煩きつね
西沢幸雄は、妹の部屋の前に立っていた。
彼の妹、西沢由梨香は、一週間前までは普通の女子高生であった。明るい性格で、よくしゃべる。友達も多く、毎日帰りが少し遅い。そんな彼女であったが、まるで中身が入れ替わってしまったかのように、部屋の外に出なくなってしまった。
ひきこもりとは違い、ちゃんと学校に行き、食事も居間まで下りてとっている。しかし、授業が終わったらまっすぐ家に帰ってくる、家族とは一切会話をしないと、性格が丸っきり正反対になってしまった。
両親がそれとなく聞いてみても、生返事しか返さず、すぐに自室に引っ込んでしまう。普段から奔放な性格に心配をしていた彼らであったが、こうも極端に生活習慣が変わってしまうと、それはそれで不安なのである。
親に話せないことでも、兄にならということで、半ば説得される形で、幸雄は由梨香の様子を覗くことになった。
「おい、入るぞ」
ノックをしたが、返事はない。仕方がないのでもう一度ノックをしたが、反応は同じであった。
ため息をつき、彼はノブを回す。予想に反して、扉はすんなりと開いた。
――開いている?
そっと扉を押すと、音を立てずにそれは開いていった。部屋の中は闇。電気が付いておらず、夜の闇が部屋の中に侵食しているかのようであった。
「由梨香、寝てるのか?」
足を踏み入れた彼が最初に感じたのは、匂いであった。汗の甘酸っぱい匂いと、それとは違うもっと甘ったるい匂い、それからかすかに獣の香りも混じっていた。
――何だ、この濃い匂いは……
そして次に感じたのは、湿った音。ぬちぬちぐちゅぐちゅと、小さいながらも耳に残る音。そして、女の呼吸音。
「起きてる、のか?」
ただならぬ不安を感じた彼は、それを払拭しようと電灯のスイッチに手を伸ばした。タッチパネル式になっているため、指をボタンに触れるだけで電気が灯る。
「えぁっ、あうぅ?」
幸雄が思っていた通り、彼女は起きていた。セーラー服を着替えず、ベッドの上で膝立ちになっていた。彼女の手は下半身に伸び、スカートをまくり上げ、パンティの中に……
「なっ、何をやってるんだお前……」
そう漏らすのが精一杯であった。起きていることは想像がついたが、こんなことをしているとは完全に想定外であった。彼の目は驚きで見開かれている。
「あんっ、あっ、はうぅっ……」
彼女は兄の呼びかけに答えず、指を動かし続ける。半目の状態で瞳は潤み、口はわずかに開いて唾液が端から垂れ落ちている。足の付け根からは、粘度の高い液体が、指の動きに合わせて、漏れたり止まったりを繰り返している。
「おい聞いているのか?」
「うぁう……あっ、あはぁっ……」
彼女の視線は兄の方を向くが、返事なのか喘ぎなのか分からない声を漏らすのみ。
「ちゃんと返事を……!」
強く妹の彼女をつかんだ幸雄は、言葉を失った。彼の手に、強い震えが何度も伝わる。
「ふっうぅっ……!うぅぅ……!」
彼の顔を覗いたまま、由梨香はさらに表情をとろけさせた。小さく舌を出し、その先っぽから唾液が糸を引いてこぼれる。頬と言わず全身が紅潮し、腰を中心に一度、二度、三度とびくびくと全身が震える。
「くうぅっ、あっ……ほぅ……」
彼女の震えが止まり、一つため息をついた。目に理性らしきものが戻り、ようやく自分の状況を理解したようだ。
「兄貴ぃ?」
小さく、目の前の相手を呼ぶ。しかし、呼ばれた本人はそれどころではなかった。
――あの震え、まさか……絶頂、したのか?俺に肩をつかまれて……
ごくりと彼は唾液を飲み込んだ。脳裏には、先ほどまでのとろけきった女の顔が浮かぶ。
彼の表情を見て、彼女はにたりと笑みを浮かべた。
「ねぇ、兄貴ぃ」
甘ったるい息を吐きながら、甘ったるい声を出す。
「えっ、あっ……な、なんだ……?」
声をかけられて、幸雄はようやく我に返った。引きつった笑みを浮かべる。
「あのね、私、まだイき足りないの……」
「は?」
彼は耳を疑った。予想外のことが起こりすぎて、彼の脳が整理をしている内に、妹が言葉を畳み掛けた。
「だからね、兄貴ぃ、オカズになってよ」
力のこもっていない両腕で、彼女は幸雄のジーパンのチャックに手をかけた。
「やめろっ……!」
彼はいまだ思考の渦にはまったままであった。よって、彼女の手を振り払ったのはほとんど反射反応によるものである。乾いた音がして、彼の股間に伸びる手が払われた。
「何やってるんだよお前は。自分がしていることが分かっているのか?」
何とかそれだけを口にすることができた。
「うん、分かってるよ?」
にぃと目が細くなり、妹が答える。淫らにとろけきった笑顔が、幸雄の心拍数を高くする。だが、彼は彼女の異常な空気に流されまいと、首を小さく左右に振って何とか逃れようとした。
「分かってるって……あのなぁ、年頃の女の子がな?そうやって人前でいやらしいことをしてはいけないんだぞ?全然分かってないだろ」
「んふふ、兄貴、私のこと『女の子』として見てるんだぁ……」
語気を強めた兄の説教も、妹には届かないようだ。異性として意識されているのではないかと、むしろ嬉しそうに微笑む。
――これは、何を言ってもダメなのかもしれんな……
心の中で落胆のため息をついたが、同時に、彼の心の中には、異性として見ているという、妹の言葉が何度も反芻していた。そして、先ほどの笑顔に少しでもときめいた自分の心に、驚きを隠せないでいた。
