連載小説
[TOP]
辺地の王
――その男は、天涯孤独だった。
辺境に生まれた者の常として、その身に流れる血は数多。
雑種と呼ばれ蔑まれながら、男はひとり生き抜いた。
血を分けた父は既に亡く、産み落とした母は己を捨て、それでもひとり生き抜いた。
奪い襲い嬲り殺し、己の居場所を築き上げた。
驍勇は辺境に随一と謳われ、ひとかどの使い手としてのし上がった。
男が望めば、更なる高みへ駆け上がることも不可能ではなかった。

だが、男はそれを望まなかった。

国家の良将となる名誉を求めることも、一国一城を奪い取る野心を持つこともなかった。
ただひたすらに、辺境の在野にあり続けた。

名誉など不要。
野望など邪道。
理想など害悪。

己の望むままに生きることこそが、男にとっての生であり、望みであった。

そんな男が生き抜いた、争乱と淫欲の物語。







初投稿で初連載、すごく……無謀です……
かなり見切り発車な面もありますが、どうか生温かく見守っていただけますよう、よろしくお願いいたします。

※Warning!※
「図鑑世界」をベースにしておりますが、筆者の趣味と知識の関係上、どちらかといえば東洋史風の表現・描写がなされている場合があります。
その点にご注意・ご理解のうえご覧くださいますようお願いいたします。
序章:幕家の夜10/11/03 22:07

TOP | 感想 | メール登録 | RSS

まろやか投稿小説ぐれーと Ver2.33