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プチ物語 〜別れのチョコと〜 |
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今は、普通な一日の放課後です。
私はルナ、ウァンパイアの中学生です。 「ルナちゃーん!待たせたー?」 「あ…エリちゃんですか…」 友達の魔女のエリちゃんに挨拶した後、私はまた海に向かって小さくため息をついた。 「…やっぱり、チョコのお兄ちゃんが行っちゃうと寂しいの?」 「え、別、別にタクヤ兄さんが居なくなっても、寂しくなんかないですわ!」 「…そんな嘘ついても意味無いよ、気持ち顔に書いてるし」 「う…」 やっぱりエリちゃんには隠し事なんてできませんね。 「だって、小さい頃から傍に居てたのに、ずっとお兄ちゃんみたいに世話してくれたのに…明日からこの海の向こうに行って、何時になったらまた逢えるのも知らないなんて、納得できないでしょ…」 身体が言うこと聞かずに軽く震えていた。 この身体も、その事実を受け入れたくないのね… 「まぁ、気持ちは解かるけど…とにかく、今日もお兄ちゃんの店によっていこうよ」 私を慰める言葉を捜しようとしたエリは、結局話題を変えることしか出来なかった。 「いらっしゃいませ…」 「チョコのお兄ちゃん、今日もお邪魔します!」 「タクヤ兄さん、お邪魔します…」 「あ、ルナちゃんとエリちゃんか。最後の営業日に来てくれてありがとう」 ここのケーキ屋は、この町で一番人気らしいです。 私とエリちゃんはここの常連で、パティシエのタクヤ兄さんとも長い付き合いです。タクヤ兄さんだって高校生ですのに、凄いですね 私達二人は昔からこの店で暇を潰したり、宿題やったり、時々暴走してタクヤ兄さんに迷惑掛けたり…いや、最後のは無しね。とにかく、ここはいろんな思い出が集まった、素敵な場所なのです。 「はい、今日のお楽しみ」 「あ…やった!アタシの大好物のチョコケーキだ、ありがとうチョコのお兄ちゃん」 「ありがとうございます…」 私の分は、ストローベリー付きのピンク色のショートケーキみたいです…ウァンパイアだからとりあえず赤っぽい物出すのもどうなのかとは思いますが…私の大好物なので許してあげます。 そういえば、こうやってタクヤ兄さんのケーキ食べながら午後を過ごすのも最後ですね… 「何回も言ったけど、憧れの大学に入っておめでとう!」 「ありがとう、エリちゃん」 「…明日何時出発するのですか?」 「六時さ。」 タクヤ兄さんは少し苦笑いした。 「元は七時の船に乗るつもりだったけど、明日はバレンタインだから、船員たちも殆ど彼女との予定があるんだ。お陰で六時の船しか残ってないさ」 バレンタインですか… 「なぁ、ルナちゃん?」 「は、はい!?」 「さっきからずっと浮ばない顔しているけど…どうしたんだ?」 「な、なにもないですわ!」 「ならいいけど…僕が居なくても、ちゃんと元気でね」 「あ、う…うん」 「…痛!?」 エリは少し落ち込んでいる私を見て、思いっきりタクヤ兄さんの足を踏んだみたい。 「チョコの兄ちゃん鈍感」 気持ちは嬉しいけど…そんなに何回も踏まなくていいです… 帰り道。 「…決めました」 「ん?なにを?」 「私、チョコレートを作って、明日タクヤ兄さんに贈ります!」 「え…まさか、またルナちゃんの暴走時間?」 流石のエリちゃんも驚いたみたい。 「あ…勘違いしないでね!義理チョコだから!だって…」 そういえば、何で突然チョコレートを贈るのを決めたのでしょう… 「だって…忘れて欲しくないから…たとえ海の向こうはどれだけ綺麗で、魅惑でも」 この町のことも、ここの人達と一緒に過ごした時間も…そして、私も。 「そうか…悪くないかも」 「ほんとですか?」 少し意外だった。 