読切小説
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ワー〇ウルフ
ワーウルフA「……暇だな」

ワーウルフB「そうだね、リーダー」

ワーウルフC「誰だよこんな山道にキャラバン隊が通るとか言ったやつ」

ワーウルフD「まぁ、ラタトスクちゃんが酒場の人に言ってたことを又聞きした情報だからねー、ふぁあ」

C「信用できるか微妙なところだなそりゃ……一昨日アイツがやってた、なんだっけあれ、しっぽ天気予報?とかいうのもまったく当たんなかったし」

B「まぁ、待ってれば男は来なくても今日の晩御飯くらいは見つかるかもしれない」

ワーウルフE「……暇だねぇ」

D「ふふ、そうだねー」

A「……おい、E。なんか暇潰し無いのか。オマエが前に人間の街で買ってきたやつ結構面白かったぞ。ああいうのを今こそ出すべきだろ」

C「おお、そうだな……なんだっけあれ、バルコニーみたいなやつ」

B「『モノポリー』だよ」

D「一文字しかあってないねぇ」

A 「響きと語感で乗りきろうとするのやめろ」

E「残念だけど今はその類いのボードゲームは持ち合わせてないんだ。でも、この場で暇を潰せそうな遊びには心当たりがあるよ、リーダー」

A「おっ、本当か」

B「どんな遊び?」

E「準備するからちょっと待っててね」

C「うわ、お前今その大量の紙どっから出したんだ」

D「手品みたーい」

A「んな無駄なもん持ち歩いてるからいっつもアタシら狩りに失敗するんだよ」

E「おや、ボクは数回に及ぶ狩りを経ても未だにお目当ての獲物に一度も巡りあうことすらできず、いつもこうやって無為な時間を過ごす君たちを慮って娯楽を用意してあげているのに心外だね、悲しくて泣いてしまうよ、ぐすん」

B「よしよし」

D「なかないでー」

C「リーダーのせいでEが臍曲げちまったぞ」

A「悪かったって、いいから早く準備してくれ」

E「よし、じゃあ今から君たちに紙を配るからそれに書いてある内容を確認してくれ。内容を口に出してはいけないよ」

C「……!っぶねぇ、言うとこだった」

A「よし、今日は我慢できて偉いぞ」

D「Cちゃんは、その、素直な子だからねぇ」

B「前に麻雀やった時は酷かったからね」

E 「嫌な事件だったね」

C「ウ、ウチのことはいいだろォ!早く続き説明しろよォ!」

E「わかったよ。と言ってももう説明することはあんまり無いんだ。君たちにはこれからそこに書かれていることについて、一定時間話し合ってもらう」

A「なるほど?」

B「時間が過ぎたらどうするの?」

E「実はその紙に書かれているお題は一つだけ他の三つとは違うものでね。話し合いの中で仲間はずれを探してその後それを当てる、というゲームさ。いわゆる『少数派探し』だね」