――まさか、俺は、こいつを……
実に都合のいい、短絡的な帰結であり、心の展開である。幸雄は奔放な由梨香と違い、物静かで理性的な性格である。通常ならば、感情や本能に流されるような思考には至らない男であったが、このような心理に陥った理由として、由梨香から発せられる淫気が挙げられる。
「あー、やっぱりぃ。黙っちゃうってことは、肯定してるってことだね?」
じゃあ……と、払われた手を再び彼の股間に伸ばす。
「だから、止めろって……」
彼は静止を言葉にはするが、先ほどのとまどいの影響で、行動として表すことができなかった。小さく両手は震えるが、それを彼女の元へ動かすことができない。
「大丈夫だよぉ、兄貴をオカズにしたらぁ、きっと私、満足すると思うから」
ゆっくりとジッパーが下ろされる。
「よいしょ、よいしょ……わぁ……!」
一番下まで下ろされたチャックの隙間から、勢いよく硬くなったペニスが飛び出した。彼女は目を輝かせ、歓声を上げる。
「はぁぁ、これが、兄貴の……兄貴のぉ……」
亀頭にかぶった余り皮の先端に触れそうなほど鼻先を寄せ、彼女は大きく息を吸った。
「お前、触ったら、オカズじゃないだろ……」
「んっ、はぁぁ、大丈夫ぅ……触らない、触らないからぁ」
吸った空気を大きく吐きつつ、彼女は指の動きを再開させた。ぐちぐちと、彼が部屋に入ってきたときよりも大きな音が鳴る。
「あんっ、くぅぅ、ふぅんっ」
喘ぎ声もそれにともなって大きくなる。まるで、目の前の相手によく聞かせているかのようである。
――ぐっ……
声にならない声を、彼は漏らした。妹が喘ぐたびに、彼女の口から息が漏れる。それが自分の一番大事な場所にかかるのだ。ぴくぴくと小さく震え、早くも先走りの粘っこい汁が余った皮の出口から垂れ始めていた。
「あうぅっ、わうっ……ふふっ」
それに、彼女が気付いてしまった。彼女は目を閉じて自慰にふけっていたが、濃い匂いが徐々に上に進んでいくのを感じたため、まぶたを開けたのだ。すると、視界に入ったのは、すっかり臨戦態勢を整え硬さを増していたペニスと、今にも床に垂れ落ちそうになっている我慢汁の雫だった。
「あーん」
舌を出し、雫の真下に伸ばす。
「お前、何して……」
「れるん」
伸びていた粘液の糸が切れ、重力に引っ張られて雫が落ちた。それを床に滴らないように彼女は舌を丸めつつキャッチした。
「あうっ」
そのとき、勢い余って舌先が彼のペニスにわずかながら触れてしまった。
「あはぁ、ごめぇ……ん……?」
「くあっ!あぁ……はぁぁ……」
淫気に理性を溶かされてしまっていた男には、その刺激だけで十分だった。睾丸が何度も収縮し、黄色がかった濃厚な精液を、勢いよく発射してしまったのだ。
「こ、これ、まさか……」
突然の射精でしばらく呆然としていた由梨香だったが、すぐに満面の笑みを浮かべた。それは悪戯っ子のようで、どことなく黒さをともなった笑顔であった。
「兄貴ぃ……舌先が触れただけで射精しちゃうなんてぇ……」
「うあぁ、あっ、す、すまない……」
いくら童貞といっても、ここまで刺激に弱いと思っていなかった彼は、ひどく狼狽しつつ謝罪した。妹の目が細くなり、ぺろりと唇をなめる。
「だぁめぇ、謝っても許してあげなぁい。もう、こんなにどろどろにしちゃってぇ……」
彼女がそう言うと、精液を放出したばかりでひくついているペニスに吸い付いた。
「うぁっ!何やって……」
「ちゅぶっ、ちゅぶっ……ぷぁっ、ダメだよぉ、こんなに精液で汚しちゃってぇ……あむれるっ」
自分の顔にかかった精液を放っておいて、彼女は兄のペニスに付着した精液の掃除を始めた。
「じゅぼっ、じゅぶっ、れるっ、れるるっ……はぁぁ、ダメだよぉ……こんな美味しいのぉ、ちゃんと綺麗にしてあげないとぉ……」
「うぐあぁぁ!」
舌が皮と亀頭の間に入った瞬間、彼は大きく悲鳴を上げた。包茎の弱い桃色の粘膜が舌と触れ合い、電流のような快感が走ったからだ。
「んちゅっ、んふふっ……ここ、いっふぁい汚れてるぅ……」
舌先が奥まで入り、カリの溝に触れた。細めた瞳をとろけさせ、こびりついたカスをこそぎ落とす。
「あぁっ、くぅぅっ、あぐぅっ!」
腰がガクガクと震え、今にも力を失ってしまいそうなのを、回り込んできた彼女の両腕で支えられた。
「あむちゅっ、れるれる、んぐっじゅぅぅ……ねぇ兄貴ぃ」
湿った瞳が、彼の顔を上目遣いで覗く。
「これぇ、お掃除なんだよ?今ぁ、私は兄貴のちんちん、綺麗にしているんだよ?」
「あ、ああ……」
力なく、兄が応答する。
「それなのにぃ、んちゅっ、また、精液出そうになっちゃうの?」
非難しているような台詞であったが、全くそうは思わせない口ぶりであった。何度も幹にキスを浴びせ、どことなく嬉しそうな口ぶりである。
「くぁっ、それは、お前がっ、そういうことする、から……」
「いいよ」
きゅっと、彼女の手が幹を握る。中指と薬指、そして親指で輪を作り、人差し指と小指を立てた状態で、彼のペニスを前後にしごき始めた。
「ぐっ、由梨香……何を……」
「いいよ。ザーメン、出していいよ。美味しいから、好きだからぁ、いっぱいいっぱい出して、飲ませてぇ」
