アルラウネの冬篭り
外は今、吹雪いているのだろうか。大きな風の音がする。俺の背後の花弁を雪が叩き、ひんやりとした触感と共に、その振動が背中に伝わる。
「背中、冷たいでしょう?こっちにいらっしゃいな」
二本の腕が、まるで闇から生えてきたように俺の元にやって来ると、俺の体をそっと抱き寄せた。
体の前面が、やわらかい感触に包まれる。
「ああ、暖かい……」
俺は思わずそうつぶやいた。
ここに来てどれほど経ったのだろうか。
ぴったりと閉じられた花弁から、薄く陽光が透けるため、昼と夜の区別はつく。
昼が二十回来たところまでは、心の中で数えていたのだが……
そんな俺の思考は、股間への甘い刺激によってかき消された。
「あぐっ……出る……」
目の前の体に強くしがみつき、彼女の膣内に今日何度目か分からない射精をした。
「ふふっ……またいっぱい出たね。ごちそうさま」
目の前の彼女はそうつぶやくと、自分の胸に埋もれている俺の頭を優しくなでた。
俺は、もうすぐ冬になろうかというある日、目の前の彼女―ルーナという名のアルラウネ―に捕らえられた。
あの日、夜遅くまで用事があったから、家路を急ぐためにこの森を突っ切ろうと思ったのだが……
突然目の前にツタの壁が現れ、それが俺の全身を優しく、しかし身動きがとれないように拘束した。
そして、宙に持ち上げられながら引っ張られた先に、目を潤ませ、顔を上気させた彼女がいた。
彼女は花弁から生えている上半身を思い切り乗り出し、両腕を目いっぱい俺の方に突き出していた。
俺の体が彼女の手が届く距離にまで近づくと、ツタの拘束がするりと解け、落ちる間もなく彼女に抱き寄せられた。
俺の顔が彼女の豊満な胸に埋もれる。柔らかい。それに、蜜の甘い香りがする。
抱きしめていた彼女の腕が緩むと、またツタが俺の体に絡みついた。
ゆっくりと、俺の頭が彼女の頭と同じ高さまで持ち上げられる。
俺と彼女の視線が交わった。薄緑のきめ細やかな肌。ふくよかな唇。薄紫の瞳が妖しく光り、何かを我慢するようにひそめられた眉。
改めて見ても、彼女は相当の美人だった。そして、魔物特有の破滅的な艶かしさを持っていた。
荒い息が俺の鼻にかかり、濃厚な花の蜜の香りが俺の鼻腔をくすぐった。
彼女の手が俺の頭をかき抱くと、そのまま俺の唇にむしゃぶりついた。
舌の上に唾液を乗せ、俺の口内に送り込んでくる。粘り気のある、濃厚な唾液。それを飲み干すたびに体が熱くなり、視界が桃色にぼやけていく。
ツタがうねり、俺の服を、下着を、器用に脱がしていく。俺はなすがままだった。そんなことを気にする余裕なんてなかった。
彼女の舌がうごめき、俺の口内を犯す感覚。それに夢中だった。
「ちゅ……じゅる……はぁ……はぁ……私にも、あなたの唾液、ちょうだい……」
彼女がそう言うと、彼女の舌が俺の舌の裏に滑り込んできた。
ぬるぬるした舌の先で、俺の舌の裏を愛撫する。しばらくこすると、今度は俺の舌先を、くるくると彼女の舌先が回り、ねっとりと絡みつく。
そうして舌の上に俺の唾液を集めると、舌を引っ込めた。
「ちゅる……ごくっ……ああ、濃くて……おいしい……」
彼女は満足そうに微笑んだ。そして、互いの唾液で湿った唇を、舌で舐めとっている。俺の唾液を一滴も逃したくないのだろうか。
その様子がとてもエロティックで、俺の股間が反応してしまった。
これ以上ないほど怒張した俺のペニス。血管を浮かせて反り返り、俺の腹を叩く。
「ねぇ……」
彼女がささやく。
「お願いを、聞いてほしいの」
霞みかかった頭に、彼女の声が響く。俺は迷う間もなくうなずく。
