傍観者の白昼夢
目覚めた「あなた」の視界は白い『もや』の中に沈んでいた。
ここはどこだろうと言う疑問すら沸いて出ない無気力感に包まれながらも意識だけははっきり映っている、そんな不思議な矛盾の中に居る。何もせず、何も思わず、ただぼんやりと『もや』を眺めしんとしていると、耳の奥底からぴちゃりと水の跳ねるような音がした。
反射的に意識を音へと集中させ、視線の先を音が聞こえただろう向きへ変える、ぴちゃりぴちゃりと音はより大きくなって頭の中に響いた。何の音か分からない、分かろうともせず、火に集う夜虫のように無我夢中でこの音を欲し、無気力な体が動き始める。生まれて初めて歩いたかもしれない奇妙な感覚、何も見えない中で何かを掴もうとする淡い錯覚。
すると『もや』の中から交わっている女と男が現れた。女も男も、共に全裸で、男の方は普通の、少し褐色染みただけの人間に見えるが、女の方は違っていた。
白い髪から角を出し、背には一級のガーゴイルが持つものよりも美しい白磁の翼、双眸には妖しさを帯びた赤い光を湛えている。女の方は魔物、その尋常ならざる美しさに「あなた」は恐怖を感じたが、金縛りにあったかのように目を離させない『何か』が交わりの中から漂っていた。
「はっ!はっ!はっ!」
「あはっ、はっ、もっと、もっとぉ♪」
男は、魔物の腰を掴んで後ろから魔物を犯していて、それに魔物は悦に入った表情で後ろから突かれる度に嬌声を上げている。そそり立ったペニスが魔物の中に突き立てられる度に、ヴァギナから液体が溢れ出て『もや』の中に零れ落ちる。既に男の方は何度も射精しているらしく、その液体はねっとりとした質感を持っていて、生々しい匂いと放ち、白濁色をしていた。
ごりごりとペニスの先端がヴァギナの奥のくびれを擦る度に魔物は筆舌尽くし難い性的快楽に身を貫かれる。反動に男は自分自身の先端が吸盤を押しつけたかのように感じながらも、優しく抱きしめるかのような温もりに、ただ出し入れするだけで腰が抜けそうになっていた。貪欲に男を求める魔物の腰使いに対し、男の方は目に見えて腰を動かす速さが落ち始めている。
男は目に見えて疲労している、けれど魔物は休息を許していない、挑発するかのような喘ぎと腰使いで男の本能を昂らせ性交を強要している。見た目は男が魔物を犯しているように見えて、その実、魔物が逆に男を犯している、そんなちぐはぐな交わりの中でも限界は訪れる。
「はっ!はっ!はっ……んっ!」
「ん、あはぁ、また、出てるぅ♪」
男の動きが一気に減速し顔を引き吊らせ全身がぶるると震えたかと思えば、魔物のヴァギナから大量の精液をペニスのカリで掻き出す。それがなけなしの体力を使っての行為だったのか、男は真っ白な『もや』の上に尻だけでなく太腿を下ろして大きく息を吐いた。
獰猛な雄の覇気が消えた、にも関わらず魔物は相変わらず雌の変わらず本能を眼に宿らせて燦々と輝いている。魔物は、ねっとりとした糸が未だ繋がる自分の性器をしばらく眺め、それから立ち上がると指で自分のヴァギナを広げて男に見せた。ごくりと音を立てたのは、男の喉から唾が落ちる音か、それとも魔物のヴァギナからとろとろの液体が落ちる音か。
「まだ出せるわよね♪」
魔物はそう言ってゆっくり男を押し倒すと、顔が固まる男に対し蕩けきった笑みを見せながらも男の上に跨りペニスをヴァギナで覆い被せた。騎乗位、これにより完全に魔物が男を犯している形になり、男は顔をくしゃくしゃにしてただ限界を超えた快楽に耐えるのみ。
そんな男を無視して魔物は男を犯す、貪るように犯す、腰を上下に、左右に、渦巻くようにうねらせて、がむしゃらに男を犯す。魔物の尻と男のぶつかる度にぱんぱんと軽い音が響き渡り、ペニスがヴァギナを突き上げる度に愛液と精液が混ざってじゅくじゅくと濁った音が溢れ出る。溢れ出る愛液と精液は留まる事を知らない、魔物の方はともかく男の方はただの人である、傍から見ていて脱水症状にならないのかと心配になるくらいに出ている。実際、男から出る精液は段々とねばりけと臭いの少ない、薄いものに変わっていっている。