キツネサインのまま強く前後にしごき続けると、包茎が剥けたり戻ったりを始めた。皮のリングがカリを行ったり来たりするたびに、ぞくぞくっと彼の背筋が震える。さらに、彼女は自分の唇を亀頭に寄せ、何度もキスと吸い付きを繰り返した。
「んんっ、ちゅぅっ、ちゅっ、じゅぅっ……出して、出して、出してぇ」
徐々にキスの間隔が短くなり、ほとんど吸い付きっぱなしになり、握る力も強くなっていった。強烈な刺激が何度も襲い掛かり、ついに彼は我慢の限界に達した。
「ぐぅぅっ、由梨香ぁ!出るっ出るっ、出るからっ、早く、離れっ……」
快楽に堕ち本能に流されている状態でも、妹を心配する心は残っていた。
――このままだと、こいつの口の中に……
「いただきまぁす」
そっと目を閉じ、舌を伸ばした状態で、彼のペニスが彼女の口内に深く吸い込まれた。
「あ、がっ、ふぅぅっ……!」
腰を何度もひくつかせ、彼は妹の喉奥に大量の精液を流し込んだ。
「んぐっ、んぐっ……」
嬉しそうにまつげを震わせながら、喉を大きく鳴らし、彼女は精液を残さず飲み干していく。
「ごくっ……ごくっ……ぷはぁ」
陰茎の振動が止まり、精液の放出が止まると、ようやく彼女はそれを口内から開放した。同時に両腕の力を緩める。
「はっ、はっ、はぁぁ……」
がっくりと力を落とし、幸雄は床に腰を下ろした。
「あ、顔にまだ精液残ってる」
一回目の射精で浴びせられた精液を、彼女は両手で丁寧にすくい取り、微笑を浮かべたまま口に運んだ。鼻歌を漏らしつつ、時折笑い声も上げる。
「ふぅ、ごちそうさまでしたぁ」
顔の精液を残らず舐め取ると、妹は誇らしげにそう言い、見せびらかすように兄の前で大きく口を開いて見せた。
「あーん、ほらぁ、全部飲んじゃったよぉ」
嬉しそうに見せびらかす彼女を、兄は赤面しつつ横目で見た。
「でもぉ、これで終わりじゃないよ?」
「え?」
射精もした、精液は全部舐め取られた。彼はそれで万事解決かと思っていたのだが、彼女にとってはまだまだ始まったばかりであった。
「だって、兄貴が途中でどぴゅどぴゅしちゃったせいで、私イってないもん」
――ああ、しまった、それがあった。
彼は後悔したが、もう遅い。
「ねえ、今ここで押し倒されるか、柔らかいベッドで押し倒されるか、どっちがいい?」
目を爛々と輝かせつつ、彼女が尋ねる。もう彼に逃げるという選択肢は与えられていなかった。
大きくため息をつき、彼はゆっくりと立ち上がった。まだ快楽の余韻によって両脚は震えていたが、何とか気を引き締める。そして、そのままベッドに大の字になって寝そべった。
「ふふっ、素直な兄貴、好きだよ」
可愛らしいいつも通りの笑い声であったが、表情は全く違っていた。淫靡で熟練の娼婦を思わせるような、妖しさに満ちた笑顔を浮かべていたのだ。
そして、彼は見た。彼女の全身から立ち上る、青い煙のようなものを。しかし、彼はすぐに首を小さく振った。まぶたを再び開けたとき、それはすでに消え去ってしまっていた。
「本当はキス、したいんだけどぉ……精液たくさんゴックンしたから、おあずけだね……」
さびしそうにつぶやきつつ、彼女の手はてきぱきと彼のズボンを引き下ろしていた。それが終わると、今度は自分のスカートに手をかける。
「スカート、下ろしたほうがいい?それとも着たまま?」
ぴたりとスカートのホックに伸びた手を休め、尋ねる。
「……着たままで」
恥ずかしそうに、幸雄は小声でつぶやいた。
「あはっ、兄貴って、そういうの好きなんだ。スカートの中ではとってもエッチなことがぁ……っていうの」
「うるさい」
ぶすっと口を閉じ、彼が非難した。
「うん、そういうの、私も好き。兄貴が好きなことは、みんな好き」
じゃあパンツもずらすだけでいいや、とつぶやくと、彼女はクロッチを軽く横にずらし、硬さを取り戻していた亀頭に、自分の一番大事な部分をすりつけた。
「はぁぁ、今から、兄貴の……入っちゃうんだ」
嬉しそうに微笑みつつ、彼女が声を漏らす。
「あのさ」
幸雄が小さく言う。
「その、あの……俺として、いいのか?」
小さく彼女は首を傾ける。
「ま、まあ、俺は……妹相手にこんな風に、勃起してしまう変態だから、いいけどさ……お前は、いいのか?俺、兄だぞ?血のつながった、家族……」
彼女の首がまたまっすぐに戻った。
「なぁんだ、そんなことかぁ。大丈夫だよ。だってぇ……ずっと兄貴のこと想いながら、オナニーしてたもん」
「由梨香ぁ!」
彼女の台詞が終わると同時に、彼は妹を強く抱き寄せた。
「んっ、んぅ……」
そして、彼は彼女の後頭部に手を回し、彼女の唇に吸い付く。
「んちゅっ、んんん!ぷぁっ、あ、あ、兄貴ぃ……精液、飲んだばっかりでぇ、うぅんっ!」
兄はそれ以上彼女の言葉を続けさせなかった。舌を絡ませ、唾液を交換し合う。
「はぁっ、じゃ、じゃあ、入れるぞ……」
唇を離し彼がそう言うと、強烈な喪失感に襲われた由梨香は何度も小さくうなずいた。
「れるぅ、ふぅぅ……入って、くるぅ……!」
まぶたが半分ほど下り、うっとりとした表情で、彼女は熱い兄のものを感じた。一日中ほぐしていたせいで、愛液と肉の境目が分からなくなるほどどろどろとしていた膣を、ペニスが這い上がってくる。
「あはぁ、奥ぅ、奥にきたぁ……」
ぴたりと二人の腰がくっつくと、満足気に彼女は深く息を吐いた。
「うぁっ、くぅっ、何だ、何だこれ……」
