連載小説
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終章 『アッーな奴ら』
フレンが目覚めたので前置きなし。
本編スタート!












「で、目が覚めたら3ヶ月が経っていた……と?」
「死んだように眠っていたぞ」
「むしろ死んだかと思ったのじゃ」

季節は冬。
3ヶ月の間、俺はず〜〜〜っとベッドで眠っていたらしい。

「3ヶ月…3ヶ月……ああ! 大学!!」

3ヶ月の無断欠席……終わったorz

「そのことなんですが、先日ルークさんが家に訪ねてきましたよ」
「え? 教授が?」
「フレンの様子を見に来たみたいだよ〜。それでね、『青春してるな〜』って言ってた」
「死んだように眠る俺を見たときに出る第一声がそれかよ」
「あとフレンさんに伝言があります」
「ん、聞くよ」
「『目が覚めたら僕の部屋に来てくれ。たっぷりと可愛がってあげるから』」
「……ほんとか?」
「嘘です」
「おい!」
「『目が覚めたら僕の部屋に来てくれ。これからの話をしよう』」
「それはほんとっぽいな。にしても、教授には頭が上がらないよ」
「あの男も何とかしたい、みたいなことを言っていたしな」

こうしちゃいられない。
早く教授のところに行かないと!

「悪い、出かけてくる!」
「あぁ」
「いってら〜♪/いってら〜なのじゃ/いってら〜です」
「………(いってら)」












「……失礼します」
「やぁ、来たね」

伝言を聞いた後ダッシュで大学の研究室へ。

「大体の内容は、君の同居人の娘達から聞いてるよ」
「言い訳のしようが無いほど完全なる自業自得なんですけどね」
「いやいや、そんなことはないさ。魔物達と体を張って向き合う…実に良いことじゃないか」
「そ、そうですか?」

ルーク教授は魔物生態学の創始者であり、一夫多妻の第一人者?でもある。

「それにしてもフレン君、彼女達は本当にレベルが高いね」
「はい?」
「肉体的な事はもちろんだが、君を一身に想う心、例え性の対象が眠っていても襲わない強い意志。そして何より……」
「何より?」
「エロい」
「………」

………。

「僕の妻達も見習って欲しいものだよ。僕を見つけるや否や真っ先に交わろうとしてくるんだから、まったく大変だよ」
「インキュバスでも、やっぱり大変なんですか?」
「そりゃそうさ。いくら魔力を手に入れたと言っても、無限に体力があるわけじゃないしね」
「はぁ」

なんか愚痴が始まってしまった。
ちなみに教授がインキュバスだということを大学は知らない。

「最初は妻7人を相手にしていたんだが、娘が産まれてからは数が増えてねぇ……」
「え……まさか近親○姦ですか!?」
「そこまで驚くこともないだろう? 魔物の間では特に珍しいことじゃない。講義で言ってなかったかな?」
「いや初耳ですよ」
「あれ、そうだった? いかんいかん、僕としたことが……」

誰得な情報だよ。

「む、話が逸れたね。本題に入ろう」
「あ、はい」

大事な話なので姿勢を正す。

「今回の件、僕としては君を助けたいわけだ」
「はい」
「でも大学というのは融通が利かなくてね、留年させろと話を聞かないんだ」
「まぁ、普通はそうですよね」
「そこで、だ……君を留年させず、なおかつ君の将来を約束できる方法が1つだけある」
「え…ぇえ!?」

そんな方法、ほんとにあるのか?

「いやでも…話が旨過ぎじゃありませんか?」
「もちろん、それなりの条件はあるよ」
「条件?」

これだけメリットのある話だ、さぞ厳しい条件なんだろうなぁ……。

「君には、僕の研究室に入ってもらう」
「はい」
「………」
「………」
「………」
「……え、それだけですか?」
「あぁ、それだけだよ?」

いやいや、またなんか話が旨い気がするぞ?

