(リメイク)彼女が僕に恋して堕落するまで
「牧師様……私は罪を犯しました」
教会の聖堂に隔離されるように存在する懺悔室。
中は光が入らないように暗幕に囲まれており、懺悔をする者と聞き手の間に木の格子がはめ込まれ、徹底的にプライバシーが確保されている。
太陽が顔を覗かせたばかりの時刻。鶏と雀の合唱があちこちで響いている。
懺悔者は続ける。
「私は以前、愛の告白を断りました。幼馴染でした。小さな頃からいつも一緒に遊び、両親よりも一緒にいる時間が長いほどでした」
すぅと息を吸う。
「彼のことが好きでした。好きといっても、異性として好きというわけではなく、友人としてというか……仲間として、というか……」
「だから、彼の告白を受けたとき、頭が真っ白になってしまいました。ですから、とっさに断ってしまったのです」
「しかし、最近私は気付きました。実は、本当は、私は彼のことを異性として好いているということを……」
ため息をついた。
「気付いたきっかけは、彼の家に住み着くようになった女性の存在です」
「彼女が言うには、行き倒れていたところを、彼が助けてくれたということらしいのですが……」
「私は彼女に、嫉妬心を抱いてしまったのです。彼の家に住み、共に生活し……」
「私は、嫉妬という罪を犯してしまいました。それをここに懺悔します」
一息でしゃべりきり、ふぅと大きく息を吐いた。
「たしかに、その懺悔、お受けしました」
決まりの文句。しかし、懺悔者・サアラは驚いて顔を上げた。
この教会では、懺悔を聞くのは牧師であるという慣例がある。
しかし、今聞こえたのは、確かに女性の声。しかも、今まで教会で聞いたことのない声である。
懺悔するものされるもの、双方のプライバシーを守るために、わざわざ声色を変える人もいるにはいる。
しかし、それにしても教会に勤めている誰とも結びつかない声。
「神は言っています」
向こう側の声で、サアラの思考が途切れた。
「『迷わず進め、行けば分かるさ』……一度、その女性と幼馴染、そしてあなたの三人で話し合いをしてみてはいかがでしょうか」
「は、はあ……」
サアラは生返事を返した。
「一度の告白でダメならば、二度三度と押していけばいいのです。何だったら、色仕掛けでもかまいません。相手をその気にさせれば勝ちなのです」
「い、色っ!?」
思わず叫んでしまうサアラ。
教団の教義は「姦淫するべからず」である。それなのに、神の使いであるはずのシスターがそんなことを言うなんて。
しかし……と彼女は考えた。
――そうでもしないと、彼とは結ばれないのでは……
それほど彼女は切羽詰っていた。
日を追うごとにあの二人の仲はよくなっていると彼女は感じていた。
もしかしたら、すでに肉体関係にすらなっているかもしれない。
彼は教団の信者ではないので、彼女から誘われたら拒むことはできないであろう。
だから、一刻も早く行動に移さなければいけないという、強迫観念にかられたのだ。
「ありがとうございました」
懺悔室から出る彼女の瞳には、覚悟の炎が燃えていた。
「うふふ……」
懺悔室からサアラが出たのを確認すると、聞き手側から笑い声が漏れた。
「あー、あー、もう大丈夫かな?……がんばってね、サアラちゃん……」
格子に取り付けられた肘掛に両肘をつき、その上に顎を乗せ、くすくすと笑う彼女。
しばらくは先ほどまで聞こえていた声と同じであったが、何度か発声練習のような声を上げると、それよりも高い声へと変化していった。
室内が明るければ、彼女の腰の翼ははためき、尻尾が重力に逆らってゆらゆらと揺れていることが分かったであろう。
先ほどまでサアラの懺悔を聞き、アドバイスを与えていた彼女の正体。
元エンジェル、現在は堕落神の使い。サアラが嫉妬していた相手、メルである。
懺悔室でサアラが聞いていたのは、変声の魔法を用いたメルのものだったのである。聞き覚えがないのも無理はない。
「牧師さぁん、ちゃんと最後まで声を我慢できましたね。えらいえらい……そんな牧師さんにはご褒美っ」
そう言うと、メルは自らの下腹部の筋肉に力を入れ、腰を上下させた。
にゅこにゅこと、ねちっこい音が鳴る。
「あうっ、うぅっ……」
それと同時に、牧師はうめき声を上げ、ぶるぶると全身を震わせた。
懺悔室に響く、どぷっどぷっという何かが発射される音。
立ち後背位でつながっていたペニスから、精液が漏れる音である。
「うふ、ふ……なかなか美味しいですよ、牧師さんのざーめん……」
彼女が腰をくいっと持ち上げると、ぬぽっと間の抜けた音を立て、彼女の肉壷から力を失ったペニスが抜け出した。
「これで、牧師さんは立派なインキュバスでぇす……」
そう言って彼女は振り返り、牧師に抱きついた。
「頑張ってくださいね。インキュバスの魔力を使えば、あなたの大好きなシスターさんもイチコロですから……」
彼に耳を寄せ、メルが囁く。
そして牧師を振り返らせ、ぽんぽんと背中を叩いて外へ送り出した。
「うまくいったら教えてくださいねー」
大きく手を振って、メルはまだ子供っぽさが抜け切れていない、新人牧師を送り出した。
この教会の聖職者が全員魔物になり、堕落神を崇めるようになるのは、それから三日後のことである。
「……」
その日の昼、サアラは件の幼馴染・アルマの住む家の前に立っていた。
サアラの心臓は大きく鳴り、呼吸は荒くなる。
彼女は明らかに緊張していた。
サアラは、自分がアルマに告白したときのことを思い出す。
あのとき、彼の瞳は驚くほど冷たかった。他に夢中になったものを見つけたような、自分に対して興味のない瞳。
そのとき彼女は、彼がメルに恋しているのだと分かった。
彼女は後悔した。なぜあのとき彼の告白を拒絶してしまったのだろうと。
あそこで了承していれば、メルに取られることもなかったのに……
しかし、過去を振り返ってもしょうがない。今何をするか、それが大事なのだ。と、彼女は何とか心の奥から湧き上がる黒い衝動を押さえ込んだ。
玄関の扉に手を伸ばし、ノックしようとすると……
内側から扉が何度か叩かれる音がした。
「メルちゃん?それとも、アルマ?」
サアラはノブに手をかけ、ゆっくりと扉を開け放した。
「……っ!」
反射的に、手で口と鼻を押さえてしまう。
邪悪の塊のような異様な気が、そこから漏れ出ているように思えたからだ。
扉の隙間にあるのは、夜よりも暗い闇。
次の瞬間、彼女の鼻の奥を、濃厚なメスの匂いがくすぐった。
「うぅっ……!」
うめくサアラ。彼女の耳に、耳慣れた声が響いた。
「あんっ、サアラちゃん……んっ、いらっしゃいっ」
扉の隙間から顔を覗かせた声の正体は、メルであった。
顔から下の部分は、家の中、闇の奥に隠れて見えない。
彼女の顔を見て、サアラはいくつもの違和感を覚えた。
まずは顔色。色黒を通り越し、灰色と青の混ざったような人間ではありえない色をしている。
次に表情。とろけるような瞳、目に浮かんだ涙、切なげに開いた口。
さらに声。「あっ……んっ」などと、だらしない口の中から切なげな声が漏れ出ている。
最後に音。ぱちゅんぱちゅん、と湿ったものが叩かれるような音が、闇の中から響いている。
匂いもさらに強くなり、サアラはそれによって自分の心臓の鼓動が強くなっているのを感じた。
――何なの……これ……?それに、この匂い、どこかで……
「ぐっ、出るっ!」
切羽詰った男の声。次の瞬間、ばちんっ!と大きな音が響き、うめき声が聞こえた。
「あ……ああっ……はぁっ……」
扉の淵と玄関の壁を、メルがぎゅっと握り、心ここにあらずという表情でサアラを見上げた。
口の端からだらしなくよだれを垂らし、ひくひくと顔を震わせ、女の幸せを一身に浴びた……そんな顔であった。
「ちょっと!メルちゃん何をやって……」
サアラが玄関扉を引き開けると、目の前の光景に息を呑んだ。
「はぁ……はぁ……!」
立った状態で上体を前に倒しているメル。そんな彼女の腰を、アルマが力強く両手で握り締めていた。
二人は全裸で、下半身、互いの性器がつながりあっていた。
匂い立つ淫臭。
このとき、サアラは今まで嗅いでいた匂いの正体を思い出した。
――この匂い……最近アルマから漂っていた……
彼をふった後、彼の体から発せられていた香り。彼女がそれを嗅ぐたびに、彼に対する恋心が強くなっていたあの香り。
その正体は、発情したメルから発せられる淫臭であったのだ。
「きゃっ、きゃぁ……っ!」
悲鳴を上げそうになったサアラの口を、メルが素早く両手でふさぎ、彼女を家に引きずり込んだ。
「あうっ」
闇の中に急に引き込まれ、目の前が真っ暗になったサアラは、バランスを崩して玄関前の廊下に倒れこんだ。
「あら、ごめんなさぁい、サアラちゃん」
うつぶせに倒れた彼女を見下ろし、メルがくすくすと笑う。
サアラが家を覗き込んだときに見えた闇、それがメルの全身にずるずると音をたてながら吸収されていく。
排水溝に水が吸い込まれていくように、渦を巻きながら彼女の体に吸い寄せられていく黒い瘴気。それをサアラは呆然としながら見上げていた。
闇が薄くなっていく。壁、天井、床、扉……そして、うっとりと頬を染めるメルと、彼女に後ろから抱き付いて腰をゆるゆると動かすサアラの想い人、アルマの姿。
二人は全裸であった。
そして、サアラの目を惹いたのは、メルの体から生える一対の黒い翼、一本の黒い尻尾、そして頭に浮かぶ紫色の輪。
「あ……あ……」
サアラが目を見開き口をぱくぱくとうごめかせる。
「あれ、言ってませんでした?私がエンジェルだってこと。……ああ、今は違いますね。元・エンジェルでしたね」
ふふっと含み笑いを漏らすメル。
「あ、あ、あなたたち……なんてことを!」
声を震わせながら、サアラは叫んだ。
サアラとメルの二人。彼女たちは、アルマが畑仕事に行っている間、互いの家に行き来しておしゃべりするほどの仲良しになっていた。
しかし、メルはサアラに一言も自分が神の使いであることを口に出したことはなかった。
「みだりに正体を明かすべからず」……天界の掟である。
そして、これは教団関係者……神の使いであろうが、牧師であろうが、信者であろうが全ての者に対する鉄の掟。
「姦淫するべからず」……メルとアルマ、現在の二人の行動は、それに反していた。
人前ではばかることなく、子孫を残すためではなく、楽しむための性交を行う。
サアラにとって、それは何よりも許しがたい行為であったのだ。
「なんてことをって……エッチですよぉ?」
サアラの慌てぶりに対して、メルの態度はあくまで冷静であった。
わざとらしく首をかしげ、肩をすくめて言い放つ。
「はぁ……はぁ……メル……どうしよう、僕の、納まらない……」
メルのおなかに両手を回し、うなじに顔をうずめてアルマが声を震わせる。
ぐにぐにと腰をうごめかせ、二回戦をしたいと懇願する。
「もう、アルマさんは甘えん坊なんだからぁ……ほらぁ、サアラさんが見てますよぉ?」
彼に振り返り、メルは潤ませた流し目で見つめる。
まるで、目の前のサアラに見せ付けているかのようだ。
「えっ、あっ、サアラ……どうしてこんなところに……!」
はっと目を開き、サアラを見下ろすアルマ。彼はサアラがこの家に来たことに今初めて気付いたのだ。
サアラが彼の目を見つめる。
彼の瞳……そこに光はなかった。他の全てのことに興味は失せ、欲しいのはただメルの体のみ。
彼は完全にメルの膣の虜になっていた。
「あぅん……最近ね、アルマさんがぁ、毎日私を求めてくるんですよぉ……」
迷惑そうに眉をひそめるが、声色を聞く限り、嫌がる素振りは全くない。
「そんな……アルマ……嘘でしょ?」
今にも泣きそうな声で、サアラがつぶやいた。
それも当然である。自分の気持ちに決着を付けようと彼の家に乗り込んだら、すでに彼は他人のもの、それも仲の良い女の子のものになっていたのだ。
もはや、自分に入り込む余地は全くない。どうしようもない。そう思ってしまったのも無理はない。
だが、元天使はそんな彼女の気持ちに気付き、助け舟を渡した。
「サアラちゃん……でもぉ、これはぁ、私からアルマさんを奪う大チャンスだと思いません?」
以前のメルからは考えられないほどの甘ったるい声で、サアラに言う。
「今のアルマさん、私のおまんこの病み付きなんですよぉ?だったらぁ……」
メルが舌なめずりをする。
「サアラちゃんも私みたいに……ここでぇ……」
そう言って、彼女はアルマのペニスをくわえ込んでいる部分、下腹部を指差した。
「アルマさんを病み付きにしてあげればいいじゃないですかぁ」
「そ、そんなこと!」
サアラが顔を強張らせ、力強く床を踏みしめて立ち上がる。
そして眉をひそめ、目線が同じ高さになったメルを睨みつける。
「『できるわけがない!』ですかぁ?サアラちゃん、そんな怖い顔しないでくださいよぉ」
淫魔がその字のごとく、淫らに微笑む。
「でもぉ、それだとぉ……あんっ、アルマさんがぁ、ずぅっと私の膣内から出てくれませんよぉ?」
そう言うと、彼女は腰を一度大きくひねった。
すると、後ろから抱きつき、背中に頬を乗せたアルマが、小さくうめき声を上げた。
「んふっ、また射精しちゃいましたね」
薄く目を閉じ、メルは子宮を叩く精液の感触を確かめた。
「なっ!何をやってっ!」
メルの肩をつかみ、大声を上げるサアラ。さらにガクガクとその肩をゆする。
「もぉっ、そんな泣きそうな顔をしないでくださいよぉ」
頭をガクガクと前後に揺らすが、淫魔特有の淫らな微笑みは崩さない。
「私はぁ、ただアルマさんを幸せにしてるだけなんですからぁ……」
ぺろりと舌なめずり。
「さっきから言ってるじゃないですかぁ。そんなに私がするのが嫌なら、代わりにサアラさんがやってあげればいいんですよぉ」
ふぅと息を吐き、甘ったるい吐息を空気に混ぜ込ませる。
ぴたりとサアラの腕が止まった。
――そうか……私が、メルちゃんの代わりにアルマのことを幸せにしてあげれば……
だらりと腕を重力に任せるように下ろした。
「ふふっ、やる気になったみたいですねぇ……じゃあ、アルマさんごめんなさい、一旦抜きますね」
メルは振り向いてアルマに囁くと、尻を持ち上げた。
