俺と姉ちゃんのありふれた日常
―――俺には姉ちゃんがいる
「ん…んぁ…」
とっても魅力的なんだが
「ハァッ!…ン、クゥゥゥ…」
「姉ちゃん…」
それが、俺の悩み種だと
「ブラッシングしてるだけなんだから変な声出さないでくれよ」
「アン!…あんたが上手すぎるから悪いんれしょ…」
いい加減、気付いてほしい…
・・・
5年前―――
俺は実の両親から捨てられた
まぁ、小さい村じゃたまにあることだ
口減らしなんてのは
俺がいた村では近年稀に見る不作だったらしく、何人かの人間を口減らししないといけなかったらしい
その結果、俺を含む何人かが山に捨てられた
ある者は拾われ、ある者は奴隷商に捕まり―――
俺は山をひたすらなまでにさ迷っていた
食べれそうならなんでも食べ、泥水すら飲もうとしていた
が、それがいけなかったのか良かったのか
俺は毒の食べ物に当たり、後は死ぬだけだった
そんな時だった
姉ちゃんが助けてくれたのは…
・・・
「ほっんと、ローガンのブラッシングは上手くて気持ち良いな〜」
先ほどまでのブラッシングがよっぽどお気に召したらしく、姉ちゃんは俺から離れない
後ろから抱き締められているので―――
「姉ちゃん、当たってる…」
二つのメロンが俺の背中に当たっている
「ん〜?いいじゃない別に。お姉ちゃんはこうしてると幸せなんだから♪」
と俺の首筋を嘗めながら答えてくれる
―――でも、俺だって思春期の男なのに
「姉ちゃん、俺だって、その…」
「んふふ〜♪」
俺が何を言おうとも、姉ちゃんは退いてくれないだろう
嬉しいんだか、悲しいんだか
最近はもうわからなくなってきた
ただ―――
姉ちゃんが嬉しそうに、幸せそうにしてるのは、俺も嬉しい
・・・
「キミッ!?大丈夫!?」
死に掛けていた俺が聞こえてきた、天使の声だと思った
俺はもう動きたくても動けない
食べたキノコの中に毒キノコでもあったのだろう
「みんな!?この子助けるから手伝って!?」
俺が聞こえた、最後の言葉だった
「気がついた?」
目が覚めたら、目の前に綺麗なお姉さんがいた
俺はなにも答えない
「今、果実持ってくるから待ってて」
と、トテトテと歩いていく
俺はあたりを見渡す
質素な小屋だと思われる作り
ふと見ると、さっきのお姉さんがなにかしていた
よく見ると、お姉さんは変な特徴をしていた
狼のような耳と尻尾
手足が綺麗な灰色の毛並みをしている
髪も同じだ
―――あぁ、ワーウルフか
俺は冷静に、と、いうか冷めながらそう思った
「はい、これ」
と、目の前に出されたのは、この辺でよく採れる果実だった
「これ食べたら、これ飲んでね」
と、置かれたのは緑色の水
多分、薬草を煎じた物だろう
「…食べて、いいの?」
俺は聞いてしまった
だって、俺は捨てられたのだ
いらないのだ
俺は―――呪われてるから
「良いに決まってるでしょ?…変なこと言わないの」
と頭を俺の頭につけながら言ってくれた
―――良い匂いだな
俺はそう思いながら、目の前の綺麗な人に魅了されていった
・・・
あれから、相変わらず俺は抱きつかれている
まるでお気に入りのおもちゃみたいだ
「ローガンの髪良い匂い〜♪」
と、姉ちゃんと同じ、灰色の髪をクンカクンカされている
―――灰色の髪は、狼を呼ぶ、災いの髪
そう、俺の村では伝わっていた
この地方では狼は災いの象徴になっている
だから、俺は呪われている
そう、教わりながら俺は育った
「んふふ〜♪」
けど、姉ちゃんも同じ毛並みを持っているからか、俺は姉ちゃんに弟として受け入れられた
俺も、こんな綺麗で可愛い人と居られるんだから、不満はなかった
