朧月
「騎士団に戻る気はないか？」
「でも……やはり、お前がいないと寂しい………毎日一緒でないと…駄目なのだ……」
あのいつもは冷静で…俺達の中では一番気丈なリデルが涙を堪えて言った言葉………
「俺だって……そう思う事ぐらいあるさ………」
自宅への帰り道の途中……俺は一人で呟く。
あれから二年もたつけど、今まで一緒だった幼馴染が突然いなくなるというのは慣れない…
両親が二人でずっと旅行に行ったっきり帰ってこない俺にとってはあいつ等は家族みたいなもんだった…
そりゃあ、任務の都合で離れる事はあった……でもそれ以外は本当に一緒だったから余計に寂しく思える。
「大人になったら……あたし達、騎士になろう！」
小さい頃…フレイが言った言葉を思い出す。
リデルは騎士の生まれで、騎士になることが義務付けられていた…
本人はそれを嫌とは思っていなかったけど、離れ離れになるのは嫌だったからフレイが提案したのだ。
まだ小さくてゴッコ遊びをするような年齢のアルマも騎士に憧れていたし、俺も離れるのは嫌だったからそれに賛同した。
あの頃は本当に毎日が楽しかったなぁ……そういえばリデルって水が怖いんだっけか…？
確か………
「木登り競争しようよ♪」
そうだそうだ…昔、アルマがそう提案したんだ。街の外の小川で木登り競争をしていたんだ。
まあ、ただの木だったら遊びなんだけどそれは城の様な大樹だった……つまり本気の競争で、
「ヤリィ！！僕が一番だ！」
５歳も離れていながら、俺達の中では一番運動神経の良いアルマが一番でその次が俺、そしてリデルとフレイが並んでいる時…
「リデル…降参した方が身のためじゃない…？アタシがアンタの代わりにゴールしてやっからさぁ」
「それはこっちの台詞だ……頂上について怖気づいても知らぬぞ…」
いつもやっているお互いを鼓舞するための罵り合いをしていて大丈夫だなって思ってたんだけど…
ゴウ！！
そんな音がするぐらいの突風が吹いて事件が起きた…
「リデルゥゥゥゥゥゥゥゥゥ！！！！？」
フレイの叫びに下を降りてみると………
リデルの首が無くなっていた………そりゃあもう奇妙だった。
だがそんな事思っている場合じゃない、どこに行ったのか探そうとしてるとリデルの手が手招きしたので、手を差し出すと…
『川…… 頭…… 落…』
っと手に書いてくれた………それだけ書いてくれれば何があったのかは分かり切っている。
「僕、ロープと救急箱持ってくる！！」
「アタシ、川見てくる！！」
一気に散った…ちなみに俺は気を失ったときのために体を支える係だった。
なんとか彼女の体を背負いながら樹から降りたけど……一向に動かない…
アルマがロープと救急箱を持ってきた頃、フレイもリデルの無くなった首を見つけた。
川と一緒に人の頭が流れていると言うのはなんともグロくて奇妙な光景だった。
結構深い所だったのでロープで救出したのだがそれからが大変だ。
正直、デュラハンの体の構造を知らない俺達は人間と同じ治療をして良いのかと迷ったのだ…
とりあえず分かったのが、首と体が空間で繋がっている事…それが何とか分かって行動開始した……のだが…
「えっと…とにかく飲んだ水を吐き出せばいいのね？…ウォラァ！！」
「ゴフゥ！！」
とりあえず水は吐いた。
「姉ちゃん！違う！違うから」
「人工呼吸…誰がする…？」
「人の命が掛かってんのよ！ホラ、トオル。ブチュウっていきなさい」
「俺かよ！！普通お前だろ！」
「ウルサイ！歯ぁ食い縛れ！！」
俺とリデルがファーストキスを失った瞬間だった………
「そんな事もあったなぁ〜……結果的に助かったからいいけど」
それから…リデルはカナヅチになって水が怖くなってしまった。
今ではアルマに弄ばれるための彼女の少ない欠点になっているが怖がるリデルは少し可愛い気がする。
あの頃は本当に毎日がのんびりだったりハチャメチャだったりした日々だったな。
アルマは年齢の問題があって俺とフレイとリデルの三人で士官学校に先に行って騎士になった。
その後アルマも最年少で試験に合格して騎士になったのだけど……
………その頃の騎士は四聖と言うものはなく、貴族が実権を握っているようなものだった。
そこで俺達は、憧れていた騎士の正体を知ったんだ。
貴族に嫌われればそこで出世は不可能……親から少なからずそれを聞いているリデルも予想よりずっと酷かったと言っていた。
「騎士の頃は、あんま良い思い出が無いな……」
陛下達も暴走する貴族達をどうにかしたかったが、いくら国を統べる者といっても裏のある貴族全部を敵に回すのは得策ではないと判断したのだろう。
いくら力があっても恐怖政治はしたくないとあの二人は言っていた。
そんな中で………俺は一つの過ちを犯した…
「う……ううう………」
思い出しかけていた時には既に家に着いていて、ソファーではルーシーが寝ていた。ルーシーは……恥ずかしいけど………俺の妻だ。
ある依頼で遺跡の調査に行ってコイツに出会い、紆余曲折？…を経て結ばれたんだ。
「私は………何を…？」
正確には寝ていたのではなく気絶していた…まあ、あの人に抱きつかれたらそうなるわな。
「突然押しかけてきたエリーナさんに抱きつかれて気絶してたんだよ」
少し頭が痛いのか、頭を抱えながら起き上がる。
「そうか……あの時か………ここの魔物は皆、あんなに強いのか？」
それに俺は、エリーナさんだけだ…と答えた。
……実際は皆強いんだけどあの人は特別だ……子供というか、愛情を振りまく対象には異常に強くなる。
