押入れと穴

『・・・そこでカメラをセットし一晩様子をみることにしたのです・・・。
そして翌日、映った動画を見てみると押入れの隙間から透き通った黒い影が!』
『影は部屋の中を見回し、何かに気付いたように静止しました。
 !!!
次の瞬間カメラに影が画面いっぱいに映ったと思ったら、ノイズを最後に途切れていました・・・』


「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!。この再現映像怖すぎんよ。怖すぎてトイレ行けねぇ。寝るのこえぇぇぇ!!」
寝る前に録画してあった心霊番組みてしまったバカこと俺は、加瀬 晃。
怖いこと嫌いなのにこんなTV番組だけは面白そうだからと言うノリだけでいつも見て後悔してしまう阿呆。
とはいえこの世に幽霊がいるかと聞かれればいねえよボケとしか思っていないのだが・・・

そんな俺にも最近気になることが・・・
草木も眠る丑三つ時。つまり午前2時くらいになると聞こえてくる意味不明のうなり声?お経のような、呪文を唱えているような?そんな物音がどこからともなく聞こえて来る。
最初は築35年のボロアパートのために家鳴りかとも思っていたのだが、唸り声が聞こえてくるようになったので気になりつつある。
「2階だから窓の外のわけないし、両隣のお隣さんは夜間仕事の人だし。朝方念仏唱えるどこかの宗教とも何か感じが違うんだよなぁ」

結論!気にしない!!

夏の寝苦しい夜はどうしても眠りが浅くなって目がさめる

“・・・・・・・・ッッッッッ・・・・ェェェェェーーーーォォォーーーー”
「…!?(空耳!空耳!気のせい!!気のせい!!・・・・・・!!?)」
“・・・・・・・・・ァァァァッッッッ……!!!!!キェェイィィィィィ!!!”
「…!!(そ、空耳!空耳だ!!気のせい!気のせいなんだ!!)」
“・・・・・ドンッ!ドンッッ!!ドンドンドンドン!!!”
「(・・・気のせ・・・!)・・・・・・・ッッッッダーーーだーれじゃぁぁぁぁーーーーうるせぇぇぇーーーボケガァァァァァァ!!!!」
“…………”
「…………???」
結局その後は何もなく眠気もすっとんで朝までもんもんとするハメになった

「ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛…。チックショォォオオォオオォォ!!!!今朝のあの変なののおかげで寝不足だし仕事はミス連発だぁぁぁぁぁ!!!!」
「音出しているバカ引きずり出してぶん殴ってやるッッッ!!!」

その日、早々に寝に入ることにした。寝不足も手伝ってすぐに寝れたのだが・・・
“……ッッッ………ブツブツブツブツ!!!………ォァァァァァ………キェェェーーー”
「!!?もう来やがった!!!」
用意していたバットを持ち、まずは外に出るアパートの周り、お隣さんの部屋の前・・・異常なし・・・
部屋に戻りベランダへ・・・・・・異常なし。orz
「(・・・かぁぁぁぁぁぁ!この部屋の中かよぉぉぉぉぉ!!)」
異音が続く中、絶望にも似た感情が巻き起こる
どうも押入れか、押入れ上の天井かその辺から聞こえるようだ。仕方がないので今日は車の中で寝ることにした。車内泊というのがあるそうだがこれはあんまりだ。なんで自宅の前で車内泊。

「・・・・・・押入れの中を調べなくてはなるまい!・・・が!がっ!この前のGWにモノをぶち込んで以来中を開けてないからカオスなのは間違いない」
俺の趣味はIYHなんてしょーもない癖?趣味?がある。モノを手に入れると途端に興味がなくなりそのまま押入れにGo!!である。
去年の夏の終わりに自作PCがいかれたんで押入れの中のPCパーツを漁ろうとした時のこと、なんと奥から出てきた積みゲーやパーツの箱類からキノコが生えていたこともある禁断の暗黒区。せっかく買われたのに何もせず朽ちようとするモノたちの呪詛なのか?それともオクで買った米軍払い下げのシュラフやヘルメットから怨霊でも?
押入れを前に戦慄でおののいていると・・・!!