―――でもなぁ…
俺は最近、その立場がいやだった
姉ちゃんの弟の立場が、とても居心地がいいのに、いやだった
「姉ちゃん、狩り行かなくていいの?」
「もう少しだけこうしたい〜♪」
と、少し力を入れて俺に強く抱きつく
そのお陰で、姉ちゃんのメロンが俺の背中を圧迫するし、姉ちゃんの匂いが俺にくる
―――相変わらず良い匂いだ
「姐さん、そろそろ狩りにいきますよ」
と、後ろから声がしてきた
「わかった〜」
と、姉ちゃんが離れた
「ローガン、行って来るね」
と、離れる前に
唇を奪われた
「ッ!?姉ちゃん!?そういうのはもっと大切な人に「ローガンと群れの皆以外いないよ♪」
と、軽やかに、舞うようにさっき姉ちゃんを呼んだワーウルフの人と部屋を出て行った
・・・
「捨てられた?」
俺は目の前の綺麗な人に、なんであそこに倒れていたのかを聞かれた
とりあえず、これまでの事をきちんと答えた
「おれは、呪われてるから、村に悪い物を持ってくるから…」
そう俺は話した
そうしたら…
「…辛かったよね」
そう言って、俺の事を抱き締めてくれた
「寂しかったよね、悲しかったよね…」
そう言いながら、泣いてくれた
「なんで、お姉ちゃんが泣いてるの?おれが呪われて「呪われてなんかいないよ」
俺の言葉を遮って、その人は言ってくれた
「呪われてなんかいないよ…君は、なにも悪くない」
不思議だと思った
その言葉を聴いてるたびに、お姉ちゃんの言葉を聴いてるたびに―――
俺は救われた気分になっていった
今も救われているが、さらに救われていく気分だ
「私が、一緒に生きてあげる。君と、ずっと一緒に生きてあげるから」
そう言いながら、俺の事を抱き締めてくれた
・・・
姉ちゃんが狩りに行ってから、俺は部屋の掃除と、近くの果実とキノコを取りに行った
そうしないと、肉しか食わない状況になるからだ
そうしながら、俺は最近感じている自分自身の感情について考え始めていた
―――姉ちゃんに一人の男としてみてもらいたい
―――姉ちゃんの横に立ちたい
―――姉ちゃんと
と、俺は気付けた
今更ながら、再認識した
俺は、姉ちゃんを、愛してるんだ
家族としてじゃなく、一人の女性として
姉弟としてじゃなく、一人の女性として
俺はようやく気付けたんだ
「少年、ここで何をしている?」
と、声のしたほうを向くと
「こんな所で、何をしているんだ?」
なんか兵隊が立っていた
・・・
「グッ!」
俺は今殴られている
「いい加減、吐いたらどうだ!」
さっき会った兵隊、教団だかってとこの連中だ
前までここら辺にいなかったけど、最近来始めたらしい
「お前が魔物と関与してるのは明白なんだ!いい加減吐け!?」
こいつらは姉ちゃん達を討伐に来たらしい
―――誰が言うか
これはこいつらの為でもあるし、姉ちゃんに戦ってほしくない
「お前らなんかに…言うかよ!」
俺はこいつらを睨み返す
こんな奴らに屈してたまるか
姉ちゃんは、俺が守るんだ!
「小僧…死にたいのか!」
そう言いながら剣を構えてきた
「へっ!姉ちゃんの事てめぇらに言うのに比べたら、んなの怖くもねーよ!」
俺は痛む体を堪えながらこいつらに言う
「そうか…なら、死ねぇ!」
そう、剣を振り下ろそうとした瞬間だった
「お前ら、何をしてるんだ」
そう、俺が一番聞きたくない
「お前ら、誰に、何をしているんだ?」
姉ちゃんの、キレた声が、聞こえてきた
・・・
「出たな、魔物め…!」
「姉ちゃん…」
俺は痛む体を、姉ちゃんに向けた
「…」
姉ちゃんは、なにも言わない
―――ヤバい!
