焦燥
――――――――――
…先ずは敵を知らなければならない。
そう考えたローゼは彼が襲われた痕跡のあった波止場へと向かった。
あの現場を再び見ると思うだけでズキリと胸が痛む。しかし確かめなければ…全ては愛する人との未来の為…自らにそう言い聞かせ、ローゼは例の場所にもう一度降り立った。
…そこには、日陰であるお陰でいまだ乾いていない二人の体液が広がっている。彼女はそのうち明らかに量の多い方…魔物の愛液と思われる…を指で掬い、口に含んだ……、途端に彼女は顔をしかめる。
それは、その味やそれが敵のモノであるという嫌悪感に寄るものではなく、もっと現実的な問題…その体液が帯びる残存魔力から、相手の力量が予測出来てしまった為だ。種族は恐らくサキュバス、…それだけでも厄介であるがその魔力から察するにかなりの力を持った個体である事が予想された。
…まともにぶつかって勝てる相手ではない…彼女は瞬時にそう悟る。圧倒的な力量差…それは無情な事実であった。
(さてどうしたものか…)
桃色の人魚は考える。
時間的余裕は無い……あまり時間を掛ければ少年を拐った犯人が彼を完全に奪われてしまう…これ程の力を持った相手である、彼が拒めば洗脳くらい簡単にやるかもしれない…。そう思うと居ても立ってもいられなかった。
(短期間の準備で明らかに格上の相手に勝つ方法…)
果たしてそんなモノがあるだろうか…？
………、
……、
…、
(……ある…かも。)
不意に彼女は此所がどんな街か思い出した。この街の支配者…その特異性とは…
(とりあえず行ってみる！あとは拝み倒してでも…!!)
思い立ったら即行動、メロウらしく、桃色人魚は両足を人間のモノへと変身させると街の中心部へと駆けていった…
「えぇと……そういうのはちょっと…」
―市街地の中心から伸びる広い道の先にある巨大な聖堂、海を背にしたこの建物は街のシンボルであると同時に、その広大な敷地は公園として一般に解放され、市民の憩いの場となっている。その聖堂の入口近くにて一人の修道女と桃色の髪の女が何やら揉めていた。
「そこをなんとかぁっ!!」
そう言って修道女にすがり付いてくるのはやたらとグラマラスな体をこれまたやたら露出の多い水着に包んだ女性…ローゼである。…普通の街なら通報されそうな格好だが、親魔領であるとともに少々特殊なこの街ではそこは大した問題ではないらしい。この修道女が困り果てているのは目の前の水着の女が言っていることの中身に対してであった。
「ですから……他の神様の眷族が個人的な理由で万魔殿を利用するというのは…うぅ…どうしたらいいんでしょう……」
シスターは頭を抱える。
…彼女としてはこの目の前のメロウの話に同情し出来るなら力になりたいのだが…自らが仕える神の聖域が絡むとなると如何ともし難かった。
(彼女が人間だったら直ぐにでも連れていってあげられるのに………あとついでに男の人だったら以下略…)
…コホン、
「…とにかく、誘拐ということでしたら正規の手続きを踏んで公務の者を捜索に向かわせますから…」
「それじゃ遅いのぉ……」
今から捜索隊を組んで証拠を調べてとなると数日は掛かるだろう、他に片付けなければならない案件だって沢山あるのだから…その間に彼は…ローゼは今すぐにでも取り返しに行きたいのだ。
「主よ…私はどうしたら………ん？
…は、はぇ!?え、ちょっと、待って、ダメッ、そんなっ……ひッ、い゛っ、ふっ、ひゃぁぁっはあぁああ゛あ゛ぁ―――ッ!!」
ついに神の意を請おうと祈り始めたシスターの身体が突然、雷に撃たれたかのように仰け反り痙攣した。そしてそのまま地面に崩れ落ちる。
「お゛っ…おぉお゛お゛お゛……!?」
『構ワヌ、通セ…』
肩を地に着け腰を突き出すような情けない格好で地面に踞るシスターの頭の中には神の声が響いていた。反射的に股の間を両手で必死に押さえるも、彼女が纏う修道衣の下半身にはみるみる内に濡れた染みが拡がり指の隙間から布が吸収しきれなかった体液が滴り落ちる。
「あ゛っあ゛っ…は…はへ……いひの…れ…？」
『構ワヌト言ッテイル』「っん゛ほぉぉおお゛おお゛―――っ!?」
衆目の前であることも忘れて涙と涎で顔を汚しながら地面でよがり狂う聖女、その独特な修道服に包まれた下半身の下にはあっという間に水溜まりが出来ていた。それどころかよく見ればその豊満な胸元にもじわりと染みが拡がっている。
