「はぁ──はぁ──」
　息を荒らげ、ベルは僕の家に入ってきた。
「いらっしゃい、ベルちゃん」
　リビングには、僕と天雨が隣り合ってソファに座っていた。
「………お前……あたしの奴隷から離れろ！」
「奴隷、ねぇ……はい、離れたわ」
　天雨はあっさりと僕から離れ、ソファの傍らに立ち、
「じゃあ、コーヒー入れてくるから、二人で話でもしていてちょうだいな」
　そう言ってキッチンへと消えていった。
「………………」
　ベルは、僕の向かい側にあるソファに座った。
　座って、僕をただただ睨みつける。
「良い身分だわ、こっちはダイエットに苦しんでいるというのに、あなたは他に女を作っているだなんて」
　僕は、何も言わない。
　そのまま静寂がリビングを包む。
「はぁい、コーヒーできたわよ」
　静寂を破ったのは天雨。コーヒーを三杯運び各々の手元に配る。
　だが、手をつけたのは天雨だけ。
　僕の家のコーヒーを勝手に淹れ、自分だけ飲む。図々しいやつだとは思うが、僕は口には出さない。
「あら？飲まないの？あれ？そういえば導くんは苦いもの苦手だっけ？」
　そういえばそうかもしれない。
「ふぅん………じゃあ、ベルちゃんは何で飲まないの？」
「誰が、泥棒猫のコーヒーなんか」
「そういうのは抜きにして。そんなに私のことが嫌なら殴りかかればいいじゃないの。そんな些細な反抗で満足かしら？」
　挑発。いつこの家が戦場になるかわからないほどピリピリとした空気が充満する。
「それに、嘘も良くないわ……飲まないんじゃなくて」

「『飲めない』んでしょ」

　とたんに、ベルの息が荒くなる。
「そ、そんなわけ」
「あらあら、ずいぶん無理しちゃって。無茶は体に毒よ。三日間も何も食べないなんて、それはダイエットって言わないわ。自殺って言うのよ」
「お、お前、一体」
　怒りじゃない。恐怖がベルを侵食していく。
「あら？図星だったかしら？この分なら全部正解ね」
「な、何が言いたいんだ、お前は！」
「じゃあ、ミルクを足さなきゃね」
　そう言って、天雨は。
　僕のズボンのジッパーを下げ、僕のペニスを露出させる。
「！」
「相変わらずおっきいわね………シコシコ♥」
　天雨は手で僕のペニスをしごき始める。
「な、なにやってんのよ！」
「別に、ただあなたが飲みやすいようにするためのトッピングをね。あぁ、私がやる必要はないわよね？ベルちゃんがシコシコする？」
「………………」
　ベルは息を呑んだ。
「ぁ…ぅあ………」
　明らかに焦っている。
　それは、例えるなら。
　秘密がバレた子供のようだ。
「しないの？じゃあ最後までさせてもらうわ」
　ニチニチと、場違いにいやらしい音が響く。そして。
　ドピュッ！ドプッ！ビュー！
　されるがままに、僕は射精する。
「おっとっと」
　天雨はコーヒーカップで精液を受け止める。
　黒いコーヒーに、白濁液がミックスされる。
「ちゃんと混ぜなきゃね」
　マドラーを取り出し、白濁液の塊を丁寧に崩してよくわからない色になった液体をベルへと差し出す。
「ほら、召し上がれ♥」
「ぅ」
　息がさらに荒くなる。
「我慢は毒だって言ってるじゃない……空きっ腹にコーヒーっていうのもアレだけど、これならいいんじゃないかしら？」
「ぁ………」
「しょうがないなぁ」
　天雨は、その液体を口に含み。
「ちゅっ」
　ベルに口移しで飲ませる。
「んきゅっ、やらぁ、こんなの………」
　ベルは涙を流し始めた。
　そして、その液体の入ったカップを取り、一気に流し込んだ。
「ごきゅっ、ごきゅっ………ぷはぁ………ガマンできなくなっちゃうじゃないぃ♥」
　やはり、天雨がベル到着前に言っていたことは正しかった。
　彼女は今、精液がないと食べ物が食べれない。
「よくできました♥」
「うぅ………やらぁ、もっともっとちょーだいよぉ♥」
「三日もガマンしたんだよね。ならしょうがないか」
　完全に、ベルは発情しきっている。
　真実、精液中毒だったわけか。
「ちょーだい♥ちょーだい♥」
「でもさぁ……いきなり導くんを捨てるだなんてヒドい話よね……それなりのことはしてあげないと駄目なんじゃないかしら？」
　これも、ベル到着の前に言われた。謝るまで僕からは精液をあげるな、と。
「ぁ…………導くん、ごめんなさいぃ♥あたし、ヒドいこと言ってごめんなさいぃぃ♥だからだから、はやくざーめんを」
「まだよ、まだ謝ることはあるでしょう？」
「うぅ…………導くんをどれーあつかいしたりしてごめんなさい」
「それから？まだあるでしょ？」
「もう、もうないよ……」
「素直になりなさい。本当は導くんのことどう思ってるの？私、全部知ってるのよ？」
「……………ごめんなさい」

「好き、だったのに、嘘ついたり、ど、導くんにお口じゅぽじゅぽされたのをオカズにして、何時間も、オナニーしてました」

「ふふふ、導くん、許してあげたら？」
　許すも何も。
　最初から僕は気にしてなんかしないんだ。
「あなたらしい解答ね。ベルちゃん、もういいわよ」
　許可をもらい、ベルは嬉しそうに僕のペニスに四つん這いで近寄ってくる。
「はぁぁぁん♥すごいにおいぃ♥ざーめんと、チンポのにおい、濃くて嗅いでるだけで、イっちゃいそうだよぉ……♥」
　お互い、地獄のような三日間だったのだろう。僕もガマンできなかった。
「いただきます………ちゅぷっ」