面倒くさがりで気まぐれのエリちゃんも、誰かの為に積極的に何かをするなんて。 「うん、いい考えだと思う」 「では早速、ココアの実を…」 「いや、ちょっと待て。そこから!?」 エリちゃんは酷くびっくりした。 「でも、チョコレートの原材料はココアの実でしょ」 「間違ってないけど、普通の手作りチョコは市販のチョコを溶かして作り直すだけだけど!?」 「え、初耳です」 「…もういい…とにかく、アタシが作り方教えてあげるから、ついて来て! 「え…いいの?」 「友達だから、それ位いいの。時間足りないんだから、早くしょうね!」 「あ…うん、ありがとう!」 なぜかエリちゃんは微笑んだ。 「やっぱりルナちゃんは笑ってる方がかわいいよね」 「う…意地悪しないでください…」 そうか… さっき、私は笑顔を出したのですか… 「先にナイフでこまめに切って…」 「粉々に切る…」 「そして、袋に入れて暖かいお水の中に入れて、完全に溶けるまで待つ!」 「熱いお水…」 「…いやいや、それお湯じゃん。60℃位で十分よ」 「そうですか…はい、終わりました!」 「気合入ってるね。それじゃあ、チョコが溶けるまで、形でも考えたら?」 「形か…」 うーん…形ねぇ。やっぱり… 「ハートにしようかな…」 思わず口滑ってしまった。 「…」 エリは不思議そうな目で私を見た。 「え…あ…」 「あらぁ、ルナちゃん大胆…」 「い、いや!口滑っただけです!元は…そう、ハードルと言いたかったのです!!」 「…落ち着いて。そしてハードルってどういう形なの」 「…」 「…ハートの形にしていいよね」 「…お願いします」 「また、失敗ね」 「すみません…」 「ルナちゃんのせいじゃないよ」 二人で何回も試してみたけど、満足できるチョコレートは作れなかった。 「でも、何でこういうチョコにこだわるの?」 私が今作っているチョコレートは、トリュフチョコレートという種類なんです。 「トリュフチョコってかなり形が定めにくいけど…」 「…それはね、私が初めてタクヤ兄さんに会ったとき貰ったチョコなの」 「へー…て、まさかアタシ今凄く大切な話聞いてる?」 「さぁね」 私は、形の歪んだ失敗作を見ながら言い続けた。 「四年前のバレンタインの日、私は母上と父上の喧嘩に飽きて家を抜き出して、町を彷徨っていた。そして、あっと言う間に道を迷って、もう自分は何処に居るか解からなくなってしまったの。」 そういえばあの時から私暴走体質でした… よく近所の人から行動力抜群ですねって言われます… 「あの日は今日よりずっと寒かったから、薄着を着てた私は寒さに耐えられなくて、タクヤ兄さんの店に逃げ込んだの。その時、タクヤ兄さんが直ぐにでも泣き出しそうな私を優しく招待してくれたの」 エリちゃんは真面目に聞いているみたい。 「あの時タクヤ兄さんは、ハート型のトリュフチョコを私にくれたの。外は寒いから、チョコでも食べて体を温めてって言いながら。その時私は思ったんだ、タクヤ兄さんは凄いですっと」 「確かに凄いね…四年前って、確かにあのチョコのお兄ちゃんだって中学生だったよね?あんなに若い頃から洋菓子作るの上手かったんだ」 「それも一つですけど、私が凄いと思ったのは他にもあるんですよ。どうしてあんなに若いのに、私をそんなに安心させたのか、そんなに暖かい感じさせたのかって」 「…そして、あの時からチョコのお兄ちゃんと仲良くなったんだ」 「そう」 「…そして、あの時からルナちゃんはチョコのお兄ちゃんに惚れたんだ」 「そう…て、誰がベタ惚れなんですか!?もう、からかわないでください…」 「はいはい、悪かった…それより、早くチョコレートを作ろうよ、二人の思い出のためにも!!」 何故か燃え上がってるエリちゃんを見て、今まで落ち込んでいる自分が馬鹿らしいなっと思った。 「…うん、わかりました!」 …いつも助けて、支えてくれてありがとうね、エリちゃん。 