連載小説
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1.湖へ行く(ウンディーネ)
湖の畔にあった大きな岩に腰を下ろす。
あまりの広さに、対岸の景色が霞んで見える。
ここは見晴らしがいいから、自分を探している両親が見つかるかもしれない。少年は希望を少しだけ取り戻した。
しばらく岩の上で両親を待っていると、湖の水面がぼこりと盛り上がった。
驚いていた少年の前で、それが円柱になり、四肢が生え、起伏が生まれ、女性になった。
「あ……あ……」
突然の出来事に、少年は口をぱくぱくとさせた。
「あら、こんな所に人なんて珍しいですわね。しかもこんな可愛い男の子……」

「そんな事があったのね……ふぅむ……」
水から生えたお姉さん―ウンディーネのアティ―は、少年の話を黙って聞いた。
そして、彼女は彼の話を整理し、彼は両親に捨てられたという事を理解した。
だが、少年本人はその事を理解していない。いや、本当は心の奥深くでは分かっているのかもしれないが、否定しているのかもしれない。
なので、彼女はあえて自分の考えを彼に伝えなかった。
「ボク、だったら私がお父さんとお母さん、一緒に探してあげる」
それに、彼女にとってこれはは外の世界へ行くチャンスである。
「本当?」
少年の顔が輝いた。太陽を思わせる彼のまぶしい笑顔に、アティの顔が思わずにやける。
「ええ、本当よ。ただ……」
「ただ?」
「お姉さんね、この湖から出られないの。出るためには、ボクの協力が必要なんだけど……」
申し訳なさそうな表情を浮かべ、チラッと少年に視線を向ける。
「は、はいっ、何でも協力します。だから、一緒に……!」
彼にとって、彼女の協力は地獄に垂らされた一本の蜘蛛の糸である。逃さない手はない。
「本当に、何でもする?」
彼女の問いに、彼はぶんぶんと何度も力強くうなずいた。
彼女の瞳に、情欲の炎が燃え上がった。
「それじゃあ、岩から降りて、ここに寝そべって」
彼女は、岩の隣に生えていた芝生を指差した。
彼は言われた通りに仰向けに寝そべる。湿気が多いため、彼の服が少し湿る。
彼が完全に横たわったのを確認すると、アティはじゅるじゅると音を立てて、彼の体に馬乗りになった。
「あ、あの……何をするんですか……?」
性の知識が一切ない少年であったが、本能がこれから起こる事がいけない事であるというのを知らせていた。
「これから契約するのよ」
「契約?」
耳慣れない言葉に彼は戸惑う。
「私達精霊はね、人間の男と契約して、初めて自由に動く事が出来るようになるの。だから、お姉さんがボクと一緒にお父さんお母さんを探すためには、ボクと契約しないといけないの」
「は、はい……分かりました」
上手く要領をつかむ事が出来なかったが、彼女の言う通りにすれば、一緒に両親を探す事が出来ると彼は理解した。
少年の強張った体から力が抜ける。
「ふふっ、いい子いい子……じゃあ、まずは挨拶代わりに……」
そう言うと、彼女は緩慢な動きで彼の唇に吸い付いた。
「あむ……ちゅぅ……ちゅるぅ……」
少年の目が大きく見開かれる。未知の行為、未知の感覚に驚いたのだ。
「んふっ、びっくりした顔も、可愛い」
唇を離し、アティが笑う。直後に、もう一度唇同士を重ね合わせる。
「ちゅ……ちゅ……ねぇボク、舌を『べーっ』ってしてみて?」
突然の出来事の連続で、彼の思考能力はほぼ麻痺している。なので、考える間もなく彼女の言う通りに舌を突き出した。
「んっ、いい子……ちゅるぅ」
アティは唇の間からこぼれさせた彼の舌を、自らの唇で優しく挟んだ。そして、彼女の舌が彼の舌先をころころと嬲り回す。
「んっ、んんーっ」
彼の全身に、快楽の電流が駆け回った。再び体が強張り、背筋がぴんと伸びる。
無意識の内に、彼の舌が彼女の舌を追い求めて淫らに蠢く。
「じゅる、ちゅぅぅぅ……うん、素直な子、お姉さんは好きよ。それに、下半身の方も……ふふっ」
