６単位 『合同演習』
ロイＰＴ専用宿舎にて。
「主様、お茶をお持ちしました」
「あ、あ〜えっと…ありがとうございます、コヨミさん」
「そんな、お礼を言われるようなことは何も……」
「おいコヨミ、何故お前はこの男を『主様（ぬしさま）』などと呼ぶのだ？ 水神としての威厳はどうした？」
「水神だからこそ、ですよ。無敗の小生を初めて打ち負かした殿方です、主様と呼ばずにはいられません」
「むぅ…まぁお前がそう言うなら、私は別に構わんのだが……」
いつの間にかパーティＩＮしていた龍の女性、コヨミさん。
『コヨミさんのＰＴはどうするんですか？ 確か特例を除いてＰＴの変更はできないはずじゃ……』
と聞いてはみたが、
『主様と斬り合ったように、小生はＰＴを組む者全員と手合せ願うことにしています』
『な、なるほど……それで？』
『全員例外なく、天に召されました』
『………』
聞かなきゃ良かった。
理事長曰く、在学中のメンバー死亡は特例として認められているらしい。
後日、コヨミさんの加入が正式に認められた。
「主様。小生は一生涯、主様のお傍におります」
「あ、あははは……」
「まったく、極端なところは相変わらずだな……」
少々オーバーな部分はあるけど、それを除けば良い人であることは間違いない。
きっと上手くやっていけるはずだ……たぶん。
某日。
新たに始まる演習講義を大修練場で行うとの通達を受けた。
いやどこだよ修練場って。
行ったこともなければ聞いた事もない。
まったく…なんでこう、この大学は不親切かなぁ……。
ただでさえ無限に感じるほど広いんだから、どこか目立つところに案内板でも置いとけっての。
「ちなみに私は知らん。コヨミ、お前はどうだ？」
「そういった場所があるという話は聞いていましたが、場所までは……」
「う〜んそっか。困ったなぁ」
レイラとコヨミさんが知らないとなると……もうあの人を頼る他ないな。
非常に不本意だが。
「ほう？ 大修練場の場所を教えろとな？」
「はい。もう、頼れるのは理事長しかいなくて……」
「そうかそうか！ 頼りになるのはわしだけじゃからのう！ かっかっか！」
「………」
後ろで控えているレイラの顔が、どうにもしょっぱい。
理事長（バフォメット）には事あるごとに借りを作っている（主に治療系）。
本当は心の底から感謝すべきなのだろうが……なんか悔しくて嫌だ。
レイラも同じ心情なんだろうな、きっと。
「いや〜しかし、桐生暦を仲間に引き入れるとは、お主もなかなかやりおるのう？」
「引き入れたというよりは、入ってきたの方が正しいと思います」
「まぁ、どちらにせよ大したもんじゃよ。東方の地で『水神のコヨミ』を知らぬ者は、１人たりとておらぬと言われておるくらいじゃからのう」
「コ、コヨミさん、そんな大物なんですか？」
「元は『神』じゃからな。しかもお主、そんな神の娘を『主様』などと呼ばせておるのか？ 見かけに寄らず良い趣味を持っておるのう？」
「んなわけねーだろ！？」
「かっかっか！」
まったくこのババァは……。
「おい、とっとと修練場の場所を吐け。私達には時間がないのだ」
「レイラ、少し落ち着いてください。目上の者に対してあまりにも失礼ではありませんか？」
「い、いやしかし……」
「あれでも『一応』この大学を治める理事長なんですから、もう少し敬意ある態度をですね……」
「あぁーわかったわかった！ 次からは気をつければ良いのだろう？」
「はい♪ レイラのそういう素直なところが、小生は好きですよ♪」
「む、むぅ……///」
「………」
な〜んかソフト百合プレイが展開されているんですが。
そんな彼女達のやりとりを尻目に、理事長はというと……
「一応…一応、理事長……orz」
神であるコヨミさんの『一応』には相当なダメージがあるようだ。
というか、意外と繊細なんだなぁ。
背中をポンポンと叩いて理事長を慰める。
こんな混沌とした大学をたった１人で統治しているんだ、ホント大したもんだよこの人は。
ん〜、ちょっと可哀想に思えて……
「ま、気にしても仕方ないのう！ ほれ、これが大修練場までの地図じゃ！」
「………」
立ち直りも早かった。
「へ〜、ここが大修練場かぁ」
「大の一文字は、伊達ではありませんね」
広い…いや、果てしないと言うべきか。
これだけ大規模な修練場を、今だかつて俺は見たことがない。
大量の砂と照りつける太陽さえあれば、ここを砂漠と比喩して遜色ないだろう。
「そこそこの人数が集まっているようだが……ん？ 見知った顔が少ないな？」
「え？」
そう言われ辺りを見渡す。
確かにレイラの言う通り人数こそ揃ってはいるものの、俺達と同じ一般学部の生徒が圧倒的に少ない。
どういうことだ？
「ここにいる生徒達の大多数はもしや、『戦闘学部』の方々ではないでしょうか？」
「あー、そっか。その人達ならこの場所を知っていてもおかしくないですしね」
「そうだとしても、何故そんな連中がここにいるのだ？ 集合場所を間違えているのではないか？」
「貴様らァァァ！ 無駄口を叩いていいと誰が言ったアアア！？」
「「「！！？？」」」
轟音に近い怒鳴り声を浴びせられ思わず首をすくめる俺達一行。
「まったく、一般学部の連中はこれだから困る！ 時間内に集合場所にすら集まれんとは！」
「あ、あの〜……」
「教官にもの尋ねるときは『教官！ 質問してもよろしいでしょうか！』だろうが！？」