対する兄の方は、息つく暇もない状態であった。
――こいつの中、うねうねして、奥に引き込んできて……
強く閉じていた彼のまぶたの裏に、青い光が飛び込んできた。それはゆらゆらと漂い、黒と混じり、時折青に戻る。儚げな、炎を思わせる光。
はっとして目を開けると、そこには幸せそうに微笑む妹の顔があった。そして、彼女の頭には……
「それ、耳……?」
炎のようにゆらめく青い炎が、耳を形作っていた。三角で、尖がっている、獣のような耳。
「兄貴ぃ、やっと、気付いてくれたぁ……!」
泣きそうな笑顔を作り、妹は兄の胸に顔を寄せ抱きしめた。
「気付いたって、くっ、何が」
「これ、キツネの耳なんだよ」
両手を頭の上に持ってきて、手のひらをぴこぴこと前後させる由梨香。
「この前、兄貴のことを考えてたら、青い炎に包まれてぇ」
彼女の腰辺りがめらめらと青く燃えているのに、彼は気付いた。
「胸が締め付けられているようになってぇ、おまんこがきゅんきゅんしてぇ……」
炎が寄り集まっていき、長細い形を作り始めた。
「そうしたらね、声が聞こえてきたの」
――尻尾?
根元がほっそりとしていて、中ほどで太くなり、また先っぽで細くなる。その形と、ふさふさした毛並みを見て、彼はそう思った。
「『耳と尻尾が見える異性が、運命の人なんだよ』だって……だからね、私の耳と尻尾が見えた兄貴は、私の運命の人なんだよぉ?」
とろけきった笑みを浮かべ、彼女は兄の唇にキスをした。
「ちゅっ、んっ……私は、兄貴のものぉ……ちゅぅっ、兄貴はぁ、私のものぉ……」
キスを続けつつ、彼女の腰が上下し始めた。ぬちゅぬちゅとねちっこい音が鳴る。
「くあぁ……中、締まって……」
腰が上がるとき、膣肉が締まり、カリにひだが絡まる。腰が下がるとき、肉壷が開き、優しく全体を包み込んでくる。
外から見ると、ただ腰が上下しているだけである。しかし、スカートの中は兄への愛情と恋慕に満たされていた。
自在に動くひだと肉により、彼の射精欲が急速に高まってきた。
「ちゅぱっ、ふふっ、兄貴のちんちん、ぷっくりしたね」
由梨香が、嬉しそうに声を出して微笑む。
「いいよぉ、いつでも、出していいからねぇ?私と兄貴は、赤い糸で結ばれているんだからぁ……これから毎日、中出しし放題、ね?」
奥までくわえ込んだまま、彼女は腰をひねる。嬉しそうに肉ひだがペニスを抱きしめ、ぬるついた快感が走る。
「明日から、外でやろうよぉ。お父さんとお母さん、私がこもってるの、心配してるんでしょ?」
快感で表情を歪めながら、幸雄はうなずく。
「だからぁ、外でぇ、見つかるかもしれないってスリル、いっしょに楽しもうよぉ、ね?」
「そ、そうだな……」
彼の頭の中に、青姦の情景が浮かぶ。他人がすぐそばを通る場所で、二人は口をキスでふさぎながら、声を頑張って押さえ込む。そして、二人の性器がつながっている部分から出てくる音が、周りの人間に聞こえそうなほど大きくなって。
「くっ、うっ」
空想の情景と現実の快楽が混じり、彼は三度目の射精をした。
「んんー、中でびくびくしたぁ!はぁ、ザーメン、美味しいぃ……」
かくかくと腰を痙攣させながら、由梨香も気持ちよさそうに顔をとろけさせた。
それからしばらく後。
「ねえねえ、兄貴、ここ……」
小さく手を招き、兄を呼ぶ妹。
「ほら、ここ」
二人は、あの日から毎日、放課後にデートをするようになった。夕日で橙色に染まった街を、二人は仲良く並んで歩く。
この日は、オフィス街に来ていた。見上げるほど大きなビルが立ち並ぶ一角であるが、少し奥へ入ると、たくさんの秘密のスポットが見つかる、二人の密かな穴場である。
由梨香はついさっき、ビルの裏手から伸びる非常階段を発見した。今日はここでしようと、兄を呼んだのだ。
「あ、この踊り場、エッチな匂いがする」
すっかり魔物の体に慣れた彼女には、さまざまな能力が身についた。その一つが、鋭い嗅覚である。特に、性的な匂いに対する感覚が非常に敏感になっていた。
「ここ、最近別のカップルが青姦してたんだぁ……」
彼女が兄を抱き寄せると、甘くとろけるキスを交わした。
「じゃあ、先輩たちにならって、私たちもいっぱい、中出しエッチ……しようね」
制服のスカートをたくし上げ、妹は淫らに微笑んだ。
彼の妹、西沢由梨香は、一週間前までは普通の女子高生であった。明るい性格で、よくしゃべる。友達も多く、毎日帰りが少し遅い。そんな彼女であったが、まるで中身が入れ替わってしまったかのように、部屋の外に出なくなってしまった。
ひきこもりとは違い、ちゃんと学校に行き、食事も居間まで下りてとっている。しかし、授業が終わったらまっすぐ家に帰ってくる、家族とは一切会話をしないと、性格が丸っきり正反対になってしまった。
両親がそれとなく聞いてみても、生返事しか返さず、すぐに自室に引っ込んでしまう。普段から奔放な性格に心配をしていた彼らであったが、こうも極端に生活習慣が変わってしまうと、それはそれで不安なのである。
親に話せないことでも、兄にならということで、半ば説得される形で、幸雄は由梨香の様子を覗くことになった。
「おい、入るぞ」
ノックをしたが、返事はない。仕方がないのでもう一度ノックをしたが、反応は同じであった。
ため息をつき、彼はノブを回す。予想に反して、扉はすんなりと開いた。
――開いている?
