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恋と甘味と葛藤と |
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ある親魔領の小さな町の準備中の札が掛かった店の中店員の男性が一人溜息をついた。
名前はヴィムといい外見は10代後半茶色がかった黒髪の少々癖っ毛な青年といった容貌でウェイター服にエプロンを身につけている 幼い頃に反魔物領の貧民街での生活に嫌気がさし、逃げ出したところをある魔物の世話になり現在ではこの店を一人で切り盛りしている 店の内容は軽食や洋菓子をメインとした喫茶店と言った物を主に出している 明緑魔界産の虜の果実等を使ったスイーツやホルスタミルクやアルラウネの蜜を混ぜ込んだ焼き菓子等が主に人気で 小さな町だけに他に競争相手も居らず評判上々といったところ そんな青年の顔には憂鬱な表情でまた一つ溜息をついた と、壁に掛かった時計が開店時刻を知らせる鐘を鳴らしたことで我に返り青年はドアの札を開店に替えるべく動き出した この仕事は嫌いではなくむしろ貧民街で過ごした頃に比べれば夢のようなことなのだから 反面嬉しくも胸に残る複雑な気持ちを片隅に押し込めながら彼はその日の営業を始めた。 親魔領であるこの町では営業が不定期な店など珍しくも無い 多くの店主が魔物娘の番となり昼間からあるいは昨晩から交わって営業どころではないことが多いためである そんな中、連日営業しているのためか開店から数分と経たずに店内には客が入り始めた 主な客層は魔物娘やもしくはその夫婦がスイーツ目当てが主になっている とはいえ店内も一人で切り盛りする為にやや小さめなので店内の飲食よりも持ち帰りが多くなっている もっともその理由としては魔界産の果実を豊富に使ってる商品ゆえに店内で交わろうとしてしまう客の対策が本音なのだが いくら性に奔放な親魔領の町で出してる店とはいえまだ独り身の青年には些か刺激が強かったため考えた苦肉の策でもある。 しかし客層が魔物娘なだけあり幼い魔物達ですら平然と客同士の会話やヴィムへの世間話の話題が性や交わりに関するものであっても最早慣れつつあるのだが。 「はい、虜の果実のケーキにホルミルクのミルクプリンお待たせしました!またのご来店お待ちしております。」 ヴィムは勤めて愛想良く買い物に来た最後に並んでいたサキュバスへ商品を包み手渡しながら挨拶をした 昼過ぎの客が一度途絶えたので店の前の札を休憩中に替えてヴィムはエプロンを外しカウンターの椅子に腰掛け一息ついた それから暫くするとドアのベルが鳴り一人の魔物が店内にやって来た 茶色の艶のある髪を両サイドで纏め水着などよりもなお露出の多い服と言えるのかもきわどい衣装を着た山羊のような角と毛皮に覆われた手足のバフォメットだ 「いらっしゃいませ、お客様」 先程までの接客と違いどことなく軽い受け取りようによってはからかっているような声色で青年が腰掛けたまま応じる 「ふん、からかうでないわ。」 彼女、ことロレスはさして気にする様子も無く歩を進める 「相変わらず忙しかったようじゃの」 幼い外見に似つかわしくない古風な喋り方をしたロレスがそういってさも当然のように青年の隣に腰を掛けた 「おかげさまで、お客様の好意の賜物です」 とレスが答えるとロレスは一瞥しながら不満そうに言った 「そのわざとらしい敬語はやめんか、今は昼休み中なんじゃろ?」 とそれを聞いたヴィムは悪ふざけを止め気軽な様子で応じた 「まぁな、で今日は何にする?何時みたいにサバトの連中のおやつを受け取りに来ただけじゃないんだろ?」 その返答に幾分満足したようでロレスの表情が些か緩んだ 「そうじゃな、ホットケーキの虜の果実ソース添えとホットミルクでも貰おうかの」 「はいよ、何時ものやつだな、すぐ出来るから少し待っててな」 ヴィムも慣れた様子で注文を受け厨房へと入っていく 平静を装いつつもどこか落ち着かないロレスの視線を背に受けながら。 