ぬぽんと音を立て、いまだに固さを保ったペニスが飛び出した。
それは互いの粘液が混ざり合い、ぬらぬらと鈍い光を放っている。
「あ……えっ……もう?」
パチパチと何度もまばたきし、アルマが気だるそうな声を出した。まだまだ彼は物足りないようだ。
「大丈夫ですよぉ、今度は、私の代わりにサアラちゃんがやってくれますから」
にんまりとメルが微笑み、ウインクをする。
「えっ、サアラが?サアラがしてくれるの?」
視線を動かし、彼はぼーっとしているサアラを見た。
サアラはその視線に小さくうなずいて答えた。
「はいはーい、ベッドに着きましたよー」
メルが楽しそうな声を出しながら寝室のドアを開けると、アルマとサアラの二人の手を取って引っ張っていった。
アルマは生気の抜けた表情で、サアラは緊張で強張らせた表情で、彼女に引っ張られるまま寝室に足を踏み入れた。
「それじゃあサアラちゃんはベッドに横になってくださいねー」
メルはサアラの両肩を優しく掴むと、ゆっくりとベッドの上に横たわらせた。
「最初は、全部私たちに任せてくださいね」
そう言って、メルはサアラのブラウスに手をかけた。
「えっ……きゃっ!」
サアラは悲鳴を上げると、自分の両肩を腕で抱いてメルの動作を阻止した。
「ちょっとー、だめじゃないですかぁ。私の代わりになるんでしょぉ?」
そう言って頬を膨らませるメルは、すでに全裸である。
「う……わ、分かった……」
眉をひそめながらも、ゆっくりとサアラは腕の拘束を解いた。
抵抗の意思がなくなったと判断し、メルは彼女の服を脱がしにかかった。
ブラウスの肩紐を下ろし、後ろのボタンを外す。
次に肌着。
「バンザイしてくださいねー」
サアラの肘にメルが手を当てると、真一文字に唇を結びながらも、サアラは彼女の言葉に従った。
頭の上に両手を持ち上げさせると、メルは彼女の肌着のすそを持ち上げて脱がした。
下半身の服もてきぱきと脱がせる。
スカートは何とか脱がせることに成功したが、最後の一枚・パンツは脱がされることをかたくなに拒んだ。
「うーん……しょうがないですねぇ。じゃあこのまま始めちゃいましょうか」
困った表情でメルがつぶやくと、ベッドのそばに立っていたアルマの手を取った。
「それじゃあアルマさん、お願いしますねぇ」
メルはアルマの手を、サアラの頭の横に導く。
それに合わせ、彼は両膝をそれぞれ彼女の腰の横に乗せ、もう片方の手を、頭の反対側に置いた。
「アルマ……」
サアラは目の前の彼の名を呼ぶ。しかし、彼は答えない。
その目は彼女を見ていない。あくまでメルの指示に従ったら、目の前にサアラがいた。それだけなのだ。
メルにかけられた強力な魅了の魔術はまだ解けない。
「男女の営みにも、順序ってものがあります。まずは、キスをしましょうねぇ」
メルのおどけるような声が発せられると、それを合図に彼の両腕が目の前の彼女の首に回された。
二人の距離が、さらに接近する。
「アルマぁ……やだよぉ。こんなわけ分からないままのキスなんて、やだよぉ……」
駄々をこねるようにサアラが小さく首を左右に振るが、アルマはお構いなしに顔を寄せる。
「やめてぇ……お願いだからっんんーっ!」
口をふさがれる。
唇同士が触れ合い、その弾力を互いの脳に伝える。
「んふふ……もちろん、愛し合う男女なんですから、唇を重ねるだけじゃあだめですよねぇ」
「んっ!」
アルマが唇を割るように、舌をねじ込ませる。
すぐにサアラの舌と触れ合い、口内を余すところなくなめ回す。
「んんっ!んっ!んん……んぅ……」
初めは体を強張らせ、彼の胸を押して離れようとしていたサアラであったが、徐々に全身の力を緩めていった。
瞳が潤み、鼻や唇の隙間から漏れる息が熱くなる。
「んん……れるぅ……ちゅるっ」
頬が朱に染まり、目がゆっくりと閉じられる。
視覚情報が遮断され、その他の感覚がより敏感になる。
温かい舌の感触。
何故か甘いアルマの唾液。
粘り気を含んだ水音。
土とメルの誘惑の香りが混ざった匂い。
全てがサアラの性的興奮を昂らせるのに十分な要素であった。
「んっ、れるっ……ふぅんっ……」
普段の、教団に生活の全てを捧げる彼女ではありえない艶っぽい声が、吐息とともに漏れ出る。
「うーん、だんだん素直になってきましたねぇ……じゃあ次はぁ……」
いつの間にか彼女の横にすり寄っていたメルが、サアラの左耳に口を寄せ、小さく囁く。
メルの吐息が耳にかかるたびに、サアラが小さくぶるっと震える。
「おっぱい、もまれちゃいましょうねー」
「ひうっ!」
唇に吸い付きながら、アルマの手がサアラの乳房を這い回る。
「ふぅんっ!アリュマぁ……」
唾液の糸を引き、サアラが抗議の声を上げる。しかし、その顔に浮かぶのは笑顔。
たとえメルの誘惑、催眠魔術のせいであっても、アルマは自分のことを求めているのだ。
そういった気持ちが、彼女の心に温かいものを満たす。
「ゆっくりぃ……まずは外側からぁ……」
メルが囁く。
アルマの手が、乳の山のすそ野をゆっくりと一周させる。
「だんだんと上へ……」
回る指が、手が、ドリルやスクリューのごとく、徐々に頂上へと上がっていく。
「んっ、にちゅっ、ふっ……」
耳に入る声と、胸を這い回る感触。先端を刺激されることへの期待感で、サアラの頭の中はいっぱいになった。
「あらぁ、期待しちゃってますねぇ……もうこんなに乳首こりこりさせちゃってぇ……それじゃあ期待に応えて」
メルがつぶやくと、メルが左、アルマが右の乳首を同時につまんだ。
「ひっ、ひぃっ!」
目を見開き、悲鳴を漏らして背筋を反らす。
「あはっ、あひっ……」
サアラは、目の前で火花が散り、脳髄に電流が流れるような感覚を覚えた。
不意打ちのショックで、わけも分からないまま絶頂してしまったのだ。
生まれて初めての感覚。しかし、本能ではそれが何なのかを理解していた。
その証拠に、彼女の股間、誰にも見せたことのない花びらからは、ペニスを迎え入れるための粘液が漏れ出した。
「んー、イっちゃいましたねぇ」
くすくすとメルが笑う。
彼女は笑いながら、右手を彼女のパンツの中へ差し入れた。
「きゅぅんっ!」
また海老反るサアラ。
メルは何かを確かめるように、何度か指をうごめかすと、嬉しそうに何度もうんうんとうなずいた。
「んふふ、準備万端みたいですねぇ」
「ふぇ……?じゅん、び……?」
よだれをだらしなく垂らしながら、力なくサアラがつぶやいた。
「そうですよぉ。サアラちゃんのおまんこにぃ、アルマさんのおちんちんを入れる準備ですよ?」
「えっ……」
サアラの体が再び強張る。
性的興奮でもやがかかったようにぼんやりとしていた脳が、すっと冷める。
「そんなっ、まだ心の準備が……」
口をもごもごとうごめかし、拒否の意を示したサアラ。アルマが、彼女の右耳に口を寄せる。
「僕と、したくないの?」
ひどく悲しそうな、今にも泣き出しそうな声で囁いた。
「んぅっ!ア、アルマ?」
突然の囁き。それも大好きな男子の声を耳元から浴びせられ、サアラはぞくりと体を震わせた。
「僕は、サアラとしたい」
耳元に口を近づけたまま、彼女に体重を預け、ぎゅっと抱きついた。
サアラの赤い顔がさらに真っ赤に染まる。
「いいんですか?アルマさんのせっかくの誘いなのに……受けないんですかぁ?」
「でも……でも……」
何度も同じことをつぶやき、うなるサアラ。
「サアラちゃん、優柔不断なんですねぇ……」
左耳へメルが囁くと、右耳からはアルマの興奮した息遣いがこだまする。
「ほらぁ、アルマさん、おちんちんがおまんこ肉にずっと包まれてないから、興奮していますよぉ?」
メルはそうつぶやくと、自分の右手をそっとアルマのペニスの根元に伸ばした。
親指と人差し指でリングを作り、ペニスを握って優しく上下させる。
「ふぅ……ふぅ……」
彼の息遣いが少し納まる。
「アルマさんのおちんちん、『早くおまんこの中に入りたいよぉ』って言ってますよ?」
しゅこしゅことリングの上下を早める。
「くっ……はぁ、はぁ……」
アルマの吐息が、サアラの右の鼓膜を優しく揺さぶる。
「それなのにぃ、サアラさんは断るんですか?それじゃあ……」
メルがサアラの耳たぶを甘噛みした。びくりと震えるサアラ。
「私のおまんこに入れちゃおうかなぁ」
その言葉がとどめとなった。
すうっと息を吸うと、肺に溜めた空気を吐き出すように、重々しくサアラが言った。
「それだけはだめ!私の中に入れてもらうんだから!」
「本当に、いいの?」
心配そうにアルマが言った。
幼馴染であるので、彼はサアラが厳格な教団信者であることを知っていたのだ。
ただでさえ、今までの行為は教義に反しているのだ。
その上、これから行う行為、魔物にたぶらかされ、子孫を残すため以外の性交をするのは……
他人にばれたら破門である。
しかし、サアラの意志は固かった。
「大丈夫……大丈夫だから」
きゅっと唇を結び、全身を強張らせながら言った。決意は固くても、恐怖心は拭えない。
「うん、分かった。優しくするから」
アルマは、彼女の体を抱いている腕の力を強くする。
「それじゃあ、入れるよ」
甘く囁き、彼は腰を浮かせた。
横にいるメルが、サアラのパンツ、ヴァギナを隠している部分を横にずらし、彼女の大陰唇を優しく指で押し開く。
「さあ、ここにどうぞ」
メルの言葉を聞き、彼が小さくうなずいた。
腰を少しずつ落とす。
くちっ……亀頭がサアラの粘膜に触れた。
「アルマァ……」
そのとき、泣きそうな声でサアラが声を絞り出した。
「何?」
「その……怖いから、怖い、から……キスしながら、入れて」
両腕を彼の方へ突き出し、接吻をせがむ。
その表情が、彼にとってはあまりにも可愛らしくて、守ってあげたくて、彼は小さくうなずいた。
そして、彼は唇を彼女のものへを寄せた。そっと触れ合うだけのキス。
「力を抜いてくださいね。少しは楽になりますから」
左のメルがアドバイスをする。
「大丈夫だから、安心して」
キスの合間に、アルマも優しく声をかける。
それだけで、彼女の全身の力を抜くには十分であった。
そっと目を閉じ、安心しきった顔で、先輩二人に身を任せる。
もう一度キス。
それと同時に、アルマが腰をゆっくりと前へ進めた。
「ふっ……うぅんっ」
粘膜が熱いペニスにこすられ、サアラが快楽のうめきを上げる。
腰が止まる。亀頭の先端に、わずかな抵抗があった。
アルマはここで一息つくと、一気に腰を沈めた。
「っ!んんっ!うぅんっ!」
口をふさがれた状態で、鼻から大きく息を放ち、サアラは破瓜の痛みにうめいた。
「ほら、サアラちゃん、力を抜いてください」
メルが声をかけるが、サアラは頭を大きく左右に振り、アルマのキスを振りほどいてしまう。
「ああっ!あぅっ!ぐぅんっ!」
ぎゅっと目をつぶり、大粒の涙をこぼしながら何度もうめく。
「大丈夫。しばらく動かないから」
アルマがぐっと腰に力をこめる。
膣の一番奥で、ペニスが動きを止めた。
「ううっ……ぐすっ、ひっく……」
鼻をすすり、涙をぽろぽろ流し、ただただサアラは痛みをこらえる。
全身、特に下腹部に力がこもり、膣肉が図らずもアルマの分身を強く強く握り締める。
早鐘のように打つ心臓の鼓動に合わせ、その秘肉がとくんとくんとうごめく。
子供をあやすかのように、アルマは優しくサアラの頭をなで、唇に何度もキスを浴びせる。
メルは彼女の背中をさすり、「大丈夫だよ、大丈夫だからね」と優しく慰める。
「ぐすっ……うっ……うぅんっ……ふぅっ……」
しばらく時間が経つと、彼女の泣き声が薄くなり、代わりに違う声が混じるようになった。
彼女の変化にメルがいち早く気付く。
「気持ちよくなってきた?」
サアラが大きく鼻を一度すすると、こくりと小さくうなずいた。
「ちょ、ちょっとだけ……」
ぽっと頬を赤く染める。
「ふふっ、よかった。じゃあアルマさん、動いてあげて」
にぃと目を細めてメルが言うと、アルマは言われた通りに腰を動かし始めた。
ゆっくりと、彼女の反応を確かめるように。
――ずっ……
まずはそろそろと腰を引いていく。
「んっ!んぅ……」
先ほどまで処女膜があったところにカリが引っかかると、少しサアラが顔をしかめた。しかし、それ以外の部分では大丈夫そうだ。
――にゅこぉ……
亀頭まで抜き終わったら、今度は同じくらいゆっくりと腰を押し戻す。
ペニスが膣穴に割り入るたびに、肉がきゅっと締まり、二人が同時に吐息を漏らす。
――ぬちぃ……
今度は少し早く抜く。
「あっ、あっ……」
サアラの声から、痛みや苦しみの色が消える。
「うん、もう大丈夫そうだね」
嬉しそうにメルが微笑んだ。
「もう、早く動かしてもよさそうですね……アルマさん、女の子の幸せ、教えてあげて?」
アルマはこくんとうなずき、腰を勢いよく沈めた。
「きゅぅんっ!」
ごつりと亀頭と子宮口がぶつかり、サアラは歓喜の悲鳴を上げた。
このとき、彼女は何故教団が姦淫を禁ずるのかを理解した。
――神様ぁ……こんな気持ちいいのを禁止するなんてぇ、ひどいですぅ……
花が咲いたかのような笑顔。
彼女は今までの、教義に縛られ自分に見向きもしてくれない神に従ってきた人生を激しく悔いた。
目の前がバチバチと弾けるような感覚。
脳内が真っ白になるような快楽。
大好きな人の愛を、体内から受ける幸せ。
全てがサアラを虜にした。
一番奥をぐりぐりとえぐられ、膣内上面の気持ちいいところをこすられ、ひだにカリが引っかかり、左右の耳に届く大好きな人たちの声。
神に縛られた拘束を溶かし、全てがどろどろにとろけていく感覚。
「あっ!あっ!きゅぅん!」
その奥に、最後の扉があることを感じた。
「あはっ、サアラちゃん、もうすぐイきそうですねぇ」
耳たぶを甘く噛み、自分の秘所を指でもてあそびながらメルが囁く。
「イ……きそう?」
耳慣れない単語を、サアラが反芻する。
「んふっ、何か、すごいのが来ちゃいそうな感覚がするでしょ?」
がくがくと全身をゆすられているサアラ。最後の扉、越えてはならない一線。そのことだろうと理解した彼女は、メルの言葉を聞いて小さくうなずいた。
「それが、絶頂。イくって言うんですよ?」
「イく?……これが、イく?」
目をうつろにさせ、サアラは何度も「イく、イく」とつぶやく。
