読切小説
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不思議の国クエストー決闘茶ー
「ようこそ。よくここまで辿り着いてくれたね、歓迎するよ。」

 何処までも続くかと思われた草原の終点、まるで地面から生えてきたかのように唐突に現れた純白のテーブルと椅子。そこに腰掛ける燕尾服の女性は艶然と言い放った。

…終点。そう終点。

 さて、何故に自分はここを終点だと思ったのか。彼女の居るその先にも、そう地平線の先まで草原は続いているというのに…。

「ああ、君の感じた『それ』は本物だ。確かにここは一つ目の終点だよ。お疲れ様。そしておめでとう。ここで私に勝利することで君はこの先へと進むことが出来る。…ああ、迂回してやり過ごそうなどとは思わないでおくれよ?ここからどこへ向かおうとも、君にこの先を目指す意思がある限り君は必ずここへと辿り着いてしまうだろう。これまでのようにはいかない。先へ進もうとすれば避けられない戦いというものがある。…君にはこの意味が、分かるだろう?」

 先へ進むために避けられない戦い。越えなければならない敵…。彼女の言う通り、こう言われればそれに該当する存在には心当たりがある。即ち彼女は…

「改めて言おう、ようこそ。歓迎するよ、挑戦者クン♪」


…ステージボスだ。




 左手を水平に掲げる。
 その瞬間、メイン装備に設定している魔本が掌に具現された。すぐさま表紙を開きページをめくる…。ここに引き込まれてからというもの、敵と出会う度に幾度となく繰り返した流れだ。
 もう半ばルーチン化してしまっていた。

と…

「あー、ちょっと待ってくれたまえ。ここでの戦いはそういうのではないんだ、そういうのでは。――というか本当にソロでここまで来たんだね…。いや、感心するよ。よりにもよって最初の店で君は『それ』を選んだ訳だ。」

 『それ』とは今左手に構えている魔本の事だろう。確かに、ナビゲーターらしき猫の少女に最初に案内された店で、自分はこれを購入した。何となくあの少女の言うことに胡散臭さを感じたのと、せっかく異世界に来たのなら魔法の一つでも覚えて帰りたいと思ったからである。それ以降はこの本で魔法を覚えながら騙しだましやってここまで来た。

「君の直感は正しい。確かに『それ』は正解の一つ…いや、ある意味あの場で最も賢い選択と言える。ここだから言うが、実際、あの店の商品の多くは罠なんだよ。ここでは強力な仲間は諸刃の剣だ。最初はいいかもしれないが、いずれ対価を支払いきれなくなりこの世界に囚われるパターンがほとんどさ。…もっとも、身の丈を超えた欲をかいたり本人の運次第では即ゲームオーバーもありうるがね。その点、『それ』はリスクゼロだ。その意味で君は賢い選択をしたと言える。ただ…」

 そこまで言って彼女は言葉を切った。
 一瞬、彼女の眼に淫猥な色が浮かぶ。

「ここに至るまで一人で来てしまったことについては果たして賢い選択と言えるのかどうか…私には判りかねるけども。」

 そして彼女はテーブルを挟んだ向かい、空の椅子を指した。

「さて、準備が出来たら席に座ってくれたまえ。それを以て挑戦の意志ありとみなし、ルールの説明へ進むとしよう。」

 特殊ルールでの戦闘。しかも詳細は始まってからでないと分からないという。このパターンは経験が無いが、いずれにしてもここを突破しなければ先へ進めないというのだけは本当らしい。ここに来るまでに見たマップを思い出す。確かにこの地点がボトルネックとなっていた。
 いずれにしろいつかは座らざるを得ない訳だ。

 恐る恐る椅子を引き、腰掛ける。

「ふふ、覚悟は決まったようだね。…ああ、申し遅れた。私はマッドハッター。帽子屋と呼ばれることもあるよ。種族名ですまないが、ここでは我慢してくれたまえよ。では、ルールの説明に移ろうか。」

 対面に座る燕尾服の女性は笑みを深くし、その長くしなやかな指でテーブルをトンと叩いた。するとお互いの目の前に白磁のティーカップとポットが現れる。併せて空中に時計の文字盤のようなオブジェクトが設置された。

「儀式魔法『決闘茶会』。ターン制の決闘儀式魔法だ。お互いが席に座った段階で発動し、途中離脱は不可能。ルールは自分のターンに1回、お茶を一杯飲む事。それだけだ。どちらかが気絶した時点で終了、意識を保っていた方の勝利となる。」
「…?」

 彼女が流れる様にルールを述べ始める。
…が、まるで意味が分からない。

「まぁ、『決闘』などと大げさな名前が付いているが、なに、内容は単なる茶の飲み合いのゲームだよ。平和だろう?…さて、ここまでで何か質問が無ければこのまま勝負を始めるが、よろしいかな?」

