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夏祭り──やはり大きな祭のゲストは豪華 |
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えー、ついに。
ついにこのワタクシ27歳は、春深ちゃんと淫行に及んでしまいました。 これでもう言い逃れも後戻りも出来ない── それに、歯止めもきかなくなってしまった。 「あっ、く、ふぅ」 「ずちゅっ♥れろっ♥んちゅるっ♥」 デート先の公園、その公衆トイレの個室の中で僕たちは我慢できずに淫行に及ぶ。呆れることに、この間まであった沈黙の代わりに現れたのはこういうエッチな時間だった。 「うあ、あ、春深ちゃんの口、めちゃくちゃ気持ちいい……」 「ずじゅる♥じゅぶぶぶっ♥わかってますよー♥お口の中でビクビクしてますもんっ♥」 「ちょっ! その、ほっぺたでこすんのやめてっ! ああっ!」 あっけなく彼女の口の中に精液を吐き捨てる。 「あっ……あー……」 言い知れぬ解放感。僕は今可愛い恋人の中に射精している──その事実だけで心が溶けていってしまいそうだ。 「ちゅっ♥ちゅ、ちゅ〜〜ーー──っぽんっ♥」 口をすぼめ、一滴も外にこぼさないよう僕のチンポに吸い尽く春深ちゃん。高校生がそんなエロい顔していいのかってくらいやらしい。 「んあ……♥いっはいえあひたね♥」 『いっぱい出ましたね』と彼女は僕に口の中を見せつけてくる。真っ白な口の中、所々どろりと糸を引いている。 めちゃくちゃエロくていやらしい姿……思わず僕は春深ちゃんの頭を撫でてしまう。 「んっ……♥」 彼女はうっとりと目を細め、ごくりとその大量の精液を飲み込んでいく。 「んっ♥んくっ♥ごくっ♥ごきゅっ……ごっくん♥っはぁ♥」 全部飲んだから褒めてとばかりに空になった口の中を見せてくる。僕はそれに応えるようにまた彼女を撫でてあげる。 「一見さん……♥このまま終わりじゃないですよね♥?」 「あぁ、もちろんだとも」 春深ちゃんは尻を向けて僕を誘惑してくる。 これはデートなのだろうか…… ちょっとだけ疑問に思いつつも、この後何時間かそこで交わり続けるのであった。 そんな淫らな逢い引きが何度か続き、そして今日、ようやくそういうのを挟む余地がないちゃんとしたデートができそうなイベントが到来した。 それは── 「アイミンのミニライブ?」 一週間前、僕は入手した情報を電話で春深ちゃんに伝えた。 「そう、○○公園でのお祭りで来るんだよ! ゲストとしてっ!」 「え! そうなんですか!?」 ○○公園は街中のかなり大規模な公園だ。そこで行われる夏祭りもその大きさに見合ったかなり豪華なものとなっている。特に豪華なのは──著名人がゲストとして登場するイベントがあることだろう。その著名人のゲストに今年アイミンが選ばれたのだ。 「そうなんだよ! だからさ、一緒に見に行かないかい?」 普段デートに誘ってくるのは春深ちゃんの方だ。だが今回は、たまにはリードしてみようと僕から誘いをかけてみたのだ。 「あー、えーと……ちょっと待っててください、予定確認してきますから」 しかし、二つ返事で答えてくれたわけではなく、少し時間が経ってからOKがもらえた。 学校にあんまり行っていないとはいえ学生の身、予定が全く入っていない訳ではないのだろう。 「じゃあお祭りで」 「はい!」 ということで本日夏祭り。 やはり、街中だし大きいしでめちゃくちゃ人がいる。なんだか『祭』という感じがしてものすごくワクワクする。屋台から漂ってくる匂いもそれに拍車をかけてくる。 「お待たせしました!」 そんな風に童心に帰っていると、後ろから声をかけられる。振り向くと── 「すみません! ちょっと時間かかっちゃって」 「うわぁ……」 黒字に赤と黄色の文様が浮かぶ浴衣姿の春深ちゃん。 いや、もう、なんか、その。 「かっわ──────っっいいっ」 タメた。