「う〜む、やはり三日に一度はコレを味わわんと落ち着かんの」 緩んだ頬を膨らませながらロレスがホットケーキを食べてる様子を見ながら青年は笑いながら返答した 「サバトの首領が直々に魔女たちのおやつを受け取りに来てる理由が間食目当てだって知ったら魔女たちはどう思うだろうな?」 「別にどうも思わんじゃろ、幼さと快楽に忠実であれが教義のサバトなんじゃし甘味を堪能して何が悪い」 ともあれ休業中に押しかけてることは苦言を呈されるかもしれんがの、と付け足しながらロレスは食べる手を休めずに返した 「さいですか、じゃあこっちが注文のクッキーな」 ヴィムは肩を竦めながら大袋をカウンターのロレスの傍に置いた 「しかし、注文しとけば知らぬ仲じゃないんだし届けに行くのに、わざわざ間食ついでとはいえ取りに来るとは律儀だよな」 やや呆れすら感じさせるような様子のヴィムの発言を丁度食べ終わったロレスがやや不機嫌そうに返す 「馬鹿にするでないわ、ただでさえ注文分の用意で開店前から働いてるお主に休憩中にまでそんな真似させられるか」 「そういう割にはしっかり注文して自分だけ他の物も食ってるよな」 と返すと「ぐ!」と息を詰まらせた様子だったが 「と、兎も角じゃ!明日もまた来るからな!」 というとカウンターに代金を置きつつ袋を手に提げるとそそくさとロレスは店から去って行った 「またのご来店をお待ちしてます」 魔物娘でも高位である彼女には大して重くも無いのだろうがそれでも不釣合いな大袋提げてる姿を見送りながら ヴィムは何時もの挨拶をどこか名残惜しげに向けた 午後の営業を終えて看板を下げた頃に顔なじみのの卸業者の形部狸とその下働きをしているゴブリン達から数日分の材料を受け取り ヴィムは日が落ちた店内で掃除をしつつ溜息をついた 脳裏に思い起こしたのは昼間に来たロレスのことだ。 幼き身で貧民街から逃げ出したは良いものの他所に頼れるものも無く都を飛び出して路頭に彷徨ってたのを拾ったのが彼女だった 丁度今居る町の近辺にサバトの支部を立ち上げようと単身旅をしてた彼女に此処まで連れて来られその後独学で店を持つに至るまで支援をしてくれたのも彼女だった 魔物は悪だ、化け物だと常々口にしてた都の貴族や教団の司祭よりも救いの手をもたらしてくれたロレスにヴィムは内心恋、いや愛を抱いたのも自然というものだろう しかし、ヴィムは魔物について知ろうと図鑑で調べて大きな衝撃を受けた。 それはバフォメットという種族が主に番に選ぶのは自分を打ち倒すほどの強者、そして存分に頼れる兄という記述だった 貧民外で幼少を過ごしたとはいえ彼は腕っ節はからっきしであり当然のように魔法を扱うなどと言う知識も才能も皆無だった それを知った頃に唯一の取り柄が拾われてから学び続けていたお菓子作りだけだった 客の笑顔を見れるこの道を誤りだとは思っても無いし思いたくも無い、だが同時に自身の恋愛の助けにもならないことは痛感していた。 「・・・俺もあの時どうして戦士とかを志したりしなかったのかね」 照明の薄暗い店内の中、ヴィムの溜息は止むことは無かった 深夜、今日中に出来る仕込みも終えたヴィムは寝床で荒い息を付き自分を慰めていた 脳内に思い浮かべるのはロレスの艶姿だった 元より水着以上の露出度の服を着ているバフォメットのことだ、その艶姿を思い浮かべるのは容易だった 「・・・っ!」 自信の欲望を吐き出しながら同時に彼は深い罪悪感にも苛まれた かつての自分を拾ってくれた恩義ある人物に淫らな欲望を抱いてる姿が浅ましく そしてどう足掻いても届かないという無力感を感じながらヴィムは深い眠りに落ちていった。 「・・で、じゃ近々この近辺に教団の五人小隊が進軍してるという情報を得ての。」 「いくら此処が小さい町とはいえ教団兵五人程度で攻め落とせるとも思えないけど?」 