…潮を噴き失禁し乳汁まで噴かせる程の快楽、流石は神様のお仕置き(或いはご褒美？)といったところである。恐ろしいと思う反面少し羨ましいとも思ってしまったが今はそれどころではない。
…そのまま十数秒経過した後、地に臥せ痙攣するシスターの右手がプルプルと上がり空を薙いだ。するとその跡に沿って空中に亀裂が生まれ、やがて漆黒の闇を湛えた人一人分程の穴が開く。
「――――ッ!!――ッ！」
その穴をシスターの手が必死に指差している。
「…!?あっ、ありがとうございますっ!!」
要求が受け入れられた事を理解したローゼは、迷わずその穴の中へと飛び込んでいった…。
……一方、街を北西に進んだ先のとある山中の洞窟にて……
―湿った暗がりの中、淫靡な水音が響いていた。洞穴の奥では数刻前から終わらぬ凌辱が続いている…。
「…っ、ねぇっ、いい加減にっ、んっ、私を、見てよぉっ!!」
そこには一匹のサキュバスが地面に横たわる少年に馬乗りになり、一方的に犯している姿があった。
…例の少年と、その誘拐犯である。
見れば彼女…今も少年の上で青みがかった黒の長髪を揺らしながら腰を振り続けている凌辱者の目は淡い光を放ち、少年の方を見つめていた。しかし、少年は頑なに目を閉じ、その光を拒絶している。サキュバスが発する魅了の魔術を少年が必死に避けようとしているのだ。
「ぅ〜〜、なんでぇっ!?気持ちいいでしょ？こんなに私の中に出してくれてるもん!!…ッ…んんっ…、っほら、またぁッ!!」
少年の体が震えもう何度目か分からない精を吐き出す。それらは二人の結合部から一滴も漏れる事無く、出したそばからサキュバスの媚肉に染み込むように吸収されてしまう。
「…あはッ、やっぱり美味しい……」
下の口で感じるその甘美な味に暫し酔い痴れるも少年を咥え込んだその肉は責めの手を一切緩めない。蠢き続ける微細な襞が決して萎える事を許さず、またサキュバスの放つ淫気により少年の感度は彼の意に反して上がり続けていた。しかしどれだけ過酷な快楽を叩きつけられても彼はその固く閉ざした目を開けることだけはしなかった。
…開ける訳にはいかなかったのだ。何故なら、彼の心には既に別の人物がいるのだから…それを魅了の魔術で上書きされる…これ以上の恐怖は無かった。
そしてその事がまた、少年を犯し続けるサキュバスを苛立たせるのである。彼女から見ればローゼは遥かに格下の相手、そんな…彼女にとってはとるに足らないような雑魚魔物が、自身が恋した男性の心を射止めている…その事実が許せなかった。
「……そんなに…そんなにあの魚類の方がいいわけ!?あんな雑魚魔物なんて……
……まぁ確かに…胸は私よりちょっぴり大きかった気がするけど…、でも女の魅力ってそれだけじゃないのよ!?魔力だって技術だって私の方が勝ってる！あんなのより私の方が、ずっと君を良くしてあげられるのにっ!!」
捲し立てながら彼女は膣内を激しく蠢かせ、先端にぴったり吸い付いた子宮口で強烈な吸引を加える。その無理やり中身を吸い出されるかの様な刺激に、少年はあっという間に次の、もう十数回目になる絶頂を迎えさせられた。当然、精液はとうに搾り尽くされ、最早ほぼ透明な粘液が少しばかり排出されるのみである…しかしそれすらも魔物にとっては極上の甘露であった。
じっくりと舌で味わうかの様に、少年の絶頂を感知した肉はそのなけなしの精を肉茎ごと入念に舐めしゃぶる。射精直後の敏感な粘膜に加えられる執拗な責めに、彼は無駄とは知りながらも必死に腰を引いて逃げようともがくがしかし、この騎乗位の体勢ではどう頑張っても意味など無く、その仕草は逆に上に乗るサキュバスの嗜虐心を擽るだけであった…。
「この期に及んで逃げようとするなんて……これはもうお仕置きだわ…。本当はここまでする気は無かったのだけれど…」
彼女は一旦腰の動きを止めると、豊満な尻肉の上から伸びる尾を持ち上げ左手に取った。そしてその細長いハート型をした尾の先端に僅かに開いた小さな穴…そこに右手の中指を宛がうと、そのままヌルリとその孔の中に指を滑り込ませる。その状態で呑み込まれた指を数回、内部を撹拌するように蠢かせ…やがてそこから引き抜かれた中指にはまるで蜂蜜の様に粘度の高い透明な粘液が、たっぷりとコーティングされていた。
