9章 『キャプテンで翼な奴ら』
『それでも…それでも君を愛しているんだ!』
『あぁ…こんな私を愛してくれるなんて……ロリオ、あなたはどうしてロリオなの?』
『ジュリエロット、君はどうしてジュリエロットなんだい?』
『ロリオ!』
『ジュリエロット!』
ギシギシ…アンアン……///(種付け)
リ〜ンゴ〜ン リ〜ンゴ〜ン(永遠の契り)
オギャー! オギャー!(愛の結晶)
こうして2人は、死ぬまで幸せに暮らしました……。
FIN
「……良いドラマだった」
「ぐすっ…わしは、涙で前が見えぬ……!」
「ティータも、珍しく涙が出てしまいました」
「うえ〜ん;; 2人が幸せになって良かったよ〜;;」
「………(涙)」
感動できる心を持つ…素晴らしいことですね。
「あ〜ごめん、今のそんなに良かったか?」
「「「「「!!!???」」」」」
「な、なんだよその目は?」
フレン殿は感性に乏しいですな〜。
「信じられん…今のを見て涙を雫も流さないとは……」
「お主は人としての感情が欠如しているようじゃ……」
「ぇえ!?」
「フレン…可哀想……」
「こればかりは、ティータもお手上げです」
「………(哀れな生物を見る目)」
「ちょ、ちょっと待て! なんで俺がそこまで言われなくちゃいけないんだ!?」
魔物と人間では涙のツボが違うんですかね?
「ふん! この血も涙もない冷徹男が!!」
「女好き!!」
「女ったらし!!」
「優柔不断!!」
「草食系!!」
「ヒモ!!」
「種馬!!」
「主食は女!!」
「異種間万歳!!」
「待て待て! 見に覚えのないことまで言われてる気がするんだけど!?」
フレン殿ではなく、わたくしを罵倒してくださいまし(´∀`;)ハアハア←誰?
「お主がここまで人でなしだとは思わんかったのじゃ!」
「ち、違うって! 俺の話を……」
「寄るな寄るな! 触られただけで妊娠してしまうではないか!!」
「そこまで言うか!?」
珍しく形無しだった家主様でした。
『スポーツの秋じゃ!!!』
とか誰かが叫んだおかげで、俺達は今近所の広い草原に来ている。
「すいません、付き合わせてしまって」
「いいよいいよ! どうせ僕達も暇だったしね!」
「お姉ちゃんモ〜久しぶりに運動したいな〜って思ってたのよ〜♪」
「……絶好調」
「そう言ってもらえると助かります」
俺を含めたカーツ家メンバー6名。
バイト先からはチーフ、イサラさん、レティの3名。
そしてラスト10人目が、
「フレーン! 来てあげたわよー!」
「シオ! 早かったな」
「そ、それは…(せっかくフレンに誘われたから、早めにと思って……)」
「ん、なに?」
「な、なんでも!」
友人であるシオ。
これで総勢10名となった。
「よし、これで揃ったかな」
「ねぇフレン」
「シオ、どうかした?」
「なんだか…やけに女性率が高くない?」
「あ〜まぁ、全員関係者だから」
「ふ〜ん?」
本当はシオを呼ぶかどうか迷ったのだが、全員上手く人間に化けれるようだったので決断した。
そのためメイにはスク水ではなく、ちゃんとした服(現代で言うところのパーカー)を着せている。
それ以外にも露出の高いアイリ、フィロにも若干の厚着をしてもらった。
まぁ季節も季節だし、そこそこ寒いから不自然ではないと思う。
「みんな、この子がさっき言ってたシオ。俺の友達」
「は、初めまして…フレンの友達やってます」
「「「「「「「よろしく〜〜〜!!!」」」」」」」「……よろしく「………(ペコリ)」
「あ、ど、どうも(う…なんか皆レベル高いかも)」
さすがに10人近くが挨拶すると凄い迫力だなぁ。
まぁそれはさて置き、シオの前でボロが出ないことを祈るばかりだ。
「ん〜、何をするかなぁ」
「5対5に分かれて対決できるのが良いのではないか?」
「あ〜うん、そうだね」
「わしは『さっかー』がしたいのじゃ!」
「『さっかー』? あぁ、名前だけなら聞いたことあるかも」
「ですが、ここにいる全員がルールを把握しているでしょうか?」
「アタシ知ってるよ〜?」
「わしも当然知っておる♪」
「ワタシモ〜♪」「僕も!」
「……上に同じ」
「無論、私も知っている」
「ティータも完璧です」「………(黄金の右足)」
「え〜……」
知らないの俺だけ?