なんだか語彙で表現できないのでタメで表現することにした。 「うわぁ、なんだこの甘酸っぱさ。懐かしの青春の香りがするぞ」 こんな女子の浴衣姿でドキドキするなんていつぶりだよ…… 「な、なんか照れちゃいます」 照れる姿も可愛い…… 「…………ん? なにそれ?」 ふと、春深ちゃんがなんだか珍妙なものを持っていることに気がつく。風船、なのだが、こう可愛い感じのやつじゃなくて、赤とか黄色とか黒の輪っかがついてるあまりかわいげのないデザインだ。 なんだっけか、これ…………あぁ、鳥除けの風船か。 「ふふふ……これ可愛いでしょ? 単眼の子たちの間で流行ってるんです。屋台で見つけて、つい……」 「そういうものなのか、これ……」 辺りを見回すと、確かに二店舗くらいそういう屋台がある。ちょっとニッチすぎないか? あー、なんかそこらへんを歩いている鳥系の魔物娘たちがめっちゃビビってる……ちょっと可哀想。 「さ、行きましょう! ライブまではまだ時間がありますし屋台回りましょうよ」 「ん?」 春深ちゃんは綿飴を、僕はフランクルフルト(塩コショー)を買ってぶらぶらと歩いていると、ある屋台が目に入った。 どうやら射的の屋台のようだ。様々な景品があるが、中でも目に付くのは大きな熊のぬいぐるみだった。 「……」 春深ちゃんはそのぬいぐるみに釘付け。欲しいらしい。 ふぅむ……チャンスだな。ここはビシッと撃ち取ってみせて、春深ちゃんにいいところを見せなければ。 「よし。春深ちゃん、ちょっと待ってて」 僕は慌ててフランクフルトを頬張り、屋台のおっちゃんに金を払って銃を構えた。直接ぬいぐるみを撃てばいいのではなく、それと対応する的を倒さなくてはならないらしい。 その的は……かなり小さめのアルミ缶だ。少し難はあるが当てられないことはないだろう。 「よし……」 弾は四つ──必ず取ってみせる── ──無理だった。 「えー、おっちゃん! おもり入ってるとか聞いてないよー!」 しかし、そんな風に抗議をしても無駄だった。 くそぅ! あんなん倒せるわけないだろ! 「……いける気がします」 「へ? いやいや、結構きついよあれ。お金つぎ込まないと無理だと──」 「はむはむ──ちょっとこれ持ってて下さい」 彼女は綿飴を平らげ、僕に風船と割り箸を渡して射的に臨む。 「ん──よし」 やべぇ、かなりガチの構えだ。これはもしや── ぱこんっ。 しかし、そんな期待もむなしく一発目はハズレだった。 おやじはしたり顔だ──くそぉ、なんとかぎゃふんと言わせてほしいところだが…… 「ん──」 だが、彼女は揺らがない。その大きな瞳はまっすぐに標的を見据えていた──その触手の目も同様に。 ぱこんっ。 ──二発目は。 かこんっ。 缶の上部分に当たり。 こんっ── 缶は音を立てて倒れた。 「……うおお……」 「えへへーどうですか?」 「すげぇ」 「目は良いですからね──射撃は得意なんです。さて、まだ二発目。弾はあと二つありますからね、かっさらっていきましょう!」 「いやぁー春深ちゃんすごいなぁ!」 彼女はその後の二発も見事に当て、目玉の景品を根こそぎ手に入れてしまった。おかげで彼女の両手は埋まり、僕は風船と景品の一つを持つことに。 「最後めちゃくちゃ悔しがってたなーあのおっさん」 「ふふふ」 しばらく談笑しながら歩いているとアナウンスが聞こえてくる。 『まもなく中央広場にてアイミンショーが始まります──まもなく』 「あ、そろそろか──」 「さ、行きましょう! アイミンに会えますよ!」 「!」 春深ちゃんがいきなり手を繋いでくる。 とても柔らかい手のひらだった。 「ほらほら、急いで、早く!」 僕は言われるがままに歩く。そういえば春深ちゃんと一緒にアイミンを見るのは初めてだったな。 なんだかそれだけでものすごく新鮮に感じるし、とてもドキドキする。 「アイミンもイベントも待ってはくれませんよ」 なんだか夢のようだ。僕はそう思いながら彼女の手をきゅっと握った。 「お祭りに来てくれてるみんなー! アイミンショーにようこそー!」 