とある神父の生告白
おお、主よ。
いと高きところより我らを見守り続ける主神様よ。
どうか哀れな私の胸の内をお聞きください。
迷える子羊らを導く使命を持ちながら、暗闇に心を囚われた愚か者をお許しください。
あの日、あの冷たい冬の夜。
幼い姉妹を助けた私には、誓って邪心の欠片もありませんでした。
街灯も届かぬような街の路地で、粗末な麻布にくるまり身を寄り添って寒さに震えていたあの姿を見て、その様なものを抱く者がいますでしょうか。
息を確かめるべく首筋に当てた手から伝わってきた、あの衰弱しきった鼓動と冷たさに、私の心は引き裂かれるようでした。
恐らく、いえ確実に今まで誰からの救いもなかったのでしょう。
今も街行く人々はいるものの、私以外に手を差し伸べる者は一人としていませんでした。
悲しむべき事ではありますが、教団と魔物の抗争が激化し、節制と増税に耐える信者らを責めることは出来ません。
教会神父とは名ばかりのしがない貧乏聖職者でも、しかし命の灯火が消えるとする子供らを前に、私は自らの使命を悟りました。
救われぬ者にこそ手を差し伸ばすことが神職の本懐。
御身より賜りし迷える子羊を導く大任に、この子らを外すことなどあってはならぬと。
羽織っていた外套をかけ、私は必ずや姉妹を救うと誓ったのです。
それからの日々は、放たれた弓矢の如く過ぎ去りました。
冬の路上からすぐさま受け持ちの教会に匿ったものの、初めは警戒する姉妹に幾度も苦心いたしました。
恐らく私の想像など遥かに越えるような劣悪な環境にいたのでしょう。
作りおきのシチューに腹の虫を鳴らしてもこちらを睨み付けるばかりで、ようやく口にしたかと思えばあっという間に鍋一杯も平らげ、そのまま倒れるように寝てしまった二人を前に、途方にくれたものです。
告白しますと、妻帯していない身としては子供の接し方も得意な方ではありませんでした。
しかし御身への信仰を支えに、持てる限りの愛情を注ぎ、善きを誉め、悪しきを正すうちに、真冬の氷が融けるように、徐々に子供らしい笑顔を見れるようになったのです。
怯えと猜疑心の瞳からは険がとれ、盗みや暴力に逃亡もなくなり、いつしか教会の庶務を手伝うようになりました。
ああ、あれこそまさに、幸福な一時だったのです。
孤児院生まれで家族を知らずにいた私に父親などなれるはずもないと苦悶した時期もありましたが、私達は確かに、かけがえのない絆で結ばれておりました。
大人しく気配りも出来る姉のローズも、活発で太陽のような妹のマリィも、本当に健やかに育ってくれました。
清貧を掲げるばかりで苦労をさせたことも何度とあるのに、それでもあの凍える寒空から見違えるほど美しく成長してくれたことが、私の何よりの自慢でした。
年頃になっても中々親離れ出来ないのだけは玉に傷でしたが、器量もいい自慢の娘達がいずれは巣立つと考えていた私に、同じ神職に進むと言ってくれたときは、恥ずかしながら込み上げるものを堪えきれませんでした。
そしてシスター見習いとして改めて二人を住まわせ、同じような境遇の孤児らを集めだした頃、思いもよらぬ朗報をいただきました。
日課となった祈りの最中、姉妹が御身の声を聞いたというのです。
教団にも数多くの聖職者はいるものの、神託を預かった者は数えられるほどしかおらず、そのいずれもが勇者や司教となり人々の平穏を支えているのです。
戸惑う姉妹を前に、私は自らの使命が正しかったのだと確信いたしました。
全てはあの冬の一夜から続いており、いずれ多くの者を救う娘達を導いた今に繋がっているのだと。
そう、私は信じておりました。
信じきっておりました。
ーーーー愚かにも破滅の足音を聞き逃したまま、断崖を目指す道化のように喜んでいたのです
