連載小説
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ドラゴンブレス

畜生!此処は何処だ…ヘリが撃墜されたと思ったら森の中。どうなってやがる!?

木々の枝の中から這い出る一人の兵士、ヘルメットを外すと怪訝そうに眉を寄せる。
金髪青眼の西洋人らしき顔つき。
体格は兵士らしく筋肉質でがっしりしている。

その青年は辺りを見回し、舌打ちをした、

SOCOMに所属する小隊チームブラボーの隊員、ルイスはその場に腰を降ろす。
どうやらヘリが撃墜された時に身体を強く打ったらしい、激しい痛みが体を走る度に顔を歪めた。

「墜とされたのには間違いないか。打ち身だけなのは不幸中の幸いだな…ぃってぇ!」

舌打ちしながらも装備から取り出したGPSを見てみる。
しかし画面は無残に割れ、使用できる状態ではない。
場所の確認は無理の様だ。
溜息を漏らすとソレを放り投げる。
使えないモノは唯の重りにすぎない、そんなのは破棄に決まってる。

「…あ、あー。隊長、クラスト、ホノカ、ハドソン?近くに居るか?返事してくれ……なに?うんともすんとも言わない。近くに居ないのか…?」

すぐさま無線へ問い掛けるも誰からも連絡は来ない。
おかしい、同じヘリに乗っていた筈だ。近くに居てもおかしくないはずだが…

まさか…皆、死んだの、か…?


連絡が無い事に暫く考えていたが嫌な考えが脳裏に浮かぶ、血の気が引くのを感じながらも確かめる為に立ち上がった。

大切な仲間たちなんだ、死んでいて欲しくない…

幾度も戦場を共に戦い、生き抜いてきた仲間たち。
それゆえに、死んでいて欲しくなかった。
微かな希望を胸に抱きながら辺りを探索する為に歩き出す…

………………………


…何だ?今の世界の揺らぎは…

ルイスが現れた森の中に聳える廃れた古城。
その玉座の間、古びた玉座に腰を降ろす女性は怪訝そうに呟く。
この世の物とは思えぬ美貌に美しい小麦色の肌、青い瞳が静かに燃える焔の様に輝く。
しかしその容姿は余りにも人間とはかけ離れていた。
強靭な蒼い鱗に覆われた足に腕、鋭い爪を持つ腕の割には大きな手。
そしてその背中から姿を見せる翼と尾が彼女を人ではないと物語っている。

彼女はこの辺りをテリトリーにするドラゴン、そしてこの地方の悩みの種だ。

魔王の代替わりにより大抵の魔物達は温厚になり、恋や愛に励むようになった。
それは地上の覇者であるドラゴンも同じである。
だが彼女は違った、力が強過ぎたのだ。
代替わりの影響で姿が変わろうとも、思考迄は完全に及ばなかったらしく未だに破壊に生きていた。
強力な魔物でプライドの高いドラゴンには稀にその様な個体が存在するというが、彼女はその中でも特に旧世代の気色を残している。
故に魔物や人にこう呼ばれている。

…時代に残された恐竜と。


「つまらん…前までは勇者を名乗る者や傭兵が来ていたというのに…今は虫ケラ共しか来ぬとは…」

視線を部屋の片隅へと向ける、そこに転がるのは何も言わぬ男達の亡骸。
どれも痛めつけるように急所を外し、強い痛みを与える様に抉りながら傷を負わせて嬲り殺しにしている。

「たがが野盗ぐらいで私の居る城を居城にしようとは…愚かな奴らだ。」

余りのつまらなさに苛立ちを露わにしながら尾を振る、それだけでハンマーで殴られる様な大きな音と共に砕かれる玉座、崩れた背凭れが後ろに崩れ落ちて砕け散る。
そのまま立ち上がれば近くに転がる死体を蹴り飛ばした。
肉の潰れる音、蹴られた死体は壁に叩きつけられ、血が飛び散り美しい体を紅く彩る。それをつまらなさそうに目を細めるドラゴン。

…チッ、つまらん。

心を満たす虚無感、それに苛立ちがフツフツと湧き上がる。
これは何なのかは分からない、強者と戦えぬ事か…それとも…

…私の、つがいが……っ!!

またか!また、また下らない考えをっ…!!


「…くっ、私は!ドラゴンだ、人間の畏怖する存在っ!私は、そんな事は、断じて認めんっ!認めんぞぉぉぉぉぉ!!」

頭に浮かぶ考えを吹き飛ばすように吠えるように叫ぶ。
大気を揺るがし、城を揺らすその咆哮には怒りと僅かに悲しみが感じられた。

「はぁ…はぁ……狩りに、出るか。」

収まらぬ苛立ちと虚無感を晴らす為に玉座の間を出る。
次の獲物は、もっともっと嬲り殺してやる…
この怒りが晴れるまでな!
痛みに泣き叫ぶ姿を、楽しませてくれよ?

まだ見ぬ獲物に期待を抱きつつ、ドラゴンは嗤った。


……………………


「…どうなってやがる?仲間の死体どころかヘリの残骸すらない……どうなってんだ?」

暫く辺りを調べて回ったルイス。
しかし文字通り何一つ見つからなかった事に首を傾げた。
ヘリから落ちたのだから間違いなく何かしら痕跡か機材が落ちているはずだが、あったのは自らが落としたと思われるM635パナマカービン、それと装備品ぐらいなものだ。

…一体どうなっているか解らないが、とりあえず皆の死体が無かっただけ良しとしよう…

「何も手掛りが無かったのは残念だが…メインウェポンを失ってないのはよかった。正直此奴だけじゃ頼りにならないからな…」

すぐさまライトで照らしながらパナマカービンをバラし、特に異常がない事を確認すると背中に手を伸ばす。
その手に握られた物…武骨なデザインのショットガン、SPAS12を取り易い位置へと置く。

中に入った弾はドラゴンブレス弾、閃光を上げながら燃える金属片を撃ち出す弾だ。
その発射時の派手な見た目からドラゴンブレス弾と呼ばれるが実際は威力は期待できない。
近距離なら普通のショットシェル以上の火力を持つが…離れたら火傷、軽傷ぐらいまで威力が落ちる。

「…想定していた戦場が市街地、しかも屋内戦用だったからな。だから此奴を引っ張り出してきたんだよな…」

M635パナマカービンを組み直し、チャージングハンドルを引けば初弾を送り込む。
カチャンと軽い音と共に初弾が薬室へ送り込まれ、セーフティを掛けた。

この銃は有名なM16アサルトライフルの9mmサブマシンガン版に当たる銃。M4カービンより更に銃身を切り詰め、汎用性の高い9mm弾を使えるようコンバートした銃だ。
使用弾が拳銃弾故に長距離は撃てないが中距離の精度は高く、M16を使い慣れた兵士なら容易く扱う事が出来る。ただ…

こんな広けりゃ射程外からズドンだ。素直にM4カービンを持ってくりゃよかった…

そう溜息を漏らした時だった。
突然の空気を揺らす凄まじい咆哮、聞いた事のない咆哮ににビクンと身体を震わせる。

な、なんだ…今のは…?