「ひっ！？ きょ、教官！ しゅ、し、質問しても、よ、よよろしいでしょうか！？」
「なんだ！？」
「あなたは誰ですか？」
「『教官』だボケナス！！！」
「ごはっ！？」
内臓が破裂したのかと錯覚するほどのボディブローをくらった。
ロイは８０のダメージ！（HP8）
「おい、生きているか？」
「……っ…」
悶絶する俺をレイラがつつく。
「教官、質問してもよろしいでしょうか？」
「なんだ！？」
恐れ知らずのコヨミさんがミノタウロス教官に詰め寄る。
「合同演習と仰いましたが、一体どういうことでしょうか？」
「言葉の通り！ 俺様が教育する戦闘学部と、色ボケ教師共が担当する一般学部が互いを高め合うため同じ講義を受けるというものだ！ 実にくだらん！！」
「なるほど。ですが教官」
「なんだ！？」
「我々一般学部一同、演習と講義場所の通達は受けましたが、それが合同演習であること、また修練場への道のりを詳しく提示されませんでした。これには何か理由があるのでしょうか？」
「………」
教官は険しい表情のまま腕組みを解き、こう答えた。
「そんなもの、面倒で省略しただけだ！！」
元凶あんたか！？
「まぁ少々やり過ぎたとは思っていたが、こうして貴様らのように到達した者もいる。よって！ 到達できなかった者は例外なく落第とする！！」
鬼か！？
「む、時間か」
教官が放つ異様なオーラの変化を感じたのか、散らばっていた生徒達が一斉に集まり始める。
「集まったな？ よし！ これより『一般学部ＶＳ戦闘学部バトルロワイヤル』を開始する！！ 俺様が斧を振り下ろしたら開戦だ！！」
………。
はああああああああ！？！？
い、いやいやいやいや！
不利！ 圧倒的に不利だって！
一般学部は俺達含めて３ＰＴしかいないのに、かたや戦闘学部は１０ＰＴ以上もの精鋭が揃っている。
「主様、ハイローションをお使いください」
「あ、ありがとうございます、コヨミさん」（HP88）
「しかし、どうする？ どう考えても勝ち目はないぞ？」
「う〜ん、戦略的撤退も視野に入れるべきだと思……」
「なお！ 本合同演習を途中で放棄するような真似は一切認めん！！ もし逃げようなどと目論んだＰＴは……」
……ＰＴは？
「………（ニヤリ）」
(((；ﾟДﾟ))
「どうやら、やるしかないようですね」
「他の連中とも手を組む必要があるな……ロイ！ その辺の指揮は任せたぞ！！」
「丸投げかよ！？」
まぁ、だけど仕方がない！
これも『生きる』ためだ！！
「では……始めろオオオオオオオオ！！！」
教官が勢い良く斧を振り下ろすと同時に、バトルロワイヤルの幕が切って落とされた。
開幕早々、一般学部の１ＰＴが戦闘学部側の集中砲火を浴びている。
……悲惨だ。
「主様、もう１つのＰＴと合流するべきでは？」
「そうですね、まずは彼女達のところへ急ごう！」
彼女達も他の敵ＰＴと交戦中のようだ。
早いとこ応戦に行かないと！
「おっと待ちな！ てめぇらを行かせるわけにはいかねーんだよ！」
「だったら……押し通る！！」
アカオニが現れた！
アオオニが現れた！
・・・・・・・・・・・・
「どうやら、長丁場になりそうですね」
「要するに消耗戦は避けろということだろう？ なら、速攻でケリをつける！」
「レイラ！ 温存を忘れないで！」
「ああ！ わかっている！」
ロイは回し蹴りを放った！
アカオニは２０のダメージ！
アオオニは１８のダメージ！
コヨミは横一閃の居合いを繰り出した！
アカオニは２５のダメージ！
アオオニは２３のダメージ！
アカオニは巨大な酒瓶でコヨミを殴りつけた！
コヨミは３７のダメージ！（HP56）
アオオニは石を拾って投げつけた！
しかしロイはひらりと身かわした！
しかしコヨミはひらりと身かわした！
レイラは１３のダメージ！（HP89）
レイラの攻撃！
アカオニは２２のダメージ！
・・・・・・・・・・・・
ロイの攻撃！
アカオニは２１のダメージ！
コヨミの攻撃！
アカオニは２７のダメージ！
アカオニはロイに魔王の如く殴りかかった！
しかしロイはひらりと身かわした！
アオオニはその辺の岩を放り投げた！
ロイは２８のダメージ！（HP60）
レイラは尾を鞭のようにしならせた！
アカオニは３２のダメージ！
アカオニを倒した！
・・・・・・・・・・・・
コヨミは先制！
コヨミの攻撃！
アオオニは２６のダメージ！
ロイはアオオニに正拳突きを放った！
アオオニは３３のダメージ！
アオオニはローションを使った！
アオオニのキズが回復した！
レイラの攻撃！
アオオニは２３のダメージ！
・・・・・・・・・・・・
コヨミは先制！
コヨミの攻撃！
アオオニは２７のダメージ！
ロイの攻撃！
アオオニは２０のダメージ！
アオオニを倒した！
魔物の群れを倒した！
レイラはLvが10に上がった！
レイラは特技『ジャンプ』を覚えた！
「よし、急ごう！」
戦闘学部からのダメージを最小限に抑え、俺達は味方ＰＴの援護に向かう。
が……
「あ、あれ？」
予想外にも、当の味方ＰＴはあっけなく敵のＰＴを撃破していた。
「……ん？ なによ、あんた達。まさかこのアタシが簡単にやられるとでも思った？」
「あぁいや、そういうわけじゃ……」
「じゃぁ、何しに来たわけ？」
「え、ええと……」
今俺が話しているちょっと上から目線のお嬢様は『メドゥーサ』。
