没落少年貴族の冒険 その6.5(濡れ場)
「やったぁ……」
ふかふかの藁山の上に崩れ落ちるエミール少年。
何か、肩の荷が下りたような感覚と共に、乾いた笑いが口を出る。
「やったよ、ミーファぁ……」
安心を共有しようと、母の使い魔に声を掛けるが、返事がない。
「姉御? どうしたんです!? 姉御!!」
サラの鬼気迫る声に驚き、少年が飛び起きる。
見れば、ミーファはぐったりとした様子で、サラの腕に抱かれている。
その顔色は蒼白で、息は不規則で荒く、大量の汗をかいている。
そしてなによりも、肘から先を切断されていたはずの右手の切断個所が、二の腕辺りまでせり上がってきているではないか!
いや、切断個所がせり上がっているのではない。右腕が消滅を始めているのだ!
「え、えぇ……申し訳、ございません。少し、魔力を、消耗しすぎました……」
考えてみれば、当然のことである。
ミーファの右腕は未だ切断されたまま。最低限に抑えたとはいえ魔力を垂れ流した状態で死闘を繰り広げ、その後脱出劇まで披露したのだ。
今までは気力でどうにかしていたのだろう。だがここにきて気が緩み、全てのツケが回ってきたという訳だ。
ひゅーひゅーという乾いた呼吸音に合わせて、彼女の身体から薄紫色の霧が立つ。微かに、その輪郭がぼやけ始めた気がした。
「どうしよう! ミーファが消えちゃう!」
少年が、涙目でサラに訴える。が、サラだってどうしようもない。
「そんなこと言われても……。姉御! なんか方法はないんすか!?」
ミーファがゆっくりと口を開き、乾いた唇から殆どうめき声に近い声を漏らす。
「何かで、魔力を……補充できれば……」
「魔力の補充……! なら、アタイが噛み付けば!」
「おやめなさい……! この状態で……あんな、乱暴な方法。注入された魔力を、制御する自身は、なくってよ……?」
「じゃあ、どうすればいいの……」
少年の声に、微かに絶望の色が混じる。
「ボス! 昨晩みたいに姉御を抱いてくださいよ!」
「ちょ!? なんで貴女、そんなこと、知ってますの……!?」
サラの言葉に、真っ先に反応したのはミーファであった。
「え? だって人んちであんなにでかい声あげて騒いでればそりゃ気づきますよ」
「盗み聞きとは……。なんていやらしい鼠なんでしょ……!」
今まさに命の危機に瀕しているというのに、一向に口の減らないミーファであったが、溜息と共に、その表情が曇る。
「……無理ですわ。精液自体が魔力の源という訳ではありません。坊ちゃまは昨晩、大量の射精と共に体内の魔力を殆ど出し切っていますから、今また精液を頂いたところで……」
声が、徐々に細くなっていく。その目にはあきらめの色が浮かんでいた。
「なら!」
がっ、とサラがエミール少年の肩に掴みかかり、彼を藁山の上に押し倒す。
「アタイがボスに魔力を供給します!」
☆
突然の展開に、エミール少年の目が泳ぐ。目の前のサラの顔と、その後ろで地に伏しているミーファの顔を交互に見比べる。
「な、何言ってますの……!」
「大丈夫です。噛みはしませんよ。アタイみたいに魔物化、もといインキュバス化したら大変ですからね」
そういうとサラは、エミール少年の首筋にキスをした。
「そういうことではなくて……、お止めなさい……! あぁ、身体が動かない……!」
ミーファはまぐわいを始めようとするサラに向けて手を伸ばすも、身体にまったく力が入らず、伸ばした手をぽとりと地に落とす。
「サ、サラ?」
不安そうな声を上げるエミール少年に、サラがにっこりとほほ笑んで答える。
「安心してください、ボス。怖いことなんてありません。二人で、姉御を助けましょう?」
出会ったとき、花売りに扮して少年に近づいてきたときとは異なる、自然で優しげな笑顔。それにつられて、少年はこくりと頷いた。
☆
サラが自分の背に手を回し、もぞもぞと肩を動かす。
すると、彼女の上半身に巻かれていた布がスルリと解け、小振りだが形のいい乳房が露見する。
少年の視線が彼の意志に関わらず、その柔らかそうな膨らみ釘付けにされる。それに気が付いたのか、サラが片腕でトップを隠す。
「ちょっとボス、あんまりジロジロ見ないで下さいよ」
頬を朱に染めはにかみながら、少し困ったように笑うサラ。
「ご、ごめん」
エミール少年は慌ててそっぽを向き、視線を伏せる。
初々しい反応が面白かったのか、サラが小さく笑いを零し、少年を優しく抱き寄せた。
「こういうときは、謝らなくてもいいんです」
少年の耳元で、小さく囁く。少年の身体が、びくんと跳ねた。
「ふふー。ボス、可愛い💛」
サラは身を離すと同時に、少年の外套をスルリと解く。
少年の、まだ殆ど筋肉もついてない生白い肌の上半身が露出した。
そしてまた、少年を抱き寄せる。
肌と肌が触れ合う。
少年は、丁度彼の胸の辺りに何か柔らかな感触が押し当てられるのを感じた。その正体は言わずもがなサラの乳房である。サラは緊張で体を強張らせる少年の手を取り、優しく自分の乳房へと導く。
少年の手の中に、ふよん、とした柔らかくて温かな感触が広がる。その感触が妙に心地よく、少年はそれを確かめるように、ゆっくりとその手を動かした。
ふよん、ふよん、ふよんふよんふよんふよんふよん――。
少年の息が荒くなっていく。手の中の物体は、小振りでありながら押せばどこまでも沈むのではないかという程柔らかく――これほど柔らかい物体がこの世に他にあっただろうか?
