連載小説
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本編
ドッペルゲンガーとのすごし方


「うわぁ…」

空から降ってくる白い雪を、無邪気に喜ぶ俺の彼女
彼女と雪の中を歩いて、本当に思う

―――やっぱ、この娘可愛いよな

俺を不幸のどん底から救ってくれて、生きることを教えてくれた女神のような、この小さな黒い天使をみて、俺は改めて感じていた

・・・

「さっびぃ…」

「うぅ〜…暖房つけようよぉ…」

彼女が来て、初めての冬

暖房があまりにも部屋の空気を悪くすることから、俺と彼女は布団に包まりながら、互いに身を寄せ合ってた

「いや、あれ部屋の空気悪くしすぎて具合悪くしたじゃん…」

「た、確かに…」

「とりあえず布団でぬくぬくしよう!」

言わずもがな、彼女を抱き締めながら寝てると非常に温かい

体温が温かくなるだけじゃなく、心からあったまる
現代人には、こういう心の温かさが必須だと思えるのは、言うまでも無い

「さて、布団の中からTVでも〜」

「…うん」

布団から少しだけ顔を覗かせてTVを見る彼女

―――殺人級の可愛さが、俺の腕の中にある

そんな状況に、ニヤニヤが隠せない
と、TVから流れてくるクリスマスソングを聴いて、今更ながら思い出した

「あ、そろそろクリスマスじゃん」

クリスマス…今まではただただ街中にでてフライドチキンをむさぼるだけの行事が、今年は楽しみで仕方ない感覚だ

「なぁ、一緒に外いかない?」

「え…でも…」

布団に顔を半分隠しながらも、彼女が外に出るのを嫌がってるのが解る

「祭りのときもそうだけど、君と色んなことして過ごしたいんだよ」

実際、こんな素敵な女性を回りに自慢したいと思うのは、人の性だろう

「うん…」

「君の事とやかく言う輩なんていないし、いてもただの妬みに塗れた哀れなナマモノじゃん」

「それは言いすぎな気も…」

それに、と、俺は彼女を抱き締めながら耳元で囁く

「ホワイトクリスマスって、君の事をより綺麗に魅せる為にあると思うんだ」

彼女が顔を赤くしながら俯くが、続けて言う

「そんな素敵な光景を、俺に見せてくれないかな…俺の恋人さん?」

「ずるいよ、もう…」

彼女が俺の方を向きながら、笑って言ってくれた

「きちんとエスコートしてね、彼氏さん?」

いたずらっぽく笑いながら言う、俺の天使の質問に、俺はキスで答えてあげることにした


ネコマタとのすごし方


「ふんふっふ〜♪ふんふっふ〜♪ふんふっふっふー♪」

鼻歌を交えながら、コタツでぬくぬくしている彼女をみて思う

―――猫って、やっぱコタツ好きだよなぁ

コタツに一緒に入りながら、俺はなんとなしに思っていた

・・・

「さて、クリスマス前が3連休だね」

そんな事を俺に言いながら、彼女は満面の笑みで俺に言う

「手な訳で、この3連休全部お祭り騒ぎをしようと思うんだよ!!」

「ご近所迷惑になります」

とりあえずチョップをかましてから、俺は続ける

「だいたい、ご飯とかの準備も大変でしょそれだと」

「うぅ〜…君がもう少し稼ぎがよければラクが「泣くよ、割とマジに」

「ごめんごめん」

にゃはは、と陽気そうに笑いながら、彼女は言う

「いやぁ、初めてクリスマスを楽しめるから、テンションあがってね」

その言葉に少し疑問を覚えた

「あれ?家族とは?」

「みんな忙しかったからね〜…しかも私、年の離れた末っ子だし」

そんな簡単に言うが、寂しそうなのがバレバレな顔をしながら彼女をみて、自分が少し許せなかった

「なら…少し盛大にしてみますか!」

そういうと、彼女がきょとんとする
―――その首の傾げ方とかがもう可愛くて仕方ないが、ここは堪えて彼女に言う

「なんか暗くなった分、少し位お酒とご馳走とDVDとかで騒ごう!」