「私ね、今、とてもおなかがすいてるの……冬篭りのために、たくさんの栄養が必要なのよ」
「えい……よう……?」
ろくに思考が出来ない状態で、俺は何とかそう問い返した。
「そう、栄養。冬の間は動けないから……あなたから出る精液が必要なの……」
彼女の指が、俺のペニスの裏筋をなぞった。体が快感で震える。指が伝っただけなのに。全身に電流が駆け巡ったような……
「だから、お願い。私に、あなたの精液、ちょうだい……」
彼女の手がペニスを握ると、優しく上下にしごき始めた。甘い快楽に全身をビクビク震わす。
「ねぇ、いい?もう我慢できない……」
上目遣いで彼女が見つめてくる。思い詰めたような表情で。その目からは涙がこぼれる。
俺は軽くうなずいた。それが精一杯の反応だった。
絡みついたツタが、俺の下半身を彼女の股下に滑り込ませる。
ちょうど、対面座位のような形になった。
「じゃあ……いれるね?」
そう言うと、彼女は俺の返事を待たずに腰を沈めてきた。
亀頭から少しずつ、ねっとりとした感触に包まれる。彼女の膣内は、すでに愛液でじっとりと濡れていた。
何の抵抗もなく滑り込んでいく。
ペニスが全て収まると、膣肉がうごめきだした。
根元から、先っぽに向けて、ゆっくりと締め付けていく。先っぽまで締め付けると、肉圧が緩み、また根元から締め付けていく。
まるで、牛の乳搾りのような刺激。いや、彼女にとって精液は栄養なのだから、まさにその感覚で動いているのだろう。
俺はその精液を搾り出すことに特化した刺激に、ただただ全身を震わせた。
「どう?気持ちいい?いっぱい出そうかな?」
彼女が尋ねる。しかし、俺は喘ぐことしかできない。
そんな俺の様子を見て、彼女は満足そうにうなずいた。
「よかった……気持ちよさそうだね。もっと、気持ちよくしてあげるからね」
膣肉の動きが速くなった。そして、締め付けも強くなる。更に、彼女はゆっくりと腰をグラインドさせた。
「ああ……すごい……気持ちいい……」
俺は息も絶え絶えにつぶやいた。
「いっぱい出してね……」
彼女の唇が、俺の首に吸い付いた。そして、静脈に沿って舐め上げる。ぞくぞくとした快感が伝わる。
「ぐっ!もう、だめっ……だっ……出るっ」
「いいよっ、出して、奥に、いっぱい!」
彼女はそう言って腰を目一杯沈めた。
「あぐぅっ」
びゅくっどくっどくっ……
彼女の膣の最奥に、思い切り射精した。俺は腰を痙攣させ、彼女にしがみ付く。
「はぁっ……はぁっ……はぁ……」
俺の口から荒い息が漏れる。
「ごちそうさま……あなたの精液、濃くておいしい……それに、量も多くて……」
彼女はうっとりとしながら、俺の頭をそっとなでた。
彼女との出会いの顛末は以上だ。そして今に至る。
あの時は、このまま世界が滅亡してもいいと思った。
これ以上ないほどの極上の快楽を味わい、もうその場で死んでもいいとすら思った。
しかし、あの時からペニスが彼女の膣内につながったままで、もう何日過ぎただろうか。
こうなってくると、頭の中に残してきた家族の顔が浮かんでくる。
ああ、父と母は大丈夫だろうか。心配してまだ俺のことを探しているのだろうか。
それとも、すでに葬式まで済ませているのだろうか。
「またご両親の心配?」
ルーナが声をかけてきた。俺が考え事をしていると、すぐに内容まで見抜いてしまう。
以前、魔物は思考を読み取ることすらできるのか。と尋ねたら、
「あら、好きな人の考えることが分かるのは、女として当然のことよ」
と平然と答えられ、赤面したことがあった。
頭をなで続けながら彼女は言う。
「そんなに思い悩むことはないのよ。今はまだ無理だけど、春になって暖かくなったら、私は移動できるから。一緒にご両親にご挨拶に行きましょう?」