「ちょ、ちょっとダメだよリンちゃん！ せっかく助けにきてくれた人達に、そんな突っぱねるようなこと言ったら失礼でしょ？」
「……自重」
「う、うるさいわよあんた達！」
強気な彼女に構わず元気に注意するのは『リャナンシー』。
ボソリと呟いた方が『サハギン』の娘だ。
「……で、なんの用？ 言っとくけど、アタシはあんたら何かと組む気なんて毛頭ないから！」
「お言葉ですが、メドゥーサのご令嬢……小生達は、お願いをしに来たわけではありません」
「ふ〜ん？ じゃぁなんだって言うのよ？」
「ふんっ、小生意気な小娘が……」
「な、なんですって！？」
「私達に選択の余地は無いと言っているのだ！」
「……え？」
「皆！ 構えろ！」
リザードマンが現れた！
サイクロプスが現れた！
ケンタウロスが現れた！
・・・・・・・・・・・・
ケンタウロスは弓を引き絞り矢を放った！
レイラは１７のダメージ！（HP72）
ロイは回し蹴りを放った！
リザードマンは２３のダメージ！
サイクロプスは２０のダメージ！
ケンタウロスは１６のダメージ！
コヨミは横一閃の居合いを繰り出した！
リザードマンは２８のダメージ！
サイクロプスは２８のダメージ！
ケンタウロスは致命的ダメージ！
ケンタウロスを倒した！
リザードマンは真空斬りを放った！
コヨミは２９のダメージ！（HP27）
サイクロプスは全身に力を溜めている！
レイラの攻撃！
リザードマンは２３のダメージ！
・・・・・・・・・・・・
ロイは敵の前で仁王立ちしている！
コヨミは抜刀した！
攻撃力が大きく上がった！
防御力が大きく下がった！
リザードマンの攻撃！
ロイは１５のダメージ！（HP45）
サイクロプスの強烈な攻撃！
ロイは４０のダメージ！（HP5） ロイ固有特性『不撓不屈』発動！
レイラは空高くジャンプした！
・・・・・・・・・・・・
ロイは身を守っている
コヨミは破光斬を放った！
リザードマンは３８のダメージ！
リザードマンを倒した！
サイクロプスは３６のダメージ！
サイクロプスは目からビームを放射した！
ロイは３のダメージ！（HP2）
「熱…あっつ！？」
レイラは上空から急降下し敵を攻撃！
サイクロプスは４１のダメージ！
サイクロプスを倒した！
魔物の群れを倒した！
ロイはLvが10に上がった！
コヨミはLvが12に上がった！
「主様！ ご無事ですか！？」
「は、はい…なんとか。最後の方ちょっと火傷しましたけど」
「まったく、また無茶をしたな」
「ははっ、誰かが壁にならないといけないからさ」
「ふっ…お前というやつは」
「「「………」」」
メドゥーサ、リャナンシー、サハギンの３人は、俺達のやりとりをただ呆然と眺めている。
そしてその内の１人であるメドゥーサがハッと我にかえる。
「な、な…なによ今の戦い方！？ 自分自身を盾代わりにするなんて信じられない！！」
「……頑丈」
「いや〜、これが俺のスタイルだからさ」
「ス、スタイルってあんた……バッカじゃないの！？」
「そうだ、この男は馬鹿だ」
「レイラ、ちょっとは否定しような？」
困惑するリンにレイラが諭すように話す。
「だがな…馬鹿だからこそ、この男は強いのだ。そんな馬鹿なこいつがいてくれるからこそ、私達は存分に己の力を発揮できるのだ」
「………」
「ご令嬢。どうか小生達に、力を貸してはいただけませんか？」
「………」
「リンちゃん……」「リン……」
「…………ん…んん……んんんんんあーーーーーーーーーもう！ わかったわよ！ 協力すればいいんでしょ！？ 協力すれば！！」
「決まりだな！」
「ありがとうございます」
渋々？一時的に仲間になることを了解したリンお嬢様。
良かった、これで何とかなるかもしれない！
「とりあえずよろしく。えっと、リンさん？」
「……リンでいいわよ」
「わ、わかった。よろしく、リン」
「……ふん！」
「それと、君達は……」
「わたしはリャナンシーのフィルチ！ こっちはサハギンのシノちゃん！」
「……握手」
「よ、よろしく」
手短に全員と挨拶を交わした後、戦闘学部側の戦力を目測する。
「ざっと見た感じだと、相手側は６ＰＴってところかな？」
「うむ。まだ劣勢だな」
「なにか策はないでしょうか？」
３人ＰＴが２つ、２人ＰＴが４つか。
見た目は圧倒的に不利ではあるが、実は人数的にそこまで差があるわけではない。
まぁ向こうはこちらの倍はいるわけだが。
「６人で一斉に攻撃するっていうのは……」
「却下だ。集中砲火を受けるだけだ」
「う〜ん……」
「あのさぁ」
メドゥーサのリンが腕組みしながら俺達の前に出る。
「１人１ＰＴでいいんじゃない？ ３人ＰＴは…そうね、そこのいけすかないドラゴンと肉壁男で問題ないでしょ？」
「肉壁て……」
「ですが、ご令嬢」
「危険だって、言いたいんでしょ？ そんなのわかってるわよ！ それを承知で、こんな馬鹿が思い付くような作戦を提案してるの！」
「え〜？ リンちゃんいつもこういう作戦ばっかりな気がす……」
「あんたは黙る！」
「ひゃう！」
リンがフィルチの頭をペシッと叩いたところで、敵勢が一斉に動き始める。
「ロイ、もう時間がないぞ」
「………」
なるべく安全な方法で切り抜けたかったけど、今はそうも言ってられないみたいだ。
「よし、リンの作戦でいこう！」
どうやら覚悟はできているようで、俺の掛声と共に全員が頷く。
「片付いた者から、他キャラに加勢すること！ 皆、準備はいいか！？」