そっと扉を押すと、音を立てずにそれは開いていった。部屋の中は闇。電気が付いておらず、夜の闇が部屋の中に侵食しているかのようであった。
「由梨香、寝てるのか?」
足を踏み入れた彼が最初に感じたのは、匂いであった。汗の甘酸っぱい匂いと、それとは違うもっと甘ったるい匂い、それからかすかに獣の香りも混じっていた。
――何だ、この濃い匂いは……
そして次に感じたのは、湿った音。ぬちぬちぐちゅぐちゅと、小さいながらも耳に残る音。そして、女の呼吸音。
「起きてる、のか?」
ただならぬ不安を感じた彼は、それを払拭しようと電灯のスイッチに手を伸ばした。タッチパネル式になっているため、指をボタンに触れるだけで電気が灯る。
「えぁっ、あうぅ?」
幸雄が思っていた通り、彼女は起きていた。セーラー服を着替えず、ベッドの上で膝立ちになっていた。彼女の手は下半身に伸び、スカートをまくり上げ、パンティの中に……
「なっ、何をやってるんだお前……」
そう漏らすのが精一杯であった。起きていることは想像がついたが、こんなことをしているとは完全に想定外であった。彼の目は驚きで見開かれている。
「あんっ、あっ、はうぅっ……」
彼女は兄の呼びかけに答えず、指を動かし続ける。半目の状態で瞳は潤み、口はわずかに開いて唾液が端から垂れ落ちている。足の付け根からは、粘度の高い液体が、指の動きに合わせて、漏れたり止まったりを繰り返している。
「おい聞いているのか?」
「うぁう……あっ、あはぁっ……」
彼女の視線は兄の方を向くが、返事なのか喘ぎなのか分からない声を漏らすのみ。
「ちゃんと返事を……!」
強く妹の彼女をつかんだ幸雄は、言葉を失った。彼の手に、強い震えが何度も伝わる。
「ふっうぅっ……!うぅぅ……!」
彼の顔を覗いたまま、由梨香はさらに表情をとろけさせた。小さく舌を出し、その先っぽから唾液が糸を引いてこぼれる。頬と言わず全身が紅潮し、腰を中心に一度、二度、三度とびくびくと全身が震える。
「くうぅっ、あっ……ほぅ……」
彼女の震えが止まり、一つため息をついた。目に理性らしきものが戻り、ようやく自分の状況を理解したようだ。
「兄貴ぃ?」
小さく、目の前の相手を呼ぶ。しかし、呼ばれた本人はそれどころではなかった。
――あの震え、まさか……絶頂、したのか?俺に肩をつかまれて……
ごくりと彼は唾液を飲み込んだ。脳裏には、先ほどまでのとろけきった女の顔が浮かぶ。
彼の表情を見て、彼女はにたりと笑みを浮かべた。
「ねぇ、兄貴ぃ」
甘ったるい息を吐きながら、甘ったるい声を出す。
「えっ、あっ……な、なんだ……?」
声をかけられて、幸雄はようやく我に返った。引きつった笑みを浮かべる。
「あのね、私、まだイき足りないの……」
「は?」
彼は耳を疑った。予想外のことが起こりすぎて、彼の脳が整理をしている内に、妹が言葉を畳み掛けた。
「だからね、兄貴ぃ、オカズになってよ」
力のこもっていない両腕で、彼女は幸雄のジーパンのチャックに手をかけた。
「やめろっ……!」
彼はいまだ思考の渦にはまったままであった。よって、彼女の手を振り払ったのはほとんど反射反応によるものである。乾いた音がして、彼の股間に伸びる手が払われた。
「何やってるんだよお前は。自分がしていることが分かっているのか?」
何とかそれだけを口にすることができた。
「うん、分かってるよ?」
にぃと目が細くなり、妹が答える。淫らにとろけきった笑顔が、幸雄の心拍数を高くする。だが、彼は彼女の異常な空気に流されまいと、首を小さく左右に振って何とか逃れようとした。
「分かってるって……あのなぁ、年頃の女の子がな?そうやって人前でいやらしいことをしてはいけないんだぞ?全然分かってないだろ」
「んふふ、兄貴、私のこと『女の子』として見てるんだぁ……」
語気を強めた兄の説教も、妹には届かないようだ。異性として意識されているのではないかと、むしろ嬉しそうに微笑む。
――これは、何を言ってもダメなのかもしれんな……
心の中で落胆のため息をついたが、同時に、彼の心の中には、異性として見ているという、妹の言葉が何度も反芻していた。そして、先ほどの笑顔に少しでもときめいた自分の心に、驚きを隠せないでいた。
――まさか、俺は、こいつを……
実に都合のいい、短絡的な帰結であり、心の展開である。幸雄は奔放な由梨香と違い、物静かで理性的な性格である。通常ならば、感情や本能に流されるような思考には至らない男であったが、このような心理に陥った理由として、由梨香から発せられる淫気が挙げられる。
「あー、やっぱりぃ。黙っちゃうってことは、肯定してるってことだね?」
じゃあ……と、払われた手を再び彼の股間に伸ばす。
「だから、止めろって……」