すぐさま装備を整え、咆哮の聞こえた方を向く。
夜だった為に気付かなかったが月に照らされている其処には殆んど廃墟に近い古城が見える、さっきの咆哮は此処から聞こえたのか?

パナマカービンを構えながら古城へと足を進める。
足を進めれば進める程、嫌な予感がするがそれ以上に好奇心も高まっていく。
それに、もしかすれば何か知る事が出来るかもしれない。

しかし、あの声の主は何なんだろうか…?

「…そういえばなんかの昔話で聞いたな。こういう古城にはドラゴンが住み着いてるってな…其処には囚われのお姫さまが居て何処ぞの王子様が助けに行く……ってか?余りにそれっぽい城だから懐かしい事を思い出しちまったぜ。」

ふと幼い頃読んだ物語を思い出した彼は苦笑する。
物語を読むのが楽しくて展開が気になっていたあの頃…それに近いワクワク感を感じていた。

…だとしたら俺は姫様を救う王子様なのかもな。最高に笑えるなこりゃ…

なんて思いながらも城門に辿り着くと息を潜めながらそのまま静まり返る中へと入った。

………………


…はー、暗いな。灯りの一つ二つ欲しいぜ。

闇に包まれた城内。銃にマウントしてあるフラッシュライトを点け、中を照らしながら先へと進む。
人が住まなくなって随分と経つ城内は荒れ果て、苔むした城壁や崩れ落ちた柱や壁などがこの城の時を物語っていた。

しかし、本当にここは何処なんだろうな。
俺たちは激戦区の市街地へ送り込まれる予定だった。
そして着陸ポイント直前に地対空ミサイルに撃ち落とされた…しかも中東だぞ?
こんな城どころか森すら無い筈なんだが…

考えながら歩いていたがふと広い空間に出る。

「…どうやら、ココはエントランスみたいだな。作りからして割と金持ちがつくらせたのかもな。」

廊下を抜け、広い吹き抜けの空間に出れば辺りを照らしながら見回す。
今は荒れ果てているがしっかりとした石組みに石の材質、階段の手摺や柱の細かい彫刻などが見れる。
余程裕福な奴が建てたモノだろう。
じゃなきゃこんな彫刻など彫ったりはしない。

「ジャパンにはジョウシャヒッスイって諺があるんだよな。栄えるモノはいつかは滅びるって意味だっけ?まさにその通りだな…」

かつてはこの辺りも相当栄えていたのだろう。ホノカに教えてもらった諺を思い出し、感慨深い溜息を漏らした時だった。

エントランスの空気が重いものに一気に変わった。急に息苦しくなり、グリップを握る掌に汗が浮かぶ。

ゾクリと背筋に悪寒が走る、戦場で本能が危険を察知した時のような嫌な悪寒が…

な、なんだ…これ……

「…ほぅ、今日はついているな。丁度狩りに出ようと思っていた所に獲物が迷い込んで来るとは……クックックッ♪」

エントランスに響く凛とした澄んだ声。しかしその声に似合わない程のプレッシャーがルイスを押し付ける。

「だ、誰だ!?…な、あっ!?」

声のする方へカービンを向ける、ライトの光に照らされ浮かび上がる姿にルイスは言葉を失った。

青い瞳を持ち、ストレートの蒼髪を靡かせてエントランスの二階から姿を現す褐色肌の美女。
だが太い尾や鋭い爪を持つ腕、髪から覗く角や翼…
どうみても人間とは思えない姿をした彼女を見たルイスは固まる。
腕や足、身体の至る所にある青い鱗がフラッシュライトの明かりに照らされ、美しく輝いてまるで女神の様な美しさを醸し出す。

だがそれと同時に感じる恐怖、身体を濡らす血が相手がその様なモノでないと物語っていた。

「…な、何なんだ。お前は……人間じゃ、ない?」

「私を知らない?この辺りの者ではないのか、それともあの揺らぎが関係しているのか……まぁどうでもいい、貴様ら下等な種族と同等に見られては困る。私はドラゴン…恐怖と破壊をもたらす地上の覇者だ。」

「なっ、ドラゴン…だと…!?」

静かに告げる彼女、しかし俺は中々信じられずにいた。
いや、ドラゴンってあのトカゲに翼が生えたような生き物じゃなかったか?
少なくともこんな美女何かじゃなかった筈だ。
それ以前に…ドラゴンがいるってココは何処なんだっ!?

まさか…別世界に飛ばされたのか!?そんなバカな!?

目の前の人外の女性から与えられた情報に軽く混乱するルイス、彼に構わずドラゴンは続ける。

「ドラゴンを知っているが予想とは違うという顔をしているな…私はな、元は強大な力を持つに相応しい容姿のドラゴンだった。しかし、忌々しい新魔王の魔力で下等な人間のメスの姿に変えられたのだ!」

ルイスの表情から思考を悟ったドラゴン、静かに説明するかの様に話すが余程怒りが溜まっていたのだろう。
怒りをぶつけるように城壁を殴りつける。

激しい衝撃音…地を揺らし、城を揺らす強力な力により砕かれた石の壁が崩れ、土煙が舞う。
どうやらドラゴンと言うのは間違いないだろう、あの様なマネは人間に出来る訳がない。

「…ってか、俺ってもしかしてヤバイ所へ来ちまった?」

どうみても…殺る気満々だよな…

「…コレから死ぬ貴様にはこれ以上語る事もない。さぁ、お前はどんな悲鳴を…どんな死に様を見せてくれる?」

女性はゆっくりエントランスへと階段を降りてくる。其の手の指が曲がり、爪が鈍い輝きを放つと共に高まる殺気。

マズイ、コレは間違いなく…俺を殺る気だっ!