サラは「もう、ボスったらー」と笑いながら、こそばゆさに身をくねらせる。
と、少年は自分の手の中で何か固いものが自己主張を始めていることに気が付いた。サラの薄桃色の乳首が、少年の愛撫に反応しむくむくと顔をもたげ始めたのだ。
少年は、吸い寄せられるように指先でサラの乳首を探り当て、きゅっと摘まんだ。
「んぐっ!」
サラの口から、小さな悲鳴が漏れる。明らかに快楽によるものではないそれに少年は驚き我に返り、ばっと手を放した。
「ごめんなさい! 痛かった?」乳房を前に我を忘れ、サラの身体のことを考えなかったことに、少年は自己嫌悪を覚えた。嫌われたらどうしよう――。少年は、少し泣きそうになる。
サラは、そんな少年の心中を察したのだろうか。にっこりと微笑み、彼の首に腕を回し、彼の頭をぎゅっと抱きしめた。
「大丈夫ですよー。でも、乳首は敏感だから、あんまり強く弄っちゃいけません。ほら、こんな風に優しく……」
サラは、少年の乳首を細い指先で刺激した。絹のように滑らかで、細く繊細な指先が、触れるか触れないかの絶妙な力加減で乳首をくるくると弄り回す。整えられた爪が乳頭に触れる度、少年の身体がびくんと跳ねる。
少年は頬を上気させ、顔を上げてサラの表情をうかがった。彼女もまた少年と同じように興奮しているらしく、頬を朱に染め、口元にはエロティックな笑みを浮かべている。トロンと蕩けた瞳と、目が合う。
「さあ、ボスも同じように触ってみてください」
サラに促され、少年は恐る恐る、充血した彼女の乳頭に手を伸ばす。
今度は、力を入れ過ぎぬように――。指の腹で、彼女の乳首を下から上に、撫で上げた。
んっ、と、サラの口から小さな嗚咽が漏れる。今度こそ、声音に苦痛の色は無い。
少年は、指の腹を使い、彼女の乳首を右に、左に弾いてみた。
「んっ、はァ、上手ですよ、ボス……」
息遣いに興奮の色が混じり始める。二人は身悶え、足を絡めながら、互いの乳首を弄り合う。擦り合う肌からぞくぞくとした快感が生まれ、二人はそれを求めてさらに身を絡ませ始めた。
「ボス、そろそろ……」
サラが、少年の耳元で小さく呟く。なんのことか分からずに戸惑う少年だったが、サラはそんな彼の肩をぐっと押してその身を引きはがした。
遠くに逃げる乳房を捕まえようと手を伸ばす少年を見て、サラがクスクスと笑った。
「もう、ボスったらそんなにおっぱいが好きなんですか?」
少年の前に腰を下ろす。
「ほら、そろそろこっちに……」
サラがハラリとショートパンツを下ろし、足を広げる。
突如目前に開けた秘蜜の園に、少年は意識の全てを奪われる。
両足の付け根、丁度少年のペニスのある位置に、それはあった。
ふっくらとした赤みがかった柔肉がぴったりと合わさった、小さな割れ目。そこから、肉色の花弁が少しだけ顔を覗かせている。割れ目上方にはうっすらと毛が生えており、蒸れたミルク臭が微かに鼻をついた。
少年の頭にかっと血が上る。息は不規則に乱れ、目は瞬きも忘れてかっと開かれている。
その尋常ならぬ様子に、サラは少し驚いた様子で言った。
「ど、どうしたんですか? ボス、なんか怖いんですけど……」
その言葉は少年の耳には届かない。彼はまるで誘蛾灯に吸い寄せられる羽虫のように、サラの足の間にゆっくりとにじり寄っていく。
「ボス、もしかしてココ見るの初めてですか?」
少年が、初めての女性器を凝視したままコクコクと頷いた。
「あ、そうだあったんですか。意外ですね……」
サラが、ちらりとミーファに目線をやる。
彼女は未だ突っ伏したままであるが、消滅は進行していないようだ。それどころか、ゴトンゴトンという車体の音に紛れて、小さないびきが聞こえる気がする。
「じゃあ、ここについても教えちゃいますね」
サラが、少年の目の前で右手の中指と人差し指を使い、自らの土手を左右に開いた。
濃密なミルク臭と共に、濡れた肉穴が姿を現す。
「あ、あぁ……」
驚嘆の溜息が、少年の口から漏れた。