彼は静止を言葉にはするが、先ほどのとまどいの影響で、行動として表すことができなかった。小さく両手は震えるが、それを彼女の元へ動かすことができない。
「大丈夫だよぉ、兄貴をオカズにしたらぁ、きっと私、満足すると思うから」
ゆっくりとジッパーが下ろされる。
「よいしょ、よいしょ……わぁ……!」
一番下まで下ろされたチャックの隙間から、勢いよく硬くなったペニスが飛び出した。彼女は目を輝かせ、歓声を上げる。
「はぁぁ、これが、兄貴の……兄貴のぉ……」
亀頭にかぶった余り皮の先端に触れそうなほど鼻先を寄せ、彼女は大きく息を吸った。
「お前、触ったら、オカズじゃないだろ……」
「んっ、はぁぁ、大丈夫ぅ……触らない、触らないからぁ」
吸った空気を大きく吐きつつ、彼女は指の動きを再開させた。ぐちぐちと、彼が部屋に入ってきたときよりも大きな音が鳴る。
「あんっ、くぅぅ、ふぅんっ」
喘ぎ声もそれにともなって大きくなる。まるで、目の前の相手によく聞かせているかのようである。
――ぐっ……
声にならない声を、彼は漏らした。妹が喘ぐたびに、彼女の口から息が漏れる。それが自分の一番大事な場所にかかるのだ。ぴくぴくと小さく震え、早くも先走りの粘っこい汁が余った皮の出口から垂れ始めていた。
「あうぅっ、わうっ……ふふっ」
それに、彼女が気付いてしまった。彼女は目を閉じて自慰にふけっていたが、濃い匂いが徐々に上に進んでいくのを感じたため、まぶたを開けたのだ。すると、視界に入ったのは、すっかり臨戦態勢を整え硬さを増していたペニスと、今にも床に垂れ落ちそうになっている我慢汁の雫だった。
「あーん」
舌を出し、雫の真下に伸ばす。
「お前、何して……」
「れるん」
伸びていた粘液の糸が切れ、重力に引っ張られて雫が落ちた。それを床に滴らないように彼女は舌を丸めつつキャッチした。
「あうっ」
そのとき、勢い余って舌先が彼のペニスにわずかながら触れてしまった。
「あはぁ、ごめぇ……ん……?」
「くあっ!あぁ……はぁぁ……」
淫気に理性を溶かされてしまっていた男には、その刺激だけで十分だった。睾丸が何度も収縮し、黄色がかった濃厚な精液を、勢いよく発射してしまったのだ。
「こ、これ、まさか……」
突然の射精でしばらく呆然としていた由梨香だったが、すぐに満面の笑みを浮かべた。それは悪戯っ子のようで、どことなく黒さをともなった笑顔であった。
「兄貴ぃ……舌先が触れただけで射精しちゃうなんてぇ……」
「うあぁ、あっ、す、すまない……」
いくら童貞といっても、ここまで刺激に弱いと思っていなかった彼は、ひどく狼狽しつつ謝罪した。妹の目が細くなり、ぺろりと唇をなめる。
「だぁめぇ、謝っても許してあげなぁい。もう、こんなにどろどろにしちゃってぇ……」
彼女がそう言うと、精液を放出したばかりでひくついているペニスに吸い付いた。
「うぁっ!何やって……」
「ちゅぶっ、ちゅぶっ……ぷぁっ、ダメだよぉ、こんなに精液で汚しちゃってぇ……あむれるっ」
自分の顔にかかった精液を放っておいて、彼女は兄のペニスに付着した精液の掃除を始めた。
「じゅぼっ、じゅぶっ、れるっ、れるるっ……はぁぁ、ダメだよぉ……こんな美味しいのぉ、ちゃんと綺麗にしてあげないとぉ……」
「うぐあぁぁ!」
舌が皮と亀頭の間に入った瞬間、彼は大きく悲鳴を上げた。包茎の弱い桃色の粘膜が舌と触れ合い、電流のような快感が走ったからだ。
「んちゅっ、んふふっ……ここ、いっふぁい汚れてるぅ……」
舌先が奥まで入り、カリの溝に触れた。細めた瞳をとろけさせ、こびりついたカスをこそぎ落とす。
「あぁっ、くぅぅっ、あぐぅっ!」
腰がガクガクと震え、今にも力を失ってしまいそうなのを、回り込んできた彼女の両腕で支えられた。
「あむちゅっ、れるれる、んぐっじゅぅぅ……ねぇ兄貴ぃ」
湿った瞳が、彼の顔を上目遣いで覗く。
「これぇ、お掃除なんだよ?今ぁ、私は兄貴のちんちん、綺麗にしているんだよ?」
「あ、ああ……」
力なく、兄が応答する。
「それなのにぃ、んちゅっ、また、精液出そうになっちゃうの?」
非難しているような台詞であったが、全くそうは思わせない口ぶりであった。何度も幹にキスを浴びせ、どことなく嬉しそうな口ぶりである。
「くぁっ、それは、お前がっ、そういうことする、から……」
「いいよ」
きゅっと、彼女の手が幹を握る。中指と薬指、そして親指で輪を作り、人差し指と小指を立てた状態で、彼のペニスを前後にしごき始めた。
「ぐっ、由梨香……何を……」
「いいよ。ザーメン、出していいよ。美味しいから、好きだからぁ、いっぱいいっぱい出して、飲ませてぇ」
キツネサインのまま強く前後にしごき続けると、包茎が剥けたり戻ったりを始めた。皮のリングがカリを行ったり来たりするたびに、ぞくぞくっと彼の背筋が震える。さらに、彼女は自分の唇を亀頭に寄せ、何度もキスと吸い付きを繰り返した。