D「なるほどぉ、自分が仲間はずれかどうかはわからないから他の人の話で判断するしかないんだねぇ。おもしろそぉ」

C「……またお前アタマ使うゲーム持ってきたな!苦手なんだからカンベンしてくれよ!」

E「だって君のレベルに合わせたら叩いて被ってジャンケンポンになるじゃないか」

A「まぁとりあえずやってみようぜ」

B「うん、こういうのは一度やってみた方がいい」

E「その通りだ。とりあえず二分間で話し合いをしてみようか。じゃあ、よーい、どん」


〜デモンストレーション〜


A「……」

B「……」

C「……」

D「……え、ええと」

E「……なにか言わないと進まないよ」

A「……好きか?コレ」

B「特別好きってわけでもないけど嫌いではないかな」

C「これ嫌いなヤツはあんまりいないと思うけどな」

D「そうだよねー、しゃりしゃりしておいしいー」

A「まぁそうだよな、ウチもそう思う」

B「甘いよね」

C「そうだなぁ、甘くて旨い」

D「たまーに堅いのとかあるけどねー」

A「だいぶ前に牙折れそうになるくらい堅いのあったな」

B「僕は当たったことないな」

C「折れたのか、リーダー?」

A「んなわけねぇだろ、そのまま噛み砕いてやったわ」

D「すごーい」

B「歯は大事にしなきゃね」


〜終了〜


A「……なんの話だっけ」

E「歯は大事だねっていう」

A「ちげーよ!なんでそんな話で終わってんだ!」

B「リーダーが最初に牙折れそうになったことあるって言ったからだよ」

A「たまに堅いのあるとか言うからだろ!」

D「えぇー……私のせいなのぉ?」

C「それで、自分のお題はもう発表していいのか?」

E「まだだよ。最後に話しているお題が違うと思ったプレイヤーを全員で一斉に指差す。それでお題が違ったプレイヤー、つまり少数派への票が多ければ仲間はずれ側の負け、別の人への票が多ければ仲間はずれ側の勝ち、というゲームさ」

C「ええー!わかんねぇよ!」

A「さっきの会話じゃちょっと判断しづらいな」

E「じゃあ指差ししようか。いっせーのーで」

A→D B→A C→A D→D

A「なんでアタシなんだよ!」

B「あ、自分を指差すのもありなのか」

E「ゲームの勝ちを求めるならするメリットはないけどね。答え合わせする前に一応指差した理由を聞いておこうか、まずDを指差したリーダーとDから」

A「……勘?」

D「えぇー」

A「あれだけじゃ判断できねぇって、そういうオマエはどうなんだよ」

D「わかんなかったから、私かなーって」

A「おんなじようなもんじゃねぇか」

E「じゃあ次はリーダーを指差したBとC」

B「……リーダーの第一声がなんか怪しかった。その後『これを嫌いな人はあんまりいない』って話題になったけど、そう思っている物の話を切り出すトーンじゃなかったというか」