割れ目から覗いていた二枚の花弁が離れ、歪んだ楕円の環を形成する。細かく複雑な凹凸を持つ鮮やかなピンク色の粘膜は、昔見たサンゴ礁を彷彿とさせる。だがサンゴ礁と確実に違う点は、石のように固いサンゴと違い、目の前の肉壺はトクトクと蜜を掃き出しながら、何かを求めるように蠢いていることだ。そして、それが求めるものは一つしかない。それくらいは、少年も本能的に理解していた。
「いいですか、ここがお豆さん。女の子が気持ちよくなるぽっちです。これが花びらで、ここがおしっこの穴です。そしてここが……」
サラの指に力が入る。秘所をさらに左右にぐっと開き、その奥で真っ暗な小さな穴が口を広げた。
「ここが、おまんこの穴です。……今から、ボスがおちんちんを入れるところですよ」
もう、限界であった。
「サラ!」
少年は彼女の胴に腕を回して抱き着くと、本能のままに腰を前後に振りまくった。
サラは小さく「きゃ」と悲鳴を上げる。そして、咎める様な声で、少年に言った。
「もう、ボスったら。いくら興奮してても、そんなに乱暴なのはダメですよ。挿入だってできてません。ほら、少し腰上げて」
少年が彼女に従い腰を上げると、その柔らかな細い指が少年のペニスに優しくあてがわれ、その先端を秘穴に導く。
「ほら、ゆっくり腰を下げて……」
少年が言われるままにゆっくりと腰を下ろす。
ツプリ、と、未熟な亀頭の先端が、暖かく濡れたものに触った。「んっ」サラが目を閉じ、色っぽい声を上げる。腰を進めるほど、彼のペニスはその温みの中に沈み込んでいく。
つぶつぶぬるぬるとした膣内粘膜にペニス全体を撫でられ、彼は既に強い射精感に襲われていた。そのうち、彼の腰とサラの足の付け根が密着する。
「えへへ、全部入っちゃいましたね……って、ボス?」
顔を真っ赤にして、身体を硬直させてプルプルと震えるエミール少年。
彼は、泣き出しそうな顔で、サラに告げた。
「ダメっ……! でちゃいそう……!」
そんな彼を、サラは優しく抱き止める。
「いいですよー、出しちゃって。いっぱい気持ちよくなってください💛」
そう言い終わるより早く、彼女は下半身に温かい感触が広がるのを感じた。エミール少年が、射精したのだ。彼は、射精しながらも腰を激しく前後に動かし、快楽を貪ろうと獣のように唸っている。
大量に注ぎ込まれた精液が、二人の結合部から溢れ出し、彼女の股を濡らした。
……これで、サラの蓄積していた魔力の一部が、エミール少年に流れ込んだはずである。彼女はミーファのように魔力の感知が出来るわけではないので、確かめようはないのだが。
エミール少年は、射精がひと段落ついたにもかかわらず、未だ夢中になって腰を振っている。彼としてはまだ満足していないのだろう。その証拠に、彼の下半身は射精直後であるにもかかわらず未だに固さを失っていない。
「ボ、ボス! 一旦、一旦離れてください! 姉御の分、残しとかないと!」
サラが、少年の胸をぐっと押して彼を引きはがした。
少年も我に返ったようで「そうだった!」と、慌ててミーファの元へと這い寄った。サラも少年の後に続く。
ミーファは、床にうつぶせになったまま、ぴくりとも動かない。
二の腕までせり上がっていた切断面に変化はないようだ。体から漏れ出ていた紫の霧も流出が止まっている。
サラが、恐る恐るミーファを仰向けにする。
すると、そこには気楽そうな顔で小さないびきをかくミーファの寝顔。口元はだらしなく歪み、端から涎が垂れている。
「姉御……。ほんとに寝てたんですか」
サラが、少し呆れたように溜息を吐く。
「でもでも、消滅は進行してないよね?」
エミール少年が、心底安心した様子で、明るい声を上げる。
「まあ、この感じだと大丈夫そうですね。全く人騒がせな……」
ここまで言って、サラは顎に手を当て、何か逡巡するような表情を浮かべた。
そして、ニヤリと何かしら思いついたような、影のある笑みを浮かべる。
「そうですね……。まぁ、今は大丈夫とはいえ魔力不足は間違い無いでしょうし? 予定通り魔力の補給を行いますか!」
☆
ミーファは、何者かにペチペチと頬を叩かれる感覚で目を覚ました。人が気持ちよく寝ているというのに、失礼な奴もいたものだ。いったい、どこのどいつだろうか?
