ヘルハウンドぞり配達員
「よし、後はダンジョンの主の部屋まで来たぞ」「ここまで長かったな…」「この宝で、やっと借金が返済できるわね…」冒険者という仕事は、過酷だ。収入不安定、手弁当、リスクヘッジや融資など夢のまた夢、何よりケガなどの危険がある。
彼らは、戦士、ローグ、魔法使い。このパーティーは、日付が変わる前に、借金200ゴールドを返済せねばならないのだ。ダンジョンの財宝が手に入れば、下手すればお釣りがくる額だ。「さあ、準備はいいか?」「応!」「ええ!」
気炎万上、いざ飛び込む冒険者たち。しかし…「ダンジョンの主は…」そこはもぬけの殻。宝箱だけが鎮座していた。その上に腰掛ける一人の男。「あっ、どうも〜。こちらの配達物は、戦士のディートリヒさんのもので間違いありませんか?」
「あんた、何者だ?!」「物流ギルドのサムエルです。こちらの郵便、間違いなければサインか印鑑を頂けませんか?」配達員は、機械的に配達物の受け取りを求めるばかりであった。
「まあ、いいか…」「サインありがとうございます」三人は訝しみつつ、封筒を開いた。「債権者デルモンテは、債務者ディートリヒに対して…利息分100ゴールドを含めて源泉徴収する…?!」「「ええ!?」」
「そこに書いてあると思うんですけど、クエスト依頼者と了解が取れてて、ギルドも承認してるみたいっす。じゃ」サムエルは、そのまま宝箱を持って行こうとした。
「待てよ!この督促状が、本物だってどこに証拠があんだよ!」ローグが抗議した。「そうよ!大体、ダンジョンの宝はダンジョンの主を倒した者が…」魔法使いは、しかし途中で言葉を切った。
「ダンジョンの主がいないのは…」「俺の仲間が、コテンパンにしちまいやした。詳しくは、そいつに聞いて欲しいっす」ディートリヒの懸念を、サムエルは答えて指差した。パーティーの後側を…
「我が雇用者よ、そこの連中が何か物言いを付けて来たか?」大柄な体躯は、目算で牡牛を優に越える。その声は、酒焼けて低く響く。目元は、乱雑な前髪に隠れて見えなかった。真っ黒な毛並みと、犬のような耳が、この者がヘルハウンドであると危険信号を伝えていた。
「あっ…ああ」「やべえ…」「ゆ、ゆるして」サムエルは、宝を荷車に積むと、大柄なヘルハウンドにキスした。「この人らは、ちゃんと送り状を受け取ってくれたよ。俺たちはもう仕事したから、帰ろ」「そうか」暗黒の獣人は、雇用主の顔を一舐めして、荷車を受け持った。
パーティーは、呆然と彼らが退散するのを眺めていた。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
あるダンジョン付近の森には、巨大な犬ぞりが鎮座していた。森の野獣や亜人、妖精は時折様子を見に来るが、不用意に近づきすぎる者は一体としていない。その邪悪で獰猛なオーラが、動物避け・魔物避けとなっていた。
「ご主人…遅い。浮気?」犬ぞりに繋がれた、真っ黒なファーコートの華奢な女が苛立ちを露にした。「だよねえ?!ボクお腹空いちゃったよお!」小太りの魔犬が、何かの獣の骨を音を立てて噛み砕いた。
「貴様ら!上官の命令なく私語をするとは、帰ったらしごき倒してやる!」筋肉質でジャケットにベレー帽、眼帯の女が吠える。「ああ嫌嫌。根暗、食いしん坊、それに軍人気取り…こんな群れで暮らすのは」ぬばたまの毛皮を神経質に毛繕いする、長身の女が毒を吐いた。
「まあ、皆さん、ここは落ち着いて…この森は取り敢えず、食うにゃ困りません」大きな熊を食い荒らし、口を血塗れにしたヘルハウンドが宥めた。
「あのうだつの上がらない飼い主サンが、仮にあたしらを捨てたとして、腹ごしらえはできるんですよ。後は、ここらで暮らすもよし、地の果てまで、あのオスを追い詰めるもよしです」その輪郭は周囲の空間ごと歪んでいた。