彼女は自分の太ももを圧迫する熱い感触に、嬉しそうな声を上げた。
「それじゃあ、脱ぎ脱ぎしましょうね」
赤ちゃんをあやすような甘い声で、手際よく少年のズボンを脱がせる。
「ふぇ!?お、お姉さん、何をっ……!」
キスの快楽で蕩けた思考が一気に覚醒し、彼女の行動に思わず驚きの声を漏らしてしまう。
「何って、脱がさないと契約出来ないじゃない」
意地の悪い笑みを浮かべるアティ。
「それに、ボクのおちんちんは早く契約したくてびくびくしてるわよぉ……」
興奮した目つきで少年のペニスを見つめながら、彼女は息を荒くした。
「な、何これ……僕のおちんちん、おかしくなってるよぉ……」
重力に逆らうように天を指す少年のペニス。今まで見た事がない勃起状態のそれに、少年は驚き、怯えた。
「そうねぇ、このままだと、ボクぅ、おかしくなっちゃうわねぇ……」
アティの意地悪な言葉に、少年は泣きそうな表情を浮かべた。
ぞく、ぞく……彼女の体で、もっと虐めたいという欲求と、抱きしめてあやしてあげたいという欲求の相反する気持ちがせめぎ合う。
「お姉さんと早く契約しないと、どんどんおかしくなっちゃうわよ?契約、したい?」
彼の体に倒れこみ、アティは彼の耳元で囁く。
目を潤ませながら、彼は必死に首を縦に振った。
「ふふっ、分かったわ。それじゃあ、契約、しようね」
右手の人差し指と中指で自らの秘肉を押し広げ、彼のペニスの先端を肉穴に押し付けた。
待ちきれないとばかりに、そこはすでに涎まみれになっており、彼のペニスに愛液のコーティングを施している。
アティは興奮し荒くなっている呼吸を落ち着かせ、一気に腰を沈めた。
「んっくぅぅぅぅ!」
「あっんっぅぅぅ!」
二人の高い声が湖にこだました。
「んっふぅぅ……お姉さんのおまんこの中に、ボクのおちんちん、入っちゃったわよ?」
ぐにぐにと尻肉を彼の股間に押し付けるように、彼女は腰をスライドさせる。
「あぁんっ、あんっ!お姉さんのなか、なかぁ……ぐにぐにぐにゃぐにゃして、ひゅごいぃ……」
全身をぶるっぶるっと震わせ、甲高い悲鳴を上げる少年。
「もう、本当に可愛いわねボク。女の子みたいな声出しちゃって」
腰の動きを、横から縦へ移行させる。
ぐっちゅぐっちゅと粘っこく大きな音を立て、腰を深く落とすたびに肉穴から熱いつゆを飛ばす。
「あぅんっ、ひゃぅぅん!お姉さぁん……何か、おちんちんの根元が、ぐつぐつするよぉ……何か出ちゃうよぉ……!」
快楽のあまりに大粒の涙を流し、少年は絶頂が近い事を告げた。
「うんっ、いいわよ……あんっ、ボクの契約のハンコ、お姉さんの子宮口にっ、ひゃぅんっ、ちょうだいっ!」
ぱちゅんっと一際大きな音を立て、最奥までペニスをくわえこむと、限界を迎えた彼のペニスの先端から精液を迸らせた。
「ふぅんっ!きゅふぅぅぅん!契約の証、れてるぅ……」
契約完了。彼が十年溜め続けていた童貞精液は、彼女の体を少し濁らせた。

「お姉さん、どうしたの?」
次の日、湖の呪縛から解き放たれたアティは、約束通りに彼の両親探しに同行する事になった。
湖から己の体を切り離し、今は少し離れた芝生の上に立っている。
自分について来ない事に気付いた少年は、自分の遥か後方に居る彼女に向かって声をかけた。
「うん、ちょっとね。湖にお別れを言っているの」
彼女は微笑んだ。いくら飽き飽きして早くここから出たいと常々考えていたとしても、湖は彼女にとっては生まれ育った場所であり、故郷である。
これから一生ここに来ないだろうと思うと、少し寂しい気分になったのである。
「ふぅん、じゃあ、もう少しだけ待ってあげる」
「うん、ありがとう……」
二人はしばらくの間、日光を反射してきらきらと瞬く湖面を、黙って眺めていた。
10/10/03 18:07更新 / 川村人志
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