ラブパワーとか言ってたけど…間違ってはいないかもしれない……
「ところで、どこに行っていたのだ？」
外出用の服を着ているから俺がどこかに行ったのを判断したのだろう。とりあえず水を飲む。さっき酒を飲んじまったから少し酔っているみたいだ……
「いや、お前が気絶している間に王妃さんから直々に依頼があってな。ちょっと済ませてきたんだ」
王妃からと言う言葉に少しルーシーが驚いた……確かに便利屋で王妃から依頼があったなんてありえない事だろう…
隠さなかったのはどうせバレる事だし…何より彼女には嘘を付きたくないからだ。
だけど驚いたルーシーの顔からはだんだんと笑みができていく……
「そうか……さすが元兵士…いや、元騎士の便利屋だな」
明らかに彼女は何かを知っているようだった……
「なあ………朧月のトオル」
一瞬、水を吐き出しそうになった……当たり前だよ。
俺は彼女に過去を話した事がない…なんでその名を知ってるんだよ？
「なぜ知っているのか……という顔をしているな。お前の戸惑う顔を見るのはやはり良いな」
そう言うと彼女は紙とメダルを持っていた。
「なっ！？それは！」
「どの任務でもめざましい活躍だな……主に諜報任務で活躍し、保身のために暗殺技術も身に付けている……四聖制度導入を考えた者達の一人で二つ名はまるで雲に霞む月のように存在を暗まし、人知れず獲物を狩る……朧月か」
……………いつか話そうと思ってたけど…意外な形で知ってしまったな…
「妻に隠し事をできると思っているのか？…私の鼻があればこんな事……と言いたいところだがアルマが教えてくれたのだ」
アルマか……あいつって本当に隠してる物を見つけるのが得意だな……度々隠し場所を変えてるのに…
リデルを含め、俺達は貴族達の信用は得られないまでも騎士達の憧れの的になるぐらい努力した。
その甲斐があって、一番しっかりしていたリデルは騎士団長になったんだ。
だけど俺は…一つだけ………失敗した。
人を殺すというのはどんな感じなんだろうか………
そりゃあ、殺らないと殺られるなんて場面はいくらでもあった…
でも、それでも俺達は殺さなかった。…そんな技量を持てた事には天に感謝している。
もし人を殺した場合、そいつが悪人だったら当然の報いだと割り切れるだろう……
だけど……初めて殺してしまった人が何も罪の無い善良な人だったら………どう思うのが正解なんだろうか…
俺は…………人を……殺した…
（※ここからは傾向には書いてありませんが少々ダークなシーンになります。
ダークな表現が嫌いな方は次の「※※※」がある所までお進みください）
いつの頃の任務だったろうか………
記憶の隅に追いやったせいでいつなのかは覚えていない。
……細かく思い出したくないだけなのかもしれない………
任務は国の乗っ取りを企てていた貴族の捕縛、屋敷の調査だった。
あまり事を荒げたくないために俺一人でやる事になったが………
任務は完了した……捕まえるのは簡単だ。ただ縄で縛ればいい。
一人の少女が死んで…任務は終わった。
「何だよ……何なんだよ………これ……」
俺が屋敷の中で見たのは何かの実験室だった。
魔法の研究なんてものはどの国でも大掛かりに進められている。
このマインデルタだって……同じだ。国を繁栄させるために魔法技術を発展させる。
それでみんなが幸せになるならそれで良い……
だけど………目の前にあるのは何だ…
実験室と言ったがそこは牢獄の様だ……
「騎士……様……？」
そこにいたのは、鎖で繋がれた少女………人の様で人でない少女だった
「ハァ…ハァ……カハッ！…ゲホ、ゲホ…」
苦しそうにもがいている少女はとても奇妙な体をしていた…
鎖に繋がれた四肢は獣の毛で覆われて……顔の半分は蛇のような鱗に覆われて…尾てい骨のあたりからは蛇が生えていた。
貴族は自分の欲望のために『人工の魔物』を作ろうとしていたんだ。
無茶な魔術による配合を繰り返したためか、知識の無い俺でも拒絶反応が出てると判った。
「ねえ………殺して…」
掠れ掠れの声で少女は呟いた……
床は赤に染まっている……おそらく何回も吐血していたのだろう。
「あ、ああ………」
声しか出なかった……
もう、彼女は救えない。………殺すしか救う道は無い。
楽にするには……殺すしかない……
本当にそうなのか？殺すしか道は無いのか？
殺せ！……嫌だ…殺す以外に選択肢などない……でも…駄目だ。
何か他に手はあるはずなんだ……！少しだけ時間があれば………！
「お願い……殺して……もう………嫌ぁ……」
考える時間など無い…………俺はその時間をこの少女を目の前にして耐え切れるはずが無いのだから。
銃を構えた……手が震える………
この娘は…何のために生まれたんだろうか……少なくともこんな風になるために生まれたんじゃない…
引き金に指を掛ける………
手だけじゃない……まるで地震が起きている様な感覚だ。
悲鳴を上げた………それは彼女の声ではない。
涙で目の前が見えない……でも、長年の勘が銃口を目の前の額に向けた……
カチッ
銃声は………俺の悲鳴で掻き消された……
「あ………が…と………」
倒れた少女の口がそう動いたのは俺の錯覚なのか…現実なのか判らない…
俺はただ……どんどん広がっていく血溜まりを呆然と見ていた
アレ以上に重かった引き金を…………
俺は知らない……………
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