「あんたら、マジで逃げろ」
俺はこいつらに警告する
「家族が大切なら、今すぐ逃げろ」
「魔物によって堕落した輩が何をいう」
こいつらは笑ってやがる
ワーウルフだから余裕だと、勘違いしてやがる
「…お前ら、私の弟に何してるんだ?」
姉ちゃんが聞く
…残念だが、こいつらを助けることは絶望的に難しいようだ
「貴様の事を聞こうとしたんだが、中々吐かなくてな…危うく死ぬところだったぞ」
と、余裕ぶっこいて笑い始めた
…正直、同情しか出てこない
「そうか…」
と、姉ちゃんの声が急に近くなった
「「「!?」」」
兵隊達は驚愕している
そりゃそうだろう
―――10メートルを一瞬と言って良い時間で近づかれたら
「私の、世界で一番大切な弟に手を出したんだ。―――覚悟はいいか?」
と、姉ちゃんから死刑宣告が出された
「姉ちゃん!やめてくれ!」
俺の声が届くかはわからないが、俺は姉ちゃんに叫んだ
・・・
それは地獄絵図と言っていいだろう
兵隊達は疲労困憊、もはや傷がない所や、ダメージを受けてないところを探すほうが難しいだろう
―――だからイヤなんだ
姉ちゃんが人を傷つける所を見るのは、何度見てもなれないし、見たくもない
いつものやさしい姉ちゃんに戻ってほしい
「ヒィッ!」
「…懺悔はすんだよな?」
もはや全員戦意損失しているが、姉ちゃんには関係ない
一度怒り出すと、群れの誰も止められない
―――災厄の大神
それが、姉ちゃんの異名だ
でも、俺はそれがイヤだった
俺を助けてくれた女神が、俺が愛した人が、そんな目で見られるのは―――
耐えられなかった
「もうやめてよ姉ちゃん!」
俺は姉ちゃんが仕留めようとした奴の前に何とか立つ
体は痛むし、こんな奴庇いたくない
「姉ちゃんのそんな怒った姿、俺は見たくないよ!」
「ローガン…」
姉ちゃんは何とか止まってくれている
「お前ら、とっとと失せろ!」
俺は腰を抜かした連中に怒鳴りつける
「姉ちゃんをこれ以上怒らせるな!俺は、姉ちゃんと平和に暮らしたいだけなんだ!」
「「「うわぁぁぁぁ!?」」」
兵隊共はどっかにいった
これで姉ちゃんを止めれる
「姉ちゃん…」
俺は痛む体を抑えて、姉ちゃんに近づこうとするが
「ローガン!?大丈夫!?」
先に姉ちゃんに近づかれ、抱き締められた
「なんでこんなになるまで殴られたの!?お姉ちゃんの事言ったって、お姉ちゃんあんな奴らやっつけるから大丈夫なんだよ!?無茶しないでよ!?」
とにかく支離滅裂だが、姉ちゃんは俺を抱き締めて離さない
「傷薬の薬草と、後…とにかく家に戻るよ!?」
「俺は大丈夫だから、姉ちゃん落ち着いて」
「落ち着ける訳ないでしょローガン!?貴方が居なくなったら、私…」
と、姉ちゃんが泣き崩れ始めた
だから、キレてほしくないんだ
姉ちゃんは、本当はとても優しくて、でも、寂しがりやだから
「俺は大丈夫だから、姉ちゃん」
「ヒック…エグッ…でもぉ…」
俺は姉ちゃんの頭を撫でる
「姉ちゃんが泣いてるほうが、俺は何十倍も辛いんだ。だって…」
俺はそこで言葉を切る
この先を言っていいのか、解らなかったから
「とにかく、キノコとか拾って帰ろう。俺、とびっきりのご飯作るから、さ」
「…そんな怪我で、いうんじゃありません」
泣きながらだけど、姉ちゃんは笑ってくれた
姉ちゃんの笑顔が見られるなら、俺は、なんだっていいや
〜〜〜
ある山に、災厄をもたらす狼がいたそうな
地元の人たちからは『災厄の大神』と畏怖と敬意を表して呼ばれるその狼だが、その狼を沈めることの出来る巫女が山にいるそうな
その巫女は、その狼と同じ髪の色をしているが、とても慈愛に満ち溢れ、それゆえに狼を受け止めることが出来たんだそうな
ゆえに、地元の者達は、その巫女と狼の事を畏怖し、尊敬し、あがめているんだそうな
〜〜〜
私はブラッシングをしてもらってる
「ん…ハァッ…」
弟のブラッシングは気持ちいい