翌日の朝。 ぐっすりと寝ている二人の前には、綺麗なハート型のトリュフチョコが幾つか静かに横ってる。 「…すぅ…」 「…ん…あれ?何で私、こんな所で寝てるの…」 ルナは大きな欠伸をした後、時計を見てみた。 「あ…六時過ぎたばかりですか、もう少し寝ましょう…て、え?」 「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!?」 「どうしたの…ルナちゃん…」 「もう、六時過ぎたわ!?」 「それがどうしたの…えぇぇぇぇ!?」 「早く港に行かないと!!」 そう言いつつ、私は港の方向へ飛ぶような速さで走り出した。 「ちょ!?アタシを待って!!そしてチョコも持って!!」 「…はぁ、はぁ…ルナちゃん?」 何とか港まで走ってきたエリは、心配そうに私を見ている。 「まさか…」 「…うん。船はもう行っちゃたの」 「そうなの…」 私達は黙ったまま海を見つめている。 「ルナちゃん、残念だけど…」 「私、船まで飛んでいきます」 「…え?」 「だから、私、船まで飛んでいきます」 「そんな事、出来るの!?」 「問題ないわ、一応ウァンパイアですから、浮遊魔法を使って飛ぶ事くらい出来ます」 「でも、ウァンパイアって自力で川や海を渡れないんじゃないの!?」 水はウァンパイアの弱点なので、私達は大面積の水の上空に居ると、恐怖のせいで体が意のままに動けなくなって、そのまま空から落ちるみたいです。だから、エリちゃんはどうしても私を止めようとしたのです。 「危ないってば!?暴走も場合を見なきゃ…」 「…でも…」 一回深呼吸をしました。 「でも、ここで諦めるなんて…できません!」 目を瞑って。 意識を研ぎ澄ませて。 魔力をすべて浮遊魔法に注ぎ込んで。 そして… 「う…!!」 海の上空に入った瞬間、何か異様なものが身体に圧し掛かった感じがする。 心の中で何かが叫んでいる。 たとえこの目で見なくても、ただ海の上にいるって意識するだけで体が痺れるみたい。 魔力の流れが言う事を聞かない… でも… 「ここで…自分に、負けちゃいけません!」 全身の力を使って、魔力を操ってみた。 必死に浮遊魔法を安定させる。 心の中の何かと戦って。 … どれくらいこの恐怖感と戦ったのか… 何とか、心の中の叫び声がゆっくりと静かになった。 そして、私は目を開けてみた… 「わぁ…」 目に映ったのは、果て無き蒼でした。 空から見る海は、そんなに広かったんですか… まだ起きたばかりの太陽さんのお陰で水面もキラキラしてて、思わず見惚れます。 それはきっと…他のウァンパイアは決して見れない風景ですね。 「あれは…」 間違いなく、お兄さんが乗っている船です。 嬉しさの余りに思わず船に向かって飛んで行きましたが… 「…え!?」 魔力を使い果てたみたい。 前に浮遊魔法を安定させるために、魔力がかなり消耗したためかも。 このままだと、海に落ちる。 「く…」 最後の力を振り絞って、タクヤ兄さんのところへ… ガシャン!! 「間に合った…って、ルナちゃん!?」 「タクヤ…兄さん?」 「ルナ!なんでここに…て、どうやってここに!?」 何とか無事に着陸できました…タクヤ兄さんが下敷きになっているけど。 「危なかったじゃないか!僕が来なかったら、怪我するかもしれないよ!?」 タクヤ兄さんは少し怒っていた。やっぱりまずかったのかな。 「ごめんね…」 「僕に向かって謝るんじゃなくて、もう少し自分の事大切にしてよ!!」 私の無事を確認した後、タクヤ兄さんはほっとした顔をしました。 …あぁ、私を心配してくれたのね。 なんか嬉しくて、暖かい…あの日のように。 あ…そういえば、本来の目的を忘れちゃいけません。 「あ…そういえば…あの…」 う…なんか恥ずかしいです… 「あの、よければ…このチョコを…」 ただチョコレート贈るだけなのに、何でこんなに勇気が必要なのでしょう… 「これって…」 タクヤ兄さんはそのピンク色の小さな箱を受け取って、何かを思い出したみたいに急いで中身を確認した。 