「それって俺のことか?」「へへ、噂をすればなんとやらですね」荷車で宝箱と一緒に、毛深い獣人に運ばれたのはサムエルであった。
「予定時刻:マルロクサンマル時を大きく遅滞している!いい度胸だ、今夜は泣いたり笑ったり出来なくしてやる!」ベレー帽のヘルハウンドは、嗜虐的に牙を剥いた。「イエス!マアム!イエス!お手柔らかに頼みます、ルッカ軍曹殿!」配達員は、大袈裟に敬礼してみせた。
「ご主人…テッサと二人きり…抜け駆け?」小柄な魔犬は、しきりにサムエル達の匂いを嗅ぎ比べた。「そんなワケないだろ?俺は、みんなでヤルのが好きなんだから。まあ、今度はお前と二人きりで寝てやろうかな」彼は、目一杯小さな体を抱き締めて、髪を撫で上げた。「ライカ…嬉しい」
「お腹空いたよお!速くおうち帰ろうよお!」小太りの魔犬は、主人の手に噛み付いた。「いってえ!心配すんな、帰ったらパーっと肉食わしてやるから」「ほんと!?」男は、だらしない腹を撫で回した。漆黒の魔物は、涎を垂らしてよがった。「くぅ〜ん…」「ほんとだよ、ロキシー」
「あなた、私とこの娘達で放置するのやめてちょうだいな」長身の魔犬は、サムエルと並んで尚背が高かった。「すまん、すまん。何か埋め合わせするからよ」「あら。じゃあ、子犬が10匹欲しいわ」「いいぜ、プラリーヌとなら」
「飼い主サン、あたしもごほうびが欲しいです」揺らぐヘルハウンドが、音もなく近寄る。「何だ、ハルペニー?」「時間とは、有限の定命者(ニンゲン)から見りゃ永遠に見えるかも知れませんがね?あたしに言わせりゃ、消費されていく資源なんですよ。資源を使わせたからには、対価を…飼い主サンの時間を下さいよ」「かわいい奴だな」
「雇用者、速く帰るぞ。あのデルモンテとかいうカネモチ、それなりに礼を弾むとか言ってたからな」「テッサも何か、ごほうび欲しいか?」「雇用者が元気なら、何も言うことはない」「そう言われると、何かあげたくなっちまうな」
総勢6名のヘルハウンドが、サムエルを犬ぞりに乗せて出発した。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
髭面に上等なガウンを纏った男が、庭先を眺めていた。彼の名はデルモンテ。冒険者相手の高利貸しをしている。(結局、商人や市民相手と違って、荒事が起こりやすいし、あんまり実入りがないなあ)
強面に反して、存外覇気のない男であった。「それにしても、あの流通ギルドの男は遅いな」そう思った時であった。
一陣の風が吹き荒び、庭の草花がまるで避難するように風圧に屈んだ。巨大な犬ぞりが、火の軌跡を残しながら到着した。デルモンテは、青い顔をしたが、積み荷の宝箱に笑みを浮かべた。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「お〜い、帰ったぞ〜」サムエルが扉を開けると、のそのそと家を揺らしながら、大きな質量が玄関にやってきた。「はーい。サムちゃん、お帰りー!」エプロン姿の魔犬がサムエルを押し倒して、舐め回す。
「もう、寂しかったんだからー」「ごめんよ。ウィノナ、お前の毛並みは落ち着くな〜」「あらやだ。そんなんで、ごまかされないんだからー」ウィノナは、黒く太い尻尾を音が出るほど豪快に振り回した。
「お腹空いたよ!」「ロクスちゃん、まあかわいそうに!サムちゃん、おやつ持っていきなさいっていつも言ってるじゃないの!」「ご主人…持ってきてた。ロキシー…移動中に食べ尽くした」
「軍量官殿!本日も、お務めお疲れ様であります!」「ウィノナ、雇用者を離せ。埋もれているぞ」「いやしいお方。無邪気な顔して、この巣(デン)の正妻として振る舞ってらっしゃるわ」