「あ、シオは…知らないよな?」
「うち? やったことないけど、ルールくらいなら知ってるわよ?」
マジかあああぁぁぁ……。
そんなわけでチーム分け。
結果はこうなった。
俺チーム
フレン、ティータ、チーフ、イサラさん、シオ
バフォドラチーム
アイリ、エルザ、フィロ、メイ、レティ
FWフレン FWアイリ FWメイ
MFチーフ MFレティ
VS
DFティータ DFシオ MFフィロ
KPイサラ KPエルザ
「いや圧倒的にそっちの方が強いだろ!」
特に特徴のないこちらとは違い、向こうは精鋭がズラリと揃っている。
鉄壁のKPエルザを始めとした、DF無しの超攻撃型フォーメーション。
陸上性能が何故か高いメイと肩を並べるのは、トリッキーな動きが売りのアイリ。
その後ろにはシャドウストライカーであるレティに加え、MFとDFを巧みに切り替え戦う空中戦の鬼、フィロ。
隙がない、と言うよりは完璧なポジション配置だと思う。
「ランダムで決めたのだ、文句を言うな」
「まぁ、そうだけど……」
今更言っても仕方ない。
このチームで何とか勝たなければ……!
「フレンさん、自チームと相手チームのデータをまとめてみました」
「データ?」
『ティータの赤裸々丸見え能力値早見表』
ST=シュート SP=スピード TC=テクニック PH=フィジカル CU=カット
(低G〜A高)
『フレン』 『チーフ』 『ティータ』 『シオ』 『イサラ』
ST−B ST−E ST−B ST−F ST−G
SP−B SP−C SP−D SP−D SP−G
TC−C TC−B TC−E TC−E TC−G
PH−B PH−E PH−A PH−F PH−B
CU−D CU−C CU−D CU−E CU−?
『アイリ』 『メイ』 『レティ』 『フィロ』 『エルザ』
ST−B ST−B ST−B ST−D ST−A
SP−B SP−B SP−A SP−C SP−C
TC−B TC−C TC−A TC−C TC−D
PH−C PH−D PH−C PH−E PH−A
CU−D CU−B CU−B CU−A CU−D
「うん、やっぱり弱いな」
「フレン君には主人公補正とか付いてないの?」
「なんですか主人公補正って」
「オールAとか〜、そ〜ゆ〜能力値のことじゃな〜い〜?」
「ないですよ! そんな都合のイイ補正!」
いや、問題は能力値じゃない。
みんなのチームワークが鍵を握っているはずだ。
「とにかく、遠くからでもシュートを打つようにしよう。真面目に正面から突っ込んでも、レティかフィロにボールを奪われるのがオチだ」
「あんまり自信ないけど、僕頑張るよ!」
「うちはとにかくパスを回すから、よろしく!」
うん、士気は高いみたいだ。
これならいけるかも。
「というか、エルザがKPっていうのが引っかかるなぁ」
「僕、エルザ女史はFWだと思ってたよ」
「きっと〜何かの作戦なのよ〜」
「脳ある鷹は何とやらね」
「おや、向こうは準備ができたみたいですよ?」
相手はきっと油断してるはず。
俺たちを舐めるなよ!
「フレン君!」
「……よっと! ナイスパス!」
ゲーム時間は45分。
現在開始から25分が経過しており、スコアは0−0のまま。
「……行かせない」
「っ!?」
レティに回り込まれた。
彼女を突破することは不可能に近い。
だから俺は……
「それ!」
「……え?」
誰もいないはずの左サイドへ大きくボールを蹴りこむ。
ミスキック……ではない。
「ナイスパスです、フレンさん」
味方へのパス成功。
DFのティータがサイドレンジを前線へ駆け上がる。
この際MFのチーフにはシオのDFをカバーしてもらう。
「ガラ空きですね。ゴールはティータがいただきます」
「ティーちゃん! 痛かったらごめんね〜!!」
そんなティータに、フィロによる上空からの強烈なタックル。
しかし、
ドンッ!!
