読切小説
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売れ残りクリスマスケーキ
『先輩はぁ、今年もシュシボッチスよね?』「めらこよぉ!人聞き悪いこと言うなよ!…まあ、そうだが」部活の後輩、瀧日めらこ(たきび)は、バイトが終わったタイミングで狙っていたように、電話をかけてきた。燃えるような真っ赤な顔は、酒と寒さでより赤らんで見えた。

『クラ女子シュシ会の、三次会お流れになっちゃったからぁ…終電なくなっちゃったし、カラオケ行くより、先輩んちのが近いから来たのにカギかかって』「いきなりすぎんだろ!」『おねがぁいッス!カワイイこーはいのためッスからぁ!』「厚かましいが、確かにお前みたいなかわいいやつ、すぐ変な輩に捕まりそうだしな…しゃーねえか」オレは、自転車のギアを変えて飛ばし始めた。

『…カワイイッスか?』「そこに疑問は挟めないな…図々しいし、失礼だが」『…あざッス』かわいい奴ではある。容姿はまあ、サキュバスの類だから、そもそも綺麗所ではあるし、そもそも、何かと世話してやりたくなる愛嬌があった。コンビニで過剰に入荷した廃棄前チキンを土産に、丁度処理の当てができた。

アパートの外階段を登ると、寒さが緩和されていく。部屋の前に、炎の悪魔がいるからだ。「先輩、メリシュシッス!」「うわっ!いきなり抱きつくな…」しかし、こいつ、なんて格好だ。一応、ファーつきの上着を羽織ってるが、その下はキャミソールとホットパンツ、しかもへそ出し。もっとも、こいつから伝わる熱さがその理由を教えてくれた。

「ミジメなシュシボッチ先輩にぃ、ケーキ買ってきてやったッス!」「半額どころか70%引きって…まあ、無駄にするよりはいいか」土産を見せられ、自分が持ってきていたチキンを思い出した。「じゃあ、チキンは重いか…?」「チキンレッグッスか!?先輩のクセに気が利くッス!」「そんな言い方する奴にゃ、分けてやんねーよ!」「そんな、イジワル言わずにぃ、えいっ!」「あっ…」

めらこは、胸を押しつけてきた。キャミソールごしに、その柔らかさと張りが、ブラジャーをしていないことを伝えてきた。「…ほら、プレゼント代わりッス…」「おい…さすがに悪ふざけが過ぎるぞ…」「まあまあ、悪ふざけついでに、一杯いかがッスか?」後輩の尻尾は、器用にワインボトルを携えていた。

「…まあ、ただチキン食うのも味気ないが…それ以上酔っ払う気か?」男の家に来て、酔って無防備になる気か?「…間違いを気にしてんスか?くふふ…先輩みたいな意気地のないヒトが、なぁに勘違いしてるんだか!」「お前なぁ!」「良いから、寒いっしょ!?入ろ、入ろッス!」「家主より先に上がる奴があるか!」

単なる部活の先輩後輩…だが、あの眼差しは一体?今、額と背中に流れる汗は、荒い呼吸は、自転車を急いで漕いだせいか、それとも…

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「かんぱーい!」「乾杯」「うまうまぁ!プラスチックのグラスッスけど」「うっせーな!ワイン用の洒落たグラスが無くて悪うごさいましたよ!」「チキンバリうまっ!」「チッ」オレのイヤミもどこ吹く風、チキンに齧り付いて頬張ってやがる。(悔しいが、気持ちいい食いっぷりだな、相変わらず)

「先輩、彼女とかいないんスか?まあ、答えは言わなくても知ってるけど…」「どーいう意味だよ…まあ、いねーが」「…」「な、なんだよ…」めらこの燃え盛る琥珀色の瞳が、一層爛々と輝いた。「先輩、なんで言われなくても、分かるか知ってるッスか?別に、先輩を見くびってるわけじゃないッスよ…」「えっ」

「パイロゥってぇ、ぶっちゃけ淫魔なんスよ」「おっ、おう…」めらこは、まるで最初からオレのすぐ隣にいたかのように、席を移動させていた。さっきよりも、更に強まった熱気に、鼓動が速くなる。「…つぅまぁりぃ、先輩のぉ魂と精が…どういう状態かって丸裸なんスよ」「えっ…」後輩が手を掴む瞬間、その悪魔の翼は、肩を押さえつけ、椅子にオレを固定した。

「…チキンも美味かったッスけど、メインディッシュが完成しちゃったんスよ…ほぉら」「うっ…」ズボン越しに、下から上に撫でられた。触れたところが、まるで発熱したかのような感覚に陥り、太腿が緊張する。

「ほんとは、電話の時に期待しちゃってたんスよね?」「いやっ…ちが…うわっ」「ウソやめてくださいよ…」ズボンを下ろされ、窮屈になったボクサーに熱い吐息を吹きかける。「こんなゴチソウ、うちのために取っといてくれたんスよね、知ってるんスから…」「やめっ…」人差し指で、先端を苛まれる。

「とりあえず、ここまで来たんスから、いいっしょ?」「…」「ラクにしてて、くださいッス…」「わかった」悪魔の囁きに乗ってしまった。だが、心持ちは、むしろ気軽だった。まあ、めらこなら、そんな大事じゃない。こいつから、その気にさせたんだし、きっぱり今回きりだ。