D「おぉー、ちゃんと推理っぽいことしてる」

A「誰も喋らないからアタシから始めたんだろうが」

E「嫌いなものを当てるゲームならその推理で悪くないかもしれないね」

B「……そうか、難しいな」

A「で、Cは」

C「な、なんとなく……」

B「だろうね」

E「じゃあ正解を発表しようか」

A,C,D→林檎 B→梨 

E「というわけで今回は仲間はずれ側、つまりBの勝利だ。と、まぁこういうゲームさ」

B「ありゃ、僕だったのか」

C「難しいよー!」

D「でも面白いかもー」

A「さっきはちょっと話し合う時間が少なすぎたかもしれねぇな」

E「そうだね、じゃあ次は話し合う時間を三分にして本番やってみようか」


〜一回戦〜


A「……」

B「……」

C「……」

D「……」

E「……あの」

A「……武器、だよな?これは」

B「ん?あぁ、僕はあんまりそういうイメージなかったけど、たしかにそうともとれるね」

C「そもそもウチらあんまり武器使わないしな、ウチも武器のイメージないかも。道具のイメージの方が強いな」

A「…………」

C「に、睨まないでよぉ!」

D「私、これ使って怪我したことあるー」

C「ええ!?大丈夫だったのかよ!」

D「うん、すごく痛かったよぉ、涙出ちゃった。でもぉ」



D「これだけ痛いなら、死なない程度に痛めつけるには申し分ないなって」



A「……」

B「……」

C「……」

D「あ、あれれぇ?」

A「お前普段おっとりしてるくせに急に真顔でそういうこと言い出すから恐いんだよ」

C「寒気した……」

D「えぇー?」

B「えーと、今までのみんなの意見からすると武器兼道具みたいな感じだね」

C「うーん、誰だろうなぁ」

A「自分が少数派かもしれないんだぞ」

C「あぁ、そっか、んむむむむむ」

B「……この道具、どんな風に使う?」

A「どんな風にって、そりゃあ……」

C「……投げる?」

D「一般的じゃないないけどねぇ」

A「まぁ、投げたり……色んなことに使えるわな。人間じゃ戦闘ができないやつでも護身用に持ってる奴は多いと思う」

B「戦闘のプロでもない限り武器を持っているって安心感が隙を生んだりするんだけどね」

D「私はあんまり見たことないけどなぁ、護身用にこれ持ってる人」

C「まぁ、そもそもウチらそんなにたくさんの人間に会ってないわけだけど」

D「でも、人の背丈くらいあるこれを担いでる人なら見たことあるよぉ」

B「……それは……なんというか」

A「……名称がこれじゃあなくならないか?それは」

D「んー?……あー、確かにそうかもー」

C「……んん?」


〜終了〜


A「わかった……気はする」

B「同じく」

D「わかんなかったぁ」

C「うーん、どっちかなんだろうけど……」

E「じゃあ指差しいくよ、いっせーのーで」

A→D B→D C→A D→B

A「まぁそうだわな」

B「明らかに怪しかったけど……断言はできないかな」

E「Cはどうしてリーダーに?」

C「いや、Dと迷ったんだけど……最初に武器だって断言してたからもっと武器武器してる物なのかなって」

A「武器武器してるってなんだよ」

E「じゃあDは?」

D「うーん、特に明確な根拠はないんだけどぉ、議論を誘導されてる感じがちょっとしたかなぁって」

E「なるほど、じゃあ正解を発表」

A,B,C→ナイフ D→ハンマー

E「というわけで今回は仲間はずれ側、Dの負けだね」

D「あぁー、ナイフだったのかぁ」

C「……ハンマーって投げる?普通」

D「一般的じゃないって言ったよぉ」

B「……ナイフは人の背丈くらいあったら剣という名前になると思うんだがハンマーはその大きさになるとなんという名前になるんだ……?」

D「メイス、とか言うんじゃなかったっけぇ?そういうの」

A「いや、それはまた別物の気が……」

B「うーん、その物に対するそれぞれの認識の違いにも左右されるのか……なかなか奥が深いな」

C「難しいこと言わないでよ」

E「ふふ、楽しんでもらってるようで何よりだよ」


〜二回戦〜


A「あー、これは……今までの傾向からして二つのお題はだいたい似通っているものって仮定して言うけど、場所だよな?」

B「あぁ、それもこの世界じゃない、魔境中の魔境だね」

C「噂でしか聞いたことないなぁ」

D「偉い人が治めてるらしいねぇ」

A「……もし行けるとしたら行きたいか?」

B「興味はあるかな」

C「うん、確かに。怖いもの見たさっていうか」

D「そうだねぇ、旦那様ができたら行ってみたいかなぁ」

C「まぁ一人で行ってもしょうがないからな」

A「そりゃそうだ」

B「……これさ、その場所に生息してたり、こっちと行き来できる魔物娘の種族を挙げれば少数派分かるんじゃないかな」

D「ええと?」

A「まぁもうほぼお題わかってるから……いやでもどうなんだそれ」

C「……これってもっと、こう、会話の端々から得た情報で推理とかして楽しむゲームなんだろ?そんな直接仲間はずれが分かりそうな方法とっていいのか?」

E「構わないよ、良いゲームとはルールの中で遊び方を縛らないものだ。多少邪道ではあるがね」

A「まぁ、いいって言うならやってみるか。一斉に言うぞ、準備しろよ」

C「ちょ、ちょっとまって、なにがいたっけ」

A「せーの」

A「マーチヘア」
B「ドーマウス」
C「じゃ、ジャバウォック?」
D「チェシャ猫ちゃん?」

A「……」

B「……」

C「あ、あれ?」

D「……どういうことぉ?」

E「……言っておくけど、お題はちゃんと配ったからね」

A「んなわけねーだろ、バグおきてんぞおい」

B「Eのミスじゃないなら、この中の誰かが嘘をついている……」

A「ずりーよ!そんなのありかよ!」

E「もちろん。現にリーダーとBは序盤から二つのお題の目星が大体ついていたみたいじゃないか。それが分かるということは周りの話に合わせて喋れば自分が仲間はずれだってことはバレないわけだからね。それこそさっきDが言ったみたいに議論の誘導もできるわけだ」

