俺得物語エイティーン
―――これは妄想だ
妄想なんだ、そう言い聞かせている
「だから妄想じゃないって言ってるでしょ〜」
声が聞こえてくるが、それを無視してゲームを進める
「むぅ〜!そうやって私無視するの!?」
後ろから抱きしめられても、無視
だって―――
「はぁ…」
「ため息つくならゲーム止めてさっさと勉強しなさい!」
「だってよ」
彼女は、俺にしか見えないのだから
・・・
彼女を妄想し始めたのは、確か先週位だったか
近くで誰だかの葬式があったんだったか
―――それを横目に見ながら、近所の人の苗字だったのをなんとなく見て横切った時だった
「…じー」
一瞬誰かが透けて見えたような気がした
「じー」
そして、なんか言ってる気もした
「じー」
その女性は、全体が透けているのとパジャマなのを除けば、どこにでもいそうな、可愛い女性だった
「じー」
…ずっとこちらを見ていなければ
「じー」
つか、口に出すなよ
「…なんか用すか?」
耐え兼ねて、俺は声をかけることにした
「じー…ん?君、私が見えるの?」
「…」
声をかけた瞬間、俺は後悔した
見た目もそうだが、中身も電波とは…
「電波じゃないもん」
「いや、電波っしょ…ん?」
俺、今声に出したか?
「…君」
と、葬式会場の人に声をかけたれた
「さっきから一人で何をしてるんだい?」
「え…?」
「ひとりじゃないのにねー」
疑わしいようにこちらを見てくる
それに耐え兼ねて、言った
「いや…誰の葬式なのかなっていうのと、こっちに人がいた気がしたんで…」
「あぁ…こっちに人はいないみたいだよ」
わざわざ彼女を指差して人がいるかを聞いたが、誰もいないと言う
「あまりここで立っていると他の人にも迷惑になるから…」
「あ、はい…すみませんでした」
そう言いながらその場を立ち去り、家に帰った
「ただいまー」
両親は共働きだから、誰もいないし、返事も帰ってこない
「おじゃましますー」
そう、だからこんな声が聞こえるわけがないのだ
「ふーん…あ、ゲームだ!ねぇ!私ゲームしてるのみたい!」
「…」
その声に頭が痛くなりながら、とりあえず手洗いうがいをする事にした
・・・
「ねーぇー、勉強しなくていいのー?」
自室に戻った俺は、彼女の言葉を無視してPCに電源を入れる
「ねぇ、いい加減話してよー!」
「…とりあえず落ち着いてくれよ、あと横で騒ぐな」
「だってさー、ずっと無視するんだもん」
「悪かったよ…PC電源入れたら人が入ってきてもオンラインで話してるって言い訳出来るんだよ」
「でもさー…」
拗ねてる彼女を横目に、PCでゲームを始める
「…ねぇ」
「ん?」
「私の事…怖くない?」
彼女が不安そうに聞いてくる
「私さ…誰からも愛されなかった…愛されてたかもしれないけど、愛情を感じられなかった」
悲しそうに語る彼女
―――闘病生活で、何年も病院から出た事がなく、学校はおろか、病院の庭にすら出た事がなかったらしい
しかも両親は忙しく、見舞いにも、誕生日にも来なかったらしい
「そんな私がさ…幽霊なんだよ?怖くない?」
「怖がらせたいならとっとと呪い殺してみろよ、バーカ」
ゲームをしながら彼女に言う
「怖いならとっくにお祓いなりいってるっつーの」
キリも良い所なので、ゲームをセーブして彼女に向き合う
―――普段は元気に、それこそこっちの都合も考えず妄想を流し込んだりうるさい癖に、不安でいっぱいそうにして悲しそうにしてやがる
―――だから
「そんな顔した怖い幽霊がいるかよ」
―――ほっとけないんだ
「良いからお前は黙って俺に甘えてろよ」
そう言いながら、抱きしめるようにする
「いつかお前が成仏しても、必ず一緒にいてやるから」
「うん…うん…」
思いだけじゃ伝わらない部分を、言葉にして伝えていく
あぁ、なんで彼女は―――
幽霊なのに、こんなにあったかいんだろう
