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第一章第二節 捨て身の愚行



 んふー……と、フォリーは満足気な呼気を漏らした。
 アランの事を言い負かし、一緒に付いて行ける事になったのである。あまり口が上手くない、というか性格が子供っぽいフォリーにとって、冷静な口調のアランは結構な難敵であった。実際の所、アランもそう口が上手い方ではないのであるが。
 それにしても、とフォリーは思う。アランという青年は、どうにも不思議な人物だった。
 まず、見た目が凄い美人である。男ではあるようなのだが、線が細いし色素も薄いしで魔物顔負けの美しさだ。というか自分、負けてるかもしれない。泣くぞチクショウ。
 それから、物腰がとても丁寧だった。というか、とても冷静だった。なにせ話している時も表情一つ変わらない。思えば野盗に囲まれていた時もそうだった気がする。まるで人形のようなのである。いや、人形の方がまだしも生き物らしいだろう。ほら、リビングドールとかになるしね。ともあれそんな調子で捨て駒扱いにされている事すら話す物だから、つい頭に血が上ってしまったのである。自分を大事にしない人間が許せない、これはもう魔物の本能みたいな物だろう。
 ……ただ、それらとどうにもチグハグな部分があった。端的に言って、アランはお金持ちなのである。身に着けている装備品が、どれもこれも高級品、それも超が二つ三つは平気で付く物なのがそれを見事に物語っている。そりゃあ野盗も狙うよ! 宝の山だよ! 私も人の事を言えないけれど!
 それだけに、私は最初、何処かの貴族がお忍びで一人旅でもしているのかと思った物だ。ただそうなると、何故捨て駒扱いなんてされているのか、これが全く分からない。私はあまり頭が良い方じゃないから尚更である。かといって相談をしよう物にも、ここに居るのは私とアランの二人だけなのだ。

「ねえ、アランはなんで捨て駒なんてやらされてるの?」

 ならもう、本人に聞くしかないじゃない? ほら、悩んだって答えが出そうも無い事だしね? だから私がバカという訳じゃないんだよ? いいね? いいね? ……ホントにいいね?

「いや、なんでと言われましても。依頼主の考えですから、正確な所は」

 密かに表情が変わる事を期待していたのだけれど、相変わらずの鉄面皮だ。多少は動揺してくれても良いんじゃないだろうか。

「正確じゃなくても良いからさ、アラン自身はどう考えてるわけ?」

「私見ですと、そうですね。私を戦力として運用するのが難しいからではないでしょうか」

 うーん、弱いから捨て駒にする。あの商会の冒険者ってそうなんだろうか。いやでも、そうだとしても、もっと他に良い方法はあると思うんだけど。

「う〜ん……というか、何か聞く事を間違えているような気がする……」

「そうですね。この先の遺跡や、行方不明者については御話ししておこうと思っていました」

 そう言って、外套の内側から羊皮紙の巻物を取り出すアラン。
 いや、そういうのじゃなくて……と思ったのだけど、確かにそれはそれで必要である。とりあえずはそっちを先に聞こうと、私はアランが差し出した巻物を受け取り広げた。

「行方不明者の資料です。一応は機密なので、他の方には話さないよう御願いします」

 うんうんと頷き、さらっと流し見。ふむふむ、人間、ドラゴン、リザードマン、ケンタウロス、オーガ……?

「最初の部分に載っているのは件の、捜索に向かった冒険者パーティーです。状況から見て被害に遭ったのは確実ですので」

 ああ、それ以外は行方が分からないからといって遺跡で消えたとは限らない訳か。冒険者は基本自由人だからね……って、そうじゃなくって。

「あの、なんだか魔物ばっかりな気がするんですけど……?」

「御内密に御願いします」

 良いのか。ここ、一応反魔物領だった気がするんだけどなあ。
 ……あ、私は平気だよ。姿が分からなくなる魔法の道具を持ってるからね。耳飾り型をしていてこれを着けていると姿が正確に認識されなくなる上に、認識出来ていないという事すら認識させないという二段構えの効果がある超強力な奴。私の持っている物の中じゃ一番強力かつ高価な代物、というか姉妹の一人が作った一品物だ。まあ余っ程、それこそ最高位の魔物を凌駕するくらいの実力者になれば違和感に気付くくらいはするかもらしいけれど、それでも姿その物は分からないらしいし、それくらいなら欠陥はおろか欠点とすら言えないだろうし。あーでも、なんか言ってたな。もしそれでも、姿を正確に把握してくる奴が居たのならば。