「もしかして、鬼のように厳しい…とか?」
「いや、そんなことはないさ。むしろ楽なほうだよ」
「ん〜…それにしては……」
「フレン君。君は、僕が世間から何と称されているか知っているかい?」
「『魔物生態学創始者』、ですよね?」
「そうさ。そしてこれが大変名誉な称号であるということも、わかるかい?」
「まぁ、はい」

創始者というくらいだ、世界初を編み出したということに等しいんだろうな。

「その僕の下で教えを請う生徒を、大学が留年などさせると思うかな?」
「………」

一理ある。
が、姑息な気がしてならない。

「……わかりました。教授の下で勉強させてください」
「おお、そうか! 君ならそう言ってくれると思ったよ!」
「まぁ、これしか選択肢がないわけですし」

教授は俺の手を握って上下にブンブンと振り回す。
とりあえずこれで留年の危機は回避した…のだろうか?

「僕の研究室に入ったからには、君を優秀な『魔物生態学研究兼指導後継者』として世に送り出してあげるから、安心しなさい」
「はぁ……はっ!?」












「……ただいま〜」
「む、帰ったか」
「フレンおかえり〜…って、なんか元気ないね〜?」
「あぁ…カクカクシカジカってわけ……」

あの後、魔物の生態について5時間も熱弁された。
嬉しそうに話す教授を適当にあしらうこともできず、結局真剣に聞き入ってしまった。
面白かったけど……正直体が持たない。

「将来を約束されたのじゃ、それくらいの苦労なんのことはないじゃろ?」
「まぁ、そうだけど」
「魔物について見聞を広げたいのでしたら、ティータの身体を思う存分弄んでくれても……」
「いやいい」
「即答ですか……」

確かにアイリの言う通りだ。
こんな形ではあるものの思わぬ幸運に恵まれた。
災い転じて福と成すとはこのことか。

「おいフレン」
「ん?」
「勝ち組となったお前のために、今晩は盛大にやらないか?」
「やるって…豪華な食事とか、そういうこと?」
「あぁ」
「え!? パーティするの〜!?」
「雌トカゲのくせになかなか良いことを思いつくではないか!」
「ま、待てって! まだ決めたわけじゃ……」
「でしたらティータも大いに飲みまくります」
「………(食べまくる)」

やる気まんまんかこいつら。

「はぁ…仕方ない。そんじゃリクエストにお応えして、今夜は盛大にいきますか!」
「「「「おおーーー!!!」」」」「……ぉー」












「ぐごー! がー! ぐごごー!」
「アイリの鼾(いびき)うるさいなぁ……」

エルザが調達してきた酒を皆で飲みまくった。
結果、生き残ったのは俺だけとなった。

「まったく……風邪ひくぞお前ら」

文句を垂れつつ赤い顔して眠る皆に毛布をかけていく。
あ、メイはお腹いっぱいになっているだけのようだ。

「……これでよし」

当事者の俺より盛り上がるってどういうことだよ。
まぁ今に始まったことじゃないけど。

「………」

そうだ、ちょっと外に出てみるか。
冷たい風にあたって熱を冷ましたい。












「星、綺麗だなぁ」

星空を1人見上げる。
なんだかんだで俺の近くには誰かしらいるため、こういった機会は案外珍しい。

「はぁ〜」

息が白く見える。
真冬だし当然か。
(秋から冬にかけての記憶はないが)

「………」

今の生活はとても好き…いや、楽しい。
だから、それがこれからもずっと続いてほしいと思う。

でも何かの弾みで、それは容易く崩壊してしまうかもしれない。

いや、そんなことはわかってる。
だから俺は……今という人生を全力で楽しみたい。
俺の友達と、俺の家族と、俺を取り巻く全ての人々と一緒に。



きっとそれこそが
『私たちの日常』なんだから―――――

………

………

………






「ぼ、僕には彼女が……」
「あきらめな! わたしに気に入られたが運の尽きだ…たっぷり楽しませろよ?」
「お、お助け――――!!!」

ギシギシ アンアン♪

「………」

台無しじゃないか!!
せっかくイイ感じで締めようと思ったのに……。





ミノタウロスに寝取られている男性を遠目で眺めつつ、今回はこの辺でお別れしましょう。
またいつの日かお会いできることを信じて。

















(´∀`)ハアハア ←誰?
11/04/30 14:12更新 / HERO
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■作者メッセージ
3部が終了致しました@@;
あと特にオチのない終章で申し訳ないですorz

ネタ補充につき、第4部の制作にはしばらくかかりそうです
リアルも忙しくなってきたようなので……今回はこの辺で〜ノ

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