…そしてその中指を、今度は少年の肛門へと押し当てる。突然感じた敏感な箇所への刺激と、その粘液が触れた所から広がる奇妙な感覚に少年は小さく悲鳴を上げた。
「どう？変な感じでしょ…この液はね、そこらの単純な媚薬とは訳が違うわ……人間の皮膚に触れればたちまち其処がすっごく敏感な性感帯になって……二度と元には戻らない。私が出せる淫液の中でも一番強力なやつよ…。それをこれからキミのお尻の穴にたっぷり塗り込んであげる……きっともうまともな生活は出来なくなるでしょうね、なにせこんな所に塗られちゃったら排泄の度にイキまくる変態になっちゃうんだから……
……でも、大人しくその目を開けて私のモノになるなら許してあげるけど……どうする？」
それは彼女の奥の手。最後通告。そして最終確認。
しかし脅迫めいたその提案にも、頑なに目を瞑ったまま、イヤイヤと首を振る少年に彼女は小さく溜め息をつく。
「……そう…じゃあ仕方ないわね？一生後悔するといいわ……いいえ、むしろ良かったと思える位に、私が全身全霊で、あなたの全てを愛してあげる。だから…安心してイキ狂いなさい!!」
―ブスリ♂
言うと同時に彼女は少年の孔にその指を押し入れた。粘液で摩擦を減らしたそれはあっさりと内部に潜り込み、その粘膜に淫液を塗り込んでゆく…。
「ひぃ―ッ!?」
体の中を侵される初めての感覚に少年は悲鳴を上げた。侵入してきた指によって満遍なく、丹念に塗り込められる液体はすぐさま皮膚や粘膜に吸収され、急速にその部位を改造してゆく。一瞬妙な熱さを感じたかと思うと次の瞬間には性器に加えられるのと同じか、或いはそれ以上の快感が出し入れされる指の刺激から生まれ始めた。
「あっ、ああッ、あ゛、…!?」
際限なく高まってゆく性感に懸命に抗おうとするも声が勝手に漏れてしまう。その反応に気を良くしたサキュバスは少年の身体に出来た新たな弱点をこれでもかと蹂躙した。
「ふふ…気持ち良くなってきた？、…私の中でまた固くなってる……もうすぐイキそうなのかなぁ？……もう出るものも無いのに、ね！」
そして止めを刺す。指先に魔力を込め、今まで敢えて触れないようにしていた少年の絶頂スイッチ…前立腺を優しくマッサージし始めた。
「ぉおお!?…、ぉあ、あぉおっ…!?」
その指使いは優しいながらも的確で、執拗だった。媚薬を塗り拡げながら、最初は優しく撫でるように、そして段々と力を強めぐにぐにと揉み込む動作へ…。
少年は背筋を仰け反らせ痙攣するしかない。強制的に絶頂に持ち上げられ、そこから降りることが許されないのだ。更にその上から指に纏った魔力が直線人外の快感を叩き込む……
少年の身を一切案ずることの無い、全力の快楽責めだった。このまま続ければいづれ彼の精神に異常をきたす事はサキュバスである彼女なら理解できる筈である、しかし彼女に手加減する気配は無く、むしろ全力を以て少年を壊そうとしている様に見えた。
「ぉお゛ッ、あ゛ッ、あ゛ッ、あ゛ッ、あ゛っ、あ゛っあ゛が…!!!?」
「もう頭の中お花畑でしょ？天国？それとも地獄？…私はどちらでもいいわ、アナタが壊れるまで続けてアゲル…。そうやって全部忘れてキレイになったココロに今度は私を1から刷り込んであげるんだから……、だからもう目を開けてくれなくてもいいよ？このまま気持ち良ーく壊れてくれれば……ほらっ！さっさと、壊れちゃえ！淫狂れちゃえッ!!」
「―――――ッ!!!?」
「そうだ！…ついでだからこっちも開発してあげるわ…」
そう言って空いている左手の指に再び尾から分泌した媚液を取り、今度は処理しきれない快楽に前後不覚で暴れる少年の両胸に塗りつけた。彼はおそらく何をされたかも理解できていないであろうが、あっという間にまた新たな、極度に敏感な性感帯を増設されてしまったのである。それがもたらすモノは彼が正気を取り戻した後、じっくり…一生かけて彼を苛む事だろう…。もっとも…上に乗る魔物は彼に正気を取り戻させる気などさらさら無いようであるが…
胸に塗り広げた淫液が肌に染み込んでゆくのを確認し、そこに佇むその硬くしこった突起にも手を伸ばそうとした所で彼女の動きが止まった。そしてその左手をおもむろに背後へ振り抜き、飛来した「何か」を打ち払う。
パァン……!!