彼のブラッシングが無くなる位なら、私は迷わず死を選ぶだろう
「クキュゥ…」
弟はそれを聞きながら、反応しているようだ
―――よかった、この子に見てもらえてる♪
「ん、くぅっぅ!」
「姉ちゃん、マジに声我慢してくれよ…」
顔を真っ赤にしていってくる愛しの弟
「アンタが…上手すぎるのがぁ…悪いのぉ…」
ホンット、毎回発情しそうなのを我慢するこっちの気持ちも考えてほしい
―――私の愛しいローガン、弟だけは誰にも渡さない
改めて顔をみて思う
私と同じ灰色の髪
整ってるが幼さを残した顔
私のあそこはキュンとする
弟と暮らし始めて、気付いたら弟が愛しくて仕方なくなっていた
―――何時気付いてくれるかな?私の気持ち♪
気付いたら、この子のことがほしくて仕方ない
…確かに、発情期に襲ったりしてるが、それと違う形で弟と、ローガンと繋がりたい
でも、この子を群れの皆も狙おうと考えている
だから、私はこの子にべったりくっつく
「えへへ〜♪」
「姉ちゃん、だから当たってる」
当ててるのだから当たり前だ
本当ならここから更に弟の肉棒を掴みたいが、まだ駄目だ
弟の気持ちがわからない以上、私も我慢しよう
そうしながら、今日もいつも通りまわっていく
例外の日みたいに、ローガンが傷つかないことを願って、私は彼に抱きついた
「だから当たってるだろ!?」
「あてたいの♪」
「ん…んぁ…」
とっても魅力的なんだが
「ハァッ!…ン、クゥゥゥ…」
「姉ちゃん…」
それが、俺の悩み種だと
「ブラッシングしてるだけなんだから変な声出さないでくれよ」
「アン!…あんたが上手すぎるから悪いんれしょ…」
いい加減、気付いてほしい…
・・・
5年前―――
俺は実の両親から捨てられた
まぁ、小さい村じゃたまにあることだ
口減らしなんてのは
俺がいた村では近年稀に見る不作だったらしく、何人かの人間を口減らししないといけなかったらしい
その結果、俺を含む何人かが山に捨てられた
ある者は拾われ、ある者は奴隷商に捕まり―――
俺は山をひたすらなまでにさ迷っていた
食べれそうならなんでも食べ、泥水すら飲もうとしていた
が、それがいけなかったのか良かったのか
俺は毒の食べ物に当たり、後は死ぬだけだった
そんな時だった
姉ちゃんが助けてくれたのは…
・・・
「ほっんと、ローガンのブラッシングは上手くて気持ち良いな〜」
先ほどまでのブラッシングがよっぽどお気に召したらしく、姉ちゃんは俺から離れない
後ろから抱き締められているので―――
「姉ちゃん、当たってる…」
二つのメロンが俺の背中に当たっている
「ん〜?いいじゃない別に。お姉ちゃんはこうしてると幸せなんだから♪」
と俺の首筋を嘗めながら答えてくれる
―――でも、俺だって思春期の男なのに
「姉ちゃん、俺だって、その…」
「んふふ〜♪」
俺が何を言おうとも、姉ちゃんは退いてくれないだろう
嬉しいんだか、悲しいんだか
最近はもうわからなくなってきた
ただ―――
姉ちゃんが嬉しそうに、幸せそうにしてるのは、俺も嬉しい
・・・
「キミッ!?大丈夫!?」
死に掛けていた俺が聞こえてきた、天使の声だと思った
俺はもう動きたくても動けない
食べたキノコの中に毒キノコでもあったのだろう
「みんな!?この子助けるから手伝って!?」
俺が聞こえた、最後の言葉だった
「気がついた?」
目が覚めたら、目の前に綺麗なお姉さんがいた
俺はなにも答えない
「今、果実持ってくるから待ってて」
と、トテトテと歩いていく
俺はあたりを見渡す
質素な小屋だと思われる作り
ふと見ると、さっきのお姉さんがなにかしていた
よく見ると、お姉さんは変な特徴をしていた
狼のような耳と尻尾
手足が綺麗な灰色の毛並みをしている
髪も同じだ
―――あぁ、ワーウルフか
俺は冷静に、と、いうか冷めながらそう思った
「はい、これ」
と、目の前に出されたのは、この辺でよく採れる果実だった
「これ食べたら、これ飲んでね」
と、置かれたのは緑色の水
