読切小説
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貴様乱暴する気だな!?全ページフルカラーの厚くて薄い本みたいに!
20XX年…。

世界は核の炎に包まれることもなく、そこそこのバイタリティーと溢れんばかりの妄想もとい想像力で生きていた人々は、未曾有の困難に直面していた。

異界生命体からの侵略である。
雌性体しか存在しない彼女等は自らを魔物娘ブラックビネガーと名乗り、大胆にも国会の生中継にてその存在と今後の活動方針を標榜したのだ。
真っ白の髪と翼を持った美人悪魔が宣言した、ブラックビネガーの目的はただ一つ。

素敵な旦那様を見つけ、爛れきったドスケベいちゃらぶ性活を送ること。

人間の女性より遥かに見た目もよく、一途でえっちに興味津々むしろバッチコイ今夜は寝かせないぜなブラックビネガーに、何人ものピュアな純粋童貞チェリーボーイ達が犠牲になっていった。
ある者は街中を歩いていただけで逆レからの結婚いちゃらぶ性活を送り、ある者は部屋でマス掻いていたところ不当な理由で逆レされ結婚からのいちゃらぶ性活を送り、ある者は特に理由のない逆レのあと結婚からのいちゃらぶ性活を送ることとなった。


混乱する世の中に拍車をかけるように、まだまともだった頃の国会にて、ブラックビネガーは人間の子孫を残せないという重要問題が明らかになったのだ。
人類の存亡という結構重めの問題に対し、しかしブラックビネガーの返答は「魔王様が世界を支配すればその問題もなくなるでしょ」というご都合主義のみ。
それから具体的な対策を論じる間もなく雪崩れ込んできた魔物化した議員の奥様やら愛人らで、今となっては名ばかりの大乱交スマッシュシスターズ実況中継となってしまった。

もはや政府には頼れない。
憲法がブラックビネガーによって都合よく改正される中、立ち上がったのは独身男性を中心とした一般市民だった。
らぶらぶハッピー新婚生活から元純粋チェリーボーイの足を掬うべく、嫉妬に燃えた現チェリーボーイ達の中から驚異的な能力を発揮する者が出てきたのだ。
それはまるでマンガやアニメのような存在。
人類は彼らをヒーローと呼び、人類存続のためのレジスタンスと小さな期待を寄せていた。






「くそっ、俺としたことがブラックビネガーに捕まってしまうとは……」

ヒーローネーム、ポンズもヒーローの一員である。
そこそこの戦闘力に年齢=彼女いない歴という優秀な経歴を持つ彼は、弟をブラックビネガーに拐かされ、幸せアへ顔ダブルピース結婚写真を送られてきた悲しい過去がある。
兄より弟が先に童貞喪失という悲劇を前に、二度と自分のような悲しい人間をださないと誓った彼だが、度重なる激闘で遂に囚われてしまった。
敵の陣地の中でただ一人、何でもありな魔法の力で拘束され、自慢の衣装もご都合主義の粘液で綺麗に溶かされてしまう。

「くっくっくっ、人間のわりになかなか手こずらせてくれたじゃないか」

悔しげに歯ぎしりするポンズの前には、上機嫌に手を広げる女が一人。
奇怪なデザインのスーツを除けば抜群のプロポーションをもつ美女だが、彼女こそポンズを捕まえたブラックビネガーの一員、幽霊怪人ファントム(本名リリネット)である。
強力な霊力と日頃の妄想で培った緻密な計画性で公私共に長年のライバルとなったリリネットは、ようやく手に入れた勝利に嗜虐的な興奮を隠そうともしない。

絶体絶命のピンチに思わず呻き声を出してしまうポンズ。
ブラックビネガーに囚われたヒーローがたどる末路、それはすべからく逆レからのいちゃらぶ結婚性活である。
実際に幾人の元ヒーローから結婚報告はがきを手にしてきたポンズは、ちょっぴり過激でハードな責めがこの先待ち受けているのを知っていた。

「ふん、冗談は格好だけにするんだな! 何を用意しているか知らないが、お前たちに屈する俺ではないぞ!」

ヒーローとしての矜持と期待で声が裏返り気味だったが、なんとか言い切った。
その言葉の通り、リリネットが何をするのか全くわからない。
わからないが、いや目の前の見目麗しい美女が何を企んでいるかわからないからこそ、不安や期待が入り交じり、ドキドキしてしまうのは悲しい男の性なのか。

