『掘り出し物?』
「うおっと! へへっ…お前の呪いなんか喰らわねえよお! じゃ…あばよっ!!」
「き、貴様あああ!! 待てえ! 待たぬかああ!!」
遺跡から帰還後の、町中のとある酒場にて。
「はぁ……ソフィア、もう一杯…」
「ネス、飲み過ぎよ? 何かあったの?」
「いや、そういうわけじゃない…」
「もう、ネスらしくないわねぇ…。 本当にどうしたのよ?」
「刺激……そう、刺激がない……俺の人生には…」
「トレジャーハントが充実していないってこと?」
「いや、お宝はちゃんと手に入れてる。 現に、こうやって酒飲んでんだろ…?」
「じゃぁ…どういう事?」
「……わからん」
俺は何でトレジャーハンターになった?
死んだ爺ちゃんに憧れて? まぁそれもある。
一番の理由は、刺激が欲しかったからだと思う。
平凡な人生に飽き飽きしていた俺は、爺ちゃんの跡を継ぐ決意をした。
当初はドキドキワクワクのオンパレードだった。
遺跡を見つけ、罠を避け、秘宝を守るBOSSと対峙して………
何もかもが楽しい毎日を過ごしていた。
だが…それも長くは続かなかった。
俺が成長するにつれて、もちろん俺のハント技術や戦闘能力も向上していく。
無論、これは非常に喜ばしいことだ。
しかしだからと言って、ダンジョンレベルも一緒に上がるわけではない。
何が言いたいかわかるか?
要するに、『遺跡攻略が簡単になってくる』ってことだ。
別にいいじゃないか?と言う奴もいる。(ソフィアにも言われた)
まぁ金には困らないから経済的には恵まれている。
だがなぁ……刺激を求める俺にとっては致命傷なんだよ、この事態は。
やっとのことで辿り着いた遺跡をわずか数時間でクリア、秘宝獲得に成功。
(遺跡までの移動時間の方が長い)
………ダメだろ!? これじゃぁ何のありがたみも無い!!
秘宝っていうのはなぁ…苦労に苦労を重ねて、ようやく手にすることができる物なんだよ!
………。
遺跡に生息するスフィンクスやアヌビスと言った魔物。
駆け出しの頃は本当に驚異だったこいつらも……俺にとっては今や道中の雑魚に等しい。
宝を守ってるのは十中八九アヌビス。
呪いにさえ気を付けていれば無傷で攻略可能。
実際に、さっきも近場の遺跡でアヌビスをからかってきた。
暇なんだよ……ほんと………
「………zzz」
「あれ…ネス? ……寝ちゃった」
今の俺には……何が足りねぇのかなぁ……………
翌日。
目が覚めると、そこは自宅のベット。
「あ、あれ……俺…いつの間に…?」
昨晩は酒場で寝てしまった記憶があるんだが……。
自力で帰ってきたのか?
いや、ソフィアが連れてきてくれたんだな。
今日にでもちゃんと礼言っとかねぇと………ん?
モゾモゾ……
?
俺のベットの中で何かが動く。
なんだ?
「ん〜…むにゃむにゃ……」
??
むにゃむにゃ?
「んん…ネス〜………zzz」
???
え? 俺の名前?
おいおい…酔った勢いで女と過ごしたなんて、シャレにならんぞ?
てゆうか……誰だ?
ソッとベットの中を覗き込むと………
「……うおっ! ソフィア!?」
良く知った顔があった。 しかも下着に俺の私服ときた。
いやいや! 何でソフィアがここに!? つーか何で俺のベットの中に俺の服で!?
確かに仲は悪くないが、ここまでする関係じゃぁ……。
………
ちょっと待て…この状況は色々とマズイぞ……。
言ってなかったけど、ソフィアは町一番の美人で、しかも魔物。
まぁエルフが魔物に入るのかは謎だけど…。(エルフにしては珍しく愛想が良い)
そんなソフィア目当てに酒場を訪れる者も少なくない。
何度かデートやら交際の誘いもあったらしいが、謹んでお断りしたそうだ。
そして、誘ってくる男のほとんどは超イケメンか大富豪。
俺からしたら勿体ないの一言に尽きるが、本人曰く『好みじゃない』らしい。
まぁ顔とか名声で相手を決める様な奴じゃないからな、ソフィアは。
で……そんなソフィアと、俺は一夜を共にした。
いやマズイだろ?