「トオル……トオル！！」
気が付けば……俺を心配してくれるルーシーの姿があった。
「どうしたのだ…？顔色が悪いぞ…」
そうだった……今は彼女と話していたんだ…
「悪ぃ悪ぃ……そのメダルを見てたら昔を思い出しちまってな」
ルーシーは過去の俺を知らない……俺の過ちを知ったら、どんな顔をするだろう。
「お前のような奴が昔を思い出して顔色が悪くなるなど………酷いことでもあったのだろうな」
本当に察しがいいな……
「じゃあ、俺は風呂入ってくるから……」
「待て」
少しこの場にいられなくなった俺を彼女が呼び止める。
「そうやって…また私に何も教えてくれぬのか……？」
俺の手を掴み、ルーシーは俺を見つめる…その顔はとても寂しそうだった…
「私はお前の妻だ！！……お前を支えたい！お前と愛し合いたい！……なのにお前は何も教えてくれない…寂しいではないか……」
『お前がいないと寂しい………』
リデルもそう言ってた……
「一人で抱え込むな………どうして周りには善き友が……ここには私がいるのに…お前はヘラヘラして…本心を隠すのだ…」
そんなつもりは無い……俺はただ…
「怖いのだろう…」
「っ！？」
まるで俺の心を読んでいるかのように断言する。……確かに怖がっている。俺があの時何をしたのか知っているあいつ等は……俺が今でも引きずっている事をどう思っているのだろうか…
「私はアルマやフレイに初めて会った……だけど少なくともあの二人はお前が過去の何かを今だに引きずっているのが判っている……だからこそありのままの感情をぶつけてお前が自分から話そうとするのを待っているのだ……。私はそう思っている…」
[お二人さんはもうどれぐらい愛を語っているのかい？」
アルマの飄々とした態度
「いや、アタシはいつもぶつけたいモンはトオルにぶちまけるようにしてっから」
フレイが言った言葉
「私の首を…外してくれないか？」
リデルが見せた本心
あいつ等は自分をありのままに表現する。
何度も羨ましいと思った事もあった。
俺も俺らしく振舞っているけど……あんなに感情的になれない。
「教えてくれ………何があった…」
口を開いたのは……何故なんだろうか……
ルーシーは黙って俺の話を聞いてくれた。
騎士の事。彼女には会わなかったリデルという幼馴染の事。俺の過ち……
「なるほど……やっと話してくれたな」
話し終わる頃にはルーシーも自然体になっていた。その顔はどこか呆れているように思える。
「ごめんな………俺…そういうの言わないタイプだからな………イライラしたろ？」
「いや、話してくれただけでも満足だ……だが私の予想通り…お前は優しい人間なのだな…」
優しいか………もっと早く行動していたら結果は変わっていただろうか…
だけど、そんな事考えても時は戻らない……
「風呂入る気失せた……もうベッドで寝る」
と言うと、ルーシーは俺について来た。
少しこの場にいるのがキツクなって投げやりな態度になってしまったのに伝わるのは彼女が妻だからか…？どちらにしろ通じ合っている事には変わりはない。
「嬉しいぞ……お前から誘ってくれるなんてな………」
彼女の表情はとても期待している表情だ…褐色の肌が赤くなっている彼女はとても扇情的だ。
今日は…トコトンやらないと気が済まないかもな………
「トオル……あまり雰囲気を壊したくなかったから言わなかったが酒を飲んでいたな？」
裸の俺達はベッドの上でいざ寄り添おうとすると彼女は口を開く…
その言葉が俺を少し戦慄させる………そうだった…
これはやばいか……？
「……まあお前も悩みはあるんだ…一人で飲みたい気持ちもわからんではないが」
どうやら今回は怒る気がないらしい………よかったぁ…また襲われたらどうしようとか思ってたしこれなｒ
「……少し待て………なんだこの匂い…」
さらに戦慄が走る……………
なんだ……この空気は………なんで俺はこんなに恐怖を抱いているんだ…？
「女の匂い………フレイは違う…アルマは論外だ………エリーナとも違う……」
やばい………彼女は必死に今まで会ったこの街の女性を思い出している……
「あ、イタタタタ。俺、腹が痛いからちょっとトイｒ」
「待てと言っている………どうやら少し話し合いが必要なようだな…」
やっぱ………風呂に入っておくべきだったぁぁぁぁぁ！！
「ほう………一人ではなく先程話したリデルという者と酒を飲んでいて……そして接吻を交わしたと……………」
コクッ
ベッドの上で正座をして……俺は頷くだけだった……
「それは浮気か？…私への挑戦状か…？」
「滅相もございません………」
ああ………こんなに彼女を恐いと思った事は無い…
ゴゴｇ…いや、ドドドドドドドドドドドドドドドドド
みたいな感じの音が聞こえそうなぐらいに、彼女は何か人型をした闘志的なものをみなぎらせている……
「あの………オｒ……自分はそんな事をやろうと思っていたわけではなくて……彼女に無理矢理な形でやらされただけで」
「やったのは………事実なのだろう…？」
はい………スイマセン……
しばらく俺を睨む恐妻……は溜息をつき、
「まあ、お前の人間関係に口出しするつもりは無いし……お前の過去を教えてくれた事に免じて、再起不能になるまで犯すのは勘弁してやろう」
再起不能…！？
その言葉を聞いて震え上がった………今までやりすぎて腰も剛直も立たなくなるほどの罰を受けていたのにその上があるのか…！！