魔物は精を喰らう生き物である。男の精液の変化を性交を通して鋭敏に察知しているのか悦に塗れたその表情は段々と冷静な、作業染みたものへと変わっていく。魔物が最後に腰を深くまで押し込んでヴァギナにペニスを突き立てると、再び男は汚い水をペニスから吐き出して、それからぐったりと息絶えた。
「ん…っ、…ふぅ。」
最後の余韻を味わおうと魔物はぶるっと全身を一度震わせて、腰を下ろし、大きな溜め息を吐いた。一時の休息、かと思いきや、今度は今の今まで傍観者であった「あなた」の方へと向き交わっていた時のように瞳の赤を輝かせる。
「今度は、「あなた」の番ねっ♪」
「―――――――――!」
夢見心地の少女のような言葉の魔物に「あなた」は自らを律していた金縛りを解き、ケダモノのよう咆哮を上げて魔物に襲いかかる。楽しげな魔物を組み伏せ、意のままに蹂躙する、それは先程の男と同じように魔物の意のままであることなど気に留めない。
何度魔物とキスを交えたか分からない、何度魔物のパイズリで射精したか分からない、何度魔物のヴァギナの中で果てたか分らない。気がつけば何もかもが白濁色に染まった『もや』の中に意識を混濁させていて、眼の前が真っ暗になっていた…。
目覚めた「あなた」の視界は見慣れた景色で埋め尽くされていた。青い空、白い光、自然の緑、家宅の茶色、何度も、何回も、何年も、見てきた、見慣れていた、生活の色。
不思議で淫らな夢を見た、途中から何も思い出せないが、一時に見た魔物との交わりの夢に想いを馳せ「あなた」はぼんやりとする。しかしふと我に返ってまだやり掛けた仕事が残っている事を思い出して、残った仕事を消化すべくは緩んだ頭を引き締めた。
…誰も知らず「あなた」だけが知るこの魔物との淫夢を見てから、ちょうど四十日が経った後。「あなた」が夢見た魔物「リリム」が「あなた」が住む国に現れ、国の在り方が大きく変わってしまう事を今の「あなた」が知る由もなかった。
ここはどこだろうと言う疑問すら沸いて出ない無気力感に包まれながらも意識だけははっきり映っている、そんな不思議な矛盾の中に居る。何もせず、何も思わず、ただぼんやりと『もや』を眺めしんとしていると、耳の奥底からぴちゃりと水の跳ねるような音がした。
反射的に意識を音へと集中させ、視線の先を音が聞こえただろう向きへ変える、ぴちゃりぴちゃりと音はより大きくなって頭の中に響いた。何の音か分からない、分かろうともせず、火に集う夜虫のように無我夢中でこの音を欲し、無気力な体が動き始める。生まれて初めて歩いたかもしれない奇妙な感覚、何も見えない中で何かを掴もうとする淡い錯覚。
すると『もや』の中から交わっている女と男が現れた。女も男も、共に全裸で、男の方は普通の、少し褐色染みただけの人間に見えるが、女の方は違っていた。
白い髪から角を出し、背には一級のガーゴイルが持つものよりも美しい白磁の翼、双眸には妖しさを帯びた赤い光を湛えている。女の方は魔物、その尋常ならざる美しさに「あなた」は恐怖を感じたが、金縛りにあったかのように目を離させない『何か』が交わりの中から漂っていた。
「はっ!はっ!はっ!」
「あはっ、はっ、もっと、もっとぉ♪」
男は、魔物の腰を掴んで後ろから魔物を犯していて、それに魔物は悦に入った表情で後ろから突かれる度に嬌声を上げている。そそり立ったペニスが魔物の中に突き立てられる度に、ヴァギナから液体が溢れ出て『もや』の中に零れ落ちる。既に男の方は何度も射精しているらしく、その液体はねっとりとした質感を持っていて、生々しい匂いと放ち、白濁色をしていた。
ごりごりとペニスの先端がヴァギナの奥のくびれを擦る度に魔物は筆舌尽くし難い性的快楽に身を貫かれる。反動に男は自分自身の先端が吸盤を押しつけたかのように感じながらも、優しく抱きしめるかのような温もりに、ただ出し入れするだけで腰が抜けそうになっていた。貪欲に男を求める魔物の腰使いに対し、男の方は目に見えて腰を動かす速さが落ち始めている。
