連載小説
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ウェットドリーム・ネイション
「『人間とマモノ』との差は何だと思うかい?」「毛がふわふわしてるかどうか、じゃねえのか?」スナック菓子を無造作に口に入れる少女は、傍らの人物に質問した。男は、小柄な女の尻尾を撫でながら、質問に答えた。


「ンンン、まあ当たらずとも遠からずかね…」女は、恋人の手の感触に酔いしれながら言った。「ただ、ワタシが言いたいことはそうじゃない。大きな違いは、生物学的にもそうだが、魔力への適性の大小だろう」「魔力ね…」男、傭兵は着流しのオビに佩するカタナに目をやった。そのワザモノは、なんらかのを帯びているように見えた…

「もう一つ言えば、ワタシらは肌の色どころじゃないくらい、民族…インヤ種族で文化習俗、生活習慣もバラバラだね」「確かにな、キミのちんちくりんさと、デボーチャリー=サンの体形は全然違うもんな」「どこ見て言ってんだよ…」少女は青年の言葉に不機嫌になった。

「…ワタシが言いたいのは、例えば、ワタシの一族〈ラタトスク〉は見ての通りリスめいた生態をしてる」(確かにさっきから、顔がだんだん風船みてえになってるな…)男は、女が先ほどからその頬にスナックをためていく様を見ていた。

「そして、そのデボーチャリー=サンは、酒に詳しいし、文字通り酒を浴びるように呑んでる。それが彼女の属する、サテュロスの大きな特徴の一つさ」ラタトスクは別の菓子袋を開けながら言った。「ほかに、なんか気づいたことはないかい、ハビー?」「…アア。お前はちゃんとした食事をとった方がいい」「ウルサイ!口を開けばそんなことばっかりじゃないか…」「そりゃあ言いいたくなるだろ…だって妻が病気になって、入院して離れ離れは結構つらいぜ?」「…バカ♡」

「フフン、お互いを労わるのが秘訣ってな」青年は冗談めかして言った。「冗談はこれくらいにして、今回の〈ターゲット〉の種族にアタリはついたのか、スクイリー?」「アア、これでもラタトスクは情報通で通っていてね。そして、キミよりはマモノには詳しいからね、キーワードは〈ユメ〉と〈不眠症〉…」「…そんだけでわかるのか?」「そうさ。そしてソイツはおそらく…〈ナイトメア〉だ」

傭兵は相棒の挙げた名前にフキツを感じた。そして、それは「現実」となる…

セクション124/05/15 18:33
セクション224/05/17 09:51
セクション324/05/18 19:50
セクション424/05/20 14:53
セクション524/05/22 10:57
セクション624/05/23 21:17
エピローグ24/05/25 10:33

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