多分、薬草を煎じた物だろう
「…食べて、いいの?」
俺は聞いてしまった
だって、俺は捨てられたのだ
いらないのだ
俺は―――呪われてるから
「良いに決まってるでしょ?…変なこと言わないの」
と頭を俺の頭につけながら言ってくれた
―――良い匂いだな
俺はそう思いながら、目の前の綺麗な人に魅了されていった
・・・
あれから、相変わらず俺は抱きつかれている
まるでお気に入りのおもちゃみたいだ
「ローガンの髪良い匂い〜♪」
と、姉ちゃんと同じ、灰色の髪をクンカクンカされている
―――灰色の髪は、狼を呼ぶ、災いの髪
そう、俺の村では伝わっていた
この地方では狼は災いの象徴になっている
だから、俺は呪われている
そう、教わりながら俺は育った
「んふふ〜♪」
けど、姉ちゃんも同じ毛並みを持っているからか、俺は姉ちゃんに弟として受け入れられた
俺も、こんな綺麗で可愛い人と居られるんだから、不満はなかった
―――でもなぁ…
俺は最近、その立場がいやだった
姉ちゃんの弟の立場が、とても居心地がいいのに、いやだった
「姉ちゃん、狩り行かなくていいの?」
「もう少しだけこうしたい〜♪」
と、少し力を入れて俺に強く抱きつく
そのお陰で、姉ちゃんのメロンが俺の背中を圧迫するし、姉ちゃんの匂いが俺にくる
―――相変わらず良い匂いだ
「姐さん、そろそろ狩りにいきますよ」
と、後ろから声がしてきた
「わかった〜」
と、姉ちゃんが離れた
「ローガン、行って来るね」
と、離れる前に
唇を奪われた
「ッ!?姉ちゃん!?そういうのはもっと大切な人に「ローガンと群れの皆以外いないよ♪」
と、軽やかに、舞うようにさっき姉ちゃんを呼んだワーウルフの人と部屋を出て行った
・・・
「捨てられた?」
俺は目の前の綺麗な人に、なんであそこに倒れていたのかを聞かれた
とりあえず、これまでの事をきちんと答えた
「おれは、呪われてるから、村に悪い物を持ってくるから…」
そう俺は話した
そうしたら…
「…辛かったよね」
そう言って、俺の事を抱き締めてくれた
「寂しかったよね、悲しかったよね…」
そう言いながら、泣いてくれた
「なんで、お姉ちゃんが泣いてるの?おれが呪われて「呪われてなんかいないよ」
俺の言葉を遮って、その人は言ってくれた
「呪われてなんかいないよ…君は、なにも悪くない」
不思議だと思った
その言葉を聴いてるたびに、お姉ちゃんの言葉を聴いてるたびに―――
俺は救われた気分になっていった
今も救われているが、さらに救われていく気分だ
「私が、一緒に生きてあげる。君と、ずっと一緒に生きてあげるから」
そう言いながら、俺の事を抱き締めてくれた
・・・
姉ちゃんが狩りに行ってから、俺は部屋の掃除と、近くの果実とキノコを取りに行った
そうしないと、肉しか食わない状況になるからだ
そうしながら、俺は最近感じている自分自身の感情について考え始めていた
―――姉ちゃんに一人の男としてみてもらいたい
―――姉ちゃんの横に立ちたい
―――姉ちゃんと
と、俺は気付けた
今更ながら、再認識した
俺は、姉ちゃんを、愛してるんだ
家族としてじゃなく、一人の女性として
姉弟としてじゃなく、一人の女性として
俺はようやく気付けたんだ
「少年、ここで何をしている?」
と、声のしたほうを向くと
「こんな所で、何をしているんだ?」
なんか兵隊が立っていた
・・・
「グッ!」
俺は今殴られている
「いい加減、吐いたらどうだ!」
さっき会った兵隊、教団だかってとこの連中だ
前までここら辺にいなかったけど、最近来始めたらしい
「お前が魔物と関与してるのは明白なんだ!いい加減吐け!?」
こいつらは姉ちゃん達を討伐に来たらしい
―――誰が言うか
これはこいつらの為でもあるし、姉ちゃんに戦ってほしくない
「お前らなんかに…言うかよ!」
俺はこいつらを睨み返す
こんな奴らに屈してたまるか
姉ちゃんは、俺が守るんだ!