洞穴内に小気味良い破裂音が響き渡った。同時に彼女らの周囲に飛び散る液体……、「それ」を受け止めた左手を見れば淡い紫に色づいた粘性の高い液体がべったりと付着している。
「うっ…なにこれ、……うくぅっ!?」
「……あれを弾くなんて…『前の』私だったらやっぱりどう足掻いても敵わなかったわ……でもソレの厄介なところはね…」
左手の、その粘液を被った箇所が熱を帯び、疼き始めた。水弾を弾いた際の衝撃によるものとはまた違った甘い痺れがそこからじわじわと拡がって行く…。
「少しでも身体に触れたらその場所から体内に染み込んでいって……やがて全身に拡がるの。そしてその効果は…分かるでしょ？」
「……ッ!?」
サキュバスは振り返り背後の、声の出所の方を睨み付ける。彼女の視線の先…洞穴の入り口側に繋がる通路の中空に、黒い穴が一つ浮かんでいた。
そしてその中から一人の女性が姿を顕す…
「…!?あんたぁ……」
「その子を返して貰いに来たわ…」
桃色の長髪がふわりと揺れた。
…先ずは敵を知らなければならない。
そう考えたローゼは彼が襲われた痕跡のあった波止場へと向かった。
あの現場を再び見ると思うだけでズキリと胸が痛む。しかし確かめなければ…全ては愛する人との未来の為…自らにそう言い聞かせ、ローゼは例の場所にもう一度降り立った。
…そこには、日陰であるお陰でいまだ乾いていない二人の体液が広がっている。彼女はそのうち明らかに量の多い方…魔物の愛液と思われる…を指で掬い、口に含んだ……、途端に彼女は顔をしかめる。
それは、その味やそれが敵のモノであるという嫌悪感に寄るものではなく、もっと現実的な問題…その体液が帯びる残存魔力から、相手の力量が予測出来てしまった為だ。種族は恐らくサキュバス、…それだけでも厄介であるがその魔力から察するにかなりの力を持った個体である事が予想された。
…まともにぶつかって勝てる相手ではない…彼女は瞬時にそう悟る。圧倒的な力量差…それは無情な事実であった。
(さてどうしたものか…)
桃色の人魚は考える。
時間的余裕は無い……あまり時間を掛ければ少年を拐った犯人が彼を完全に奪われてしまう…これ程の力を持った相手である、彼が拒めば洗脳くらい簡単にやるかもしれない…。そう思うと居ても立ってもいられなかった。
(短期間の準備で明らかに格上の相手に勝つ方法…)
果たしてそんなモノがあるだろうか…？
………、
……、
…、
(……ある…かも。)
不意に彼女は此所がどんな街か思い出した。この街の支配者…その特異性とは…
(とりあえず行ってみる！あとは拝み倒してでも…!!)