 ようはお茶でやる飲み比べ。
 正直これのどこが『決闘』になるのかわからないが、しかしここはフシギノクニ。何か仕掛けがあるのだろう。
 だが、もう席に座ってしまった以上今さら逃げることは出来ない。

「準備はいい様だね。では始めるとしよう。先攻はキミだ。」

 中空に設置された文字盤の針が動く。同時に空のカップにお茶が注がれた。なおポットが独りでに動いたことにはもはや驚かない。
 ほのかに湯気を立てる液体は普通の紅茶に見える。甘い香りが鼻を抜けた。
 カップを手に取り、中身を軽く口に含む。温度は熱過ぎずぬる過ぎず、ちょうどよい。
 そのまま二口で中身を胃に流し込んだ。

「ほお、いい飲みっぷりだ。そして勇気がある。そういう思い切りの良さは大事だね。」
「―何?」

 勇気、とは…
 そう疑問を挟む前に答えは身体に現れる。
 突如腰の奥から鈍い快感が沸き上がってきたのだ。

「何って、ここで出される『お茶』なのだから当然媚薬入りに決まっているだろう?…と、そうか。ソロでここまで来たということはまだ1度も茶会に参加したことが無いのかな?それはすまなかった、もう少し説明が必要だったね。」

 と、言いつつそれほどすまないとは思っていなさそうな顔で彼女は微笑んだ。

「茶会において振舞われる茶には媚薬が含まれているのが通例だ。そしてその効果は種類により様々、そして数は無限大。そこかしこで常に新たなものが開発、産生されているからね。で、だ。この茶会において注がれる茶と含まれる媚薬は毎回ランダムで決まる。先ほどキミが飲んだのは緩効性の性感誘発剤、そろそろ前立腺が疼き始めたんじゃあないかな?」

 まさに現在進行形でその通り。

「それはじわじわと時間をかけて快楽が蓄積してゆくタイプでね、ゆっくりと時間をかけて、しかしいずれ確実に絶頂に至る薬だよ。時間はかかるが、その分絶頂に至った時の快感は深く、重い。じっくりと追い詰められてゆく感覚を楽しむといいよ。時限爆弾を抱えたとも言えるが、今すぐにどうこうなるものではないという意味では『当たり』の部類だ、おめでとう。――と、さて今度は私の番だね。ああ、出された茶を飲み、その効果に耐えることでターンが回るよ。」

 自分のこれは耐えたとみなされたらしい。相手にターンが回る。今度は彼女の目の前のカップにポットから液体が注がれた。
…その色は先ほどのものと比べてかなり赤色が強い。濃い目のローズヒップティーのようにも見える。

「…おやおや、私の方はなかなか強烈なものを引いてしまったね。君が飲んだものとは真逆、即効性だ。これは私でもいただくのに少しばかり勇気が要るなぁ。」

 などと言いつつ、その実楽しそうに彼女はカップを手に取る。先ほどから言動と表情の不一致が甚だしいことこの上ない。
 艶やかな唇がカップの縁へと触れ、紅の液体が一口分流れ込む。そして喉が鳴りそれを嚥下した瞬間、びくりとその身体が震えた。しかし彼女は顔を紅潮させつつもその衝撃に耐え、カップに残った液体を一息に飲み干す。

「―――――――ッ!っはあ!ハァ…ハァ…これは流石に効くね…ああ、言い忘れたがお茶を溢した場合や注がれて1分以内にカップを空にできなかった場合はその都度ペナルティがあるから気をつけてね。」

 おそらく、先ほどの様子から一口目で絶頂を迎えたのだろう。しかしそこで止まっては残りを飲む前に時間切れになる可能性がある為、無理をして残りの茶を一気に流し込んだのだ。その代償に美麗だった彼女の顔は紅潮し、なおも引かない快楽に蕩けている。いまだ断続的な絶頂が襲っているのか時折身体が震え、カップ置く際にはカタカタと音を立てていた。しかしその割に言葉だけはしっかりとしているのがかえって不気味だった。
 それにしても重要な情報を後出しでポンポン出してくるのはやめてもらいたい。

…いや、最初に質問として聞いておくべきだったのだろう。茶会の雰囲気に呑まれて失念しかかっていたが、彼女はゆく手を阻む敵として立ちはだかっているのだ。

 そして再度ターンが回ってくる。
 次に注がれたのはやけに色素の薄い茶だった。一見無色透明なお湯かと思ったが、よく見ればほんのりと黄緑がかった色がついている。それも茶器が純白だからこそかろうじて分かる程度だ。

「おや、珍しいものを引いたね。それには飲んだ者に直接快楽を与えるのではなく対象の感度を引き上げるタイプの媚薬が含まれているんだが…ちょっと特殊でね。肉体の皮膚感覚のみを過敏にするのではなくもっと大きなククリでの『性感』を引き上げるんだ。…おっと、話している間に時間が過ぎてしまうね。とりあえず口をつけてみるといい。」