「だが…………そうだな…少し趣向を変えてみるか…」
そう言ってルーシーは俺の後ろに回る。
振り返ると鼻がぶつかるぐらいの距離になっていた……彼女の眼は足を崩せと命令している…
……従わなかったら…俺はどうなるのだろうか…？
ベッドの脇には小さな棚がある……彼女を満足させるためのモノがたくさん置いてある。
俺のモノは恐怖でなかなか勃ってくれない……
「うん…？怖がっているのか……安心しろ。悪い様にはしない」
フウ…と甘い息を耳に吹いた彼女は俺の首筋から頬、耳まで舐め回す。
「はぁ…レロ、はむ、ちゅぴ……んむ」
いつもの彼女の愛情表現だ。耳たぶを吸ったり献身に舐め回す彼女を見ていると………もう…
「やっと勃ってきたな……」
嗜虐的な笑みを見せて棚から取ったローションを足に塗りたくっている…
ちょっと待て………俺にそんな趣味はないぞ…
「人間の性行為の一つに、足コキと呼ばれるものがあるようだな…」
確かにある。だけどそれは特殊な趣味の人間同士でやる事だぞ。
嫌だ、俺はそんな人間じゃない…と言いたいところだが………そんな事は許されない。俺は肩身の狭い夫だ…
ローションでヌルヌルになった両足をルーシーは俺のに近づけて…
「待て、待て待て待て待て！！」
「待つ訳が無いだろう？……これは罰だ。まあこれでお前が感じたら……変態と罵られても文句は言えないぞ………フフフ♪」
………ギュム
「うあっ………ぁぁぁ……」
そんなもので感じるか……ってタカをくくってたけ…ど……
「どうした？…………まさか気持ち良いのか…変態だな♪」
その刺激は予想以上だった。……何でこんなに気持ち良いんだ…？
答えは単純……
肉球…だ…
普段からクリームを塗っていてケアに余念が無い彼女の肉球はまったくザラザラしていない…そして柔らかい…
それがローションによってぬるぬるになっている足の裏はえも言えない快感を生み出す…
「ルーシー……やめ、グゥ！？」
「ん？何か言ったか？」
にゅるにゅるとカリや先端を巧みに刺激してきて抵抗力をどんどん殺いでいく……
「だらしない顔だな………中々可愛いではないか♪……そんな顔をしていると……」
空いている手を俺の頬に添え…
「はむ…ちゅ、くちゅ、んむ、じゅるる……」
お互いに舌を入れ、絡め合い、唾液を混ぜるディープキス。
ルーシーの激しい舌の動きはさらに激しくなり……
ヤバイ！もう……限界だ…
「射精るのか？……はぁ、ハァ……ほら、射精しても良いのだぞ……」
弄んでいた足の速度がさらに早くなってスパートをかけてきた…！
「うあっ！？」
びゅく…びゅるるる……
勢いよく出た………
「ここまで勢い良く出るとは………では、このまま続けるぞ…」
「ハア！？、ちょっと待て！いくら何でもｙウグッ！？」
出したばかりで敏感な俺のモノをさらに責める……
シュッ…シュッ…シュッ…シュッ…シュ
……………ドピュ！……
それからが大変だった……
十数回は足で搾られた後、マミーの呪いによって強制勃起………
そして、無理矢理勃たされた剛直に彼女が跨りさらに十数回に及ぶ射精地獄………
「ハァン！！キャウン！！ダメだ…っあん…お前と交わると………自分が自分で、ハァ……無くなってしまいそ…クゥアン！」
「〜〜〜〜〜〜〜〜！！？〜〜〜〜〜！！！」
彼女はとても悦んでいたが俺の方は……全身に呪いをかけられ敏感なんてレベルじゃない体でしていたもんだから…
事後………
「み、水だぁ……水をくれぇ………」
「何だ？その減量中の選手のような頼み方は…」
指一本も動かせない状態で、仕方なく口移しで飲ませてくれる。
「ぷはっ……浮気をするお前が悪いのではないか…言ってはなかったと思うが私は嫉妬深いぞ…」
今回でよく分かりました……以後、気を付けます…と言いたかったがだんだんと意識がまどろんできて…
「寝るな」
ベシーン！！
「あべしっ！？」
「まだ罰は終わっていないぞ、私というものがいながら浮気をした罪は重い………マミーの呪いだけが脳ではないぞ。他にも強制的に絶頂させる呪いだとか精子が急ピッチで生産される呪いだとか私の快感をお前に送る呪いなどもあるぞ……」
そ、そんな……………
「では、何から始めようか……もう３０回も精を搾ったからな…まずは精子を作って貰うぞ…」
「あ、ちょ、やめろ！！何度でも謝る！謝るから！！」
「言葉だけではいけないぞ。精意（誠意）を見せて貰わねばな…」
出すか出さないか……それが問題だ……
ガクッ………………
「ハァ……ハァ………幸せ者だな…私は…」
トオルは気絶してしまった……私としてはもっとしたかったのだが仕方が無い……
「愛する夫の熱い子種をこうして受け止めているのだからな…」
そう、一人で呟く。
トオルは………子は欲しいのだろうか……？今は子種を魔力に変換させて避妊のような形で処置しているが…
正直に言うなら……私は子が欲しい。私と彼の愛の結晶を授かりたい。
トオルがくれた快楽の余韻が残る腹を…優しく撫で擦る……
まあ、時が来れば子を授かるだろう……それまで、今の幸せを堪能すればいい……
ふと壁に掛けてあるカレンダーを見た…
『大事な日。絶対に仕事は受けない』
そう書いてあった。
「そうか……では明日は自由時間だな………」
隣で苦悶の表情を浮かべながら寝る夫に口付けして……
少し熱いベッドの中で……
私達の温もりを感じながら床に就いた………
〜最終話「団欒」に続く〜
「でも……やはり、お前がいないと寂しい………毎日一緒でないと…駄目なのだ……」