「ん……誰ですの?」
重い瞼を開けると、そこには満面の笑みの何者かの顔。
最初、それが誰か理解できなかった。数瞬後、それが自分を逆さまに見下ろすサラであることに気が付く。どうやら、自分はサラに膝枕をされているらしい。
サラの顔を認識した瞬間、自分が今消滅の危機に瀕していること、そして、同じようにエミール少年が貞操の危機に瀕していることを思い出した。
「サラ! あ、あなた、あの後いったいどうなりましたの!?」
ミーファは飛び起きようともがくも、やはり体が動かない。
「じっとしててください。姉御ったら、まだ魔力が回復してないんですから」サラが呆れたような口調で言う。
「それより、坊ちゃまは!? 貴女、坊ちゃまはどうしましたの!?」
「大丈夫ですって。魔力の受け渡しは問題なく終了しましたよ」
あっけらかんと告げられたその言葉に、ミーファは顔面蒼白になった。
「と、ということは坊ちゃまは……」
そこまで言って、彼女は自分の足の方でハアハアという荒い息遣いが聞こえることに気が付いた。
はっと下を見ると、そこには下半身をさらけ出し、屹立した肉棒を激しく扱くエミール少年。その目はとろんと淫蕩の色に濁っている。
「受け渡し自体は問題なく終了したんですが……、どうやら魔力を注ぎ過ぎたみたいでして。一向に興奮が収まらないみたいなんですよね」
えへへ、と頭を掻くサラ。その無責任な発言に、ミーファはサラをキッと睨みつける。言いたいことはたくさんあったが、少年が自分の足の間に潜り込んできたことで、それどころではなくなった。
荒い息遣いの少年。屹立する幼いペニス。そして動けない自分……。
「坊ちゃま、何を!?」
少年が、肌着の様なミーファの服の、その股間の部分を、横にずらす。桃白い無毛肌の奥から、薔薇のように赤い秘肉が顔を覗かせた。
「お、おやめください! 坊ちゃま!」
「落ち着いてください、姉御。ただの魔力の受け渡しですよ」
取り乱すミーファを落ち着かせようと、サラが声を掛けた。
「そんなの分かってますわ! でも、心の準備というものが……」
「あれ、もしかして、相手がボスじゃ不服ですか?」
「そんなわけないでしょ!!」
はっきりと言質を取ったことで、サラはにんまりとした含み笑いを浮かべる。
「ボス、聞きましたよね? 大丈夫だそうだから、やっちゃってください!」
サラが言うまでもなく、少年は既にペニスをミーファの肉壺にあてがい、腰を沈めこもうとしていた。
ミーファが、懇願するような声を出す。
「あぁ、坊ちゃま、お待ちください! あ、あたくし、恥ずかしながら男性とそちらで交わった経験がありませんでして……! 少しばかり、心の準備を……あぁ!!」
抵抗も空しく、少年のモノがミーファの秘所の奥底まで突っ込まれた。少年のペニスはまだ未熟であり、睾丸以外は大きさも子供のそれであったが、肉体だけならばミーファはそれ以上に幼く、未熟である。
未発達な少年の性器でも、ミーファにとっては全ては咥え込めないほどの大きさであった。
だが、少年は暴走する性欲に任せミーファを激しく蹂躙する。
ミーファは、身体を前後にゆすられながら、目の前のサラを睨み付け、「後で覚えておきなさいよ……!!」と恨み言を吐いた。
「もう! 姉御ったら強がりなんですから! アタイら魔物なんですから、これがある意味で正しい姿でしょ?」
そういうとサラは、身をかがめてミーファに舌を絡めたキスをする。
そうこうしているうちに、少年の喘ぎ声にすこし苦しそうな表情が混ざり始めた。射精が近いのだろう。
「ボス! 姉御が終わったら、次はアタイにもお願いします! なんかお二人見てたら、ちょっと疼いてきちゃいまして……」
「な!? いけませんわ坊ちゃま! こんな卑しい女とこれ以上身を重ねるなど! まだ持て余しているという事でしたら、このミーファで処理してくださいまし!」
国境を越え、朝焼けの中を疾走する汽車の中、一人と二匹の交わりは、少年が果てるまで延々と続けられた。
……その後、エミール少年とサラの二人が影の蔦で縛り上げられて、激しいお仕置きと説教を丸一日食らったことは、言うまでもない。
ふかふかの藁山の上に崩れ落ちるエミール少年。
何か、肩の荷が下りたような感覚と共に、乾いた笑いが口を出る。
「やったよ、ミーファぁ……」
安心を共有しようと、母の使い魔に声を掛けるが、返事がない。
「姉御? どうしたんです!? 姉御!!」
サラの鬼気迫る声に驚き、少年が飛び起きる。
見れば、ミーファはぐったりとした様子で、サラの腕に抱かれている。
その顔色は蒼白で、息は不規則で荒く、大量の汗をかいている。
そしてなによりも、肘から先を切断されていたはずの右手の切断個所が、二の腕辺りまでせり上がってきているではないか!