「きゃ〜〜〜!!」
「効きません」
さすがドワーフ。
スピードはないけどフィジカルは強い。
ケロっとした表情でフィロを弾き返す。
「エルザさん、覚悟」
「変態め……かかってこい!!」
ティータとエルザの一騎打ち……かと思いきや、
「フレンさん、パスです」
「おう!」
「な、なんだと!?」
ティータはシュートの素振りこそ見せたものの、ボールをペナルティエリアに放り込む。
そこへ俺が駆け上がり……
「うおおおおお!!!」
右足を軸にボレーシュートを放つ。
よし、完璧なタイミングだ!
ボールはゴール右下の角に向けて勢い良く飛んでいく。
「ぐっ…間に合え!」
エルザも必死で腕を伸ばす。
いや、これは間違いなく届かないだろう。
まずは1点目だ!
そう確信した次の瞬間……
ズサ━━━━⊂(゚Д゚⊂⌒`つ≡≡≡━━━━!!
ボカッ!
寸でのところでフィロにクリアされてしまった。
「い、いた〜〜〜い;;」
「そ、そんな!?」
「今の連携でゴールできないとは……ティータも予想外です」
驚愕する俺たちを他所に、クリアボールはMFレティの足元へ。
「……ボール、確保」
「ま、まずい…ティータ! 戻れ!」
前線に上がったティータを元のDFポジションに戻すまで、俺がレティの足止めをする。
「い、行かせない!」
「……隙だらけ」
体を左右に動かし俺を翻弄するレティ。
だめだ…彼女の動きについていけない!
「こ、この……!」
ついていけないなら、反則覚悟で足を出すしかない!
俺はレティの足元にあるボール目掛けて、足を払うようにして奪いにいく。
しかし、
「……あまい」
「っ!」
上手く捌かれバランスを崩す。
そしてそのまま横を抜かれていったのだが……
……チュッ
「!?」
「……♪」
抜かれ際、レティは俺の頬にキスをしていった。
たぶん誰にも気づかれていない。
や、柔らかい唇だった……いやいやそうじゃなくて!
「チーフ! シオ! メイとアイリをマークするんだ! レティには絶対にシュートを打たせないから!!」
「わかってるわよ!」「僕の出番だね!」
レティを後ろから追いつつDFの2人に指示を出す。
ティータはまだ戻れていない。
「……パス」
レティはシオのマークするメイにボールを渡す。
「………」
「メ、メイちゃん! ここは絶対抜かせ……」
クルッ ヒューーーン!
「う、うそ!?」
呆気なく抜かれた。
もう残るはKPしか……。
「イサラさーん! 止めてくださーーーい!!」
「あらあら〜、やっとお姉ちゃんの出番ね〜♪」
最後の砦なのに何故そんなに穏やかなんですかあなたは?
「………」
凄い勢いでゴールに詰め寄るメイ。
そして、
ガッ!!!
強烈なミドルシュートを放つ。
ボールはイサラさんの体目掛けて一直線に飛んでいく。
「イ、イサラさん危ない! 避けて!!」
あんなボールを喰らったら、いくら魔物のイサラさんでもきっと無事では済まない。
ゴーーー!!!
ボールの威力は衰えることを知らない。
しかし、イサラさんは一向に動こうとしない。
「イ、イサラさーーーん!!!」
ポヨヨ〜〜〜ン♪
「いや〜ん……///」
イサラさんのメロンがボールの威力を相殺。
「………!?」
さすがのメイも驚きを隠せない。
だがまだ危機は去っていない。
「わしの存在を忘れるでないわーーー!!」
宙に浮かぶこぼれ玉に向けアイリが大ジャンプを見せる。
「その見るに耐えん肉塊ごとゴールに突き刺してやるわい!」
そう言い放ち、アイリは体を前後に回転させる。
「秘技……『超悶絶絶頂キンテキック』じゃーーー!!」
ドゴッ!!!
ボールの形が変わる程の強烈なシュートがイサラさんを襲う。
「避けた方が身のためじゃぞ!!」
た、確かにそうかも知れない。
今回ばかりは、例えイサラさんが究極双メロンの持ち主であっても止められるかどうか……
ポヨヨヨヨ〜〜〜〜〜〜ン♪♪♪
「イ…イ……イク〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜……///」
絶頂……じゃなくて!