 彼女の言う通りカップに茶が注がれた終えた瞬間から時計の文字盤は動き出していた。慌ててカップを取り、中身を飲み干す。…が特に変わった感じはしない。

「今は特に何も感じないだろう?ところで私の身体をよく見てくれないか?」

 脈絡もなく言われたその言葉に釣られ無意識に彼女の方を見てしまう。
 改めてみると目を見張るほどの美人だ。緑がかった青色の髪はその繊維の一本一本が光を反射してきらきらと輝いている。顔を見れば、先ほどの快感がまだ後を引いているのかやや朱が差した肌はきめ細かく、シミ一つない。露出の無い衣装に身を包んでいるおかげで、逆にそれが際立って見える。更にその衣装はと言えば体の線にぴったりと張り付き、メリハリのある肉体をこれでもかと強調していた。特に布地を大きく押し上げる豊満な胸もとは見ているだけでその柔らかさを感じるが如く……

……ん?

「…ふふ、『感じた』かい?」

この身に起きたことは全てお見通しであるとばかりに彼女は笑った。

「これは…?」

 そう、『感じた』のだ。視覚を通して彼女の身体を。具体的にどこでとは言えないのだが、その柔らかさ、肌の手触り、布地の質感が実感として視覚から伝わってくる。そして同時に、最初に出会った時よりも彼女が魅力的に見えた。この世界に来てから見目麗しい魔物たちは何度もこの目にしてきた筈なのに、まるで初めて魔物を見た時のような衝撃を覚えた。

「女体への耐性を下げるという表現が近いのかな。視覚、聴覚、嗅覚、触覚がそれぞれ性感を刺激してしまうんだ。例えばこの胸の膨らみを見ただけでその感触をキミはリアルに想像してしまう。実際に触れた感触として誤認してしまう程にね。そう、今感じているそれは単なる君の想像なのさ。」
「完全に効果が発現すれば声や匂いも同様に効いて来る筈だが、この場ではまだあまり意味が無いね。参考までに知り合いの話をすると、このお茶を数日にわたって夫に飲ませ続けたところ、彼は女性を見ただけで快感で動けなくなり、声を聴いただけでその場に崩れ落ち、手を握られただけで射精する身体になってしまったそうだよ。ふふ、楽しそうだね。」

 冗談ではない。なんてものを飲ませてくれたのだ。

「まぁ、一回飲んだ位でそこまで症状が進むことは本当に稀だから安心したまえよ。今は単に『防御力が下がった』程度に考えておくといい。さて…また私の番だ、次は何がでるかな?」

 相手のターン。果たして注がれたのは、今度はやけに白い液体だった、透明なのではない。やや濁りのある白なのだ。まるで9割牛乳で作ったミルクティーのような…。

「おお、これはある意味当たりを引いたかな?」

 注がれた液体を彼女はそう評し、落ち着いた様子でそれを口にした。前回とはうって変わって味と香りを楽しむ余裕があるらしい。
 程なくしてカップの中身が喉の奥へと消える。

「んんっ…」

 茶を飲み終えた彼女が突如その豊かな胸を押さえて小さく喘いだ。その動作に釣られ、思わずまた視線を誘導されてしまう。
 そして、気づいた。彼女の胸の膨らみ…その先端に染みが出来ている。その染みは見ている間にみるみると拡がり、やがて液体が滴りテーブルクロスを濡らした。

「見てわかる通り噴乳薬だよ。飲むと母乳を噴き出すんだが、これがなかなか気持ちいいんだ。胸で絶頂したことはあるかな?無いならぜひ君にも体験してもらいたいね。ああ、あとついでに少しばかり豊胸効果もあるよ。」

 豊胸されても困るので自分の番に白いお茶が来ないことを祈りながら目を逸らす。…と、不意に甘い香りが鼻先を掠めた。そしてそれが彼女の胸から滴る乳液のそれであることを意識した途端、急激に興奮が沸き上がってくる。

「先ほど当たりを引いたと言った意味が分かったかな?君が飲んだ透明なお茶の効果は消えないんだ。このミルクの香りで強制的に淫らな妄想を掻き立てられてしまう筈…ただしそれはゲームが終わったら現実になる光景だよ。この濡れた胸で君の顔を包んであげようか。胸の先を咥えさせて直接味わってもらうのもいいね。その時は君のミルクと交換といこうじゃないか♪」

 茶の効果をアドバンテージに変え容赦なく利用してくるマッドハッター。彼女の言葉が更に余計な想像を吹き込んでくる。彼女の言葉に誘導されるように、その濡れた大きな胸を顔面に押し付けられながら精を絞られる姿を想起した瞬間、その感触と快感が肉体にフィードバックされ危うく精を漏らしそうになった。
 防御力が下がったどころではない。
 これは毒だ。1回目の茶と合わせ、二重の毒状態にされたのだ。