あのいつもは冷静で…俺達の中では一番気丈なリデルが涙を堪えて言った言葉………
「俺だって……そう思う事ぐらいあるさ………」
自宅への帰り道の途中……俺は一人で呟く。
あれから二年もたつけど、今まで一緒だった幼馴染が突然いなくなるというのは慣れない…
両親が二人でずっと旅行に行ったっきり帰ってこない俺にとってはあいつ等は家族みたいなもんだった…
そりゃあ、任務の都合で離れる事はあった……でもそれ以外は本当に一緒だったから余計に寂しく思える。
「大人になったら……あたし達、騎士になろう！」
小さい頃…フレイが言った言葉を思い出す。
リデルは騎士の生まれで、騎士になることが義務付けられていた…
本人はそれを嫌とは思っていなかったけど、離れ離れになるのは嫌だったからフレイが提案したのだ。
まだ小さくてゴッコ遊びをするような年齢のアルマも騎士に憧れていたし、俺も離れるのは嫌だったからそれに賛同した。
あの頃は本当に毎日が楽しかったなぁ……そういえばリデルって水が怖いんだっけか…？
確か………
「木登り競争しようよ♪」
そうだそうだ…昔、アルマがそう提案したんだ。街の外の小川で木登り競争をしていたんだ。
まあ、ただの木だったら遊びなんだけどそれは城の様な大樹だった……つまり本気の競争で、
「ヤリィ！！僕が一番だ！」
５歳も離れていながら、俺達の中では一番運動神経の良いアルマが一番でその次が俺、そしてリデルとフレイが並んでいる時…
「リデル…降参した方が身のためじゃない…？アタシがアンタの代わりにゴールしてやっからさぁ」
「それはこっちの台詞だ……頂上について怖気づいても知らぬぞ…」
いつもやっているお互いを鼓舞するための罵り合いをしていて大丈夫だなって思ってたんだけど…
ゴウ！！
そんな音がするぐらいの突風が吹いて事件が起きた…
「リデルゥゥゥゥゥゥゥゥゥ！！！！？」
フレイの叫びに下を降りてみると………
リデルの首が無くなっていた………そりゃあもう奇妙だった。
だがそんな事思っている場合じゃない、どこに行ったのか探そうとしてるとリデルの手が手招きしたので、手を差し出すと…
『川…… 頭…… 落…』
っと手に書いてくれた………それだけ書いてくれれば何があったのかは分かり切っている。
「僕、ロープと救急箱持ってくる！！」
「アタシ、川見てくる！！」
一気に散った…ちなみに俺は気を失ったときのために体を支える係だった。
なんとか彼女の体を背負いながら樹から降りたけど……一向に動かない…
アルマがロープと救急箱を持ってきた頃、フレイもリデルの無くなった首を見つけた。
川と一緒に人の頭が流れていると言うのはなんともグロくて奇妙な光景だった。
結構深い所だったのでロープで救出したのだがそれからが大変だ。
正直、デュラハンの体の構造を知らない俺達は人間と同じ治療をして良いのかと迷ったのだ…
とりあえず分かったのが、首と体が空間で繋がっている事…それが何とか分かって行動開始した……のだが…
「えっと…とにかく飲んだ水を吐き出せばいいのね？…ウォラァ！！」
「ゴフゥ！！」
とりあえず水は吐いた。
「姉ちゃん！違う！違うから」
「人工呼吸…誰がする…？」
「人の命が掛かってんのよ！ホラ、トオル。ブチュウっていきなさい」
「俺かよ！！普通お前だろ！」
「ウルサイ！歯ぁ食い縛れ！！」
俺とリデルがファーストキスを失った瞬間だった………
「そんな事もあったなぁ〜……結果的に助かったからいいけど」
それから…リデルはカナヅチになって水が怖くなってしまった。
今ではアルマに弄ばれるための彼女の少ない欠点になっているが怖がるリデルは少し可愛い気がする。
あの頃は本当に毎日がのんびりだったりハチャメチャだったりした日々だったな。
アルマは年齢の問題があって俺とフレイとリデルの三人で士官学校に先に行って騎士になった。
その後アルマも最年少で試験に合格して騎士になったのだけど……
………その頃の騎士は四聖と言うものはなく、貴族が実権を握っているようなものだった。
そこで俺達は、憧れていた騎士の正体を知ったんだ。
貴族に嫌われればそこで出世は不可能……親から少なからずそれを聞いているリデルも予想よりずっと酷かったと言っていた。
「騎士の頃は、あんま良い思い出が無いな……」
陛下達も暴走する貴族達をどうにかしたかったが、いくら国を統べる者といっても裏のある貴族全部を敵に回すのは得策ではないと判断したのだろう。
いくら力があっても恐怖政治はしたくないとあの二人は言っていた。
そんな中で………俺は一つの過ちを犯した…
「う……ううう………」
思い出しかけていた時には既に家に着いていて、ソファーではルーシーが寝ていた。ルーシーは……恥ずかしいけど………俺の妻だ。
ある依頼で遺跡の調査に行ってコイツに出会い、紆余曲折？…を経て結ばれたんだ。
「私は………何を…？」
正確には寝ていたのではなく気絶していた…まあ、あの人に抱きつかれたらそうなるわな。
「突然押しかけてきたエリーナさんに抱きつかれて気絶してたんだよ」
少し頭が痛いのか、頭を抱えながら起き上がる。
「そうか……あの時か………ここの魔物は皆、あんなに強いのか？」
それに俺は、エリーナさんだけだ…と答えた。
……実際は皆強いんだけどあの人は特別だ……子供というか、愛情を振りまく対象には異常に強くなる。
ラブパワーとか言ってたけど…間違ってはいないかもしれない……