「さぁ、狩りの時間の始まりだ…
貧弱な人間よ。私の…この渇きを満たせェェェェ!!」

「うぉぉっ!?」

咆哮と共に凄まじい勢いで此方へ飛び掛かるドラゴン。
強い脚力に床が抉れ、振りかぶった鋭い爪がルイスへ振り下ろされる。
その攻撃をなんとか紙一重で身を引いて回避した。
しかし振り切ったドラゴンの長い尾が続けて襲いかかり、ルイスの胴体へと打ち込まれる。

「がっ、ぐっ!?」

腹部に走る激痛、体の骨が軋み思わず上体が傾き態勢が崩れる。

くっそぉ、リーチがひでぇ!

間違いない…追撃、来るぞッ!

ふと俺の第六感が危機を伝えて来る。
すぐさま横へ転がる様に身を踊らせると自分の上体のあった空間をドラゴンの鋭い爪が宙を切る。
ダメージこそはない、だがジャケットの一部が引っかかったらしく布が引き裂かれる音が聞こえた。

「やるな、今ので大抵の奴は死んでいる…さては貴様、戦い慣れているな?」

「今迄戦場で生きてきたんだ、そう簡単に死なねぇよ……ただドラゴン退治は経験ないがな。」

転がりながら距離をおくルイスに口元を歪めながら楽しげに笑うドラゴン。
対するルイスは冷や汗を流しながら強がって見せる、が防弾仕様のジャケットの裂傷を見ると正直勝てるか解らない。

ドラゴン退治は聖剣や特殊な魔法でやるのがセオリーだが、生憎俺の装備は一般的なSMGとショットガン。
…こんなんで倒せるのか?


えぇい!なるがままよ!

直ぐ様パナマカービンを構え、ホロサイトの光点を鱗に覆われてない腹部へ狙いを付ける。
引き金を引けばハンマーが撃針を叩き、マズルフラッシュと共にMP5を超える連射速度で吐き出される弾丸。

「グゥッ!?」

それは全て鱗の無いドラゴンの腹部へと撃ち込まれる、が皮膚には傷一つ付いていない。
潰れたフルメタルジャケット弾が地に転がり落ちた。

畜生!タフネスってレベルじゃねーぞ!人間の姿でも耐久性もドラゴンと同等なのか!?

「…それは銃か?しかし面白い、威力も連射も桁違いだな。今のは流石の私も効いたぞ?」

フラついただけのドラゴンは再び態勢を立て直す。
そして弾丸による痣が残る腹部を撫でながらニヤリと楽しげに嗤った。

「冗談キツイぜ、痣しか残ってないのに効いたとかありえねぇだろ……人は死ぬんだぜ、これだけ食らえば…」

「私はドラゴンだ、貴様ら下等な人間と一緒にするな。さぁ、見せてみろ、貴様のもがきをっ!!」

再び地を蹴るドラゴン、鋭い爪が再びルイスを襲った。
直ぐ様その腕から身を引き逃げる。
そして撃ち切ったマガジンを引き抜き、マグポーチから引き抜いた予備マガジンを直ぐ様銃へ叩き込む。

鱗の無い腹でもダメ、なら…一番脆い眼球を狙うしかっ…!

射撃の技量的に無理ではない、が的の小さいものを撃ち抜くとなるとリスクが高すぎる。
外せば大きな隙を生む事になるからだ。

しかもコイツは人外、どこ撃っても有効打になりはしない。つまり外せば反撃を間違いなく受けるはずだ…

右方向から再び襲いくる爪を何とか紙一重で躱し、ボルトストップを解除。
カシャンとボルトが前進し、弾を薬室へ装填する。

でもやるしかねぇ!やらなければ…俺は死ぬ!!

直ぐ様ドラゴンの頭を狙おうと銃を構えた瞬間だった。

ドラゴンの唇が釣り上がる。
…まるでソレを待っていたかの様に…

…っ!?しまった、読まれていたのか!!?

引き金を引くが其処にはドラゴンの姿は無い、身を低くし射線から逃れたドラゴンは直ぐ様懐へ潜り込む。

速ぇ!?これは…回避、出来ないっ!!

「死ぬかっ!」

「がっ!」

射撃態勢から回避行動に映る前へ問答無用に腹部へ撃ち込まれる拳。体の骨が軋み、衝撃に体内の空気を吐き出す。
痛みで一瞬意識を手放し、膝を付きそうになる。

「消えるかっ!」

「ぐぁっ!!」

再び襲うのは鋭い爪、高い耐久性を誇るジャケットごと腕を裂き、痛みで意識を取り戻すが思わずパナマカービンを落としてしまった。

「土下座してでも、生き延びるのかっ!!」

「ぐはぁっ!!」

そのまま首を掴み、勢い良く近くの壁へ投げつけられる。

受け身を取る事も出来ず叩きつけられ痛みと衝撃に息が詰り、噎せながらドラゴンを見る。
ドラゴンは落ちたパナマカービンを蹴り飛ばした。嘲笑うかの様に見下ろしながら鋭い爪を月光に輝かせ、歩み寄って来る。

翼を広げ、勝利を確信したかの様に威嚇しながら…

「楽には殺さない、痛めつけて…ズタズタに身体を裂いてお前の悲鳴を楽しむのだからな?ふふふ♪」

ヤバイ…マジで、ヤバイ…

武器を手離した、其れに痛みで身体が上手く動かない……くそったれ!

手加減している相手、圧倒的な力の差に身体が恐怖と絶望感に支配される。
その時、ふと腰のグレネードポーチに気付く。
中に入っているのはスタングレネード。殺傷能力は無い、だが強力な閃光と爆音に三半規管を麻痺させる事の出来る非殺傷兵器。
味方をサポートする為に持って来た装備だ。

…此奴なら、暫く動きを封じる事ができるんじゃ無いか?

思うと同時に既に身体は動いていた。
直ぐ様ポーチからスタングレネードを引き抜くと同時にピンを抜いてドラゴンへ投げ付ける。

コツンと間抜けな音と共にドラゴンの頭に直撃、すぐさま俺は耳を押さえ、音と閃光に備える。

「あたっ!?むっ、コレは何のつもり…っ?!?!」

頭に当たったグレネード。ソレを不思議そうに手に取るドラゴンの手の上でスタングレネードは炸裂した。

「ぐぁぁっ!?目が、見えない!?音も、聞こえん!グゥゥ…何なんだコレはっ!?」

強い閃光、強い音を真近で受けたドラゴンは顔を顰め、視界を潰され三半規管が麻痺し膝をつく。

成功だっ!今の、ウチにっ…!!