「ああ！」
「はい！」
「ええ！」
「うん！」
「……おー」
全員が無事であることを祈る。
おっと、俺も人の心配してる場合じゃないな！
オークが現れた！
サラマンダーが現れた！
ウシオニが現れた！
コンディションチェンジ発生！
・ロイは意気高揚した状態で戦闘を開始（HP全快、攻撃・防御力が一時的に上昇）
・・・・・・・・・・・・
ロイはオークに正拳突き！
オークは４２のダメージ！
サラマンダーは火炎斬りを放った！
ロイは１６のダメージ！（HP81）
オークはロイに魔王の如く殴りかかった！
ミス！ ロイはダメージを受けない！
ウシオニは捨身の体当たり！
ロイは３８のダメージ！（HP43）
ウシオニは反動で７１のダメージ！
・・・・・・・・・・・・
ロイは肉斬骨断の構え！
サラマンダーは燃え盛る炎を吐き出した！
ロイは２０のダメージ！（HP23）
オークの攻撃！
ロイは攻撃を受け流した！
ロイは反撃した！
オークは２７のダメージ！
ウシオニは捨身の体当たり！
ロイは攻撃の一部を受け流した！
ロイは１６のダメージ！（HP7） ロイ固有特性『不撓不屈』発動！
ウシオニは反動で６５のダメージ！
ロイは反撃した！
ウシオニは２９のダメージ！
・・・・・・・・・・・・
ロイは肉斬骨断の構え！
サラマンダーは燃え盛る炎を吐き出した！
ロイは２のダメージ！（HP5）
オークは拾い食いしている
オークのキズが回復した！
ウシオニの攻撃！
ロイは２のダメージ！（HP3）
ロイは反撃した！
ウシオニは３０のダメージ！
・・・・・・・・・・・・
ロイは身を守っている
サラマンダーの攻撃！
ミス！ ロイはダメージを受けない！
オークの攻撃！
ミス！ ロイはダメージを受けない！
ウシオニはいきり立ってオークに襲いかかった！
オークは６５のダメージ！
・・・・・・・・・・・・
ロイは身を守っている
サラマンダーは燃え盛る炎を吐き出した！
ロイは１のダメージ！（HP2）
オークは全身に力を溜めている！
ウシオニはいきり立ってサラマンダーに襲いかかった！
サラマンダーは５９のダメージ！
・・・・・・・・・・・・
リンが加勢してきた！
「何やってんのよあんたは！ ボロボロじゃない！？」
「リン！？ どうして……」
「一瞬で終わらせてきたのよ！ あんたがあまりにも危なっかしいから……」
「え？ 心配してくれたの？」
「は、はああ！？ ち、違うわよ！ あんたが３人の相手してるからちょっとだけ不愍に思っただけ！ か、勘違いしないでよね！？」
「そ、そうなんだ」
「そうよ！ ほ、ほら！ さっさと片付けるわよ！」
「あ、ああ！」
ロイは身を守っている
リンは石化にらみ！
ウシオニは石化した！
サラマンダーは火炎斬りを放った！
ロイは１のダメージ！（HP1）
オークは強烈な攻撃！
リンは５１のダメージ！
・・・・・・・・・・・・
ロイは回し蹴りを放った！
オークは３０のダメージ！
オークを倒した！
サラマンダーは２５のダメージ！
リンの蛇達がサラマンダーを襲う！
サラマンダーは１８のダメージ！
サラマンダーは麻痺した！
サラマンダーは毒に冒された！
サラマンダーは体が痺れて動けない
サラマンダーは毒により１５のダメージ！
・・・・・・・・・・・・
ロイはサラマンダーに正拳突き！
サラマンダーは３８のダメージ！
リンの攻撃！
サラマンダーは１９のダメージ！
サラマンダーを倒した！
魔物の群れを倒した！
ロイはLvが11に上がった！
「ほ、他のみんなは！？」
「あんたで最後よ。心配ないわ」
「よ……良かった〜〜〜」
力が抜けてその場で倒れ込む。
「ちょ、ちょっと！？」
「………」
皆が駆けつけてくる光景を最後に、
俺の意識はそこで途絶えてしまった。
〜ステータス〜
ロイ：L11（人間）
戦闘スタイル：モンク
固有特性：不撓不屈（瀕死時、敵から受ける全てのダメージを１０分の１に抑える）
人の子（状態異常にかかりやすい）
追記：固有特性『不撓不屈』が優秀。防御系の特技と相性が良いため、ボス戦を含めたあらゆる場面での活躍が期待できる。ステータスが平均的に高く、その中でも攻撃力と防御力の成長が早い。戦闘中に特技を編み出すなどトリッキーな行動も特徴。
HP 106
MP 64
レイラ：Lv11（ドラゴン）
戦闘スタイル：バーサーカー
固有特製：竜王の威厳（戦闘不能になっても１度だけ最大HPの半分の状態で復活）
火に愛されし者（敵から受ける火属性ダメージ全てを無効化）
追記：全種族中トップクラスのHP量を誇る。全体攻撃の息系がレベルと比例して強力になっていく。渾身の一撃が出やすく敵のHPを削る優秀なアタッカーとして活躍できる。固有特性『竜王の威厳』の性能が高いが、意識的に使うことができないので意外と使いづらい？
HP 123
MP 36
コヨミ：Lv12（龍）
戦闘スタイル：侍
固有特性：先制（ターン始めに一定確率で最初に行動する）
水神（敵から受ける全ての水・氷属性ダメージを無効化。また味方への水・氷属性
ダメージを半減）
追記：攻撃力が群を抜いて高い反面、防御力の伸びが非常に悪い。自己強化や即死攻撃など使いやすい特技が揃っているが、MPがそれほど多くないため連用ができない。先制が地味に便利。
HP 98
MP 46
「主様、お茶をお持ちしました」
