読切小説
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『太陽』を欲した『獣』
 私、瀬川 陽子(せがわ ようこ)は自分でも言うのもどうかと思うけど成績が優秀で見た目も良いし普段から周囲には笑顔で接してきた。そのおかげで私は男女双方に人気がある。品行方正で礼儀正しいから教師からも信頼されている。そして、それは家でも同じだ。両親はそんな私を自慢に思っている。
 
だけど、私はそれが『苦痛』だ……みんな、私が成績が高くてもみんなそれが『当然』だと思っている……男たちはみんな、私のことを下心でしか近づかない……両親は私が『凡人』でも愛してくれるのだろうか……?私はいつまで、『笑顔』と言う『仮面』をつけなくてはいけないの?本当の私はこんなにも歪んでいるのに……誰も気づいてくれない……向けるのは勝手な『期待』ばかり……そして、私はそれに応えることしかできなかった……きっと、みんな私が少しでも『期待』を裏切れば軽蔑するだろう……だけど、そんな私が唯一安心できる人間がいる……それは

「陽子お姉ちゃん、夜ご飯だよ」

「うん、わかった……ありがとう」

「今日はがんばってハンバーグ作ったんだよ」

「晴太(せいた)のハンバーグ……楽しみにしてるわ」

「ありがとう!!じゃあ、下で待ってるね」

「うん、すぐに行くね」

 私の実の弟の晴太だ。あの子だけが『特別』じゃない私を見てくれる……あの子だけが私を『特別』として見ないでくれる。あの子だけが私を『下心』で見ないでくれる。あの子だけが『特別』じゃない私を愛してくれる。

 晴太は私の6歳下の弟だ。明るくて思いやりのある子で共働きで家をあけが
ちの両親に代わって、文句を言わず家事をしてくれるいい子でもある。そして

 何よりも『笑顔』が素晴らしい……私のような作り笑顔ではなく、心の底から人々を癒す笑顔……あの子は『春の木漏れ陽』だ……だけど、私は時にそれが『苦痛』だと感じている……あの子はその笑顔をみんなに差別なく向ける。それが非常に空しい……私はあの子の『特別』じゃない……あの子には『特別』なんていない……だけど、必ずいつかはその特別に『誰か』が居座る……そうなったら、あの子は私のことを今までのように見てくれるのだろうか?……

 そんな『いつか』に私は常に怯えている。そして、あの子が私に最も『苦痛』を与えるのは

「あ、陽姉きた、早く食べよ」

「あ、うん。静香(しずか)ごめんね……待たせちゃって」

「別にいいよ、それより今日はハンバーグだよ?晴太の作る料理の中でもハンバーグは絶品だから本当に楽しみ〜♪」

「もう、静香お姉ちゃん、褒めても何も出ないよ?」

「え〜でも、晴太のハンバーグは本当に美味しいからね〜そ〜れ!!」

「お姉ちゃん!?恥ずかしいよ!?」

「いいではないか〜、頭撫でさせろ〜」

―――ズキン―――

 私は双子の妹の静香と晴太の絡みを見て、心の中が締め付けられるような感覚に襲われた。そう、私は実の妹に嫉妬している。私は静香が嫌いだ。静香は私と違って成績は『凡人』レベルだ。だけど、私と違っていつも友だちがいた。私と違っていつも本当の『笑顔』でいられる。私と違って『特別』じゃないのにいつも誰かに愛されている。私は勝手な逆恨みで妹を嫉んでいる。それなのにあの娘は私に『家族』として接する。何の疑いもなく。それが余計に私を惨めにする

 だって、同じ『顔』なのに……どうして、あの娘と私はこうも違うの?私は子どもの頃から周囲と比べたら何をやっても物覚えが良かった。ただそれだけなのにみんな私を『特別』だと勘違いした……あの娘は全く『期待』なんてされていないのに……どうして、周囲に人がいるの?どうして、あの娘は……あの子に……『笑顔』を向けてもらえるの?私はそれだけが悲しかった…それだけが空しかった……

「ごちそうさま……」

「あ、陽子お姉ちゃん食器はそのままにしていていいよ?」

「え、でも……」

「もう、陽姉は晴太がいいて言ってるんだからいいんだよ?」

「静香お姉ちゃんは少し、家の手伝いをしてほしいな……」

「ガーン!!弟に差別された」

「いや、こんなことで差別て言われても……」

「じゃあ、塾に行くね♪」

「うん、いってらっしゃい」

―――ズキン―――

「……いってらっしゃい」

「いってきま〜す!!」

 私は弟と妹の他愛もない会話にまた、胸が締め付けられた

 どうして、静香はそんなに自由奔放なのに嫌われないの?どうして、晴太はその娘に笑顔を向けられるの?