「うん……うん……あぁっ、イくっ、イくぅ……うんっ、イきゅっ!イきゅぅっ!」
その単語を一つつぶやくたびに、心の奥底にある、理性や貞操や教義や知識や主神、その他諸々の拘束する鎖が砕け散る感覚を覚えた。
「イくの?サアラちゃんイっちゃうんですか?イくと私と同じになっちゃいますよ?魔物になっちゃいますよ?いいんですか?」
メルがそっと囁く。
「えっ……」
快楽で呆けていたサアラの表情から、さっと熱が抜ける。
「え……ま、魔物……?」
目だけを動かし、彼女はメルの方を見た。
メルの目がにぃと細くなり、口角を吊り上げ、場違いなほど白い歯を見せる。
「そうですよぉ?今イっちゃったら、魔物になっちゃうんですよぉ?」
でもぉ……と、堕天使は甘く囁く。
「サアラちゃんは、イきたいんですよね?大好きな大好きなアルマさんにぃ、おちんちんをおまんこの奥にガンガンと叩いてもらってぇ、幸せな気分になりたいんですよね?」
ふふっふふっと、短く何度も笑うメル。
「や、やぁだぁ……魔物に、なりたくない……」
涙を幾筋もこぼし、サアラは小さく何度も首を横に振る。
「なりたくないの?じゃあ……」
ストップですね。とメルがつぶやくと、快楽を貪っていたアルマの腰の動きがぴたりと止まった。
「あっ、あぁ……」
脳をとろけさせていた快楽の供給が止まり、サアラは名残惜しそうにため息を漏らす。
それを見聞きして、メルがさらに笑顔を深める。
「あら、やっぱりイきたかったんですか?そんなに残念そうな顔をしちゃって」
「違うっ違うぅ……!」
悪魔のような囁きに、サアラは必死で抗う。
「はぁ……はぁ……」
長く深く、獣のような息を漏らしながら、アルマはときおりびくっと震えた。
「んふっ、サアラちゃん、体が落ち着いてきたみたいですね。それじゃあ、もう一回動いてあげてください」
メルが彼の方を向いて微笑むと、アルマは腰の動きを再開した。
――ぬちゅぅ……ぐちゅぅ……
先ほどの、膣肉をこじ開け貪るようなストロークとは違う、まったりと長く楽しむための、ゆっくりとした腰の動き。
サアラの腹部の側面、くびれの部分をがっちりと両手で掴み、腰を前へ後ろへと動かす。
「んぅ、ふぅっ……」
内壁を熱く固い亀頭でえぐられるたびに、サアラは艶かしく声を上げる。
アルマの動きはまるでじらすかのようなものであったが、彼女の頭の中には着実に快楽がたまっていった。
「んきゅっ、ひぃ、きゅぅんっ」
そして、それが耐え切れなくなり、絶頂を迎える直前になって。
「はい、またストップですね」
残酷なメルの宣告。またも絶頂の直前で動きを止められてしまった。
「な、なんでぇ……」
サアラが声を振り絞って問いかける。
「だぁってぇ……サアラちゃん、魔物になりたくないんでしょう?だったら止めないとぉ……ね?」
耳元で囁くメルの声、そして吐息。それだけで、サアラの背筋がぞくぞくと震えた。
メルはサアラのへその上に手を置き、その内側、子宮の脈動を確かめた。
絶頂を求めてひくつく子宮。その動きが徐々に収まり、サアラの快楽の熱が冷めていくところを確認した。
「うん、収まったみたいですね。それじゃあ、また動いてあげましょうか」
メルがそう言うと、アルマは腰を引き、ペニスが抜ける直前で一度動きを止めた。
一拍おき、それを一気に押し込む。
「ひぃっ!」
子宮口を思い切り叩かれ、サアラは歯を食いしばって喉から悲鳴を漏らした。
また一拍おくと、腰をゆっくりと引き、カリがぞりぞりと肉ひだをこすっていく。
「くぅ……ふぅんっ」
亀頭が抜ける直前で、ぴたりと腰を止める。
「くっ、ふっ、ふっ……」
いつあの強烈な一突きが来るのか。サアラは緊張した面持ちで待ち構える。
呼吸が浅く、短く、繰り返される。
今度は少し長かった。心臓が三つ四つ鼓動した後、一気に締まった膣肉をペニスがかき分け。
「んひぃ!」
最奥を叩く。
「んっ、ぐぅっ、うっ……」
ぷるっぷるっと小さく断続的にサアラが震えた。
アルマは腰を上下に小さくゆっくりと動かし、亀頭を子宮口にすりつける。
暴力的な快楽が少し収まり、おなかの奥でじんわりと温かな感触が広がる。
彼がひとしきり奥の感触を楽しむと、ゆっくりと腰を引いていった。
腰を少し持ち上げ、亀頭が膣の上面をこするように引き抜いていく。
「くぅんっ!」
中ほどまで引き抜いたころ、サアラがひときわ大きな声を上げた。
「んふっ、サアラちゃん、どうしましたか?」
嬉しそうな声色で、メルが言う。
彼女は二人がつながりあっているところを見下ろすと、全てを見透かしたように含み笑いを漏らした。
「あー。なるほどぉ。気持ちいいところにおちんちんが当たっちゃったんですねぇ……」
アルマがそこに亀頭を何度もこすりつける。
「あっ、あ゛っ、あ゛ぁあっ!だめっ、だめぇ!アルマぁ、そこだめぇ!」
悲鳴を漏らすサアラ。しかし、アルマは腰を止めなかった。
浅い部分の上面を、腰を小刻みに前後させてずりずりとこする。
「アルマさぁん、サアラちゃんのここ、どうですかぁ?」
「うん、すごいよ。ここだけ、他と違ってザラザラしてる……ひだひだが細かくて、いっぱいおちんちんをなでてくれるよ」
アルマの実況を聞いて、メルは満足そうにうなずき、サアラは赤面した。
「よかったですね。サアラちゃん。アルマさんのこと、ちゃんと気持ちよくできているみたいですよぉ?」
「そんなこと言わないでよぉ、バカァ!」
両手で顔を覆い、サアラは何度も首を横に振った。
「ごめん、僕、もうイきそう……」
Gスポットをこすりつづけていたアルマが、限界を訴えた。
亀頭を刺激するそこのザラザラが、思った以上に気に入ったようだ。
「えっ!?アルマっ、で、出ちゃうの!?」
サアラの問いかけに、アルマがうなずく。
「でも、僕、サアラと一緒にイきたい」
がばっと上半身を倒し、サアラの眼前にまで顔を近づけ、彼は言った。
「そんなっ、だめ、だめだよぉ!私がイったら、魔物になっちゃうんでしょぉ!?」
サアラも弱いところを何度も責められ、もはや限界は目前であったが、最後のタガが外せないでいた。
「それは分かってる。でも……やっぱり一緒に……サアラのことが、好きだから」
そっとサアラの手をとり、アルマは自分の指を彼女の指に絡ませる。
手が取り払われ、広がった彼女の視界いっぱいに、愛情たっぷりの笑顔を浮かべるアルマの顔があった。
――どきっ
彼女の鼓動が高まる。
「本当?私のこと……好き?」
ささやくように、震える声を出すサアラの言葉に、彼は大きくうなずいた。
「当たり前だよ。あの日、あの木の下で言ったじゃないか……大好きだって」
恥ずかしがることなく、彼は言い切った。
その瞬間。サアラの目からは大きな涙がこぼれる。
「うん……うんっ……!私も、アルマのこと、好きぃ、大好きぃ!ぐすっ、この前はぁ……ひっく、断ってごめんねぇ……」
サアラは彼に握られていない方の手で、何度も目をこすり、涙を拭った。
「大丈夫だよ。今こうして好き同士になれたんだし……それに、僕はサアラが魔物になっても、責任とってあげるから」
彼も手を伸ばし、目から溢れた彼女の涙をぬぐう。
「どんな風になっても、僕は、サアラのことが好きだから。だから、一緒にイこう?」
その言葉を聞くと、サアラは強張った表情を緩ませ、笑顔で大きくうなずいた。
「約束だよ?……責任、とってよね」
顔をゆっくりと寄せ、二人は口付け合った。
止めていた腰の動きが再開する。こりこりとした肉ひだと亀頭が互いにこすりあい、二人の頭の中に快楽と愛情が渦巻く。
「あっ、あうっ、くぅんっ!いいよぉ!アルマぁ、気持ちいいよぉ!」
「サアラっ、中が、締まってっ、温かいっ!」
アルマはさらに膣の温かさを堪能しようと、腰を押し込み、最奥までペニスを突き入れた。
「くぅんっ!」
Gスポットを強くこすられ、さらに子宮口を叩かれたため、脳内がショートするような快感がサアラの全身を駆け巡った。
「一番奥に、出すからね」
細かく腰を動かし、何度も何度も膣の最奥を叩きながら、アルマは息を荒げて言った。
「うんっ、うんっ、私、アルマのものになるからっ!だから、ふぅんっ!奥にぃ、ちょうだいっ!」
両手の指を互いに絡め、サアラはうっとりとした視線をアルマに注ぐ。
「うっ、ぐぅっ、出るっ!サアラの中気持ちいいから、もう出るぅ!」
「うんっ、出してっ、イかせてっ!アルマの熱いちんぽでイかせてぇっ!」
二人が限界を迎えた。
最後の最後、アルマが大きく腰を引き、一気に奥に突きたてた。
「きゅぅんっ!出てるっ出てるぅっ!アルマの精液で子宮叩かれてイきゅぅっ!」
サアラはアルマの射精と同時に大きく海老反りになり、全身をびくびくと震わせて絶頂した。
彼女の顔に浮かんでいるのは、魔物になってしまうという不安や悲しみではなく、大好きな人と一緒に絶頂できたという幸せであった。
絶頂の余韻に浸りながら、サアラがゆっくりと背中をベッドに預ける。
次の瞬間、サアラの体内から、黒い霧が一気に弾けた。
「あぁっ!」
彼女が小さく叫び声を上げる。
霧は一気に部屋中に充満した。そしてしばらく漂うと、逆再生するかのようにまた彼女の方へと戻っていった。
「ふぅっ、うぅん……」
気持ちよさそうな、切なげな声を漏らすサアラ。
霧がサアラの体表に集まり、それが徐々に固まって形を作り始めた。
頭を覆う帽子、そして体を覆うのは黒の修道服。
しかし、胸元は逆十字の穴が開き、乳房の谷間があらわになっており、スカートの左右には深いスリットが入って太ももまで丸見えである。
清楚でありながら、男を誘う扇情的な服装。
「くぅっ、きゅぅんっ!」
サアラががばと上半身を起こした。
繋がったままで余韻に浸っていたアルマの体にぶつかり、一緒に体を起こす。
「何……これぇ……」
ふるふると震え、彼女が弱弱しくつぶやく。
ぎゅっと彼の体にしがみついたサアラ。彼女の頭から、メリメリという音を立て、大きな紫色の角が生えてきた。
次に、草木が芽吹くように、腰から一対の黒い翼と、その間に同じくらい黒い尻尾が一本。
「はぁ……あぁ……」
目の光りを失くし、焦点の合わない瞳で、体が変質する違和感と快感に身を任せるサアラ。
「ふふっ」
ひたとサアラの背中にメルが抱きついた。
「おめでとうございます、サアラちゃん。これで、私たちの仲間です」
メルがサアラの出来立ての尻尾に指を這わせた。
「んんぅ……」
気持ちよさそうな声を上げるサアラ。
「そして、アルマさんのものになりましたぁ」
メルの言葉を聞くと、サアラは抱きついた腕をきゅっと強め、胸にうずめていた顔を上げた。
アルマを見つめたまま微笑むサアラ。その顔は、以前までの清らかなものではなく、魔物になった証しである淫らで好色なものであった。
「それじゃあ、一旦抜きましょうねー」
メルはおどけるような声色で言うと、抱きついたままのサアラの両脇を掴み、体を持ち上げた。
「そんな……」
メルの方を振り向き、サアラは口を尖らせ抗議する。
「そんなに残念そうな顔をしないでくださいよぉ。気持ちは分かりますけど、まずはぁ……」
ぬぽんとサアラの膣から抜けたアルマのペニスを眺めるメル。
「ほらぁ、サアラちゃんのエッチなお汁と、アルマさんのザーメンでどろどろでしょ?」
メルの視線をたどるように、サアラが彼の股間を見下ろした。
貫かれる前は、恐怖と緊張と部屋の暗さでよく見えなかったが、アルマのペニスは彼女が思っていた以上に硬そうで、大きかった。
「こんなに、大きいので私……」
ごくりと唾を飲み込む。
サアラの心には、もう男性器に対する恐怖心や嫌悪感はすでに欠片もなかった。あるのは興味と好奇心と愛おしさ。
「そうですよ?これがぁ、サアラさんを女に、魔物にしたんです……」
二人はベッドにうつぶせになり、ペニスに両側から顔を寄せる。
「魔物になったんですから、当然、これをどうするか分かりますよね?どろどろに汚れたおちんちん、どうするのか……」
メルが視線をサアラの方に移し、にこりと微笑む。
サアラは、顔を赤く染め、小さくうなずいた。
「それじゃあ、やってみてください」
肘を立て、両手に顎を乗せて、メルが促す。
「こ、こうだよね?」
サアラは脳内に浮かぶビジョン、魔物の本能に従って、おずおずと唇をペニスの先っぽに近づけた。
「ちろっ……れるっ……」
ゆっくりと、舌を尿道口に這わせる。
「くっ」
優しい刺激だったが、先ほどまで何度も射精していた彼にとっては、それですら強烈なものであった。
「ふふっ、アルマ、気持ちいいんだね……れるっ」
ちろちろと何往復か細かく舌を尿道口に這わせると、次は舌をくるくると回し、亀頭全体を舌で愛撫した。
「はぁい、上手ですねぇ。そうです、汚れたおちんちんは、こうやってなめてお手入れしないといけませんよねぇ」
メルはそう言って、肘を崩して一心不乱に汚れをなめとっているサアラのもとに顔を近づけた。
「私も、混ぜてくださいね」
右から顔を寄せ、メルが自らの舌をペニスに押し当てた。
「うぅっ」
新しい刺激にアルマがうめき声を上げる。
彼の背筋にぞくぞくと快楽が這い上がり、体を起こしていることができなくなったので、アルマはばたりと仰向けに倒れ、ベッドに体重をあずけた。
「うん、そうそう。アルマは楽にしてていいんだからね」
「私たちが、全部お世話してあげますから」
淫魔二人が、彼のペニスを左右から責める。
メルはペニスの左側を、サアラが右側を、それぞれなめていく。
カリの溝に舌を合わせ、たまった汚れを取るようにこする。
たまに幹にキスをして、舌をくっつけてペニスにまとわりついている淫液を吸い取る。
「ちゅぴっ、ちゅぽっ……れるれる」
「ちゅっちゅっ……ぬろぉ……」
四つんばいになり、お尻をふりふりと揺らしながら、物欲しそうな目でフェラチオを行う淫魔たち。
彼女たちの秘所からは、とろとろと愛液が滴り、一刻も早くそそりたった彼のペニスを受け入れて欲しそうだった。
「うーん、汚れは取れましたかねぇ」
唇を離し、メルが言う。
「そうね。どろどろしたものがなくなったね」
じゃあ……と二人は同時につぶやいた。
「アルマさん、まだ出せますよね?」