「あ、あ〜えっと…ありがとうございます、コヨミさん」
「そんな、お礼を言われるようなことは何も……」
「おいコヨミ、何故お前はこの男を『主様（ぬしさま）』などと呼ぶのだ？ 水神としての威厳はどうした？」
「水神だからこそ、ですよ。無敗の小生を初めて打ち負かした殿方です、主様と呼ばずにはいられません」
「むぅ…まぁお前がそう言うなら、私は別に構わんのだが……」
いつの間にかパーティＩＮしていた龍の女性、コヨミさん。
『コヨミさんのＰＴはどうするんですか？ 確か特例を除いてＰＴの変更はできないはずじゃ……』
と聞いてはみたが、
『主様と斬り合ったように、小生はＰＴを組む者全員と手合せ願うことにしています』
『な、なるほど……それで？』
『全員例外なく、天に召されました』
『………』
聞かなきゃ良かった。
理事長曰く、在学中のメンバー死亡は特例として認められているらしい。
後日、コヨミさんの加入が正式に認められた。
「主様。小生は一生涯、主様のお傍におります」
「あ、あははは……」
「まったく、極端なところは相変わらずだな……」
少々オーバーな部分はあるけど、それを除けば良い人であることは間違いない。
きっと上手くやっていけるはずだ……たぶん。
某日。
新たに始まる演習講義を大修練場で行うとの通達を受けた。
いやどこだよ修練場って。
行ったこともなければ聞いた事もない。
まったく…なんでこう、この大学は不親切かなぁ……。
ただでさえ無限に感じるほど広いんだから、どこか目立つところに案内板でも置いとけっての。
「ちなみに私は知らん。コヨミ、お前はどうだ？」
「そういった場所があるという話は聞いていましたが、場所までは……」
「う〜んそっか。困ったなぁ」
レイラとコヨミさんが知らないとなると……もうあの人を頼る他ないな。
非常に不本意だが。
「ほう？ 大修練場の場所を教えろとな？」
「はい。もう、頼れるのは理事長しかいなくて……」
「そうかそうか！ 頼りになるのはわしだけじゃからのう！ かっかっか！」
「………」
後ろで控えているレイラの顔が、どうにもしょっぱい。
理事長（バフォメット）には事あるごとに借りを作っている（主に治療系）。
本当は心の底から感謝すべきなのだろうが……なんか悔しくて嫌だ。
レイラも同じ心情なんだろうな、きっと。
「いや〜しかし、桐生暦を仲間に引き入れるとは、お主もなかなかやりおるのう？」
「引き入れたというよりは、入ってきたの方が正しいと思います」
「まぁ、どちらにせよ大したもんじゃよ。東方の地で『水神のコヨミ』を知らぬ者は、１人たりとておらぬと言われておるくらいじゃからのう」
「コ、コヨミさん、そんな大物なんですか？」
「元は『神』じゃからな。しかもお主、そんな神の娘を『主様』などと呼ばせておるのか？ 見かけに寄らず良い趣味を持っておるのう？」
「んなわけねーだろ！？」
「かっかっか！」
まったくこのババァは……。
「おい、とっとと修練場の場所を吐け。私達には時間がないのだ」
「レイラ、少し落ち着いてください。目上の者に対してあまりにも失礼ではありませんか？」
「い、いやしかし……」
「あれでも『一応』この大学を治める理事長なんですから、もう少し敬意ある態度をですね……」
「あぁーわかったわかった！ 次からは気をつければ良いのだろう？」
「はい♪ レイラのそういう素直なところが、小生は好きですよ♪」
「む、むぅ……///」
「………」
な〜んかソフト百合プレイが展開されているんですが。
そんな彼女達のやりとりを尻目に、理事長はというと……
「一応…一応、理事長……orz」
神であるコヨミさんの『一応』には相当なダメージがあるようだ。
というか、意外と繊細なんだなぁ。
背中をポンポンと叩いて理事長を慰める。
こんな混沌とした大学をたった１人で統治しているんだ、ホント大したもんだよこの人は。
ん〜、ちょっと可哀想に思えて……
「ま、気にしても仕方ないのう！ ほれ、これが大修練場までの地図じゃ！」
「………」
立ち直りも早かった。
「へ〜、ここが大修練場かぁ」
「大の一文字は、伊達ではありませんね」
広い…いや、果てしないと言うべきか。
これだけ大規模な修練場を、今だかつて俺は見たことがない。
大量の砂と照りつける太陽さえあれば、ここを砂漠と比喩して遜色ないだろう。
「そこそこの人数が集まっているようだが……ん？ 見知った顔が少ないな？」
「え？」
そう言われ辺りを見渡す。
確かにレイラの言う通り人数こそ揃ってはいるものの、俺達と同じ一般学部の生徒が圧倒的に少ない。
どういうことだ？
「ここにいる生徒達の大多数はもしや、『戦闘学部』の方々ではないでしょうか？」
「あー、そっか。その人達ならこの場所を知っていてもおかしくないですしね」
「そうだとしても、何故そんな連中がここにいるのだ？ 集合場所を間違えているのではないか？」
「貴様らァァァ！ 無駄口を叩いていいと誰が言ったアアア！？」
「「「！！？？」」」
轟音に近い怒鳴り声を浴びせられ思わず首をすくめる俺達一行。
「まったく、一般学部の連中はこれだから困る！ 時間内に集合場所にすら集まれんとは！」
「あ、あの〜……」
「教官にもの尋ねるときは『教官！ 質問してもよろしいでしょうか！』だろうが！？」
「ひっ！？ きょ、教官！ しゅ、し、質問しても、よ、よよろしいでしょうか！？」
「なんだ！？」