あれは娘達が神託を賜ってすぐのこと。
その時から少しずつ、娘達の様子が変わっていきました。
姉のローズは日中物思いにふけることが多くなり、何処か私を避けながらもじっと見つめることが多くなりました。
逆に妹のマリィは一層スキンシップが増え、身体をすり付けるような動きを嗜めたこともあります。
それらは全て、目に見えないほどの些細な変化なのでしょう。
人によっては自意識過剰と判断されても言い返せないそれに、私も年頃の娘だからと決めつけ、普段通りに接するよう心がけました。
いや、そう思いたかっただけなのかもしれません。
しきりに私の洗濯物や食器を洗いたがったり、過剰なまでの接触を望み、果ては湯浴みで背中を流そうとするなど、それまでの娘達とはかけ離れた現実に、ただただ戸惑うのみで……。
私の知っている愛娘達が、まるで淫らな娼婦の如く見えるなど。
おお、主よ。
愚かな私を罰してください。
御身からの使命を受けながら、私は娘を正すことが出来ませんでした。
それどころか僅かに開いた扉の隙間から見えた、夜空の月のように清楚なローズが自らを慰める様から目を離せず、ただただ立ち尽くすしか出来ず……。
止めろ見るな立ち去れ恥を知れと、いくら頭の中で叫んでも両足は固まったまま、気付けば間男さながらに、息を殺して娘の痴態をただ我を忘れて魅いっておりました。
そう、魅いっていたのです。
父親として、家族として、否、人としてあるまじき行為に時が経つのも忘れておりました。
やがて彼女の声が一際大きくなり、ぐったりと寝具に沈んでから、ようやく我にかえり、少しでも早くその場から離れようとした時でした。
自分でも信じられぬ罪深さに固まった一瞬、見たことの無い表情の娘と目があったような気がして……。
気付けば私は、毛布の中で蹲りながら震えていました。
自ら保護し、実の娘同然に育てた少女に恐怖を覚えてたのです。
いえ、それだけではありません。
何より恐ろしかったのは、娘相手に自らの欲望を示すこの身体、私自身でした。
神の道を説きながら、身の内に悪魔を住まわす罪悪。
あまりの罪深さに告解する相手も分からぬまま、おぞましい鈍痛と鈍い疼きを股間から感じながら、夜明けをひたすらに待ち続けていました。
朝になれば全て夢だったと言い聞かせるように。
最後に私の名前を読んだ、娘の姿を忘れるように。
それから全ての歯車が狂いました。
あれからローズとは何事もなかったかのように、日常で接します。
しかし夜になれば寝室を抜け出し、扉の隙間から彼女の秘め事を覗くのです。
邪な悪魔に気づかぬ可憐な彼女を、片手で口を塞ぎながら一心不乱に見つめ、夜が明けると何食わぬ顔で神父として振る舞う。
まるで若き時分に読んだ推理小説に迷い混んだ気分で、次第に頭の中がすり減っていく感覚に陥りました。
マリィも変わりました。
スキンシップはより過激さを増し、この間は料理の最中に切った指を手当てとして嘗め回しましたこともあります。
本来ならはしたないと止めるべき所も、寝不足の頭はただ目で追うだけで……。
濡れた赤い舌が指を這い回り、火傷しそうなほど熱い口内に収まったかと思えば誘うような上目遣いで見られ、その度に得も知れぬ感覚が背筋を駆け抜けました。
舌の腹でねぶられ口でしゃぶられ。
指先から指の間、掌のあとは手首まで移り、息も絶え絶えにマリィを離せば、スモモのような雌の甘い香りと共にとても年頃とは思えない顔でこちらをねだるのです。
私はもう、私を信じられません。
ついこの間まで敬虔な信徒として主神様に仕えていたというのに、たった数年で恥ずべき悪魔が心に住み着かせてしまいました。
表では心優しい神父を装いながら、内心では自らの罪が暴かれることを恐れ、しかし無邪気な二人の欲情を押さえきれずにいたのです。