「アルマぁ、精液おいしいから、もっといっぱい出してね」
それじゃあ、私が先っぽいきますね。とメルが囁くと、舌を伸ばし、口の中に唾液をいっぱいためながら、ペニスを口に招き入れた。
「あぁむ……じゅるぅ……」
ちゅぽっちゅぽっと音を立て、よだれをだらだらと流しながらメルが顔を前後に動かす。
「じゃあ、私はこっちだね」
サアラは、大きく口を開け、睾丸を口に含む。
「はむっ……むぐむぐ、ころころ……」
右の睾丸の外周をなぞるようにサアラの舌が優しいタッチで這い回る。
「うっ、くっ……二人とも、舌っすごいぃ……」
二人の舌の同時攻撃に、アルマは深く喘いだ。
サアラの刺激は、じんわりと温かさが広がり、精子がどんどんと作られていく感覚を覚えた。
対するメルの刺激は、外からは見えない部分、口内の舌の動きが激しく、しかも的確に彼の性感帯を刺激するので、暴力的なほどの快感をもたらす。
「ふぅんっ!すごいよぉ……気持ちいいよぉ……もう、出ちゃうぅ……」
腰をびくびくと震わせ、睾丸がきゅっと持ち上がる。
「ちゅぽんっ、あっ、アルマのたまたま、ぴくってした。ふふっ、本当にもう出ちゃうんだね」
「じゅぽっ、ぬぽんっ。いいれふよぉ……わらひの口の中でぇ……じゅるぅ、気持ちよぉーくびゅーびゅーしてくださいねぇ」
淫魔たちの舌技のラストスパート。
「うっ、くぅぅ!」
アルマはなす術なく射精するしかなかった。
「んっ!んぅ……ふぅ……」
メルは亀頭をころころと転がし、口内に精液をためこんでいく。
「ん……ぬぽっ。ひゃあらはん、こっひむいへくらはい……」
こっちを向けと理解したサアラ。言われた通りにメルの方を向いた。
「んっ!」
直後、メルがサアラの唇に吸い付き、口内にためておいた精液を、彼女の口内へと流し込んだ。
「んぅー、ぬろぉ……ちゅるぅ、ごくっごくっ」
舌を絡ませながら、大量に放出されたアルマの精液を、二人は喉を鳴らし飲み干していく。
彼女たちは最上の美味、想い人の精液を、目をうっとりととろけさせ、顔を朱に染めながら全て飲み干した。
「あぁ……」
淫靡な光景を目にして、アルマの性欲がまたすぐに昂り始めた。
なえていたペニスに硬さが戻り、心臓の鼓動に合わせてぴくんぴくんと震える。
欲望の塊を見下ろし、にぃと二人の淫魔が微笑んだ。
「アルマさん、エッチなんですね。もうこんなに硬くしてしまって……」
「なぁに?アルマ、もしかしてまだ出したりないの?」
唇を離した二人の間には、薄く白い粘液の橋がかかっていた。
「じゃあ次は、私の番だね」
サアラがふふっと笑うと、四つんばいのままで、彼の体の上にのそのそと覆いかぶさっていった。
「ほら、見える?わたしのおっぱい……魔物になって、大きくなっちゃった」
ちろっと悪戯っぽく舌を出す。
修道服の下の乳房は、人間だったころの控えめなものとは比べ物にならないほど大きく、豊満になっていた。
「うん、気に入ったみたいだね。そんなに必死に見ちゃってぇ……」
するすると元の位置まで彼女は下がっていく。
胸が股間の真上まで来たところで、ぴたりと動きが止まった。
「今度は、ここで搾ってあげるからね」
修道服の隙間から覗く胸の谷間に、ひくつく亀頭を押し当てる。
「おっぱいが大きくなったから、こんなこともできちゃうんだよ」
体重を重力に任せると、谷間にずぶずぶとペニスが挿し込まれていった。
「あぁ……はぁあ……」
眉を寄せ、快楽にゆがむアルマの顔を見て、サアラは嬉しそうな顔をした。
「ふふっ、縦パイズリ……あ、奥におちんちんが当たった」
唾液がまぶされているので、すんなりと谷間へと招かれていく。
根元まで侵入させると、先端が彼女の胸板に到達した。
「なに……これぇ……」
アルマが驚きの声を漏らす。
彼が最初に感じたのは、皮膚のひんやりとした冷たさであった。
しかし直後、乳房の奥からじわりと湧き上がる温かさに包まれ、安心感を覚える。
温度の次は、感触が伝わる。
膣で感じる筋肉とは違う、本人の意思では動かすことのできない脂肪特有の、自然な圧力。
奥まで届くと、今度は胸板の少し硬い感触が亀頭を襲った。
アルマは初めて経験したパイズリに、ただただ喘ぎを漏らすことしかできなかった。
「あーあ、くやしいですねぇ……私にはそんなことできませんからぁ……」
唇を尖らせ、メルがつぶやく。
膝立ちの状態で、両手で控えめな胸を包んで寄せて上げている。
「ふふん……だったらぁ、メルちゃんはメルちゃんができることをやればいいじゃない」
少し誇らしげに、サアラが鼻を鳴らしながら言う。この家にきたとき、目の前でつながっているところを見せ付けられたことに対する、小さな復讐心である。
「むぅ……サアラちゃん、性格変わりましたね……まあいいです。私もできる範囲でアルマさんに奉仕しますからっ」
つーんとそっぽを向き、メルが言い放った。
そして彼女はアルマの顔へと近づいた。
「あぁ、はあぁ……んぅ?メル?」
「ほらアルマさん、こっちに顔を寄せてくださいねぇ」
メルが元のうっとりとした表情に戻すと、アルマの首筋に両腕を絡ませ、しっとりとした唇を彼のものに押し付けた。
「むちゅっ、れぇるっ、ちゅるっ」
舌を絡ませあうと、メルの魅了の魔力がこもった吐息が彼の肺へと吸収されていく。
それによって彼の思考がとろけはじめ、まぶたがゆっくりと下りていった。
「れるっ、ちゅぽっ……んふっ、そうです。目を閉じてぇ、私のキスに身を任せてください……ふふっ、もちろん、サアラちゃんのパイズリにもですけど」
その後しばらく、部屋から聞こえるのは、メルとアルマのキスの音と、サアラの胸から漏れるねちっこい音、そして感極まったサアラの吐息だけ。
「はぁ……あむっ、れるぅ……ちゅっちゅっ」
「ふぅっ、うぅんっ」
――ぬちっ、ぐちゅっ、ぬちゅっ……
サアラは両手で乳房をはさみ、上半身を何度も上下へ往復させる。
何度目の往復であっただろうか。サアラの谷間の奥に亀頭がぶつかったとき。
「んっ、ちゅっ、んんっ!」
アルマが腰をびくんびくんと跳ねさせた。
そのたびに、ポンプのように精液が尿道を駆け上がり、勢いよく彼女の胸板を叩いた。
「きゃっ。あぁ……漏らしちゃったね……」
初めて自分で搾り取った精液を胸で感じ、サアラは彼の方を見上げながら誇らしげに笑った。
乳房をさらに締め付け、ゆっくりと上半身を起こしていく。
「はぁ……あぁ……」
尿道を圧迫され、そこに残った精液も漏れ出してしまう。
「んー……しょっと」
ちゅぽっと可愛らしい音を立て、谷間からペニスが抜け出した。
「ほらぁ、アルマこっち見て」
サアラが目を開けるように促す。
言われた通りにアルマがまぶたを開けると、そこには修道着の胸の逆十字の窓から、ごぼりと漏れ出る彼の精液が見えた。
「んふっ、アルマぁ……私にこぉんなに搾られちゃったんだよ?」
誇らしげに胸を手で互い違いに上下させ、ぶるぶると震わせる。そのたびに、どろどろと精液が外へと溢れ出した。
不浄の証である精液を、嫌がるどころか嬉しそうに己の体にすりつける姿。
彼はそれを見て、サアラが本当に魔物になったんだと、改めて実感したのである。
「それにしても、何でアルマさんって、こんなにエッチなんでしょうねぇ」
サアラの乳搾りから解放された彼のペニスを眺め、メルがため息混じりにつぶやく。
彼女の視線の先、彼の男性器は、いまだ硬さを保ったまま重力に逆らうように立っていた。
「サアラちゃんが来る前にも何発もぴゅっぴゅしましたしぃ、あとはぁ……」
天井を見上げながらメルが指折り数える。
「玄関で一発、サアラちゃんに一発中出し、二人にちゅぱちゅぱされて一回、それからさっきのパイズリでもう一発……これだけ出しておいてまだ立ったままなんて、もうおちんちんバカになってるんじゃないですかぁ?」
彼の腰の真横にぺたんと腰を下ろし、勃起ペニスをツンツンと人差し指でつつくメル。
「うっ……」
それだけなのに、彼は気持ちよさそうな声を出してペニスを震わせる。
「ちゅぱっ、れるっ……いいんじゃないの?その分みんな長く楽しめるんだし」
谷間に残った精液を指に塗りつけ、それをしゃぶりながらサアラがつぶやいた。
魔物になったばかりの彼女は、もっと作り変えられた体を試してみたいと思っているようだ。
「うーん……まあ、そうですね。それじゃあ、次は私が」
よいしょ、とつぶやき、メルがアルマの腰にまたがった。
「アルマさんはそのままでいいですからねぇ。今度は私が馬乗りになって搾ってあげますから」
にっこりと微笑み、狙いをさだめながら浮かせた腰を落としていった。
「あぁうっ!」
「あはぁ……入っ……ちゃうぅ!」
ぐちゅりと湿っぽい音を立て、一気に奥まで挿入された。
最奥に達した瞬間、二人が同時に声を上げ、全身を痙攣させる。
「あは……は……何度しても、アルマさんのが入る感触、すてき、です……」
メルは両手のひらを彼の胸にひたと乗せ、前傾姿勢で彼の顔を見下ろす。
顔を真っ赤に染め、まぶたを少し下ろし、口をだらしなく開け、堕天使は快楽に浸る。
「アルマしゃぁん……いつものぉ、いつものしてくださいぃ……」
腰をくいっとひねりながら、メルがアルマにおねだりをする。
こくこくと何度も小さくうなずくアルマ。
「いつものって、何?」
横で座っていたサアラが問いかけた。
「うっ、ちょっと、待ってて……」
うめきながらアルマが言うと、彼はメルの尻肉を両手で左右に押し広げた。
「ふっ、うっ、はやくぅ……」
甘ったるい声を出し、メルが急かす。
これから何が起こるのか、興味を持っているサアラがごくりと唾を飲み込んだ。
アルマは、人差し指をメルの肛門に挿入し、中で指を曲げた。
「んひぃ!」
大きく一度全身を震わせ、メルが悦んだ。
その後も、彼が何度も指を曲げ、抜き差しし、指の腹で直腸の内壁をごしごしとこする。
「ふっふっきゅんっ、あっ、あぁ、あ゛−っ」
メルは一心不乱に腰を振り、喉の奥から搾り出すように声を出す。
「うわっ、うわっ、うわぁ……」
サアラは両手を口に添え、興味深々で二人の痴態を見つめた。
魔物化する前の彼女だったら、目を多い神に慈悲を請いたくなるなるほどの汚らわしい姿。
しかし、すっかり魔物に堕ちてしまった今、それは彼女にとって興味や憧れの対象となっていた。
サアラはそっと後ろに回り、メルの尻を眺める。
しみ一つないまっさらな彼女の背面。
青黒く染まった彼女の全身。
視線を下へと移す。
腰には、サアラとおそろいの真っ黒な翼。そして尻尾。
尻尾はぬらぬらと怪しく光り、翼は喜んでいる犬のように、何度もぱたぱたとはためく。
そして、ペニスをくわえこんだ女性器と、サアラの興味を一番惹いている、指が抜き差しされたアヌス。
腸液を垂れ流しにしながら、内壁をこすられる快楽に悦ぶメル。
無意識の内に、サアラはそこへと手を伸ばしていた。
「んっ、んっ……ふぇっ!?さ、サアラさ……っ、ひぃぃっ!」
サアラの行動に気付いたメルだったが、すでに遅かった。
サアラの人差し指が、アルマのものの横に滑り込むように、肛門の中へと入っていった。
「うわっわっ、すごい。ぬるぬるだぁ……」
自分の指がくわえ込まれた肛門をまじまじと見つめ、サアラがため息交じりの声を上げる。
すでに何度もアルマに責められているそこは、二本の指を挿入されてもかまわずに柔らかく広げられる。
逆方向に括約筋が引っ張られ、桃色の内壁がサアラの目に入った。
「あぁぁ……ふぅぅっ!ひょんな、ごしごししちゃ……っ」
天井を見上げ、放心しきった顔をしているメルだが、腰の動きは止めない。
うねうねと前後に動かし、ペニスを優しくほぐしていく。
そして時折、思い出したようにきゅっと締まるのだ。
「あぁ……うぅっ」
ランダムな刺激を受け、たまらずアルマが喘ぎ声を漏らす。
「二本でぇっ、バラバラに責められたら、あんっ、わらひ……」
一人で二本を入れられるのとは違う、二つの思考で思い思いに責められる感覚。予測できない快楽を味わい、早くもメルは限界寸前まで陥った。
「イくっ、ひきゅっ!おしりとおまんこ同時にくるっ、アクメくるっ、幸せ同時攻撃きちゃうぅ!」
とどめの刺激、サアラとアルマの指が同時にかぎ爪状に曲がり、内壁を強く圧迫しこすった。
「ぁ……っ、はっ……!……!」
メルは背中を大きく反らし、口をだらしなく開き、喉が搾られ呼吸が止まった。
膣肉がぎゅぅっと強く締まり、ポンプのようにアルマの精液を搾りとった。
そして射精の勢いを子宮で受け止め、間髪入れずに二次絶頂を迎えた。
「すっごい……お尻が、締まって……」
膣と同時に、肛門括約筋も力強く締まった。千切れるのではないかと思うくらい指を締め付けられ、サアラは興味深く彼女の肛門を眺めていた。
「全然離れないね、メルちゃん」
つながったままで、メルはあのまま気絶をしてしまった。
倒れた彼女を、アルマが胸で受け止めて今に至る。
すぅすぅと寝息を立て、幸せそうな表情で眠りに付くメル。
そんな彼女の寝顔と、少し困った表情のアルマの顔を交互に眺めながら、サアラが言った。
うつぶせになり、肘を立てて両手に顎を乗せ、彼女は両足を交互に折り曲げぱたぱたとさせている。
足のぱたぱたに合わせ、翼がぱたぱたとはためく。
「まあ、だいたいいつも最後はこうなるから……」
アルマが諦めた表情でつぶやく。
「ねえ、アルマ」
サアラが、顔をアルマの方へずいと近づけた。
「ありがとう」
「え?」
突然の言葉に、彼は思わず聞きかえす。
「ありがとうね。私を魔物にしてくれて」
サアラが微笑む。その顔は、さっきまでの娼婦を思わせるものではなく、以前の、魔物になる前の清楚なものであった。
「なる前はあんなに嫌だったのに……今はね、とっても嬉しい。アルマと気持ちいいことができるし……」
それに……と言いつつ、眠っているメルの頭を撫でる。さらさらと、彼女の銀髪が手をくすぐる。
「メルちゃんとも、今まで以上に仲良くなれそうだし。ふふっ」
嬉しそうに微笑み、彼らの顔はさらに近づく。
「アルマ、大好きだよ。もう一生、離れないからね」
サアラが甘く囁く。そしてどちらともなくまぶたを閉じ、唇を重ねた。
村全体が魔物の瘴気に包まれ、魔界へと堕ちる三日前の出来事。