“ガッガッ!!ドンドンドンッッッ”
「真昼間なのに押入れから怪奇音が!!!」

 ッドカーー!!!
『キャー汚なぁぁぁぃぃぃぃ』

押入れから戸をブチ破り黒いモノが転げ落ちてくる。その後を追うように崩れ落ちる箱の山・・・・・・
ぼーぜんとする俺・・・!

『たくぅなんなのよぉぉぉ!』
『・・・うむ?ここはどこじゃ?』
ぼーぜんとする俺・・・!?

目の前には刺激的な格好をしたお姉さん。そして何か偉そうな子供が

『オゥお主ここはどこじゃ?』
『あらぁ。好みのおにいさん!!!』
ぼーぜんとする俺
「・・・っっっなんだ???」

「押入れの中からドラぇ○んじゃない・・・。見事な乳と子供が!!!」
『貴様!この高名なバフォメットさまを前にして子供じゃと?何たる無礼!なんたる無知!!』
『そんなことより〜!いいことしよ〜!』
「なっなにが起こって・・・。ちょっとナゼ服を脱ぐ?。!!!ちょっと服を脱がせないで!!」
『こらっサキュバスの分際でわしを差し置き何をしているか!!』
『おにぃさんのココもう準備はいいみたいねぇ!!じゃっいただきまーす』
「新手の営業のヒトーなのー!?。ってぁぁぁー!!!」

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『わしの名は、バフォメット・クロゥス・メアリー。特別にメアリー、もしくはバフォ様と呼んでよいぞ?』
「・・・それでそのバフォ様が何用ですか?」
『こちらが名乗ったのに失敬なやつじゃの』
「俺は加瀬晃と言います」
『私はサキュバスのレナー♪』
「・・・なぜ家の押入れから?そもそもなんで」
『ウム。どうやら座標がずれた様じゃな』
「???魔物ですか・・・初めて見ました」
もみゅもみゅ
『貴様は魔物を見たことがないのか?』
「というか、この世に魔物という者そのものが存在していません」
ふにふに
『なんと、ではこの世はヒトだけの世であると?』
「はい。それは空想上の産物として本などに登場するのみです・・・。!っておぉぉぉぉぉぅ!!!」
『おにいさん!もっとHしよ!』
『ええぃ!サキュバス少し黙っておれ!話が続かん!』
『えぇー。バフォ様だってさっきのじゃ足りないでしょ?』
『まぁそうじゃのぅ…。ではない!それでは人間!この世界のこと詳しく教えてもらうぞ?』
「はっはい!ではそちらでは魔術が存在するわけですね?」
『そうさな!しかしこちらではマナが少ないの?魔術は発達していないのかぇ』
「そうですね。魔術ではなく科学が発展しました」
『なんとヒトの錬金術がのう』
「あのぅ。質問なんですが・・・」
『よい。言うてみよ』
「夜間唸り声がしていたのですが」
『そうなのか?空間移動用の穴を開けようとしていたのじゃが、うまくいきそうになると思うと空間?イヤ…空間と空間の間にある時空というかが、不安定になってしもうてな。それの保持しようとしたら魔力が足らなくなって、しかたがないから魔力補正の為に部下どもに乱交を指示・・・・』
「つまり、不安定ながら開いた穴からそれらの声が漏れていたと?」
『おそらくの』
「……テメェェェらのせいかよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」


----------------------しばらくお待ちください----------------------


「はぁはぁ・・・なんで・・・はぁ・・・そんな穴を作ろうと?」
『ふむ・・・ふぅ・・・ふぅ・・・ふぅー。反魔物派の教会連中の中枢にこちらとのアクセスを作ってやるのだ。こんな面白いことはないじゃろ?やつらのカチコチの頭では考えもつかぬことじゃろうて』
「やっぱり、人と魔物は仲が悪いのですか」
『うむ。じゃが魔王が変わってかなり魔物は人に友好的になった』
「魔王ですか」
『魔王は魔物の姿を人に近づけたのじゃ』
「たしかに、あなた方は接しやすい。もし穴から出てきたのが恐ろしげなクリーチャーの類なら、警察と自衛隊とお祓いとテレビと厚生省免疫対策班でも呼ぶわなぁ」
『とにかく、それにより、ひとは親魔物派と反魔物派に別れたのじゃが、新たに我等のシェア拡大のため!この計画を実行したのじゃ』