D「えぇー?」

A「しねーよそんなまどろっこしいこと!」

B「まぁやってないことの証明はできないからね……」

A「くっそー!簡単に分かると思ったのになんだこれ!言っとくけどアタシは本当のコト言ったからな!」

B「ここでの潔白の主張は逆に滑稽だよ、リーダー。まぁ僕も嘘はついてないとしか言えないけど」

D「うーん……Cちゃんはどう思う?」

C「わ、わかんない」

D「そっかぁ」

A「ウチはまだEのミスだと思ってるからな」

E「リーダーからの信頼がどんどん失われていく……こうして群れの崩壊が始まるんだね、およよ」

D「なかないでー」

B「うーん、一体なにがどうなっているんだ」


〜終了〜


E「波乱の展開だったね。さあ指差ししようか、せーの」

A→B B→A C→C D→C

A「……え?」

B「あれ、てっきりリーダーか僕に票が集中すると思ったんだけど」

C「……」

D「なるほどぉー」

E「ふふふ、じゃあまず互いを選んだリーダーとBからその理由を聞こうかな?」

A「理由って、お前がアタシら二人しかあり得ないみたいなこと言ったんじゃねぇか」

E「おや、そんなことを言ったつもりはなかったんだけどなぁ。二人が二つのお題を把握しているなら、それぞれ有利になるようなムーブを取る可能性はある、とは言ったかもしれないね」

A「ハ、ハァ!?」

B「……よく考えてみれば、僕たち二人は確かに二つのお題を分かっていたかもしれないけど、今回の序盤の会話じゃどちらが仲間はずれかは判断できないね……もっと冷静に考えるべきだった」

E「じゃあ次は……先にDに聞こうかな」

D「Cちゃんがねぇ、みんなで一緒に言ってから口数が減ってたから、怪しいなぁって」

A「……そういえばそうだな」

B「で、Cは?」

C「……ウチがやりました……」

A「自供したぞ」

B「なにをやったんだ一体」

E「じゃあ正解発表だ」

A,B,D→不思議の国 C→万魔殿(パンデモニウム)