この事実が世間にばれたら、俺は町中の人間(主に男)を敵に回すことになる。
しかも普段から『盗掘家』やら『遺跡荒らし』だのと罵声を浴びてる俺が、町のアイドルとヤらかしたんだぞ?
この状況をマズイと言わずなんと言う?
………。
……いや、まだ俺とソフィアが『ヤった』とは限らない。
実際に俺はまったく覚えてないんだからな。
早く起こして、ソフィアの口から真実を………ん?
良く見るとベットの内部には、至る所にシミのような跡がある。
何だよ…これ……。
まさかこれは…俺の……俺の!?
「うわあああああああああああああああ!!!」
色々な感情が入り交じった状態で、俺は自分の家から飛び出した。
ちょっと後。
「ん…んん〜…良く寝た……あら、ネスは? …いないわね」
モソモソと動き出すソフィア。
「帰るの面倒で、シャワーに服、ベットまで借りちゃったから…怒って出てったのかしら? ……まさか、ネスはそんな人じゃないわね」
ゆっくりと起きあがる。
「いやだ…ベットに『ヨダレ』付けちゃった……後で洗っておかないと」
服を脱ぎ始める。
「でもその前に……もう一回シャワー借りちゃお♪」
下着も外す。
「仕事も休みだし…今日はネスの家で、ノンビリしようかしら♪」
ネスの自宅からシャワーの音が聞こえ始める。
「ぜぇ…ぜぇ…ぜぇ……」
全力で町から離れた。
どこへ行くでも無く、ただ全力で駆けた。
「はぁ…はぁ……ふぅ…。 追っ手…無し……」
こんな全力で逃げなくても…と思わなくもなかったが、逃走に加減を入れるほど器用でもない。
あぁ……疲れた。
つーか俺…帰れないじゃん?
なぜなら町の男達から奇襲攻撃や闇討ちに遭う可能性がある。
いや、ほぼ100%間違いないな。
なんたって……『奪った』んだからな、アイドルの純潔を。
相応の代償と言っていい。
むしろ誇るべきか?
良い女を抱くのは男の夢って言うしな。
俺はそれを達成した。
よっしゃああああああああああああああああああああああ!!
とは喜べない。
良く覚えてないから。
「はてさて…どうしたもんか……」
これからの事を考える。
しばらくは自宅に帰れない。
ならやる事は一つ………
「……お宝探しといきますか!」
前向きに検討した結果、やはりトレジャーということになった。
「あれ……こんな場所に遺跡なんてあったか?」
俺は住居である町を拠点として遺跡を探索するスタイルをとっている。
とは言ってもほとんどの遺跡は制覇し、BOSS達のブラックリストに載っている。
なので港から船を使って、別の大陸に足を運んだ。
(以前にも来たことはあるが、あまり長く滞在していなかったため、この大陸については詳しくない)
「まぁそうだよな……この大陸に来たのは随分前だし、記憶も曖昧だったんだな」
別の大陸とは言うものの、船に乗れば小一時間で着ける場所にある。
(金がかかるため渡来頻度は低かった)
今は砂漠の真ん中にあるピラミッド型の遺跡にいる。
「さぁて…ここにはどんなプリンセス(秘宝)が眠ってんのかねぇ……」
…
……
………
…………
……………なるほど。
罠なし・敵なし・宝なし。
見事なまでの空振り。
いや…普通宝は無くても敵はいるだろ……。
まったく…わざわざ船まで使って来たっつーのに、こうまで収穫がないと逆に清々しい。
まぁ別に急いで帰る理由はない。
良い機会だ、この大陸について少し調べることにしよう。
まだまだ知らないことが多いからな、この大陸は。
そうと決まれば適当に町入って、宿でも探すか……。
町の道具屋(露店)にて。
「なぁ店主……ここ…道具屋だよな?」
「見てのとおりじゃ。 ここは正真正銘、立派な道具屋じゃぞ?」
「………」
「この店は普通の人間には見えんのじゃが…お主、素質があるのう?」
「まぁ魔物と関わりが無いわけじゃないからなぁ……」
店を間違えた。
こういった露店の方が、ちょっとした小物を買う時には安く譲ってもらえるのだが……。