 私はそんな薄汚い思考を繰り返しながら二階の自室に向かった。そして、私は日記にあることを書いた

『今日も晴太は妹に笑顔を向けた。あの子は優しいけど、その笑顔が私を苦しめ、癒す。あの子の笑顔で重圧に押しつぶされそうな私は救われている。だけど、その笑顔が私だけのものではないのが私を苦しめる。私と違って何も悩まずに生きている妹にどうして、あの子の笑顔が向けられるの。不公平じゃない。どうして、私と違って苦しんでいないあの娘にも晴太の笑顔は向けられるの。あの子の笑顔が私だけのものにできないのなら』

 私は自分のドス黒い感情を日記に叩きつけた。人間としては最低の感情を私は叩きつけた。晴太の笑顔は私を救ってくれた。だけど、同時にそれは違う苦しみを私に与えた。『独占欲』だ。あの笑顔を私だけのものにすることができない空しさ。そして、私は最後に書いている自分さえも恐ろしくなることを書き記した

『あの子の泣き顔だけはわたしのものにする』

 そう、私はとんでもないことを書いてしまった。私はあることを妄想した。

 あの子を組み伏して跨って上からあの子の顔を見下ろしあの子の顔が恐怖に包まれ、泣きじゃくる瞬間を……そして、言葉で制止を懇願するが私の膣内で果ててしまいその行為が子どもをつくる行為であることをあの子に初めて伝えてあの子の顔が絶望に満ちた瞬間を……

 今、自分がどんな顔をしているか分からなかった。だけど、私はきっと、とても醜悪な笑顔をしていただろう

 あぁ、あの子の泣き顔が見たい……あの子の『笑顔』が私のものにならないのなら、あの子の『嘆き』は私だけのものにしたい……

 私は自室を出てあの子の部屋へと向かった。静香は塾に向かったらしい。最もあの子は塾に行きながらもただ友だちといれることが良いらしく、私と違って及第点を取れる程度しか勉強していない。そう、この家には私と晴太しかいない時間が週に3日もある。あの子を陵辱するチャンスは常にある。私はそれを想像するたびに背徳感と嗜虐心に襲われた

―――コンコン―――

 私はドアをノックした。そして、ドアを開けて私の求めた人物は姿を現した。そして、『笑顔』を向けてきた

「どうしたの?陽子お姉ちゃん?」

「う、うん……ちょっと晴太に頼みたいことがあって部屋に入ってもいい?」

「……?いいよ?」

 弟は私のことを疑うこともなく、無垢な瞳を向けていつものように笑顔を向けて私を部屋へと招いた。私は弟の部屋に入った。弟は知らない。私の『欲望』を

 ああ、なんて可愛いんだろう……こんなにも可愛いのに……どうして、この子と私は姉弟なの?今から私がこの子を壊す……一生私だけにしか感情を見せず、私だけしか見ないようにしたい……ああ、壊したい……

「で、お姉ちゃん?用てなに?」

「……それはね」

 私はこんなに穢れているのにこの子は『笑顔』を向けてきた。私はその瞬間

「ちょっと、夜更かししたいの」

 正気に戻り自分の本当の目的と違うことを晴太に告げた

「え?」

「いや、ごめんね……ちょっと、お姉ちゃん少し疲れちゃって。少し、晴太と遊びたいの……」

 私はここまで来るまで抱えていた感情をなんとか抑えつけて私は晴太に適当な理由でごまかした。すると

「いいよ!!」

 晴太は満面の笑みで私に対して嬉しそうに返事をした

―――ズキン―――

「お姉ちゃんと夜更かしか〜楽しみだけど、お菓子がないよ?」

「そうね……ちょっと近くのコンビニに行ってくるね……晴太は何が欲し
い?」

「う〜んミルクティー!!」

 炭酸が苦手な晴太はミルクティーを頼んだ。今年で11歳になる晴太はお茶のような渋味には慣れていないけど、甘すぎるものは苦手だから、ミルクティーぐらいのスッキリした甘さがある飲み物が好きだ

