辺地の王
――その男は、天涯孤独だった。 辺境に生まれた者の常として、その身に流れる血は数多。 雑種と呼ばれ蔑まれながら、男はひとり生き抜いた。 血を分けた父は既に亡く、産み落とした母は己を捨て、それでもひとり生き抜いた。 奪い襲い嬲り殺し、己の居場所を築き上げた。 驍勇は辺境に随一と謳われ、ひとかどの使い手としてのし上がった。 男が望めば、更なる高みへ駆け上がることも不可能ではなかった。 だが、男はそれを望まなかった。 国家の良将となる名誉を求めることも、一国一城を奪い取る野心を持つこともなかった。 ただひたすらに、辺境の在野にあり続けた。 名誉など不要。 野望など邪道。 理想など害悪。 己の望むままに生きることこそが、男にとっての生であり、望みであった。 そんな男が生き抜いた、争乱と淫欲の物語。 初投稿で初連載、すごく……無謀です…… かなり見切り発車な面もありますが、どうか生温かく見守っていただけますよう、よろしくお願いいたします。 ※Warning!※ 「図鑑世界」をベースにしておりますが、筆者の趣味と知識の関係上、どちらかといえば東洋史風の表現・描写がなされている場合があります。 その点にご注意・ご理解のうえご覧くださいますようお願いいたします。 |
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