「あなたは誰ですか？」
「『教官』だボケナス！！！」
「ごはっ！？」
内臓が破裂したのかと錯覚するほどのボディブローをくらった。
ロイは８０のダメージ！（HP8）
「おい、生きているか？」
「……っ…」
悶絶する俺をレイラがつつく。
「教官、質問してもよろしいでしょうか？」
「なんだ！？」
恐れ知らずのコヨミさんがミノタウロス教官に詰め寄る。
「合同演習と仰いましたが、一体どういうことでしょうか？」
「言葉の通り！ 俺様が教育する戦闘学部と、色ボケ教師共が担当する一般学部が互いを高め合うため同じ講義を受けるというものだ！ 実にくだらん！！」
「なるほど。ですが教官」
「なんだ！？」
「我々一般学部一同、演習と講義場所の通達は受けましたが、それが合同演習であること、また修練場への道のりを詳しく提示されませんでした。これには何か理由があるのでしょうか？」
「………」
教官は険しい表情のまま腕組みを解き、こう答えた。
「そんなもの、面倒で省略しただけだ！！」
元凶あんたか！？
「まぁ少々やり過ぎたとは思っていたが、こうして貴様らのように到達した者もいる。よって！ 到達できなかった者は例外なく落第とする！！」
鬼か！？
「む、時間か」
教官が放つ異様なオーラの変化を感じたのか、散らばっていた生徒達が一斉に集まり始める。
「集まったな？ よし！ これより『一般学部ＶＳ戦闘学部バトルロワイヤル』を開始する！！ 俺様が斧を振り下ろしたら開戦だ！！」
………。
はああああああああ！？！？
い、いやいやいやいや！
不利！ 圧倒的に不利だって！
一般学部は俺達含めて３ＰＴしかいないのに、かたや戦闘学部は１０ＰＴ以上もの精鋭が揃っている。
「主様、ハイローションをお使いください」
「あ、ありがとうございます、コヨミさん」（HP88）
「しかし、どうする？ どう考えても勝ち目はないぞ？」
「う〜ん、戦略的撤退も視野に入れるべきだと思……」
「なお！ 本合同演習を途中で放棄するような真似は一切認めん！！ もし逃げようなどと目論んだＰＴは……」
……ＰＴは？
「………（ニヤリ）」
(((；ﾟДﾟ))
「どうやら、やるしかないようですね」
「他の連中とも手を組む必要があるな……ロイ！ その辺の指揮は任せたぞ！！」
「丸投げかよ！？」
まぁ、だけど仕方がない！
これも『生きる』ためだ！！
「では……始めろオオオオオオオオ！！！」
教官が勢い良く斧を振り下ろすと同時に、バトルロワイヤルの幕が切って落とされた。
開幕早々、一般学部の１ＰＴが戦闘学部側の集中砲火を浴びている。
……悲惨だ。
「主様、もう１つのＰＴと合流するべきでは？」
「そうですね、まずは彼女達のところへ急ごう！」
彼女達も他の敵ＰＴと交戦中のようだ。
早いとこ応戦に行かないと！
「おっと待ちな！ てめぇらを行かせるわけにはいかねーんだよ！」
「だったら……押し通る！！」
アカオニが現れた！
アオオニが現れた！
・・・・・・・・・・・・
「どうやら、長丁場になりそうですね」
「要するに消耗戦は避けろということだろう？ なら、速攻でケリをつける！」
「レイラ！ 温存を忘れないで！」
「ああ！ わかっている！」
ロイは回し蹴りを放った！
アカオニは２０のダメージ！
アオオニは１８のダメージ！
コヨミは横一閃の居合いを繰り出した！
アカオニは２５のダメージ！
アオオニは２３のダメージ！
アカオニは巨大な酒瓶でコヨミを殴りつけた！
コヨミは３７のダメージ！（HP56）
アオオニは石を拾って投げつけた！
しかしロイはひらりと身かわした！
しかしコヨミはひらりと身かわした！
レイラは１３のダメージ！（HP89）
レイラの攻撃！
アカオニは２２のダメージ！
・・・・・・・・・・・・
ロイの攻撃！
アカオニは２１のダメージ！
コヨミの攻撃！
アカオニは２７のダメージ！
アカオニはロイに魔王の如く殴りかかった！
しかしロイはひらりと身かわした！
アオオニはその辺の岩を放り投げた！
ロイは２８のダメージ！（HP60）
レイラは尾を鞭のようにしならせた！
アカオニは３２のダメージ！
アカオニを倒した！
・・・・・・・・・・・・
コヨミは先制！
コヨミの攻撃！
アオオニは２６のダメージ！
ロイはアオオニに正拳突きを放った！
アオオニは３３のダメージ！
アオオニはローションを使った！
アオオニのキズが回復した！
レイラの攻撃！
アオオニは２３のダメージ！
・・・・・・・・・・・・
コヨミは先制！
コヨミの攻撃！
アオオニは２７のダメージ！
ロイの攻撃！
アオオニは２０のダメージ！
アオオニを倒した！
魔物の群れを倒した！
レイラはLvが10に上がった！
レイラは特技『ジャンプ』を覚えた！
「よし、急ごう！」
戦闘学部からのダメージを最小限に抑え、俺達は味方ＰＴの援護に向かう。
が……
「あ、あれ？」
予想外にも、当の味方ＰＴはあっけなく敵のＰＴを撃破していた。
「……ん？ なによ、あんた達。まさかこのアタシが簡単にやられるとでも思った？」
「あぁいや、そういうわけじゃ……」
「じゃぁ、何しに来たわけ？」
「え、ええと……」
今俺が話しているちょっと上から目線のお嬢様は『メドゥーサ』。
「ちょ、ちょっとダメだよリンちゃん！ せっかく助けにきてくれた人達に、そんな突っぱねるようなこと言ったら失礼でしょ？」
「……自重」