「小僧…死にたいのか!」
そう言いながら剣を構えてきた
「へっ!姉ちゃんの事てめぇらに言うのに比べたら、んなの怖くもねーよ!」
俺は痛む体を堪えながらこいつらに言う
「そうか…なら、死ねぇ!」
そう、剣を振り下ろそうとした瞬間だった
「お前ら、何をしてるんだ」
そう、俺が一番聞きたくない
「お前ら、誰に、何をしているんだ?」
姉ちゃんの、キレた声が、聞こえてきた
・・・
「出たな、魔物め…!」
「姉ちゃん…」
俺は痛む体を、姉ちゃんに向けた
「…」
姉ちゃんは、なにも言わない
―――ヤバい!
「あんたら、マジで逃げろ」
俺はこいつらに警告する
「家族が大切なら、今すぐ逃げろ」
「魔物によって堕落した輩が何をいう」
こいつらは笑ってやがる
ワーウルフだから余裕だと、勘違いしてやがる
「…お前ら、私の弟に何してるんだ?」
姉ちゃんが聞く
…残念だが、こいつらを助けることは絶望的に難しいようだ
「貴様の事を聞こうとしたんだが、中々吐かなくてな…危うく死ぬところだったぞ」
と、余裕ぶっこいて笑い始めた
…正直、同情しか出てこない
「そうか…」
と、姉ちゃんの声が急に近くなった
「「「!?」」」
兵隊達は驚愕している
そりゃそうだろう
―――10メートルを一瞬と言って良い時間で近づかれたら
「私の、世界で一番大切な弟に手を出したんだ。―――覚悟はいいか?」
と、姉ちゃんから死刑宣告が出された
「姉ちゃん!やめてくれ!」
俺の声が届くかはわからないが、俺は姉ちゃんに叫んだ
・・・
それは地獄絵図と言っていいだろう
兵隊達は疲労困憊、もはや傷がない所や、ダメージを受けてないところを探すほうが難しいだろう
―――だからイヤなんだ
姉ちゃんが人を傷つける所を見るのは、何度見てもなれないし、見たくもない
いつものやさしい姉ちゃんに戻ってほしい
「ヒィッ!」
「…懺悔はすんだよな?」
もはや全員戦意損失しているが、姉ちゃんには関係ない
一度怒り出すと、群れの誰も止められない
―――災厄の大神
それが、姉ちゃんの異名だ
でも、俺はそれがイヤだった
俺を助けてくれた女神が、俺が愛した人が、そんな目で見られるのは―――
耐えられなかった
「もうやめてよ姉ちゃん!」
俺は姉ちゃんが仕留めようとした奴の前に何とか立つ
体は痛むし、こんな奴庇いたくない
「姉ちゃんのそんな怒った姿、俺は見たくないよ!」
「ローガン…」
姉ちゃんは何とか止まってくれている
「お前ら、とっとと失せろ!」
俺は腰を抜かした連中に怒鳴りつける
「姉ちゃんをこれ以上怒らせるな!俺は、姉ちゃんと平和に暮らしたいだけなんだ!」
「「「うわぁぁぁぁ!?」」」
兵隊共はどっかにいった
これで姉ちゃんを止めれる
「姉ちゃん…」
俺は痛む体を抑えて、姉ちゃんに近づこうとするが
「ローガン!?大丈夫!?」
先に姉ちゃんに近づかれ、抱き締められた