彼女は俺の頭をなでるのが好きだ。俺が射精するときに、彼女の体を抱きしめる癖があるので、それで母性本能をくすぐられるのだろうか。
「ごめんね。すぐに出してあげられなくて。今あなたがいなくなったら、私……生きていられないから……」
彼女は、俺のことをまるで自分のことであるかのように憂いてくれる。
俺の家族の話になると、彼女は決まって悲しそうな表情を浮かべる。
自分が生き延びるためとはいえ、俺を無理矢理拘束することに、引け目を感じているのだろうか。
「大丈夫だよ。俺もルーナのことが好きだから。ずっと一緒にいられて嬉しいよ」
俺は、こういうときは決まってこう言う。そうすると、彼女は満面の笑みを浮かべるのだ。
俺も彼女と同様に、もう彼女がそばにいないと生きられない体になってしまっていた。
確かに家族のことは心配だが、ずっと彼女とつながっていたいのも、偽らざる本心だ。
俺の心を容易に読み取る彼女にも、そのことが分かっているだろうに。
「まだ春まで時間がたっぷりあるから、ご両親にご挨拶する前に、たくさん子供を作っておこうね」
「あうっ……また膣内が……うごめいて……出るっ」
「ああっ、またこんなにいっぱい……嬉しい……」
「本当に、私がやらなくてもいいんですかぁ?」
「ええ、大丈夫よ。自分の夫の世話をするのは、妻の務めだから」
春。土の中から動物達が顔を出し、溶けた雪の下から草木が芽吹く季節。
ようやく俺達は花弁の密室から解放された。
この時期、森に流れのワーラビットがやって来る。
アルラウネの花弁の中で冬をすごすと、男は風呂に入ることが出来ないので、体が汚れてしまう。
さらに、髪と髭が伸びきってしまうので、その処理を行うためである。
さっき、大きなリュックを背負ったワーラビットが、俺達のもとにやって来た。
通常は、ワーラビットが頭を洗ったり、髭を剃ったりしてくれるのだが、ルーナがそれを遮り、自分でやると言い出したのだ。
「それじゃあ、まずは頭を洗おうね」
そう言うと、彼女はブラシでごしごしと俺の頭を掻いた。
気持ちいい。汚れが掻き出され、さっぱりする。
「じゃあ、次は髭を剃りましょうね」
右手に剃刀を持ち、たどたどしい手つきで髭を剃り落としていく。手がプルプルと震えて、怖い。
「ああっ!危ないですよ!私がやりますから」
ワーラビットが慌てて止めに入るが、ルーナは「大丈夫……大丈夫……」とうわ言のように呟き、動きを止めない。
何とか肌を切られることなく終わった。
「さて、最後は体を洗ってさっぱりしましょうね」
彼女は鼻歌を歌いながら、俺の体を上から順に水で濡らした布でこする。
首。肩。胸。腕。脇。背中。腹。そして器用に尻もこすっていく。
垢が柔らかい布でこすり落とされ、体が軽くなっていく。
彼女の手が届く範囲は洗い終わった。あとは……
「ちょっと寂しいけど……抜くね」
彼女が腰を浮かせた。ペニスが少しずつ彼女の蜜壷から抜けていく。
入り口が名残惜しそうにきゅっと締まる。
「ごめんね。終わったら、またすぐに入れてあげるからね」
彼女はそう言いながら、愛液でどろどろにふやけたペニスを、丁寧に磨いていく。
まずは亀頭を洗う。布の繊維が敏感な粘膜を優しくこすり、ペニスがびくびくと震える。
「ああん、もう、動かさないの。少しだけ我慢、ね?」
そう言われても、気持ちいいと勝手に動くから困る。
しかし、せっかく彼女が愛情をこめて洗ってくれているのだ。出来るだけ我慢する。
布がカリから竿まで下りてくる。手コキのように布が上下に動かされる。射精するのを必死にこらえる。