「うん、わかった……じゃあ、ちゃんと鍵を閉めてね?」

「は〜い、いってらっしゃい!!」

「いってきます」

 私は玄関から出たあとに『罪悪感』に襲われた

「私何してるんだろ……」

 私は自分を信じてくれる晴太をあと少しで私の勝手な『欲望』で傷つけそう
になった……あの子はこんな私にも『笑顔』を向けてくれるのに……私は……

 そんなことを考えているうちにコンビニに向けて足を向けていると

―――ピチャピチャ―――

 と何かが滴る音が聞こえてきた

 何だろう……?

 と私は気になって道路が上にあり、暗くて視界が悪いちょっとしたトンネルになっているところから聞こえてきた。私はそれを気味悪がったけど。しかし、私はそれになぜか引き込まれるトンネルの中に入ってしまった。中に入ると何もいる様子はなかった。すると

―――ビシャ!!―――

「え?」

 私は何かの水たまりを踏んだしまったようで、足元から水音が聞こえた。そして、それをよく見ると

「え、なに……これ?どういうこと……?」

 私はその水たまりの色を見てしまった。そして、これが『血』であることを理解してしまった

―――がさがさ――― 

「ひっ!!」

 私は『血』を見たことで気が動転していることに加え、突然トンネルの天井から聞こえてきた大きな虫が動くような不気味な音が聞こえてきたことでさらに恐怖を感じた。すると

「ちっ、なんだよ。人間の男が来たかと思ったら……女かよ……」

「な、なに!?」

 天井から声が聞こえてきた。私は慌てて天井を声の正体を探ろうとすると

―――ドスン!!―――

 突然、何か大きな物がトンネルに落ちてきた。それは

「ああ……こりゃ、まずいな……」

「ひっ!!ば、化け物……」

 よくわからない生き物だった。上半身は人間の女だけど。これは絶対に『人間』なんかじゃない。だって、肌は緑色だし、瞳は黄色、頭には角が生え、何よりも腕はかなり太く熊のように太く、下半身はもはや人間ではなく、毛深い蜘蛛のような姿をしていた

「おい」

「い、いや……こっちに来ないで……」

 怪物は私に声をかけようとした。だけど、私は初めて見る『異形』の存在に恐怖を抱き、後ずさりをした。しかし、震える足で後ずさったことで

「きゃあ!?」

「あ、おい!!」

―――ビシャ!!!―――

 私はつまづいて背中から思いっきり転んでしまった。そして、転んだその先は。あの『血だまり』だった

「痛……ひい!?」

 私は自分の服と体に『血』がついたことで錯乱してしまった。すると

「あ〜あ……これは……」

 怪物は顔を手で覆いなにか嘆息している。そして

―――ドクン!!―――

「!?」

「始まっちまったか……」

 突然、私の心臓に強い鼓動が走った。そして

「あ、あつい!!」

 体に熱が生まれ身体全体が火に包まれるような気分に襲われた。そして

―――晴太の精が欲しい―――

 突然、私が日頃、心の中に秘めている感情が頭を襲ってきた

「だ、だめ……!!そんな……こと……したら……」

 私はそれを必死で抑えようとするが

―――晴太の泣き顔が見たい―――

―――晴太を壊したい――― 

―――晴太を私だけのものにしたい―――

―――晴太の『笑顔』を私だけのものにしたい―――

「い、いや……晴太……」

 次々と襲ってくる劣情。そして、それに圧されるたびに私の身体は

―――メキメキ―――

「はひん!!」

 変貌していった。見て見ると私の腕はすでに目の前の『怪物』……いや、『ウシオニ』と同じものになりつつあった……変貌していく自分に恐怖を抱きながら、私の思考は既に『ウシオニ』のものに変わりつつあり、晴太との行為を妄想しそれを欲するようになっていった……しかし、それでも私は最後の『理性』で抑えようとした……だけど、それすらも消えそうになった……そして、その『理性』が消滅する一歩手前で私は……