「ところで、どこに行っていたのだ？」
外出用の服を着ているから俺がどこかに行ったのを判断したのだろう。とりあえず水を飲む。さっき酒を飲んじまったから少し酔っているみたいだ……
「いや、お前が気絶している間に王妃さんから直々に依頼があってな。ちょっと済ませてきたんだ」
王妃からと言う言葉に少しルーシーが驚いた……確かに便利屋で王妃から依頼があったなんてありえない事だろう…
隠さなかったのはどうせバレる事だし…何より彼女には嘘を付きたくないからだ。
だけど驚いたルーシーの顔からはだんだんと笑みができていく……
「そうか……さすが元兵士…いや、元騎士の便利屋だな」
明らかに彼女は何かを知っているようだった……
「なあ………朧月のトオル」
一瞬、水を吐き出しそうになった……当たり前だよ。
俺は彼女に過去を話した事がない…なんでその名を知ってるんだよ？
「なぜ知っているのか……という顔をしているな。お前の戸惑う顔を見るのはやはり良いな」
そう言うと彼女は紙とメダルを持っていた。
「なっ！？それは！」
「どの任務でもめざましい活躍だな……主に諜報任務で活躍し、保身のために暗殺技術も身に付けている……四聖制度導入を考えた者達の一人で二つ名はまるで雲に霞む月のように存在を暗まし、人知れず獲物を狩る……朧月か」
……………いつか話そうと思ってたけど…意外な形で知ってしまったな…
「妻に隠し事をできると思っているのか？…私の鼻があればこんな事……と言いたいところだがアルマが教えてくれたのだ」
アルマか……あいつって本当に隠してる物を見つけるのが得意だな……度々隠し場所を変えてるのに…
リデルを含め、俺達は貴族達の信用は得られないまでも騎士達の憧れの的になるぐらい努力した。
その甲斐があって、一番しっかりしていたリデルは騎士団長になったんだ。
だけど俺は…一つだけ………失敗した。
人を殺すというのはどんな感じなんだろうか………
そりゃあ、殺らないと殺られるなんて場面はいくらでもあった…
でも、それでも俺達は殺さなかった。…そんな技量を持てた事には天に感謝している。
もし人を殺した場合、そいつが悪人だったら当然の報いだと割り切れるだろう……
だけど……初めて殺してしまった人が何も罪の無い善良な人だったら………どう思うのが正解なんだろうか…
俺は…………人を……殺した…
（※ここからは傾向には書いてありませんが少々ダークなシーンになります。
ダークな表現が嫌いな方は次の「※※※」がある所までお進みください）
いつの頃の任務だったろうか………
記憶の隅に追いやったせいでいつなのかは覚えていない。
……細かく思い出したくないだけなのかもしれない………
任務は国の乗っ取りを企てていた貴族の捕縛、屋敷の調査だった。
あまり事を荒げたくないために俺一人でやる事になったが………
任務は完了した……捕まえるのは簡単だ。ただ縄で縛ればいい。
一人の少女が死んで…任務は終わった。
「何だよ……何なんだよ………これ……」
俺が屋敷の中で見たのは何かの実験室だった。
魔法の研究なんてものはどの国でも大掛かりに進められている。
このマインデルタだって……同じだ。国を繁栄させるために魔法技術を発展させる。
それでみんなが幸せになるならそれで良い……
だけど………目の前にあるのは何だ…
実験室と言ったがそこは牢獄の様だ……
「騎士……様……？」
そこにいたのは、鎖で繋がれた少女………人の様で人でない少女だった
「ハァ…ハァ……カハッ！…ゲホ、ゲホ…」
苦しそうにもがいている少女はとても奇妙な体をしていた…
鎖に繋がれた四肢は獣の毛で覆われて……顔の半分は蛇のような鱗に覆われて…尾てい骨のあたりからは蛇が生えていた。
貴族は自分の欲望のために『人工の魔物』を作ろうとしていたんだ。
無茶な魔術による配合を繰り返したためか、知識の無い俺でも拒絶反応が出てると判った。
「ねえ………殺して…」
掠れ掠れの声で少女は呟いた……
床は赤に染まっている……おそらく何回も吐血していたのだろう。
「あ、ああ………」
声しか出なかった……
もう、彼女は救えない。………殺すしか救う道は無い。
楽にするには……殺すしかない……
本当にそうなのか？殺すしか道は無いのか？
殺せ！……嫌だ…殺す以外に選択肢などない……でも…駄目だ。
何か他に手はあるはずなんだ……！少しだけ時間があれば………！
「お願い……殺して……もう………嫌ぁ……」
考える時間など無い…………俺はその時間をこの少女を目の前にして耐え切れるはずが無いのだから。
銃を構えた……手が震える………
この娘は…何のために生まれたんだろうか……少なくともこんな風になるために生まれたんじゃない…
引き金に指を掛ける………
手だけじゃない……まるで地震が起きている様な感覚だ。
悲鳴を上げた………それは彼女の声ではない。
涙で目の前が見えない……でも、長年の勘が銃口を目の前の額に向けた……
カチッ
銃声は………俺の悲鳴で掻き消された……
「あ………が…と………」
倒れた少女の口がそう動いたのは俺の錯覚なのか…現実なのか判らない…
俺はただ……どんどん広がっていく血溜まりを呆然と見ていた
アレ以上に重かった引き金を…………
俺は知らない……………
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
「トオル……トオル！！」
気が付けば……俺を心配してくれるルーシーの姿があった。