「で……何用じゃ? 『バフォメット様の媚薬店』を訪ねるぐらいの男じゃ、何か深い事情があるに違いないのう?」
「………」
バフォメット出店の店に手を出してしまった。
あぁ…露店なんかに目を付けるんじゃなかった……。
「事情があると言えばあるんだが……」
「なんじゃ? 娘(魔物)との子作りが上手くいかんのか?」
「いや、そうじゃない」
「ならば何用じゃ?」
バフォメットと言ったら魔界を統べる覇者。
下手に怒らせるのは得策じゃないな。
(なぜ露店を出しているのかは謎だが………)
「いや、まぁそうだなぁ………店主、なんかオススメは?」
とりあえず何か買っておこう。
「そうじゃのう……これはどうじゃ?」
「それ何だよ?」
「これは『万里眼の薬』と言ってのう、飲めば己が望むモノがどこにあるのかを探り当てる事ができる代物じゃ」
「そりゃ便利だなぁ」
「本来は魔物娘が獲物(男)を逃がしてしまった時に使う物じゃ」
「それは物でも探せんのか?」
「無論じゃ。 人間の男が使う事もできるぞい」
「人間の女は?」
「ただの苦い薬じゃ」
「……なんか都合の良いアイテムだな」
「そんなもんじゃろ。 で……買うかのう?」
「………」
効果のわりには格安だったので、とりあえず購入。
いや、思いがけず良い買い物をした。
とは言っても、トレジャーで使うつもりはない。
もしもの時のために保存しておくことにした。
「毎度ぉなのじゃ! また来るとよいぞ!」
「まぁ、気が向いたら」
本当に気が向いたら行くつもりだ。
こんな便利な商品売ってる店は他にないからな。
「じゃぁ俺はこれで。 店主、ありがとな」
「うむ」
別れを告げ宿屋に戻る。
「ふむ……奴め、強大な潜在能力を秘めておる。 人間にしておくには勿体ないのう…。 じゃが、儂の好みではないのう」
散々言われていることに気付かない俺。
「………」
さて翌日。
俺の今いる町、アラビアータの周囲には無数の遺跡が存在する。
昨日行ってきた遺跡もその一つ。(ハズレだったが)
ただ砂漠が行く手を遮っているため、そう遠くまでは行けない。
ここは昨日同様、近場で手を打とう。
「………」
その前に、どうしても気になるのがこの薬。
緊急用と考えていたつもりだったが、やはり気になる。
いや……使ってみたい。
誘惑に負けそうになる。
「………」
トレジャーでは使わないと決めたはず。
でも……どうしても使ってみたい。
それに、俺の望むモノが秘宝とは限らないわけだし。
「………」
使おう。
これが最初で最後だ。
よし、そうと決まれば……
………ゴクリッ
「うっ…苦……」
店主の宣告通り苦かった。
だが……
「ん…なんだ?」
頭の中にイメージが流れ込んでくる。
なるほど…こういう仕組みになってたのか。
頭に意識を集中させる。
「ん? この場所は……」
「そうか…隠し扉があったか……」
頭に浮かんだイメージは、昨日俺が訪れた『ハズレの遺跡』。
遺跡内部までイメージが鮮明に映し出されている。
『効果は目的のモノに辿り着くまで継続するぞい!』
店主はこうも言っていた。
やはり…こりゃ相当便利だ。
ただ問題が一つ……。
俺の望むモノがイマイチ良くわからない。
最初は秘宝か何かかと思っていたが、どうやら違うらしい。
頭の中のイメージにも、秘宝なんて影も形もない。
………。
まぁいい。
俺の望むがここにある事は確かだ。
自分の目で確かめてやれば何の問題もない。
「行くか……」
隠し扉は小さく、人一人通るのがやっとの大きさ。
さぁて、何があるのかね……。
「よっと………ん?」
くぐり抜けた先には、四角形の小部屋があった。
同時に薬の効果も切れる。
………。
何も無い。
あるのは女の形をした、包帯でグルグル巻きにされたミイラのみ。
「おいおい…どういう事だ?」
効果が切れたら目標達成のはず。
なのにこの部屋には何もない。
……あの店主に騙されたか?