イサラさんは見事にボールを止めた(弾いた)。
「な、なんじゃと!?」
「クリアボールいっただき〜♪」
「よし! ノーガードで攻めるぞ!」
こぼれた玉をチーフが広い前線へと走り出す。
俺とティータとシオの3人もそれに続く。
残り時間は……あと5分。
「フレン君、パス!」
「よっ! ティータ!」
「シオさんにスルーです」
「ちょ……ぇえ!? フレンパース!」
フィロとレティの守りの堅さを細かなパス回しで崩していく。
そしてフリーになった俺は、
「……ここだーーー!!」
全身の力を左足に込めてシュートを放った。
ボールはKPエルザの正面に飛んでいく。
「私に正面から挑むとは…愚かな!!」
セーブする構えをとるかと思えば、エルザは右足を上げシュートのポーズに。
「フレン! このままお前のボールをゴールに押し込んでやる!!」
「! そうか、そういうことか!」
パワーのあるエルザだからこそできる、『ゴールからゴールへのシュート』。
現在こちらのKPは行動不能状態に陥っている。
(イサラさんは頬を紅く染めビクビクと痙攣しながら地面に横たわっている)
今ボールを返されたら確実に決まってしまう。
「喰らえ! 『ドラゴンボレー』!!」
メキャッ!!!
俺のシュートをそのままシュートで返すエルザ。
その勢いはまるで……ドラゴンそのもの。
これを止めなきゃ……負ける。
でも人間の俺があんなシュートを止められるはずがない……。
………。
いや、まだ可能性はある。
そうだ、賭けてみよう。
…………『主人公補正』というやつに!
「うおおおおおおおおおお!!!」
俺はボールに対して仁王立ちになる。
例えこの体が吹き飛ぼうと……俺は負けるわけにはいかない!!
「フレン君!」
「フレンさん!」
「フレン!」
「あっ…ん……///」
皆の声が遠くから聞こえてくる。
俺は…俺は…………ヒーローになりたいんだーーーーー!!!
チーン
ボーるハ
おレのこカんヲ
はカいシテいっタ
〜おまけ〜
「フレンの意識は戻ったか?」
「残念ながら。しかし状態は安定しています」
「まだ目覚めそうにないのう」
「もう2週間経つのに……」
「………(心配)」
フレンはいつ目覚めるのか。
それは次回のお楽しみ。
ちなみにフレンの息子さんは無事だったようです。
いや〜しぶといですね〜w
『あぁ…こんな私を愛してくれるなんて……ロリオ、あなたはどうしてロリオなの?』
『ジュリエロット、君はどうしてジュリエロットなんだい?』
『ロリオ!』
『ジュリエロット!』
ギシギシ…アンアン……///(種付け)
リ〜ンゴ〜ン リ〜ンゴ〜ン(永遠の契り)
オギャー! オギャー!(愛の結晶)
こうして2人は、死ぬまで幸せに暮らしました……。
FIN
「……良いドラマだった」
「ぐすっ…わしは、涙で前が見えぬ……!」
「ティータも、珍しく涙が出てしまいました」
「うえ〜ん;; 2人が幸せになって良かったよ〜;;」
「………(涙)」
感動できる心を持つ…素晴らしいことですね。
「あ〜ごめん、今のそんなに良かったか?」
「「「「「!!!???」」」」」
「な、なんだよその目は?」
フレン殿は感性に乏しいですな〜。
「信じられん…今のを見て涙を雫も流さないとは……」
「お主は人としての感情が欠如しているようじゃ……」
「ぇえ!?」
「フレン…可哀想……」
「こればかりは、ティータもお手上げです」
「………(哀れな生物を見る目)」
「ちょ、ちょっと待て! なんで俺がそこまで言われなくちゃいけないんだ!?」
魔物と人間では涙のツボが違うんですかね?
「ふん! この血も涙もない冷徹男が!!」
「女好き!!」
「女ったらし!!」
「優柔不断!!」
「草食系!!」
「ヒモ!!」
「種馬!!」
「主食は女!!」
「異種間万歳!!」
「待て待て! 見に覚えのないことまで言われてる気がするんだけど!?」
フレン殿ではなく、わたくしを罵倒してくださいまし(´∀`;)ハアハア←誰?