E「というわけで今回は結果だけ見れば仲間はずれ側の負けだけど、まぁ一票差で自分で自分に一票入れてるから周りを欺くことはある程度できていたと言えるね」

A「……Cが意図的に一斉に言う時に自分が仲間はずれなのを察してあれをやってたとしたら大したもんだけど……」

B「その後の行動と反応を見るにそうじゃないよね。C、どうしてこうなったの?」

C「そ……それは……」



C「……ジャバウォックが万魔殿の魔物娘だと勘違いしてたからです……」



C「嘘ついてごめんなさい……」

A「……」

B「……」

D「まぁ、なんとなく堕落してる雰囲気あるもんねぇ」

E「そうかな……そうかも……」

A「オマエは……オマエはホンっトバカだなぁ!!もう!!」

C「やめてぇ!いい笑顔でアタマ撫でないでぇ!」

A「今度魔物娘図鑑買ってやるからなぁ!!寝る前に一緒に読もうなぁ!!」

C「もう持ってるよぉ!それ二冊目だよぉ!」

B「……結局今回一番議論を誘導していたのはEだったね」

E「なんのことやら」


〜三回戦〜


A「……C、次はオマエから発言しろ」

C「え、えぇ!?」

A「勘違いからの偶然とEのよくわからん目眩ましがあったとはいえ、さっきのゲームでアタシとBを出し抜いたんだ。オマエならやれる」

C「で、でも」

B「まぁ、試しにやった時からずっと一言目はリーダーだったしね。話し合うゲームなんだからみんなで話さないと」

D「Cちゃんがんばれー」

C「う、ううぅ……わかった……」

A「第一声は慎重に選べよ、ゲームの流れが決まるからな」

B「脅してどうするの。気軽にやりな、C。リーダーが最初に言ってたこと思い返してすれば良いから」

C「え、ええと……よし!」



C「白いよね!?コレ!」



A「……」

B「……」

D「……あー」

E「……」

C「え?え、ちょ、何この空気」

A「し、白いヤツもあるかもしれねぇなぁ!!」

D「そうだね!!!!」

C「やめてD!ハキハキ喋らないで!いつもの口調に戻って!」

B「……これもう議論終了でいいんじゃないかな」

E「……まぁ、これ以上やってもCの傷が広がるだけだろうし……」


〜途中終了〜


E「……じゃあ指差し……どうぞ」

A→C B→C C→A D→C

C「……ぐす」

E「……えーと、では答えあわせです……」

A,B,D→カレー C→シチュー

A「悪かったって」

C「リーダーのばか……」

E「二連続で仲間はずれ引いて、全く違う形でここまで大荒れさせるのはある意味才能だと思うけどねぇ」

C「いらない!!そんな才能いらないもん!!」

B「よしよし」

D「なかないでー」

A「……こりゃしばらく臍曲げそうだな」

E「C、次は君に代わってボクがプレイヤーをやるから、お題を作ってくれるかい?」

C「…………わかった」

B「よしよし、いい子だ」

D「まぁ何が悪かったって言えば運が悪かったよねぇ」

A「まぁ、Cはこういうとこがかわいいんだけどな」

B「ほっとけないよね」

C「……できた」

E「よし、じゃあ折り畳んで、よく混ぜてから配ってくれ」


〜四回戦〜


B「じゃあ次は僕から……そうだな……直球でいこうか、みんなはコレ、どんな風にしたい?」

D「やっぱりぃー、旦那様とラブラブでしたいなぁ」

A「まぁ、それは基本だろ。激しくとか優しくとかそういうことなんじゃねぇの?」

E「うーん、激しいのもいいけど優しいのも捨てがたいよね」

D「私は激しいのがいいかなぁ」

B「どちらかと言えば優しい方かな……でも、実際その場になるとちゃんとできるかちょっと不安だ」

D「あー、それはちょっとわかるかもぉ」



A「大丈夫だろ。B結構上手かったし」



B「……え?」

D「……そうなんだぁ、へぇー」

E「……聞き捨てならない言葉がきこえたんだけど」

A「え、いや、全員とやってるけど、その中でBが一番よかったなって」

B「!?」

D「!?」

E「!?」

A「え、や、やったじゃん、子供の時とか」

B「こ、子供……な、何歳の時だ!?」

E「記憶にございません」

A「ハァ!?いややったし!覚えてねーのかよ!父さんと母さんともやってるだろ!」