「なんでこんなになるまで殴られたの!?お姉ちゃんの事言ったって、お姉ちゃんあんな奴らやっつけるから大丈夫なんだよ!?無茶しないでよ!?」
とにかく支離滅裂だが、姉ちゃんは俺を抱き締めて離さない
「傷薬の薬草と、後…とにかく家に戻るよ!?」
「俺は大丈夫だから、姉ちゃん落ち着いて」
「落ち着ける訳ないでしょローガン!?貴方が居なくなったら、私…」
と、姉ちゃんが泣き崩れ始めた
だから、キレてほしくないんだ
姉ちゃんは、本当はとても優しくて、でも、寂しがりやだから
「俺は大丈夫だから、姉ちゃん」
「ヒック…エグッ…でもぉ…」
俺は姉ちゃんの頭を撫でる
「姉ちゃんが泣いてるほうが、俺は何十倍も辛いんだ。だって…」
俺はそこで言葉を切る
この先を言っていいのか、解らなかったから
「とにかく、キノコとか拾って帰ろう。俺、とびっきりのご飯作るから、さ」
「…そんな怪我で、いうんじゃありません」
泣きながらだけど、姉ちゃんは笑ってくれた
姉ちゃんの笑顔が見られるなら、俺は、なんだっていいや
〜〜〜
ある山に、災厄をもたらす狼がいたそうな
地元の人たちからは『災厄の大神』と畏怖と敬意を表して呼ばれるその狼だが、その狼を沈めることの出来る巫女が山にいるそうな
その巫女は、その狼と同じ髪の色をしているが、とても慈愛に満ち溢れ、それゆえに狼を受け止めることが出来たんだそうな
ゆえに、地元の者達は、その巫女と狼の事を畏怖し、尊敬し、あがめているんだそうな
〜〜〜
私はブラッシングをしてもらってる
「ん…ハァッ…」
弟のブラッシングは気持ちいい
彼のブラッシングが無くなる位なら、私は迷わず死を選ぶだろう
「クキュゥ…」
弟はそれを聞きながら、反応しているようだ
―――よかった、この子に見てもらえてる♪
「ん、くぅっぅ!」
「姉ちゃん、マジに声我慢してくれよ…」
顔を真っ赤にしていってくる愛しの弟
「アンタが…上手すぎるのがぁ…悪いのぉ…」
ホンット、毎回発情しそうなのを我慢するこっちの気持ちも考えてほしい
―――私の愛しいローガン、弟だけは誰にも渡さない
改めて顔をみて思う
私と同じ灰色の髪
整ってるが幼さを残した顔
私のあそこはキュンとする
弟と暮らし始めて、気付いたら弟が愛しくて仕方なくなっていた
―――何時気付いてくれるかな?私の気持ち♪
気付いたら、この子のことがほしくて仕方ない
…確かに、発情期に襲ったりしてるが、それと違う形で弟と、ローガンと繋がりたい
でも、この子を群れの皆も狙おうと考えている
だから、私はこの子にべったりくっつく
「えへへ〜♪」
「姉ちゃん、だから当たってる」
当ててるのだから当たり前だ
本当ならここから更に弟の肉棒を掴みたいが、まだ駄目だ
弟の気持ちがわからない以上、私も我慢しよう
そうしながら、今日もいつも通りまわっていく
例外の日みたいに、ローガンが傷つかないことを願って、私は彼に抱きついた
「だから当たってるだろ!?」
「あてたいの♪」
11/06/03 16:56更新 / ネームレス