わっと会場が沸く。もちろん、ディープなアイミンファンもいるだろうが老若男女のライトなファンも大盛り上がりだ。 「それじゃあ早速一曲目いっちゃおっかー!」 曲が流れ始める。 いつもは閉鎖的な場所で聞いていたが、こんな開放的で色んな人がいる中で聞くのも悪くない。 というか── 僕はちらりと右に座る春深ちゃんを見る。すごく楽しそうにノっている。でも僕の手は握ったままだ。 ──春深ちゃんと一緒に聞いてる、っていうのも大きいんだろうな。 イベントの間中、僕の気分は当たり前のことだが静まらない。曲の最中はそりゃもちろんめちゃくちゃハイになって興奮するし、その合間のトークも楽しくてつい声を出して笑ってしまう。 これの繰り返しだった──とてもとても濃密な時間だ。 「みんなまだ元気ー!? それじゃあこれでラストだから全部出しちゃってね!」 手拍子から始まり、ノリのいい曲が流れ出す。僕も手拍子。 ふと、手が軽くなっていることに気がつく。 「あ……れ?」 いつの間にか、春深ちゃんがいなくなっていた。さっきまでは僕の手を握って隣に座っていたはずなのに。 ──トイレにでも行ったのだろうか? いや、でも、さすがに一言何か言ってくれるだろうし、ここは話し声が全く聞こえなくなるという位置では決してない。 さっきまでの興奮が、急速に冷める。 「春深……ちゃん?」 その心の隙間を埋めるのは泥のような不安だった。 目の前でアイミンが踊って歌ってるというのに、僕は席を離れ、春深ちゃんを探しにいってしまった。 「春深ちゃん! 春深ちゃん!」 人混みを掻き分け、必死に叫ぶ。だがその叫びは喧騒の中に紛れて消えてしまう。 「春深ちゃん!」 どうしよう。 やはり、いくらどっちともがファンとはいえ、こうやって誘うのはまずかったか? アイミンにばかり盛り上がる僕に嫌気がさしたのか……? 嫌な予測が──半ば妄想だが──頭の中を占めていく。 次第に僕は人の波を抜け、公園の林の中へと抜けていく。 「春深ちゃん!」 いや、こんな所にいるはずなんてないだろう。だけれども、この時の僕は人混みを探すよりかはこっちを探した方が早い、なんて考えてしまっていた。 冷静が判断が出来なくなってしまっている。それほどまでに、取り乱し、動揺してしまっているのだ。 「春深ちゃん!」 「──何ですか?」 「うおっ!?」 しばらく叫んでると、茂みの中から返事とともに春深ちゃんが現れた。 「は、春深ちゃん……」 途端に、安堵が広がっていく。 「ど、どうしたんですか? 私、ちょっと具合悪くなっちゃったから静かなところで休むって言ったじゃないですか」 「そ、そうだったっけ?」 「そうですよ──あ、ああ、ちょっと泣かないでくださいよ。ほんと、ごめんなさい、もうちょっとちゃんと伝えるべきでした」 僕は慌てて涙を拭う。 うわぁ、嘘だろ。僕、女子高生相手にガチ泣きかよ……こんな年になってまで。 恥ずかしい…… 「ふふふ……こっち来てください。ぎゅ〜ってしてあげますから。ね?」 僕は言われるがままに彼女に近づく──抱きしめてくれた。 柔らかくて──温かい。とても安心する感触。 「……」 ずっとこのままこうしていたい── だけれどもこの時は気がつかなかった。 僕たちの今の関係の。その終わりへのカウントダウンがこの時に始まったのを。 17/10/04 22:32 鯖の味噌煮
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結局エロに走っちゃいました。
いやもう、ほんと、僕の実力じゃあなんかエロ挟まないと間が持たないのです! あと時期はずれだし、夏のデートといえば夏祭りみたいな貧弱な発想してるし──調子を取り戻すまでまたいくつか短編を挟むかもしれません。 次回は二人で温泉旅行です。 あと残り二話の予定です。 |
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