妄想なんだ、そう言い聞かせている
「だから妄想じゃないって言ってるでしょ〜」
声が聞こえてくるが、それを無視してゲームを進める
「むぅ〜!そうやって私無視するの!?」
後ろから抱きしめられても、無視
だって―――
「はぁ…」
「ため息つくならゲーム止めてさっさと勉強しなさい!」
「だってよ」
彼女は、俺にしか見えないのだから
・・・
彼女を妄想し始めたのは、確か先週位だったか
近くで誰だかの葬式があったんだったか
―――それを横目に見ながら、近所の人の苗字だったのをなんとなく見て横切った時だった
「…じー」
一瞬誰かが透けて見えたような気がした
「じー」
そして、なんか言ってる気もした
「じー」
その女性は、全体が透けているのとパジャマなのを除けば、どこにでもいそうな、可愛い女性だった
「じー」
…ずっとこちらを見ていなければ
「じー」
つか、口に出すなよ
「…なんか用すか?」
耐え兼ねて、俺は声をかけることにした
「じー…ん?君、私が見えるの?」
「…」
声をかけた瞬間、俺は後悔した
見た目もそうだが、中身も電波とは…
「電波じゃないもん」
「いや、電波っしょ…ん?」
俺、今声に出したか?
「…君」
と、葬式会場の人に声をかけたれた
「さっきから一人で何をしてるんだい?」
「え…?」
「ひとりじゃないのにねー」
疑わしいようにこちらを見てくる
それに耐え兼ねて、言った
「いや…誰の葬式なのかなっていうのと、こっちに人がいた気がしたんで…」
「あぁ…こっちに人はいないみたいだよ」
わざわざ彼女を指差して人がいるかを聞いたが、誰もいないと言う
「あまりここで立っていると他の人にも迷惑になるから…」
「あ、はい…すみませんでした」
そう言いながらその場を立ち去り、家に帰った
「ただいまー」
両親は共働きだから、誰もいないし、返事も帰ってこない
「おじゃましますー」
そう、だからこんな声が聞こえるわけがないのだ
「ふーん…あ、ゲームだ!ねぇ!私ゲームしてるのみたい!」
「…」
その声に頭が痛くなりながら、とりあえず手洗いうがいをする事にした
・・・
「ねーぇー、勉強しなくていいのー?」
自室に戻った俺は、彼女の言葉を無視してPCに電源を入れる
「ねぇ、いい加減話してよー!」
「…とりあえず落ち着いてくれよ、あと横で騒ぐな」
「だってさー、ずっと無視するんだもん」
「悪かったよ…PC電源入れたら人が入ってきてもオンラインで話してるって言い訳出来るんだよ」
「でもさー…」
拗ねてる彼女を横目に、PCでゲームを始める
「…ねぇ」
「ん?」
「私の事…怖くない?」
彼女が不安そうに聞いてくる
「私さ…誰からも愛されなかった…愛されてたかもしれないけど、愛情を感じられなかった」
悲しそうに語る彼女
―――闘病生活で、何年も病院から出た事がなく、学校はおろか、病院の庭にすら出た事がなかったらしい
しかも両親は忙しく、見舞いにも、誕生日にも来なかったらしい
「そんな私がさ…幽霊なんだよ?怖くない?」
「怖がらせたいならとっとと呪い殺してみろよ、バーカ」
ゲームをしながら彼女に言う
「怖いならとっくにお祓いなりいってるっつーの」
キリも良い所なので、ゲームをセーブして彼女に向き合う
―――普段は元気に、それこそこっちの都合も考えず妄想を流し込んだりうるさい癖に、不安でいっぱいそうにして悲しそうにしてやがる
―――だから
「そんな顔した怖い幽霊がいるかよ」
―――ほっとけないんだ
「良いからお前は黙って俺に甘えてろよ」
そう言いながら、抱きしめるようにする
「いつかお前が成仏しても、必ず一緒にいてやるから」
「うん…うん…」
思いだけじゃ伝わらない部分を、言葉にして伝えていく
あぁ、なんで彼女は―――
幽霊なのに、こんなにあったかいんだろう
13/11/21 22:04更新 / ネームレス