続々と、ヘルハウンドが家に入ってくる。家具は全て、特注で角が樹皮で固められ、丈夫な魔界樹や魔鉄鋼製である。そうでもしなければ、暴れまわる猛犬とは暮らせないのだ。
「ヘヘヘ…この群れは賑やかで飽きないです」歪んだ時空から、ハルペニーがサムエルをつかみ取る。「あっ、ずるいわ!」「貴様!軟弱者の指導がまだ終わっとらん、上官に逆らうか!」「ご主人…返せ」他の魔犬達が吠える。
サムエルは、ハルペニーのマーキング(頬擦り)を楽しんだ。(こいつら、思えば増えたもんだ)
青年が、誰かの墓に花を供えた。墓碑銘には、「ライカ」の文字があった。「俺、冒険者になったんだ。これから初クエストに行ってくるから、見守ってくれよ」
ダンジョンで、火を吐くヘルハウンドに押し倒される冒険者。「かわいい子ね…あなた、今独り暮らしかしら?」「…ああ」男は、特に恐怖は無かった。(これで、ライカの所に逝ける…)「ふふふ…じゃあ、ぼうやにしてあげ…」
ガラガラと音を立て、地面が割れ業火が吹き出す。その穴から、犬の耳をした華奢な少女が這い出てきた。「ご主人…傷つける…許さない!」その相眸には、嫉妬と怨嗟の焔が渦巻いていた。
男は、小さな身体を抱き上げ、一気に貫いた。小柄な犬耳の少女は、首筋に噛み付くようにキスをした。「今度はご主人と…一緒に…地獄…行こう」「ああ…俺も二度は離れ離れになりたくない」思いの丈と精を吐き出され、ライカは身体を逸らせて歓喜した。
豊満な体躯のヘルハウンドは、サムエルを押し倒した。「エプロンは着たままか?」「ええ、だってサムちゃんは、甘えたがりのぼうやだものね?」彼女は、胸の肉で窒息させて、腰を上下させた。たまらず、彼は中出しを行い、エプロンに白いシミを作った。
「ウィノナ、ライカ…その、冒険で、また…」「お腹空いたよ〜!」「あらあら、早速ご飯にしましょっ!」
「はあ、サムエル様あ、旨そうな臭いだよお」ロキシーは、うっとりして彼の怒張を頬張り始めた。「うっ…まずは前菜をどうぞっ!」「くぅ〜ん!!」彼女の尻尾がピンと上を向き、喉を鳴らして全ての精液を飲み干した。
「えっ!?軍用ヘルハウンドを引き取れ?だーかーら!俺は、戦士であって、動物使い(テイマー)じゃ…」「貴様が、新兵の"マスカキ小僧"だな!」「いや?俺はサム…」彼は平手打ちされた。「クソをたれる前後に、"マアム"を付けろ!このイディオットが!」
サムエルは、丸太に等しい太い脚に腰をがっちりと挟まれて、必死に腰を振っていた。「そんなことで、軍のおエラ方が満足するか、マヌケ!」「マアム!イエス!マアム!」「お前は、今日から種無しブドウだ!なぜだか、分かるか!?」「マアム!ノー!マアム!」
「何故なら、種馬にもなれんからだ!お前の両親は可愛そうだ。パパの吹き残したザーメンがママのアソコに入って産まれた奴は、同じことすら出来んのだからな!」「マアム!イエス!うっ…」耐えきれず射精する。「誰が許可した!追加で20回!」「マアム!イエス!マアム!」
「やばい、凍え…じぬ…」サムエルは、カチカチと歯を鳴らしながら、薄い毛布に身をすくませた。「おい…」「幻聴か…俺、もうすぐ…」「いや。私は現実だ」「えっ…」樽を下げた、黒く毛深い獣人がいた。「吹雪が止むまで、こいつでも飲んどけ」彼女は、樽から酒を出した。
「雇用者、気持ちいいか?」「ああ…」全身を舐め回しながら、テッサは太い指でぺニスをしごく。「悪いが、今日は皆の見て、あそこが疼いてる。いっぱい出して欲しい」「くっ…」彼女の手に、白濁液が粘ついた。「うまい…」獣人は、髪に隠れた真っ赤な目を光らせた。
「やれやれ、備品を壊したり、仲間にケガさせたりで、ついにクビか…」彼は、寝入るヘルハウンドを眺めて、撫でながら言った。「こいつらのためにも、新しい仕事探さなきゃな」