「うっ……くっ……」
彼女の肩をぎゅっと握る。
「ごめんね。もうちょっとだからね。もうちょっと……我慢我慢……」
彼女が俺の切なそうな顔を見て、頬を赤らめる。我慢という言葉を、まるで自分に言い聞かせているようだ。
茎の粘液を洗い流すと、今度は陰嚢を磨き上げはじめた。
もみほぐすように、手をにぎにぎと開いたり閉じたりしながら布でこする。
睾丸にじんわりと熱が溜まる。射精には結びつかない、安心感のある快楽が広がる。
「うん、きれいになった。じゃあ、最後に足だね」
両足も丁寧にこすられ、全身がさっぱりとした。
「はい、きれいになりましたー。じゃあ、いれるからね……よいしょ」
何の抵抗もなく、すんなりペニスはまた彼女の膣内に入っていった。
「待たせてごめんね。我慢できたご褒美に、いっぱい射精させてあげるからね」
嬉しそうにそう言うと、膣肉が激しくうごめく。
「あぐぅ……ちょっと、待ってっ……見られてる、見られてるからっ!」
俺は好奇心いっぱいの視線でこちらを見つめている、ワーラビットの方に視線を移す。
「え、あ、私はお構いなく。ただ、料金を……」
俺に見られたワーラビットは目をぱちくりさせた。
「あら、ごめんなさい。ちゃんとお礼は渡さないとね。はい」
ルーナは、ワーラビットから渡された瓶に、自分の蜜をたっぷりと詰め込んだ。
アルラウネの蜜は栄養満点で、なおかつ人間の男の精力増強に抜群の効果を発揮するので、魔物達の間で高額で取引される。
あれだけの量があれば、数ヶ月は生活に困らないだろう。
「ああ、そんなにたっぷり!ありがとうございます!」
彼女はぎゅっと瓶を抱きしめると、来た時と同じように、森の中を駆け抜けていった。
「さてと……これで二人っきりだね」
彼女は妖艶に微笑んだ。
一ヵ月後、俺の両親は、突然やって来た俺達と数十人の孫に、腰を抜かすほど驚くことになる。
「背中、冷たいでしょう?こっちにいらっしゃいな」
二本の腕が、まるで闇から生えてきたように俺の元にやって来ると、俺の体をそっと抱き寄せた。
体の前面が、やわらかい感触に包まれる。
「ああ、暖かい……」
俺は思わずそうつぶやいた。
ここに来てどれほど経ったのだろうか。
ぴったりと閉じられた花弁から、薄く陽光が透けるため、昼と夜の区別はつく。
昼が二十回来たところまでは、心の中で数えていたのだが……
そんな俺の思考は、股間への甘い刺激によってかき消された。
「あぐっ……出る……」
目の前の体に強くしがみつき、彼女の膣内に今日何度目か分からない射精をした。
「ふふっ……またいっぱい出たね。ごちそうさま」
目の前の彼女はそうつぶやくと、自分の胸に埋もれている俺の頭を優しくなでた。
俺は、もうすぐ冬になろうかというある日、目の前の彼女―ルーナという名のアルラウネ―に捕らえられた。
あの日、夜遅くまで用事があったから、家路を急ぐためにこの森を突っ切ろうと思ったのだが……
突然目の前にツタの壁が現れ、それが俺の全身を優しく、しかし身動きがとれないように拘束した。
そして、宙に持ち上げられながら引っ張られた先に、目を潤ませ、顔を上気させた彼女がいた。
彼女は花弁から生えている上半身を思い切り乗り出し、両腕を目いっぱい俺の方に突き出していた。
俺の体が彼女の手が届く距離にまで近づくと、ツタの拘束がするりと解け、落ちる間もなく彼女に抱き寄せられた。
俺の顔が彼女の豊満な胸に埋もれる。柔らかい。それに、蜜の甘い香りがする。
抱きしめていた彼女の腕が緩むと、またツタが俺の体に絡みついた。
ゆっくりと、俺の頭が彼女の頭と同じ高さまで持ち上げられる。