「う、うるさいわよあんた達！」
強気な彼女に構わず元気に注意するのは『リャナンシー』。
ボソリと呟いた方が『サハギン』の娘だ。
「……で、なんの用？ 言っとくけど、アタシはあんたら何かと組む気なんて毛頭ないから！」
「お言葉ですが、メドゥーサのご令嬢……小生達は、お願いをしに来たわけではありません」
「ふ〜ん？ じゃぁなんだって言うのよ？」
「ふんっ、小生意気な小娘が……」
「な、なんですって！？」
「私達に選択の余地は無いと言っているのだ！」
「……え？」
「皆！ 構えろ！」
リザードマンが現れた！
サイクロプスが現れた！
ケンタウロスが現れた！
・・・・・・・・・・・・
ケンタウロスは弓を引き絞り矢を放った！
レイラは１７のダメージ！（HP72）
ロイは回し蹴りを放った！
リザードマンは２３のダメージ！
サイクロプスは２０のダメージ！
ケンタウロスは１６のダメージ！
コヨミは横一閃の居合いを繰り出した！
リザードマンは２８のダメージ！
サイクロプスは２８のダメージ！
ケンタウロスは致命的ダメージ！
ケンタウロスを倒した！
リザードマンは真空斬りを放った！
コヨミは２９のダメージ！（HP27）
サイクロプスは全身に力を溜めている！
レイラの攻撃！
リザードマンは２３のダメージ！
・・・・・・・・・・・・
ロイは敵の前で仁王立ちしている！
コヨミは抜刀した！
攻撃力が大きく上がった！
防御力が大きく下がった！
リザードマンの攻撃！
ロイは１５のダメージ！（HP45）
サイクロプスの強烈な攻撃！
ロイは４０のダメージ！（HP5） ロイ固有特性『不撓不屈』発動！
レイラは空高くジャンプした！
・・・・・・・・・・・・
ロイは身を守っている
コヨミは破光斬を放った！
リザードマンは３８のダメージ！
リザードマンを倒した！
サイクロプスは３６のダメージ！
サイクロプスは目からビームを放射した！
ロイは３のダメージ！（HP2）
「熱…あっつ！？」
レイラは上空から急降下し敵を攻撃！
サイクロプスは４１のダメージ！
サイクロプスを倒した！
魔物の群れを倒した！
ロイはLvが10に上がった！
コヨミはLvが12に上がった！
「主様！ ご無事ですか！？」
「は、はい…なんとか。最後の方ちょっと火傷しましたけど」
「まったく、また無茶をしたな」
「ははっ、誰かが壁にならないといけないからさ」
「ふっ…お前というやつは」
「「「………」」」
メドゥーサ、リャナンシー、サハギンの３人は、俺達のやりとりをただ呆然と眺めている。
そしてその内の１人であるメドゥーサがハッと我にかえる。
「な、な…なによ今の戦い方！？ 自分自身を盾代わりにするなんて信じられない！！」
「……頑丈」
「いや〜、これが俺のスタイルだからさ」
「ス、スタイルってあんた……バッカじゃないの！？」
「そうだ、この男は馬鹿だ」
「レイラ、ちょっとは否定しような？」
困惑するリンにレイラが諭すように話す。
「だがな…馬鹿だからこそ、この男は強いのだ。そんな馬鹿なこいつがいてくれるからこそ、私達は存分に己の力を発揮できるのだ」
「………」
「ご令嬢。どうか小生達に、力を貸してはいただけませんか？」
「………」
「リンちゃん……」「リン……」
「…………ん…んん……んんんんんあーーーーーーーーーもう！ わかったわよ！ 協力すればいいんでしょ！？ 協力すれば！！」
「決まりだな！」
「ありがとうございます」
渋々？一時的に仲間になることを了解したリンお嬢様。
良かった、これで何とかなるかもしれない！
「とりあえずよろしく。えっと、リンさん？」
「……リンでいいわよ」
「わ、わかった。よろしく、リン」
「……ふん！」
「それと、君達は……」
「わたしはリャナンシーのフィルチ！ こっちはサハギンのシノちゃん！」
「……握手」
「よ、よろしく」
手短に全員と挨拶を交わした後、戦闘学部側の戦力を目測する。
「ざっと見た感じだと、相手側は６ＰＴってところかな？」
「うむ。まだ劣勢だな」
「なにか策はないでしょうか？」
３人ＰＴが２つ、２人ＰＴが４つか。
見た目は圧倒的に不利ではあるが、実は人数的にそこまで差があるわけではない。
まぁ向こうはこちらの倍はいるわけだが。
「６人で一斉に攻撃するっていうのは……」
「却下だ。集中砲火を受けるだけだ」
「う〜ん……」
「あのさぁ」
メドゥーサのリンが腕組みしながら俺達の前に出る。
「１人１ＰＴでいいんじゃない？ ３人ＰＴは…そうね、そこのいけすかないドラゴンと肉壁男で問題ないでしょ？」
「肉壁て……」
「ですが、ご令嬢」
「危険だって、言いたいんでしょ？ そんなのわかってるわよ！ それを承知で、こんな馬鹿が思い付くような作戦を提案してるの！」
「え〜？ リンちゃんいつもこういう作戦ばっかりな気がす……」
「あんたは黙る！」
「ひゃう！」
リンがフィルチの頭をペシッと叩いたところで、敵勢が一斉に動き始める。
「ロイ、もう時間がないぞ」
「………」
なるべく安全な方法で切り抜けたかったけど、今はそうも言ってられないみたいだ。
「よし、リンの作戦でいこう！」
どうやら覚悟はできているようで、俺の掛声と共に全員が頷く。
「片付いた者から、他キャラに加勢すること！ 皆、準備はいいか！？」
「ああ！」
「はい！」
「ええ！」
「うん！」
「……おー」
全員が無事であることを祈る。