「配達って、まさか生き物の密輸だったのかよ!?」「助かりました。でも、貴方…気を悪くしないで欲しいのですけれど、匂いますわ…」「嘘だろ…俺、毎日風呂も毛繕いも…」「いえ、他のメスの匂いが…」長身のヘルハウンドは、鼻を摘まんだ。
プラリーヌは、サムエルの股間に顔を埋めながら、自分の尻を彼の顔に押し付けた。「く…くるしい」「我慢しなさいな…私の匂いをつけて差し上げてますのよ」彼女は、愛液を垂らして、それを塗りつけるようにもじもじと腰を動かした。
「だから、不法侵入者じゃねえって!」「嘘を吐かないでくださいよ。普通のニンゲンが、時間を越えることなんてできないはず。あんた、やっぱり航時法違反、時間犯罪者ですって」
「くそっ!こんなところで捕まるなんて…」「いや、タイムパトロール総則では、まず保護観察から入りますんで…」「…そうなの?」「時間犯罪者なんて、滅多にいないんですよ。だから、逮捕するよりまず執行猶予で再教育した方が、長期的にプラスなんです」
「ヘヘヘ…飼い主サンは、ここが弱いんですよねえ?」揺らぐ輪郭の猟犬は、異様に伸びる舌をサムエルの肛門に入れ、前立腺を刺激した。「ああ…イク…」「まだ、イカないでくださいよ」「くう…」ハルペニーは、彼の睾丸を指で締めつけ、射精をさせなかった。
「出すなら、ここに」「くうっ」魔犬の下半身が、裂け目に消えると、サムエルの目の前に出現した。彼は、前立腺を舌で弄られ、ぺニスを膣で搾られた。「はあああ…仕事終わりの生搾り…最高です」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「う〜ん…腰が痛えな…」サムエルは、素っ裸で目覚めた。彼の周りには、大小様々なヘルハウンドが雑魚寝していた。彼は、一頻り幸福を噛み締めると、幾つかの尻尾を毛布代わりに二度寝した。(明日、休みにするか。久しぶりに、散歩にでも連れてってやる…)
彼らは、戦士、ローグ、魔法使い。このパーティーは、日付が変わる前に、借金200ゴールドを返済せねばならないのだ。ダンジョンの財宝が手に入れば、下手すればお釣りがくる額だ。「さあ、準備はいいか?」「応!」「ええ!」
気炎万上、いざ飛び込む冒険者たち。しかし…「ダンジョンの主は…」そこはもぬけの殻。宝箱だけが鎮座していた。その上に腰掛ける一人の男。「あっ、どうも〜。こちらの配達物は、戦士のディートリヒさんのもので間違いありませんか?」
「あんた、何者だ?!」「物流ギルドのサムエルです。こちらの郵便、間違いなければサインか印鑑を頂けませんか?」配達員は、機械的に配達物の受け取りを求めるばかりであった。
「まあ、いいか…」「サインありがとうございます」三人は訝しみつつ、封筒を開いた。「債権者デルモンテは、債務者ディートリヒに対して…利息分100ゴールドを含めて源泉徴収する…?!」「「ええ!?」」
「そこに書いてあると思うんですけど、クエスト依頼者と了解が取れてて、ギルドも承認してるみたいっす。じゃ」サムエルは、そのまま宝箱を持って行こうとした。
「待てよ!この督促状が、本物だってどこに証拠があんだよ!」ローグが抗議した。「そうよ!大体、ダンジョンの宝はダンジョンの主を倒した者が…」魔法使いは、しかし途中で言葉を切った。
「ダンジョンの主がいないのは…」「俺の仲間が、コテンパンにしちまいやした。詳しくは、そいつに聞いて欲しいっす」ディートリヒの懸念を、サムエルは答えて指差した。パーティーの後側を…
「我が雇用者よ、そこの連中が何か物言いを付けて来たか?」大柄な体躯は、目算で牡牛を優に越える。その声は、酒焼けて低く響く。目元は、乱雑な前髪に隠れて見えなかった。真っ黒な毛並みと、犬のような耳が、この者がヘルハウンドであると危険信号を伝えていた。