俺と彼女の視線が交わった。薄緑のきめ細やかな肌。ふくよかな唇。薄紫の瞳が妖しく光り、何かを我慢するようにひそめられた眉。
改めて見ても、彼女は相当の美人だった。そして、魔物特有の破滅的な艶かしさを持っていた。
荒い息が俺の鼻にかかり、濃厚な花の蜜の香りが俺の鼻腔をくすぐった。
彼女の手が俺の頭をかき抱くと、そのまま俺の唇にむしゃぶりついた。
舌の上に唾液を乗せ、俺の口内に送り込んでくる。粘り気のある、濃厚な唾液。それを飲み干すたびに体が熱くなり、視界が桃色にぼやけていく。
ツタがうねり、俺の服を、下着を、器用に脱がしていく。俺はなすがままだった。そんなことを気にする余裕なんてなかった。
彼女の舌がうごめき、俺の口内を犯す感覚。それに夢中だった。
「ちゅ……じゅる……はぁ……はぁ……私にも、あなたの唾液、ちょうだい……」
彼女がそう言うと、彼女の舌が俺の舌の裏に滑り込んできた。
ぬるぬるした舌の先で、俺の舌の裏を愛撫する。しばらくこすると、今度は俺の舌先を、くるくると彼女の舌先が回り、ねっとりと絡みつく。
そうして舌の上に俺の唾液を集めると、舌を引っ込めた。
「ちゅる……ごくっ……ああ、濃くて……おいしい……」
彼女は満足そうに微笑んだ。そして、互いの唾液で湿った唇を、舌で舐めとっている。俺の唾液を一滴も逃したくないのだろうか。
その様子がとてもエロティックで、俺の股間が反応してしまった。
これ以上ないほど怒張した俺のペニス。血管を浮かせて反り返り、俺の腹を叩く。
「ねぇ……」
彼女がささやく。
「お願いを、聞いてほしいの」
霞みかかった頭に、彼女の声が響く。俺は迷う間もなくうなずく。
「私ね、今、とてもおなかがすいてるの……冬篭りのために、たくさんの栄養が必要なのよ」
「えい……よう……?」
ろくに思考が出来ない状態で、俺は何とかそう問い返した。
「そう、栄養。冬の間は動けないから……あなたから出る精液が必要なの……」
彼女の指が、俺のペニスの裏筋をなぞった。体が快感で震える。指が伝っただけなのに。全身に電流が駆け巡ったような……
「だから、お願い。私に、あなたの精液、ちょうだい……」
彼女の手がペニスを握ると、優しく上下にしごき始めた。甘い快楽に全身をビクビク震わす。
「ねぇ、いい?もう我慢できない……」
上目遣いで彼女が見つめてくる。思い詰めたような表情で。その目からは涙がこぼれる。
俺は軽くうなずいた。それが精一杯の反応だった。
絡みついたツタが、俺の下半身を彼女の股下に滑り込ませる。
ちょうど、対面座位のような形になった。
「じゃあ……いれるね?」
そう言うと、彼女は俺の返事を待たずに腰を沈めてきた。
亀頭から少しずつ、ねっとりとした感触に包まれる。彼女の膣内は、すでに愛液でじっとりと濡れていた。
何の抵抗もなく滑り込んでいく。
ペニスが全て収まると、膣肉がうごめきだした。
根元から、先っぽに向けて、ゆっくりと締め付けていく。先っぽまで締め付けると、肉圧が緩み、また根元から締め付けていく。
まるで、牛の乳搾りのような刺激。いや、彼女にとって精液は栄養なのだから、まさにその感覚で動いているのだろう。
俺はその精液を搾り出すことに特化した刺激に、ただただ全身を震わせた。
「どう?気持ちいい?いっぱい出そうかな?」
彼女が尋ねる。しかし、俺は喘ぐことしかできない。
そんな俺の様子を見て、彼女は満足そうにうなずいた。
「よかった……気持ちよさそうだね。もっと、気持ちよくしてあげるからね」
膣肉の動きが速くなった。そして、締め付けも強くなる。更に、彼女はゆっくりと腰をグラインドさせた。
「ああ……すごい……気持ちいい……」