「残念、ここらで一回くらい搾れるかと思ったのだけれど。まあいい。さぁ君の番だよ。」

 カップを見る。注がれた茶は…赤色だった。
 マッドハッターが笑みを深くした。

「引いてしまったねえ。一つアドバイスをするなら変に我慢しようとしないことだ。耐えようとして耐えられるものではないからね。快楽に逆らわず、一気に飲み切ることをお勧めするよ。」

 最初にほど彼女が飲んだものと同じだ。その時の様子を思い出す。彼女をして2口で飲み切った。それを一口でと言うのは無謀ではないだろうか。
 何にせよ時間制限がある。震える手でカップをとり、口をつけた。

「ん………。――――――――ッぶ!?」

 口に含んだまでは確かに普通の…とはいっても上質のお茶だった。しかしその一部を嚥下した瞬間、衝撃が襲ったのだ。
 そう、衝撃である。それが快楽であると気づいたのは、既に身体がテーブルに突っ伏した後だった。
 唇から一度で呑み込めなかった茶が零れている。手に取っていた筈のカップの感触が無い。おそらく最初の衝撃の際どこかへ飛んで行ったのだろう。

「…………ぁ…」

 ようやく視界が戻ってくる。これまで意識を視覚に回す事が出来ていなかったのだ。それほどに余裕が無かった。見ればテーブルクロスは自分が噴き出し、あるいはカップから零れた茶で汚れている。カップは視線の先、数メートル離れた草むらに落ちていた。
 そして下着の中に感じる濡れた感触……当然の如く精を漏らした後だった。

「盛大にイったね…。性感が高まってゆく過程を飛び越えていきなり絶頂を叩き込まれる感触はどうだったかな。魔術弾の直撃を受けた時などの感覚に近いと思うが…その様子だと経験は無かったみたいだね。」

 息をつき身体を起こす。いまだ動悸が激しい。かなり体力を消耗してしまったが、かろうじて意識ははっきりとしてきた。


「…さて、満身創痍のところ悪いがカップ内のお茶を飲み切れなかった事はルール違反だ。ペナルティを受けてもらうよ。」
「あっ……」

 先程忠告を受けたばかりだというのに、赤い茶の効果が強烈過ぎて失念していた…。状況を見れば言い逃れようの無い失態である。
 彼女が一度踵を鳴らす。するとテーブルの下の地面がぼこりと盛り上がり何かが生えてきた。
 それは一気に人間ほどの大きさまで成長すると形を変え…やがてもう一人のマッドハッターとなった。姿形は対面に座る彼女と同様…というか目の前の人物そのままであった。

「こう見えて私は茸の魔物だ。知っているかもしれないが、通常茸と呼ばれる部分は本来、菌の一生殖器官に過ぎない。本体は地面やその他に張り巡らされた菌糸の集合体だ。まぁ私たちの場合は厳密にはそうとも言い切れないのだけれど…なんにせよ地面を介すことで分身体を『生やす』ことなど造作もない。こうやって帽子を生やす事と変わらない。本質的には同じことさ。」

 そう言って彼女は頭上の帽子をとって見せた。するとすぐさま新たな帽子が頭から生えてくる。手に取った帽子をどこかに投げ、彼女は続けた。

「で、肝心なペナルティの内容だが、君にはゲームが終わるまでその分身体による愛撫を受け続けて貰おう。」

 分身体が生えた位置は椅子に腰かけた状態での両足の間…言ってしまえばちょうど股間の前である。そしてそれは無言で手を伸ばしズボンを脱がそうとしてくる。

「ちょっと待った!ペナルティの執行者が君の分身だっていうのはフェアじゃないんじゃあないか!?」
「ああ、そこは安心してほしい。仮に私がルール違反をした時には『それ』が私の所に生える訳だが、だからと言って決して責めに手を抜いたりはしないし出来ない。約束しよう。何ならその時は分身体への命令権を君に譲渡してもいい。ゲームは公平でなければならないからね。」

 とっさに感じた不安には即座にそう返された。その間もこちらの股の間をまさぐる手は止まらない。すぐに下着までずらされ、精液に濡れた肉竿を取り出された。

「責め方は…そうだね。胸で挟むとしようか。大きさにはそれなりに自信があるんだ。君のがよほどのサイズじゃなければ完全に包み込めるんじゃないかな。」

 その声を受けて股の間の分身体が胸元のボタンを外し、その膨らみを露出させる。

「ここまで来たんだ。マーチヘアやジャブジャブあたりに胸でされたことはあるんだろう?しかし甘く見ないことだ。今の君はすでにここの茶を3杯飲んでいるのだからね。」

 彼女はさも当然のようにそんなことを言う。しかし、ここに来るまでの魔物との戦闘では、大体の場合幻惑系や妨害系の魔法で戦闘自体を回避してきたので実は経験がない…。
…のだがそんなことは口が裂けても言えない。ペナルティの内容を相手側が決められるということは弱みを見せればそこを突いてくることが出来るということである。
 虚勢を張り倒すしかないのだ。
 そうこうする間に股間のものがその身を濡らす粘液ごと柔肉に包み込まれた。