教会の聖堂に隔離されるように存在する懺悔室。
中は光が入らないように暗幕に囲まれており、懺悔をする者と聞き手の間に木の格子がはめ込まれ、徹底的にプライバシーが確保されている。
太陽が顔を覗かせたばかりの時刻。鶏と雀の合唱があちこちで響いている。
懺悔者は続ける。
「私は以前、愛の告白を断りました。幼馴染でした。小さな頃からいつも一緒に遊び、両親よりも一緒にいる時間が長いほどでした」
すぅと息を吸う。
「彼のことが好きでした。好きといっても、異性として好きというわけではなく、友人としてというか……仲間として、というか……」
「だから、彼の告白を受けたとき、頭が真っ白になってしまいました。ですから、とっさに断ってしまったのです」
「しかし、最近私は気付きました。実は、本当は、私は彼のことを異性として好いているということを……」
ため息をついた。
「気付いたきっかけは、彼の家に住み着くようになった女性の存在です」
「彼女が言うには、行き倒れていたところを、彼が助けてくれたということらしいのですが……」
「私は彼女に、嫉妬心を抱いてしまったのです。彼の家に住み、共に生活し……」
「私は、嫉妬という罪を犯してしまいました。それをここに懺悔します」
一息でしゃべりきり、ふぅと大きく息を吐いた。
「たしかに、その懺悔、お受けしました」
決まりの文句。しかし、懺悔者・サアラは驚いて顔を上げた。
この教会では、懺悔を聞くのは牧師であるという慣例がある。
しかし、今聞こえたのは、確かに女性の声。しかも、今まで教会で聞いたことのない声である。
懺悔するものされるもの、双方のプライバシーを守るために、わざわざ声色を変える人もいるにはいる。
しかし、それにしても教会に勤めている誰とも結びつかない声。
「神は言っています」
向こう側の声で、サアラの思考が途切れた。
「『迷わず進め、行けば分かるさ』……一度、その女性と幼馴染、そしてあなたの三人で話し合いをしてみてはいかがでしょうか」
「は、はあ……」
サアラは生返事を返した。
「一度の告白でダメならば、二度三度と押していけばいいのです。何だったら、色仕掛けでもかまいません。相手をその気にさせれば勝ちなのです」
「い、色っ!?」
思わず叫んでしまうサアラ。
教団の教義は「姦淫するべからず」である。それなのに、神の使いであるはずのシスターがそんなことを言うなんて。
しかし……と彼女は考えた。
――そうでもしないと、彼とは結ばれないのでは……
それほど彼女は切羽詰っていた。
日を追うごとにあの二人の仲はよくなっていると彼女は感じていた。
もしかしたら、すでに肉体関係にすらなっているかもしれない。
彼は教団の信者ではないので、彼女から誘われたら拒むことはできないであろう。
だから、一刻も早く行動に移さなければいけないという、強迫観念にかられたのだ。
「ありがとうございました」
懺悔室から出る彼女の瞳には、覚悟の炎が燃えていた。
「うふふ……」
懺悔室からサアラが出たのを確認すると、聞き手側から笑い声が漏れた。
「あー、あー、もう大丈夫かな?……がんばってね、サアラちゃん……」
格子に取り付けられた肘掛に両肘をつき、その上に顎を乗せ、くすくすと笑う彼女。
しばらくは先ほどまで聞こえていた声と同じであったが、何度か発声練習のような声を上げると、それよりも高い声へと変化していった。
室内が明るければ、彼女の腰の翼ははためき、尻尾が重力に逆らってゆらゆらと揺れていることが分かったであろう。
先ほどまでサアラの懺悔を聞き、アドバイスを与えていた彼女の正体。
元エンジェル、現在は堕落神の使い。サアラが嫉妬していた相手、メルである。
懺悔室でサアラが聞いていたのは、変声の魔法を用いたメルのものだったのである。聞き覚えがないのも無理はない。
「牧師さぁん、ちゃんと最後まで声を我慢できましたね。えらいえらい……そんな牧師さんにはご褒美っ」
そう言うと、メルは自らの下腹部の筋肉に力を入れ、腰を上下させた。
にゅこにゅこと、ねちっこい音が鳴る。
「あうっ、うぅっ……」
それと同時に、牧師はうめき声を上げ、ぶるぶると全身を震わせた。
懺悔室に響く、どぷっどぷっという何かが発射される音。
立ち後背位でつながっていたペニスから、精液が漏れる音である。
「うふ、ふ……なかなか美味しいですよ、牧師さんのざーめん……」
彼女が腰をくいっと持ち上げると、ぬぽっと間の抜けた音を立て、彼女の肉壷から力を失ったペニスが抜け出した。
「これで、牧師さんは立派なインキュバスでぇす……」
そう言って彼女は振り返り、牧師に抱きついた。
「頑張ってくださいね。インキュバスの魔力を使えば、あなたの大好きなシスターさんもイチコロですから……」
彼に耳を寄せ、メルが囁く。
そして牧師を振り返らせ、ぽんぽんと背中を叩いて外へ送り出した。
「うまくいったら教えてくださいねー」
大きく手を振って、メルはまだ子供っぽさが抜け切れていない、新人牧師を送り出した。
この教会の聖職者が全員魔物になり、堕落神を崇めるようになるのは、それから三日後のことである。
「……」
その日の昼、サアラは件の幼馴染・アルマの住む家の前に立っていた。
サアラの心臓は大きく鳴り、呼吸は荒くなる。
彼女は明らかに緊張していた。
サアラは、自分がアルマに告白したときのことを思い出す。
あのとき、彼の瞳は驚くほど冷たかった。他に夢中になったものを見つけたような、自分に対して興味のない瞳。
そのとき彼女は、彼がメルに恋しているのだと分かった。
彼女は後悔した。なぜあのとき彼の告白を拒絶してしまったのだろうと。
あそこで了承していれば、メルに取られることもなかったのに……
しかし、過去を振り返ってもしょうがない。今何をするか、それが大事なのだ。と、彼女は何とか心の奥から湧き上がる黒い衝動を押さえ込んだ。
玄関の扉に手を伸ばし、ノックしようとすると……
内側から扉が何度か叩かれる音がした。
「メルちゃん?それとも、アルマ?」
サアラはノブに手をかけ、ゆっくりと扉を開け放した。
「……っ!」
反射的に、手で口と鼻を押さえてしまう。
邪悪の塊のような異様な気が、そこから漏れ出ているように思えたからだ。
扉の隙間にあるのは、夜よりも暗い闇。
次の瞬間、彼女の鼻の奥を、濃厚なメスの匂いがくすぐった。
「うぅっ……!」
うめくサアラ。彼女の耳に、耳慣れた声が響いた。
「あんっ、サアラちゃん……んっ、いらっしゃいっ」
扉の隙間から顔を覗かせた声の正体は、メルであった。
顔から下の部分は、家の中、闇の奥に隠れて見えない。
彼女の顔を見て、サアラはいくつもの違和感を覚えた。
まずは顔色。色黒を通り越し、灰色と青の混ざったような人間ではありえない色をしている。
次に表情。とろけるような瞳、目に浮かんだ涙、切なげに開いた口。
さらに声。「あっ……んっ」などと、だらしない口の中から切なげな声が漏れ出ている。
最後に音。ぱちゅんぱちゅん、と湿ったものが叩かれるような音が、闇の中から響いている。
匂いもさらに強くなり、サアラはそれによって自分の心臓の鼓動が強くなっているのを感じた。
――何なの……これ……?それに、この匂い、どこかで……
「ぐっ、出るっ!」
切羽詰った男の声。次の瞬間、ばちんっ!と大きな音が響き、うめき声が聞こえた。
「あ……ああっ……はぁっ……」
扉の淵と玄関の壁を、メルがぎゅっと握り、心ここにあらずという表情でサアラを見上げた。
口の端からだらしなくよだれを垂らし、ひくひくと顔を震わせ、女の幸せを一身に浴びた……そんな顔であった。
「ちょっと!メルちゃん何をやって……」
サアラが玄関扉を引き開けると、目の前の光景に息を呑んだ。
「はぁ……はぁ……!」
立った状態で上体を前に倒しているメル。そんな彼女の腰を、アルマが力強く両手で握り締めていた。
二人は全裸で、下半身、互いの性器がつながりあっていた。
匂い立つ淫臭。
このとき、サアラは今まで嗅いでいた匂いの正体を思い出した。
――この匂い……最近アルマから漂っていた……
彼をふった後、彼の体から発せられていた香り。彼女がそれを嗅ぐたびに、彼に対する恋心が強くなっていたあの香り。
その正体は、発情したメルから発せられる淫臭であったのだ。
「きゃっ、きゃぁ……っ!」
悲鳴を上げそうになったサアラの口を、メルが素早く両手でふさぎ、彼女を家に引きずり込んだ。
「あうっ」
闇の中に急に引き込まれ、目の前が真っ暗になったサアラは、バランスを崩して玄関前の廊下に倒れこんだ。
「あら、ごめんなさぁい、サアラちゃん」
うつぶせに倒れた彼女を見下ろし、メルがくすくすと笑う。
サアラが家を覗き込んだときに見えた闇、それがメルの全身にずるずると音をたてながら吸収されていく。
排水溝に水が吸い込まれていくように、渦を巻きながら彼女の体に吸い寄せられていく黒い瘴気。それをサアラは呆然としながら見上げていた。
闇が薄くなっていく。壁、天井、床、扉……そして、うっとりと頬を染めるメルと、彼女に後ろから抱き付いて腰をゆるゆると動かすサアラの想い人、アルマの姿。
二人は全裸であった。
そして、サアラの目を惹いたのは、メルの体から生える一対の黒い翼、一本の黒い尻尾、そして頭に浮かぶ紫色の輪。
「あ……あ……」
サアラが目を見開き口をぱくぱくとうごめかせる。
「あれ、言ってませんでした?私がエンジェルだってこと。……ああ、今は違いますね。元・エンジェルでしたね」
ふふっと含み笑いを漏らすメル。
「あ、あ、あなたたち……なんてことを!」
声を震わせながら、サアラは叫んだ。
サアラとメルの二人。彼女たちは、アルマが畑仕事に行っている間、互いの家に行き来しておしゃべりするほどの仲良しになっていた。
しかし、メルはサアラに一言も自分が神の使いであることを口に出したことはなかった。
「みだりに正体を明かすべからず」……天界の掟である。
そして、これは教団関係者……神の使いであろうが、牧師であろうが、信者であろうが全ての者に対する鉄の掟。
「姦淫するべからず」……メルとアルマ、現在の二人の行動は、それに反していた。
人前ではばかることなく、子孫を残すためではなく、楽しむための性交を行う。
サアラにとって、それは何よりも許しがたい行為であったのだ。
「なんてことをって……エッチですよぉ?」
サアラの慌てぶりに対して、メルの態度はあくまで冷静であった。
わざとらしく首をかしげ、肩をすくめて言い放つ。
「はぁ……はぁ……メル……どうしよう、僕の、納まらない……」
メルのおなかに両手を回し、うなじに顔をうずめてアルマが声を震わせる。
ぐにぐにと腰をうごめかせ、二回戦をしたいと懇願する。
「もう、アルマさんは甘えん坊なんだからぁ……ほらぁ、サアラさんが見てますよぉ?」
彼に振り返り、メルは潤ませた流し目で見つめる。
まるで、目の前のサアラに見せ付けているかのようだ。
「えっ、あっ、サアラ……どうしてこんなところに……!」
はっと目を開き、サアラを見下ろすアルマ。彼はサアラがこの家に来たことに今初めて気付いたのだ。
サアラが彼の目を見つめる。
彼の瞳……そこに光はなかった。他の全てのことに興味は失せ、欲しいのはただメルの体のみ。
彼は完全にメルの膣の虜になっていた。
「あぅん……最近ね、アルマさんがぁ、毎日私を求めてくるんですよぉ……」
迷惑そうに眉をひそめるが、声色を聞く限り、嫌がる素振りは全くない。
「そんな……アルマ……嘘でしょ?」
今にも泣きそうな声で、サアラがつぶやいた。
それも当然である。自分の気持ちに決着を付けようと彼の家に乗り込んだら、すでに彼は他人のもの、それも仲の良い女の子のものになっていたのだ。
もはや、自分に入り込む余地は全くない。どうしようもない。そう思ってしまったのも無理はない。
だが、元天使はそんな彼女の気持ちに気付き、助け舟を渡した。
「サアラちゃん……でもぉ、これはぁ、私からアルマさんを奪う大チャンスだと思いません?」
以前のメルからは考えられないほどの甘ったるい声で、サアラに言う。
「今のアルマさん、私のおまんこの病み付きなんですよぉ?だったらぁ……」
メルが舌なめずりをする。
「サアラちゃんも私みたいに……ここでぇ……」
そう言って、彼女はアルマのペニスをくわえ込んでいる部分、下腹部を指差した。
「アルマさんを病み付きにしてあげればいいじゃないですかぁ」
「そ、そんなこと!」
サアラが顔を強張らせ、力強く床を踏みしめて立ち上がる。
そして眉をひそめ、目線が同じ高さになったメルを睨みつける。
「『できるわけがない!』ですかぁ?サアラちゃん、そんな怖い顔しないでくださいよぉ」
淫魔がその字のごとく、淫らに微笑む。
「でもぉ、それだとぉ……あんっ、アルマさんがぁ、ずぅっと私の膣内から出てくれませんよぉ?」
そう言うと、彼女は腰を一度大きくひねった。
すると、後ろから抱きつき、背中に頬を乗せたアルマが、小さくうめき声を上げた。
「んふっ、また射精しちゃいましたね」
薄く目を閉じ、メルは子宮を叩く精液の感触を確かめた。
「なっ!何をやってっ!」
メルの肩をつかみ、大声を上げるサアラ。さらにガクガクとその肩をゆする。
「もぉっ、そんな泣きそうな顔をしないでくださいよぉ」
頭をガクガクと前後に揺らすが、淫魔特有の淫らな微笑みは崩さない。
「私はぁ、ただアルマさんを幸せにしてるだけなんですからぁ……」
ぺろりと舌なめずり。
「さっきから言ってるじゃないですかぁ。そんなに私がするのが嫌なら、代わりにサアラさんがやってあげればいいんですよぉ」
ふぅと息を吐き、甘ったるい吐息を空気に混ぜ込ませる。
ぴたりとサアラの腕が止まった。
――そうか……私が、メルちゃんの代わりにアルマのことを幸せにしてあげれば……
だらりと腕を重力に任せるように下ろした。
「ふふっ、やる気になったみたいですねぇ……じゃあ、アルマさんごめんなさい、一旦抜きますね」
メルは振り向いてアルマに囁くと、尻を持ち上げた。
ぬぽんと音を立て、いまだに固さを保ったペニスが飛び出した。