俺は息も絶え絶えにつぶやいた。
「いっぱい出してね……」
彼女の唇が、俺の首に吸い付いた。そして、静脈に沿って舐め上げる。ぞくぞくとした快感が伝わる。
「ぐっ!もう、だめっ……だっ……出るっ」
「いいよっ、出して、奥に、いっぱい!」
彼女はそう言って腰を目一杯沈めた。
「あぐぅっ」
びゅくっどくっどくっ……
彼女の膣の最奥に、思い切り射精した。俺は腰を痙攣させ、彼女にしがみ付く。
「はぁっ……はぁっ……はぁ……」
俺の口から荒い息が漏れる。
「ごちそうさま……あなたの精液、濃くておいしい……それに、量も多くて……」
彼女はうっとりとしながら、俺の頭をそっとなでた。
彼女との出会いの顛末は以上だ。そして今に至る。
あの時は、このまま世界が滅亡してもいいと思った。
これ以上ないほどの極上の快楽を味わい、もうその場で死んでもいいとすら思った。
しかし、あの時からペニスが彼女の膣内につながったままで、もう何日過ぎただろうか。
こうなってくると、頭の中に残してきた家族の顔が浮かんでくる。
ああ、父と母は大丈夫だろうか。心配してまだ俺のことを探しているのだろうか。
それとも、すでに葬式まで済ませているのだろうか。
「またご両親の心配?」
ルーナが声をかけてきた。俺が考え事をしていると、すぐに内容まで見抜いてしまう。
以前、魔物は思考を読み取ることすらできるのか。と尋ねたら、
「あら、好きな人の考えることが分かるのは、女として当然のことよ」
と平然と答えられ、赤面したことがあった。
頭をなで続けながら彼女は言う。
「そんなに思い悩むことはないのよ。今はまだ無理だけど、春になって暖かくなったら、私は移動できるから。一緒にご両親にご挨拶に行きましょう?」
彼女は俺の頭をなでるのが好きだ。俺が射精するときに、彼女の体を抱きしめる癖があるので、それで母性本能をくすぐられるのだろうか。
「ごめんね。すぐに出してあげられなくて。今あなたがいなくなったら、私……生きていられないから……」
彼女は、俺のことをまるで自分のことであるかのように憂いてくれる。
俺の家族の話になると、彼女は決まって悲しそうな表情を浮かべる。
自分が生き延びるためとはいえ、俺を無理矢理拘束することに、引け目を感じているのだろうか。
「大丈夫だよ。俺もルーナのことが好きだから。ずっと一緒にいられて嬉しいよ」
俺は、こういうときは決まってこう言う。そうすると、彼女は満面の笑みを浮かべるのだ。
俺も彼女と同様に、もう彼女がそばにいないと生きられない体になってしまっていた。
確かに家族のことは心配だが、ずっと彼女とつながっていたいのも、偽らざる本心だ。
俺の心を容易に読み取る彼女にも、そのことが分かっているだろうに。
「まだ春まで時間がたっぷりあるから、ご両親にご挨拶する前に、たくさん子供を作っておこうね」
「あうっ……また膣内が……うごめいて……出るっ」
「ああっ、またこんなにいっぱい……嬉しい……」
「本当に、私がやらなくてもいいんですかぁ?」
「ええ、大丈夫よ。自分の夫の世話をするのは、妻の務めだから」
春。土の中から動物達が顔を出し、溶けた雪の下から草木が芽吹く季節。
ようやく俺達は花弁の密室から解放された。
この時期、森に流れのワーラビットがやって来る。
アルラウネの花弁の中で冬をすごすと、男は風呂に入ることが出来ないので、体が汚れてしまう。
さらに、髪と髭が伸びきってしまうので、その処理を行うためである。
さっき、大きなリュックを背負ったワーラビットが、俺達のもとにやって来た。
