プロローグ
〜〜〜No.93〜〜〜
―――それは、幼い日の記憶
『お父さん、どこに行ったの!?』
幼い日、父が何処かに消えてしまった日―――
『今日から、貴方はここで住むのよ』
『お母さん、なんで離れて暮らすの?』
父が消え、母が疲れ果てた日
『これで…』
母が、何かを男から受け取っている
金貨とかが、入ってる袋
『お母さん!置いてかないで!!』
『君は、ここで暮らすんだ…』
そう言われて、僕は―――
「起床用意!」
その声と同じく、ラッパの音が鳴り響く
ここに来て、7年立つけど、未だになれない音だ
「起きろ、No.93!」
No.93―――
僕がここで与えられた名前
「今日からはれて正式な―――」
そう、はれて今日から僕は…
「勇者になれたのだ、しっかり主のために働くのだ!」
僕は、勇者になった
・・・
勇者―――
魔王と戦う、名誉ある称号
悪である魔王の手先、魔物と戦い、世界を平和に導く存在
僕はその候補生だった中で、名誉ある勇者のエリートの称号、[ナンバー]を頂き、はれて勇者として選ばれたのだ
それは喜ばしい事で、同時に―――
「よう!」
「…あぁ、No.17」
「ついに勇者になれたんだな、俺たち」
「そう、ですね…」
―――とても辛い事だと思う
「これで、俺たちの人生をメチャクチャにした魔物たちに、復讐できるな」
「確かに、そうですね…」
「おいおい、嬉しい事じゃねぇかよ!あいつ等をぶっ殺せるんだぜ!!」
彼はそういうが、僕は辛かった
―――どんな理由であれ、生きている存在を、勝手に断罪するのはどうなんだろう
でも―――彼女らを、僕は許せない
許したら、僕は…
「…ま、お前は優しいやつだからよ。でも、「わかってます」
僕は、彼の言葉を遮り、言う
「魔物がいる限り、人類は危機に晒されて続けるんですから、殺さないと」
「…だな」
僕らは、呼ばれるまで言葉を発しなくなった
・・・
「No.17、No.93。前へ」
教皇に呼ばれた僕らは、前まで行き、跪く
「よく、辛い訓練に耐えましたね」
そう言って、僕らに主の祝福を与えようとする
(訓練、か…)
危うく、僕は笑いたくなってしまう
あれは訓練なんかじゃない、ただの―――
「主の、祝福があらん事を!」
「「「祝福あれ!」」」
と、どうやら祝福は終わったようだ
「これから、お前達に部下を与える。自室にて待機せよ」
「「了解」」
僕らは、そのまま別れた
―――恐らく、二度とNo.17の彼とは会えないだろう
僕ら勇者は、放たれたら最後、死ぬまで魔物を狩り続けなければならないのだから…
〜〜〜黒勇者〜〜〜
「お呼びしました、お母様?」
私は、母の前に行く
母は父との事後で、多少気だるそうだ
「リリス、久しぶりね」
「えぇ…。お父様は?」
「疲れて、少し寝ているわ」
そりゃあ、何日間も交わり続けたら、疲れもするだろう
「リリス…貴女にお願いがあります」
母は真剣な顔で私に言う
「また、新たな勇者が現れました」
「…教団から、ですね」
えぇ、と母は頷く
「彼らによって、同胞が虐げられています。それによって、主神の設定に世界がまた近づくかもしれません」
私は黙って頷く
「私は、それを許すわけに行きません…。リリス、貴女に性を与えます」
「お母様、それは…」
「もう、貴女は一人前のリリムよ」
―――そう、私はリリム
魔王の娘の一人で、最高位の魔物娘の一人
母から性をもらう事
それは、一人前の証であり、決別の証
―――性をもらうと言う事は、最早一人立ちして、自由に羽ばたき、伴侶を捕まえて来いと言う事だ
「貴女の領も、とても素晴らしいわ。だから…貴女は一人前の、一人のリリムとして暮らして頂戴」
「はい!」
私は、嬉しさと、誇らしさで、胸がいっぱいだった
・・・
「改めて言います」
母、いや…魔王様は私に命ずる
「リリス=ファストサルド、教団の勇者の妨害と、魔物娘たちの救出、そして…勇者たちを救済し、導きなさい!」
「かしこまりました、魔王様」
私は、転移魔法を使い、自分の領土へ帰ろうとする
「リリス、貴女ならきっと出来ます」
「行って参ります、お母様」
―――この瞬間だろう
教団から恐れられ、魔物娘達からは敬意の目で見られる
魔物の勇者、『黒勇者』の誕生の瞬間だった
