたぁ♪』だもの。覚えてなさい。
一応持っていた水筒に水を満タンに入れといてあげたけど・・・・まぁ町に帰るくらい大丈夫だろう。

「えっと・・・・・入り口はあっちかぁ・・・」トボトボ

どうでも良いけど、コレ犯罪じゃない?魔物を助けて教会の人間を襲うなんて。
いや、無理やりさせられたと言えば・・・・うーん・・・。人助けだから無罪?いや、魔物助け?
まぁとりあえず外は暑いから考えるのに適さないね、早くピラミッドの中に入ろう。


「あっ、おかえりにゃー♪」「「「お疲れ様ですー!!」」」「ですですー」

ひんやりした空気とともに迎えてくれたのは、あのスフィンクスとその部下のマミー達。
「あざといよ、はい、ただいま・・・・・・・・・・って、どうしたの?」

何故私が疑問の声を上げたかと言うと、
何かみんな一様にハァハァと息を荒げて(多分性的な意味で)興奮しているからだ。
「ワクワク」とか「そわそわ」と言う表現がぴったり当てはまる様子を想像してもらうと分かる。

「・・・・・あ」
瞬間、魔物の性質について思い当たる事があった。
ちょっと待って・・・・・まさか


「で!で!いつになったらあのオトコ達を犯していいんだにゃっ!!?
さぁ!さぁ!もう待ち遠しくてたまらにゃかったにゃぁっ♪」
「早くっ!」「もうガマンできないぃ・・・・・はやくぅ・・・・・♪」「早くっ許可をっ!!」「さぁ!」


あ、やっぱり・・・・・・・。
「許可も何も私にはそこまでの権限は無いんだけど・・・って、あの人たちを襲うならもうムリだよ。」

「「「「「・・・・・・・へ!?(にゃっ!?)」」」」」

空気が凍りつくとはこういう事だろう。
マミー達とスフィンクスは目と口をポカンと開けて視線を私に注いでいた。

「いやまさかそんな事するとは思わなかったし、第一もう目が覚めてるかもしれないのに・・・・・・・
 ?どしたの?」


あれ、何か様子がおかしい?顔をうつむけてなんだかブツブツ言ってる。
スフィンクスに至っては尻尾どころか頭から生えてる猫の耳さえ荒ぶってるんだけど。
音速超えてるんじゃない、アレ。

へ?あれ、何なの?何でみんなゾンビとかマミーみたいにノロノロとこっちへ歩み寄ってくるの?
何で手をワキワキさせているの?何で息が乱れてるの?
何で逃げようとしてもじりじり迫ってくるの?

「スフィンクスちゃん、何で私を押し倒してるのかな?
 それとマミー達は何で私を取り囲んでるのかな?」
「楽しみにしてたのに・・・・・」「久しぶりだったのにゃ・・・・・」「オトコがぁ・・・・・」

ヤバイヤバイやばいやばいやばいやばい!!何か病んでる!何か呟いてる!!

「ノウンちゃんには感謝してるにゃぁ。
 行方不明のアヌビスの代わりに侵入者を追い出してくれたしにゃ・・・・・」
「で、でしょ!?じゃあ何で私は押し倒されているのかな!!?」

「でも、ノウンちゃんは決して許されない大罪を犯してしまったにゃッ・・・・!!」


た、大罪・・・・ゴクリ。


「「「「そうだそうだぁー!!!!!」」」」「オトコを返せー」


へ?


「「「「「オトコをかえせええええええええええええぇぇぇぇええ!!!!!!!」」」」」」



( ゚д゚)ポカーン



「と、言うわけで!!罰としてノウンちゃんにはスフィンクスになってもらい、



 このピラミッドの守護者になってもらうにゃ!!」





罪に対して罰が重過ぎるでしょう!!?

って!うわマミー達なにをするやめ・・・・・・んむぅっ!!?

「ふっふー♪
 ノウンちゃんって結構カワイイにゃぁっ、スフィンクスになったらどんなになるんだろうにゃぁ♪」
「ちょっ、ファーストキスを奪うなぁぁああっって脱がすなぁぁぁぁぁ・・・・・ってまたキs・・・あむぅ」

「あー、次わたしー♪」「スフィンクス様ばっかりずるいですぅ♪」「下の口も初めてなのかなぁ・・・・?」
「あぁもう♪急かすにゃ急かすにゃぁっ♪」


さながらその光景は獲物に集るハイエナの群れ・・・ハイエナの獲物はもちろん・・・・・ワタシな訳で。


「ちょ、ちょっ、やめっ・・・・・ひゃああああああああぁぁぁぁっぁぁぁっ!!!!?

12/03/10 22:43更新 / 着込む人
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■作者メッセージ
「まぁホンネを言っちゃえば、あの時オトコが犯せると思ってたから発情してただけなんだけどね♪」「ねー♪」
「だにゃー♪でもあの時のノウンちゃんとっても可愛かったにゃぁ〜♪」

「その話・・・・ちょーっと詳しく聞いても言いかニャ?」

「あ」「あ」「にゃ」


<アーッ!!フギャーッ!!

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