「ごめんね……晴太……」

 とこれから『怪物』となってしまった私がしてしまう……もはや、『罪悪
感』すらも感じなくなってしまう弟への『愛(狂気)』を謝罪した……

「あああああああああああああああああああああああああ!!」

 それが『人間』としての最後の私の弟への『愛』だった……



「陽子お姉ちゃん、遅いなあ〜」

 ぼくは今日、お姉ちゃんと夜更かしする。お母さんやお父さんに見つかった
ら怒られそうだけど、2人とも今日は出張だ。ぼくははっきり言うと陽子お姉
ちゃんはかわいそうだと思う。だって、学校のテストでいい点数を取ってもみ
んな『すごい』とか『さすが』とかお姉ちゃんのそれが全部当然だと思ってい


「お姉ちゃんはみんなよりがんばっているのに……」

 ぼくはお姉ちゃんがいつも夜遅く勉強していることを知っている。だから、
お姉ちゃんのがんばっていることを一番知っている。

 でも、子どものぼくにできるのは……

「笑うことだけだよね……」

 ぼくはお姉ちゃんが嫌な思いをしないように家の中では学校で嫌なことがあ
ってももちこまなかった

 だって、お姉ちゃんのしてることの方が大変だもん……だから、ぼくだけでもお姉ちゃんを支えなきゃ……

「それに今日はお姉ちゃんと久しぶりに遊べる」

 ぼくとお姉ちゃんはお姉ちゃんが中学校に入学してから全然遊ばなくなった。さいしょはお姉ちゃんにも友だちができたんだと思ったけど本当は勉強ばかりをしていただけだった。だから、いつも心配してたけど

「今日はお姉ちゃんのために思いっきり遊ぼ!!」

―――ピンポーン―――

「あ、お姉ちゃん帰ってきたのかな?」

 ぼくはチャイムが鳴ったので玄関まで急いで走った

―――カチッ―――

「お姉ちゃん!!おかえ―――え?」

 ドアを開けたぼくは驚いた。

 だって……そこには……

「あぁ……晴太〜」

 お姉ちゃんの『声』と『顔』をした見たことのない『なにか』がいた

「え、お姉ちゃん……?」

「そうだよ〜お姉ちゃん『ウシオニ』になっちゃんだよ〜」

 目の前のお姉ちゃんの顔をした『なにか』ははっきり言った

「でね〜、お姉ちゃん……晴太にお願いがあるの〜」

「……え?」

 それはぼくになにか言ってきた。

 それは……

「ねえ〜お姉ちゃんに食べられてくれない?」

 ぼくはそれを聞いた瞬間、ぼくはわけがわからなかった。だけど……

―――バタン!!―――

 すぐにドアを閉めて鍵をかけた

「もう、晴太てば……開けてよ〜」

「いやだ!!」

 ぼくはお姉ちゃんの声でドアを開けるように言う『なにか』に向かってはっきり言った。すると

「じゃあ、いいよ……『力づく』で開けるから……」

「え?」

 それは突然そう言うと

―――ゴシャ!!―――

「ひっ!!」

「ただいま〜」

 ドアをたたき割って入ってきた。ぼくは尻餅をついてしまった。ぼくはあまりの恐怖に震えることしかできなかった。だけど

「うわ〜!!」

「あ」

 ぼくはすぐに立ち上がって急いでぼくの部屋に向かった走った

「あ、おいかけっこね♪じゃあ、遊ぼ?あははははははははは!!」

 後ろからお姉ちゃんは後ろから追いかけてきた……信じたくないけど、あれはお姉ちゃんだ……なんとか、逃げ切って部屋に逃げ込みぼくはドアに鍵をかけた……でもぼくは自分の首を絞めたことに気づいた

「あの力じゃドアなんか簡単に壊される……」

 ぼくはそのことを今ごろ気づいて後悔し始めた……そして

「う〜ん……今度はかくれんぼ?じゃあ、どこにいるのかな〜?」
 
お姉ちゃんはぼくを遊ぶように探している。ぼくは迫りくる恐怖でおびえるけど

「そうだ」

 ぼくはあることを思いついた

―――バリっ!!――― 

「晴太はここかな〜」

 お姉ちゃんはぼくの部屋に入ってきた。そして

「あれ?」

 あることに気づいたようだ。それは

「あ〜、窓から逃げたのね……」

 そう、窓が開いていることに。そして、お姉ちゃんは窓の方へと向かったらしい。ぼくはそれが過ぎることを切実に願った

「う〜ん、でも、晴太が違うところに隠れてたらどうしよう?」

 !?