「あっ…ああ」「やべえ…」「ゆ、ゆるして」サムエルは、宝を荷車に積むと、大柄なヘルハウンドにキスした。「この人らは、ちゃんと送り状を受け取ってくれたよ。俺たちはもう仕事したから、帰ろ」「そうか」暗黒の獣人は、雇用主の顔を一舐めして、荷車を受け持った。
パーティーは、呆然と彼らが退散するのを眺めていた。
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あるダンジョン付近の森には、巨大な犬ぞりが鎮座していた。森の野獣や亜人、妖精は時折様子を見に来るが、不用意に近づきすぎる者は一体としていない。その邪悪で獰猛なオーラが、動物避け・魔物避けとなっていた。
「ご主人…遅い。浮気?」犬ぞりに繋がれた、真っ黒なファーコートの華奢な女が苛立ちを露にした。「だよねえ?!ボクお腹空いちゃったよお!」小太りの魔犬が、何かの獣の骨を音を立てて噛み砕いた。
「貴様ら!上官の命令なく私語をするとは、帰ったらしごき倒してやる!」筋肉質でジャケットにベレー帽、眼帯の女が吠える。「ああ嫌嫌。根暗、食いしん坊、それに軍人気取り…こんな群れで暮らすのは」ぬばたまの毛皮を神経質に毛繕いする、長身の女が毒を吐いた。
「まあ、皆さん、ここは落ち着いて…この森は取り敢えず、食うにゃ困りません」大きな熊を食い荒らし、口を血塗れにしたヘルハウンドが宥めた。
「あのうだつの上がらない飼い主サンが、仮にあたしらを捨てたとして、腹ごしらえはできるんですよ。後は、ここらで暮らすもよし、地の果てまで、あのオスを追い詰めるもよしです」その輪郭は周囲の空間ごと歪んでいた。
「それって俺のことか?」「へへ、噂をすればなんとやらですね」荷車で宝箱と一緒に、毛深い獣人に運ばれたのはサムエルであった。
「予定時刻:マルロクサンマル時を大きく遅滞している!いい度胸だ、今夜は泣いたり笑ったり出来なくしてやる!」ベレー帽のヘルハウンドは、嗜虐的に牙を剥いた。「イエス!マアム!イエス!お手柔らかに頼みます、ルッカ軍曹殿!」配達員は、大袈裟に敬礼してみせた。
「ご主人…テッサと二人きり…抜け駆け?」小柄な魔犬は、しきりにサムエル達の匂いを嗅ぎ比べた。「そんなワケないだろ?俺は、みんなでヤルのが好きなんだから。まあ、今度はお前と二人きりで寝てやろうかな」彼は、目一杯小さな体を抱き締めて、髪を撫で上げた。「ライカ…嬉しい」
「お腹空いたよお!速くおうち帰ろうよお!」小太りの魔犬は、主人の手に噛み付いた。「いってえ!心配すんな、帰ったらパーっと肉食わしてやるから」「ほんと!?」男は、だらしない腹を撫で回した。漆黒の魔物は、涎を垂らしてよがった。「くぅ〜ん…」「ほんとだよ、ロキシー」
「あなた、私とこの娘達で放置するのやめてちょうだいな」長身の魔犬は、サムエルと並んで尚背が高かった。「すまん、すまん。何か埋め合わせするからよ」「あら。じゃあ、子犬が10匹欲しいわ」「いいぜ、プラリーヌとなら」
「飼い主サン、あたしもごほうびが欲しいです」揺らぐヘルハウンドが、音もなく近寄る。「何だ、ハルペニー?」「時間とは、有限の定命者(ニンゲン)から見りゃ永遠に見えるかも知れませんがね?あたしに言わせりゃ、消費されていく資源なんですよ。資源を使わせたからには、対価を…飼い主サンの時間を下さいよ」「かわいい奴だな」
「雇用者、速く帰るぞ。あのデルモンテとかいうカネモチ、それなりに礼を弾むとか言ってたからな」「テッサも何か、ごほうび欲しいか?」「雇用者が元気なら、何も言うことはない」「そう言われると、何かあげたくなっちまうな」
総勢6名のヘルハウンドが、サムエルを犬ぞりに乗せて出発した。