「お主がここまで人でなしだとは思わんかったのじゃ!」
「ち、違うって! 俺の話を……」
「寄るな寄るな! 触られただけで妊娠してしまうではないか!!」
「そこまで言うか!?」
珍しく形無しだった家主様でした。
『スポーツの秋じゃ!!!』
とか誰かが叫んだおかげで、俺達は今近所の広い草原に来ている。
「すいません、付き合わせてしまって」
「いいよいいよ! どうせ僕達も暇だったしね!」
「お姉ちゃんモ〜久しぶりに運動したいな〜って思ってたのよ〜♪」
「……絶好調」
「そう言ってもらえると助かります」
俺を含めたカーツ家メンバー6名。
バイト先からはチーフ、イサラさん、レティの3名。
そしてラスト10人目が、
「フレーン! 来てあげたわよー!」
「シオ! 早かったな」
「そ、それは…(せっかくフレンに誘われたから、早めにと思って……)」
「ん、なに?」
「な、なんでも!」
友人であるシオ。
これで総勢10名となった。
「よし、これで揃ったかな」
「ねぇフレン」
「シオ、どうかした?」
「なんだか…やけに女性率が高くない?」
「あ〜まぁ、全員関係者だから」
「ふ〜ん?」
本当はシオを呼ぶかどうか迷ったのだが、全員上手く人間に化けれるようだったので決断した。
そのためメイにはスク水ではなく、ちゃんとした服(現代で言うところのパーカー)を着せている。
それ以外にも露出の高いアイリ、フィロにも若干の厚着をしてもらった。
まぁ季節も季節だし、そこそこ寒いから不自然ではないと思う。
「みんな、この子がさっき言ってたシオ。俺の友達」
「は、初めまして…フレンの友達やってます」
「「「「「「「よろしく〜〜〜!!!」」」」」」」「……よろしく「………(ペコリ)」
「あ、ど、どうも(う…なんか皆レベル高いかも)」
さすがに10人近くが挨拶すると凄い迫力だなぁ。
まぁそれはさて置き、シオの前でボロが出ないことを祈るばかりだ。
「ん〜、何をするかなぁ」
「5対5に分かれて対決できるのが良いのではないか?」
「あ〜うん、そうだね」
「わしは『さっかー』がしたいのじゃ!」
「『さっかー』? あぁ、名前だけなら聞いたことあるかも」
「ですが、ここにいる全員がルールを把握しているでしょうか?」
「アタシ知ってるよ〜?」
「わしも当然知っておる♪」
「ワタシモ〜♪」「僕も!」
「……上に同じ」
「無論、私も知っている」
「ティータも完璧です」「………(黄金の右足)」
「え〜……」
知らないの俺だけ?
「あ、シオは…知らないよな?」
「うち? やったことないけど、ルールくらいなら知ってるわよ?」
マジかあああぁぁぁ……。
そんなわけでチーム分け。
結果はこうなった。
俺チーム
フレン、ティータ、チーフ、イサラさん、シオ
バフォドラチーム
アイリ、エルザ、フィロ、メイ、レティ
FWフレン FWアイリ FWメイ
MFチーフ MFレティ
VS
DFティータ DFシオ MFフィロ
KPイサラ KPエルザ
「いや圧倒的にそっちの方が強いだろ!」
特に特徴のないこちらとは違い、向こうは精鋭がズラリと揃っている。
鉄壁のKPエルザを始めとした、DF無しの超攻撃型フォーメーション。
陸上性能が何故か高いメイと肩を並べるのは、トリッキーな動きが売りのアイリ。
その後ろにはシャドウストライカーであるレティに加え、MFとDFを巧みに切り替え戦う空中戦の鬼、フィロ。
隙がない、と言うよりは完璧なポジション配置だと思う。
「ランダムで決めたのだ、文句を言うな」
「まぁ、そうだけど……」
今更言っても仕方ない。
このチームで何とか勝たなければ……!
「フレンさん、自チームと相手チームのデータをまとめてみました」
「データ?」
『ティータの赤裸々丸見え能力値早見表』
ST=シュート SP=スピード TC=テクニック PH=フィジカル CU=カット
(低G〜A高)
『フレン』 『チーフ』 『ティータ』 『シオ』 『イサラ』
ST−B ST−E ST−B ST−F ST−G
SP−B SP−C SP−D SP−D SP−G
TC−C TC−B TC−E TC−E TC−G
PH−B PH−E PH−A PH−F PH−B
CU−D CU−C CU−D CU−E CU−?