『そいつは人間とも魔物とも違う何かだから、関わらないようにしておきなさい。放っておけば、多分だけど害は無いから』

 ……だったっけか。居るのかな、そんなの。これを使って反魔物領はおろか教団の各所を巡ってみたりしたけれど、別に問題は起こらなかったし。

「それで、遺跡の方についてですが」

 おっと、そうそう。物思いに耽っている場合じゃなかった。
 慌てて、アランが差し出してきた次の巻物を受け取る。広げると、そこには建物の図面らしき物が描かれていた。大きさは……ちょっとした屋敷程度だろうか。遺跡、という言葉から想像していたよりは大分小さい。

「遺跡自体の調査は事実上終わっています。初代魔王時代の物でしたから期待されていたのですが、建物自体が保護魔法によりほぼ損傷が見られない、という以外に目ぼしい発見は無し。当時の高級別荘か高位の魔法使いが隠れ住んでいた屋敷辺り、という結論でした」

 ふむ、初代魔王。これは人間がよく使う呼び方で、本当は魔王として初代では無かったらしい。ただまあその時期に教団のごたごたがあり、それ以前の記録を綺麗さっぱり処分したとかで、その上で自分達の記録は絶対だからこの魔王が初代! 初代なんです! って主張してまかり通っているのだとか。いやぁ、怖いね、宗教。偏見だけど。まあ魔物側はそもそも記録なんてろくすっぽにしてこなかったんですけどね! はっはっはっ! 笑うしかねえ!

「行方不明者の出ている原因がこの場所に有るとするなら、何かしらの罠、ないし隠し部屋の存在が考えられます。もしくは元凶となる何かしらが隠れ潜んでいる可能性も有りますが」

「うん、そりゃあまぁ……アランはどっちだと思うの?」

「前者、または両者でしょうか」

 おや、意外な反応。また分からない的な答えかと思ったのに。

「それまたなんで?」

「この様式は当時の魔物側、それもかなり高位の魔物が好んで使っていた物です。その強大な魔物がこんな辺境に、しかも何も無い屋敷をただ建てるだけだなんて考え辛いですから」

 えっと、つまり最低限屋敷に何かあるぞ、とアランは睨んでいる訳か。

「厳密にはそれを真似する人間が居なかったではないでしょうが、それはそれで、何故こんな辺境に建てたのかが不明です。もしそこまでやるような人物が居たとしたなら、やはり更に何かしらの仕掛けをしていた可能性は高いかと」

 えっと、そんな変態が何も仕掛けていない訳がないだろう、という事かな。

「でもそれだと、他に何も見つけられなかったこれまでの冒険者達が無能って事になるんじゃない?」

 冒険者以外の調査は入っていないはずだ。遺跡が発見されてからまだそんなに経ってないし。

「そうですね。無能だったのでしょう」

 ばっさりだ。さりげにというか、普通に酷い。いくら田舎の冒険者達だからって。

「あるいは、何かしらを発見出来た有能な冒険者は行方不明になってしまった、とも考えられますが」

「なにその……口封じ的な」

 何があるんだろう、その遺跡に。
 初代魔王時代の物に。

「初代魔王……あ、アレかな! 魔剣伝説!」

「はい?」

 アランが首を傾げる。
 伝説によると、初代魔王は強力な魔剣を持ってたらしい。それは地を裂き天を割り万の軍勢を消し去る程の物だったらしいが、四英雄の五人目によって盗まれてしまったため魔王は武器を失った状態で四英雄と戦う羽目になったのだとか。まあ冷静に考えると酷い話というか間抜けな話というかなんだけれども。そのせいか今ではその五人目は居なかった事にされたり、魔王はちゃんと魔剣を持っていた事にされたりなんだけれども。ただまあ、その魔剣がその後どうなったのかは全然さっぱり分かっておらず、何処かに隠されたのではと一部でのロマンになっているのだ。
 とまあ、そういう事をアランに説明。