「ごめん、ベル」

　耐えきれなかった。
　僕はベルの頭を鷲掴みにし、前後に動かす。
「んんゅ！んぐっ！んごっ！じゅぷ！ずるっ！」
「ベル、ベル、ベル、好きだ、好きだ、」
「んじゅっ！わ、わらひも♥らよぉ♥」
「ベル、出すよ、ベルの大好きな精液、出すから残さず、飲んでくれよ！」
「わ、わかっはよぉ♥」
「ベルっ！」
　ビュルルルル！ビュクビュクビュク！
　三日ぶりの本気の射精を、彼女に叩き込む。
「おぐっ、んぐぅぅぅぅ！おごっ……ごぽぽ」
　喉の奥に、胃の中に、たっぷりと精液を流し込む。溺れ死ぬほどたっぷりと。
「んん───ぷはぁ、やっ♥あっ♥」
　全部出し切ったと思って、ペニスを引き抜くとピュッピュッと残弾が、彼女の口に入る。
「はぁ───はぁ───♥」
　今までにないほど濃い精液が、彼女の口の中を犯している。
「お、おくひで、にんひんしはいほうらよぉ……♥」
　口を閉じ、精液を噛んで味わう。
「くちゅ、ぷちゅ………どうのざーめん、いかくしゃくて♥なまぐしゃくて♥ぷりぷりしてて♥ずっとあじわってたいよぉ♥」
　こくり、と少しずつ、流し込む。
「んくっ♥喉と胃にざーめん染み込んで♥においとれなくなっちゃいそう♥」
　僕はそんな光景を見て。初めて思った。
　彼女を犯したい。
　口ではなく。彼女の膣を、子宮を。
　白く染め上げたい。
「ふふふ、じゃあ私は帰るから、あとは二人で楽しんでね。私の相手はまた今度お願いね♥」
　天雨は僕の頬にキスをして、リビングから出て行った。
　そうして、二人だけの空間が出来上がった。
「ベル………」
「なぁに♥？」
「セックスしよう」
「う、うん♥」

「導なら………いいよ♥」

　ベルはソファに、仰向けで寝ころんだ。
　僕は彼女のスカートを捲り、ショーツを脱がす。
　褐色のびしょびしょに濡れた彼女の秘部を、僕は目にした。
「はやくぅ♥導の太いチンポ、ここに入れて♥ガマンできないよぉ♥」
「いわれなくても……」
　ぐにゃり、と、秘部を割って、ペニスを中へと押し込む。
「いやぁぁぁぁぁぁ♥しゅごい、いれられただけで、イっちゃうよぉぉ♥」
　彼女の膣から、血が流れてくる。
　僕が、僕が彼女の処女を……
　そうおもうと、腰が自然に動き始める。
「すごい、キツくて、すぐ出ちゃいそうだっ」
　口、足、手、胸、脇、太もも。
　今まで体験してきたどの部位も、このベルのまんこの気持ちよさには及ばない。
「やぁ♥はっ♥そんなに、激しくっ♥しないれぇ♥」
「そう………じゃあ」
　悪い癖だ。すぐ彼女の言うことを聞いてしまう。
　僕は、腰を今度はゆっくりと大きく動かす。
「いぃぃぃぃぃ♥あっ♥らめぇ♥ゆっくりもらめぇぇぇ♥」
　ピクピクピクピクピクと、小刻みに彼女の身体が揺れる。
「ふふふ、じゃあさ、どう動いたらいいか……命令してよ」
「んぁん♥こんなにきもちよかったら♥うまく命令なんてできないじゃない♥」
「じゃあ、このままゆっくりさせてもらうね」
　僕は、ゆっくりと、小刻みに腰を動かす。
　さっきから彼女がヨガっているポイントを集中的に責める。
「ぅきゅぅぅぁ♥わかったぁ♥」

「壊れるくらい激しくぐちゃぐちゃにしてぇ♥！」

　仰せのままに。
「あﾞん♥いやぁ♥んごぉ♥らめぇ♥いっひゃぅぅ♥」
「さっきからイきっぱなしだよ、ベル」
　自然と、僕らは手を繋いでいた。
　『恋人つなぎ』である。
「ぁ♥どうぅ♥ちゅーしてぇ♥」
「いいよ」
　そして、僕らは初めて、キスするためにキスしたのだ。
「んーっ♥しゅきぃ♥しゅきぃ♥どうのあかひゃんうむぅ♥」
「わかったよ、わかったよ、ベル！今から、いつもごっくんしてたざーめん、中に出すよ！」
「ぅん♥らひてっ♥ベルのおまんこに♥しきゅーにっ♥たねづけしてくらひゃいぃぃぃ♥」

　ビュルルルルルル♥ビューッッ♥

「あぁ♥なかにでてるぅぅ♥あかひゃんできひゃうぅぅぅ♥」
「はぁ、はぁ、ベル、好きだ、ベル、僕と」

「僕と恋人になってくれないか？」

「うぅん♥ならない♥」
　えっ？
「なるのは、ふーふでいいでしょ♥？」
「…………ベル」
　僕はまた腰を動かす。
「いやぁ♥いきなり、うごかすのは♥はんそくでしょぉ♥」
「ベル、ベル、そうだね、結婚しよ」
「うん♥」




　こうして、僕達は夫婦になって。
　蠅のお姫様は、女王様になった。

■作者メッセージ
いつか番外編とか後日談とか書いてみたいなぁ