次の日の休憩中も何時ものようにホットケーキをほお張ってるロレスの話を聞きながら青年は返した 青年の返しは最もだ、一般的に身体能力の高い魔物娘相手に教団兵は散発的に挑んではそのまま番になるのが最早日常茶飯事と化してるのだから ましてや五人などという少数で町ひとつに攻め込もうと考えるなど無謀としかいえないものだった 「ただの小隊ならだがの、その中に一人勇者がおるそうじゃ」 咀嚼の合間に器用にバフォメットが話を進める ・・勇者、神の加護を得た超人的な人物で魔物にとっても十分脅威となりかねない人種である 「でも、その様子だと勇者込みでも絶望的な戦いって訳でも無いんだろ」 慌てることも無く平然とここでホットケーキを食っていながら実はピンチです、などとは言うまいとヴィムは確信していた 「まぁの、うちのサバトだけでも十分じゃろうけど念の為町の守備隊の魔物も動くようじゃしまず大丈夫じゃろう」 もっとも守備隊もサバトも独身の魔物が好機と勇んでるのも強いわけじゃがとロレスが呟いた 「ただ、その勇者がワシの兄上に相応しいかが些か気になる程度か」 おもむろに言ったその一言に青年は頭部を殴られるような衝撃を受けた。 「なんでそんな話を俺に?」 極力動揺を見せぬように勤めて青年がそれだけ搾り出した。 「なに、もしそうなったらこうして此処でこうして食事を取るのももうじき仕舞いかと思っての」 何処か冷めた様子で告げるバフォメットに青年は掠れた声で聞き返した 「何日くらいで連中はこの近辺に着くんだ?」 「二日、遅くても三日以内には。かの」 「そうか」 この言葉が精一杯の虚勢だった、他に言葉を言おうとしたら震えてまともに発言できるとは思えなかった。 「また、明日は来るつもりじゃ。馳走になったの」 何時ものように手に荷を提げたロレスが去っていく際も何時もの挨拶が咄嗟に出ることは無かった。 その日の午後店の前には臨時休業の札を立て青年は魂の抜けたような様子で椅子に腰掛けていた 伴侶、それは彼女達魔物娘が求めて止まないもの、そして自分では届かない以上いずれ誰かしらが現れるだろうと思ってはいた まだ今回の勇者がロレスの御眼鏡に適わない可能性があることも分ってはいるが いざこうして目の前に愛した相手が他の男を伴侶にするかもという事実はまだ若いヴィムにはあまりに衝撃的だった。 「まさか魔物相手に実らない恋なんて笑い話にもならないな」 自嘲気味にヴィムが誰も居ない店内で呟いた その時ドアのベル鳴り一人の魔物が入ってきた。 「申し訳ないけど今日は臨時休業中なのですが」 ドアのほうを見つめ入ってきた魔物への言葉を遮るように入ってきた魔物が言葉を発した 「悩みがあるなら相談に乗りましょうか?」 透き通るような白髪と思わず魅入られるような真紅の瞳を持つその魔物「リリム」は妖艶に微笑みながらそう告げた 「・・ご注文は?」 「じゃあ、ホットケーキの虜の果実ソース添えとホットミルクで」 青年のその言葉を肯定と受け取りリリムは満足気な笑みを浮かべたまま何時もロレスが頼んでいたメニューを注文をした それを受けたヴィムは静かに厨房に入っていった 「・・と、言うわけです」 ヴィムは洗いざらい自分の思いや現在の状況を目の前のリリムに話していた 何故初対面の相手に此処まで話す気になったのかは自分でも分らなかった 案外誰かに聞いて貰えば楽になるのかもといった希望的観測からかもしれない 「なるほどね、なんと言うかあの娘も貴方も随分回りくどいといことをしてるのね」 優雅なされどどこか異性の欲望を刺激するかのような動作でホットケーキを食べながらリリムはそう結論付けた 「どういう意味です?」 