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髭面に上等なガウンを纏った男が、庭先を眺めていた。彼の名はデルモンテ。冒険者相手の高利貸しをしている。(結局、商人や市民相手と違って、荒事が起こりやすいし、あんまり実入りがないなあ)
強面に反して、存外覇気のない男であった。「それにしても、あの流通ギルドの男は遅いな」そう思った時であった。
一陣の風が吹き荒び、庭の草花がまるで避難するように風圧に屈んだ。巨大な犬ぞりが、火の軌跡を残しながら到着した。デルモンテは、青い顔をしたが、積み荷の宝箱に笑みを浮かべた。
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「お〜い、帰ったぞ〜」サムエルが扉を開けると、のそのそと家を揺らしながら、大きな質量が玄関にやってきた。「はーい。サムちゃん、お帰りー!」エプロン姿の魔犬がサムエルを押し倒して、舐め回す。
「もう、寂しかったんだからー」「ごめんよ。ウィノナ、お前の毛並みは落ち着くな〜」「あらやだ。そんなんで、ごまかされないんだからー」ウィノナは、黒く太い尻尾を音が出るほど豪快に振り回した。
「お腹空いたよ!」「ロクスちゃん、まあかわいそうに!サムちゃん、おやつ持っていきなさいっていつも言ってるじゃないの!」「ご主人…持ってきてた。ロキシー…移動中に食べ尽くした」
「軍量官殿!本日も、お務めお疲れ様であります!」「ウィノナ、雇用者を離せ。埋もれているぞ」「いやしいお方。無邪気な顔して、この巣(デン)の正妻として振る舞ってらっしゃるわ」
続々と、ヘルハウンドが家に入ってくる。家具は全て、特注で角が樹皮で固められ、丈夫な魔界樹や魔鉄鋼製である。そうでもしなければ、暴れまわる猛犬とは暮らせないのだ。
「ヘヘヘ…この群れは賑やかで飽きないです」歪んだ時空から、ハルペニーがサムエルをつかみ取る。「あっ、ずるいわ!」「貴様!軟弱者の指導がまだ終わっとらん、上官に逆らうか!」「ご主人…返せ」他の魔犬達が吠える。
サムエルは、ハルペニーのマーキング(頬擦り)を楽しんだ。(こいつら、思えば増えたもんだ)
青年が、誰かの墓に花を供えた。墓碑銘には、「ライカ」の文字があった。「俺、冒険者になったんだ。これから初クエストに行ってくるから、見守ってくれよ」
ダンジョンで、火を吐くヘルハウンドに押し倒される冒険者。「かわいい子ね…あなた、今独り暮らしかしら?」「…ああ」男は、特に恐怖は無かった。(これで、ライカの所に逝ける…)「ふふふ…じゃあ、ぼうやにしてあげ…」
ガラガラと音を立て、地面が割れ業火が吹き出す。その穴から、犬の耳をした華奢な少女が這い出てきた。「ご主人…傷つける…許さない!」その相眸には、嫉妬と怨嗟の焔が渦巻いていた。
男は、小さな身体を抱き上げ、一気に貫いた。小柄な犬耳の少女は、首筋に噛み付くようにキスをした。「今度はご主人と…一緒に…地獄…行こう」「ああ…俺も二度は離れ離れになりたくない」思いの丈と精を吐き出され、ライカは身体を逸らせて歓喜した。
豊満な体躯のヘルハウンドは、サムエルを押し倒した。「エプロンは着たままか?」「ええ、だってサムちゃんは、甘えたがりのぼうやだものね?」彼女は、胸の肉で窒息させて、腰を上下させた。たまらず、彼は中出しを行い、エプロンに白いシミを作った。
「ウィノナ、ライカ…その、冒険で、また…」「お腹空いたよ〜!」「あらあら、早速ご飯にしましょっ!」
「はあ、サムエル様あ、旨そうな臭いだよお」ロキシーは、うっとりして彼の怒張を頬張り始めた。「うっ…まずは前菜をどうぞっ!」「くぅ〜ん!!」彼女の尻尾がピンと上を向き、喉を鳴らして全ての精液を飲み干した。