「んひっ!?」

 絹のように滑らかな肌に咀嚼されるような感触。その柔らかな塊は液体のように形を変え、間に捉えた獲物の細かな凹凸まで隙間なく舐め回す。表皮の細胞一つ一つが、柔肉の肌触りと感触を余すところなく感じ取って…いや、感じ過ぎている。
 先ほどズボンの中で精液を漏らしたばかりにもかかわらず、あっという間に射精感がこみあがってきた。
 そして、足の間に居座った分身体がその両手を胸の両側に添え、ゆっくりと揉み上げる動作をする。たったそれだけで、あっけなく尿道の栓が緩み谷間に精が漏れ出した。

「どうだい?全く耐えられなかっただろう?先程のお茶の効果で触覚も拡張されている。いつも以上に強く、リアルに快感を受け取ってしまう筈だ。…もっともこれが初めての経験でなかったことだけは幸運と呼べるだろう。もしこれが初体験だったなら、この増幅された感覚が固定化され『胸での刺激に弱い』という永続的なデバフを負うことになっただろうからね。」
(聞きたくなかったそんなの…。)

 つまり今後は今感じているこの感覚が胸でされた時のスタンダードになるということのようだ。とはいえ、現在気にすべきはこの刺激がゲーム終了まで延々と続くということである。分身体の手の動きは非常にゆっくりで弱いものであるが、精を漏らしても一切止まることはなく、同様のペースで続いている。いずれ遠からぬうちに再度の射精に導かれるだろう。そしてそれを繰り返せばやがて力尽きる。
 継続的に小ダメージ――実際は決して小さくなどは無いが――を受け続ける状態…言わばまたまた『毒』状態を付与されたに等しい。3重の毒状態である。
 彼女の忠告の意を正確に汲めなかった事の代償は大きかった。

「さあ楽しくなってきた。こうなってからが茶会の醍醐味だと私は思うね。…さて、次は私の番だ。何が出るかな?あ………」
「あっ……」

 彼女のカップに注がれたのは…またしても赤い液体だった。

……、

…。



 …結局、彼女は一口目を口にした瞬間にテーブルに突っ伏しそのまま起き上がることが出来ず、ペナルティを受けることになった。事前の宣言通り彼女の側に分身体が生え、命令権が与えられる。与えられたはいいが正直効果的な使い方もわからなかった為、とりあえず手での愛撫を命令した。指示を受けたそれは彼女の背後から抱きつくようにその身を絡ませると、命令通り両手で身体を弄ぶ。右手を股の間に潜り込ませ、左手はその掌に収まりきらないサイズの胸を揉みしだく。あまりにも目に毒な光景が繰り広げられた。
 選択を誤ったのかもしれない。

 そして再度回ってくるこちらのターン。注がれたのは透き通った緑色のお茶。一見、慣れ親しんだ日本の緑茶に見える。対面のマッドハッター曰く、性感を刺激する効果と精神を落ち着ける効果を併せ持つ茶だそうだ。リラックスしながら静かに絶頂を迎えることが出来る代物らしく、出てくる茶の中では当たりの部類のようだがタイミングが悪かった。
 一口目で半分を飲んだところで絶頂と同時に股間を責める胸に精を搾られてしまい、媚薬の効果と胸の感触の両方に蕩けさせられることとなった。そして陶然としている間に1分が過ぎてしまったのである。

…カップの中にはまだ中身が半分ほど残っていた。

 そしてペナルティとして今度は背後に生えた分身体により上半身を責められることとなった。後頭部を胸の谷間に埋められ肩の上から回された手が脇腹や胸を撫でまわしてくる。その指先は次第に胸の先端に集中していき、やがてそこを重点的に責めるようになった。指の動きも爪の先で優しく擽るような刺激の中に、時折強く押し潰すような刺激、摘まみ捏ねるような刺激を組み合わせてくる。ひたすら的確に効率的に、性感を開発されているようで恐怖を感じた。

