連載小説
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第1章「出会いと決意」
 一筋の光が天界の神殿に差し込まれた瞬間、風切り音とともに、青き鋼の鎧の下に戦装束を纏い、4枚の純白の羽をはためかせた戦乙女がその金色に輝く髪を揺らした。。
「我が主よ。御身の召喚により、ヴィクトリア参上仕りました。」
荘厳な神殿に凛とした声が響いた。
「勝利の名を持つ『ヴィクトリア』よ。蒼く澄んだ曇りのないその瞳、変わらず我も嬉しく思う。」
「そのような言葉を頂き光栄に思います。」鈴の音のように澄んだ声が反響する。戦乙女という物々しい名とは違い、塵一つ付いていない黄金の髪が靡き、頭が垂れた。
「私は御身に忠義を捧げた剣であり、魔から人々を守る盾であり、英雄の選定者である身、本日はどのような命を下して頂けるのでしょうか。」生真面目な戦乙女らしい主からの下命を催促する。
「今日は戦乙女であるそなたを直接召喚したのにはわけがある。英雄の器を持つ者の所在がわかったのだ。それも此度の英雄の器を持つ者は末頼もしい逸材である。恐らくは18歳の齢を迎える頃には英雄としての頭角を現し始めるだろう。」
荘重たる神の声はいつにもなく明るい。恐らくは英雄の器たる者の存在がここまで神を喜ばせるのだろう。世界の均衡が崩れ、魔物が溢れる地上で神の威光は徐々に影を落とし始め、人類の道標になり得る英雄もまた籠絡されることが頻発している。その中で見つけた大英雄の卵の存在がこれほどにも神を歓喜させている。
 そして興奮冷めやらぬ口調のまま神は命を下した。
「戦乙女ヴィクトリアよ。此度の英雄の器であるユヴェントスという少年をそなた自らが鍛え、その器を大成させるのだ。彼の者は山奥に有る教会に従事する神官剣士見習いとして、暮らしている。今からそなたは地上に降り、件の教会へ向かうのだ。」
「その命確かに承りました。戦乙女ヴィクトリアこれより英雄の器であるユヴェントスの大成を遂行しに地上に馳せ参じましょう。」
 神からの命を受けた瞬間、ヴィクトリアの脳内には地上にある教会が浮かんだ。ヴィクトリアはその4枚の純白の翼を大きく羽ばたかせ、神殿から地上へ急降下した。


数日後
「ふむ・・・・この教会だな。」
神の提示した教会の前に着いて私はポツリと呟いた。
「英雄の器を持つものユヴェントスか・・・」
まだ見ぬ英雄の卵に会い、鍛錬をするという任を命じられ、その期待に応えるべく出てきたが、重大なことに気づいた。
「しまった・・・彼の外見や特徴を我が神より聞くことを失念していた・・・」
勝利の名を冠した私としたことがなんたる失態だろう。あの時冷静さを保とうとしていたが、出来なかったのか。ヴァルキリーとしての勤め、鍛錬するのも任の一つだが、「英雄色を好む」これが私の懸念事項だった。神のため、人のため鍛錬に明け暮れる日々を思い返したが、男っ気なんぞ一切なかった。ヴァルキリーとしての仕事で英雄に道を示すことがあり、外れぬようにすることがある。その
過程で英雄の男から身体を求められれば、それに応じることも必要になる可能性がある。知識がないわけではないが、正直私に男性への性奉仕が行えるか、まるで自信がない。戦いの門外である性奉仕など、鍛錬できるものでもない。むしろ性奉仕の鍛錬などすることは堕落の一途を辿ることは明白だ。
「処女で清き身体というのは、教えの体現として正しいが、難しいものだ・・・・」
教えとのジレンマが悩ましく、私は頭が少し重くなった。
「悩んでもとりあえずは仕方ない・・・・件の英雄の卵を探そう。」
頭を振って、教会の扉を開けようと、ドアノブに手をかけた瞬間だった。
「神父様は今留守にしてますよって・・・その4枚の純白の羽!黄金の髪!青き鋼の鎧!もしかしてヴァルキリー様ですか!」
背後に銀髪碧眼の少年が剣を背負っていた。背丈は150cmほどだが、その背中には似つかわしくない大剣が無邪気な姿に似合わず、やたらに目立つ。。
「そうだが君は・・・・?」
急な呼びかけに困惑して出た言葉に少年は目を輝かせて、「私はここで神官剣士見習いとして修行しているユヴェントスと申します。」尻尾があるならぶんぶんと降っていそうなくらいに元気で無邪気な少年が応える。