E「リーダーが爛れている……」

D「穢された」

B「物心つかない時から……!?そんな馬鹿な……」

A「なに言ってんだ!!おいさてはこれアタシが仲間はずれだな!?なんの話題で話してんだオマエら!!」

B「紙に書いてあるお題で話してるんだけなんだけど……」

A「それがアタシだけ違うんだよ!!多分!!」

D「……だから……いつかは……」

E「……やっぱり……予備軍……」

A「そこ!!ヒソヒソ喋んな!!」

E「で、リーダーはコレ、どんな風にしたいの?」

A「言うわけねえだろこの流れで!!」

D「えー気になるなぁ」

B「そういえばリーダーだけ最初に別の質問を投げ掛けることで自分の意見を言うことを回避してたよね」

E「まさかこうなるのを見越して……!?さすがはリーダー!!なんて見事な議論の誘導だ!!」

A「はっ倒すぞ」

D「で、教えてくれないのぉ?」

A「……そうだな……やっぱ、その、優しく……したいし……激しいのも……」

B「ほぅ」
D「へぇー」
E「なるほど」

A「だぁーーーっ!!なんだよこれ!!止めだ止め!!ほらもうすぐ時間だぞほら!!」


〜終了〜


E「あー楽しかった」

C「え、えーと、指差しだっけ」

A「もういらねぇよどうせアタシだろこれ!!それよりお題見せろ!!」

B,D,E→セックス A→キス

A「んなこったろうと思ったよ!!なんてお題ぶちこんでんだオマエ!!」

C「ご、ごめんなさ、ぶふっ」

A「笑うなァーーー!!」

E「魔物娘らしかぬ恥じらい、実にあざとい」

D「ふふふ、リーダーかわいいー」

A「うっせー!!噛むぞオマエら!!」

B「お題作るのも面白そうだな……C、次僕と変わってくれる?」

C「ん、わかった」


〜五回戦〜


A「これは……」

D「……欲しい」

C「無理じゃん」

D「わかってるよぉ、でも欲しいの」

A「手に入らないからこそ、ってヤツか。魔物娘なら絶対憧れはあるだろうなこれ」

E「でも将来的には魔物娘でもできるようになるらしいし、現状でも絶対手に入らないわけじゃないよね。一応手段はあるよ」

A「該当する男がほぼいねぇだろ、その……子連れの独身男なんて」

C「いたとしても、それって奥さんと離婚したか死に別れたか、そうじゃなきゃ捨て子とか……あんまり気持ちいいものじゃないよな……コレに憧れがあるのはたしかだけどさ」

E「まぁ、そうだね。狙って探すのは道徳的にちょっといただけない」

D「でも喪服の男の人ってなんかエッチだよねぇ」

A「……」

C「……」

E「……」

D「あれぇ?」

E「まぁ、それは置いといて、コレ、できたらどうする?」

A「そりゃもうメタメタに可愛がるだろうな」

C「絶対甘やかしちゃうなぁ……」

D「一緒にお風呂に入る、頭も洗ってあげる」

E「そうなるよね、ボクは膝枕とかしてあげたいかな」

D「あーーー!ずるい!私もする!!」

A「ズルいってなんだよ」

C「でも、コレ、いつかは誰かに貰われていっちゃうんだよね……」

E「取り返せばいいでしょ」

A「いや祝福しろよそれは、門出だぞ」

D「私が面接して最終選考まで残ったらお嫁さんになる権利をあげます」

A「イヤな親族だなぁ」

E「何次面接まであるんだろう」

C「お嫁さんいびられそう」

D「みんなひどくなぁい?」


〜終了〜


C「なんか普通に話してただけだったな今回」

D「そういえば仲間はずれ探すゲームだったねぇ」

E「それを忘れたら、ただの願望暴露大会じゃないか」

A「うーん、誰だろう……」

B「じゃあ指差ししようか。せーの」

A→D C→E D→A E→A

B「ふむ、まずDを選んだリーダーから理由を聞こうか」

A「今回はマジでわかんなかったから一番発言が怪しいヤツにした」

C「……それはこのゲームにおける『怪しい』なんだよね?」

A「……ノーコメントで」

D「えぇー」

B「じゃあ次はEを選んだC」

C「うーん、取り立てて怪しいところがあったわけじゃないんだけど……なんか引っ掛かったから……」

E「へぇ?」

C「他に露骨に怪しい人が居ればそっちにしたんだけど……今回はいなかったし消去法?ってやつ?」