痛む身体に鞭打つ様に無理矢理動かしながらその場から逃げようと廊下へと走る。
足が縺れ、何度か転けそうになる。だが生き残りたい一心で足を動かした。

「っ!?逃げるかっ!この軟弱者めがぁ!!」

しかし神は逃げる事を許さないらしい、視界はまだ回復していないが既に聴覚は復活したドラゴンは遠ざかる足音に気づき口から灼熱のブレスを吐く。

その威力は途轍もない、離れた場所に着弾した灼熱の火球は凄まじい衝撃音と爆風を起こし、体がなす術なく宙を舞う。

「ぐぁぁっ!!?」

…おいおい、こんな飛び道具なんて卑怯だろ……

簡単に殺すつもりが無い為手加減をしている筈だが、直撃せずとも爆風にいとも簡単に吹き飛ばされ、再び壁に叩きつけられる。

今残りのスタングレネードを投げても同じ手は二度と通用しない、無駄だろう…

ゆっくり体を起き上がらせる。
身体中の痛みが体力を奪い、膝が折れそうになった。

もう、無理なのか…?

俺は、死ぬのか?見知らぬ地で…仲間に会えないまま…

どんどん浮かび上がる敗北感、目の前では視力も平衡感覚も回復したドラゴンが立ち上がる。
ゆっくり此方へ歩み寄るその目には怒りの炎が宿っている様に見えた。

……あ、そういえば。コレが…あったな。

絶望感に浸っていた彼、しかしふともう一つの武器、SPASに気付けばゆっくりと手に構える。
壊れていないみたいだが中身はドラゴンブレス弾、激しい閃光と熱を生む特殊弾…撃ちたくなかった見掛け倒しの弾。
倒すなんて絶対無理な代物だ。

…勝てんのか?コレで…

ハドソン、クラスト、ホノカ…隊長…

走馬燈のように浮かぶ仲間達の顔。
今まで沢山の戦場を共に生 き抜いてきたとても大切な仲間…

…そうだ、俺には…皆がいる。大切な仲間達が…!

再び闘志が湧き上がるのを感じつつ、背中へ手を回す。そして手に持つはSPAS12…

此処で諦めてどうする!

「畜生…俺はまだ死ぬワケにはいかないんだ、仲間に会う迄は死んでたまるかっ!」

何がなんでも…生き延びてやる!!

俺が死ぬのは…仲間の前だっ!!

絶望に打ち拉がれていたルイスの表情がキッと締まり、歩み寄ってくるドラゴンを睨みつけた。
その手のドラゴンブレスSPASはドラゴンへ向けられている。


…ちっ、なんだ?コイツは…此処までやられて何故そんな目でいられる?何故、私に怯えない!命乞いしないっ!?


ルイスの強い意思の篭った瞳、それに戸惑うドラゴン。
同時に怒りも限界を迎える。

「ほう、まだ別の武器を持っていたか。しかし無駄だ、私の鱗を…肌を貫けないなら話にならん!」

「確かに貫けないぜ、コイツは特にな。だから遠慮はいらねぇ!気兼ねなくお前にぶち込んでやるよ!!」

額に青筋を浮かべ苛立ちを露わにし、見下しながら俺を八つ裂きにしようと爪を振るうドラゴンへトリガーを引く。
爪が目の前に迫る、落ちたハンマーがファイアリングピンを叩き、雷管を作動させ…爆音と共に銃口から放たれる金属の焼炎と閃光にドラゴンが包まれた。

………………

「がぁっ!?」

ば、バカなっ!何だこの武器は!?

男の取り出した武器、それは先程扱っていた武器と似た姿をしている。
あの銃と思われる武器は私の身体を貫く事は出来なかった、ただ威力は私の知る銃とは天と地の差があるが…あれもおそらく似たような武器に違いない。
しかもあの男は既に逃げ腰、そんな奴が相手を仕留める武器を使う筈がない。
良くて足止めだろう、軟弱者のあの人間が使う武器なのだから…その時の私は油断していた。

…本当に愚かだった。

武器を持つ相手にどんな事があろうが気を抜くべきではなかったのだ…
あの人間の生きたいと思う意思、ソレを甘くみていた。
爪が男を襲う僅か前、閃光と共に放たれる複数の燃えた弾。
私は気付けば壁にたたきつけられていた。
石の壁が砕け強い衝撃が体を走り、息が詰まる。

な、何だ!?この威力は…!
私の身体にこれ程のダメージを与えられるコレは、まさか…!!


「かっは!…グゥゥゥ…ドラゴンの、ブレスだと!…何で人間がこんなモノを!」

「しるかよ!俺だって驚いてんだ、何でこんなに威力があるんだ!?」

それはまさしくドラゴンのブレス。
灼熱の炎と強い衝撃を持つ私達の吐息、いくら小さかろうが威力は折り紙付きだ。

…何せ私が軽々と吹き飛ばされたのだから。

鱗や肌が焼け、身体から煙を立たせ崩れ落ちる私は男を睨みつける。
しかし吹き飛ばされた私を見てポカンとしている男。
どうやらこの威力は男も予想外だったようだ。

貴様の武器だろう、何故把握していない!

「この…人間風情が!貴様なぞに私は…!ぐぁ!ウがぁ!ガァァっ!!」

その時の私は頭に血がまわっていた。
格下の人間にこれ程のダメージを受けた事、そして我々のブレス並の攻撃を使った事に…
魔法攻撃も防御術も使おうと考えもせずに男を八つ裂きにしようと飛び掛かるも再びブレスを受けてしまう。
今度は連続三回のブレスを叩き込まれた私はあっけなく吹き飛ばされ、地面を転がる。
短時間連続で受けた灼熱と強力な衝撃。
身体の鱗が瞬間ダメージ限界を迎え崩れ落ち、身体は火傷を負った。
体力も衝撃と火傷にごっそりと奪われる。
この程度のダメージは慣れていた筈だった、しかし身体は上手く動かない。

代替わりの影響か、この私の身体は思っていた以上に弱体化していたようだ。

くそ、魔王め…貴様のせいでこんな無様な姿にぃ…!!

雑魚ばかり相手にしていたからか気付けなかったのだろうか…

わ、私が…負ける?馬鹿な……あの、遥か格下の人間に…?