「どうしたのだ…？顔色が悪いぞ…」
そうだった……今は彼女と話していたんだ…
「悪ぃ悪ぃ……そのメダルを見てたら昔を思い出しちまってな」
ルーシーは過去の俺を知らない……俺の過ちを知ったら、どんな顔をするだろう。
「お前のような奴が昔を思い出して顔色が悪くなるなど………酷いことでもあったのだろうな」
本当に察しがいいな……
「じゃあ、俺は風呂入ってくるから……」
「待て」
少しこの場にいられなくなった俺を彼女が呼び止める。
「そうやって…また私に何も教えてくれぬのか……？」
俺の手を掴み、ルーシーは俺を見つめる…その顔はとても寂しそうだった…
「私はお前の妻だ！！……お前を支えたい！お前と愛し合いたい！……なのにお前は何も教えてくれない…寂しいではないか……」
『お前がいないと寂しい………』
リデルもそう言ってた……
「一人で抱え込むな………どうして周りには善き友が……ここには私がいるのに…お前はヘラヘラして…本心を隠すのだ…」
そんなつもりは無い……俺はただ…
「怖いのだろう…」
「っ！？」
まるで俺の心を読んでいるかのように断言する。……確かに怖がっている。俺があの時何をしたのか知っているあいつ等は……俺が今でも引きずっている事をどう思っているのだろうか…
「私はアルマやフレイに初めて会った……だけど少なくともあの二人はお前が過去の何かを今だに引きずっているのが判っている……だからこそありのままの感情をぶつけてお前が自分から話そうとするのを待っているのだ……。私はそう思っている…」
[お二人さんはもうどれぐらい愛を語っているのかい？」
アルマの飄々とした態度
「いや、アタシはいつもぶつけたいモンはトオルにぶちまけるようにしてっから」
フレイが言った言葉
「私の首を…外してくれないか？」
リデルが見せた本心
あいつ等は自分をありのままに表現する。
何度も羨ましいと思った事もあった。
俺も俺らしく振舞っているけど……あんなに感情的になれない。
「教えてくれ………何があった…」
口を開いたのは……何故なんだろうか……
ルーシーは黙って俺の話を聞いてくれた。
騎士の事。彼女には会わなかったリデルという幼馴染の事。俺の過ち……
「なるほど……やっと話してくれたな」
話し終わる頃にはルーシーも自然体になっていた。その顔はどこか呆れているように思える。
「ごめんな………俺…そういうの言わないタイプだからな………イライラしたろ？」
「いや、話してくれただけでも満足だ……だが私の予想通り…お前は優しい人間なのだな…」
優しいか………もっと早く行動していたら結果は変わっていただろうか…
だけど、そんな事考えても時は戻らない……
「風呂入る気失せた……もうベッドで寝る」
と言うと、ルーシーは俺について来た。
少しこの場にいるのがキツクなって投げやりな態度になってしまったのに伝わるのは彼女が妻だからか…？どちらにしろ通じ合っている事には変わりはない。
「嬉しいぞ……お前から誘ってくれるなんてな………」
彼女の表情はとても期待している表情だ…褐色の肌が赤くなっている彼女はとても扇情的だ。
今日は…トコトンやらないと気が済まないかもな………
「トオル……あまり雰囲気を壊したくなかったから言わなかったが酒を飲んでいたな？」
裸の俺達はベッドの上でいざ寄り添おうとすると彼女は口を開く…
その言葉が俺を少し戦慄させる………そうだった…
これはやばいか……？
「……まあお前も悩みはあるんだ…一人で飲みたい気持ちもわからんではないが」
どうやら今回は怒る気がないらしい………よかったぁ…また襲われたらどうしようとか思ってたしこれなｒ
「……少し待て………なんだこの匂い…」
さらに戦慄が走る……………
なんだ……この空気は………なんで俺はこんなに恐怖を抱いているんだ…？
「女の匂い………フレイは違う…アルマは論外だ………エリーナとも違う……」
やばい………彼女は必死に今まで会ったこの街の女性を思い出している……
「あ、イタタタタ。俺、腹が痛いからちょっとトイｒ」
「待てと言っている………どうやら少し話し合いが必要なようだな…」
やっぱ………風呂に入っておくべきだったぁぁぁぁぁ！！
「ほう………一人ではなく先程話したリデルという者と酒を飲んでいて……そして接吻を交わしたと……………」
コクッ
ベッドの上で正座をして……俺は頷くだけだった……
「それは浮気か？…私への挑戦状か…？」
「滅相もございません………」
ああ………こんなに彼女を恐いと思った事は無い…
ゴゴｇ…いや、ドドドドドドドドドドドドドドドドド
みたいな感じの音が聞こえそうなぐらいに、彼女は何か人型をした闘志的なものをみなぎらせている……
「あの………オｒ……自分はそんな事をやろうと思っていたわけではなくて……彼女に無理矢理な形でやらされただけで」
「やったのは………事実なのだろう…？」
はい………スイマセン……
しばらく俺を睨む恐妻……は溜息をつき、
「まあ、お前の人間関係に口出しするつもりは無いし……お前の過去を教えてくれた事に免じて、再起不能になるまで犯すのは勘弁してやろう」
再起不能…！？
その言葉を聞いて震え上がった………今までやりすぎて腰も剛直も立たなくなるほどの罰を受けていたのにその上があるのか…！！
「だが…………そうだな…少し趣向を変えてみるか…」
そう言ってルーシーは俺の後ろに回る。