「無いでしょうね」

 ばっさりでした。

「なんでさ!?」

「先も言った通り、件の遺跡は魔物側が建てた可能性の高い物です。人間側の英雄が、何故わざわざそんな所に隠したというのですか?」

「え、それは……ぎ、偽装工作?」

「ではそうだったとして、遺跡では人間も行方不明になっている訳です。仮にも英雄達の仲間であった人物が、そのような悪辣かつ危険な隠し方をするでしょうか?」

「そ、それは……ほら、立ち振舞が英雄っぽくない、って居なかった事にされちゃった人だし……」

 我ながら強引である。強引なのだが……アランは「ふむ」と考え出した。

「……アラン?」

「いえ、確かに。考えてみれば否定の根拠は英雄という印象から来る物でしたし、絶対に無いとは言い切れませんね」

 お、おう、意外に話が分かる! 実はちょっと、冷たい人なんじゃないかな……って思ってたよ! 私!

「では、仮にその強力な魔剣が遺跡に隠されているとしたらですが」

「うんうん!」

「その場合、非常に危険だと考えられますので、貴女は此処で引き上げる事を推奨致します」

「さあ! 行こうか!」

 私は先にも増してぐんぐん進む。
 ……やっぱり、思い付きで話すのは良くなかったネ★


   ・
   ・
   ・


 そんな感じでぐだぐだしつつ、ついに私達は件の遺跡へと着いたのだった。

「着いたーやっぱり小さいー……あれ、なんか扉とか窓が無いね?」

 石造りの建物自体は新築みたいに綺麗なんだけど。そこだけ保護の魔法が無かったのかな?

「調査した冒険者達が持って行ったのでしょうね」

「なんで!?」

「売却する為と考えられます」

「そんな物を!?」

「そんな物と仰いますが、何千、何万の年月を耐えてきた保護魔法付きの初代魔王時代様式をした扉や窓ですよ? 高く買おうという人物は幾らでも居ます。建物自体に目立った損傷が無いのは、単純に取り外しが出来なかったからでしょうね」

 でなければ、建物自体もバラして持って行ったとでも言うのか。
 すげぇな冒険者、そこらの盗掘者よりも根こそぎだよ。
 でも私はそんな所で凄さなんて感じたくはなかったよ……。

「それはそれとして、遺跡に入る前に姿隠しの術を掛けたいのですが、よろしいですか?」

「ん? んー、まあ、別に良いけど……」

 姿隠しというのは、まあ読んで字の如くそういう魔法だ。そこに居るという事を分からなくさせるための物。簡単な物は姿の透明化から始まり、そこに音消しやら熱の遮断やら気配の消去やらが付け加えられ複雑な物へとなっていく。まあ透明化の時点で周囲の色を再現するだけだったり本当に透明になったりとそれなりに差もあるのだけど、とりあえずそういうのを全部引っくるめて姿隠しだとか呼んだりする訳なのだ。
 一応、簡単な物なら私も使える。まあそれでも得意という訳ではないし、アランが使うというなら任せるのは別に良い。ただ、遺跡に居るかもしれない何かを警戒するなら、もう少し早く使った方が良かったんじゃないだろうか?

「ではまあ、そうですね。失礼をして」

 そう言って、アランは左手の手袋を取り外した。彼は両手に薄い革の手袋をしていて、握手の時にも外さなかったのである。おのれ。まあ、あの時は右手だったけど……って、それの何が違うというのか!

「御手をどうぞ。少し触れるだけで大丈夫です」

 そう言って、左手を差し出してくる。両手でがっしり握ってやった。ついでだから上下にも振る。ぶんぶんぶん。うーん、なんというか、温度を感じさせない手だ。冷たいのではなく、ほとんど常温、みたいな感じ。いやそれ冷たいんだろうけど。

「はい。もう大丈夫ですよ」

 ぶんぶんぶん。

「あの、もしもし?」

 ぶんぶんぶん。

「フォリーさん?」

 ぶんぶ………………んぶんぶん!