いや、切断個所がせり上がっているのではない。右腕が消滅を始めているのだ!
「え、えぇ……申し訳、ございません。少し、魔力を、消耗しすぎました……」
考えてみれば、当然のことである。
ミーファの右腕は未だ切断されたまま。最低限に抑えたとはいえ魔力を垂れ流した状態で死闘を繰り広げ、その後脱出劇まで披露したのだ。
今までは気力でどうにかしていたのだろう。だがここにきて気が緩み、全てのツケが回ってきたという訳だ。
ひゅーひゅーという乾いた呼吸音に合わせて、彼女の身体から薄紫色の霧が立つ。微かに、その輪郭がぼやけ始めた気がした。
「どうしよう! ミーファが消えちゃう!」
少年が、涙目でサラに訴える。が、サラだってどうしようもない。
「そんなこと言われても……。姉御! なんか方法はないんすか!?」
ミーファがゆっくりと口を開き、乾いた唇から殆どうめき声に近い声を漏らす。
「何かで、魔力を……補充できれば……」
「魔力の補充……! なら、アタイが噛み付けば!」
「おやめなさい……! この状態で……あんな、乱暴な方法。注入された魔力を、制御する自身は、なくってよ……?」
「じゃあ、どうすればいいの……」
少年の声に、微かに絶望の色が混じる。
「ボス! 昨晩みたいに姉御を抱いてくださいよ!」
「ちょ!? なんで貴女、そんなこと、知ってますの……!?」
サラの言葉に、真っ先に反応したのはミーファであった。
「え? だって人んちであんなにでかい声あげて騒いでればそりゃ気づきますよ」
「盗み聞きとは……。なんていやらしい鼠なんでしょ……!」
今まさに命の危機に瀕しているというのに、一向に口の減らないミーファであったが、溜息と共に、その表情が曇る。
「……無理ですわ。精液自体が魔力の源という訳ではありません。坊ちゃまは昨晩、大量の射精と共に体内の魔力を殆ど出し切っていますから、今また精液を頂いたところで……」
声が、徐々に細くなっていく。その目にはあきらめの色が浮かんでいた。
「なら!」
がっ、とサラがエミール少年の肩に掴みかかり、彼を藁山の上に押し倒す。
「アタイがボスに魔力を供給します!」
☆
突然の展開に、エミール少年の目が泳ぐ。目の前のサラの顔と、その後ろで地に伏しているミーファの顔を交互に見比べる。
「な、何言ってますの……!」
「大丈夫です。噛みはしませんよ。アタイみたいに魔物化、もといインキュバス化したら大変ですからね」
そういうとサラは、エミール少年の首筋にキスをした。
「そういうことではなくて……、お止めなさい……! あぁ、身体が動かない……!」
ミーファはまぐわいを始めようとするサラに向けて手を伸ばすも、身体にまったく力が入らず、伸ばした手をぽとりと地に落とす。
「サ、サラ?」
不安そうな声を上げるエミール少年に、サラがにっこりとほほ笑んで答える。
「安心してください、ボス。怖いことなんてありません。二人で、姉御を助けましょう?」
出会ったとき、花売りに扮して少年に近づいてきたときとは異なる、自然で優しげな笑顔。それにつられて、少年はこくりと頷いた。
☆
サラが自分の背に手を回し、もぞもぞと肩を動かす。
すると、彼女の上半身に巻かれていた布がスルリと解け、小振りだが形のいい乳房が露見する。
少年の視線が彼の意志に関わらず、その柔らかそうな膨らみ釘付けにされる。それに気が付いたのか、サラが片腕でトップを隠す。
「ちょっとボス、あんまりジロジロ見ないで下さいよ」
頬を朱に染めはにかみながら、少し困ったように笑うサラ。
「ご、ごめん」
エミール少年は慌ててそっぽを向き、視線を伏せる。
初々しい反応が面白かったのか、サラが小さく笑いを零し、少年を優しく抱き寄せた。
「こういうときは、謝らなくてもいいんです」
少年の耳元で、小さく囁く。少年の身体が、びくんと跳ねた。
「ふふー。ボス、可愛い💛」
サラは身を離すと同時に、少年の外套をスルリと解く。
少年の、まだ殆ど筋肉もついてない生白い肌の上半身が露出した。
そしてまた、少年を抱き寄せる。
肌と肌が触れ合う。
少年は、丁度彼の胸の辺りに何か柔らかな感触が押し当てられるのを感じた。その正体は言わずもがなサラの乳房である。サラは緊張で体を強張らせる少年の手を取り、優しく自分の乳房へと導く。
少年の手の中に、ふよん、とした柔らかくて温かな感触が広がる。その感触が妙に心地よく、少年はそれを確かめるように、ゆっくりとその手を動かした。
ふよん、ふよん、ふよんふよんふよんふよんふよん――。
少年の息が荒くなっていく。手の中の物体は、小振りでありながら押せばどこまでも沈むのではないかという程柔らかく――これほど柔らかい物体がこの世に他にあっただろうか?