思い立ったら即行動、メロウらしく、桃色人魚は両足を人間のモノへと変身させると街の中心部へと駆けていった…
「えぇと……そういうのはちょっと…」
―市街地の中心から伸びる広い道の先にある巨大な聖堂、海を背にしたこの建物は街のシンボルであると同時に、その広大な敷地は公園として一般に解放され、市民の憩いの場となっている。その聖堂の入口近くにて一人の修道女と桃色の髪の女が何やら揉めていた。
「そこをなんとかぁっ!!」
そう言って修道女にすがり付いてくるのはやたらとグラマラスな体をこれまたやたら露出の多い水着に包んだ女性…ローゼである。…普通の街なら通報されそうな格好だが、親魔領であるとともに少々特殊なこの街ではそこは大した問題ではないらしい。この修道女が困り果てているのは目の前の水着の女が言っていることの中身に対してであった。
「ですから……他の神様の眷族が個人的な理由で万魔殿を利用するというのは…うぅ…どうしたらいいんでしょう……」
シスターは頭を抱える。
…彼女としてはこの目の前のメロウの話に同情し出来るなら力になりたいのだが…自らが仕える神の聖域が絡むとなると如何ともし難かった。
(彼女が人間だったら直ぐにでも連れていってあげられるのに………あとついでに男の人だったら以下略…)
…コホン、
「…とにかく、誘拐ということでしたら正規の手続きを踏んで公務の者を捜索に向かわせますから…」
「それじゃ遅いのぉ……」
今から捜索隊を組んで証拠を調べてとなると数日は掛かるだろう、他に片付けなければならない案件だって沢山あるのだから…その間に彼は…ローゼは今すぐにでも取り返しに行きたいのだ。
「主よ…私はどうしたら………ん？
…は、はぇ!?え、ちょっと、待って、ダメッ、そんなっ……ひッ、い゛っ、ふっ、ひゃぁぁっはあぁああ゛あ゛ぁ―――ッ!!」
ついに神の意を請おうと祈り始めたシスターの身体が突然、雷に撃たれたかのように仰け反り痙攣した。そしてそのまま地面に崩れ落ちる。
「お゛っ…おぉお゛お゛お゛……!?」
『構ワヌ、通セ…』
肩を地に着け腰を突き出すような情けない格好で地面に踞るシスターの頭の中には神の声が響いていた。反射的に股の間を両手で必死に押さえるも、彼女が纏う修道衣の下半身にはみるみる内に濡れた染みが拡がり指の隙間から布が吸収しきれなかった体液が滴り落ちる。
「あ゛っあ゛っ…は…はへ……いひの…れ…？」
『構ワヌト言ッテイル』「っん゛ほぉぉおお゛おお゛―――っ!?」
衆目の前であることも忘れて涙と涎で顔を汚しながら地面でよがり狂う聖女、その独特な修道服に包まれた下半身の下にはあっという間に水溜まりが出来ていた。それどころかよく見ればその豊満な胸元にもじわりと染みが拡がっている。
…潮を噴き失禁し乳汁まで噴かせる程の快楽、流石は神様のお仕置き(或いはご褒美？)といったところである。恐ろしいと思う反面少し羨ましいとも思ってしまったが今はそれどころではない。
…そのまま十数秒経過した後、地に臥せ痙攣するシスターの右手がプルプルと上がり空を薙いだ。するとその跡に沿って空中に亀裂が生まれ、やがて漆黒の闇を湛えた人一人分程の穴が開く。
「――――ッ!!――ッ！」
その穴をシスターの手が必死に指差している。
「…!?あっ、ありがとうございますっ!!」
要求が受け入れられた事を理解したローゼは、迷わずその穴の中へと飛び込んでいった…。
……一方、街を北西に進んだ先のとある山中の洞窟にて……
―湿った暗がりの中、淫靡な水音が響いていた。洞穴の奥では数刻前から終わらぬ凌辱が続いている…。
「…っ、ねぇっ、いい加減にっ、んっ、私を、見てよぉっ!!」
そこには一匹のサキュバスが地面に横たわる少年に馬乗りになり、一方的に犯している姿があった。
…例の少年と、その誘拐犯である。
見れば彼女…今も少年の上で青みがかった黒の長髪を揺らしながら腰を振り続けている凌辱者の目は淡い光を放ち、少年の方を見つめていた。しかし、少年は頑なに目を閉じ、その光を拒絶している。サキュバスが発する魅了の魔術を少年が必死に避けようとしているのだ。