ヴィムはその感想が呆れられてるように感じ些か不機嫌そうに言った 「いえ、別に貴方達のことを馬鹿にしてるつもりなんて無いのだけど」 その様子にリリムはそう前置きしながら答えを返した 「確かにバフォメットという種族は自分より強い相手を伴侶に選ぶ傾向にあるけれど別に力こそが全てなんて甚だ考えてないと思うわよ」 リリムは青年の悩みを瑣末な問題と暗に言った 「少なくとも私から判断するとどう見ても貴方達もう番になる秒読みなのに変に細かいことを気にしてお互いすれ違ってるだけ、真っ向からその想いを伝えてみなさいな」 そう言いながら最後のホットケーキの欠片を口に運びホットミルクも飲み終えながらリリムは結論付けた それを聞いたヴィムは正直困惑しきっていた、自分が長い間胸の内で葛藤した悩みが杞憂だと一蹴されたのだから、無理も無いとも言えるが 「それでもどうしても拘るなら良い方法があるけど試してみる?さっきの食事のお礼に手を貸してあげるけど?」 心底不思議そうな様子の青年にリリムはその瞳を悪戯っぽく細めつつ提案した。 その日の晩町の郊外の林の中にリリムとヴィムは居た 「それじゃあ、私はもう行くけど。そしたらそれを食べてあの娘と向かい合ってみなさい」 何時もの着慣れたウェイター服では無く動きを妨げないようなシンプルな私服に皮製の軽鎧を青年は着ていた、 そして片手には魔界銀で作られた剣、そしてもう片方の手には青い筋が何本もに浮かぶ一本のキノコ タケリダケと言われる物が握られていた。 「あ、最後に一つだけおまじないをしてあげる」 そういうとリリムは青年の頭上から七色に光る粉末状の物を振りかけた 「この粉末は?」と問うヴィムに「貴方達の愛が成就する為に私からの祝福よ」と心底楽しそうに告げながら 「それじゃあ、私は行くところがあるから。後は頑張ってね」と夜の林の闇の中に消えていった 「御膳立てはして貰ったんだし、これは玉砕覚悟でも本音を伝えないとな」 青年は何処か観念したような同時に決意をした様子で渡されたタケリダケに齧りついた それから数分も置かずにその場にロレスが訪れた 「どういうことじゃ?ワシと一騎打ちで戦って欲しいなどという言伝をするとは」 まだ距離があるからか辛うじて理性を残してるヴィムにロレスは予想だにしなかった青年の申し出の意図を問いかけた 「無謀にしか感じないかもしれないけどこの一騎打ち、もしそっちが先に武器を手放した時はその時は俺をお前の伴侶にして欲しい」 青年がそれだけ言うとロレスは心底驚いたような同時に試すような笑みを浮かべて言った 「手加減はせんぞ、それを覚悟のうえでかの?」 「勿論お互いそうじゃないと納得もいかないだろ」 即答した青年にロレスは魔力で鎌を取り出し握り締めながら応じた 「ならば正々堂々確かめさせてもらうかの!」 それを聞いたヴィムは既に辛うじて残っていた理性を振り払いロレスに突っ込んでいた ロレスも一直線に肉薄しようとしたヴィムを鎌で迎え撃とうして振りかぶった 見かけは幼いといえど上位の魔獣であるバフォメットの一撃を受ければ訓練も碌に受けてない青年ならば容易く抑えられると確信していたからだ その鎌に青年も思いっきり剣を振り降ろし叩き落そうとした時も力押しで押し切れる、と。 静かな林にお互いの武器を打ち合う音が一度だけ響き直後に一本の獲物が地に落ちる音がした ロレスの鎌が青年と打ち合い呆気なく叩き落された音だった 驚愕の表情を浮かべるロレスにヴィムは自分の持っていた剣も放り出し林の草葉に押し倒し覆いかぶさった 「そっちが先に鎌を落としたんだから、俺の勝ちと言う事でいいよな?」 返答も聞かずにヴィムはロレスの唇を少年は乱暴に奪った。 それは普段の青年ならとてもしないような雄が雌を求めるようなものだった 「・・んっ、ちゅ、・・・はぁっ、」 互いの舌を絡めた激しいキスから口を離す時に互いの口を名残惜しげに唾液が糸を引いた 既にロレスの目も熱を帯びて期待するように潤みきっていた。 その姿に一層の欲望に駆られた青年は最早言葉を発することも無く木に背を預けロレスの華奢な体を向かい合うようにを抱え込んだ そして少女の腰を両手で掴み自身の膨張しきった肉棒をバフォメットの濡れそぼった秘所に宛がい、一気に貫いた 「〜〜〜〜!?」 