「…認めない、断じて認めないぞ!私は、わたしはドラゴンなんだ!私が人間に敗れるなど…」

ブレスにより痛む体を起そうと力む、だが連続で受けた大ダ
メージが体の自由を奪い動けない。

立ち上がっても膝が笑い、力が抜けすぐさま無様に膝を付く。

…無様、情けない……叫び散らすなど、負け犬の遠吠えに過ぎぬな…

静かに頭に浮かぶ言葉、怒り狂う私の思考が水を被ったように落ち着きを取り戻す。

認めなければ、ならない…

…私は人間に負けたのだ…

…自分の油断という不本意な敗北だが、負けたのには変わりない。

情けない、本当に情けないな…

でも、なんだろうか……落ち着いていられる。
怒りも何も無い…あるのは安らぎだけ…

「グッ…お前は、私に勝ったのだ。人間…トドメをさせ、私を倒せ。お前にはその資格がある……」

気づいたら私は静かに男へとそう言い放っていた。
自然と項垂れる頭、顔に違和感を感じる…もしかすると私は笑っているのかもな。

…あぁ、コレで終わるのか。

変わる事も出来ず、時代に取り残された私。
ドラゴンのプライドが私の全てだと思い、変化を拒み自分を失うのを恐れていた…

コレで全てが終わる…これで、おわり…

だから私は安らぎを感じているのだ、もう抗う必要もない。全てが終わったのだから…

男の此方に近寄る足音が聞こえ、私はじき来るであろう静寂を待ち静かに目を閉じた。



勝ったのか?俺が…見掛け倒しのドラゴンブレス弾で?
予想外の威力を発揮したSPASへ目を落としながら状況を整理する。
俺の手に握られた弾の名前の通りドラゴンブレスを放ったショットガン。
その攻撃にパナマカービンも(9mmじゃ多分どうあがいても無理だが)通用しなかったあの強力なドラゴンは地に膝をつき、戦意を喪失している。

まさしく俺の勝ちだ、未だに信じられないがな…


「…人間…トドメをさせ。私を倒せ。お前にはその資格がある…」

地に両膝を付くドラゴンが弱々しく、しかし穏やかな声で話す。
何かから開放されるという感じの声…凛々しくも威圧的な雰囲気を持っていた美貌はダメージにより疲弊しているが、解放感を感じる安らかさが見えた。
その先程と違う美しい顔に胸がドキリと高鳴る。

…何だか妙な気分だ。なんていうか…守りたくなるな、この顔…

俺は無言で歩み寄る、腕の傷や打ち身で至る所が痛むが今はそれどころではない。
この場でこのSPASなら撃ち殺す事は出来るだろう。

しかし俺は歩み寄ればしゃがみ込み、銃を置けばファーストエイドポーチから包帯と消毒薬を取り出す。
この女性を死なせはしたくなかった…何故かそう思っていた。
さっき迄生きるか死ぬかの戦いをしていたのにな…ほんとバカみたいだ…
情が移ってしまったのか?

「手当してやる…しみるからな、少し我慢してろよ?」

「なっ!?…くぅ、何故だ!私はお前を殺そうとした!そんな相手に情けを掛けるのかっ!!?」

俺の行動にドラゴンが目を見開いて叫ぶ。
そりゃ信じられないだろうなぁ、殺し合いをやってたんだ。
普通なら俺だって息の根を止める、そうやって戦場を生き抜いてきたんだ。

…気を抜いたら殺られる、ソレが当たり前の世界…

それが戦場。

でも今目の前にいる奴は完全に戦意がない、そんな奴を殺すのは嫌だ。
此処は戦場でもない、其処までする必要は無いだろう。

…隊長はどんな戦いでも気を抜くな、戦場だと思えと言ってたが…この際は無視だ。

「目の前で女が死ぬのが嫌なんだよ、例え人外でもな…もしかすると俺はアンタに惚れたのかもな」

「…っぅ!…なっ!?なななな何をいきなりっ!!私に、惚れただと!?!?寝言は寝て言え!!」

「お前がどう思ってようがコレは俺の自己満でやってる事だ。だからお前が何と言おうがやめる気はサラサラ無い。おとなしくしてろよ?」


消毒薬のしみる痛みに眉を寄せていたドラゴン。
暴れようとはするがまだ上手く動けないらしく力が入ってない…
だが俺の軽い冗談にボンと一気に顔を真っ赤にすれば動揺した様に慌てふためく。

何だ、可愛い処もあるんだな…

そんな相手の頭を無意識に優しく撫でた。
何だか本当に惚れっちまいそうだな…

「強くて、気高く、美しい…そんな女を死なせるなんて後味わりぃし…気に食わなくて命を奪うとかは無しだからな?ほら、包帯を巻くから暴れんなよ」


「……………」

…こ、この人間め…人間の癖に…

手当の為に優しく触れる彼の腕、触れるたびに憤ゆいような感覚に身体が震える。
気恥ずかしさに静かにしていたその時だった。

この男が欲しい…この男に私の全てを感じて欲しい…

このオスの、子が欲しいっ!!

「おし、いい子だ…そのまま、っておいっ!?いきなりなにするだー!!?」

敗北し、ドラゴンとしての意地が弱まった事で魔物としてオスを求める心に火が付いたのだろう。
今迄はプライドや理性で抑えていた、しかし負けてプライドも壊れてしまった今…それはもう、無理だ!

知りたい、このオスを知りたいしりたいしりたいしりたいっ!!!

流される!私が本能に…流されてしまうっ!!

自分じゃない、何かに体を動かされる形でドラゴンは直ぐにそのままルイスを組み伏せ、その上に自らが跨る。
その彼女の顔は既に上気しており、発情したかの様なとろんとした瞳がルイスを見つめて唇からは熱く荒い息が漏れる。

「ハァハァ…お、お前が悪いのだぞ?人間…お前が私のメスに火を付けたんだからなぁ…もうこうなったら…私は耐えられない!」
「何言ってんのかサッパリなんだが…取りあえず落ちつkむぐっ!?んっ〜!!?」

身体を動かそうとするがビクともしない。
オイオイ何処からこんな力が出るんだよ…抗議しようとした矢先、俺の唇が柔らかくて濡れた唇にふさがれた…


…………………………

「あっ、あぁ♪凄い、知らないっ!こんなの…知らないぃ!こんな、こんなに良いなんてぇ♪」

男に跨り、夢中で腰を振る私。
男を咥え込む私の蜜壺からはトロトロと蜜が滴り、打ち付ける度に辺りに雫となり弾け散る。

動く度に頭が蕩けそうな快感、こんなもの…感じた事ないっ!