そして性的上位者であるリリネットも、当然その事に気付いている。
衣装のことは後で追及するとして、伊達にオフの時にも一緒に買い物したり、家に押し掛けたりする関係ではない。
当然ポンズの秘め切れていない欲望も理解しているし、リリネット自身もブラックビネガーのえっち大好き本能により大変なことになっていた。
上手く演技してはいるが興奮のあまりドキがムネムネして苦しいし、いつも以上に自己主張するポンズの股間を見るだけで涎が上下の口から溢れ出てくる。
だがここで台無しにするわけにはいかない。
我慢我慢、と自分(の身体)に言い聞かせながら、舞台演者のように大仰に手を広げた。

「威勢がよくて結構、それでこそ私も遣り甲斐があるというものだ」

だから失望させないでくれよと、口端を吊り上げてポケットから小瓶を取り出す。
おかしなことに既に中身は入っていない。
残滓らしき紫の液体が残るのみの容器ごしに、眉をひそめているポンズが見える。

「君が気を失っている間に注入したんだが……これはサバト開発チームの新アイテムでね。まぁ媚薬の一種だが、少しだけ変わってるのさ」

「変わっている…?」

「感度を引き上げるとこまでは同じだが、同時に全身の感覚をある一点に追加させるとのことだが……まぁ、実際体験してみた方が早いか」

そう言うとリリネットは小瓶をしまい、前に出た。
息がかかりそうなほど近くに寄られると、益々その美貌が際立つ。
舞台女優のごとく整った目鼻立ちに、銀糸のようなショートヘアー。
人間離れした美貌はブラックビネガーの特徴ではあるが、それに非実体の幽玄さが加わり神秘的な雰囲気を醸し出していた。

「ふふふ……全く、そんなに見つめられると照れるじゃないか」

そんな、少し前までなら自分とは縁がなかったであろう麗人が、優しく微笑んだ。
生殖本能を揺らす激しい劣情ではなく、柔らかい部分をくすぐられる笑顔に、ポンズは睨むことも忘れて目が離せなくなる。
何だかんだで長い付き合い、というより毎日顔を見る相手ではあるが、未だに仕草の一つ一つに見惚れてしまう。
その隙をついて、リリネットはポンズの腕に手を延ばした。
女性らしい細く柔らかな指が二の腕をからむ。

「……それじゃあ、いくよ?」

そしてそのまま、撫でるように手を滑り下ろした。

「ぉあっ!?」

突然、ポンズの身体が跳ねた。
二の腕から指先までをゆっくりさすられただけで、性的でもなんでもない軽い接触のはず。
だのに、媚薬で硬さバキバキ魅力マシマシになった陰茎を手コキされた感覚がたしかに背筋を走り抜けた。
予想外かつ理解不能の刺激で腰砕けるポンズを濡れた目で見下ろしながら、リリネットは怪しく笑う。

「だから感じた通りだよ。感覚の鋭敏化と集中……つまり他の場所に受けた同じ刺激をオチンポで感じられるようになるのさ」

言い聞かせるように、リリネットがポンズの腹筋を指でなぞる。
触れるか触れないかのもどかしい刺激の他に、側面にやさしく撫でられた股間の息子が反応した。
いや、本当は腹以外触られていない。
目の前にはリリネット一人しかいないのに、まるで複数の透明人間に責められる錯覚で混乱するポンズを追い詰めるべく、リリネットがすかさず抱きついてきた。
女児向けの派手な女悪役といった奇抜なスーツはかなり薄い生地で、柔肌をダイレクトに感じられる。
それに加え、ブラックビネガー特有のえろえろ本能によりポールダンスのごとく身体を擦り付ける動き。
全身を昂らせる動きに加え、ダイレクトな快楽が陰茎を襲いポンズの忍耐をゴリゴリ削っていた。

「ふふ、随分と震えているが、敵に責められるのがそんなにいいのかい? それとも虐められるのが趣味だったりとか?」

「だっ、ま…れ…ぅんぐっ!?」

挑発になんとか言い返そうとしても、きゅんきゅんして辛抱堪らなくなったリリネットの情熱的な唇に塞がれ、後が続かない。
それどころか艶々の瑞々しい感触と貪欲に絡み付く舌の動きを陰茎にも感じ、そのまま我慢が決壊してしまった。

「きゃ♪」

熱い昂りと抜けるような放出感に恍惚とする一方、リリネットは喜色満面で可愛らしい声をあげた。
咄嗟に両手で受け止めるものの、最愛の雄の汁が溢れる前に即断し下腹をも押し付ける。
どくどくと、どれほど出ていたのだろうか。
ヒーローらしく常人よりはるかに多い精を吐き出し悔しさ半分満足感半分のポンズに対し、白濁液でたっぷりデコレーションされた己に恍惚とした表情のリリネット。