 ぼくはその言葉に驚いた。そう、ぼくはこの部屋に隠れている。窓を開けたのは外に出たと思わせるためだ。お姉ちゃんはそれに気づきそうになっている

「でも、晴太は頭がいいから、こんな部屋で隠れていたらおしまいだと考えるし、外に逃げ出された方がもっと大変ね……よし、決めた!!」

 そう言うとお姉ちゃんは足音を立てて部屋から出て行った

「ふ〜」

 ぼくはお姉ちゃんが部屋にいないことを確認しクローゼットを開けた

「お姉ちゃん……どうして……」

 ぼくは安心したことで涙を流した。そして、お姉ちゃんが変わってしまったことに涙を流した。同時に静香お姉ちゃんが帰ってくることに希望を抱いたけど

「み〜つけた♪」

「え?」

 ぼくはお姉ちゃんの声がしたので慌てて後ろを振り向くと

「そこじゃないよ?上だよ〜」

「え……ひっ!!」

 後ろを見てもお姉ちゃんがいないことを確認すると上から声が聞こえたので上を見たら……

 お姉ちゃんは天井にくものように張り付いていた……

「つ〜かまえた〜♪」

「あぁ……」

 ぼくはお姉ちゃんに捕まった

「どうして……」

「え〜、だって晴太、窓から逃げるのにどうして……地面に足跡がついていないの?」

「あ」

 ぼくはそのことを忘れていた。

 そうだ、ぼくの部屋の窓の下は『庭』だ……

「じゃあ……晴太行こうか?」

「ひ、い、いやだ……」

「え〜どうして?」

「こ、こわい……」

 ぼくがそう言うとお姉ちゃんは目をつり上げた。その目は笑っていたけどぼくに『恐怖』を感じさせた

「あぁ、我慢できない……もう、離さないわ……」

「い、いや!!……離し―――んぐ!?」

 ぼくの口は突然なにかで塞がれた。そして

「ごめんね〜晴太……少し静かにしてね?」

「ん〜!!」

 ぼくは必死で誰かに助けを求めようとしたけどその叫びは空しくかき消され
るだけだった

「じゃあ、行こうか」

 とお姉ちゃんは怖い『笑顔』で言った

「んんんんんんん!!!」



「じゃあね、静香」

「うん、またね」

 私は今塾から自宅に帰っている

「いや〜、今日も疲れた〜こんな日は晴太の『笑顔』で元気を補充しなきゃ
♪」

 私は6歳下の弟が大好きだ。もちろん、『姉弟』としてね……晴太は本当に
可愛くてまるで『天使』のようだ

「陽姉も少しは明るく生きればいいのに……」

 そして、私は双子の姉のことを愚痴った。陽姉は子どもの頃から私と違って
『天才』だ。だけど、なぜか暗いところがある。学校では常に『笑顔』だけ
ど、なぜかわざとらしい。それでも、私の自慢の姉だ。私は弟も姉も大好きだ