「く、ぉぉ…ヤバイ、何て気持ち良さだ…!気を抜いたら、出ちまう!!」

私の中が気持ちいいのだろうか、男の口から苦しげな声が漏れる。

「あ、あんっ♪嬉しぃ…私はそんなに良いのだなぁ♪……良いんだぞ、私の中にくれぇ!お前の子種を沢山ほしぃ!」

ダメだ、此奴の言葉が嬉しすぎて私の中もキュンキュンしてしまうっ♪
あぁ!何て幸せなんだ…こんなに此奴の気持ち良さそうな顔を見ると私の心が満たされる…
私で気持ち良くなってくれているのがとても嬉しい…♪
この幸せ、もっと欲しい!
此奴からもっと貰いたい、共に幸せになりたい♪

「お前が、お前の全てが欲しい!はひぃ♪あぁん!」

「ハァハァ…其奴は、俺が好きって…事か…?」

「う、うんっ♪好き、好きなんだぁ♪お前無しじゃ私はもういられない!私の全てをやってもいい!お前の全てが欲し…んふぅ!?」

身体を倒し、男の身体に縋るように抱き付く私の唇を男が奪う。
絡みつくような口付け、私も無意識に唇を求めてしまう。

駄目ぇ、今の口付け…頭が溶けるぅ♪

コレじゃ期待してしまうじゃないか…お前の言葉にぃ…♪


「んっ、ちゅっ…ちゅる……はぁ♪…そんなに好意をぶつけられたら男として…断れないだろ?第一、こんな快感与えられたら……人間の女なんて無理、お前以外で満足できねぇ…ウッ!」

「はぁ…嬉しぃ♪駄目ぇ…嬉しすぎてもう苦しいぃ♪胸が苦しいんだぁ…」

男の言葉に私の身体が反応し、胸が締め付けられる。
しかし嫌な苦しみじゃない…♪

「うぉっ!?そんなに締め付けるなよっ!出ちまう!!」

男の言葉に私の中まで締め付けられていた事に気付く。
そして…私の頭の中でも快感のスパークが強まってきているようだ。

コレを私の頭を一杯にしてしまえばどうなるのだろうか…
少し怖いが…凄く楽しみだ♪

パンッパンッパンパンパンパンパンパンッ!!

腰の振りが自然と速まり、男のモノが私の最奥を叩く度に私の頭の中が白く染まる。
それは次第と強まり、閃光に近いモノへと変わっていく。

「ハッハッハッ…♪あぁん♪くるっ!何か、凄いのが来るっ!すご、あひぃ♪はぁぁあぁっ♪」

ダメだ!もう…無理っ…

頭が、白く…染まって…♪

「はひゃぁあぁあああぁあっ!!」
「くううっ!!あぁっ!!!」

びゅるっ!!びゅぅぅぅっ!!

閃光が弾けるような強い快感に身体が強張り、身体が痙攣を起こす。
そして子宮には待ちに待った男の子種が勢い良く注がれ、メスとしての喜びに表情が緩み、身体が嬉しそうに弛緩する。

あはっ…コレが、メスの…喜びぃ…♪
たまらない、そしてもっともっと欲しい♪

「…もっと、もっとぉ♪私にお前をもっと刻み込んでくれぇ…♪」

無意識にねだるよう男の耳に囁く私、膣内は無意識にもっと男の子種が欲しくて締め付けを再開している。

「…俺からも頼む、もっとお前を知りたいんだ。」

「あはっ♪嬉し…はぁっ!んっあっ!」

私の望む言葉を返す男、喜びに顔を蕩けさせる私の尻を掴み叩き付ける様にまだ硬いモノで私を突き上げる。

男に攻められる快感に嬌声をあげ、幸せを感じながら私は男に身を任せた…


「やぁ!いぃ、そこ♪そこをもっとズボズボしてくれぇ♪」

さっきとは違い、俺が主導権を握る正常位でドラゴンを攻める。
異形の美女は俺の突き上げに合わせて締め付け、幸せそうに喘ぎを漏らしている。

本気で俺を好きになっているのだろう、俺から与えられる快感に本当に気持ち良さそうにする彼女…
先程殺し合ったのが嘘みたいに感じる。
俺もこの異形の女性との交わりで完全に惹かれっちまった。
こんな良い女は中々いない…
しかし、コレで良いのだろうか?

…此処の存在ではない俺は、この異形の女と結ばれて良いのか…?
この世界にとっては良くない事ではないのか?


「はぅぅん♪どうした…疲れたのか…?」

少し考え過ぎて動きを止めていたらしい。
動きを突然止めた事に物足りなさそうな声を漏らすドラゴン。
心配そうな瞳で此方を見つめる相手の目を見ながら首を振る。

「いや、一つ…伝えたい事があるんだ。」

「なんだ?…大切な、事みたいだな……んんっ♪」

真剣な表情の俺を見つめる蒼い瞳。
彼女は俺の言葉を待つように静かに見つめる。

「あぁ…本当に今更なんだが…俺はこの世界の人間じゃない。異世界の人間なんだ。ドラゴンなんて、いや…魔物なんて存在すらしない世界のな。この世界の人間と同じとも限らない存在なんだ。」

「…それが、どうかしたのか?」

告白する俺にドラゴンは気にする事無く微笑みながら頬へ手を伸ばす。
鱗に覆われた滑らかな手が頬に触れる。

「いや、だからな…お前らからすれば得体のしれない奴なんぞ?俺は…だから、俺で良かったのかと…」

「解っていた、初めて会った時から違和感を感じていたからな……だからそんな事どうだっていい…私はお前が好きなんだ。得体のしれない奴で結構、私はお前が良いんだから……だから…そんな細かいことを気にするな、それを忘れるぐらい…私を沢山愛してくれ…♪」

微笑みながら頬を撫でるドラゴン。
先程怪我を負わせられた手だが今はその手がとても心地よく、そしてこの異形の女性をとても愛おしく思えた。

あぁ、やっぱり俺は…此奴に惚れっちまったんだな。

「…愛してる、大好きだ。」

「私も大好き、愛している…ひゃん!?あっ♪へぁっ♪」

再び動き出した俺に嬌声を上げる彼女。
膣内を抉り、愛液を掻き出すような激しいピストンに背を仰け反らせるドラゴンに身を重ねた。
俺を求め伸びる手、その手を握れば相手も加減して握り返してくる…