それは互いの粘液が混ざり合い、ぬらぬらと鈍い光を放っている。
「あ……えっ……もう?」
パチパチと何度もまばたきし、アルマが気だるそうな声を出した。まだまだ彼は物足りないようだ。
「大丈夫ですよぉ、今度は、私の代わりにサアラちゃんがやってくれますから」
にんまりとメルが微笑み、ウインクをする。
「えっ、サアラが?サアラがしてくれるの?」
視線を動かし、彼はぼーっとしているサアラを見た。
サアラはその視線に小さくうなずいて答えた。
「はいはーい、ベッドに着きましたよー」
メルが楽しそうな声を出しながら寝室のドアを開けると、アルマとサアラの二人の手を取って引っ張っていった。
アルマは生気の抜けた表情で、サアラは緊張で強張らせた表情で、彼女に引っ張られるまま寝室に足を踏み入れた。
「それじゃあサアラちゃんはベッドに横になってくださいねー」
メルはサアラの両肩を優しく掴むと、ゆっくりとベッドの上に横たわらせた。
「最初は、全部私たちに任せてくださいね」
そう言って、メルはサアラのブラウスに手をかけた。
「えっ……きゃっ!」
サアラは悲鳴を上げると、自分の両肩を腕で抱いてメルの動作を阻止した。
「ちょっとー、だめじゃないですかぁ。私の代わりになるんでしょぉ?」
そう言って頬を膨らませるメルは、すでに全裸である。
「う……わ、分かった……」
眉をひそめながらも、ゆっくりとサアラは腕の拘束を解いた。
抵抗の意思がなくなったと判断し、メルは彼女の服を脱がしにかかった。
ブラウスの肩紐を下ろし、後ろのボタンを外す。
次に肌着。
「バンザイしてくださいねー」
サアラの肘にメルが手を当てると、真一文字に唇を結びながらも、サアラは彼女の言葉に従った。
頭の上に両手を持ち上げさせると、メルは彼女の肌着のすそを持ち上げて脱がした。
下半身の服もてきぱきと脱がせる。
スカートは何とか脱がせることに成功したが、最後の一枚・パンツは脱がされることをかたくなに拒んだ。
「うーん……しょうがないですねぇ。じゃあこのまま始めちゃいましょうか」
困った表情でメルがつぶやくと、ベッドのそばに立っていたアルマの手を取った。
「それじゃあアルマさん、お願いしますねぇ」
メルはアルマの手を、サアラの頭の横に導く。
それに合わせ、彼は両膝をそれぞれ彼女の腰の横に乗せ、もう片方の手を、頭の反対側に置いた。
「アルマ……」
サアラは目の前の彼の名を呼ぶ。しかし、彼は答えない。
その目は彼女を見ていない。あくまでメルの指示に従ったら、目の前にサアラがいた。それだけなのだ。
メルにかけられた強力な魅了の魔術はまだ解けない。
「男女の営みにも、順序ってものがあります。まずは、キスをしましょうねぇ」
メルのおどけるような声が発せられると、それを合図に彼の両腕が目の前の彼女の首に回された。
二人の距離が、さらに接近する。
「アルマぁ……やだよぉ。こんなわけ分からないままのキスなんて、やだよぉ……」
駄々をこねるようにサアラが小さく首を左右に振るが、アルマはお構いなしに顔を寄せる。
「やめてぇ……お願いだからっんんーっ!」
口をふさがれる。
唇同士が触れ合い、その弾力を互いの脳に伝える。
「んふふ……もちろん、愛し合う男女なんですから、唇を重ねるだけじゃあだめですよねぇ」
「んっ!」
アルマが唇を割るように、舌をねじ込ませる。
すぐにサアラの舌と触れ合い、口内を余すところなくなめ回す。
「んんっ!んっ!んん……んぅ……」
初めは体を強張らせ、彼の胸を押して離れようとしていたサアラであったが、徐々に全身の力を緩めていった。
瞳が潤み、鼻や唇の隙間から漏れる息が熱くなる。
「んん……れるぅ……ちゅるっ」
頬が朱に染まり、目がゆっくりと閉じられる。
視覚情報が遮断され、その他の感覚がより敏感になる。
温かい舌の感触。
何故か甘いアルマの唾液。
粘り気を含んだ水音。
土とメルの誘惑の香りが混ざった匂い。
全てがサアラの性的興奮を昂らせるのに十分な要素であった。
「んっ、れるっ……ふぅんっ……」
普段の、教団に生活の全てを捧げる彼女ではありえない艶っぽい声が、吐息とともに漏れ出る。
「うーん、だんだん素直になってきましたねぇ……じゃあ次はぁ……」
いつの間にか彼女の横にすり寄っていたメルが、サアラの左耳に口を寄せ、小さく囁く。
メルの吐息が耳にかかるたびに、サアラが小さくぶるっと震える。
「おっぱい、もまれちゃいましょうねー」
「ひうっ!」
唇に吸い付きながら、アルマの手がサアラの乳房を這い回る。
「ふぅんっ!アリュマぁ……」
唾液の糸を引き、サアラが抗議の声を上げる。しかし、その顔に浮かぶのは笑顔。
たとえメルの誘惑、催眠魔術のせいであっても、アルマは自分のことを求めているのだ。
そういった気持ちが、彼女の心に温かいものを満たす。
「ゆっくりぃ……まずは外側からぁ……」
メルが囁く。
アルマの手が、乳の山のすそ野をゆっくりと一周させる。
「だんだんと上へ……」
回る指が、手が、ドリルやスクリューのごとく、徐々に頂上へと上がっていく。
「んっ、にちゅっ、ふっ……」
耳に入る声と、胸を這い回る感触。先端を刺激されることへの期待感で、サアラの頭の中はいっぱいになった。
「あらぁ、期待しちゃってますねぇ……もうこんなに乳首こりこりさせちゃってぇ……それじゃあ期待に応えて」
メルがつぶやくと、メルが左、アルマが右の乳首を同時につまんだ。
「ひっ、ひぃっ!」
目を見開き、悲鳴を漏らして背筋を反らす。
「あはっ、あひっ……」
サアラは、目の前で火花が散り、脳髄に電流が流れるような感覚を覚えた。
不意打ちのショックで、わけも分からないまま絶頂してしまったのだ。
生まれて初めての感覚。しかし、本能ではそれが何なのかを理解していた。
その証拠に、彼女の股間、誰にも見せたことのない花びらからは、ペニスを迎え入れるための粘液が漏れ出した。
「んー、イっちゃいましたねぇ」
くすくすとメルが笑う。
彼女は笑いながら、右手を彼女のパンツの中へ差し入れた。
「きゅぅんっ!」
また海老反るサアラ。
メルは何かを確かめるように、何度か指をうごめかすと、嬉しそうに何度もうんうんとうなずいた。
「んふふ、準備万端みたいですねぇ」
「ふぇ……?じゅん、び……?」
よだれをだらしなく垂らしながら、力なくサアラがつぶやいた。
「そうですよぉ。サアラちゃんのおまんこにぃ、アルマさんのおちんちんを入れる準備ですよ?」
「えっ……」
サアラの体が再び強張る。
性的興奮でもやがかかったようにぼんやりとしていた脳が、すっと冷める。
「そんなっ、まだ心の準備が……」
口をもごもごとうごめかし、拒否の意を示したサアラ。アルマが、彼女の右耳に口を寄せる。
「僕と、したくないの?」
ひどく悲しそうな、今にも泣き出しそうな声で囁いた。
「んぅっ!ア、アルマ?」
突然の囁き。それも大好きな男子の声を耳元から浴びせられ、サアラはぞくりと体を震わせた。
「僕は、サアラとしたい」
耳元に口を近づけたまま、彼女に体重を預け、ぎゅっと抱きついた。
サアラの赤い顔がさらに真っ赤に染まる。
「いいんですか?アルマさんのせっかくの誘いなのに……受けないんですかぁ?」
「でも……でも……」
何度も同じことをつぶやき、うなるサアラ。
「サアラちゃん、優柔不断なんですねぇ……」
左耳へメルが囁くと、右耳からはアルマの興奮した息遣いがこだまする。
「ほらぁ、アルマさん、おちんちんがおまんこ肉にずっと包まれてないから、興奮していますよぉ?」
メルはそうつぶやくと、自分の右手をそっとアルマのペニスの根元に伸ばした。
親指と人差し指でリングを作り、ペニスを握って優しく上下させる。
「ふぅ……ふぅ……」
彼の息遣いが少し納まる。
「アルマさんのおちんちん、『早くおまんこの中に入りたいよぉ』って言ってますよ?」
しゅこしゅことリングの上下を早める。
「くっ……はぁ、はぁ……」
アルマの吐息が、サアラの右の鼓膜を優しく揺さぶる。
「それなのにぃ、サアラさんは断るんですか?それじゃあ……」
メルがサアラの耳たぶを甘噛みした。びくりと震えるサアラ。
「私のおまんこに入れちゃおうかなぁ」
その言葉がとどめとなった。
すうっと息を吸うと、肺に溜めた空気を吐き出すように、重々しくサアラが言った。
「それだけはだめ!私の中に入れてもらうんだから!」
「本当に、いいの?」
心配そうにアルマが言った。
幼馴染であるので、彼はサアラが厳格な教団信者であることを知っていたのだ。
ただでさえ、今までの行為は教義に反しているのだ。
その上、これから行う行為、魔物にたぶらかされ、子孫を残すため以外の性交をするのは……
他人にばれたら破門である。
しかし、サアラの意志は固かった。
「大丈夫……大丈夫だから」
きゅっと唇を結び、全身を強張らせながら言った。決意は固くても、恐怖心は拭えない。
「うん、分かった。優しくするから」
アルマは、彼女の体を抱いている腕の力を強くする。
「それじゃあ、入れるよ」
甘く囁き、彼は腰を浮かせた。
横にいるメルが、サアラのパンツ、ヴァギナを隠している部分を横にずらし、彼女の大陰唇を優しく指で押し開く。
「さあ、ここにどうぞ」
メルの言葉を聞き、彼が小さくうなずいた。
腰を少しずつ落とす。
くちっ……亀頭がサアラの粘膜に触れた。
「アルマァ……」
そのとき、泣きそうな声でサアラが声を絞り出した。
「何?」
「その……怖いから、怖い、から……キスしながら、入れて」
両腕を彼の方へ突き出し、接吻をせがむ。
その表情が、彼にとってはあまりにも可愛らしくて、守ってあげたくて、彼は小さくうなずいた。
そして、彼は唇を彼女のものへを寄せた。そっと触れ合うだけのキス。
「力を抜いてくださいね。少しは楽になりますから」
左のメルがアドバイスをする。
「大丈夫だから、安心して」
キスの合間に、アルマも優しく声をかける。
それだけで、彼女の全身の力を抜くには十分であった。
そっと目を閉じ、安心しきった顔で、先輩二人に身を任せる。
もう一度キス。
それと同時に、アルマが腰をゆっくりと前へ進めた。
「ふっ……うぅんっ」
粘膜が熱いペニスにこすられ、サアラが快楽のうめきを上げる。
腰が止まる。亀頭の先端に、わずかな抵抗があった。
アルマはここで一息つくと、一気に腰を沈めた。
「っ!んんっ!うぅんっ!」
口をふさがれた状態で、鼻から大きく息を放ち、サアラは破瓜の痛みにうめいた。
「ほら、サアラちゃん、力を抜いてください」
メルが声をかけるが、サアラは頭を大きく左右に振り、アルマのキスを振りほどいてしまう。
「ああっ!あぅっ!ぐぅんっ!」
ぎゅっと目をつぶり、大粒の涙をこぼしながら何度もうめく。
「大丈夫。しばらく動かないから」
アルマがぐっと腰に力をこめる。
膣の一番奥で、ペニスが動きを止めた。
「ううっ……ぐすっ、ひっく……」
鼻をすすり、涙をぽろぽろ流し、ただただサアラは痛みをこらえる。
全身、特に下腹部に力がこもり、膣肉が図らずもアルマの分身を強く強く握り締める。
早鐘のように打つ心臓の鼓動に合わせ、その秘肉がとくんとくんとうごめく。
子供をあやすかのように、アルマは優しくサアラの頭をなで、唇に何度もキスを浴びせる。
メルは彼女の背中をさすり、「大丈夫だよ、大丈夫だからね」と優しく慰める。
「ぐすっ……うっ……うぅんっ……ふぅっ……」
しばらく時間が経つと、彼女の泣き声が薄くなり、代わりに違う声が混じるようになった。
彼女の変化にメルがいち早く気付く。
「気持ちよくなってきた?」
サアラが大きく鼻を一度すすると、こくりと小さくうなずいた。
「ちょ、ちょっとだけ……」
ぽっと頬を赤く染める。
「ふふっ、よかった。じゃあアルマさん、動いてあげて」
にぃと目を細めてメルが言うと、アルマは言われた通りに腰を動かし始めた。
ゆっくりと、彼女の反応を確かめるように。
――ずっ……
まずはそろそろと腰を引いていく。
「んっ!んぅ……」
先ほどまで処女膜があったところにカリが引っかかると、少しサアラが顔をしかめた。しかし、それ以外の部分では大丈夫そうだ。
――にゅこぉ……
亀頭まで抜き終わったら、今度は同じくらいゆっくりと腰を押し戻す。
ペニスが膣穴に割り入るたびに、肉がきゅっと締まり、二人が同時に吐息を漏らす。
――ぬちぃ……
今度は少し早く抜く。
「あっ、あっ……」
サアラの声から、痛みや苦しみの色が消える。
「うん、もう大丈夫そうだね」
嬉しそうにメルが微笑んだ。
「もう、早く動かしてもよさそうですね……アルマさん、女の子の幸せ、教えてあげて?」
アルマはこくんとうなずき、腰を勢いよく沈めた。
「きゅぅんっ!」
ごつりと亀頭と子宮口がぶつかり、サアラは歓喜の悲鳴を上げた。
このとき、彼女は何故教団が姦淫を禁ずるのかを理解した。
――神様ぁ……こんな気持ちいいのを禁止するなんてぇ、ひどいですぅ……
花が咲いたかのような笑顔。
彼女は今までの、教義に縛られ自分に見向きもしてくれない神に従ってきた人生を激しく悔いた。
目の前がバチバチと弾けるような感覚。
脳内が真っ白になるような快楽。
大好きな人の愛を、体内から受ける幸せ。
全てがサアラを虜にした。
一番奥をぐりぐりとえぐられ、膣内上面の気持ちいいところをこすられ、ひだにカリが引っかかり、左右の耳に届く大好きな人たちの声。
神に縛られた拘束を溶かし、全てがどろどろにとろけていく感覚。
「あっ!あっ!きゅぅん!」
その奥に、最後の扉があることを感じた。
「あはっ、サアラちゃん、もうすぐイきそうですねぇ」
耳たぶを甘く噛み、自分の秘所を指でもてあそびながらメルが囁く。
「イ……きそう?」
耳慣れない単語を、サアラが反芻する。
「んふっ、何か、すごいのが来ちゃいそうな感覚がするでしょ?」
がくがくと全身をゆすられているサアラ。最後の扉、越えてはならない一線。そのことだろうと理解した彼女は、メルの言葉を聞いて小さくうなずいた。
「それが、絶頂。イくって言うんですよ?」
「イく?……これが、イく?」
目をうつろにさせ、サアラは何度も「イく、イく」とつぶやく。
「うん……うん……あぁっ、イくっ、イくぅ……うんっ、イきゅっ!イきゅぅっ!」