「君がユヴェントス・・・・」
この無邪気な少年が英雄の器?大剣を持っているが、どこにでもいる少年のようだが・・・・?しかし神は確かにユヴェントスという少年が英雄の器と言っていた。彼が本当に英雄の器かどうか確認する必要があるな。
「名乗り遅れてすまない。私は勝利の名を冠するヴァルキリー、ヴィクトリア。ここに英雄の器足りえる者がいると我が神に言われてその確認に来た。」
「英雄の器ですか!すごいや!ヴァルキリー様自らが確認に来るなんて!」
「そこで少年。君がその英雄の器かどうか確認したい。」
「は?わ、私がですか?!」自分にヴァルキリーの選定が入るとは思っていなかったのか、碧色の目を丸くして驚いている様子が伺える。
「そうだ。我が神より英雄の器の名を『ユヴェントス』と確かに仰っていた。」
「ユ、ユヴェントスはこの教会には私一人ですし、我らが主の宣託が間違っているとは思えませんが、にわかに信じられません・・・ましてや自分が英雄の器だなんて・・・」驚きで動揺しているのか、それほどにも自分に自信がないのか。それとも謙遜しやすいのか。
「まずは確認したい。剣を振っても問題のないところに案内して欲しい。」
「か、畏まりました!こ、こちらです!」
私自らが選定を行うことに急に緊張したのか、声が上ずっている。本当にこの少年で間違いないのか不安になりながらも教会の左手のほうにある訓練場へユヴェントスの後を追った。


「さて・・・・ここがこの教会の訓練場か。なかなか手入れも行き届いている。ここでなら君を試すことができるだろうっていつまで緊張しているのだ?」
「も、申し訳ございません!」余計先ほどより緊張しているように見える。本当に大丈夫なのだろうか。それに先程からの緊張からか顔まで赤くなっている。呼吸も浅く早くなっているように見受けられるし、過呼吸気味になっている。
「少年深呼吸をするんだ。そのようなことでは試すことも出来ないぞ。」そう行って私は少年に歩みを進め背後に回った。小刻みに上下する肩を見つめ背中をさすりながら、ゆっくりと深い呼吸を促す。
 促されるままに少年はゆっくりと深呼吸を始めた。徐々に緊張が溶けてきたのだろうか、顔はまだ少し赤いようだが、身体から固さが抜けてきたようだ。
「よし!それでは始めるとしよう。」
少年の背中を軽く叩き、7〜8mほど離れて相対する。鞘から愛剣を抜き、両手で上段に構える。
「遠慮無く全力で打ってきていいぞ。」本来私の戦い方は盾で相手の攻撃をいなし、隙を見て剣で斬るものだが、今回は力加減のための両手持ちとはいえ私の打ち込みの威力に対処できるか、我が主が見定めた英雄の器を直に感じてみるのもありだろう。先ほどの驚きや自信がないのか、謙遜しやすいのか判断に困るがやはり一戦交えるのが手っ取り早い。
「構えろ少年。」
さっきまで緊張して呼吸を荒くしていた少年が、構えろと言った途端、促していた深呼吸を更に深くし、空気を吸い込んだ。吐き出しながらゆっくり背中の大剣のグリップに右手をかけ、左足を半歩出し、前傾姿勢を取る。
「少年。剣を抜かなくていいのか?試すとはいえ納刀しているようでは私の剣速は対処できんぞ。何より片手でその大剣を抜けるのか?」
「す、すいません。私はこれ以外戦い方がわからないのです。ただヴァルキリー様にご迷惑をお掛けするかもしれないので、その時はご容赦下さい・・・」
 最初からやられること前提で、その上ご迷惑をかけるかもしれないとは・・・なんと情けない言い分か。これは英雄でなくても思いやられるな。これは選定だけで今回の任は終わるかもしれないな。
 我が主の喜びようから期待していただけに、少し失望が混じりながら
「いいから来なさい。」と言った瞬間、少年は深く吸った息を止め、大地を蹴った。
 轟音と共に蹴った地面から土煙が舞い上がり、少年は私の間合いに既に入っていた。油断したとはいえ、この速さ・・・大したものだ。だが
「さぁ! 対処してみろ少年!私の一振りを!」
上段に構えていた愛剣に力を込め、まっすぐ突っ込んでくる少年に向かって振り下ろす。少年に愛剣が当たる刹那、私は見た。少年の大剣には鍔以降刀身がない。しかし確かに愛剣は見えない何かに阻まれている。