「ぅ〜〜、なんでぇっ!?気持ちいいでしょ？こんなに私の中に出してくれてるもん!!…ッ…んんっ…、っほら、またぁッ!!」
少年の体が震えもう何度目か分からない精を吐き出す。それらは二人の結合部から一滴も漏れる事無く、出したそばからサキュバスの媚肉に染み込むように吸収されてしまう。
「…あはッ、やっぱり美味しい……」
下の口で感じるその甘美な味に暫し酔い痴れるも少年を咥え込んだその肉は責めの手を一切緩めない。蠢き続ける微細な襞が決して萎える事を許さず、またサキュバスの放つ淫気により少年の感度は彼の意に反して上がり続けていた。しかしどれだけ過酷な快楽を叩きつけられても彼はその固く閉ざした目を開けることだけはしなかった。
…開ける訳にはいかなかったのだ。何故なら、彼の心には既に別の人物がいるのだから…それを魅了の魔術で上書きされる…これ以上の恐怖は無かった。
そしてその事がまた、少年を犯し続けるサキュバスを苛立たせるのである。彼女から見ればローゼは遥かに格下の相手、そんな…彼女にとってはとるに足らないような雑魚魔物が、自身が恋した男性の心を射止めている…その事実が許せなかった。
「……そんなに…そんなにあの魚類の方がいいわけ!?あんな雑魚魔物なんて……
……まぁ確かに…胸は私よりちょっぴり大きかった気がするけど…、でも女の魅力ってそれだけじゃないのよ!?魔力だって技術だって私の方が勝ってる！あんなのより私の方が、ずっと君を良くしてあげられるのにっ!!」
捲し立てながら彼女は膣内を激しく蠢かせ、先端にぴったり吸い付いた子宮口で強烈な吸引を加える。その無理やり中身を吸い出されるかの様な刺激に、少年はあっという間に次の、もう十数回目になる絶頂を迎えさせられた。当然、精液はとうに搾り尽くされ、最早ほぼ透明な粘液が少しばかり排出されるのみである…しかしそれすらも魔物にとっては極上の甘露であった。
じっくりと舌で味わうかの様に、少年の絶頂を感知した肉はそのなけなしの精を肉茎ごと入念に舐めしゃぶる。射精直後の敏感な粘膜に加えられる執拗な責めに、彼は無駄とは知りながらも必死に腰を引いて逃げようともがくがしかし、この騎乗位の体勢ではどう頑張っても意味など無く、その仕草は逆に上に乗るサキュバスの嗜虐心を擽るだけであった…。
「この期に及んで逃げようとするなんて……これはもうお仕置きだわ…。本当はここまでする気は無かったのだけれど…」
彼女は一旦腰の動きを止めると、豊満な尻肉の上から伸びる尾を持ち上げ左手に取った。そしてその細長いハート型をした尾の先端に僅かに開いた小さな穴…そこに右手の中指を宛がうと、そのままヌルリとその孔の中に指を滑り込ませる。その状態で呑み込まれた指を数回、内部を撹拌するように蠢かせ…やがてそこから引き抜かれた中指にはまるで蜂蜜の様に粘度の高い透明な粘液が、たっぷりとコーティングされていた。
…そしてその中指を、今度は少年の肛門へと押し当てる。突然感じた敏感な箇所への刺激と、その粘液が触れた所から広がる奇妙な感覚に少年は小さく悲鳴を上げた。
「どう？変な感じでしょ…この液はね、そこらの単純な媚薬とは訳が違うわ……人間の皮膚に触れればたちまち其処がすっごく敏感な性感帯になって……二度と元には戻らない。私が出せる淫液の中でも一番強力なやつよ…。それをこれからキミのお尻の穴にたっぷり塗り込んであげる……きっともうまともな生活は出来なくなるでしょうね、なにせこんな所に塗られちゃったら排泄の度にイキまくる変態になっちゃうんだから……
……でも、大人しくその目を開けて私のモノになるなら許してあげるけど……どうする？」
それは彼女の奥の手。最後通告。そして最終確認。
しかし脅迫めいたその提案にも、頑なに目を瞑ったまま、イヤイヤと首を振る少年に彼女は小さく溜め息をつく。
「……そう…じゃあ仕方ないわね？一生後悔するといいわ……いいえ、むしろ良かったと思える位に、私が全身全霊で、あなたの全てを愛してあげる。だから…安心してイキ狂いなさい!!」
―ブスリ♂
言うと同時に彼女は少年の孔にその指を押し入れた。粘液で摩擦を減らしたそれはあっさりと内部に潜り込み、その粘膜に淫液を塗り込んでゆく…。