『アイリ』 『メイ』 『レティ』 『フィロ』 『エルザ』
ST−B ST−B ST−B ST−D ST−A
SP−B SP−B SP−A SP−C SP−C
TC−B TC−C TC−A TC−C TC−D
PH−C PH−D PH−C PH−E PH−A
CU−D CU−B CU−B CU−A CU−D
「うん、やっぱり弱いな」
「フレン君には主人公補正とか付いてないの?」
「なんですか主人公補正って」
「オールAとか〜、そ〜ゆ〜能力値のことじゃな〜い〜?」
「ないですよ! そんな都合のイイ補正!」
いや、問題は能力値じゃない。
みんなのチームワークが鍵を握っているはずだ。
「とにかく、遠くからでもシュートを打つようにしよう。真面目に正面から突っ込んでも、レティかフィロにボールを奪われるのがオチだ」
「あんまり自信ないけど、僕頑張るよ!」
「うちはとにかくパスを回すから、よろしく!」
うん、士気は高いみたいだ。
これならいけるかも。
「というか、エルザがKPっていうのが引っかかるなぁ」
「僕、エルザ女史はFWだと思ってたよ」
「きっと〜何かの作戦なのよ〜」
「脳ある鷹は何とやらね」
「おや、向こうは準備ができたみたいですよ?」
相手はきっと油断してるはず。
俺たちを舐めるなよ!
「フレン君!」
「……よっと! ナイスパス!」
ゲーム時間は45分。
現在開始から25分が経過しており、スコアは0−0のまま。
「……行かせない」
「っ!?」
レティに回り込まれた。
彼女を突破することは不可能に近い。
だから俺は……
「それ!」
「……え?」
誰もいないはずの左サイドへ大きくボールを蹴りこむ。
ミスキック……ではない。
「ナイスパスです、フレンさん」
味方へのパス成功。
DFのティータがサイドレンジを前線へ駆け上がる。
この際MFのチーフにはシオのDFをカバーしてもらう。
「ガラ空きですね。ゴールはティータがいただきます」
「ティーちゃん! 痛かったらごめんね〜!!」
そんなティータに、フィロによる上空からの強烈なタックル。
しかし、
ドンッ!!
「きゃ〜〜〜!!」
「効きません」
さすがドワーフ。
スピードはないけどフィジカルは強い。
ケロっとした表情でフィロを弾き返す。
「エルザさん、覚悟」
「変態め……かかってこい!!」
ティータとエルザの一騎打ち……かと思いきや、
「フレンさん、パスです」
「おう!」
「な、なんだと!?」
ティータはシュートの素振りこそ見せたものの、ボールをペナルティエリアに放り込む。
そこへ俺が駆け上がり……
「うおおおおお!!!」
右足を軸にボレーシュートを放つ。
よし、完璧なタイミングだ!
ボールはゴール右下の角に向けて勢い良く飛んでいく。
「ぐっ…間に合え!」
エルザも必死で腕を伸ばす。
いや、これは間違いなく届かないだろう。
まずは1点目だ!
そう確信した次の瞬間……
ズサ━━━━⊂(゚Д゚⊂⌒`つ≡≡≡━━━━!!
ボカッ!
寸でのところでフィロにクリアされてしまった。
「い、いた〜〜〜い;;」
「そ、そんな!?」
「今の連携でゴールできないとは……ティータも予想外です」
驚愕する俺たちを他所に、クリアボールはMFレティの足元へ。
「……ボール、確保」
「ま、まずい…ティータ! 戻れ!」
前線に上がったティータを元のDFポジションに戻すまで、俺がレティの足止めをする。
「い、行かせない!」
「……隙だらけ」
体を左右に動かし俺を翻弄するレティ。
だめだ…彼女の動きについていけない!
「こ、この……!」
ついていけないなら、反則覚悟で足を出すしかない!
俺はレティの足元にあるボール目掛けて、足を払うようにして奪いにいく。
しかし、
「……あまい」
「っ!」
上手く捌かれバランスを崩す。
そしてそのまま横を抜かれていったのだが……
……チュッ
「!?」
「……♪」
抜かれ際、レティは俺の頬にキスをしていった。
たぶん誰にも気づかれていない。
や、柔らかい唇だった……いやいやそうじゃなくて!
「チーフ! シオ! メイとアイリをマークするんだ! レティには絶対にシュートを打たせないから!!」
「わかってるわよ!」「僕の出番だね!」
レティを後ろから追いつつDFの2人に指示を出す。
ティータはまだ戻れていない。
「……パス」
レティはシオのマークするメイにボールを渡す。
「………」
「メ、メイちゃん! ここは絶対抜かせ……」
クルッ ヒューーーン!
