連載小説
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第拾六回 「添い寝サバト」
 「一人寝の寂しさ」、なんとも示唆的な表現ではないか。ある時を境にして、「子供のかわいらしくもある、漠然とした人恋しさ」と「大人の擦れた哀愁と欲求」に意味が分かれるのだ。

 読者たる少女とお兄さん達は、どっちの「寂しさ」ないし「淋しさ」を言葉から受けたのか?私は、どちらとも無縁だ。だが、時折、ふとした時に、思索に耽る孤独が恋しく感じる夜もないではない。

 さて、惚気はこれくらいにして、実際のところ、「添い寝」や「夜伽」、「御伽話」、「子守唄」のような概念は国や種族を問わず存在する。獣にしても、外敵に備えるため、同族の近くにいた方が眠りやすい傾向にある。


 サバトは、「幼い女の子の背徳」を司る。「大人と子供の夜が重なる」我々の探究すべき分野の一つであることは、当然かも知れない。「眠る」こと、特に「添い寝」に精通したサバトを今回紹介しよう。

概要:「眠れる母山羊」マザー・グー・スピリタの組織するサバト。彼女は、我らが師匠たる開祖大ルーニャルーニャの御母堂であらせられる。「眠りながら魔法を行使」する大魔女であるが、副作用として発する眠気念波は、抵抗すら許さぬ睡魔と心地良い入眠作用を齎す。そのため、サバトの団員かは分からぬが、ワーシープやドーマウス、ネコ科要素のある獣人を引き寄せ、夫達も巻き込んで雑魚寝する。意図なく、一都市を眠りに誘ったともされる。恐ろしいことに、眠った者達は夢の世界でも寝ているとか。また、人間社会の不眠解消を掲げ、入団者を増やしており、教団にも一部では影響力を持つのだと言う。サバトの魔女は、寝かしつけのプロであり、「寝る間を惜しむ」お兄ちゃんをベッドに誘惑し、逃さないのだ。

コレクトラ(以下、コレ):それでは、インタビューを開始します… 眠たげな目を擦る様が、なんとも保護欲を掻き立てる。

マドローミ(以下、マド):ぐーぐー…うにゃ、なんか、言ったぁ?

フィリップ・ネーテルラントお兄ちゃん(以下、フィリ):マドちゃん、ダメだよ…食べてすぐ走っちゃっ…

コレ:お二人…のインタびゅー…ぐーっ

マド:起きてー…あなた寝ちゃうと…わたし…ふわ〜…

フィリ:そのお菓子…僕の分も…のこし…

(全員が寝息を立て始める)
夢を可視化する。

コレ:では、今回はインタビューにご参加いただきありがとうございます。

マド:本日はよろしくお願いします。

フィリ:サバトの魅力について、できる限りお伝えできればと思います。


25/09/28 18:23更新 / ズオテン
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