B「なるほど、じゃあ最後、リーダーを選んだDとE」

D「うーん、私も今回はわかんなかったぁ」

B「今回はみんな苦戦してるね。お題を作った甲斐がある」

E「そうだね、ボクもなんとなくかな」

B「なるほど。じゃあ正解発表」

E「B、ちょっといいかい?」

B「……なに?」

E「今回のお題、二つともわかったかもしれないから言っていいかな?」

C「ホントに!?」

A「マジか!?」

D「すごーい」

B「……あぁ、言ってみてくれ」

E「今回の『もう一つのお題』は『息子』じゃないか?」

A「……!ってことは!」

E「そうさ」

A,C,D→息子 E→弟

E「ボクが仲間はずれだ」

C「お、おぉーさすが」

D「かっこいいー」

B「ゲームはリーダーに二票入ったから少数派の勝利だね」

A「いつから分かってたんだ?」

E「わりと序盤からかな。『弟』ができるならそれは親が再婚したってことになるからね。その話題が一切出てこなかったから怪しいと思ったんだ。あとは何をしてあげたいか質問した時に、結婚の選択肢がなかったことだね」

A「あーなるほどなぁ」

C「ウチの直感は正しかったのか」

E「それはきっと君が『いつかは貰われる』って言った時につい『取り返せばいい』って言っちゃったから、それに違和感を覚えたんじゃないかな。そのすぐ後にリーダーが言った通り、息子の門出なら祝福するべきだしね」

C「あー……」

A「言われたことの意味わかってるか?」

C「あんまり」

D「『息子』と『弟』かぁ……確かにどっちも私達の憧れだねぇ」

B「最初は『兄』と『弟』にしようと思ったんだけどね。もしいたら何をしてあげたいかって話題で意見が割れてバレそうだったからやめた」

D「私はお兄ちゃんもかわいがりたいよぉ?」

E「……まぁ、その気持ちが無いわけではないけど一番には出ないよね、それ」

A「よーし、もう一回しようぜ!次アタシがお題作る!」

E「何にするか決めてるのかい?」

A「いや、今から考える」

E「『ウインナー』と『ソーセージ』とかどうかな」

B「『牛』と『羊』とか」

C「『バフォメット』と『バロメッツ』とか?」

D「『チーズ』と『ヨーグルト』とかぁ?」

A「や、やめろ!ネタを潰すな!今考えてるから!」

C「……っ!みんな静かに!誰か近づいてくる!」

A「……!」

「……ようお嬢ちゃん達、えらく盛り上がって……ッ!!その耳と尻尾……魔物かっ……!!」

B「……君達は?」

「……俺たちは西から来たキャラバン隊だ……行程通りなら今頃は次の街に着いて宿で休んでるはずだったのに、前の街の酒場にいた女が言ってた天気予報とやらに騙されてこんなとこで野営する羽目になっちまった、くそっ……山道でえらく賑やかな女の声が聞こえると思ったらまさかワーウルフの群れとはな!俺たちを喰い殺す算段でも建ててたのかもしれねぇが黙って喰われる獲物だと思うなよ!」

D「っ……剣を……!」

C「アイツらやる気だ……!」

E「……どうするリーダー、相手は随分気が立ってるよ」

A「…………あー」



A「アタシ達今面白いゲームやってたんだけど……アンタらも一緒にやる?」

「…………は?」






三日遅れで目的の街に到着したキャラバン隊は道中で世話になったという五人の美しい娘を連れており、その娘達はまもなく行き着いた街でキャラバン隊の男性達とそれぞれ結婚式を挙げた。

彼らが来てから数日後、その街で駒もサイコロも使用しない紙とペンだけで楽しむことができる少し変わった遊びが流行りだすのは、また別の話である。
21/10/20 21:34更新 / マルタンヤンマ

■作者メッセージ
言葉人狼エアプなんでおかしなところがあったらこれ書いた奴一緒に人狼する友達いないんだなって思っといてください

自分で自分に投票する行為についてはルールを軽く調べたんですが、投票する時に自分以外に投票しなければいけない、という記述がどこにも見当たらなかったので『ルール上できるけど勝ちを求めるならやる意味はない行為』という解釈にしておきました

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