「少年。君は刀身を魔力で形成しているのか・・・?」少年の魔力で形成された刀身と愛剣が火花を散らし、私の一撃を受け止めている事態に驚愕のあまり言葉が漏れた。
「もとより私は魔力が他の者より少なかったのですが、ここ最近溢れ出すように魔力が増えたのです。」その言葉を発した瞬間、魔力が溢れだし、少年の剣が私の剣を押し返し始めた。魔力の奔流は増し、鍔迫り合いになった。しかし鍔迫り合いになった瞬間だった。少年の目線が微かに私の目線から下がった。英雄色を好むとはいえ戦いの最中に目線が胸に釘付けになっているのを見逃すほど私は甘
くはなかった。鍔迫り合いの状態を瞬時にいなし、少年の体勢を崩し、愛剣の樋の部分で頭を軽く叩き距離を空けた。
「あだっ!」
隙を見せた少年の頭に一撃を与えると、情けない声が上がった。情けない声とともに右手の魔力で形成された刀身が一つの球体となって圧縮された。そして凝縮された魔力の塊は閃光とともに衝撃が辺りを吹き飛ばした。
「何が起きた・・・?」
強い閃光で眩暈を起こしながら、立ち上がると自分の鎧と戦装束が吹き飛んでいることに気づいた。
「なんという魔力だ・・・私の魔力で出来た鎧を吹き飛ばすほどだと・・・距離を空けてなかったらどうなっていたんだ・・・」戦慄を覚えながらも英雄の器の意味を噛みしめる。
「確かにこれは我が主が求める魔を払う力を持つ者。英雄たる器だ・・・ってしまった!爆発した張本人はどうなった!」
慌てて辺りを見回すと、そこには同じく服が吹き飛んだ少年が気絶していた。急いで駆け寄り少年の左胸に耳を当てた。
「心臓が動いてない・・・」
少年の口元に耳を近づけ、耳を澄ましてみる。しかし空気の流れる音はなかった。
「いかん。せっかくの英雄の確証が得られたのに死なれては困る。」
自分の血の気が顔から引いたような感覚がしながらも急いで心臓マッサージと人工呼吸を始める。
心臓マッサージ、人工呼吸のサイクルを2回やり、3回目の人工呼吸を始めた瞬間、口に異物の侵入が感じられた。
「んんっ!」
少年の舌が自分の口にねじ込まれ、口の中で暴れる。未知の感覚に驚いて、離れようとした瞬間、「そのまま続けよ」精神に直接訴える声が聞こえてきた。神による継続の命令が来たのだ。
 その間も少年の舌が私の舌を撫で、唇に吸い付いてきた。これでは少年の人工呼吸がまともに出来ない。そう思い少年の舌を押し返すように、自分の舌を少年に入れ込む。少年の絡みつく舌に負けじと絡みつかせながら応戦する。唾液が混ざり合い、口元をべとつかせながらも、人工呼吸を挑もうとするが、少年の舌が邪魔をする。舌での応戦を繰り返すうちに、自分にある変化があった。
 口の中を舌で蹂躙されるように撫で回される感覚に少しずつ快感が伴ってきていた。未知の感覚で脳髄は麻痺していき、身体に熱いものを感じた。徐々に熱さは増していき、貪るように舌を絡め合い、唾液を混じり合わせる。自分が呼吸をするのも忘れるほど、熱く絡みあう唾液が天界の酒のように甘く、この上ない美酒を少しでも味わおうと少年の口に自分の舌を添わせる。そうしていくうちに少年の目が薄っすら開き始めた。
「目が覚めたか」と唾液が糸を引き、合わせあった唇と唇が離れた。そう言うと、少年の身体に変化が有ることに気付いた。



 曖昧な意識の中、私は唇に温かな感触を確かに感じた。吹き込まれる息吹が他人から送られて来るもので生温かく感じた。吹き込まれる空気が肺に入り、循環され、少しずつ身体の感覚が目覚め始める。その中でも特に唇に当たる柔らかな感触が今までに感じたことのない刺激で、まだ揺れる意識の中その未知の感覚に舌をねじ込んだ。どうして自分でもそんなことをしたのかわからない。ただこの感触を味わいたいという本能的なものだったのかもしれない。ねじ込んだ舌は温かく湿った空間に侵入し、滴る雫の味を調べるために縦横無尽に動きまわる。まるで自分の舌が別の生き物のようだった。
 砂漠で人が水を求めるように乾きを潤すために舌を暴れさせ、雫を催促する。すると自分の舌に絡みつくようにして、押し返そうとする濡れた物体が現れた。その物体は私の舌を絡ませながら、口の中に侵入し、先ほどのお返しと言わんばかりに口の中を撫で回す。自分の歯を、舌を、唾液を一つ残らず奪うかのように貪られていく快感に、自分の股間に熱いものが滾ってくるのがわかる。抗えぬ口腔での快楽に意識は回復し始めていた。そしてその快感を与えてくれるものが誰なのか確認すべく、期待を込めて目を開けた。