もはや命を絶つことでしか己を保てないと半ば本気で考えていた矢先、空が紫に染まりました。
堅牢な筈の守りを抜け、レスカティエに魔物の大群が押し寄せてきた日。
神気に満ちた街中が突如特濃の魔力に変わった瞬間、私はすぐさま街へ走り出そうとしました。
教団の一信徒として、人類の守り手として、何より命より大事な娘達のため、無謀を承知で一体でも多くの魔物を滅しようとしました。
奥底でその甘い地獄から抜け出し己を罰する絶好の機会と考えながら。
しかしそんな私を止めたのも、また愛すべき娘達でした。
私の遠回しな自殺を止めようとしたのではありません。
飛び出そうとした私の前に立ち、夢見る表情で私を押し倒したのです。
仮にも成人男性と若い娘二人。
普通なら引き剥がすことも容易な状況でも、頭をかき抱かれ柔らかな双乳と発情した雌の香りに満たされた瞬間、意思を裏切り膝から力が抜け、だらしなく床に座り込んでしまいました。
柔らかな抱擁に包まれ、私はただ見上げることしか出来ません。
娘達に新しく生えていた悪魔の翼でもなく細い尻尾でも硬質な巻き角でもなく。
私の中では彼女達の目しか写っていませんでした。
その時の二人を、なんと言い表すべきでしょうか。
欲しいものを得られた無邪気な喜びと娼婦の劣情、そして少女の途方もない恋慕に、私は抵抗する気力を奪われ……。
そして終わりの無い淫獄が始まったのです。
蔓延した魔力に影響されてか、二人は終始私から離れようとしませんでした。
ローズは豊かな胸を擦り付けながら、もはやキスとは呼べぬほど熱烈に口を交じり合わせ、乳首を指で転がします。
その間、マリィは衣服を脱がせ、かつての指嘗めを思い出させる動きで陰茎を味わうのです。
ぬちゃぬちゃぐちゃぐちゃと、以前の私なら卑猥と断じる音が部屋に響きます。
立場上、異性との交流はほぼなく性体験も皆無の私は、抗えるはずもなく、あっけなく屈しマリィの口腔内に射精しました。
かなりの勢いがあったにも関わらずその全てを受け止め、恍惚とするマリィ。
そしてその小さな口からあふれでる前に、こくり、こくりと喉が動くのです。
あの無邪気で可愛らしいマリィとは似ても似つかない、まさしく魔の魅力に目線を奪われていると、突然顔に手を添えられ、優しくも有無を言わさぬ雰囲気で横を見させられました。
そこには笑顔の奥で、焼きもちというには少し激しい劣情を秘めた、月の姉の瞳があり。
軽く口を吸いながら私を床に寝かせると、そのまま下腹の上に馬乗りになって……。
妖艶な華のごとく見るもの全てを誘う所作に目を奪われたのも束の間、毎夜のごとく見せ付けるように両足を開いて、未だ衰えぬ私の陰茎に腰を下ろしました。
激しさはないものの、まるで恋い焦がれた相手を決して離すまいとするローズの膣はねっとりと粘質な動きで陰茎を融かし、そのあまりの快楽に、知らず私は絶叫していました。
これほど愛していたのだと、いやもっともっとこの先更に愛し愛されたいのだと快楽を通して魂に訴えかける思いに、心の全てを持っていかれる間際までいきましたが、それを止めてくれる者がいました。
妹のマリィが、私を留めてくれました。
大口を開けて魂切る絶叫をあげようとした瞬間、私の顔面を覚えのある熱さと香りが覆ったのです。
何が起きたか、直ぐに理解しました。
雌として最も魅力的な秘部をグリグリと押し付け、本物の蜜を滴らせてマリィは私の心を留めてくれました。
いや、そうでない。
姉に想い人を独占されそうになった少女が、ただたんに負けじと奪い返そうとしたのだと気付いたとき、私の心は取り返しのつかぬほど、二体の淫魔に上書きされたのです。