サラは「もう、ボスったらー」と笑いながら、こそばゆさに身をくねらせる。
と、少年は自分の手の中で何か固いものが自己主張を始めていることに気が付いた。サラの薄桃色の乳首が、少年の愛撫に反応しむくむくと顔をもたげ始めたのだ。
少年は、吸い寄せられるように指先でサラの乳首を探り当て、きゅっと摘まんだ。
「んぐっ!」
サラの口から、小さな悲鳴が漏れる。明らかに快楽によるものではないそれに少年は驚き我に返り、ばっと手を放した。
「ごめんなさい! 痛かった?」乳房を前に我を忘れ、サラの身体のことを考えなかったことに、少年は自己嫌悪を覚えた。嫌われたらどうしよう――。少年は、少し泣きそうになる。
サラは、そんな少年の心中を察したのだろうか。にっこりと微笑み、彼の首に腕を回し、彼の頭をぎゅっと抱きしめた。
「大丈夫ですよー。でも、乳首は敏感だから、あんまり強く弄っちゃいけません。ほら、こんな風に優しく……」
サラは、少年の乳首を細い指先で刺激した。絹のように滑らかで、細く繊細な指先が、触れるか触れないかの絶妙な力加減で乳首をくるくると弄り回す。整えられた爪が乳頭に触れる度、少年の身体がびくんと跳ねる。
少年は頬を上気させ、顔を上げてサラの表情をうかがった。彼女もまた少年と同じように興奮しているらしく、頬を朱に染め、口元にはエロティックな笑みを浮かべている。トロンと蕩けた瞳と、目が合う。
「さあ、ボスも同じように触ってみてください」
サラに促され、少年は恐る恐る、充血した彼女の乳頭に手を伸ばす。
今度は、力を入れ過ぎぬように――。指の腹で、彼女の乳首を下から上に、撫で上げた。
んっ、と、サラの口から小さな嗚咽が漏れる。今度こそ、声音に苦痛の色は無い。
少年は、指の腹を使い、彼女の乳首を右に、左に弾いてみた。
「んっ、はァ、上手ですよ、ボス……」
息遣いに興奮の色が混じり始める。二人は身悶え、足を絡めながら、互いの乳首を弄り合う。擦り合う肌からぞくぞくとした快感が生まれ、二人はそれを求めてさらに身を絡ませ始めた。
「ボス、そろそろ……」
サラが、少年の耳元で小さく呟く。なんのことか分からずに戸惑う少年だったが、サラはそんな彼の肩をぐっと押してその身を引きはがした。
遠くに逃げる乳房を捕まえようと手を伸ばす少年を見て、サラがクスクスと笑った。
「もう、ボスったらそんなにおっぱいが好きなんですか?」
少年の前に腰を下ろす。
「ほら、そろそろこっちに……」
サラがハラリとショートパンツを下ろし、足を広げる。
突如目前に開けた秘蜜の園に、少年は意識の全てを奪われる。
両足の付け根、丁度少年のペニスのある位置に、それはあった。
ふっくらとした赤みがかった柔肉がぴったりと合わさった、小さな割れ目。そこから、肉色の花弁が少しだけ顔を覗かせている。割れ目上方にはうっすらと毛が生えており、蒸れたミルク臭が微かに鼻をついた。
少年の頭にかっと血が上る。息は不規則に乱れ、目は瞬きも忘れてかっと開かれている。
その尋常ならぬ様子に、サラは少し驚いた様子で言った。
「ど、どうしたんですか? ボス、なんか怖いんですけど……」
その言葉は少年の耳には届かない。彼はまるで誘蛾灯に吸い寄せられる羽虫のように、サラの足の間にゆっくりとにじり寄っていく。
「ボス、もしかしてココ見るの初めてですか?」
少年が、初めての女性器を凝視したままコクコクと頷いた。
「あ、そうだあったんですか。意外ですね……」
サラが、ちらりとミーファに目線をやる。
彼女は未だ突っ伏したままであるが、消滅は進行していないようだ。それどころか、ゴトンゴトンという車体の音に紛れて、小さないびきが聞こえる気がする。
「じゃあ、ここについても教えちゃいますね」
サラが、少年の目の前で右手の中指と人差し指を使い、自らの土手を左右に開いた。
濃密なミルク臭と共に、濡れた肉穴が姿を現す。
「あ、あぁ……」
驚嘆の溜息が、少年の口から漏れた。
