連載小説
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リボーン・イン・ホワイト・スティッキー
 それは、未曽有の大災害であった。〈2000年問題〉、単なるコンピューター障害でしかないと思われた。
 一部の陰謀論者や電子カルトの戯言と、多くの政府や国際機関がそれを見逃し、数万規模の死傷者とインターネットインフラの分断、そして〈磁気嵐〉の発生につながった。
 しかしながら、挙国一致、いや万国一致で事に臨んでいたとしても、最大の問題は防げたかどうか。
 磁気嵐、電子機器障害、情報網の崩壊…それらを凌駕する危機が水面下で進行していたのであった。
 その日を境に、以前とは比べるべくもないほど小規模化し、退行した技術と各人のつつましやかな努力で復興したいくつかのコミュニティで、噂がささやかれるようになった。
 「見たこともない肌のヒューマノイド」、「ヨーカイは実在した」、「最近の反主神教ブラックメタリストは、エロティシズムに頼ってイカン」などだ。
 これらは、単なるフォークロアにすぎない。世の中の多くの人にとってであるが…。有識者の中にはこれは、「かの穴」と何らかの関連性があるというものもいる。
 そう「穴」である。いや表現が不適切であろうか、「物理的な穴」ではない。空間にぽっかり、「電子的」、専門家によれば「霊的」なトンネルが、2000年問題以降に出現した。
 もう、諸姉諸兄の中にはご理解された方もいるだろう。「トンネル」であれば、向こうからくる何者かがいるはずだと…
セクション124/05/08 08:10
セクション224/05/08 10:07
セクション324/05/09 20:45
セクション424/05/10 09:02
セクション524/05/11 19:26
セクション624/05/12 09:37
エピローグ24/05/12 17:05

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