 離れていく唇の感触に名残り惜しさを感じた。
「目が覚めたか」という熱っぽい声の先にゆっくり切れていく唾液の糸が先程までの行為の相手が誰かを物語っていたことに胸の鼓動が早くなっていく。
「ヴィ、ヴィクトリア様! こ、これは一体!?」
期待していたが本当に先ほどのキスの相手がヴィクトリア様だったことに困惑しながら、目線を動かすと先程まで対峙していたヴァルキリーのヴィクトリア様に相違なかった。しかし先程までの白く透き通った雪のような肌は熱を持って、紅に染まっていた。凛として上がっていた目尻は蕩けたように下がり、否応なく男の本能を滾らせる妖艶さがあった。その上、青き鎧の下にあった、豊かな胸が露
わになり、桃色の乳輪から、紅に染まる乳首が自己主張していた。乳首もそうだが全裸の女性が目の前にいて、自分もまた全裸で大の字に寝ているという事態に、自分の男根は混乱していても痛いほど膨張していく。それに気付いたのかヴィクトリア様も自分の男根を凝視していた。
「少年・・・君というやつは・・・」
ため息混じりにそう言いながらヴィクトリア様の視線が自分の顔に向けられた。
「英雄色を好むというが戦闘中に私の胸に視線を釘付けになるわ、今もこうして私の身体でその・・・なんだ・・・男根を勃起させるというのはどういうことだ?」と責めるように言うものの、少し歯切れが悪く、ヴィクトリア様も困惑しているようだった。
「も、申し訳ございません!」と反射的に謝りはしたものの自分の男根は未だに勃起したままだった。むしろ先程より大きくなっていく。
 困惑しているようだったヴィクトリア様は大きく深呼吸をして、何か意を決したかのような表情をすると「男はこうなると収まりがつかないのだろう・・・?その・・・嫌でなければ・・・私が手で・・・その男根を鎮めようと思うのだが・・・?」
「ヴィクトリア様自らが私のをですか!?」
「君は確かに英雄たる器だ。望むならその・・・性奉仕も・・・するのが・・・私の役目で・・・」と顔を紅くしながらうつむいて、声も最後は小さくなっていった。それを見て自分の男根がかつてない大きさになり、反り始めていた。
「お願いします!」
もはやこの痛みのような膨張を解消したかったために反射的にお願いしてしまった。腫れ上がるようにして、反り立つ自分の男根が本能のままに目の前の女性に鎮めてもらうのを望んでいた。
「うむ・・・」先ほどの戦闘の時とは打って変わって、小さく返事をするとその白い手でゆっくりと私の男根を握った。握られた瞬間少しひんやりと冷たい感触が伝わり、私の男根が大きく脈打ち、ビクンと跳ね上がるとヴィクトリア様も驚いて「すまない。痛かったか?!大丈夫か!?」と慌てながら聞いてきた。
「い、いえ・・・ちょっとヴィクトリア様の手が冷たくて、こちらも驚いてしまったのです。大丈夫なのでこのまま上下にしごいて貰えますか。」
「うむ・・・その私もこういうことをするのが・・・初めてで・・・ちゃんと鎮められるかわからないのだが、何か要望があったら言ってくれ。私に出来る事ならしたいと思う・・・」
蚊が鳴くような小さな声でうつむきながら、私の男根を上下にしごいている目の前の女性にめまいがするほど嗜虐心をくすぐられる。男としての本能なのか、この女性を自分のものにしたいという欲求が股間に伝播して、血液が自分の男根に濁流のように送られていくのがわかる。脈打つ男根を握っているヴィクトリア様も拍動が強くなると、声に出さないがおっかなびっくりしながらも上下に男根を
上下にしごいている。ぎこちない手つきでしごくその手は、剣を握っているのか疑いたくなるほど、手にマメがなく、ゴツゴツしているようでもない。きめ細かいそのツヤのある手で自分が自分の男根をしごいているという事態にすでに出したくてしょうがない衝動に駆られるが、もっとこの女性にしごいて貰いたい、もっと気持ちよくなりたいという快感を追求するという違う衝動によって、暴発することを抑えている。『もしヴィクトリア様の膣に挿入したらどれだけ気持ち良いのだろうか?』ふと思った瞬間、「き、君は何を言っているんだ!?」とヴィクトリア様の顔は火が着いたように、先程より赤くしていた。