「バレンタインの、チョコよ」 「…あの時の、チョコか。包装までそっくりだよ。」 「…まだ、覚えてたんですね」 「当たり前さ、ルナちゃんと始めて逢った日の事だから」 その言葉を聞いて凄く嬉しいのは何故でしょう。 少しの間、二人は何も言わなかった。 そして、私はタクヤ兄さんに聞いた。 ずっと聞いたかったのに、聞けなかった事を。 「タクヤ兄さん、一つ聞いていい?」 「…うん、いいよ」 「私って…タクヤ兄さんの中で、どんな存在なのです?ただの一人の常連?時々どうでもいい話をする普通の知り合い?それとも…」 「…一人の、気になる女の子さ」 「え…」 タクヤ兄さんは、海を見ながら言い続けた。 「始めて逢った時は、可愛いくて大人しい娘だと思っただけだけど…少しずつお互いの事解かってきたら、やっぱりルナちゃんは礼儀正しいけど、時々暴走する、元気で不思議な女の子だなっと思ったんだ」 確かに昔からいろいろ暴走してましたけど…なんだか傷つくわ 「そして、いつの間にか考えるようになったんだ、今日も来るかな、次はどんな不思議な事するかなぁって。期待するようになったんだ、ルナちゃんが店に来るのをさ」 「…ほんと?」 「あぁ」 …ずるいです…そんな言い方すると、自分を抑えれなくなります… 「…かぷ」 「痛!?」 私はタクヤに抱きついて、血を吸い始めた。 「ちゅ…ちゅる…ん、ごくん」 「な、なにやって…」 「私って、タクヤのこと大好きなの!ぜーったいに、タクヤ兄さんの嫁になるの!」 「え…」 言っちゃいました…でも、ここに来たら引き返せません! 「ウァンパイアの私に血を吸われたんだから、タクヤ兄さんは、例え向こうはどんなに良くても、私のこと裏切らないで…私も、どれだけ時間が長くでも、ずっと、待ってるからね…」 タクヤ兄さんは少し驚いた表情を出したが、直ぐに微笑んだ。 「相変わらず、暴走体質だな…わかった、約束するさ」 絶対に、お互いを裏切らない事 〜〜〜〜〜〜〜〜 「あれ…何でこんな所で寝てたの…」 なんか懐かしい夢を作りました。 そういえば、あれから丁度三年過ぎましたね。 タクヤ兄さんは今年も、帰ってこないのかな… 海の方向を見て、小さくため息をついた。 やっぱりそんな子供みたいな約束、守るわけないよね… その時、何かがわたしの頭を軽く叩いた。 「え…」 驚いて頭を後ろに向いた私は、見覚えのある、古くて小さいピンク色の箱を見えた。 それは、まさか… 「チョコ、美味しかったよ」 何度も夢の中で聞いた、あの声。 涙が言う事を聞かずに、こぼれ出した。 震えてる身体を抑えながら、言い出した。 ずっと、言う機会を待っていた。 「お帰り、タクヤ兄さん」 「あぁ…ただいま」 13/06/07 20:25 スーちゃんのランタン
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ランタンです。
… …… グタグタでつまらない話で申し訳ありませんでした!! ……ほんの少しだけ複雑なssを書いてみたら、直ぐに日本語の下手さが丸出しです…… どこで見たネタは忘れましたが、確かにウァンパイアって自力で川とか海とか渡れないんですね。図鑑世界では水が他の意味で弱点ですけど。 スー「なんか今回も危なかったね」 ランタン「そうだよな。ルナちゃんが海に落ちたら、タグにエロありを追加しないといけないし」 スー「…あぁ、そう…そう言えば、ルナちゃんの両親ってバレンタインの日喧嘩してたよね。なんでかな」 ランタン「…タグにエロありを追加したくないから、説明しなくていい?」 スー「…うん」 |
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