 次いで相手のターン。今度彼女が飲む事になったのは透き通った桃色の茶だった。曰く、これは多幸感を与えながら優しい絶頂に導くという触れ込みの媚薬らしい。彼女は簡単に甘イキ出来ると喜んでいた。しかしそれが悲劇を生む。
 蕩け顔で甘い絶頂感を楽しんでいる間に脱力が極まったのか、彼女は手にしていたカップを取り落としてしまう。中にわずかに残っていた茶が零れ、いつの間にか奇麗になっていたテーブルクロスをまたしても汚す。同じくペナルティ受けることとなった。
 どうやらこの手のお茶は時間制限のある今回のルールとは相性が悪いらしい。


 そしてここからお互いにペナルティがかさみ始めた。


 こちらのターン。ついに来てしまった白濁した茶。対面のマッドハッターが飲んだものと比べてほのかに桃色がかっていた。味は甘みの強いミルクティーにほのかに桃のような香りが混じる。うん、美味しい。
 しかし基本的な効果は変わらず、口にした瞬間から胸の内部にじわりと快感が生まれ、次いで先端には猛烈な擽ったさが襲い、よりによってそのタイミングで背後の分身体の指が乳首をつねり上げた。
 胸の先から何かが迸る初めての感覚に翻弄されカップを取り落としてしまう。ペナルティにより生えた分身体は右足に取り付き内腿や足裏を擽るように愛撫し始めた。

 相手のターン。注がれたのは初めて見る青く透き通ったお茶。それを視た瞬間、それまではペナルティを受けつつもどこか余裕のあったマッドハッターの表情が一瞬真顔になる。
 やや緊張した面持ちでカップを取ると一気に飲み干そうとし……直後に半分噴き出した。離れることの出来ない椅子の上で痙攣し悶える彼女をよそに、閉じた両足の前に分身体が生えた。

 続くこちらのターン。全身の感度を引き上げる薄い黄緑色の茶により分身体の愛撫で即絶頂する。→カップを取り落とし割る失態。→分身体が生える。

→相手のターン。薄黄色の透き通った茶。一口飲んだ瞬間、彼女は恍惚の表情とともに脱力しそのまま残りを飲み干せず1分が経過。→分身体が生える。

→こちらのターン。薄めの青い茶。先程青の茶を飲んだ相手方の光景を思い出し恐る恐る口をつけるも何も起こらない。どうやら女性、あるいは魔物にしか効果が無いもののようである。しかし当たりを引いたと安心した所を背後の分身体に脇腹を擽られ口の中の液体を噴き出し失敗。→分身体が生える。

→相手のターン。またしても『赤』を引き以下略。→分身体が生える。

………、

……、

…。


 そんな感じでお互いのターンを失敗しながら消費し、気づけば双方分身体の群れに埋もれていた。こちらは7体、相手は5体である。背後に両側から2体、両腕、両足、そして股の間に陣取られている。
 背後の2体は耳をしゃぶったり胸を押し付けたりを繰り返し、腕の2体はそれぞれ両側から乳首を愛撫し、両足の2体は足を1本ずつ抱き締めながら内腿や足裏を擽り、股間の一体はいまだ胸の間に肉竿を納め相変わらずのスローペースで揉み上げていた。
 しかし既に精液は出し尽くしたのか、幾度となく絶頂には導かれるものの、もはや乳肉の中で空撃ちを繰り返すのみである。過剰な快楽による疲労から、油断すると意識が遠のきそうになるが、ギリギリのところで踏みとどまる。

 そして今、さらに別の『問題』が沸き上がってきた。

「……ちょっと中断したい。」
「だめだよ?」
「トイレに行かせてほしい…。」
「………。」

 あれだけ茶を飲んだのだから当然と言えば当然、尿意がもはや看過できない状態となっていた。

「構わないよ。そのまま胸の中に漏らすといい。分身体が吸収して養分にしてくれる。…間接的に私に君のを飲ませていると考えれば興奮するね?」
「いや…」
「興奮したまえよ。」

 興奮を求められても困る。そんな特殊な性癖は無いつもりだった。とはいえ、切羽詰まっているのも事実、こうなれば堤防が決壊するより先にゲームが終わることを祈るしかない。
 彼女のターンが終わりこちらのカップに茶が注がれる。
 注がれた液体は…透き通った黄色だった。

「ぶふっ…!」
「……。」

 色を見た瞬間、対面のマッドハッターは堪えきれず噴き出した。
 嫌な予感がする。

「……いや失礼。このタイミングで『それ』を引くとは君はなかなか『持って』いるね。」
「これは…?」
「利尿剤さ。」

 ああ、やっぱり…

「まぁ、注がれたからには飲まないといけないよ。覚悟を決めたまえ。……おっと、もしわざと時間切れにしてペナルティを受けるつもりなら、次に生やす分身体には強制排尿のマッサージをさせ続けるからそのつもりでね♪」
「オニか…」
「いいや、マッドハッターだよ。」

