「美魔女とナイスミドルと、イマドキの孫世代」前編
「マルさん、若作り始めたんかいの?」クローゼットを改めるダークメイジに、老翁が近づいた。「おとうさん、今日は門球の大会に行っとるんじゃなかったか?」「何言ってるんだ、リーゼロットとアルシーヌから『おばあちゃんが急に呼び出したてきた』って、転送されてきたんじゃよ」
「抜け出してきたのかい?あんた、ギーシュくんやゼールくん達は良いのかよ?」若返った容姿に似合わぬ、なんとも老人然とした話し方であった。「あいつら、老兵気取りだからして、二人だけで大丈夫だろうよ」
老夫婦(片方は若い見た目だが)は、孫が来るということで、めかしこみ、掃除までした。「マルさん、その格好は実年齢、78のばあ様が着るにゃきつくないかい?ワシは、好きだけどな。新しい文化を取り入れると、若い心意気が蘇る」
マルさんこと、マルグレートは、日頃の魔法使いローブではなく、着た切りスズメのサテンドレスに着替えた。「マルくんは、腰が曲がってなきゃ、何着ても似合うんだけどなあ」魔女は、夫の着付けを手伝ったが、どうにもシルエットの格好がつかない。
「ワシも、あと20は若けりゃなあ」「なってみるかい?」「王立なんちゃ魔術かんちゃら協定とかで、お前さんは身内の利害関係に魔法使っちゃいかんだろ?」「魔法で若返ったダークメイジが今さらだろうが?」「そいつもそうか」
杖を無造作に振ると、マルくんこと、マルクスはみるみる内に40代くらいのカイゼル髭の紳士になる。「おお、いまのちっこいおじいちゃんスタイルもいいが、やっぱりワシはこれくらいの頃が男前じゃなあ」
「よく言うわい。あんた、その時分はハタチに戻りたいってひいひい言っとったぞ」「記憶ってのは常に、美しく保存されるもんだわい」「バカ言ってないで、そろそろ孫たちが来るぞい」「分かっとるわ、こないだ良い茶葉が手に入ってな…」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「オババ、オンジ〜、ちわー!」「…祖父上…祖母上、ご無沙汰です」片方は、原色の「ティーンズチャーム」の少女、もう片方は、ゴシックロリータファッション。「フォーチュンシスターズ」「白黒の従姉妹占い師」と巷で話題の、リーゼロットとアルシーヌである。
「よう、よく来てくれたなあ」「「…どちらさま?」」片出しのサテンドレスに、オペラグローブ、豪奢な首飾りの年齢不詳の美女が、カラフルとモノトーンの少女達を出迎えた。
「マルさん、リズとアーシーが面食らっとるぞい。まあ、こんなベッピンさん、今時でもお目にかかれんじゃろうからな。ハッハッハッ!」次に出迎えたのは、四十絡みの白いカイゼル髭のトップハットの紳士である。「えっ、マジで誰?」「…すみません。私たち、家を間違えたみたいで…」
「何だい、キョトンとしちまってよ。あたしらより、先にボケちまったのかい!?」「こんなマダムとミドル、普段のワシらと見違えてんじゃよ」「えっ…もしかして、オババ?」「…そちらの方は、祖父上?」
「おまえ達、お父ちゃんとお母ちゃんから聞いてないかえ?おとうさんとあたしらは、そりゃ昔はブイブイ言わせて美男子と美女で通ってたんだよ」「いやいや…思ってたんと違う…」「祖母上…キレイ」
「んまっ!おとうさん、聞いたかえ?かわいいこと言ってくれるじゃないか!」「そんな喜ぶことかよ?ワシは普段から、『かわいい、かわいい』『美人、美人』って、褒めそやしてやってんじゃろ?」「あんたにゃ言われ慣れてっから…いつもありがとうよ」「どうってこたねえさ。まあでも、そんな風に顔あかあくしてくれるんなら、旦那冥利に尽きるってもんじゃ」