振り返ると鼻がぶつかるぐらいの距離になっていた……彼女の眼は足を崩せと命令している…
……従わなかったら…俺はどうなるのだろうか…？
ベッドの脇には小さな棚がある……彼女を満足させるためのモノがたくさん置いてある。
俺のモノは恐怖でなかなか勃ってくれない……
「うん…？怖がっているのか……安心しろ。悪い様にはしない」
フウ…と甘い息を耳に吹いた彼女は俺の首筋から頬、耳まで舐め回す。
「はぁ…レロ、はむ、ちゅぴ……んむ」
いつもの彼女の愛情表現だ。耳たぶを吸ったり献身に舐め回す彼女を見ていると………もう…
「やっと勃ってきたな……」
嗜虐的な笑みを見せて棚から取ったローションを足に塗りたくっている…
ちょっと待て………俺にそんな趣味はないぞ…
「人間の性行為の一つに、足コキと呼ばれるものがあるようだな…」
確かにある。だけどそれは特殊な趣味の人間同士でやる事だぞ。
嫌だ、俺はそんな人間じゃない…と言いたいところだが………そんな事は許されない。俺は肩身の狭い夫だ…
ローションでヌルヌルになった両足をルーシーは俺のに近づけて…
「待て、待て待て待て待て！！」
「待つ訳が無いだろう？……これは罰だ。まあこれでお前が感じたら……変態と罵られても文句は言えないぞ………フフフ♪」
………ギュム
「うあっ………ぁぁぁ……」
そんなもので感じるか……ってタカをくくってたけ…ど……
「どうした？…………まさか気持ち良いのか…変態だな♪」
その刺激は予想以上だった。……何でこんなに気持ち良いんだ…？
答えは単純……
肉球…だ…
普段からクリームを塗っていてケアに余念が無い彼女の肉球はまったくザラザラしていない…そして柔らかい…
それがローションによってぬるぬるになっている足の裏はえも言えない快感を生み出す…
「ルーシー……やめ、グゥ！？」
「ん？何か言ったか？」
にゅるにゅるとカリや先端を巧みに刺激してきて抵抗力をどんどん殺いでいく……
「だらしない顔だな………中々可愛いではないか♪……そんな顔をしていると……」
空いている手を俺の頬に添え…
「はむ…ちゅ、くちゅ、んむ、じゅるる……」
お互いに舌を入れ、絡め合い、唾液を混ぜるディープキス。
ルーシーの激しい舌の動きはさらに激しくなり……
ヤバイ！もう……限界だ…
「射精るのか？……はぁ、ハァ……ほら、射精しても良いのだぞ……」
弄んでいた足の速度がさらに早くなってスパートをかけてきた…！
「うあっ！？」
びゅく…びゅるるる……
勢いよく出た………
「ここまで勢い良く出るとは………では、このまま続けるぞ…」
「ハア！？、ちょっと待て！いくら何でもｙウグッ！？」
出したばかりで敏感な俺のモノをさらに責める……
シュッ…シュッ…シュッ…シュッ…シュ
……………ドピュ！……
それからが大変だった……
十数回は足で搾られた後、マミーの呪いによって強制勃起………
そして、無理矢理勃たされた剛直に彼女が跨りさらに十数回に及ぶ射精地獄………
「ハァン！！キャウン！！ダメだ…っあん…お前と交わると………自分が自分で、ハァ……無くなってしまいそ…クゥアン！」
「〜〜〜〜〜〜〜〜！！？〜〜〜〜〜！！！」
彼女はとても悦んでいたが俺の方は……全身に呪いをかけられ敏感なんてレベルじゃない体でしていたもんだから…
事後………
「み、水だぁ……水をくれぇ………」
「何だ？その減量中の選手のような頼み方は…」
指一本も動かせない状態で、仕方なく口移しで飲ませてくれる。
「ぷはっ……浮気をするお前が悪いのではないか…言ってはなかったと思うが私は嫉妬深いぞ…」
今回でよく分かりました……以後、気を付けます…と言いたかったがだんだんと意識がまどろんできて…
「寝るな」
ベシーン！！
「あべしっ！？」
「まだ罰は終わっていないぞ、私というものがいながら浮気をした罪は重い………マミーの呪いだけが脳ではないぞ。他にも強制的に絶頂させる呪いだとか精子が急ピッチで生産される呪いだとか私の快感をお前に送る呪いなどもあるぞ……」
そ、そんな……………
「では、何から始めようか……もう３０回も精を搾ったからな…まずは精子を作って貰うぞ…」
「あ、ちょ、やめろ！！何度でも謝る！謝るから！！」
「言葉だけではいけないぞ。精意（誠意）を見せて貰わねばな…」
出すか出さないか……それが問題だ……
ガクッ………………
「ハァ……ハァ………幸せ者だな…私は…」
トオルは気絶してしまった……私としてはもっとしたかったのだが仕方が無い……
「愛する夫の熱い子種をこうして受け止めているのだからな…」
そう、一人で呟く。
トオルは………子は欲しいのだろうか……？今は子種を魔力に変換させて避妊のような形で処置しているが…
正直に言うなら……私は子が欲しい。私と彼の愛の結晶を授かりたい。
トオルがくれた快楽の余韻が残る腹を…優しく撫で擦る……
まあ、時が来れば子を授かるだろう……それまで、今の幸せを堪能すればいい……
ふと壁に掛けてあるカレンダーを見た…
『大事な日。絶対に仕事は受けない』
そう書いてあった。
「そうか……では明日は自由時間だな………」
隣で苦悶の表情を浮かべながら寝る夫に口付けして……
少し熱いベッドの中で……
私達の温もりを感じながら床に就いた………
〜最終話「団欒」に続く〜
10/02/04 19:58更新 / zeno
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