割れ目から覗いていた二枚の花弁が離れ、歪んだ楕円の環を形成する。細かく複雑な凹凸を持つ鮮やかなピンク色の粘膜は、昔見たサンゴ礁を彷彿とさせる。だがサンゴ礁と確実に違う点は、石のように固いサンゴと違い、目の前の肉壺はトクトクと蜜を掃き出しながら、何かを求めるように蠢いていることだ。そして、それが求めるものは一つしかない。それくらいは、少年も本能的に理解していた。
「いいですか、ここがお豆さん。女の子が気持ちよくなるぽっちです。これが花びらで、ここがおしっこの穴です。そしてここが……」
サラの指に力が入る。秘所をさらに左右にぐっと開き、その奥で真っ暗な小さな穴が口を広げた。
「ここが、おまんこの穴です。……今から、ボスがおちんちんを入れるところですよ」
もう、限界であった。
「サラ!」
少年は彼女の胴に腕を回して抱き着くと、本能のままに腰を前後に振りまくった。
サラは小さく「きゃ」と悲鳴を上げる。そして、咎める様な声で、少年に言った。
「もう、ボスったら。いくら興奮してても、そんなに乱暴なのはダメですよ。挿入だってできてません。ほら、少し腰上げて」
少年が彼女に従い腰を上げると、その柔らかな細い指が少年のペニスに優しくあてがわれ、その先端を秘穴に導く。
「ほら、ゆっくり腰を下げて……」
少年が言われるままにゆっくりと腰を下ろす。
ツプリ、と、未熟な亀頭の先端が、暖かく濡れたものに触った。「んっ」サラが目を閉じ、色っぽい声を上げる。腰を進めるほど、彼のペニスはその温みの中に沈み込んでいく。
つぶつぶぬるぬるとした膣内粘膜にペニス全体を撫でられ、彼は既に強い射精感に襲われていた。そのうち、彼の腰とサラの足の付け根が密着する。
「えへへ、全部入っちゃいましたね……って、ボス?」
顔を真っ赤にして、身体を硬直させてプルプルと震えるエミール少年。
彼は、泣き出しそうな顔で、サラに告げた。
「ダメっ……! でちゃいそう……!」
そんな彼を、サラは優しく抱き止める。
「いいですよー、出しちゃって。いっぱい気持ちよくなってください💛」
そう言い終わるより早く、彼女は下半身に温かい感触が広がるのを感じた。エミール少年が、射精したのだ。彼は、射精しながらも腰を激しく前後に動かし、快楽を貪ろうと獣のように唸っている。
大量に注ぎ込まれた精液が、二人の結合部から溢れ出し、彼女の股を濡らした。
……これで、サラの蓄積していた魔力の一部が、エミール少年に流れ込んだはずである。彼女はミーファのように魔力の感知が出来るわけではないので、確かめようはないのだが。
エミール少年は、射精がひと段落ついたにもかかわらず、未だ夢中になって腰を振っている。彼としてはまだ満足していないのだろう。その証拠に、彼の下半身は射精直後であるにもかかわらず未だに固さを失っていない。
「ボ、ボス! 一旦、一旦離れてください! 姉御の分、残しとかないと!」
サラが、少年の胸をぐっと押して彼を引きはがした。
少年も我に返ったようで「そうだった!」と、慌ててミーファの元へと這い寄った。サラも少年の後に続く。
ミーファは、床にうつぶせになったまま、ぴくりとも動かない。
二の腕までせり上がっていた切断面に変化はないようだ。体から漏れ出ていた紫の霧も流出が止まっている。
サラが、恐る恐るミーファを仰向けにする。
すると、そこには気楽そうな顔で小さないびきをかくミーファの寝顔。口元はだらしなく歪み、端から涎が垂れている。
「姉御……。ほんとに寝てたんですか」
サラが、少し呆れたように溜息を吐く。
「でもでも、消滅は進行してないよね?」
エミール少年が、心底安心した様子で、明るい声を上げる。
「まあ、この感じだと大丈夫そうですね。全く人騒がせな……」
ここまで言って、サラは顎に手を当て、何か逡巡するような表情を浮かべた。
そして、ニヤリと何かしら思いついたような、影のある笑みを浮かべる。
「そうですね……。まぁ、今は大丈夫とはいえ魔力不足は間違い無いでしょうし? 予定通り魔力の補給を行いますか!」
☆
ミーファは、何者かにペチペチと頬を叩かれる感覚で目を覚ました。人が気持ちよく寝ているというのに、失礼な奴もいたものだ。いったい、どこのどいつだろうか?