通常は、ワーラビットが頭を洗ったり、髭を剃ったりしてくれるのだが、ルーナがそれを遮り、自分でやると言い出したのだ。
「それじゃあ、まずは頭を洗おうね」
そう言うと、彼女はブラシでごしごしと俺の頭を掻いた。
気持ちいい。汚れが掻き出され、さっぱりする。
「じゃあ、次は髭を剃りましょうね」
右手に剃刀を持ち、たどたどしい手つきで髭を剃り落としていく。手がプルプルと震えて、怖い。
「ああっ!危ないですよ!私がやりますから」
ワーラビットが慌てて止めに入るが、ルーナは「大丈夫……大丈夫……」とうわ言のように呟き、動きを止めない。
何とか肌を切られることなく終わった。
「さて、最後は体を洗ってさっぱりしましょうね」
彼女は鼻歌を歌いながら、俺の体を上から順に水で濡らした布でこする。
首。肩。胸。腕。脇。背中。腹。そして器用に尻もこすっていく。
垢が柔らかい布でこすり落とされ、体が軽くなっていく。
彼女の手が届く範囲は洗い終わった。あとは……
「ちょっと寂しいけど……抜くね」
彼女が腰を浮かせた。ペニスが少しずつ彼女の蜜壷から抜けていく。
入り口が名残惜しそうにきゅっと締まる。
「ごめんね。終わったら、またすぐに入れてあげるからね」
彼女はそう言いながら、愛液でどろどろにふやけたペニスを、丁寧に磨いていく。
まずは亀頭を洗う。布の繊維が敏感な粘膜を優しくこすり、ペニスがびくびくと震える。
「ああん、もう、動かさないの。少しだけ我慢、ね?」
そう言われても、気持ちいいと勝手に動くから困る。
しかし、せっかく彼女が愛情をこめて洗ってくれているのだ。出来るだけ我慢する。
布がカリから竿まで下りてくる。手コキのように布が上下に動かされる。射精するのを必死にこらえる。
「うっ……くっ……」
彼女の肩をぎゅっと握る。
「ごめんね。もうちょっとだからね。もうちょっと……我慢我慢……」
彼女が俺の切なそうな顔を見て、頬を赤らめる。我慢という言葉を、まるで自分に言い聞かせているようだ。
茎の粘液を洗い流すと、今度は陰嚢を磨き上げはじめた。
もみほぐすように、手をにぎにぎと開いたり閉じたりしながら布でこする。
睾丸にじんわりと熱が溜まる。射精には結びつかない、安心感のある快楽が広がる。
「うん、きれいになった。じゃあ、最後に足だね」
両足も丁寧にこすられ、全身がさっぱりとした。
「はい、きれいになりましたー。じゃあ、いれるからね……よいしょ」
何の抵抗もなく、すんなりペニスはまた彼女の膣内に入っていった。
「待たせてごめんね。我慢できたご褒美に、いっぱい射精させてあげるからね」
嬉しそうにそう言うと、膣肉が激しくうごめく。
「あぐぅ……ちょっと、待ってっ……見られてる、見られてるからっ!」
俺は好奇心いっぱいの視線でこちらを見つめている、ワーラビットの方に視線を移す。
「え、あ、私はお構いなく。ただ、料金を……」
俺に見られたワーラビットは目をぱちくりさせた。
「あら、ごめんなさい。ちゃんとお礼は渡さないとね。はい」
ルーナは、ワーラビットから渡された瓶に、自分の蜜をたっぷりと詰め込んだ。
アルラウネの蜜は栄養満点で、なおかつ人間の男の精力増強に抜群の効果を発揮するので、魔物達の間で高額で取引される。
あれだけの量があれば、数ヶ月は生活に困らないだろう。
「ああ、そんなにたっぷり!ありがとうございます!」
彼女はぎゅっと瓶を抱きしめると、来た時と同じように、森の中を駆け抜けていった。
「さてと……これで二人っきりだね」
彼女は妖艶に微笑んだ。
一ヵ月後、俺の両親は、突然やって来た俺達と数十人の孫に、腰を抜かすほど驚くことになる。
11/06/26 00:58更新 / 川村人志