魔界に捨てられた少年
頬を撫でる感覚で目を覚ました。 少年が顔を上げると、視界に映るのは高く生い茂った草々。 ゆっくりと立ち上がる。少年のおなかの高さまで生えた草の向こうには、更に高い木々に覆われた森が見える。 視界を巡らす。 森の右手には、巨大な湖。左手には天まで届くような高い高い山。 「おとーさーん!おかーさーん!」 先ほどまで一緒だったはずの両親を呼ぶ。しかし、返事はない。 ここがどこだか分からない。親もどこにいるのか分からない。 この前十歳になったばかりの少年は、ついに泣き出してしまった。 わーん、わーん。 とにかく泣き続けた。長い間泣き続けた。しかし、誰も来なかった。 ひとしきり泣き終えると、少年は親を探してさまよい始めた。 彼はどこへ行くのだろう。 |
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