「ん……誰ですの?」
重い瞼を開けると、そこには満面の笑みの何者かの顔。
最初、それが誰か理解できなかった。数瞬後、それが自分を逆さまに見下ろすサラであることに気が付く。どうやら、自分はサラに膝枕をされているらしい。
サラの顔を認識した瞬間、自分が今消滅の危機に瀕していること、そして、同じようにエミール少年が貞操の危機に瀕していることを思い出した。
「サラ! あ、あなた、あの後いったいどうなりましたの!?」
ミーファは飛び起きようともがくも、やはり体が動かない。
「じっとしててください。姉御ったら、まだ魔力が回復してないんですから」サラが呆れたような口調で言う。
「それより、坊ちゃまは!? 貴女、坊ちゃまはどうしましたの!?」
「大丈夫ですって。魔力の受け渡しは問題なく終了しましたよ」
あっけらかんと告げられたその言葉に、ミーファは顔面蒼白になった。
「と、ということは坊ちゃまは……」
そこまで言って、彼女は自分の足の方でハアハアという荒い息遣いが聞こえることに気が付いた。
はっと下を見ると、そこには下半身をさらけ出し、屹立した肉棒を激しく扱くエミール少年。その目はとろんと淫蕩の色に濁っている。
「受け渡し自体は問題なく終了したんですが……、どうやら魔力を注ぎ過ぎたみたいでして。一向に興奮が収まらないみたいなんですよね」
えへへ、と頭を掻くサラ。その無責任な発言に、ミーファはサラをキッと睨みつける。言いたいことはたくさんあったが、少年が自分の足の間に潜り込んできたことで、それどころではなくなった。
荒い息遣いの少年。屹立する幼いペニス。そして動けない自分……。
「坊ちゃま、何を!?」
少年が、肌着の様なミーファの服の、その股間の部分を、横にずらす。桃白い無毛肌の奥から、薔薇のように赤い秘肉が顔を覗かせた。
「お、おやめください! 坊ちゃま!」
「落ち着いてください、姉御。ただの魔力の受け渡しですよ」
取り乱すミーファを落ち着かせようと、サラが声を掛けた。
「そんなの分かってますわ! でも、心の準備というものが……」
「あれ、もしかして、相手がボスじゃ不服ですか?」
「そんなわけないでしょ!!」
はっきりと言質を取ったことで、サラはにんまりとした含み笑いを浮かべる。
「ボス、聞きましたよね? 大丈夫だそうだから、やっちゃってください!」
サラが言うまでもなく、少年は既にペニスをミーファの肉壺にあてがい、腰を沈めこもうとしていた。
ミーファが、懇願するような声を出す。
「あぁ、坊ちゃま、お待ちください! あ、あたくし、恥ずかしながら男性とそちらで交わった経験がありませんでして……! 少しばかり、心の準備を……あぁ!!」
抵抗も空しく、少年のモノがミーファの秘所の奥底まで突っ込まれた。少年のペニスはまだ未熟であり、睾丸以外は大きさも子供のそれであったが、肉体だけならばミーファはそれ以上に幼く、未熟である。
未発達な少年の性器でも、ミーファにとっては全ては咥え込めないほどの大きさであった。
だが、少年は暴走する性欲に任せミーファを激しく蹂躙する。
ミーファは、身体を前後にゆすられながら、目の前のサラを睨み付け、「後で覚えておきなさいよ……!!」と恨み言を吐いた。
「もう! 姉御ったら強がりなんですから! アタイら魔物なんですから、これがある意味で正しい姿でしょ?」
そういうとサラは、身をかがめてミーファに舌を絡めたキスをする。
そうこうしているうちに、少年の喘ぎ声にすこし苦しそうな表情が混ざり始めた。射精が近いのだろう。
「ボス! 姉御が終わったら、次はアタイにもお願いします! なんかお二人見てたら、ちょっと疼いてきちゃいまして……」
「な!? いけませんわ坊ちゃま! こんな卑しい女とこれ以上身を重ねるなど! まだ持て余しているという事でしたら、このミーファで処理してくださいまし!」
国境を越え、朝焼けの中を疾走する汽車の中、一人と二匹の交わりは、少年が果てるまで延々と続けられた。
……その後、エミール少年とサラの二人が影の蔦で縛り上げられて、激しいお仕置きと説教を丸一日食らったことは、言うまでもない。
15/03/29 20:57更新 / 万事休ス
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