「う、うそ!?」
呆気なく抜かれた。
もう残るはKPしか……。
「イサラさーん! 止めてくださーーーい!!」
「あらあら〜、やっとお姉ちゃんの出番ね〜♪」
最後の砦なのに何故そんなに穏やかなんですかあなたは?
「………」
凄い勢いでゴールに詰め寄るメイ。
そして、
ガッ!!!
強烈なミドルシュートを放つ。
ボールはイサラさんの体目掛けて一直線に飛んでいく。
「イ、イサラさん危ない! 避けて!!」
あんなボールを喰らったら、いくら魔物のイサラさんでもきっと無事では済まない。
ゴーーー!!!
ボールの威力は衰えることを知らない。
しかし、イサラさんは一向に動こうとしない。
「イ、イサラさーーーん!!!」
ポヨヨ〜〜〜ン♪
「いや〜ん……///」
イサラさんのメロンがボールの威力を相殺。
「………!?」
さすがのメイも驚きを隠せない。
だがまだ危機は去っていない。
「わしの存在を忘れるでないわーーー!!」
宙に浮かぶこぼれ玉に向けアイリが大ジャンプを見せる。
「その見るに耐えん肉塊ごとゴールに突き刺してやるわい!」
そう言い放ち、アイリは体を前後に回転させる。
「秘技……『超悶絶絶頂キンテキック』じゃーーー!!」
ドゴッ!!!
ボールの形が変わる程の強烈なシュートがイサラさんを襲う。
「避けた方が身のためじゃぞ!!」
た、確かにそうかも知れない。
今回ばかりは、例えイサラさんが究極双メロンの持ち主であっても止められるかどうか……
ポヨヨヨヨ〜〜〜〜〜〜ン♪♪♪
「イ…イ……イク〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜……///」
絶頂……じゃなくて!
イサラさんは見事にボールを止めた(弾いた)。
「な、なんじゃと!?」
「クリアボールいっただき〜♪」
「よし! ノーガードで攻めるぞ!」
こぼれた玉をチーフが広い前線へと走り出す。
俺とティータとシオの3人もそれに続く。
残り時間は……あと5分。
「フレン君、パス!」
「よっ! ティータ!」
「シオさんにスルーです」
「ちょ……ぇえ!? フレンパース!」
フィロとレティの守りの堅さを細かなパス回しで崩していく。
そしてフリーになった俺は、
「……ここだーーー!!」
全身の力を左足に込めてシュートを放った。
ボールはKPエルザの正面に飛んでいく。
「私に正面から挑むとは…愚かな!!」
セーブする構えをとるかと思えば、エルザは右足を上げシュートのポーズに。
「フレン! このままお前のボールをゴールに押し込んでやる!!」
「! そうか、そういうことか!」
パワーのあるエルザだからこそできる、『ゴールからゴールへのシュート』。
現在こちらのKPは行動不能状態に陥っている。
(イサラさんは頬を紅く染めビクビクと痙攣しながら地面に横たわっている)
今ボールを返されたら確実に決まってしまう。
「喰らえ! 『ドラゴンボレー』!!」
メキャッ!!!
俺のシュートをそのままシュートで返すエルザ。
その勢いはまるで……ドラゴンそのもの。
これを止めなきゃ……負ける。
でも人間の俺があんなシュートを止められるはずがない……。
………。
いや、まだ可能性はある。
そうだ、賭けてみよう。
…………『主人公補正』というやつに!
「うおおおおおおおおおお!!!」
俺はボールに対して仁王立ちになる。
例えこの体が吹き飛ぼうと……俺は負けるわけにはいかない!!
「フレン君!」
「フレンさん!」
「フレン!」
「あっ…ん……///」
皆の声が遠くから聞こえてくる。
俺は…俺は…………ヒーローになりたいんだーーーーー!!!
チーン
ボーるハ
おレのこカんヲ
はカいシテいっタ
〜おまけ〜
「フレンの意識は戻ったか?」
「残念ながら。しかし状態は安定しています」
「まだ目覚めそうにないのう」
「もう2週間経つのに……」
「………(心配)」
フレンはいつ目覚めるのか。
それは次回のお楽しみ。
ちなみにフレンの息子さんは無事だったようです。
いや〜しぶといですね〜w
11/04/16 08:41更新 / HERO
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