「んふー……この手を離したら、姿が見えなくなったりしない?」

「ああ、それは大丈夫ですよ。この術を掛けた同士は互いに相手を認識出来ます」

 器用だなあ。でもそういう魔法って力技には破られやすいんだよね。余力を性能に割り振るか利便性に割り振るかの違い、みたいな。まあ私は力勝負の方が得意だから別に良いんだけどね。
 ともあれ、こうしていても仕方がないので手を離す。アランは特に気にした風でもなく、平然と手袋を着けていた。ちぇ。

「では、行きましょうか。取り敢えずは付いて来て下さい」

 そう言って、アランは自然な足取りで遺跡の中へと踏み入って行った。足音が無い。アランはおろか、私の物すら消えている。上手いなアラン。実はこういうのが得意なのか。
 そうしてアランは悠々と進み、奥まった一室、おそらくは書斎的な部屋へと入っていった。他の部屋には目もくれず、迷い無く真っ直ぐに。うん?

「此処ですね」

 アランはさらりと、普段通りの口調で告げる。

「此処に張られた陣が、行方不明の原因です」

「…………はい?」

「此処に張られた陣が」

「いや、聞こえなかったんじゃなくて! なに、え、どういうこと!?」

 唐突過ぎない!? なに、私なにか段階飛ばした!? 意識飛んでた!?

「大体……陣って、そんなのどこにも無いじゃない?」

 部屋は家具が全て持ち去られたのか、ただの石造りの一室だ。保護魔法の効いた床や壁、天井は全て綺麗な物で、陣――魔法陣だなんて少しも見えない。

「床の此処ですね。此処からこのように」

 と、アランが床を指し示す。そしてクルーっと円を描く。

「傷が付けられています。保護魔法の掛けられた石材に、です。正確な所は分かりませんが、円の内側はおそらく転移の陣になっているかと」

 そう言われても、私には全く分からない。確かに傷はあるようだが、自然石で組まれた床には他にも大小傷がある。保護魔法が掛かっていようと、造る前の段階からそうなっていてなんの不思議も無い程度だ。

「それに、陣の部分だけ魔力の流れが不自然です。保護魔法はこれを隠す意図も有ったのではないでしょうか」

「いやその、言われても全然分からないんですが……」

 魔法はあまり得意じゃないが、これでも一応……一応、その、高位の魔物な方である。並の魔物よりはその辺り使えている自負は有る。それがこの……答えを教えられても全く分からない、というのはどういう事か。

「まあ、確かに。隠蔽を第一に構築されている感は有りますね。これではあまり長距離の転移は不可能でしょう」

 ……それに、なんで、気付けて、いるのさ。しかもあなた、他の部屋を見てすらいなかったよね?

「方角は、これですと足元。地下でしょうか。ならこちらですかね」

 行って、ふらりと部屋を出て行くアラン。

「どうしました? 付いて来て下さい」

 なんて、声が聞こえた。
 私はなんとか足を動かし、アランを追う。身体の方とはチグハグに、心の方はアランにとても追い付けなかった。
 ねえ、アラン、あなた、それは流石に、おかしくない?
 そんな事を言う間もなく、アランは遺跡の屋敷部分を出て中庭へと進む。そこには一つの井戸があった。元々は有ったと思しき釣瓶の類が持って行かれ、ただ石造りの井戸その物だけが残っている。

「此処ですね。此処に地下への入口が有ります」

 だから……なんで、分かるのさ?
 そんな、まるで……最初から、全部、知ってたみたいに。

「怖いですか?」

 ビクンと、思わず身震いしてしまった。
 違う、怖いんじゃない。ただ分からないから、理解出来ないから、理解出来ないモノは…………ああ、そうか。結局、やっぱり。

「怖いのなら、此処で引き上げましょうか。確かにこれ以上先は、危険な可能性が高いですし」

 ああ、駄目だ。今の私は混乱している。アランはそんな意味で言ったんじゃない。言葉、言葉を選ばないと。ここで、ここで言う言葉はきっと大事だ。大事な事、大切な事。私が一番言うべき事は。