男は目に見えて疲労している、けれど魔物は休息を許していない、挑発するかのような喘ぎと腰使いで男の本能を昂らせ性交を強要している。見た目は男が魔物を犯しているように見えて、その実、魔物が逆に男を犯している、そんなちぐはぐな交わりの中でも限界は訪れる。
「はっ!はっ!はっ……んっ!」
「ん、あはぁ、また、出てるぅ♪」
男の動きが一気に減速し顔を引き吊らせ全身がぶるると震えたかと思えば、魔物のヴァギナから大量の精液をペニスのカリで掻き出す。それがなけなしの体力を使っての行為だったのか、男は真っ白な『もや』の上に尻だけでなく太腿を下ろして大きく息を吐いた。
獰猛な雄の覇気が消えた、にも関わらず魔物は相変わらず雌の変わらず本能を眼に宿らせて燦々と輝いている。魔物は、ねっとりとした糸が未だ繋がる自分の性器をしばらく眺め、それから立ち上がると指で自分のヴァギナを広げて男に見せた。ごくりと音を立てたのは、男の喉から唾が落ちる音か、それとも魔物のヴァギナからとろとろの液体が落ちる音か。
「まだ出せるわよね♪」
魔物はそう言ってゆっくり男を押し倒すと、顔が固まる男に対し蕩けきった笑みを見せながらも男の上に跨りペニスをヴァギナで覆い被せた。騎乗位、これにより完全に魔物が男を犯している形になり、男は顔をくしゃくしゃにしてただ限界を超えた快楽に耐えるのみ。
そんな男を無視して魔物は男を犯す、貪るように犯す、腰を上下に、左右に、渦巻くようにうねらせて、がむしゃらに男を犯す。魔物の尻と男のぶつかる度にぱんぱんと軽い音が響き渡り、ペニスがヴァギナを突き上げる度に愛液と精液が混ざってじゅくじゅくと濁った音が溢れ出る。溢れ出る愛液と精液は留まる事を知らない、魔物の方はともかく男の方はただの人である、傍から見ていて脱水症状にならないのかと心配になるくらいに出ている。実際、男から出る精液は段々とねばりけと臭いの少ない、薄いものに変わっていっている。
魔物は精を喰らう生き物である。男の精液の変化を性交を通して鋭敏に察知しているのか悦に塗れたその表情は段々と冷静な、作業染みたものへと変わっていく。魔物が最後に腰を深くまで押し込んでヴァギナにペニスを突き立てると、再び男は汚い水をペニスから吐き出して、それからぐったりと息絶えた。
「ん…っ、…ふぅ。」
最後の余韻を味わおうと魔物はぶるっと全身を一度震わせて、腰を下ろし、大きな溜め息を吐いた。一時の休息、かと思いきや、今度は今の今まで傍観者であった「あなた」の方へと向き交わっていた時のように瞳の赤を輝かせる。
「今度は、「あなた」の番ねっ♪」
「―――――――――!」
夢見心地の少女のような言葉の魔物に「あなた」は自らを律していた金縛りを解き、ケダモノのよう咆哮を上げて魔物に襲いかかる。楽しげな魔物を組み伏せ、意のままに蹂躙する、それは先程の男と同じように魔物の意のままであることなど気に留めない。
何度魔物とキスを交えたか分からない、何度魔物のパイズリで射精したか分からない、何度魔物のヴァギナの中で果てたか分らない。気がつけば何もかもが白濁色に染まった『もや』の中に意識を混濁させていて、眼の前が真っ暗になっていた…。
目覚めた「あなた」の視界は見慣れた景色で埋め尽くされていた。青い空、白い光、自然の緑、家宅の茶色、何度も、何回も、何年も、見てきた、見慣れていた、生活の色。
不思議で淫らな夢を見た、途中から何も思い出せないが、一時に見た魔物との交わりの夢に想いを馳せ「あなた」はぼんやりとする。しかしふと我に返ってまだやり掛けた仕事が残っている事を思い出して、残った仕事を消化すべくは緩んだ頭を引き締めた。
…誰も知らず「あなた」だけが知るこの魔物との淫夢を見てから、ちょうど四十日が経った後。「あなた」が夢見た魔物「リリム」が「あなた」が住む国に現れ、国の在り方が大きく変わってしまう事を今の「あなた」が知る由もなかった。
12/04/01 23:18更新 / 全裸のドラゴンライダー