思ったことをそのまま口にしていたようで、ヴィクトリア様は赤くなったまま、しごいていた手を止め小刻みに震えていた。
「も、申し訳ございません!出過ぎたことを言ってしまいました!」
「いいか?性交とはそう簡単にしてはダメだ。夫婦になって初めて子を成すためにする行為だ。その人の道から外れれば我々は魔物と変わらん・・・わかるな?」
「はい・・・でも私はそれでもヴィクトリア様の膣に挿入したいという衝動が抑えられません・・・」
 ヴィクトリア様の手がまた上下に自分の男根を先程より強く握り、早くしごき始めた。
「今はこんな状態だから君は冷静さを失っているだけだ。だから稚拙な手技だが今はこれで我慢してくれ。」
そういうと先刻まで上下にしごく手が、鈴口に移動し、溢れる先走って出てきたカウパーを手につけ潤滑剤のようにして、手をコーティングし、滑りを良くしてより効率的に射精に導こうとする。
 ぎこちない手つきだったものが、徐々に上達し、自分が知らない刺激を与える。目を閉じてこの抗い難い快感に耐える。少しでも長く、この刺激を受け続けたい一心で耐えるのを打ち崩さんと、ヴィクトリア様はしごく速さに緩急をつけたり、カリを親指で撫でていく。
「うあぁぁ・・・」と情けない声が出るほど、体験したことのない快感が押し寄せてくる。どれだけの長い時間が経ったのだろう。もしかしたら10秒もしないほど時間は経過していないかもしれない。
 天に昇るような快感と地獄のような耐え難さのため、もはや時間の感覚がわからなくなってきた。
「ユヴェントス。目を開けなさい。」
言葉のままに目を開けた瞬間、ヴィクトリア様の顔が迫っていた。その顔は先刻のキスの時のように蕩けた表情をして、抗えないその妖艶さに目線が釘付けになり思考が、呼吸が止まった。そして私の隙を突くかのように唇に舌がねじ込まれた。ねじ込まれた舌は私の舌に絡みつき、唾液と唾液を交換する。歯を撫で、口を犯すようにヴィクトリア様の舌が暴れる。
「先ほどのお返しだ。」と言うとしごく速さをより強くしていく。何度も亀頭をこするようにしながら、溢れ出るカウパーを手に纏い、先程とは握り方を逆にしてヴィクトリア様の親指と人差し指は男根の根本を刺激し小指が裏筋を撫でる。口からの刺激と男根からの刺激でもはや頭は完全に働くなっていた。そしてせり上がってくる射精感のままに爆発させた。反り返った男根から精液が迸り、ヴィ
クトリア様の黄金色の髪を白く染める。何秒経っただろうか。我慢していた分、自分の生命エネルギーが根こそぎ出るかのような感覚を伴いながら噴射していた精液がやっと止まった。その間もヴィクトリア様の舌は私の舌を絡みつかせて、髪についた精液も気にせず、唾液を舐めとっていた。
 途方も無い射精感で息も絶え絶えの私から唇を離したのは射精が止まって、数秒した後だった。
 唇と唇が離れてヴィクトリア様の第一声は「私は強い者が好きだ。そうだな・・・それこそ私が足元に及ばぬほどの大英雄だ。ユヴェントス、君にはその素質が有る。私の純血は安くないぞ。ついてこれるか?」もはやそこには蕩けた表情を浮かべる妖艶な女性ではなく、凛とした美しさをもった、戦乙女としてのヴィクトリア様だった。その言葉はまさに勝利の名を冠する戦乙女からの挑戦状だった。胸の鼓動がうるさいほど高鳴るのがわかる。数秒前まで息絶えだったのに現金な体だと自分でも思う。この日この時から私は魔力の少なかった時の卑屈な自分を打ち倒し、大英雄となってヴァルキリー・ヴィクトリア様を妻として迎えるべく決意をした。
「ヴィクトリア様のため、弱き者の盾となり、我らが主の剣となり、必ずや魔を払う大英雄となります。」
動機は不純だったかもしれない。しかしこれが私が大英雄を目指す大きな理由。
15/11/17 20:24更新 / Hawk Song
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読んで頂けるだけで感謝。またご指摘などもありましたらよろしくお願い致します。

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