 ペナルティを受けた方がマシという状況は許さないということだ。結局、飲むしかなくなった。
 カップに口をつけ、満たされた液体を含む。味は普通の、というよりはむしろ上等なレモンティーだったので安心した。一口目を飲んだ段階では特に変化はない。続く二口目で残りを飲み干す。空のカップを置くと同時に、その恐るべき効果が現れ始めた。
 尿意が急激に膨れ上がる。そして恐ろしいことにそれはどこか甘い快感を孕んでいた。

「言い忘れたけどもちろん只の利尿剤じゃあないよ。それは尿を媚薬に変えるんだ。だから早く貯まったものを排出しないと膀胱や尿道がどんどん性感帯として開発されていってしまうよ。まぁ、尿意を覚えると同時に絶頂し排尿の刺激で更にイく身体になりたいなら止めないけどね。…それにしても、君のその尿意を堪えつつ快感に悶える表情は非常にそそるね♪ああ、媚薬になったついでに無臭になるからその点は安心するといい。ちなみに先ほど私も似たような効果のものを飲んでいるしね。」

 そういう重要な情報を後出しで出してくるのは卑怯ではないか。そしてしれっと最後に何か言った。…しかしそれに憤る余裕もなく、むしろ表情を観察されていることを告げられ余計に羞恥心を刺激されてしまう。
「くっ…」
 彼女の言う通りならば恥も外聞も捨ててさっさと出してしまうべきなのだが、これがいざとなると上手くいかない。ペニスが勃起させられ続けているのも手伝って、無意識に我慢してしまうのだ。早くしなければ取り返しのつかないことになるというのに…

「おやおや?うまく出せないのかな?仕方ない手伝ってあげよう!」

 彼女が指を鳴らす。と同時にまとわりつく分身体の動きが変わった。背後の2体は同時に左右の耳を食みしゃぶり脱力を促す。両腕の2体は片手を乳首に残したままもう片方の手で下腹部を優しく押す。両足の2体は足の付け根付近の内腿を擽り下半身を弛緩させる。胸でペニスを挟む最初の1体はそれまで途切れることなく続けていた揉み上げる動作をやめ、やわやわと優しく圧迫する方法に切り替えた。

「ふぁ……」

 無意識に気の抜けた声が漏れる。
 気付けば暖かな液体がゆっくりと漏れ出していた。それを意識すると同時に、甘い快感が沸き上がり、やがて絶頂に至った。
 ぬるま湯のように染み渡る、緩く、甘く、長い絶頂感―――。麻薬のようなそれに脳が浸けられ、抜け出せなくなる。

「どうやら少しばかり性感の開発が進んでしまったようだね。まぁ、これから排尿のたびにその甘い快楽が味わえるんだ。悪くはないだろう?」

 対面する麗人が無責任なことを言っているような気がするが、それを理解できるほどの思考力は残されていない。ただただ、快感に浸されながら波が引くのを待つばかり…

……、


……………、


………………………波が、引かない。

 貯まっていた液体はもう全て出し切ったはずなのに継続する絶頂感が引いてゆかない。

 それどころかだんだんと強くなってきていた。

「こ……れ…………っ!?」
「ああ、このタイミングで来てしまったかい。…このゲームが始まって君が最初に飲んだお茶を覚えているかな?だんだんと快楽が蓄積されていっていずれ絶頂に至ると説明したアレだ。これまでは他の茶の効果や分身体に与えられる直接的な快楽によって気づけなかったかもしれないが、アレの効果は確実に発動し蓄積していたんだよ。そしてとうとうそれが爆発する時が来たというわけだ。残念ながら『それ』に耐えきらなければ君のターンは終わらないよ。」

 そういえばそんなものを飲んでいた。彼女の言う通り、その他の刺激や強すぎていつの間にか意識しなくなっていたのだ。しかし今、それははっきりとわかる。『それ』は『ダメなやつ』だと。そして今感じている『これ』は『それ』が爆発する前の予兆に過ぎないのだと…。

「君はよく頑張った。だかここまでだ。もう楽になるといい。……怖いかい?ならば抱いていてあげよう。せめて身体を預けてぬくもりの中で果てたまえ。」

 右腕を取っていた分身体が退き、そこに背後の2体のうち1体が移動する。そしてその胸に頭をかき抱いてきた。
 顔面が温かく柔らかな感触に埋まる。濃密な甘い香りが鼻腔を満たした。
 そしてその直後、『それ』は来た。

「―――――――――――――――――ッ!?」

 声にならない。しかしすぐに意識を飛ばせるかと思えばそうでもない。胸の中で舌を伸ばしながら声にならない叫びを上げているのが分かる。自身の肉体と精神が分離していくような感覚…。錯乱状態で叫ぶ自分を、その感覚を受容しながらどこか客観的に観察している自分が居る。よく見れば胸の中で叫ぶばかりで息を吸えていない。酸欠……?ふわりと浮き上がる。重力が消える。視界が消える。音も消える。胸のぬくもりだけが残る…。