「いつまでも家族で一緒にいられたらいいな〜」

 と私は常に願っている。しかし、その『願い』は自宅近くになって脆く崩れ去った

「え……これどういうこと……?」

 私はパトカーと警察官が多く存在し、玄関が滅茶苦茶に壊されている自宅を見た

「あ、静香ちゃん!!」

 近所に住むおばさんが私の存在に気づいて声をかけてきた

「お、おばさん……これは……?」

「大変なのよ!!陽子ちゃんと晴太君が!!」

「え……」

 私は一瞬なにを言っているのか分からなかった。そして

「本当に見たんだよ!!」

「いや、ですからそんな話……」

「だってこの目で見たんだよ!!」

 警察官がどうやら近所の人に事情聴取を行っているらしい。だけど、何かを目撃した近所のお兄さんは必死でなにかを言っている

「見たんだよ!!『化け物』が男の子を抱えて屋根を伝ってどこかに向かう姿を!!」



「は〜い、到着〜」

「んんん!!」

 私は適当な山で適当な洞窟に辿りついて腕に抱えていた晴太を地面に置いた

「あ、ごめんごめん……今、糸を解くね」

「けほけほ!!」

 私が糸を解くと晴太は咳き込み始めた……そして……

「お、お姉ちゃん……本当にお姉ちゃんなんだよね?」

「そうだよ?晴太のお姉ちゃんの陽子だよ?」

 晴太は声を震わせながら私に質問してきた

 あぁ……なんて可愛らしい顔なの……

「ど、どうして……そんな恰好してるの?」

「それはね……」

 怯えるように私に再び質問してきた晴太の顔に私は『愉悦』を感じてしまい
少し誤解が生まれるようにこう言い放った

「晴太を食べるためだよ?」

「え……」

 その言葉を発した瞬間、晴太の顔は血の気が抜けたようになり、そして顔を引き攣らせながら無理をして『笑顔』を作り

「うそ……だよね……?」

 必死に請うように私に聞いてきた。だけど、私は彼の想像している『食べ
る』を肯定していないが否定もせず

「本当だよ?」

 と私の定義で肯定と言う嘘をついた。すると

「い、いやあああああああああああああああああああああ!!」

 晴太は泣き叫びながら必死に洞窟の出口に向かって逃げ出そうとした……だ
けど、私はそれを簡単に捕まえた

「いやだ!!いやだ!!」

「もう、逃げちゃだめよ?」

 私の腕の中でジタバタする晴太は可愛い……これにはきっと何かを抱きしめたいと言う『母性』と晴太を陵辱したくなる『嗜虐心』が混ざっているのだろう……私は暴れる晴太を地面に組み伏した。その顔は私が普段、日記に記してきた『妄想』の『泣き顔』よりも素晴らしかった……その涙は私の『嗜虐心』をさらに高め、『天使』のような顔はいまや恐ろしいほど歪み、私に何をされるかわからない『恐怖』に包まれていた……そして、『涙』を再び流し……永遠のループを循環する……

「お、お姉ちゃん……やめてよ!!どうして、こんなことするの!?」

「それはね、お姉ちゃんが晴太のことが大好きだからだよ?」

「わからないよ!!もう、やめ―――ん!!」

「んん……」

 晴太は最後の反抗かはわからないけど私に強く質問してきた。だけど、私は紛れもない『真実』を述べた。それでも、わからないらしい。そして、私は晴太にキスをし、口の中を陵辱した。晴太は必死に口を離そうとするけど私の腕がそれを邪魔する。そして、晴太は少し苦しそうになり、私は口を離した

「ぷは―――!!はあはあ……グス……グス……」

 性行為の意味を知らない晴太でもさすがにキスの意味は知っており、自分にとっての初めてが実の姉に奪われたことに晴太はショックを受けてさらに涙を流した

 あぁ……晴太の初めてのキス……私の初めても……

 私はしばらく、自分のファーストキスを晴太に捧げられたことと晴太のファーストキスを奪ったことに感動に満ち溢れた。そして、今度は私のもう一つの初めてを捧げ、もう一つの晴太の初めてを奪いたくなった

「じゃあ、いただきま〜す」

「ひっ!?」

―――ビリビリ―――

 私は晴太の服を無理矢理破いた。そこには若々しく、肌はもちもちでありな
がらふっくらとしており、脂肪はあまりついてない幼児体型の晴太の肉体があ
った。そして、下腹部にはもちろん『あれ』もあった