「…それ、盛大なのかなぁ」

苦笑しながらも、嬉しそうに尻尾を揺らす彼女

「いつも通りが、一番幸せ。君が教えてくれたことだよ」

その言葉に、彼女は―――

「そう、だね」

顔を赤くしながら、微笑みながら答えてくれる

「さて!何頼もうかな〜」

「このピザとか美味しそうだね…これも捨てがたい…」

そんな事を話しながら、いつも通り、コタツでぬくぬくしながら俺たちは今晩の少し豪華なご飯を考えていた

サハギンとのすごし方


「ただいま、っと」

仕事から帰ってきて、普通ならまず居間とかに行くだろう

が、俺の習慣は違った
そのままユニットバスの風呂場へ行く

「…おかえり」

そこには、湯船に水を張って、中で丸くなっていただろうあいつがいた

「…冷えなかったか?」

「…川より、大分マシ」

事の始まりを思い出しながら、彼女の体を拭いてやる

・・・

あれは雪の降り始め位のときだったか
いつも通り川に行くと、あいつがいた

が、様子がいつもと違っていた
震えながら、しかしそれを隠そうとする彼女

「おまえ、どうしたんだよ!?」

首を横に振るだけの彼女を見て、近くで抱きしめて、俺は今更気付いた

―――こんなに冷えた状態で、水の中に居たら危ない

俺は迷わず家に連れ帰った
連れ帰って、即風呂を沸かし、俺も一緒に入ってやる

―――服着たままだったのは、今更ながら気が動転しすぎたと思う

そこで風呂で温まってか、安心して寝始めたこいつに安堵をして、自分も寝てしまった

結果?こいつに起こされるまで爆睡したのは言うまでも無い


「で、なんであんなに震えてたのに、あそこいたんだよ?」

起こされてから、俺は彼女の体を拭き、着替えてから話を聞く
出てきた言葉は自分を殴りたくなる物だった

「みんなは…あったかい所にいったけど、私は…あなたと居たくて…」

喋るのが遅く、小さい声で、しかしはっきりと俺といたいといってくれた

「じ、じゃあ、あそこには…」

「少し前から、一人でいた。…人も来ないし」

俺は後悔と懺悔と―――同時に嬉しさがこみ上げてきた

俺なんかと居たいが為に、あんなとこに一人で入れくれた彼女に嬉しさを覚え、彼女が寒い中自分はなにしてたと自分を殴りたくなった

「…あなたの…せいじゃ…ないから」

そう言いながら、彼女は俺に抱きついてくれる

「もっと早くにこうしたかったけど…こわかった」

「怖かった?」

「嫌われたくないけど…怖がられるんじゃって…」

そんな事を言う彼女を抱き寄せ、俺は告げる

「嫌いだったら、毎日かよわねーよ」

彼女の体温が、髪の匂いが、全て俺を魅了して離さない

「短くても、春までは家いろ。居たいだけ居てもいい。…苦労かけるだろうが、よ…」

そんな言葉に、彼女は―――

いつも通り、無表情の喜び全快オーラを出しながら俺により強く抱きついた

―――いや、無表情じゃないな


顔を赤くしてるんだから、な

サキュバスとの過ごし方


「おはよう♪」

眼が覚めると、恋人が自分の肉棒をくわえていた
なんて状況にも慣れてきた今日この頃

ふと、外を見てみると、雪が降っていた

「今年はホワイトクリスマス、だねぇ」

「…そうね」

彼女のテクニックにも少しは耐えられるようになってきた俺は、呑気にクリスマスの事を考える事にした

・・・

「朝からしっぽり搾り取ってくれて…」

「これでも腹五分目位だけど?」

少し呑気にし過ぎたらしく、ご機嫌斜めな彼女

「あー…ごめん、今日の予定考えてた」

「ふーん…別にいんじゃない」

やれやれ、自分が悪いとはいえ、これは嫌だなと思いながら、俺は彼女の機嫌がなおる唯一の方法をとる

「あっ…」

「口でしてもらってる最中に考え事したのは謝るよ。だから機嫌直してよ。ね?」

後ろからそっと抱き締める