「好き、好きぃ♪あぁん!好きだぁ♪」
「はぁ…はぁ…俺も、おまえの事が…好きだっ…!!」

愛の言葉をひたすら連呼する彼女へ容赦無く突き上げる。
悦びを露わにしながらドラゴンは片腕で俺の身体を抱き寄せた。

「そ、そろそろ、またクるぅ!強いのがクるんだぁ♪また!またお前と一緒にぃ♪」

「そうか、また…イキそうなんだなっ?俺も…また限界が…!!」

「あぁん♪そうだイキそうなんだぁ!だから私に、トドメを刺してくれぇ!!」

激しいピストンに大きなバストを揺らし、悲鳴に近い嬌声を漏らす。
その彼女にトドメと言わんばかりに最奥まで突き上げた。

子宮口を突き上げ、強く押し上げて子宮を揺らした。

「ひっ!?んぁぁああぁぁぁっ!!」

どぴゅっ!びゅるるっ!!

それにて果てたドラゴンか身体を硬直させ、俺から精液を搾り出そうと強く締め付ける。
それに耐えられず再び精液を注ぎ込む。
その精液をより感じたいのか彼女は俺の腰に脚を絡ませ、離さない。そのままドラゴンの子宮に精液を注ぎ込む。

「はぁぁぁっ♪あったかぁい…♪」

幸せそうに蕩けた笑顔を見せ、射精の余韻に浸る相手、そのドラゴンの髪を優しく撫でながら耳元に唇を寄せ…

「はぁ、はぁ…まだ、やるか?」

ふと無意識に言葉が漏れる、よくわからないがまだヤリ足りなく感じるのだ。
任務完了後に娼婦を買って抱いたりしていた事もあった…だがこんな事は初めてだ。

いつ迄も、いつ迄も抱いていたい…!

そんな欲望がフツフツと心の底から浮かび上がってくる。

「…あぁ♪もっとぉ♪……もっとこの幸せを感じたいんだ…」

俺の言葉に満面の笑みで答える彼女。
俺達は何方からでも無く、ゆっくり唇を重ね合った…


……………………………



「ん…朝……?」

ガラスの無い窓から差し込む朝日に照らされ、鳥の鳴き声が廃城に響く。
私が此処へ来た際から聞かなくなった鳴き声。
私の魔力や威圧感で辺りの動物達は逃げてしまっていた、おそらく私が負けてそれらが緩くなった為に戻って来たのだろう…

鳴き声に目を覚ました私はゆっくりと目を開く。
目の前には私に身を預け、軽くイビキをかいて眠る若い兵士の男の顔があった。
アレから散々男と交わり、沢山の精を頂いた為か身体の調子は頗るいい。
お陰で治癒力も上がり傷も火傷もある程度は治ったようだ…その男は疲れからかまだ寝ているが。

無理もない、散々絞り取ったからな…あの時の私の痴態を思い出すと溜息が漏れる。

「…はぁ、私はこんなふしだらな竜だったか?あんなにこの男を求めてしまうとは…」

まだ繋がったままの下腹部を撫でながら苦笑する。
自分の中を満たす相手がとても愛おしい…人間相手にこう思うとはな。

いや、人間だからか?

…今更そんな事はどうだって良いか。私は此奴が好きなんだからな…

コレが現魔王の魔力のせいだとしても別にどうだっていい…破壊や殺戮もどうでも良くなる。

この暖かな想いとそれ程胸を満たす幸せをくれたのだから…♪

「何故、私は拒み続けたのだろうか…これ程温かなものをプライドに縋り付いて恐れてたなんて…馬鹿みたいだな……悪くない。好きだと言われる事も好きだと思う事も悪くない…ふふっ♪」


烈火の如き激しい交わり、その中で好意を伝え合ったあの夜…

思い出しただけで心が満たされ、胸が暖かくなる。

途端に今迄の私がバカらしく感じた、全てを壊して全てを奪う存在だった私を…それで何を得られるのだろう?きっと何もかも失っていた筈だ。

…礼を言うぞ、現魔王よ。
正直気に食わない奴だが私に愛する心を与えてくれてありがとう…

男よ、私の止まった時を動かしてくれてありがとう………お前からは大切なモノを貰った、返しきれぬ程の大きくて、掛替えのないモノを…

…私はこの命尽きる迄お前の側に居よう。たとえお前が元の世界に戻ろうとも、理を変えてでもついて行ってやる。

好きだ、愛しいオスよ…♪

………………………

「…ホントか?俺について来るって…」

「あぁ、こんな場所には何の未練も無いからな…ルイスの側に居れない方が何百倍も辛い」



…俺が目を覚ましたのは結局昼近く。
既にドラゴンは起きており、俺が起きるや否や微笑みをくれてキスをして来た。
怪我をした腕はぎこちなく包帯が巻かれていた、どうやら彼女が手当てしてくれたらしい。
初めて会った時とは違う今の姿…
威圧感の無くなった代わりに見せる優しげな美貌に思わずどきりと胸が高鳴った。

それからグチャグチャなお互いの身体に笑いながら敷地内の小川にて水浴びし、服を身につけ装備を整えて武器をチェックする。
蹴り飛ばされたパナマカービンはホロサイトが破損していて使用出来なくなっていた。
まぁ古いA2基本モデルゆえキャリングハンドルにアイアンサイトがある。
使用は問題はない、しかし弾はかなり減っているが…
謝る彼女に気にするなと笑い壊れたホロサイトを捨て、必要な物を身につけながら俺は彼女に伝えた。


俺は仲間を探しに行く、だから此処を出ると。

そうしたら彼女も着いて行くと言い出し、外に出て今に至る訳だ…


城を振り返りながら俺は側にいるドラゴン…名はティアマトと言うらしい…に尋ねる。
すぐ隣にいる人外の美女は首を振ってこれが答えだと言わんばかりに俺の腕に抱きついて来た。

畜生っ、可愛い奴め!