その単語を一つつぶやくたびに、心の奥底にある、理性や貞操や教義や知識や主神、その他諸々の拘束する鎖が砕け散る感覚を覚えた。
「イくの?サアラちゃんイっちゃうんですか?イくと私と同じになっちゃいますよ?魔物になっちゃいますよ?いいんですか?」
メルがそっと囁く。
「えっ……」
快楽で呆けていたサアラの表情から、さっと熱が抜ける。
「え……ま、魔物……?」
目だけを動かし、彼女はメルの方を見た。
メルの目がにぃと細くなり、口角を吊り上げ、場違いなほど白い歯を見せる。
「そうですよぉ?今イっちゃったら、魔物になっちゃうんですよぉ?」
でもぉ……と、堕天使は甘く囁く。
「サアラちゃんは、イきたいんですよね?大好きな大好きなアルマさんにぃ、おちんちんをおまんこの奥にガンガンと叩いてもらってぇ、幸せな気分になりたいんですよね?」
ふふっふふっと、短く何度も笑うメル。
「や、やぁだぁ……魔物に、なりたくない……」
涙を幾筋もこぼし、サアラは小さく何度も首を横に振る。
「なりたくないの?じゃあ……」
ストップですね。とメルがつぶやくと、快楽を貪っていたアルマの腰の動きがぴたりと止まった。
「あっ、あぁ……」
脳をとろけさせていた快楽の供給が止まり、サアラは名残惜しそうにため息を漏らす。
それを見聞きして、メルがさらに笑顔を深める。
「あら、やっぱりイきたかったんですか?そんなに残念そうな顔をしちゃって」
「違うっ違うぅ……!」
悪魔のような囁きに、サアラは必死で抗う。
「はぁ……はぁ……」
長く深く、獣のような息を漏らしながら、アルマはときおりびくっと震えた。
「んふっ、サアラちゃん、体が落ち着いてきたみたいですね。それじゃあ、もう一回動いてあげてください」
メルが彼の方を向いて微笑むと、アルマは腰の動きを再開した。
――ぬちゅぅ……ぐちゅぅ……
先ほどの、膣肉をこじ開け貪るようなストロークとは違う、まったりと長く楽しむための、ゆっくりとした腰の動き。
サアラの腹部の側面、くびれの部分をがっちりと両手で掴み、腰を前へ後ろへと動かす。
「んぅ、ふぅっ……」
内壁を熱く固い亀頭でえぐられるたびに、サアラは艶かしく声を上げる。
アルマの動きはまるでじらすかのようなものであったが、彼女の頭の中には着実に快楽がたまっていった。
「んきゅっ、ひぃ、きゅぅんっ」
そして、それが耐え切れなくなり、絶頂を迎える直前になって。
「はい、またストップですね」
残酷なメルの宣告。またも絶頂の直前で動きを止められてしまった。
「な、なんでぇ……」
サアラが声を振り絞って問いかける。
「だぁってぇ……サアラちゃん、魔物になりたくないんでしょう?だったら止めないとぉ……ね?」
耳元で囁くメルの声、そして吐息。それだけで、サアラの背筋がぞくぞくと震えた。
メルはサアラのへその上に手を置き、その内側、子宮の脈動を確かめた。
絶頂を求めてひくつく子宮。その動きが徐々に収まり、サアラの快楽の熱が冷めていくところを確認した。
「うん、収まったみたいですね。それじゃあ、また動いてあげましょうか」
メルがそう言うと、アルマは腰を引き、ペニスが抜ける直前で一度動きを止めた。
一拍おき、それを一気に押し込む。
「ひぃっ!」
子宮口を思い切り叩かれ、サアラは歯を食いしばって喉から悲鳴を漏らした。
また一拍おくと、腰をゆっくりと引き、カリがぞりぞりと肉ひだをこすっていく。
「くぅ……ふぅんっ」
亀頭が抜ける直前で、ぴたりと腰を止める。
「くっ、ふっ、ふっ……」
いつあの強烈な一突きが来るのか。サアラは緊張した面持ちで待ち構える。
呼吸が浅く、短く、繰り返される。
今度は少し長かった。心臓が三つ四つ鼓動した後、一気に締まった膣肉をペニスがかき分け。
「んひぃ!」
最奥を叩く。
「んっ、ぐぅっ、うっ……」
ぷるっぷるっと小さく断続的にサアラが震えた。
アルマは腰を上下に小さくゆっくりと動かし、亀頭を子宮口にすりつける。
暴力的な快楽が少し収まり、おなかの奥でじんわりと温かな感触が広がる。
彼がひとしきり奥の感触を楽しむと、ゆっくりと腰を引いていった。
腰を少し持ち上げ、亀頭が膣の上面をこするように引き抜いていく。
「くぅんっ!」
中ほどまで引き抜いたころ、サアラがひときわ大きな声を上げた。
「んふっ、サアラちゃん、どうしましたか?」
嬉しそうな声色で、メルが言う。
彼女は二人がつながりあっているところを見下ろすと、全てを見透かしたように含み笑いを漏らした。
「あー。なるほどぉ。気持ちいいところにおちんちんが当たっちゃったんですねぇ……」
アルマがそこに亀頭を何度もこすりつける。
「あっ、あ゛っ、あ゛ぁあっ!だめっ、だめぇ!アルマぁ、そこだめぇ!」
悲鳴を漏らすサアラ。しかし、アルマは腰を止めなかった。
浅い部分の上面を、腰を小刻みに前後させてずりずりとこする。
「アルマさぁん、サアラちゃんのここ、どうですかぁ?」
「うん、すごいよ。ここだけ、他と違ってザラザラしてる……ひだひだが細かくて、いっぱいおちんちんをなでてくれるよ」
アルマの実況を聞いて、メルは満足そうにうなずき、サアラは赤面した。
「よかったですね。サアラちゃん。アルマさんのこと、ちゃんと気持ちよくできているみたいですよぉ?」
「そんなこと言わないでよぉ、バカァ!」
両手で顔を覆い、サアラは何度も首を横に振った。
「ごめん、僕、もうイきそう……」
Gスポットをこすりつづけていたアルマが、限界を訴えた。
亀頭を刺激するそこのザラザラが、思った以上に気に入ったようだ。
「えっ!?アルマっ、で、出ちゃうの!?」
サアラの問いかけに、アルマがうなずく。
「でも、僕、サアラと一緒にイきたい」
がばっと上半身を倒し、サアラの眼前にまで顔を近づけ、彼は言った。
「そんなっ、だめ、だめだよぉ!私がイったら、魔物になっちゃうんでしょぉ!?」
サアラも弱いところを何度も責められ、もはや限界は目前であったが、最後のタガが外せないでいた。
「それは分かってる。でも……やっぱり一緒に……サアラのことが、好きだから」
そっとサアラの手をとり、アルマは自分の指を彼女の指に絡ませる。
手が取り払われ、広がった彼女の視界いっぱいに、愛情たっぷりの笑顔を浮かべるアルマの顔があった。
――どきっ
彼女の鼓動が高まる。
「本当?私のこと……好き?」
ささやくように、震える声を出すサアラの言葉に、彼は大きくうなずいた。
「当たり前だよ。あの日、あの木の下で言ったじゃないか……大好きだって」
恥ずかしがることなく、彼は言い切った。
その瞬間。サアラの目からは大きな涙がこぼれる。
「うん……うんっ……!私も、アルマのこと、好きぃ、大好きぃ!ぐすっ、この前はぁ……ひっく、断ってごめんねぇ……」
サアラは彼に握られていない方の手で、何度も目をこすり、涙を拭った。
「大丈夫だよ。今こうして好き同士になれたんだし……それに、僕はサアラが魔物になっても、責任とってあげるから」
彼も手を伸ばし、目から溢れた彼女の涙をぬぐう。
「どんな風になっても、僕は、サアラのことが好きだから。だから、一緒にイこう?」
その言葉を聞くと、サアラは強張った表情を緩ませ、笑顔で大きくうなずいた。
「約束だよ?……責任、とってよね」
顔をゆっくりと寄せ、二人は口付け合った。
止めていた腰の動きが再開する。こりこりとした肉ひだと亀頭が互いにこすりあい、二人の頭の中に快楽と愛情が渦巻く。
「あっ、あうっ、くぅんっ!いいよぉ!アルマぁ、気持ちいいよぉ!」
「サアラっ、中が、締まってっ、温かいっ!」
アルマはさらに膣の温かさを堪能しようと、腰を押し込み、最奥までペニスを突き入れた。
「くぅんっ!」
Gスポットを強くこすられ、さらに子宮口を叩かれたため、脳内がショートするような快感がサアラの全身を駆け巡った。
「一番奥に、出すからね」
細かく腰を動かし、何度も何度も膣の最奥を叩きながら、アルマは息を荒げて言った。
「うんっ、うんっ、私、アルマのものになるからっ!だから、ふぅんっ!奥にぃ、ちょうだいっ!」
両手の指を互いに絡め、サアラはうっとりとした視線をアルマに注ぐ。
「うっ、ぐぅっ、出るっ!サアラの中気持ちいいから、もう出るぅ!」
「うんっ、出してっ、イかせてっ!アルマの熱いちんぽでイかせてぇっ!」
二人が限界を迎えた。
最後の最後、アルマが大きく腰を引き、一気に奥に突きたてた。
「きゅぅんっ!出てるっ出てるぅっ!アルマの精液で子宮叩かれてイきゅぅっ!」
サアラはアルマの射精と同時に大きく海老反りになり、全身をびくびくと震わせて絶頂した。
彼女の顔に浮かんでいるのは、魔物になってしまうという不安や悲しみではなく、大好きな人と一緒に絶頂できたという幸せであった。
絶頂の余韻に浸りながら、サアラがゆっくりと背中をベッドに預ける。
次の瞬間、サアラの体内から、黒い霧が一気に弾けた。
「あぁっ!」
彼女が小さく叫び声を上げる。
霧は一気に部屋中に充満した。そしてしばらく漂うと、逆再生するかのようにまた彼女の方へと戻っていった。
「ふぅっ、うぅん……」
気持ちよさそうな、切なげな声を漏らすサアラ。
霧がサアラの体表に集まり、それが徐々に固まって形を作り始めた。
頭を覆う帽子、そして体を覆うのは黒の修道服。
しかし、胸元は逆十字の穴が開き、乳房の谷間があらわになっており、スカートの左右には深いスリットが入って太ももまで丸見えである。
清楚でありながら、男を誘う扇情的な服装。
「くぅっ、きゅぅんっ!」
サアラががばと上半身を起こした。
繋がったままで余韻に浸っていたアルマの体にぶつかり、一緒に体を起こす。
「何……これぇ……」
ふるふると震え、彼女が弱弱しくつぶやく。
ぎゅっと彼の体にしがみついたサアラ。彼女の頭から、メリメリという音を立て、大きな紫色の角が生えてきた。
次に、草木が芽吹くように、腰から一対の黒い翼と、その間に同じくらい黒い尻尾が一本。
「はぁ……あぁ……」
目の光りを失くし、焦点の合わない瞳で、体が変質する違和感と快感に身を任せるサアラ。
「ふふっ」
ひたとサアラの背中にメルが抱きついた。
「おめでとうございます、サアラちゃん。これで、私たちの仲間です」
メルがサアラの出来立ての尻尾に指を這わせた。
「んんぅ……」
気持ちよさそうな声を上げるサアラ。
「そして、アルマさんのものになりましたぁ」
メルの言葉を聞くと、サアラは抱きついた腕をきゅっと強め、胸にうずめていた顔を上げた。
アルマを見つめたまま微笑むサアラ。その顔は、以前までの清らかなものではなく、魔物になった証しである淫らで好色なものであった。
「それじゃあ、一旦抜きましょうねー」
メルはおどけるような声色で言うと、抱きついたままのサアラの両脇を掴み、体を持ち上げた。
「そんな……」
メルの方を振り向き、サアラは口を尖らせ抗議する。
「そんなに残念そうな顔をしないでくださいよぉ。気持ちは分かりますけど、まずはぁ……」
ぬぽんとサアラの膣から抜けたアルマのペニスを眺めるメル。
「ほらぁ、サアラちゃんのエッチなお汁と、アルマさんのザーメンでどろどろでしょ?」
メルの視線をたどるように、サアラが彼の股間を見下ろした。
貫かれる前は、恐怖と緊張と部屋の暗さでよく見えなかったが、アルマのペニスは彼女が思っていた以上に硬そうで、大きかった。
「こんなに、大きいので私……」
ごくりと唾を飲み込む。
サアラの心には、もう男性器に対する恐怖心や嫌悪感はすでに欠片もなかった。あるのは興味と好奇心と愛おしさ。
「そうですよ?これがぁ、サアラさんを女に、魔物にしたんです……」
二人はベッドにうつぶせになり、ペニスに両側から顔を寄せる。
「魔物になったんですから、当然、これをどうするか分かりますよね?どろどろに汚れたおちんちん、どうするのか……」
メルが視線をサアラの方に移し、にこりと微笑む。
サアラは、顔を赤く染め、小さくうなずいた。
「それじゃあ、やってみてください」
肘を立て、両手に顎を乗せて、メルが促す。
「こ、こうだよね?」
サアラは脳内に浮かぶビジョン、魔物の本能に従って、おずおずと唇をペニスの先っぽに近づけた。
「ちろっ……れるっ……」
ゆっくりと、舌を尿道口に這わせる。
「くっ」
優しい刺激だったが、先ほどまで何度も射精していた彼にとっては、それですら強烈なものであった。
「ふふっ、アルマ、気持ちいいんだね……れるっ」
ちろちろと何往復か細かく舌を尿道口に這わせると、次は舌をくるくると回し、亀頭全体を舌で愛撫した。
「はぁい、上手ですねぇ。そうです、汚れたおちんちんは、こうやってなめてお手入れしないといけませんよねぇ」
メルはそう言って、肘を崩して一心不乱に汚れをなめとっているサアラのもとに顔を近づけた。
「私も、混ぜてくださいね」
右から顔を寄せ、メルが自らの舌をペニスに押し当てた。
「うぅっ」
新しい刺激にアルマがうめき声を上げる。
彼の背筋にぞくぞくと快楽が這い上がり、体を起こしていることができなくなったので、アルマはばたりと仰向けに倒れ、ベッドに体重をあずけた。
「うん、そうそう。アルマは楽にしてていいんだからね」
「私たちが、全部お世話してあげますから」
淫魔二人が、彼のペニスを左右から責める。
メルはペニスの左側を、サアラが右側を、それぞれなめていく。
カリの溝に舌を合わせ、たまった汚れを取るようにこする。
たまに幹にキスをして、舌をくっつけてペニスにまとわりついている淫液を吸い取る。
「ちゅぴっ、ちゅぽっ……れるれる」
「ちゅっちゅっ……ぬろぉ……」
四つんばいになり、お尻をふりふりと揺らしながら、物欲しそうな目でフェラチオを行う淫魔たち。
彼女たちの秘所からは、とろとろと愛液が滴り、一刻も早くそそりたった彼のペニスを受け入れて欲しそうだった。
「うーん、汚れは取れましたかねぇ」
唇を離し、メルが言う。
「そうね。どろどろしたものがなくなったね」
じゃあ……と二人は同時につぶやいた。
「アルマさん、まだ出せますよね?」
「アルマぁ、精液おいしいから、もっといっぱい出してね」