おっと、俺も人の心配してる場合じゃないな！
オークが現れた！
サラマンダーが現れた！
ウシオニが現れた！
コンディションチェンジ発生！
・ロイは意気高揚した状態で戦闘を開始（HP全快、攻撃・防御力が一時的に上昇）
・・・・・・・・・・・・
ロイはオークに正拳突き！
オークは４２のダメージ！
サラマンダーは火炎斬りを放った！
ロイは１６のダメージ！（HP81）
オークはロイに魔王の如く殴りかかった！
ミス！ ロイはダメージを受けない！
ウシオニは捨身の体当たり！
ロイは３８のダメージ！（HP43）
ウシオニは反動で７１のダメージ！
・・・・・・・・・・・・
ロイは肉斬骨断の構え！
サラマンダーは燃え盛る炎を吐き出した！
ロイは２０のダメージ！（HP23）
オークの攻撃！
ロイは攻撃を受け流した！
ロイは反撃した！
オークは２７のダメージ！
ウシオニは捨身の体当たり！
ロイは攻撃の一部を受け流した！
ロイは１６のダメージ！（HP7） ロイ固有特性『不撓不屈』発動！
ウシオニは反動で６５のダメージ！
ロイは反撃した！
ウシオニは２９のダメージ！
・・・・・・・・・・・・
ロイは肉斬骨断の構え！
サラマンダーは燃え盛る炎を吐き出した！
ロイは２のダメージ！（HP5）
オークは拾い食いしている
オークのキズが回復した！
ウシオニの攻撃！
ロイは２のダメージ！（HP3）
ロイは反撃した！
ウシオニは３０のダメージ！
・・・・・・・・・・・・
ロイは身を守っている
サラマンダーの攻撃！
ミス！ ロイはダメージを受けない！
オークの攻撃！
ミス！ ロイはダメージを受けない！
ウシオニはいきり立ってオークに襲いかかった！
オークは６５のダメージ！
・・・・・・・・・・・・
ロイは身を守っている
サラマンダーは燃え盛る炎を吐き出した！
ロイは１のダメージ！（HP2）
オークは全身に力を溜めている！
ウシオニはいきり立ってサラマンダーに襲いかかった！
サラマンダーは５９のダメージ！
・・・・・・・・・・・・
リンが加勢してきた！
「何やってんのよあんたは！ ボロボロじゃない！？」
「リン！？ どうして……」
「一瞬で終わらせてきたのよ！ あんたがあまりにも危なっかしいから……」
「え？ 心配してくれたの？」
「は、はああ！？ ち、違うわよ！ あんたが３人の相手してるからちょっとだけ不愍に思っただけ！ か、勘違いしないでよね！？」
「そ、そうなんだ」
「そうよ！ ほ、ほら！ さっさと片付けるわよ！」
「あ、ああ！」
ロイは身を守っている
リンは石化にらみ！
ウシオニは石化した！
サラマンダーは火炎斬りを放った！
ロイは１のダメージ！（HP1）
オークは強烈な攻撃！
リンは５１のダメージ！
・・・・・・・・・・・・
ロイは回し蹴りを放った！
オークは３０のダメージ！
オークを倒した！
サラマンダーは２５のダメージ！
リンの蛇達がサラマンダーを襲う！
サラマンダーは１８のダメージ！
サラマンダーは麻痺した！
サラマンダーは毒に冒された！
サラマンダーは体が痺れて動けない
サラマンダーは毒により１５のダメージ！
・・・・・・・・・・・・
ロイはサラマンダーに正拳突き！
サラマンダーは３８のダメージ！
リンの攻撃！
サラマンダーは１９のダメージ！
サラマンダーを倒した！
魔物の群れを倒した！
ロイはLvが11に上がった！
「ほ、他のみんなは！？」
「あんたで最後よ。心配ないわ」
「よ……良かった〜〜〜」
力が抜けてその場で倒れ込む。
「ちょ、ちょっと！？」
「………」
皆が駆けつけてくる光景を最後に、
俺の意識はそこで途絶えてしまった。
〜ステータス〜
ロイ：L11（人間）
戦闘スタイル：モンク
固有特性：不撓不屈（瀕死時、敵から受ける全てのダメージを１０分の１に抑える）
人の子（状態異常にかかりやすい）
追記：固有特性『不撓不屈』が優秀。防御系の特技と相性が良いため、ボス戦を含めたあらゆる場面での活躍が期待できる。ステータスが平均的に高く、その中でも攻撃力と防御力の成長が早い。戦闘中に特技を編み出すなどトリッキーな行動も特徴。
HP 106
MP 64
レイラ：Lv11（ドラゴン）
戦闘スタイル：バーサーカー
固有特製：竜王の威厳（戦闘不能になっても１度だけ最大HPの半分の状態で復活）
火に愛されし者（敵から受ける火属性ダメージ全てを無効化）
追記：全種族中トップクラスのHP量を誇る。全体攻撃の息系がレベルと比例して強力になっていく。渾身の一撃が出やすく敵のHPを削る優秀なアタッカーとして活躍できる。固有特性『竜王の威厳』の性能が高いが、意識的に使うことができないので意外と使いづらい？
HP 123
MP 36
コヨミ：Lv12（龍）
戦闘スタイル：侍
固有特性：先制（ターン始めに一定確率で最初に行動する）
水神（敵から受ける全ての水・氷属性ダメージを無効化。また味方への水・氷属性
ダメージを半減）
追記：攻撃力が群を抜いて高い反面、防御力の伸びが非常に悪い。自己強化や即死攻撃など使いやすい特技が揃っているが、MPがそれほど多くないため連用ができない。先制が地味に便利。
HP 98
MP 46
12/02/10 22:07更新 / HERO
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