「ん?」

 私が下腹部を見ると晴太の肉棒は立っていた

「あれ〜晴太も準備ができてるじゃないの」

「え?」

「そうか、晴太も嬉しいんだ!!私と一緒になること!!」

「え?なに……ひゃっ!?」

 私は晴太の肉棒を握り私の秘所にあてがった。私の秘所は既に濡れに濡れまくっていた

「これから、ここの口で晴太のおちんちんを食べるんだよ?」

「ふぇ!?やだあああああああああああああ!!」

 私は半ば嘘をついて晴太をさらに泣かせた・・・

 そうよ、この顔を見たかったの……誰も見ることのできない晴太の『顔』……私だけの『晴太』……

「お姉ちゃん……グス……グス……やめ―――」

「いっただきま〜す」

―――プツン―――

「ひゃん!?」

「あぁん!!晴太がわらしの処女をもらってくれた〜」

 晴太の肉棒が私の処女膜を貫いた瞬間私は『人間』だった頃に感じていたあらゆる『重圧』から解放された気がした

―――パンパン―――

「どう!?晴太!?気持ちいい!?」

「あぐぅ……お姉ちゃん……やめ……おかしくなりそう……」

 私は腰をさらに激しく振って晴太を責めた。晴太は勃起できるようになった
ようだけど、どうやら、精通はまだだったらしく、今、自分が感じている道の

『快感』に恐怖しているらしい。だけど、肉棒はさらに大きくなっていった

「あぁん!!またおおきくなった!!きもちいい!!」

―――ギチ―――

「ひぎっ!?」

 私は膣肉で晴太の肉棒をさらに強く締め上げ晴太にさらなる『未知』を与え
た。それにさらに晴太は快楽により顔が歪んだ。それは私をさらに興奮させた

「やめて……おかしくにゃる……」

「いいよ?おかしくなって!!これからずっと、お姉ちゃんが晴太の世話をし
てあげる♪ずっと愛してあげる♪」

 私は晴太が必死になってやめるように懇願しているのを無情にも断り、そして自分の『独占欲』を身勝手なままに晴太に向けた

―――ビクン!!―――

「ひゃん!!」

「いぎっ!?」

 晴太の肉棒はいきなり動きだし晴太は白目を向いた。どうやら、初めてのとてつもない『快楽』に驚いたのだろう。私はそれを嬉しく感じた

「あぁん♪晴太もお姉ちゃんと赤ちゃんつくりたいのね……あぁん♪」

「ふぇ!?あ、赤ちゃん?」

「そうよ……赤ちゃんて……こうやって……うまれるの♪」

 私は晴太の知らないこの行為の意味を話した。すると

「いやあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」

 晴太はなんとか私をどかそうとして、必死に手足を私に当ててきた。しかし、そんなものは無意味だ

「どいてよ!!おねえちゃん!!ぼくたちきょうだいなんだよ!?」

「大丈夫よ?私ね……あなたの赤ちゃんなら産めるから♪」

 晴太は私に必死になって懇願した。それも無意味なのに

 だって、私はあなたのことを愛してる……だから、あなたの子どもを産みたい……

 私はさらにそれによってさらに興奮した。しかし、次の言葉で私は

「たすけて……し……ずか……おねえ……ちゃ……ん」

「!?」

―――ガシ!!――― 

「っ!?」

「………………」

―――ミチミチ―――

 私は晴太の顔を左手で掴み少し力を入れた。そして、低い声で

「ねえ、晴太……次にその名前言ったら……殴るわよ?」

「!?」

「だから……私だけを見て?いい?」

 晴太は私に怯え、顔を縦に強く振った。そして、私は再び腰を振り始めた

「あん、あん、あん♪」

「あ、ああああ」

 晴太の瞳にはもはや、何も映っていない気がした。助けを求めることも許されず、もう、逃げられないことを悟ったのだろう

 晴太の『絶望』……ついに私は……これも手に入れたのね……

「―――!?」

 すると、突然晴太の肉棒はビクリと跳ね上がった

「あぁん!?晴太!?もう出るのね!?出して……お姉ちゃんの膣内に出し
て!!」

 晴太はどうやら本能で自分が何をするのかわかったらしく、突然私の子宮を突いてきた。そして、私ももうすぐイキそうだった。そして、さらに強く膣を締め付け

「あぁぁぁぁぁぁ」

「はあはあ……」

―――ドピュル!!ドピュ!!ドピュ!!―――

「「あああああああああああああああああ」」

 私の中に射精した。たぶん、これが晴太にとっての初めての射精だったのだろう

「「はあはあ……」」

 私と晴太は互いに息を荒げた。しかし、すぐに晴太はまるで、『人形』のように『無表情』になった

 ああ……壊してしまった……だけど、これでもう誰にも晴太は奪われない……でも、人形の晴太じゃ嫌だ……そうだ!!