「んんっ、ちゅぅっ、ちゅっ、じゅぅっ……出して、出して、出してぇ」
徐々にキスの間隔が短くなり、ほとんど吸い付きっぱなしになり、握る力も強くなっていった。強烈な刺激が何度も襲い掛かり、ついに彼は我慢の限界に達した。
「ぐぅぅっ、由梨香ぁ!出るっ出るっ、出るからっ、早く、離れっ……」
快楽に堕ち本能に流されている状態でも、妹を心配する心は残っていた。
――このままだと、こいつの口の中に……
「いただきまぁす」
そっと目を閉じ、舌を伸ばした状態で、彼のペニスが彼女の口内に深く吸い込まれた。
「あ、がっ、ふぅぅっ……!」
腰を何度もひくつかせ、彼は妹の喉奥に大量の精液を流し込んだ。
「んぐっ、んぐっ……」
嬉しそうにまつげを震わせながら、喉を大きく鳴らし、彼女は精液を残さず飲み干していく。
「ごくっ……ごくっ……ぷはぁ」
陰茎の振動が止まり、精液の放出が止まると、ようやく彼女はそれを口内から開放した。同時に両腕の力を緩める。
「はっ、はっ、はぁぁ……」
がっくりと力を落とし、幸雄は床に腰を下ろした。
「あ、顔にまだ精液残ってる」
一回目の射精で浴びせられた精液を、彼女は両手で丁寧にすくい取り、微笑を浮かべたまま口に運んだ。鼻歌を漏らしつつ、時折笑い声も上げる。
「ふぅ、ごちそうさまでしたぁ」
顔の精液を残らず舐め取ると、妹は誇らしげにそう言い、見せびらかすように兄の前で大きく口を開いて見せた。
「あーん、ほらぁ、全部飲んじゃったよぉ」
嬉しそうに見せびらかす彼女を、兄は赤面しつつ横目で見た。
「でもぉ、これで終わりじゃないよ?」
「え?」
射精もした、精液は全部舐め取られた。彼はそれで万事解決かと思っていたのだが、彼女にとってはまだまだ始まったばかりであった。
「だって、兄貴が途中でどぴゅどぴゅしちゃったせいで、私イってないもん」
――ああ、しまった、それがあった。
彼は後悔したが、もう遅い。
「ねえ、今ここで押し倒されるか、柔らかいベッドで押し倒されるか、どっちがいい?」
目を爛々と輝かせつつ、彼女が尋ねる。もう彼に逃げるという選択肢は与えられていなかった。
大きくため息をつき、彼はゆっくりと立ち上がった。まだ快楽の余韻によって両脚は震えていたが、何とか気を引き締める。そして、そのままベッドに大の字になって寝そべった。
「ふふっ、素直な兄貴、好きだよ」
可愛らしいいつも通りの笑い声であったが、表情は全く違っていた。淫靡で熟練の娼婦を思わせるような、妖しさに満ちた笑顔を浮かべていたのだ。
そして、彼は見た。彼女の全身から立ち上る、青い煙のようなものを。しかし、彼はすぐに首を小さく振った。まぶたを再び開けたとき、それはすでに消え去ってしまっていた。
「本当はキス、したいんだけどぉ……精液たくさんゴックンしたから、おあずけだね……」
さびしそうにつぶやきつつ、彼女の手はてきぱきと彼のズボンを引き下ろしていた。それが終わると、今度は自分のスカートに手をかける。
「スカート、下ろしたほうがいい?それとも着たまま?」
ぴたりとスカートのホックに伸びた手を休め、尋ねる。
「……着たままで」
恥ずかしそうに、幸雄は小声でつぶやいた。
「あはっ、兄貴って、そういうの好きなんだ。スカートの中ではとってもエッチなことがぁ……っていうの」
「うるさい」
ぶすっと口を閉じ、彼が非難した。
「うん、そういうの、私も好き。兄貴が好きなことは、みんな好き」
じゃあパンツもずらすだけでいいや、とつぶやくと、彼女はクロッチを軽く横にずらし、硬さを取り戻していた亀頭に、自分の一番大事な部分をすりつけた。
「はぁぁ、今から、兄貴の……入っちゃうんだ」
嬉しそうに微笑みつつ、彼女が声を漏らす。
「あのさ」
幸雄が小さく言う。
「その、あの……俺として、いいのか?」
小さく彼女は首を傾ける。
「ま、まあ、俺は……妹相手にこんな風に、勃起してしまう変態だから、いいけどさ……お前は、いいのか?俺、兄だぞ?血のつながった、家族……」
彼女の首がまたまっすぐに戻った。
「なぁんだ、そんなことかぁ。大丈夫だよ。だってぇ……ずっと兄貴のこと想いながら、オナニーしてたもん」
「由梨香ぁ!」
彼女の台詞が終わると同時に、彼は妹を強く抱き寄せた。
「んっ、んぅ……」
そして、彼は彼女の後頭部に手を回し、彼女の唇に吸い付く。
「んちゅっ、んんん!ぷぁっ、あ、あ、兄貴ぃ……精液、飲んだばっかりでぇ、うぅんっ!」
兄はそれ以上彼女の言葉を続けさせなかった。舌を絡ませ、唾液を交換し合う。
「はぁっ、じゃ、じゃあ、入れるぞ……」
唇を離し彼がそう言うと、強烈な喪失感に襲われた由梨香は何度も小さくうなずいた。