「はぁ…はぁ…くふふふ♪こんなにだすなんて、そんなにきもちよかったのかい♥️」

ドロドロの両手をじっと見つめながらいう台詞は、若干呂律が回っていない。
傍目でしか分からないが、イッちゃった目ですえたはずの臭いを胸一杯に吸い込み、はぁはぁと息をつく様子はまさに発情した雌犬そのものであった。

「ああ、もうむり♥️」

証拠に、因縁の敵前という設定にも関わらず、幽霊のリリネットは犬以下の我慢弱さで己の指にしゃぶりついてしまった。
舌からつんとした青臭さが鼻を抜けるたび、組織幹部失格の蕩けた甘え声をだし、もっともっととはしたなく音を立てて愛するものの雄汁を嘗めとり始める。
一滴たりとも無駄にはしないという執念さえ感じられる動きはあっという間に両腕を嘗め終え、当然のように粘液がまとわりつく下半身へと向かった。

「じゃま♥️」

ビリビリとお気に入りのはずの衣装が躊躇い無く破かれる。
今のリリネットの頭には明晰な頭脳も、強力な霊力の幹部設定もない。
ただブラックビネガーのえろえろ本能のまま、嘗めとりやすいよう破きながら脱いで、じゅるじゅると吸い付くだけである。

「じゅるっ…くはっ、はぁ…はぁ……く、くふふふ♥️ほらみて、ぜんぶなめちゃった♥️」

最後の一嘗めを堪能し、無惨に破れ汚れた衣装を見せてくる。
興奮のあまり幼女のような喋り方になっているが、成熟した肢体と発情し息を荒げる様はあどけなさに程遠い。
純真無垢な痴女という矛盾した新ジャンルに、ポンズの股間に限界以上の力が宿る。

「ふ、ふ……ほんとうにきみはわるいやつだな♥️こんなにおおきくしてみせびらかしちゃって♥️♥️」

そんなポンズの興奮パラメーターをじっと見つめながら、ふらふらとした足取りで、リリネットが近付いてくる。
魔法の拘束が床に寝かせる体勢に変わり、もどかしいほどゆっくりした動きで腰部に股がられると、甘い発情フェロモンがポンズを襲った。

「くふふふ♥️」

最初より大きく、凶悪に血管が浮かび上がる陰茎にリリネットが微笑む。
もう何が起きるか、何をされるか分からないポンズではない。
極上の雌に種付けすべく心臓は全身に血液を送っているが、幽玄な美と淫靡な媚に魅いられ、熱い滴りが怒張を濡らしても微動だに出来ない。
そして愛する男の視線を釘付けにしているという事実に身震いし、淫乱幽霊は床に寝たヒーローを見下ろす。

「じゃあ、いただきます♥️♥️」

獲物を追い詰めた捕食者と伴侶と交わる女の笑みで、リリネットは腰を下ろした。

「ふひゃあああああ♥️♥️♥️」

「うああああああ!?」

リリネットの嬌声に交じり、ポンズの悲鳴が響いた。
既に溢れるほど蕩けきった膣は抵抗どころか陰茎を更に奥へと飲み込み、人外の魔快楽を叩き付けてくる。


……までは良かったのだが、今回はそれを遥かに上回る快楽であった。
リリネットの膣は名器を越えた魔器ではあるのだが、流石に三擦り半すら持たないのはおかしい。
感覚的に倍近い、まるでもう一人の自分がいてその分も感じているような気がして……。
その考えに至り、はっ、とポンズ原因を思い付いた。

リリネットが使った、新種の媚薬。

全身のあらゆる感覚を陰茎にも感じると言っていたが、ならば陰茎を直接刺激するとどうなるのか。
可能性の一つとしては不発、陰茎の刺激はそのまま感じるだけ。
だが別の可能性、もしサバトの開発陣がプロ意識高めで陰茎の刺激が重複するなら……。

「り、リリネット、おいちょっと待」

「んちゅぅ♥️」

事の重大さに気付いたポンズは力を振り絞り首を持ち上げたが、時既に遅し。
すかさず興奮の最高潮に達したリリネットが唇を塞いできた。
瞬間、頭の中が白い光で漂白される。

「んじゅっひゃああああ♥️♥️」

陰茎への二重刺激に加え、口内を掻き回すリリネットの舌を亀頭に感じ、ポンズの限界を呆気なく突破した。
意識を飛ばしながらの、ある意味無我の境地へ達した射精。
媚薬に含まれた特性精力剤の影響で噴水のごとく出たそれを、リリネットの子宮は一滴残さず受け止める。
一番欲しかったものを一番欲しかったところに貰い、リリネットは反射的に絶頂した。
人間と違い、頭ではなく子宮で反応することはブラックビネガーにとって最大級の賛辞に値する。
つまり今のリリネットは理想的なブラックビネガーになるのだが、当の本人は幸せの向こう側に飛んでしまっていて意味がない。