「あ、アランはさ……」

「はい」

「アランは……好きな人とか、いる?」

「…………はい?」

 アランは、唖然とした表情だった。

「あ、もちろん異性的な、恋愛的な意味でだよ!?」

「は、はぁ……その、居ると言えば居るような、あるいは居たと言うような」

「え、どっち!? というかいったいどんな人!?」

「その……言わないと、駄目なんですか?」

「ダメなんです」

 私の精神衛生のためなんです。ご協力をお願いします。

「まあその、優しい人でしたかね。それでいてしっかり者で、ただ少し怒りっぽい人でしたでしょうか……何故か私にだけでしたけど」

「それ、アランに気があったんじゃないの!?」

「きっとそうなのでしょうね。一応恋人関係ではありましたし」

「元カノなの!?」

「まあ、色々とすれ違いが有りまして」

 おおう……おのれ。
 だがいける。今の私ならアランに勝てる! この分野なら……私の方が、きっと強い!

「えっと、私よりも貴女の方はどうなんですか?」

「フォリーって呼んで」

「はい?」

「貴女じゃなくて、フォリーって呼んで」

「は、はあ。ではまあ、その、私ではなくフォリーさんの方は、一体どのような恋愛経験をですね」

「私? 無いよ?」

「……いや、その」

「処女だよ? キスすらした事無いよ?」

「は、はぁ」

 ははは、笑えよ。
 この私はなぁ……勝利のためなら捨て身にだってなれるんだよ!

「さあ私の事は全部聞いたんだから、アランにもこれまで何をヤッてきたのか全部話して貰いましょうかね!」

「それ不平等じゃないですかね!?」

 うるせえ! 分かってらぁ!
 ……まあ結果を言うと、アランは元カノに関しては妙に言い渋ったため、大した情報を聞き出す事は出来なかったのだけど。
 それでも、私は満足だった。
 だって、誰かを愛せる人なのならば。
 私達と、分かり合えない訳が無いのだから。

「さあ行くよ! ガンガン進むよ! この先に行方不明の人達が居るというなら助けに行くよ!」

「いやその、私の仕事はあくまで先行調査……」

 無視。
 主導権は、私は握る。なんというか、アランのやり方に任せていてはいけないような、そんな風に思うのだ。
 あと、行方不明の人達を、ほんの少しでも早く助けたいし。
 ついでに、現状の私、良いとこ無しだし。

「それで! アラン!」

「はい」

「……この井戸を、いったいどうすれば先に行けるの?」

 多少空回りしている感は否めないけど、なあに空元気だって元気と言う。
 なら、空回りだって動いているさ!
 次回! 地下の大冒険編に続く!

「止めましょうよ。引き返しましょうよ。本当に」

 絶対に見てくれよな!


16/02/02 21:57更新 /
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■作者メッセージ


 なんちゃって用語集

 初代魔王
 かつて大陸のおよそ七割、世界の約半分を支配した歴代最強とされる魔王。
 その最も恐れるべき能力は頭脳であり、現在使われている魔法文明の基礎はおよそ全てこの魔王が生み出したという。
 自ら作り出した最強の魔剣を愛用しており、それを持つ限りは無敵とすら言われていた。
 後に四英雄の五人目に魔剣を奪われ、その他の四人によって袋叩きにされるという悲惨な最期を遂げる。
 教団の教えでは闇から生まれし真なる最初の魔王であり、魔物や後の魔王達はその残滓に過ぎないらしい。
 無論、そんな訳は無いのであるが。

 四英雄
 初代魔王を倒したとされる四人の人物。勇者、聖女、エルフの魔法使い、ドワーフの戦士。元々は五英雄と呼ばれていた。
 五人目の盗賊は魔王から魔剣を盗むという大戦果を挙げているのだが、英雄らしからぬやり方と居なかった事にされている。
 その実力は追い詰められた人類が生み出してしまった最終兵器みたいな感じであり、その一人一人が並の魔王なら単独で楽勝という余りに酷い強さを持つ。
 ただそんな連中が総掛かりで挑んだ辺り、如何に初代魔王が異常な存在であったのかが分かるだろう。
 教団の教えでは戦いの後、天へと上り神々の仲間になったとされている。勇者を超えて聖人扱いという訳である。
 近年でも勇者はこの連中と比較されたりするらしい。無茶を言わないで欲しい物である。
 実は全員、××でも×××××。


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