「まあ、心配しなくてもぉ、スッキリさせるッスから!」

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「…ん」「ぷはぁ…先輩の口、ワインよりクラクラする…」椅子に縛り付けたまま、めらこは唇を奪ってくる。「…」「どうした?」「…プレゼントは交換するモノじゃないスか?…お返しちょーだい」「…わかった」膝上に乗る、自分より一回り小柄な背中に手を回し、顔を近づけさせた。間近で見る火照った頬と、潤んでなお燃え上がる瞳に、思わず見とれてしまう。

「…ぶはっ!」「な、なんかおかしいかよ!」「いや…まじまじ見られるとウケるッス」少し腹が立ったが、逆に張り詰めた肩筋が幾文かほぐれ、一気にキスまで持っていけた。「…!」めらこは驚いた表情をしたが、すぐにこちらの首や背中に手を添え、深く受け入れた。「〜〜」もう少しこうして、絡み合っていたい…しかし、互いを燃やす炎が息をつかせなかった。

「…あっ、がっつき、んすぎぃ」一応止めようとする後輩を無視して、キャミソール越しに胸をいじくる。布を押し上げる半球は手にすっぽり入り、弾力も申し分なかった。「…ん、そこぉ」少し硬い部位を探し当てると、めらこが声を漏らす。その口を塞いで、先端を指で転がす。「〜〜!」仕返しは、思ったより効いたらしい。

「…!」だが、こちらの番は長く続かなかった。悪魔の尻尾は、音もなくパンツに入り込み、オレのモノを縛り上げていた。「…はぁっ、先輩にヤラレぱなしじゃないッス」「うおっ!にやりと笑うと、尻尾が前後に動き出した。神経が否が応でも、股間に集中してしまう。「攻守交代ッス…」

めらこは、長い舌でオレの身体を舐め回した。唾液をつけた場所からは、湯気が出そうな程発熱し、意識が遠のきそうだった。その間も尻尾は、無慈悲に動き続けた。「…くそっ」「先輩、大分あったまって来たッスね…魂は目算370ケルビムッス」「うっ…どう…いう、いみ…があっ」「もうすぐ沸点(イッちゃう)ってことスよ…」耳元で囁かれた。

「ほらほら、371」「ああっ!」運動が俄に加速する。摩擦で起きる熱すら、今や冷たく感じる体温であった。「37…2ぃ…限界近いッスよ!」「…だめ、だ…も、でるっ」「37…」「くうううっ!」だが、そこでカウントは終わった。沈黙と共に尻尾は、動きを止めてしまった。「…な、なんで」

「先にイッちゃったら、楽しくないじゃないッスか…」「…!」めらこは、尻尾を解き、翼で浮き上がる。同時に、キャミソールやホットパンツが炎上するかのように消えて、全てが露わになる。「…ベッド行こ?」「…はいっ」オレを持ち上げると、飛びながらベッドまで運ぶ。

オレを下にした後輩は、股間に顔をうずめると、無遠慮に掴んで舐め始めた。「…ああっ、さいこっ」「先輩もトボけないで、こっちをお願いッス」「…あ、わかった」オレは、突き出された尻を見上げた。真っ赤な肌の中心には、キレイなピンクの裂け目があった。まずは、ゆっくり指を入れた。「…う、そういうカンジっ…」1本でもキツいナカを、丁寧にカタチを覚えるようにほぐしていく。

「…くっ、あんまはげしく、すんなっ!」同時並行で、オレのペニスは貪られていく。限界が近い、だからこっちも、味わってやる。「ほ!へぇんぱい…ひはっ!」後輩の泣き言に構わず、舌をいれて吸い尽くす。「…」「…」どっちが速くイかせるか、無言が続いた。水音とたまに漏れ聞こえるよがりを背景に、互いの性器を責める。

「…うっ」「ひふっ!」オレが射精すると、めらこも潮吹きした。

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「…ふ、ふ、う」「…!、!、!」オレの上で規則的に上下し、乱れる淫魔。「先輩っ!また、おっきく!もっと、欲しいッス!」「…うっ!」腰を深く下ろされて、下腹の緊張感が快感と共に解放される。もう何度目かわからない。

「は…はーっ」パイロゥと言えど、流石に疲れたのかめらこは肩で息をしていた。オレは、ぐったりして寄りかかってくる後輩の重みに言いしれぬ疲労感と多幸感に包まれた。「…つ、っかれたぁ!」「あんま無理すんなよ…」「先輩こそ、明日腰いわしても、知らないッスよ」

「なんか、甘いもの食べたくなっちゃったッス…」「そういや、ケーキまだ食ってなかったか…せっかく買ってきてくれたんだが…」色んな意味で暖まり、このまま寝てしまいたかった。この流れで、甘ったるいクリームも重いし。「…ふふふ、そこまで言うなら食べさせて上げてもいいッスよ」「たまに優しいから、調子狂うな…」「栄養補給して、第二ラウンド行くッスよ!」「今のなし…」


25/12/29 22:59更新 / ズオテン

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