「ーーーーー!!!」

そしてこの場合最も不幸なのはポンズだろう。
雌本能全開でちゅっ♥️ちゅっ♥️と降りてきた子宮が陰茎の先端を嘗めしゃぶってご褒美を催促し、腰を引こうにも絡み付いたリリネットの半霊体化した足が逃さない。
結果、更なる刺激が余さず飽和したポンズの脳を襲う。

(ここまで……か…)

過快楽に視界が明暗する。
射精にあわせ聞こえてくる嬌声を遠く感じながら、ポンズはヒーローとしての資格が失い逃れられぬ快楽エンドに堕ちていく確信を覚えたのだった。















「いやぁ、なかなか刺激的だったね」

幽霊らしからぬツヤツヤお肌で、リリネットは満足げに呟いた。
思いの外どころか、かなり激しく燃え上がった、充実の一戦後である。
既に例の奇怪な衣装から着替え、いつもの高級感溢れる礼服を身に纏っている姿からは高慢な敵女幹部の雰囲気は一切感じられない。
流石は魔界随一の劇団所属だな、と改めて妻に惚れ直しながら首をかしげる。

「それにしても次の演目はやけに激しいね、何かあった?」

不死者の国でも名の知れた女優のリリネットはゴースト時代の妄想力から、脚本を担当することもあった。
そのたび臨場感を出すという理由でなりきりえっちすることも多々あり、不満どころか大いに満足してるわけだが、今回は珍しくハード系だった。
結構序盤からシナリオ脱線した感はあるが、脚本はもっと魔物娘優位の過激責めであり、純愛を好む彼女らしくない。

「ああ、実はちょっと知り合いが出来てね。まぁ過激派と言われるグループの一人なんだけど、それで世界が少し広がったのさ」

ふふん、と得意気なリリネット。
豊かな胸をプルンと揺らし、腰に手を当てて誉めて誉めてと態度で示す。
自分の知らないところで交遊関係が広がるリリネットに胸が疼くが、その可愛らしいドヤ顔を見て心を落ち着かせようとえらいえらいと誉めてあげた。

「…ふふ、知り合いといっても、既婚の魔物娘だよ」

落ち着けなかったらしい。
そもそも世界で最もらぶな旦那様の心境を見逃す魔物娘ではない。
人間相手なら重い束縛も、リリネットにとってはいかに相手に思われてるという愛の証明に他ならないのだ。
そして世界で最もらぶな妻のことが自分を理解してると分かるからこそ、自分の醜さに苦笑いしか浮かないのも事実。

「……もう、君は相変わらずだね」

からかうように言って、再びリリネットが覆い被さってきた。
自己嫌悪に呑まれやすい旦那様を身体で慰めようと考える優しさの反面、切なさと愛しさといやらしさで延長どころか千日手からの再試合も辞さない表情である。
しかしおかけで沈みきるより前に、一足早く息子の方が先に元気を取り戻した。
なんとも現金ではあるが、インキュバスの無限精力により復活した怒張が、今か今かとリリネットの入り口をつつき始めると何も考えられなくなる。

「んっ♥️ちょっと、あ♥️…もう♥️♥️」

利かん坊に小突かれるたび、嬉しそうに小さく喘ぎながらリリネットが顔を近づけてきた。
潤んだ瞳に吸い込まれ、リリネット以外の存在が認識出来なくなりながら、ふと思う。
どれほどお互いを想っているか。
それを確かめるため、またこれからも果てしなく交わり続けるのだろう。
何千、何万、いや終わりがなくなるまで。
そしていつか、この可愛らしい妻が愛してくれる自分を少しは好きになれるのかもしれない。
時間がかかるかもしれないが、もしその時が来たらやることは決めている、この人を思いっきり抱き締めよう。
演劇員らしく心のままのアドリブで、万感の思いを込めて愛してると囁くのだ。
そういう無上の未来を想像して、夢心地のリリネットにそっと口付けした。


















「……あの、リリネット、もうこの拘束いいんじゃないかな?」

「…………」

「……り、リリネット?リリネットさん?あれ?怒ってる?」

「………………」

「もしかしてあの衣装のこと?いやでもあれウケ狙いだったんだよね?本気であの孔雀みたいなデザインを気に入ってたわけじゃないんだよね?」

「…………………………」

「リリネットさんリリネットさんおもむろに取り出したそのパール繋ぎの棒は何かななんで後ろに回るのやめてやめてお尻を触らないでそこは違うからアーーーーー」

21/01/13 10:54更新 / 迷える哺乳類

■作者メッセージ
ダークなくっころを書こうとしていたら召還事故が起きていたの巻き。

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