生まれも、これまでの記憶も、もしかしたら次生まれ変わった後でも、三人が離ればなれになることがないよう、永劫消えぬ証をつけたのです。
その衝撃に耐えきれず、私は二度目の射精を娘の膣内に放しました。
愛していた筈のローズが咽び悦ぶ声が響く中、一度目と同じかあるいはそれ以上の量と容赦のなさで、愛娘を汚す喜びに震えながら。
激しすぎる絶頂から戻れないまま倒れてくるローズを受け止めて、今は遠い昔となったあの日を思い出しました。
あの雪の降る日。
凍えていた二人を抱えたときと同じ様に、私は自分の運命を悟ったのです。
悦べ、愛せ、交われ、生を謳歌しろと。
姉の股間から溢れてくる白濁液に可愛く頬を膨らませ、今度は自分の番とばかりに陰茎を宛がうマリィを見て、私は魔に堕ちるのだと確信しました。
それからも私達は今までのすれ違いを取り戻すかのように肌を重ねました。
膣と胸と口、全身でお互いを愛す日々が続いたのです。
どうやらこの身は既に魔へと変質しているようで、陰茎は常に疼きそびえ立ちながらも、食事や排泄は必要ありませんでした。
それはつまりほぼ全ての時間、二人と交わったのです。
ねっとりと執拗に深みへと堕とすようなローズに、激しく全霊でこちらを求め応えてくるマリィ。
最後の砦として神への祈りだけは残していませんが、もう私の身体は彼女らに逆らえないのです。
彼女らを悦ばせるためにありとあらゆることをしました、されました。
もう限界なのです、このままでは完全に堕ちて、もう……。
「ここにいましたか神父様♥️」
「もー！こんなに冷たくなっちゃって……もしかして、ここでしたいのー？♥️」
ひっ、か、神よどうかお助けを…！
「ダメダメ、神父様♥️ 神父様はもうずーっと……」
「身も心も、私達と一緒になるんですから……諦めて下さいね♥️」
「それじゃあ神父様貰っていきますね♥️主神様バイバーイ♥️」
いと高きところより我らを見守り続ける主神様よ。
どうか哀れな私の胸の内をお聞きください。
迷える子羊らを導く使命を持ちながら、暗闇に心を囚われた愚か者をお許しください。
あの日、あの冷たい冬の夜。
幼い姉妹を助けた私には、誓って邪心の欠片もありませんでした。
街灯も届かぬような街の路地で、粗末な麻布にくるまり身を寄り添って寒さに震えていたあの姿を見て、その様なものを抱く者がいますでしょうか。
息を確かめるべく首筋に当てた手から伝わってきた、あの衰弱しきった鼓動と冷たさに、私の心は引き裂かれるようでした。
恐らく、いえ確実に今まで誰からの救いもなかったのでしょう。
今も街行く人々はいるものの、私以外に手を差し伸べる者は一人としていませんでした。
悲しむべき事ではありますが、教団と魔物の抗争が激化し、節制と増税に耐える信者らを責めることは出来ません。
教会神父とは名ばかりのしがない貧乏聖職者でも、しかし命の灯火が消えるとする子供らを前に、私は自らの使命を悟りました。
救われぬ者にこそ手を差し伸ばすことが神職の本懐。
御身より賜りし迷える子羊を導く大任に、この子らを外すことなどあってはならぬと。
羽織っていた外套をかけ、私は必ずや姉妹を救うと誓ったのです。
それからの日々は、放たれた弓矢の如く過ぎ去りました。
冬の路上からすぐさま受け持ちの教会に匿ったものの、初めは警戒する姉妹に幾度も苦心いたしました。
恐らく私の想像など遥かに越えるような劣悪な環境にいたのでしょう。
作りおきのシチューに腹の虫を鳴らしてもこちらを睨み付けるばかりで、ようやく口にしたかと思えばあっという間に鍋一杯も平らげ、そのまま倒れるように寝てしまった二人を前に、途方にくれたものです。
告白しますと、妻帯していない身としては子供の接し方も得意な方ではありませんでした。