躊躇も気遣いも感じさせない挿入を受けロレスは言葉にならない声をあげた だがその表情は苦痛などではなく明らかな快楽に塗れたものだった それを見た青年はそのまま最奥に到達した自身の肉棒を出口すれすれまで引き再度叩きつけるような挿入を繰り返した 「あっ・・、はっ!」 言葉は無くただお互いの荒い息遣いと水音だけが夜の静かな林に響き渡った そして腰に添えてあった手の片方がロレスの尻に這っていき指がその窄まりに添えられた 「な!お主、そっちは!」 息も絶え絶えになりながらも青年の意図を察しロレスは声をあげた それと同時に青年の指が少女の菊門に突き立てるように挿入されロレスは一際大きな嬌声を響かせた 挿入された指中で蠢くように動かすたびにロレスはヴィムの首に腕を回し必死にしがみ付きながら激しい快楽に身を震わせていた 最早膣の最奥を一突きされるごとに絶頂による目の眩むような快感を受けながら青年の肉棒が自身の中で絶頂を迎えようというのをロレスは 感じ取り無意識にその一際強く膣を締め上げながら声をあげた 「出るのか・・?良いぞ、そのまま中に・・!」 ただでさえ狭く締め付けていた膣が一層締まったことで青年の肉棒は呆気なく限界を超えその幼い膣の最奥に熱い欲望を流し込んだ 「んぁぁぁ!」 それを受け一際大きな絶頂を迎えたロレスは背を弓なりにし、その後糸が切れたかのように全身を脱力させ意識を落とした。 薄れ行く意識の中でヴィムの温もりに包まれて言葉に出来ぬほどの安堵を覚えながら。 朝日を受け次にロレスが目を覚ましたのは見慣れない部屋のベットの上に居た 自分の格好を見るとどうやら間に合わせで着せたのか大きなシャツ一枚だけを着ている状態だった どうやらベッドや身に纏っているシャツの匂いから此処は青年の店の寝室だと気付いたロレスはとりあえずベッドから起き上がり 寝室を出てヴィムを探してみることにした。とはいえヴィムの匂いがするほうに歩を進めるうだけなので探し始めてすぐに見つかったのだが 「あ、もう起きたのか。今仕込みが終わるからそしたら朝食を作るから」 青年は何時ものウェイターの服にエプロンを着て厨房の真ん中で作業をしていた 「あのあと此処まで主が運んだのかの?」 そうとしか予想出来なかったがロレスはその疑問を口にしていた 「・・流石にあのままお互い林で一晩ってのは訳にはいかないだろ、それに・・まぁ、原因は俺だし」 ヴィムはそう言いつつバツの悪そうに最後のほうは口篭りながら答えた こっちに目もあわせられない様子で顔が耳まで林檎のように真っ赤になっているのが見て取れた 「あんな風に無理矢理襲い掛かった後に伝えるのもおかしいかもしれないけど伝えたいことがあるんだ」 意を決した様子でヴィムはロレスに向き直り一呼吸置いて言った 「俺を伴侶としてずっと一緒に居てくれないか?」 先ほどから厨房の入り口に居たロレスは気付けば青年のすぐ間近に来ておりそのまま無言で背に腕を回し青年の腹部に顔埋め顔色も見えない状態で呟いた。 「まったく、ワシが予想してた以上に無茶な方法をとりおってからに」 呆れと少々の不満を籠めたような声で少女は続けた 「確かにあの時他の伴侶が見つかるかもなんて発破をかけたが碌に喧嘩も出来ぬほど自分に自信も持ててなかったお主が」 そこまで言うとロレスは青年の腹に押し付けていた顔を離し青年を見上げ満面の笑みで言った 「あれほどまで強く自分のものだと主張したんじゃ、もう離さぬからな?『兄上』」 それを聞きヴィムはロレスを抱きしめながらただ一言そして思いの丈を籠めていった 「あぁ、ずっと一緒だロレス」 そしてどちらからとも無く静かに口付けた 「ん、ちゅ・・ん・・。」 