「れるぅ、ふぅぅ……入って、くるぅ……!」
まぶたが半分ほど下り、うっとりとした表情で、彼女は熱い兄のものを感じた。一日中ほぐしていたせいで、愛液と肉の境目が分からなくなるほどどろどろとしていた膣を、ペニスが這い上がってくる。
「あはぁ、奥ぅ、奥にきたぁ……」
ぴたりと二人の腰がくっつくと、満足気に彼女は深く息を吐いた。
「うぁっ、くぅっ、何だ、何だこれ……」
対する兄の方は、息つく暇もない状態であった。
――こいつの中、うねうねして、奥に引き込んできて……
強く閉じていた彼のまぶたの裏に、青い光が飛び込んできた。それはゆらゆらと漂い、黒と混じり、時折青に戻る。儚げな、炎を思わせる光。
はっとして目を開けると、そこには幸せそうに微笑む妹の顔があった。そして、彼女の頭には……
「それ、耳……?」
炎のようにゆらめく青い炎が、耳を形作っていた。三角で、尖がっている、獣のような耳。
「兄貴ぃ、やっと、気付いてくれたぁ……!」
泣きそうな笑顔を作り、妹は兄の胸に顔を寄せ抱きしめた。
「気付いたって、くっ、何が」
「これ、キツネの耳なんだよ」
両手を頭の上に持ってきて、手のひらをぴこぴこと前後させる由梨香。
「この前、兄貴のことを考えてたら、青い炎に包まれてぇ」
彼女の腰辺りがめらめらと青く燃えているのに、彼は気付いた。
「胸が締め付けられているようになってぇ、おまんこがきゅんきゅんしてぇ……」
炎が寄り集まっていき、長細い形を作り始めた。
「そうしたらね、声が聞こえてきたの」
――尻尾?
根元がほっそりとしていて、中ほどで太くなり、また先っぽで細くなる。その形と、ふさふさした毛並みを見て、彼はそう思った。
「『耳と尻尾が見える異性が、運命の人なんだよ』だって……だからね、私の耳と尻尾が見えた兄貴は、私の運命の人なんだよぉ?」
とろけきった笑みを浮かべ、彼女は兄の唇にキスをした。
「ちゅっ、んっ……私は、兄貴のものぉ……ちゅぅっ、兄貴はぁ、私のものぉ……」
キスを続けつつ、彼女の腰が上下し始めた。ぬちゅぬちゅとねちっこい音が鳴る。
「くあぁ……中、締まって……」
腰が上がるとき、膣肉が締まり、カリにひだが絡まる。腰が下がるとき、肉壷が開き、優しく全体を包み込んでくる。
外から見ると、ただ腰が上下しているだけである。しかし、スカートの中は兄への愛情と恋慕に満たされていた。
自在に動くひだと肉により、彼の射精欲が急速に高まってきた。
「ちゅぱっ、ふふっ、兄貴のちんちん、ぷっくりしたね」
由梨香が、嬉しそうに声を出して微笑む。
「いいよぉ、いつでも、出していいからねぇ?私と兄貴は、赤い糸で結ばれているんだからぁ……これから毎日、中出しし放題、ね?」
奥までくわえ込んだまま、彼女は腰をひねる。嬉しそうに肉ひだがペニスを抱きしめ、ぬるついた快感が走る。
「明日から、外でやろうよぉ。お父さんとお母さん、私がこもってるの、心配してるんでしょ?」
快感で表情を歪めながら、幸雄はうなずく。
「だからぁ、外でぇ、見つかるかもしれないってスリル、いっしょに楽しもうよぉ、ね?」
「そ、そうだな……」
彼の頭の中に、青姦の情景が浮かぶ。他人がすぐそばを通る場所で、二人は口をキスでふさぎながら、声を頑張って押さえ込む。そして、二人の性器がつながっている部分から出てくる音が、周りの人間に聞こえそうなほど大きくなって。
「くっ、うっ」
空想の情景と現実の快楽が混じり、彼は三度目の射精をした。
「んんー、中でびくびくしたぁ!はぁ、ザーメン、美味しいぃ……」
かくかくと腰を痙攣させながら、由梨香も気持ちよさそうに顔をとろけさせた。
それからしばらく後。
「ねえねえ、兄貴、ここ……」
小さく手を招き、兄を呼ぶ妹。
「ほら、ここ」
二人は、あの日から毎日、放課後にデートをするようになった。夕日で橙色に染まった街を、二人は仲良く並んで歩く。
この日は、オフィス街に来ていた。見上げるほど大きなビルが立ち並ぶ一角であるが、少し奥へ入ると、たくさんの秘密のスポットが見つかる、二人の密かな穴場である。
由梨香はついさっき、ビルの裏手から伸びる非常階段を発見した。今日はここでしようと、兄を呼んだのだ。
「あ、この踊り場、エッチな匂いがする」
すっかり魔物の体に慣れた彼女には、さまざまな能力が身についた。その一つが、鋭い嗅覚である。特に、性的な匂いに対する感覚が非常に敏感になっていた。
「ここ、最近別のカップルが青姦してたんだぁ……」
彼女が兄を抱き寄せると、甘くとろけるキスを交わした。
「じゃあ、先輩たちにならって、私たちもいっぱい、中出しエッチ……しようね」
制服のスカートをたくし上げ、妹は淫らに微笑んだ。
12/02/06 02:19更新 / 川村人志