しかし御身への信仰を支えに、持てる限りの愛情を注ぎ、善きを誉め、悪しきを正すうちに、真冬の氷が融けるように、徐々に子供らしい笑顔を見れるようになったのです。
怯えと猜疑心の瞳からは険がとれ、盗みや暴力に逃亡もなくなり、いつしか教会の庶務を手伝うようになりました。
ああ、あれこそまさに、幸福な一時だったのです。
孤児院生まれで家族を知らずにいた私に父親などなれるはずもないと苦悶した時期もありましたが、私達は確かに、かけがえのない絆で結ばれておりました。
大人しく気配りも出来る姉のローズも、活発で太陽のような妹のマリィも、本当に健やかに育ってくれました。
清貧を掲げるばかりで苦労をさせたことも何度とあるのに、それでもあの凍える寒空から見違えるほど美しく成長してくれたことが、私の何よりの自慢でした。
年頃になっても中々親離れ出来ないのだけは玉に傷でしたが、器量もいい自慢の娘達がいずれは巣立つと考えていた私に、同じ神職に進むと言ってくれたときは、恥ずかしながら込み上げるものを堪えきれませんでした。
そしてシスター見習いとして改めて二人を住まわせ、同じような境遇の孤児らを集めだした頃、思いもよらぬ朗報をいただきました。
日課となった祈りの最中、姉妹が御身の声を聞いたというのです。
教団にも数多くの聖職者はいるものの、神託を預かった者は数えられるほどしかおらず、そのいずれもが勇者や司教となり人々の平穏を支えているのです。
戸惑う姉妹を前に、私は自らの使命が正しかったのだと確信いたしました。
全てはあの冬の一夜から続いており、いずれ多くの者を救う娘達を導いた今に繋がっているのだと。
そう、私は信じておりました。
信じきっておりました。
ーーーー愚かにも破滅の足音を聞き逃したまま、断崖を目指す道化のように喜んでいたのです
あれは娘達が神託を賜ってすぐのこと。
その時から少しずつ、娘達の様子が変わっていきました。
姉のローズは日中物思いにふけることが多くなり、何処か私を避けながらもじっと見つめることが多くなりました。
逆に妹のマリィは一層スキンシップが増え、身体をすり付けるような動きを嗜めたこともあります。
それらは全て、目に見えないほどの些細な変化なのでしょう。
人によっては自意識過剰と判断されても言い返せないそれに、私も年頃の娘だからと決めつけ、普段通りに接するよう心がけました。
いや、そう思いたかっただけなのかもしれません。
しきりに私の洗濯物や食器を洗いたがったり、過剰なまでの接触を望み、果ては湯浴みで背中を流そうとするなど、それまでの娘達とはかけ離れた現実に、ただただ戸惑うのみで……。
私の知っている愛娘達が、まるで淫らな娼婦の如く見えるなど。
おお、主よ。
愚かな私を罰してください。
御身からの使命を受けながら、私は娘を正すことが出来ませんでした。
それどころか僅かに開いた扉の隙間から見えた、夜空の月のように清楚なローズが自らを慰める様から目を離せず、ただただ立ち尽くすしか出来ず……。
止めろ見るな立ち去れ恥を知れと、いくら頭の中で叫んでも両足は固まったまま、気付けば間男さながらに、息を殺して娘の痴態をただ我を忘れて魅いっておりました。
そう、魅いっていたのです。
父親として、家族として、否、人としてあるまじき行為に時が経つのも忘れておりました。
やがて彼女の声が一際大きくなり、ぐったりと寝具に沈んでから、ようやく我にかえり、少しでも早くその場から離れようとした時でした。
自分でも信じられぬ罪深さに固まった一瞬、見たことの無い表情の娘と目があったような気がして……。
気付けば私は、毛布の中で蹲りながら震えていました。
自ら保護し、実の娘同然に育てた少女に恐怖を覚えてたのです。