―――それは、幼い日の記憶
『お父さん、どこに行ったの!?』
幼い日、父が何処かに消えてしまった日―――
『今日から、貴方はここで住むのよ』
『お母さん、なんで離れて暮らすの?』
父が消え、母が疲れ果てた日
『これで…』
母が、何かを男から受け取っている
金貨とかが、入ってる袋
『お母さん!置いてかないで!!』
『君は、ここで暮らすんだ…』
そう言われて、僕は―――
「起床用意!」
その声と同じく、ラッパの音が鳴り響く
ここに来て、7年立つけど、未だになれない音だ
「起きろ、No.93!」
No.93―――
僕がここで与えられた名前
「今日からはれて正式な―――」
そう、はれて今日から僕は…
「勇者になれたのだ、しっかり主のために働くのだ!」
僕は、勇者になった
・・・
勇者―――
魔王と戦う、名誉ある称号
悪である魔王の手先、魔物と戦い、世界を平和に導く存在
僕はその候補生だった中で、名誉ある勇者のエリートの称号、[ナンバー]を頂き、はれて勇者として選ばれたのだ
それは喜ばしい事で、同時に―――
「よう!」
「…あぁ、No.17」
「ついに勇者になれたんだな、俺たち」
「そう、ですね…」
―――とても辛い事だと思う
「これで、俺たちの人生をメチャクチャにした魔物たちに、復讐できるな」
「確かに、そうですね…」
「おいおい、嬉しい事じゃねぇかよ!あいつ等をぶっ殺せるんだぜ!!」
彼はそういうが、僕は辛かった
―――どんな理由であれ、生きている存在を、勝手に断罪するのはどうなんだろう
でも―――彼女らを、僕は許せない
許したら、僕は…
「…ま、お前は優しいやつだからよ。でも、「わかってます」
僕は、彼の言葉を遮り、言う
「魔物がいる限り、人類は危機に晒されて続けるんですから、殺さないと」
「…だな」
僕らは、呼ばれるまで言葉を発しなくなった
・・・
「No.17、No.93。前へ」
教皇に呼ばれた僕らは、前まで行き、跪く
「よく、辛い訓練に耐えましたね」
そう言って、僕らに主の祝福を与えようとする
(訓練、か…)
危うく、僕は笑いたくなってしまう
あれは訓練なんかじゃない、ただの―――
「主の、祝福があらん事を!」
「「「祝福あれ!」」」
と、どうやら祝福は終わったようだ
「これから、お前達に部下を与える。自室にて待機せよ」
「「了解」」
僕らは、そのまま別れた
―――恐らく、二度とNo.17の彼とは会えないだろう
僕ら勇者は、放たれたら最後、死ぬまで魔物を狩り続けなければならないのだから…
〜〜〜黒勇者〜〜〜
「お呼びしました、お母様?」
私は、母の前に行く
母は父との事後で、多少気だるそうだ
「リリス、久しぶりね」
「えぇ…。お父様は?」
「疲れて、少し寝ているわ」
そりゃあ、何日間も交わり続けたら、疲れもするだろう
「リリス…貴女にお願いがあります」
母は真剣な顔で私に言う
「また、新たな勇者が現れました」
「…教団から、ですね」
えぇ、と母は頷く
「彼らによって、同胞が虐げられています。それによって、主神の設定に世界がまた近づくかもしれません」
私は黙って頷く
「私は、それを許すわけに行きません…。リリス、貴女に性を与えます」
「お母様、それは…」
「もう、貴女は一人前のリリムよ」
―――そう、私はリリム
魔王の娘の一人で、最高位の魔物娘の一人
母から性をもらう事
それは、一人前の証であり、決別の証
―――性をもらうと言う事は、最早一人立ちして、自由に羽ばたき、伴侶を捕まえて来いと言う事だ
「貴女の領も、とても素晴らしいわ。だから…貴女は一人前の、一人のリリムとして暮らして頂戴」
「はい!」
私は、嬉しさと、誇らしさで、胸がいっぱいだった
・・・
「改めて言います」
母、いや…魔王様は私に命ずる
「リリス=ファストサルド、教団の勇者の妨害と、魔物娘たちの救出、そして…勇者たちを救済し、導きなさい!」
「かしこまりました、魔王様」
私は、転移魔法を使い、自分の領土へ帰ろうとする
「リリス、貴女ならきっと出来ます」
「行って参ります、お母様」
―――この瞬間だろう
教団から恐れられ、魔物娘達からは敬意の目で見られる
魔物の勇者、『黒勇者』の誕生の瞬間だった
11/09/26 20:18更新 / ネームレス
戻る
次へ