「ひぃ―ッ!?」
体の中を侵される初めての感覚に少年は悲鳴を上げた。侵入してきた指によって満遍なく、丹念に塗り込められる液体はすぐさま皮膚や粘膜に吸収され、急速にその部位を改造してゆく。一瞬妙な熱さを感じたかと思うと次の瞬間には性器に加えられるのと同じか、或いはそれ以上の快感が出し入れされる指の刺激から生まれ始めた。
「あっ、ああッ、あ゛、…!?」
際限なく高まってゆく性感に懸命に抗おうとするも声が勝手に漏れてしまう。その反応に気を良くしたサキュバスは少年の身体に出来た新たな弱点をこれでもかと蹂躙した。
「ふふ…気持ち良くなってきた？、…私の中でまた固くなってる……もうすぐイキそうなのかなぁ？……もう出るものも無いのに、ね！」
そして止めを刺す。指先に魔力を込め、今まで敢えて触れないようにしていた少年の絶頂スイッチ…前立腺を優しくマッサージし始めた。
「ぉおお!?…、ぉあ、あぉおっ…!?」
その指使いは優しいながらも的確で、執拗だった。媚薬を塗り拡げながら、最初は優しく撫でるように、そして段々と力を強めぐにぐにと揉み込む動作へ…。
少年は背筋を仰け反らせ痙攣するしかない。強制的に絶頂に持ち上げられ、そこから降りることが許されないのだ。更にその上から指に纏った魔力が直線人外の快感を叩き込む……
少年の身を一切案ずることの無い、全力の快楽責めだった。このまま続ければいづれ彼の精神に異常をきたす事はサキュバスである彼女なら理解できる筈である、しかし彼女に手加減する気配は無く、むしろ全力を以て少年を壊そうとしている様に見えた。
「ぉお゛ッ、あ゛ッ、あ゛ッ、あ゛ッ、あ゛っ、あ゛っあ゛が…!!!?」
「もう頭の中お花畑でしょ？天国？それとも地獄？…私はどちらでもいいわ、アナタが壊れるまで続けてアゲル…。そうやって全部忘れてキレイになったココロに今度は私を1から刷り込んであげるんだから……、だからもう目を開けてくれなくてもいいよ？このまま気持ち良ーく壊れてくれれば……ほらっ！さっさと、壊れちゃえ！淫狂れちゃえッ!!」
「―――――ッ!!!?」
「そうだ！…ついでだからこっちも開発してあげるわ…」
そう言って空いている左手の指に再び尾から分泌した媚液を取り、今度は処理しきれない快楽に前後不覚で暴れる少年の両胸に塗りつけた。彼はおそらく何をされたかも理解できていないであろうが、あっという間にまた新たな、極度に敏感な性感帯を増設されてしまったのである。それがもたらすモノは彼が正気を取り戻した後、じっくり…一生かけて彼を苛む事だろう…。もっとも…上に乗る魔物は彼に正気を取り戻させる気などさらさら無いようであるが…
胸に塗り広げた淫液が肌に染み込んでゆくのを確認し、そこに佇むその硬くしこった突起にも手を伸ばそうとした所で彼女の動きが止まった。そしてその左手をおもむろに背後へ振り抜き、飛来した「何か」を打ち払う。
パァン……!!
洞穴内に小気味良い破裂音が響き渡った。同時に彼女らの周囲に飛び散る液体……、「それ」を受け止めた左手を見れば淡い紫に色づいた粘性の高い液体がべったりと付着している。
「うっ…なにこれ、……うくぅっ!?」
「……あれを弾くなんて…『前の』私だったらやっぱりどう足掻いても敵わなかったわ……でもソレの厄介なところはね…」
左手の、その粘液を被った箇所が熱を帯び、疼き始めた。水弾を弾いた際の衝撃によるものとはまた違った甘い痺れがそこからじわじわと拡がって行く…。
「少しでも身体に触れたらその場所から体内に染み込んでいって……やがて全身に拡がるの。そしてその効果は…分かるでしょ？」
「……ッ!?」
サキュバスは振り返り背後の、声の出所の方を睨み付ける。彼女の視線の先…洞穴の入り口側に繋がる通路の中空に、黒い穴が一つ浮かんでいた。
そしてその中から一人の女性が姿を顕す…
「…!?あんたぁ……」
「その子を返して貰いに来たわ…」
桃色の長髪がふわりと揺れた。
12/09/19 00:55更新 / ラッペル
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