いえ、それだけではありません。
何より恐ろしかったのは、娘相手に自らの欲望を示すこの身体、私自身でした。
神の道を説きながら、身の内に悪魔を住まわす罪悪。
あまりの罪深さに告解する相手も分からぬまま、おぞましい鈍痛と鈍い疼きを股間から感じながら、夜明けをひたすらに待ち続けていました。
朝になれば全て夢だったと言い聞かせるように。
最後に私の名前を読んだ、娘の姿を忘れるように。
それから全ての歯車が狂いました。
あれからローズとは何事もなかったかのように、日常で接します。
しかし夜になれば寝室を抜け出し、扉の隙間から彼女の秘め事を覗くのです。
邪な悪魔に気づかぬ可憐な彼女を、片手で口を塞ぎながら一心不乱に見つめ、夜が明けると何食わぬ顔で神父として振る舞う。
まるで若き時分に読んだ推理小説に迷い混んだ気分で、次第に頭の中がすり減っていく感覚に陥りました。
マリィも変わりました。
スキンシップはより過激さを増し、この間は料理の最中に切った指を手当てとして嘗め回しましたこともあります。
本来ならはしたないと止めるべき所も、寝不足の頭はただ目で追うだけで……。
濡れた赤い舌が指を這い回り、火傷しそうなほど熱い口内に収まったかと思えば誘うような上目遣いで見られ、その度に得も知れぬ感覚が背筋を駆け抜けました。
舌の腹でねぶられ口でしゃぶられ。
指先から指の間、掌のあとは手首まで移り、息も絶え絶えにマリィを離せば、スモモのような雌の甘い香りと共にとても年頃とは思えない顔でこちらをねだるのです。
私はもう、私を信じられません。
ついこの間まで敬虔な信徒として主神様に仕えていたというのに、たった数年で恥ずべき悪魔が心に住み着かせてしまいました。
表では心優しい神父を装いながら、内心では自らの罪が暴かれることを恐れ、しかし無邪気な二人の欲情を押さえきれずにいたのです。
もはや命を絶つことでしか己を保てないと半ば本気で考えていた矢先、空が紫に染まりました。
堅牢な筈の守りを抜け、レスカティエに魔物の大群が押し寄せてきた日。
神気に満ちた街中が突如特濃の魔力に変わった瞬間、私はすぐさま街へ走り出そうとしました。
教団の一信徒として、人類の守り手として、何より命より大事な娘達のため、無謀を承知で一体でも多くの魔物を滅しようとしました。
奥底でその甘い地獄から抜け出し己を罰する絶好の機会と考えながら。
しかしそんな私を止めたのも、また愛すべき娘達でした。
私の遠回しな自殺を止めようとしたのではありません。
飛び出そうとした私の前に立ち、夢見る表情で私を押し倒したのです。
仮にも成人男性と若い娘二人。
普通なら引き剥がすことも容易な状況でも、頭をかき抱かれ柔らかな双乳と発情した雌の香りに満たされた瞬間、意思を裏切り膝から力が抜け、だらしなく床に座り込んでしまいました。
柔らかな抱擁に包まれ、私はただ見上げることしか出来ません。
娘達に新しく生えていた悪魔の翼でもなく細い尻尾でも硬質な巻き角でもなく。
私の中では彼女達の目しか写っていませんでした。
その時の二人を、なんと言い表すべきでしょうか。
欲しいものを得られた無邪気な喜びと娼婦の劣情、そして少女の途方もない恋慕に、私は抵抗する気力を奪われ……。
そして終わりの無い淫獄が始まったのです。
蔓延した魔力に影響されてか、二人は終始私から離れようとしませんでした。
ローズは豊かな胸を擦り付けながら、もはやキスとは呼べぬほど熱烈に口を交じり合わせ、乳首を指で転がします。
その間、マリィは衣服を脱がせ、かつての指嘗めを思い出させる動きで陰茎を味わうのです。
ぬちゃぬちゃぐちゃぐちゃと、以前の私なら卑猥と断じる音が部屋に響きます。
