連載小説
[TOP]
魔界に捨てられた少年
頬を撫でる感覚で目を覚ました。
少年が顔を上げると、視界に映るのは高く生い茂った草々。
ゆっくりと立ち上がる。少年のおなかの高さまで生えた草の向こうには、更に高い木々に覆われた森が見える。
視界を巡らす。
森の右手には、巨大な湖。左手には天まで届くような高い高い山。
「おとーさーん!おかーさーん!」
先ほどまで一緒だったはずの両親を呼ぶ。しかし、返事はない。
ここがどこだか分からない。親もどこにいるのか分からない。
この前十歳になったばかりの少年は、ついに泣き出してしまった。
わーん、わーん。
とにかく泣き続けた。長い間泣き続けた。しかし、誰も来なかった。
ひとしきり泣き終えると、少年は親を探してさまよい始めた。

彼はどこへ行くのだろう。
1.湖へ行く(ウンディーネ)10/10/03 18:07

TOP | 感想 | メール登録 | RSS

まろやか投稿小説ぐれーと Ver2.33