俺得な物語
「くっそ!?」
俺は酒を飲む
ひたすらに、忘れるように
「何が才能が無いからクビ、だっつの!?」
酒を浴びるように飲む
ひたすら、飲む
「やってられっかよ!?」
―――現在無職、本日、クビになった
・・・
今のご時世、簡単に人がクビをキられる
所詮不景気ってやつだからな
そんな例に漏れず、俺もクビをキられた
わずか、1週間で、だ
「そんなんで、人が見れんのかよ…ヒック」
何が悪いのか聞いた
聞いたが…
『あんたさ、真面目ですっごいいいんだけどね。営業の才能ないよ』
これだけでクビにされた
「イミわくぁんねぇよ…ヒック」
どう聞いても、それだけしかなかった
正直、やってられなくて酒を飲みまくった
「恋愛もダメ、仕事もダメ、なにもかもダメ」
俺は自分の人生を思い返す
―――ガキの頃から、たいして目立つこともない
おまけに、恋しても勝ち無しの無勝伝説を絶賛
根っからのモブキャラだろう
「せめて、俺の人生なんだから、俺が主人公に思えね〜かなぁ…」
俺は酒が抜けそうになりながら、部屋に千鳥足で戻ろうとしていた
・・・
「んが〜…」
彼は部屋で横になっている
恐らく、夢見も良くないのだろう
いびきを掻きながら、顔はうなされている様だ
「…」
と、そこに現れたのは、いったい誰だろう
女性なのはわかる
が、ここの主は一人暮らしだ
つまり、この女性は不法侵入をしている事になる
そこで、彼女が動いた―――
・・・
「んぁ?」
俺は目を覚ます
目を覚ますと、目の前に―――
「久しぶり」
「はぁ!?」
前まで好きだった、憧れの彼女が立っていた
「な、なんでいるのさ!?」
俺は気が動転している
彼女は他の男が好きなんだ
俺のところに来るわけが無い
「ん…なんでだろ?」
と、俺に近づいてくる
「なんか…貴方の事が気になって、ね」
俺、に…
「…ウソ、つくなよ…」
「え?」
「君が俺に好意を寄せても、そういうのはないだろ…」
俺は、言う
「ホントに好きだったんだ、わかんない訳無いだろ。…君は、誰なんだよ」
「…」
彼女は俯く
と…
「「!?」」
お互い驚いた
俺は、彼女が別人に変わる事に
彼女は、その姿を見られた事に
「あ、ぁ…」
彼女は怯えていた
怯えて、逃げようとした
「ま、まってよ!?」
「離して!?」
俺は彼女を捕まえ、話を聞いてみた
・・・
「ドッペルゲンガー、ねぇ…」
目の前の黒服の彼女は、そう答えた
「はい…私は、人間じゃないんです…」
彼女は俯いて答える
改めて彼女を見て思う
―――黒いドレスに、白い肌
―――俯いているが、可愛らしい顔
―――髪から覗ける、紅い瞳
正直、マジもんの美少女が目の前にいた
「あの…そんなに見ないで…」
「あ、ご、ごめん…」
俺らは沈黙する
俺は、どうしたら彼女と話せるか考えていた
「…さい」
彼女が、なにか囁いた
「ごめんなさい…」
「…なんで、謝るの?」
「私、地味で暗い女の子でしょ?…こんな子が来ても迷惑だよね…」
俺は彼女が何を言っているのかわからなかった
「いや…君は何をいってるの?」
「だって…」
彼女は泣きそうになる
「いや、まず普通にかわいいよね?」
今度は彼女が驚いて目を見開いた
「黒い髪に紅い目も、なんだかんだ言って可愛いし、なんでそんなに自信ないの?」
「あ、あうぅ…///」
「その恥ずかしそうにしてるのも十分可愛いじゃん。…俺みたいなのじゃ釣り合わない位可愛いし」
「そ、そんな事…」
「仕事もダメ、特技も無い、彼女もいた事がない、良いとこ一つも無い…そんな男が、君みたいな可愛い子と一緒なだけでも奇跡だよ…」
今度は俺が俯き始めた
―――やっぱり、釣り合わないよなぁ…
「そ、ひょんなことない!」
と、彼女が言い始めた
「だって、貴方はこんな私にも優しくしてくれるんだよ!?その優しさだって、貴方の良い所だよ!?」
続けて言う
「それに、仕事だって、必ずもっと良い所も見つかるよ!?私も一緒にいるから!?だから、がんばろうよ…」
そんな、優しい、彼女に
「…ありがとう」
惹かれたんだ
「あ…」
俺は、気がついたら彼女を抱きしめた
・・・
翌朝、俺は目を覚ます
隣には、可愛らしい黒髪の少女
俺はあまりの愛しさに、頭を撫でる
くすぐったそうにする彼女
―――夢じゃない
それが、堪らず嬉しい
これから仕事とか探さないといけない
正直、あてもない
けど、この子が居てくれるなら、俺はやっていけるかもしれない
彼女の寝顔を見ながら、俺はそう思うことにした
俺は酒を飲む