立場上、異性との交流はほぼなく性体験も皆無の私は、抗えるはずもなく、あっけなく屈しマリィの口腔内に射精しました。
かなりの勢いがあったにも関わらずその全てを受け止め、恍惚とするマリィ。
そしてその小さな口からあふれでる前に、こくり、こくりと喉が動くのです。
あの無邪気で可愛らしいマリィとは似ても似つかない、まさしく魔の魅力に目線を奪われていると、突然顔に手を添えられ、優しくも有無を言わさぬ雰囲気で横を見させられました。
そこには笑顔の奥で、焼きもちというには少し激しい劣情を秘めた、月の姉の瞳があり。
軽く口を吸いながら私を床に寝かせると、そのまま下腹の上に馬乗りになって……。
妖艶な華のごとく見るもの全てを誘う所作に目を奪われたのも束の間、毎夜のごとく見せ付けるように両足を開いて、未だ衰えぬ私の陰茎に腰を下ろしました。
激しさはないものの、まるで恋い焦がれた相手を決して離すまいとするローズの膣はねっとりと粘質な動きで陰茎を融かし、そのあまりの快楽に、知らず私は絶叫していました。
これほど愛していたのだと、いやもっともっとこの先更に愛し愛されたいのだと快楽を通して魂に訴えかける思いに、心の全てを持っていかれる間際までいきましたが、それを止めてくれる者がいました。
妹のマリィが、私を留めてくれました。
大口を開けて魂切る絶叫をあげようとした瞬間、私の顔面を覚えのある熱さと香りが覆ったのです。
何が起きたか、直ぐに理解しました。
雌として最も魅力的な秘部をグリグリと押し付け、本物の蜜を滴らせてマリィは私の心を留めてくれました。
いや、そうでない。
姉に想い人を独占されそうになった少女が、ただたんに負けじと奪い返そうとしたのだと気付いたとき、私の心は取り返しのつかぬほど、二体の淫魔に上書きされたのです。
生まれも、これまでの記憶も、もしかしたら次生まれ変わった後でも、三人が離ればなれになることがないよう、永劫消えぬ証をつけたのです。
その衝撃に耐えきれず、私は二度目の射精を娘の膣内に放しました。
愛していた筈のローズが咽び悦ぶ声が響く中、一度目と同じかあるいはそれ以上の量と容赦のなさで、愛娘を汚す喜びに震えながら。
激しすぎる絶頂から戻れないまま倒れてくるローズを受け止めて、今は遠い昔となったあの日を思い出しました。
あの雪の降る日。
凍えていた二人を抱えたときと同じ様に、私は自分の運命を悟ったのです。
悦べ、愛せ、交われ、生を謳歌しろと。
姉の股間から溢れてくる白濁液に可愛く頬を膨らませ、今度は自分の番とばかりに陰茎を宛がうマリィを見て、私は魔に堕ちるのだと確信しました。
それからも私達は今までのすれ違いを取り戻すかのように肌を重ねました。
膣と胸と口、全身でお互いを愛す日々が続いたのです。
どうやらこの身は既に魔へと変質しているようで、陰茎は常に疼きそびえ立ちながらも、食事や排泄は必要ありませんでした。
それはつまりほぼ全ての時間、二人と交わったのです。
ねっとりと執拗に深みへと堕とすようなローズに、激しく全霊でこちらを求め応えてくるマリィ。
最後の砦として神への祈りだけは残していませんが、もう私の身体は彼女らに逆らえないのです。
彼女らを悦ばせるためにありとあらゆることをしました、されました。
もう限界なのです、このままでは完全に堕ちて、もう……。
「ここにいましたか神父様♥️」
「もー！こんなに冷たくなっちゃって……もしかして、ここでしたいのー？♥️」
ひっ、か、神よどうかお助けを…！
「ダメダメ、神父様♥️ 神父様はもうずーっと……」
「身も心も、私達と一緒になるんですから……諦めて下さいね♥️」
「それじゃあ神父様貰っていきますね♥️主神様バイバーイ♥️」
20/11/16 17:34更新 / 迷える哺乳類