『ねェお・に・い・さ・ん』
「ん?!ぬおおうぅぅー!!マジ?ヤベー。なんでそんな俺のハートに響く格好を??」
『だってそこにあったこの本に。えへへへへ。こういうのが好きなんだ』
「メイド服なんていったいどこから」
『“魅了”と“具現化”よ』
「なんと恐ろしい。しかし、魔術サイコーーーー!!」

『サキュバス!あとにしろとあれほど言ったではないか!!』
『だってぇ。いいモン!おにいさんにくっついちゃうから』
「あのそんなにくっつかないでもらえるかな」
『どーしてー?』
「いや。あのね。いろいろとね!?(胸が背中に!息が首筋に!!)」
『・・・あー話を進めてもよいかの?とにかく我等、魔王軍は更なる勢力拡大のために魔界への扉を開き、人間達を勧誘する目的でここにいるのじゃ』
「はぁ。でも俺は現状に満足ですし魔界に行く気はないのですが?それにここは違う世界・・・!!ぅぅぅぅ乳が背中に!気持ちいい」
『ほらほ〜ら!我慢ゴッコ?おにいさんいつまで耐えられるぅ〜?』
『何を申す。そなたこの部屋からはなにやら不満足な気が溢れておるぞ?違う世界だろうが人間を獲得できる良い機会じゃ。ところでその箱からはこの世の不幸を呪う呪詛が洩れて来ておるのだが?』
「箱?ああPCか。インターネットの某大型掲示板にはこの世の不幸を呪う呪詛が確かに書き込まれていますが…」
『この箱を基点にこの世に絶望している者たちをこちらの世界に引き込めれば、そなたら人間も満足、我等も満足。お互いに良いこと尽くめじゃ!!!』
「その片棒を担げと?」
『ああなんと煮えきらぬ奴!!サキュバス準備は良いか!こやつを骨抜きにして我等の目的を達成するのじゃ!!』
『は〜い!!』
「ちょっとま!!!ってアアアアアァァァァァァーーーーーー」

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それはネットの片隅にひっそりと存在するページらしい
そして何よりもこの世に強く絶望感を抱いている者、性に飢餓感を持つ者でないとたどり着くことができぬとも。
そこにはこんなことが書かれている

“人材募集”
若くて毎日を持て余している人大募集!男性・女性 かまいません
新しい新天地で人生をやり直したい人はぜひぜひ応募してください!
応募方法は新天地を羨みながらPCの画面を6回3セット叩いて下さい!
係員がすぐさま駆けつけますのでどうぞご期待を!!

なお係員はPC画面を中心に某映画の貞子のように登場しますので心臓に病を抱えている方、心霊系に慣れていない方は十分お気を付けてください
移住先については係員が、魔界・妖精郷・万魔殿(パンデモニウム)でも責任を持ってお送りいたします

それでは皆々様の健康と幸せを心よりお祈りしております♪

魔界移住計画-日本支部 魔界移住計画全権大使 バフォメット・クロゥス・メアリー
            日本支部責任者    加瀬晃

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その後、某巨大掲示板にはときどき

名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage]
 *          巛 ヽ
            〒 !        。          。     *     。
   *         / /           。          。      *
       ∧_∧ / /   
      (´Д` / /    イヤッッホォォォオオォオウ!
      ,-     f     魔界への招待状ゲットォォォォォォォォ!!!
      / ュヘ    | *          。         。 
     〈_} )   |
    / ̄ ̄    !     。                *
    |  ├─-ヘ  |
    |  |  |  | ||| ギシッ 

            ∧ ∧ ∩
           ( ゜∀゜)/    魔界へ旅行に行って来るよ
          ⊂   ノ
           (つ ノ
            (ノ

         ハ_∧  
       ('(゚∀゚∩ くるよ!!
        ヽ  〈 
         ヽヽ_)
                     □←片道切符ボタン

なる書き込みがあり、魔方陣が画面に映ったという書き込み後その後さっぱり音沙汰なくなるなどと報告がなされる

はじめまして茶の頃と申します。皆様の愉快な小説に触発されやってみる事にしたのですが、なにぶん小説はド素人なのでわかりにくい表現もあるかとは思いますが生暖かく見てやってください

10/05/16 21:45 茶の頃

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