ひたすらに、忘れるように
「何が才能が無いからクビ、だっつの!?」
酒を浴びるように飲む
ひたすら、飲む
「やってられっかよ!?」
―――現在無職、本日、クビになった
・・・
今のご時世、簡単に人がクビをキられる
所詮不景気ってやつだからな
そんな例に漏れず、俺もクビをキられた
わずか、1週間で、だ
「そんなんで、人が見れんのかよ…ヒック」
何が悪いのか聞いた
聞いたが…
『あんたさ、真面目ですっごいいいんだけどね。営業の才能ないよ』
これだけでクビにされた
「イミわくぁんねぇよ…ヒック」
どう聞いても、それだけしかなかった
正直、やってられなくて酒を飲みまくった
「恋愛もダメ、仕事もダメ、なにもかもダメ」
俺は自分の人生を思い返す
―――ガキの頃から、たいして目立つこともない
おまけに、恋しても勝ち無しの無勝伝説を絶賛
根っからのモブキャラだろう
「せめて、俺の人生なんだから、俺が主人公に思えね〜かなぁ…」
俺は酒が抜けそうになりながら、部屋に千鳥足で戻ろうとしていた
・・・
「んが〜…」
彼は部屋で横になっている
恐らく、夢見も良くないのだろう
いびきを掻きながら、顔はうなされている様だ
「…」
と、そこに現れたのは、いったい誰だろう
女性なのはわかる
が、ここの主は一人暮らしだ
つまり、この女性は不法侵入をしている事になる
そこで、彼女が動いた―――
・・・
「んぁ?」
俺は目を覚ます
目を覚ますと、目の前に―――
「久しぶり」
「はぁ!?」
前まで好きだった、憧れの彼女が立っていた
「な、なんでいるのさ!?」
俺は気が動転している
彼女は他の男が好きなんだ
俺のところに来るわけが無い
「ん…なんでだろ?」
と、俺に近づいてくる
「なんか…貴方の事が気になって、ね」
俺、に…
「…ウソ、つくなよ…」
「え?」
「君が俺に好意を寄せても、そういうのはないだろ…」
俺は、言う
「ホントに好きだったんだ、わかんない訳無いだろ。…君は、誰なんだよ」
「…」
彼女は俯く
と…
「「!?」」
お互い驚いた
俺は、彼女が別人に変わる事に
彼女は、その姿を見られた事に
「あ、ぁ…」
彼女は怯えていた
怯えて、逃げようとした
「ま、まってよ!?」
「離して!?」
俺は彼女を捕まえ、話を聞いてみた
・・・
「ドッペルゲンガー、ねぇ…」
目の前の黒服の彼女は、そう答えた
「はい…私は、人間じゃないんです…」
彼女は俯いて答える
改めて彼女を見て思う
―――黒いドレスに、白い肌
―――俯いているが、可愛らしい顔
―――髪から覗ける、紅い瞳
正直、マジもんの美少女が目の前にいた
「あの…そんなに見ないで…」
「あ、ご、ごめん…」
俺らは沈黙する
俺は、どうしたら彼女と話せるか考えていた
「…さい」
彼女が、なにか囁いた
「ごめんなさい…」
「…なんで、謝るの?」
「私、地味で暗い女の子でしょ?…こんな子が来ても迷惑だよね…」
俺は彼女が何を言っているのかわからなかった
「いや…君は何をいってるの?」
「だって…」
彼女は泣きそうになる
「いや、まず普通にかわいいよね?」
今度は彼女が驚いて目を見開いた
「黒い髪に紅い目も、なんだかんだ言って可愛いし、なんでそんなに自信ないの?」
「あ、あうぅ…///」
「その恥ずかしそうにしてるのも十分可愛いじゃん。…俺みたいなのじゃ釣り合わない位可愛いし」
「そ、そんな事…」
「仕事もダメ、特技も無い、彼女もいた事がない、良いとこ一つも無い…そんな男が、君みたいな可愛い子と一緒なだけでも奇跡だよ…」
今度は俺が俯き始めた
―――やっぱり、釣り合わないよなぁ…
「そ、ひょんなことない!」
と、彼女が言い始めた
「だって、貴方はこんな私にも優しくしてくれるんだよ!?その優しさだって、貴方の良い所だよ!?」
続けて言う
「それに、仕事だって、必ずもっと良い所も見つかるよ!?私も一緒にいるから!?だから、がんばろうよ…」
そんな、優しい、彼女に
「…ありがとう」
惹かれたんだ
「あ…」
俺は、気がついたら彼女を抱きしめた
・・・
翌朝、俺は目を覚ます
隣には、可愛らしい黒髪の少女
俺はあまりの愛しさに、頭を撫でる
くすぐったそうにする彼女
―――夢じゃない
それが、堪らず嬉しい
これから仕事とか探さないといけない
正直、あてもない
けど、この子が居てくれるなら、俺はやっていけるかもしれない
彼女の寝顔を見ながら、俺はそう思うことにした
11/06/09 03:22更新 / ネームレス