「えっ!?軍用ヘルハウンドを引き取れ?だーかーら!俺は、戦士であって、動物使い(テイマー)じゃ…」「貴様が、新兵の"マスカキ小僧"だな!」「いや?俺はサム…」彼は平手打ちされた。「クソをたれる前後に、"マアム"を付けろ!このイディオットが!」
サムエルは、丸太に等しい太い脚に腰をがっちりと挟まれて、必死に腰を振っていた。「そんなことで、軍のおエラ方が満足するか、マヌケ!」「マアム!イエス!マアム!」「お前は、今日から種無しブドウだ!なぜだか、分かるか!?」「マアム!ノー!マアム!」
「何故なら、種馬にもなれんからだ!お前の両親は可愛そうだ。パパの吹き残したザーメンがママのアソコに入って産まれた奴は、同じことすら出来んのだからな!」「マアム!イエス!うっ…」耐えきれず射精する。「誰が許可した!追加で20回!」「マアム!イエス!マアム!」
「やばい、凍え…じぬ…」サムエルは、カチカチと歯を鳴らしながら、薄い毛布に身をすくませた。「おい…」「幻聴か…俺、もうすぐ…」「いや。私は現実だ」「えっ…」樽を下げた、黒く毛深い獣人がいた。「吹雪が止むまで、こいつでも飲んどけ」彼女は、樽から酒を出した。
「雇用者、気持ちいいか?」「ああ…」全身を舐め回しながら、テッサは太い指でぺニスをしごく。「悪いが、今日は皆の見て、あそこが疼いてる。いっぱい出して欲しい」「くっ…」彼女の手に、白濁液が粘ついた。「うまい…」獣人は、髪に隠れた真っ赤な目を光らせた。
「やれやれ、備品を壊したり、仲間にケガさせたりで、ついにクビか…」彼は、寝入るヘルハウンドを眺めて、撫でながら言った。「こいつらのためにも、新しい仕事探さなきゃな」
「配達って、まさか生き物の密輸だったのかよ!?」「助かりました。でも、貴方…気を悪くしないで欲しいのですけれど、匂いますわ…」「嘘だろ…俺、毎日風呂も毛繕いも…」「いえ、他のメスの匂いが…」長身のヘルハウンドは、鼻を摘まんだ。
プラリーヌは、サムエルの股間に顔を埋めながら、自分の尻を彼の顔に押し付けた。「く…くるしい」「我慢しなさいな…私の匂いをつけて差し上げてますのよ」彼女は、愛液を垂らして、それを塗りつけるようにもじもじと腰を動かした。
「だから、不法侵入者じゃねえって!」「嘘を吐かないでくださいよ。普通のニンゲンが、時間を越えることなんてできないはず。あんた、やっぱり航時法違反、時間犯罪者ですって」
「くそっ!こんなところで捕まるなんて…」「いや、タイムパトロール総則では、まず保護観察から入りますんで…」「…そうなの?」「時間犯罪者なんて、滅多にいないんですよ。だから、逮捕するよりまず執行猶予で再教育した方が、長期的にプラスなんです」
「ヘヘヘ…飼い主サンは、ここが弱いんですよねえ?」揺らぐ輪郭の猟犬は、異様に伸びる舌をサムエルの肛門に入れ、前立腺を刺激した。「ああ…イク…」「まだ、イカないでくださいよ」「くう…」ハルペニーは、彼の睾丸を指で締めつけ、射精をさせなかった。
「出すなら、ここに」「くうっ」魔犬の下半身が、裂け目に消えると、サムエルの目の前に出現した。彼は、前立腺を舌で弄られ、ぺニスを膣で搾られた。「はあああ…仕事終わりの生搾り…最高です」
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「う〜ん…腰が痛えな…」サムエルは、素っ裸で目覚めた。彼の周りには、大小様々なヘルハウンドが雑魚寝していた。彼は、一頻り幸福を噛み締めると、幾つかの尻尾を毛布代わりに二度寝した。(明日、休みにするか。久しぶりに、散歩にでも連れてってやる…)
25/07/07 09:40更新 / ズオテン