つい愛おしくなり抱きつく彼女の頭を優しく撫でてやる。

戦争の中では恋愛なんて無縁だった。
故にこれ程素直に好意を寄せてくる彼女が尚更愛おしく感じる。

「ふふっ…お前の仲間は無事だといいな、お前の様な男のいる部隊だ。きっと強者ぞろいなんだろう…会うのが楽しみだ…♪」

「変わった奴が多いがいい奴らさ、隊長も隊長に相応しい器の人だ…ただ戦おうとしないでくれよ?」

この世界に居るかは解らない、もしかしたら元の世界で戦ってるかもしれない。

もしかしたら…生きてすらも…

しかし、俺は間違いなく此処に皆は居ると確信していた。
根拠のない勘だが…そんな気がしてならない。

「する筈もない、ルイスの大切な仲間だものな。傷付けたりしたくはない」

「助かる、それじゃ行こうか、ティアマト。先ずは何処へ行く?」

「そうだな…レオドルに向かおう。其処はこの辺りの親魔物領を治める都市だ、此処から割と近い上に交流もある。もしかすると仲間が流れ着いているかもしれないな…私の背中に乗れ、私が乗せて行こう」

親魔物領の都市か、きっと沢山の魔物が居るのだろう。
其処で住む人々は一体どんな生活を営んで居るのだろうか…少し興味が湧くな。

そう考える間に離れたティアマトが人型から巨大な竜へと姿を変える。
その姿は典型的な竜の姿をしていたが輝く青い鱗に包まれたその姿はまるで宝石の様に美しい。

「しかし竜の姿になれたんだな、その姿で戦えば俺に負ける事は無かったんじゃないか?」

竜の姿に変わるティアマトへ訪ねる。
どう考えてもこの姿なら勝てた気がしない…いや、あの勝利も偶然みたいなモノだが…

「あんな狭い場所でなれる訳ないだろう?ソレに…この姿はあまり長い間なれないんだ」

そりゃそうだな、広いエントランスとはいえその図体じゃ身動き取れなくなるものな。
しかし攻撃が通りそうにない、ホント良かったぜ…

「さぁ、早く乗れ。さっきも話したように長時間はこの状態を維持出来ないからな?」

「あぁ、解った。今乗る…よっ」

急かされ、その輝く鱗を登り、背中に跨る。
優しく背を撫でてみればくすぐったそうに身体を揺らした。
その仕草が愛らしく見える。

この姿でも可愛いな、畜生っ

「くすぐったいぞ、ルイス。飛んでる時はやめてくれよ。落としてしまうからな?」

「おおこわい、落ちないようにしがみついとくよ…飛んでる最中に撃ち落とされたりとかないよな?」

「ドラゴンを襲おうとする愚か者はおらんだろう、こう見えても私は上位魔族だ。この辺りでマトモにやりあえる奴はレオドル領主とサバトの長しかおらん…が、私はやんちゃしていたからな。もしかしたら攻撃されるかもしれない…まぁその時はどうにかお前を守る。安心してくれ」

おいおい…

ティアマトの言葉に思わず苦笑してしまう俺。
この先何もなければ良いんだが…

それよりそんな化け物がまだ二人も居るのか。
親魔物領とか言ってたから大丈夫だろうと思うが…出会って一悶着とかない事を願うのみだな。

「それでは行くぞ、ルイス!しっかりつかまっていろ!」

「おうっ、コッチは準備万端だ!頼んだぜ!!」

「ふっ♪……あぁ、任された!最愛の人よ!!」

しがみつく俺の返答に大きな翼を広げ、ティアマトは地を蹴る。大きな翼が力強く羽ばたき、白い雲の浮かぶ大空へとたちまち登って行った…



…………………

「…やれ行ったようじゃな。しかしあのティアマトを陥落させるとは…あの人間、中々やりおるのぅ。人らしい強さを持ったいい男じゃったなぁ…あぁお兄様にしたかった…」

飛び立つ竜の姿を城の上から眺める少女(幼女?)が一人。
蹄を持つ足、もふもふの三本指しかない両腕に幼い顔の上にはヤギの角を生やし、身体に不釣り合いな大鎌を持つ…先程ティアマトが話していたバフォメット、エリニアがいた。
飛び去る二人を幸せそうな表情で見つめながら本音をポロリと漏らす。
此処へ来た理由、それはティアマトの森で観測された次元の歪み…それの確認の為だ。

決して兄様探しの旅ではないぞ?

『♥只今エリニア様の兄様募集中!興味ある方はレオドルのサバト支部までご連絡下さい!♥』

「…なんなんじゃぁ今のはぁ?」

…冗談です、エリニア様お願いですから白目で睨まないで下さ、いっ!?ちょエネルギーを溜めないでス○ーイングブ○スターは止めt

 \デデーン☆/

…………………


「…しかしドラゴンブレス弾じゃったか。これっぽっちの弾があれ程の力を持つとは思えん…ドラゴンブレスと言う名が力を持ったとしてもあれ程強力にはならんはず…あの人間の生きたいという意思、それが力となったのか…又は心の奥で変化を望んでいたティアマトの力がドラゴンという名の共通点から流れ込んだか…何にしろ興味深い事よのう」

指に摘まんだ物を見ながらポツリと呟くバフォメット。
それはドラゴンブレス弾の空薬莢…興味深そうに見つめながら考える。
だが小さく笑えばソレを自室にテレポートさせた。

「ティアマト、ルイス…ワシは一足先にレオドルにて待っておる。ワシらもお主達に会えるのを楽しみにしておるぞ?ふふっ♪」

笑みを浮かべ、二人の消えた方角を見つめながら言い残すとマントを翻し、光の当たらない廃城の中の闇に消える様に姿を消した…

………………

「好きだ、ルイス!」

「そう堂々と言うな!恥ずかしいだろうがっ!……好きだぞ、ティアマト…」

「ふふっ♪夜はあんなに連呼してくれていたのにな、恥ずかしがり屋め♪…さぁ、お主の大切な仲間を探そう!何処までもな♪」

「あぁ、勿論だ!」


仲間が居る事を願いながらも、愛する者と共に進む楽しさを味わいながら一匹と一人は大空をゆく…

12/08/16 20:44更新 / RPK74
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■作者メッセージ
ウッズ 「メイソン!スパスだ、コレで持ってきたドラゴンブレス弾が使えるぞ!」

BOでのこの一言から思い付いたネタになります。
ドラゴンさんは良いよね、ホント八つ裂きにして貰いたいぐらい大好きです。
あ、にゃんにゃん出来ればなお良いかなぁ…

次は領主のヴァンパイア様を予定してます。

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