彼女はそういった甘い、でも確かなスキンシップを好む

それは、無理矢理精を摂取した反動なのだろう

が、俺もそういったのが大好きなので、お互い気分がよくなる

「今日はクリスマスだろ?…だから君と美味しい食事とか考えててたんだ」

後、こうやってストレートに事実を伝えるのも彼女は喜ぶ
その喜びようは、まるでそこだけ花畑のように、気持ちがぽかぽかする

「美味しい食事?」

「どっかのレストランとかで、デートを楽しみなg「君以外美味しい物なんて、この世界に存在すると思ってるの?」

「…これは予想外の反撃、だ」

彼女が嬉しそうに、クツクツと笑いながら俺に返す

「君以外なんて、私からしたら砂のような物よ。…極端な話だけど」

「極端すぎるって」

苦笑しながら、彼女に言う

「でしたら…それなりに美味しい物がある場所までエスコートいたしますよ?」

演技っぽく言うと、彼女もつられて笑い――ー

「お願いするわね、愛しのダーリン」

本当に、花のような笑顔を見せてくれた

シロヘビとの過ごし方


「ただいま〜」

「お帰りなさい、あなた」

仕事が終わり、家に帰る

そこには美しくも儚く、この世の美を集結したと俺が勝手に思っている最愛の妻がいた

「そういえば今日は会社の忘年会では?」

不思議そうに首をかしげる彼女に、俺はあっさり告げる

「あぁ、欠席してきた」

瞬間、彼女がパニックになったのが、良く解らない

・・・

「か、会社の忘年会欠席してたって!?それどうなんですか!?」

パニックになりながら、オドオドとしながら俺に質問してくる彼女

「上司に相談してさ…『お前は新婚だし、奥さんといちゃつきたいだろうから認めてやろう!』ってことで喜んで帰ってきた」

「でも、他の方との付き合いだって…」

「まぁ、代わりに新年会は絶対出る事になっちゃったけどね」

苦笑しながら、彼女を抱き締める

「クリスマス位、好きな人と過ごしたいじゃん?」

「…嬉しいけど、複雑です」

そう言いながら、彼女は俺をみて言う

「私に束縛されすぎないでくださいよ?…嬉しいんですけど、なんていうか…」

彼女はきっと、俺が他の人との関係が悪くなる事を考えてるんだろう
優しい、彼女らしい考えだ

「大丈夫、普段からコミュニケーションはきちんと取ってるから。だから今日だって欠席できたんだし」

そう言って、彼女の髪の感触を楽しむ
絹を連想させるこの質感

そして、俺を魅了して止まないこの温もりと香り

全てが、そう全てが俺にとって重要すぎるくらいなのだ
と、それを感じ取ってくれたからか、彼女が巻きついてきてくれた

「…あなたが髪を撫でるときは、こうやって巻きついてほしいときですよね?」

「…やっぱり君といる時が一番の至福だよ」

以前、彼女が炎を使わなくても求めてほしいと言ったが…

未だに疑問だ
炎なんかなくても、彼女を求める事しか考え付かない

「やっぱり、僕には君という灯火が必要なんだよ」

ボソッと彼女に届くか届かないくらいの声で彼女に伝える

その直後、彼女がより強く抱き締めてくれたのが、僕のクリスマスプレゼントだった
11/12/24 18:16更新 / ネームレス
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■作者メッセージ
どうも、ネームレスです


クリスマスです


寒いです…

シングルベールシングルベール…

って、暗くなってどーする!?

俺たちには魔物娘がいるじゃないか!

そんな神の言葉が聞こえ、筆をとった次第であります

つまり祭りは乗らなきゃソンソン!


それでは最後に、ここまで読んでいただきありがとうございます!
今回は特に感謝です!

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