―――ざくっ!!プッシャ―!!―――

 私は自分の左手を自分の右手で引き裂き『ウシオニ』の『血』を晴太に浴びせた。すると

「はあはあ……お姉ちゃん……もっと……」

 晴太は『ウシオニ』の『血』で身体中が熱くなったらしく、私に甘えてきた

「お姉ちゃん……晴太の赤ちゃん欲しいな〜」

「うん、ぼくもお姉ちゃんの赤ちゃんほしい!!」

「いいよ、可愛い私の晴太……」

「うん、ぼく……お姉ちゃんが大好き!!」

 私はこれが『インキュバス』になる前からの晴太の思いなのかわからなかった。いや、考えたくなかった。そして、それを紛らわせるために私は再び晴太を愛する



―――カシャ!!カシャ!!―――

「一言お願いします!!お姉さんと弟さんについて!!」

「事件の時なにがあったのかご存じですか!?」

「知りません!!もういい加減にしてください!!」

―――ガシャン!!――― 

 私はハイエナのような記者たちから逃げるように玄関を閉めた。陽姉と晴太
が消えてから1か月。私はマスコミに追われていた。未だに捜索活動は行われるが全く手掛りがなく、とある目撃者による

『化け物』が男の子を抱えて屋根を伝ってどこかに向かう姿を!!』

 と言う証言はただでさえ重大な事件に面白みを持たせたことで私は事件の関係者中の関係者である私は学校でも『奇異』の目で見られるようになった。学校の友達は私のことを気遣ってくれてるけど、それでも、通学路には記者たちが待ち受ける。両親は事件を聞いてすぐに帰ってきたけど、あまりのショックに母は鬱になり、父はやつれながら仕事をしている。そして、マスコミは捏造で私たち家族に問題があったなどワイドショーなどで勝手にでっちあげた。まあ、それを世間の中には

『家族の気持ちを考えろ』

 と言う言葉があり、そういうことはなくなった。だけど、マスコミは自分たちにとって都合のいい『真実』を求めて、私にしつこく迫ってくる

「陽姉も……晴太も……お父さんも……お母さんも……誰も悪い人なんていないのに……」

 私は涙を流すしかできなかった……

 どうしてなの?どうして……私の大切な人たちを歪ませようとするの……?

「会いたいよ……陽姉……晴太……」

 私は姉の部屋に向かった。そして、姉の残したものを見た。しかし、その中に私の見たことのないものがあった

「日記……?」

 私はそれを開いた



「あん、お姉ちゃん!!イク!!」

 私たち姉弟はあの日からずっと繋がっている

 でもいいの……私には晴太がいる……愛すべき『弟』にして『夫』が……

「あぁん、出すのね!!お姉ちゃんにまたたくさん出して!!」

―――ドピュ!!ドピュ―――

「「ああああああああああああああ」」

「はあはあ……晴太に問題♪これで今日……何回目でしょう?」

「え〜と、9回目!!」

「せいか〜い♪じゃあ、ご褒美にもう一回ね?」

 私は嘘をついた

 だって、もう、数えていないから……答えなんてないもの……

「やった!!お姉ちゃん大好き!!」

「ありがとう……私も晴太が大好きよ……そして、愛してるわ……」

 晴太はもう、私以外には『笑顔』を向けない……私以外には……二度と……

「「あぁん」」


 



 
13/09/20 14:55更新 / 秩序ある混沌

■作者メッセージ
 いかがでしたか?この度の物語は……え?『悪趣味!!』?『魔物娘を侮辱するな!!』?まあ、そうでしょうね……しかし、私としてはこれも『魔物娘』の姿だと思いますよ?それにこれは『魔物娘』の『狂気』だけではありません……『瀬川陽子』の『狂気』が『ウシオニ』の『本能』によって、解き放たれただけのこと……そう、これは『人間』の姿の一つでもあります……しかし、本当に瀬川陽子だけが悪かったのでしょうか?彼女はただ……誰かに愛されたかった……『特別』じゃないのに『特別』だと思い込まされた……そして、晴太はそれを支えようとした……そう、結局は一人の少女と一人の少年に全ての人間が『全て』を押しつけた……ゆえにこの『惨劇』は起きた……そして、それは新たな『歪み』を生む……そして、多くの『都合のいい真実』を求める浅ましいハイエナはその腐肉を漁る……しかし、陽子は全てから解放され、愛する晴太といられることに『喜び』を感じ続ける……周囲からすれば『悲劇』ですが彼女にとってはこれは……『救い』なのでしょう……では、次の舞台で皆様方に再びお会いできることを願いましょう……

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