 そして思考は完全に途切れた。

………、

……、

…。









 目覚めたのは覚えのない寝台の上。
 上体を起こす。ベッドも枕も毛布も妙にふにふにしているのが気になった。

「おはよう。よく眠れたかな?」

 横に目を向ければ件の帽子屋が床から『生えた』椅子に腰かけ、優雅に茶を飲んでいた。

「勝負は…」
「ああ、君の負けだよ。」

 聞くまでもなかった。あの後気を失った自分はここに運ばれたのだろう。むしろ敗者は一通り犯されたあと野ざらしで放置が関の山だと思っていたので、こうして介抱されているのは意外に感じた。

 なんにせよ、失敗した。ということはつまり、またあれに挑戦しなければならないということだ。

「ただしかし。君の負けだ…とは言ってもソロであそこまでやれたのは称賛に値すると私は思うね。本来であれば複数の仲間を連れて挑み、交代しながら勝つのが定石だ。一人目が気絶したら連続して次の者が座る。対戦者の私は一人だからね。」

 知らなかったそんなの…

「まぁ今度は仲間を集めて再挑戦するといい……と、本来ならば言うところなのだが。」

 そこで彼女は言葉を切り、続けた

「せっかくソロで挑んでくれた君には別の攻略法を提示しようじゃあないか。…私と契約してパーティを組まないかい?そうすればここの関門を突破したことにしてあげよう!」
「…………。」
「考えてもみたまえ。今から仲間を探しに森や野に行こうにもその媚薬に侵された身体では逆に返り討ちにされ精奴隷にされるのがオチだろう。ショップは言わずもがなだ。君が飲んだ媚薬のうちいくつかの効果は永続的に作用するからね。」
「そしてソロで再度挑めば新たに媚薬の効果が重ね掛けされてしまう。このゲームは繰り返すほど不利になってゆくんだ。特に人間の場合はね。どんどんと勝利が遠のき、逆に身体の方は後戻りできない程に淫らに変わってしまうだろうね。」
「そして何より、私のステータスと能力はこの序盤の段階を考えれば破格だ。決して損な話じゃないと思うが、どうだろう!?」

 たしかにボスキャラクターが仲間になるならこれほど心強いことはない。しかしそれはいいのだろうか。ステージボスが急に居なくなったら色々と問題なのではとふと思った。

「ああ、そのことについては気にすることはない。こうすればいいのさ。」

 彼女はおもむろに足を鳴らす。すると少し離れた場所にゲーム中に出てきたような分身体が生えた。そしてそれに向かい彼女は

「私はこの子と旅に出るから後任を頼むよ。」
「!?」

 そう言い放った。

 それを聞いた分身体は何も言わず、部屋のドアを開け出てゆく。

「菌糸を切り離して別個体になった…いわば『株分け』だね。いずれ自我が芽生え役割を引き継ぐ筈さ。…まぁそんなことはどうでもいい。さぁ契約をしよう!」
「いや、まだするとは…」
「するだろう?」

「アッハイ…」

 何か彼女の狂気の片鱗を見た気がしたが深くは考えないことにした。






「さて、では今日の対価をいただこうか。」
「ゑ?」

 契約の儀式…と言っても謎の指輪を嵌めるだけだったが…が終わった途端彼女がそんなことを言ってくる。契約の対価…そんな話は聞いていない。

「契約前に条件の詳細を聞かなかったのは迂闊だね。今となっては君のその迂闊さも愛おしく感じるけれど……ああそんなに警戒する事はない。『1日1回、私と茶会を行う。』それだけだ。もちろん飲むお茶は1杯だけでいい。簡単だろう?むしろこの特殊な対価があるおかげで私の契約コストは異常に安いんだ。お得だろう?」

 一杯だけ…ゲームであれだけの量を飲んだことを思えば大したことは無いように感じる。もちろん種類によるのだが…

「では…」

 彼女が指を鳴らすと目の前にテーブルと椅子が生えた。お互い腰掛けるとそれぞれの席のカップに自動で液体が注がれる。注がれた茶の色は……濁った紫色をしていた。

「…………。」
「ブレンドティーだよ。とりあえず先のゲームで登場したものを全て混ぜてみたんだ♪さぁ、新たなパーティの結成とこれから始まる2人の旅路に、乾杯といこうじゃないか♪」

 そして彼女は淫靡に目を細める。

「もちろん、耐えきれなくなったらまたいくらでも胸を貸すから安心するといい。…今度は分身体ではなく、本体のを、ね。」

 迂闊さの代償は…思った以上に重かったようだ。







20/11/01 22:50更新 / ラッペル

■作者メッセージ
案の定詰まったので先にこっちを。1−1ボスまできました。

ハッタ―の増え方は時を経てよりキノコ寄りになった感じで…

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