「そこ、普段と変わらないんだ…ごちそうさま」「…祖父×祖母…仰げば尊しっ…!」孫たちは、二人の世界に入った祖父母にそれぞれコメントした。
「抜け出してきたのかい?あんた、ギーシュくんやゼールくん達は良いのかよ?」若返った容姿に似合わぬ、なんとも老人然とした話し方であった。「あいつら、老兵気取りだからして、二人だけで大丈夫だろうよ」
老夫婦(片方は若い見た目だが)は、孫が来るということで、めかしこみ、掃除までした。「マルさん、その格好は実年齢、78のばあ様が着るにゃきつくないかい?ワシは、好きだけどな。新しい文化を取り入れると、若い心意気が蘇る」
マルさんこと、マルグレートは、日頃の魔法使いローブではなく、着た切りスズメのサテンドレスに着替えた。「マルくんは、腰が曲がってなきゃ、何着ても似合うんだけどなあ」魔女は、夫の着付けを手伝ったが、どうにもシルエットの格好がつかない。
「ワシも、あと20は若けりゃなあ」「なってみるかい?」「王立なんちゃ魔術かんちゃら協定とかで、お前さんは身内の利害関係に魔法使っちゃいかんだろ?」「魔法で若返ったダークメイジが今さらだろうが?」「そいつもそうか」
杖を無造作に振ると、マルくんこと、マルクスはみるみる内に40代くらいのカイゼル髭の紳士になる。「おお、いまのちっこいおじいちゃんスタイルもいいが、やっぱりワシはこれくらいの頃が男前じゃなあ」
「よく言うわい。あんた、その時分はハタチに戻りたいってひいひい言っとったぞ」「記憶ってのは常に、美しく保存されるもんだわい」「バカ言ってないで、そろそろ孫たちが来るぞい」「分かっとるわ、こないだ良い茶葉が手に入ってな…」
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「オババ、オンジ〜、ちわー!」「…祖父上…祖母上、ご無沙汰です」片方は、原色の「ティーンズチャーム」の少女、もう片方は、ゴシックロリータファッション。「フォーチュンシスターズ」「白黒の従姉妹占い師」と巷で話題の、リーゼロットとアルシーヌである。
「よう、よく来てくれたなあ」「「…どちらさま?」」片出しのサテンドレスに、オペラグローブ、豪奢な首飾りの年齢不詳の美女が、カラフルとモノトーンの少女達を出迎えた。
「マルさん、リズとアーシーが面食らっとるぞい。まあ、こんなベッピンさん、今時でもお目にかかれんじゃろうからな。ハッハッハッ!」次に出迎えたのは、四十絡みの白いカイゼル髭のトップハットの紳士である。「えっ、マジで誰?」「…すみません。私たち、家を間違えたみたいで…」
「何だい、キョトンとしちまってよ。あたしらより、先にボケちまったのかい!?」「こんなマダムとミドル、普段のワシらと見違えてんじゃよ」「えっ…もしかして、オババ?」「…そちらの方は、祖父上?」
「おまえ達、お父ちゃんとお母ちゃんから聞いてないかえ?おとうさんとあたしらは、そりゃ昔はブイブイ言わせて美男子と美女で通ってたんだよ」「いやいや…思ってたんと違う…」「祖母上…キレイ」
「んまっ!おとうさん、聞いたかえ?かわいいこと言ってくれるじゃないか!」「そんな喜ぶことかよ?ワシは普段から、『かわいい、かわいい』『美人、美人』って、褒めそやしてやってんじゃろ?」「あんたにゃ言われ慣れてっから…いつもありがとうよ」「どうってこたねえさ。まあでも、そんな風に顔あかあくしてくれるんなら、旦那冥利に尽きるってもんじゃ」
「そこ、普段と変わらないんだ…ごちそうさま」「…祖父×祖母…仰げば尊しっ…!」孫たちは、二人の世界に入った祖父母にそれぞれコメントした。
25/09/30 21:47更新 / ズオテン
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