それじゃあ、私が先っぽいきますね。とメルが囁くと、舌を伸ばし、口の中に唾液をいっぱいためながら、ペニスを口に招き入れた。
「あぁむ……じゅるぅ……」
ちゅぽっちゅぽっと音を立て、よだれをだらだらと流しながらメルが顔を前後に動かす。
「じゃあ、私はこっちだね」
サアラは、大きく口を開け、睾丸を口に含む。
「はむっ……むぐむぐ、ころころ……」
右の睾丸の外周をなぞるようにサアラの舌が優しいタッチで這い回る。
「うっ、くっ……二人とも、舌っすごいぃ……」
二人の舌の同時攻撃に、アルマは深く喘いだ。
サアラの刺激は、じんわりと温かさが広がり、精子がどんどんと作られていく感覚を覚えた。
対するメルの刺激は、外からは見えない部分、口内の舌の動きが激しく、しかも的確に彼の性感帯を刺激するので、暴力的なほどの快感をもたらす。
「ふぅんっ!すごいよぉ……気持ちいいよぉ……もう、出ちゃうぅ……」
腰をびくびくと震わせ、睾丸がきゅっと持ち上がる。
「ちゅぽんっ、あっ、アルマのたまたま、ぴくってした。ふふっ、本当にもう出ちゃうんだね」
「じゅぽっ、ぬぽんっ。いいれふよぉ……わらひの口の中でぇ……じゅるぅ、気持ちよぉーくびゅーびゅーしてくださいねぇ」
淫魔たちの舌技のラストスパート。
「うっ、くぅぅ!」
アルマはなす術なく射精するしかなかった。
「んっ!んぅ……ふぅ……」
メルは亀頭をころころと転がし、口内に精液をためこんでいく。
「ん……ぬぽっ。ひゃあらはん、こっひむいへくらはい……」
こっちを向けと理解したサアラ。言われた通りにメルの方を向いた。
「んっ!」
直後、メルがサアラの唇に吸い付き、口内にためておいた精液を、彼女の口内へと流し込んだ。
「んぅー、ぬろぉ……ちゅるぅ、ごくっごくっ」
舌を絡ませながら、大量に放出されたアルマの精液を、二人は喉を鳴らし飲み干していく。
彼女たちは最上の美味、想い人の精液を、目をうっとりととろけさせ、顔を朱に染めながら全て飲み干した。
「あぁ……」
淫靡な光景を目にして、アルマの性欲がまたすぐに昂り始めた。
なえていたペニスに硬さが戻り、心臓の鼓動に合わせてぴくんぴくんと震える。
欲望の塊を見下ろし、にぃと二人の淫魔が微笑んだ。
「アルマさん、エッチなんですね。もうこんなに硬くしてしまって……」
「なぁに?アルマ、もしかしてまだ出したりないの?」
唇を離した二人の間には、薄く白い粘液の橋がかかっていた。
「じゃあ次は、私の番だね」
サアラがふふっと笑うと、四つんばいのままで、彼の体の上にのそのそと覆いかぶさっていった。
「ほら、見える?わたしのおっぱい……魔物になって、大きくなっちゃった」
ちろっと悪戯っぽく舌を出す。
修道服の下の乳房は、人間だったころの控えめなものとは比べ物にならないほど大きく、豊満になっていた。
「うん、気に入ったみたいだね。そんなに必死に見ちゃってぇ……」
するすると元の位置まで彼女は下がっていく。
胸が股間の真上まで来たところで、ぴたりと動きが止まった。
「今度は、ここで搾ってあげるからね」
修道服の隙間から覗く胸の谷間に、ひくつく亀頭を押し当てる。
「おっぱいが大きくなったから、こんなこともできちゃうんだよ」
体重を重力に任せると、谷間にずぶずぶとペニスが挿し込まれていった。
「あぁ……はぁあ……」
眉を寄せ、快楽にゆがむアルマの顔を見て、サアラは嬉しそうな顔をした。
「ふふっ、縦パイズリ……あ、奥におちんちんが当たった」
唾液がまぶされているので、すんなりと谷間へと招かれていく。
根元まで侵入させると、先端が彼女の胸板に到達した。
「なに……これぇ……」
アルマが驚きの声を漏らす。
彼が最初に感じたのは、皮膚のひんやりとした冷たさであった。
しかし直後、乳房の奥からじわりと湧き上がる温かさに包まれ、安心感を覚える。
温度の次は、感触が伝わる。
膣で感じる筋肉とは違う、本人の意思では動かすことのできない脂肪特有の、自然な圧力。
奥まで届くと、今度は胸板の少し硬い感触が亀頭を襲った。
アルマは初めて経験したパイズリに、ただただ喘ぎを漏らすことしかできなかった。
「あーあ、くやしいですねぇ……私にはそんなことできませんからぁ……」
唇を尖らせ、メルがつぶやく。
膝立ちの状態で、両手で控えめな胸を包んで寄せて上げている。
「ふふん……だったらぁ、メルちゃんはメルちゃんができることをやればいいじゃない」
少し誇らしげに、サアラが鼻を鳴らしながら言う。この家にきたとき、目の前でつながっているところを見せ付けられたことに対する、小さな復讐心である。
「むぅ……サアラちゃん、性格変わりましたね……まあいいです。私もできる範囲でアルマさんに奉仕しますからっ」
つーんとそっぽを向き、メルが言い放った。
そして彼女はアルマの顔へと近づいた。
「あぁ、はあぁ……んぅ?メル?」
「ほらアルマさん、こっちに顔を寄せてくださいねぇ」
メルが元のうっとりとした表情に戻すと、アルマの首筋に両腕を絡ませ、しっとりとした唇を彼のものに押し付けた。
「むちゅっ、れぇるっ、ちゅるっ」
舌を絡ませあうと、メルの魅了の魔力がこもった吐息が彼の肺へと吸収されていく。
それによって彼の思考がとろけはじめ、まぶたがゆっくりと下りていった。
「れるっ、ちゅぽっ……んふっ、そうです。目を閉じてぇ、私のキスに身を任せてください……ふふっ、もちろん、サアラちゃんのパイズリにもですけど」
その後しばらく、部屋から聞こえるのは、メルとアルマのキスの音と、サアラの胸から漏れるねちっこい音、そして感極まったサアラの吐息だけ。
「はぁ……あむっ、れるぅ……ちゅっちゅっ」
「ふぅっ、うぅんっ」
――ぬちっ、ぐちゅっ、ぬちゅっ……
サアラは両手で乳房をはさみ、上半身を何度も上下へ往復させる。
何度目の往復であっただろうか。サアラの谷間の奥に亀頭がぶつかったとき。
「んっ、ちゅっ、んんっ!」
アルマが腰をびくんびくんと跳ねさせた。
そのたびに、ポンプのように精液が尿道を駆け上がり、勢いよく彼女の胸板を叩いた。
「きゃっ。あぁ……漏らしちゃったね……」
初めて自分で搾り取った精液を胸で感じ、サアラは彼の方を見上げながら誇らしげに笑った。
乳房をさらに締め付け、ゆっくりと上半身を起こしていく。
「はぁ……あぁ……」
尿道を圧迫され、そこに残った精液も漏れ出してしまう。
「んー……しょっと」
ちゅぽっと可愛らしい音を立て、谷間からペニスが抜け出した。
「ほらぁ、アルマこっち見て」
サアラが目を開けるように促す。
言われた通りにアルマがまぶたを開けると、そこには修道着の胸の逆十字の窓から、ごぼりと漏れ出る彼の精液が見えた。
「んふっ、アルマぁ……私にこぉんなに搾られちゃったんだよ?」
誇らしげに胸を手で互い違いに上下させ、ぶるぶると震わせる。そのたびに、どろどろと精液が外へと溢れ出した。
不浄の証である精液を、嫌がるどころか嬉しそうに己の体にすりつける姿。
彼はそれを見て、サアラが本当に魔物になったんだと、改めて実感したのである。
「それにしても、何でアルマさんって、こんなにエッチなんでしょうねぇ」
サアラの乳搾りから解放された彼のペニスを眺め、メルがため息混じりにつぶやく。
彼女の視線の先、彼の男性器は、いまだ硬さを保ったまま重力に逆らうように立っていた。
「サアラちゃんが来る前にも何発もぴゅっぴゅしましたしぃ、あとはぁ……」
天井を見上げながらメルが指折り数える。
「玄関で一発、サアラちゃんに一発中出し、二人にちゅぱちゅぱされて一回、それからさっきのパイズリでもう一発……これだけ出しておいてまだ立ったままなんて、もうおちんちんバカになってるんじゃないですかぁ?」
彼の腰の真横にぺたんと腰を下ろし、勃起ペニスをツンツンと人差し指でつつくメル。
「うっ……」
それだけなのに、彼は気持ちよさそうな声を出してペニスを震わせる。
「ちゅぱっ、れるっ……いいんじゃないの?その分みんな長く楽しめるんだし」
谷間に残った精液を指に塗りつけ、それをしゃぶりながらサアラがつぶやいた。
魔物になったばかりの彼女は、もっと作り変えられた体を試してみたいと思っているようだ。
「うーん……まあ、そうですね。それじゃあ、次は私が」
よいしょ、とつぶやき、メルがアルマの腰にまたがった。
「アルマさんはそのままでいいですからねぇ。今度は私が馬乗りになって搾ってあげますから」
にっこりと微笑み、狙いをさだめながら浮かせた腰を落としていった。
「あぁうっ!」
「あはぁ……入っ……ちゃうぅ!」
ぐちゅりと湿っぽい音を立て、一気に奥まで挿入された。
最奥に達した瞬間、二人が同時に声を上げ、全身を痙攣させる。
「あは……は……何度しても、アルマさんのが入る感触、すてき、です……」
メルは両手のひらを彼の胸にひたと乗せ、前傾姿勢で彼の顔を見下ろす。
顔を真っ赤に染め、まぶたを少し下ろし、口をだらしなく開け、堕天使は快楽に浸る。
「アルマしゃぁん……いつものぉ、いつものしてくださいぃ……」
腰をくいっとひねりながら、メルがアルマにおねだりをする。
こくこくと何度も小さくうなずくアルマ。
「いつものって、何?」
横で座っていたサアラが問いかけた。
「うっ、ちょっと、待ってて……」
うめきながらアルマが言うと、彼はメルの尻肉を両手で左右に押し広げた。
「ふっ、うっ、はやくぅ……」
甘ったるい声を出し、メルが急かす。
これから何が起こるのか、興味を持っているサアラがごくりと唾を飲み込んだ。
アルマは、人差し指をメルの肛門に挿入し、中で指を曲げた。
「んひぃ!」
大きく一度全身を震わせ、メルが悦んだ。
その後も、彼が何度も指を曲げ、抜き差しし、指の腹で直腸の内壁をごしごしとこする。
「ふっふっきゅんっ、あっ、あぁ、あ゛−っ」
メルは一心不乱に腰を振り、喉の奥から搾り出すように声を出す。
「うわっ、うわっ、うわぁ……」
サアラは両手を口に添え、興味深々で二人の痴態を見つめた。
魔物化する前の彼女だったら、目を多い神に慈悲を請いたくなるなるほどの汚らわしい姿。
しかし、すっかり魔物に堕ちてしまった今、それは彼女にとって興味や憧れの対象となっていた。
サアラはそっと後ろに回り、メルの尻を眺める。
しみ一つないまっさらな彼女の背面。
青黒く染まった彼女の全身。
視線を下へと移す。
腰には、サアラとおそろいの真っ黒な翼。そして尻尾。
尻尾はぬらぬらと怪しく光り、翼は喜んでいる犬のように、何度もぱたぱたとはためく。
そして、ペニスをくわえこんだ女性器と、サアラの興味を一番惹いている、指が抜き差しされたアヌス。
腸液を垂れ流しにしながら、内壁をこすられる快楽に悦ぶメル。
無意識の内に、サアラはそこへと手を伸ばしていた。
「んっ、んっ……ふぇっ!?さ、サアラさ……っ、ひぃぃっ!」
サアラの行動に気付いたメルだったが、すでに遅かった。
サアラの人差し指が、アルマのものの横に滑り込むように、肛門の中へと入っていった。
「うわっわっ、すごい。ぬるぬるだぁ……」
自分の指がくわえ込まれた肛門をまじまじと見つめ、サアラがため息交じりの声を上げる。
すでに何度もアルマに責められているそこは、二本の指を挿入されてもかまわずに柔らかく広げられる。
逆方向に括約筋が引っ張られ、桃色の内壁がサアラの目に入った。
「あぁぁ……ふぅぅっ!ひょんな、ごしごししちゃ……っ」
天井を見上げ、放心しきった顔をしているメルだが、腰の動きは止めない。
うねうねと前後に動かし、ペニスを優しくほぐしていく。
そして時折、思い出したようにきゅっと締まるのだ。
「あぁ……うぅっ」
ランダムな刺激を受け、たまらずアルマが喘ぎ声を漏らす。
「二本でぇっ、バラバラに責められたら、あんっ、わらひ……」
一人で二本を入れられるのとは違う、二つの思考で思い思いに責められる感覚。予測できない快楽を味わい、早くもメルは限界寸前まで陥った。
「イくっ、ひきゅっ!おしりとおまんこ同時にくるっ、アクメくるっ、幸せ同時攻撃きちゃうぅ!」
とどめの刺激、サアラとアルマの指が同時にかぎ爪状に曲がり、内壁を強く圧迫しこすった。
「ぁ……っ、はっ……!……!」
メルは背中を大きく反らし、口をだらしなく開き、喉が搾られ呼吸が止まった。
膣肉がぎゅぅっと強く締まり、ポンプのようにアルマの精液を搾りとった。
そして射精の勢いを子宮で受け止め、間髪入れずに二次絶頂を迎えた。
「すっごい……お尻が、締まって……」
膣と同時に、肛門括約筋も力強く締まった。千切れるのではないかと思うくらい指を締め付けられ、サアラは興味深く彼女の肛門を眺めていた。
「全然離れないね、メルちゃん」
つながったままで、メルはあのまま気絶をしてしまった。
倒れた彼女を、アルマが胸で受け止めて今に至る。
すぅすぅと寝息を立て、幸せそうな表情で眠りに付くメル。
そんな彼女の寝顔と、少し困った表情のアルマの顔を交互に眺めながら、サアラが言った。
うつぶせになり、肘を立てて両手に顎を乗せ、彼女は両足を交互に折り曲げぱたぱたとさせている。
足のぱたぱたに合わせ、翼がぱたぱたとはためく。
「まあ、だいたいいつも最後はこうなるから……」
アルマが諦めた表情でつぶやく。
「ねえ、アルマ」
サアラが、顔をアルマの方へずいと近づけた。
「ありがとう」
「え?」
突然の言葉に、彼は思わず聞きかえす。
「ありがとうね。私を魔物にしてくれて」
サアラが微笑む。その顔は、さっきまでの娼婦を思わせるものではなく、以前の、魔物になる前の清楚なものであった。
「なる前はあんなに嫌だったのに……今はね、とっても嬉しい。アルマと気持ちいいことができるし……」
それに……と言いつつ、眠っているメルの頭を撫でる。さらさらと、彼女の銀髪が手をくすぐる。
「メルちゃんとも、今まで以上に仲良くなれそうだし。ふふっ」
嬉しそうに微笑み、彼らの顔はさらに近づく。
「アルマ、大好きだよ。もう一生、離れないからね」
サアラが甘く囁く。そしてどちらともなくまぶたを閉じ、唇を重ねた。
村全体が魔物の瘴気に包まれ、魔界へと堕ちる三日前の出来事。
11/03/20 05:00更新 / 川村人志