口付けを終えた時にロレスははにかむ様にか細い声で静かに言った 「その・・出来れば今度は優しく愛して欲しいのじゃが」 何時もの強気な様子とは打って変わったしおらしい態度にヴィムは優しくそして静かに頷いて寝室へ抱きかかえていった、 その日は店の札が臨時休業から変わることは無かった その日の午後お互い存分に交じり合い愛を確かめあって過ごしてたロレスの元に魔女から通信用の魔法が届いた 「ロレス様!大変です!と、言うか。何時までサバトを留守にしてるんですか!」 「なんじゃ!何が起こったんじゃ!?」 何時に無く切羽詰った様子の魔女からの通信にロレスが慌てて答えると魔女が心底悲痛な声で告げた 「今日の明け方頃に書置きしていったリリム様のメモに『此処に来る途中教団の勇者を含めた小隊を見かけたからうちの近くの旦那さんを欲しがってる娘たちのところに送っちゃうわね♪』って書いてあったんですよぅ!貴重なお兄ちゃん候補達だったのに!」 涙声の魔女からの通信をなんとも言えない様子で聞いているロレスに魔女からの通信が続いた 「ところでロレス様は現在どちらに居るんですか?昨晩からほぼ丸一日出かけてるようですが」 今それ返答したら面倒になりそうだな。と。顔に浮かべつつも通信で答えた 「それなんじゃがの、ワシは今後は兄上のところで寝泊りするから有事の際以外にはそっちには当分戻らん。おやつを届ける時には戻るから書類とかはその時に渡してくれ」 「えぇぇ!ロレス様何時の間に自分のお兄ちゃんを見つけたんです!?何処の何方で!?って、ちょっと!切らないでくださ・・!」 予想通りの反応を返した魔女からの質問攻めを一方的に通信を切ったロレスは溜息をついた 「良かったのか?碌に説明もしないでそんなこと言って?」 「仕方ないじゃろ、兄上の大切なこの店を畳んでサバトに拉致するのはこの町のほかの魔物に気の毒じゃしそれともワシだけサバトに帰らせて一人でこの店に残る気だったのかの?」 そういうとジト目を向けてくるロレスにヴィムは笑いながら頭を撫でた 「そうだったな、すまん。気が回る妹で助かった」 暫し目を細めながら撫でられていたロレスはその後決心をしたかのように言い放った 「さて!明日からは忙しくなるの!まずはワシの制服を作ることから始めねば!」 「え、店の仕事手伝う気なのか?」 「勿論じゃ!兄上に頼るだけでなく兄上と支え合いながら頑張ると決めたのじゃ!」 息巻くロレスに一抹の不安を覚えながらも青年は嬉しそうに妹のそしてかけがえの無い伴侶のの頭を撫でながら これからの幸せな日々を守り抜こうと強く決心した。 その後常連のサキュバス達や品卸の魔物娘達に「昨晩はお楽しみでしたね」とからかわれ赤面する日々が暫く続くことにはなったのだが 「ふふ、やっぱり上手くいったみたいね」 そんな二人を遠くから眺めながらリリムは満足気な笑みを浮かべていた 「もっともただでさえ好意を抱いてる相手にフェアリーパウダーまで掛けて置いたんだからどう転んでもあの娘が我慢できるとは思ってなかったんだけど♪」 お互いすれ違ってぎこちない魔物と人間の両思いなど幸せな夫婦を生み出すことに尽力している自分としては居ても立ってもいられずに手を加えてしまったがあの光景を見ているとやはり喜ばしいと思いながらリリムは静かに空へ飛び立っていた 仲睦まじく交わりあう魔物の夫婦を増やす為。そして 「私もあんな風に一途に愛してくれる素敵な旦那様に会えるのはいつの日かしら・・」 自分の伴侶となるまだ見ぬ旦那様に出会うために。 14/06/12 21:59 鍔広帽
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読み専続けて幾星霜。魔物娘への愛を抑えきれずに拙いながらもSSに挑戦してみましたがお楽しみいただければ幸いです。
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[エロ魔物娘図鑑・SS投稿所] |