「はぁ……まっ、特に期待してなかったし……」
賠償請求するほどの金額を払ったわけでもない。
ここは目を瞑ることにしよう…。
「家…帰ろっかなぁ……」
なんかもう、どうでも良くなった。
町の男共に狙われようが関係ない。
そん時はそん時だ。
たとえ狙われても、ソフィアは助けてくれそうな気がする。
「……帰るか」
そう思い立ち、小部屋から出ようと背を向ける。
が………
ガシッ
「うおっ!?」
何かに足を掴まれた。
メチャメチャ驚いた。
誰もいなかったはずだが…。
恐る恐る後ろを振り向くと……
「………」
さっき見たミイラが無言のまま、俺の足首をシッカリと掴んでいた。
あぁ、なるほど。
こいつはアレだ……『マミー』だ。
いやぁ…びびった。
「………」
足を軽く振っても離そうとしない。
というより、力が強くてちょっと痛い。
「ちょっ…おい! 何のつもりだ!?」
「………」
呼びかけに反応しない。
マミーだから知能が低いのか?
「………」
「お、おい………うおおお!?」
もの凄い力で足を引っ張られすっ転ぶ。
「………」
「いっ…いってぇ……っておい! 何してんだ!?」
自分に巻き付けてある包帯で、あろうことか俺を拘束し始めた。
マミーってこんな知能高かったか!?
「………♪」
両腕・両足を包帯により封じられた。
まったく動けない。
心なしか少し満足そうに見える。
「………」
スルスルと(性交に)必要最低限の部分の包帯を緩めていく。
「ま…まさかお前……」
「♪♪♪」
喋らなくても目でわかる。
俺は今から……コイツの『餌』になる。
「はぁ…はぁ……うっ!?」
びゅっ! びゅくん…びゅる…びゅる………
お、おかしい……。
なんでマミーの膣は…こんな気持ちいいんだ?
俺も女を知らないわけじゃないが……人間の女とは比べものにならん。
「………♪」
「ま、待て……少し…休ませ……うあっ!?」
ぱちゅん ぱちゅん ぱちゅん ぱちゅん ぱちゅん!
休み無しの4回戦目。
あぁ…もう体力が……。
一回か二回で満足すると踏んでいたが、コイツの腰はとどまる事を知らない。
まずい…種抜きにされる………うっ!?
どぴゅっ! どぷっ どぷん………
5回目。
もう……ムリ………ああ!?
びゅっ…びゅる……びゅうぅぅぅ〜〜〜……
遂にダウン。
気を失った俺に構う事なく、それでもマミーは性交を続ける。
腹の中にタプタプと精液が溜まっても、それでもマミーは止まらなかった………
「もう満足だろ? 付いてくんなよ?」
「………(フルフル)」
「フルフルって……俺に付いて来ても何も良いことねえぞ?」
「………(コクリ)」
「コクリってお前……」
目が覚めたら、コイツは正座で大人しくしていた。(なぜ正座だったのかは謎)
そのまま帰ろうとしたら、なぜか付いてきた。
説得しても効果無し。
「………」
「はぁ…物好きな奴」
まぁ一緒にいて害があるわけでもない。
しばらくは傍に置いといてやるか。
ただ奇異の目では見られるだろうな。
それに、飽きたら勝手に離れていくだろう。
「わかった…連れてってやる」
「………♪」
目元がやや綻ぶ。
喜んでんのか?
「帰る前に、その格好…どうにかしねぇとな」
「………?」
港に直行する前に、アルビアータで旅用のローブを購入していった。
自宅に戻っても、待ち伏せ・奇襲攻撃は受けなかった。
俺がソフィアとヤったというのは、どうやら誤解だったらしい。
ソフィア本人から聞き出した。
(一緒のベットで寝た事実はそのまま)
遺跡から連れ帰ったコイツは、今も俺の家に住み着いている。
さすがに包帯のままは見栄えが悪かったので、ソフィアに頼んで服を作ってもらった。
ただの服じゃない。
コイツの巻いていた包帯をそのまま生地として使い、身体の乾きを防ぐ『耐乾性服』だ。
ちなみに見た目は普通の服と変わり無い。
こういう器用な事ができるのも、ソフィアの魅力の一つと言える。
「………」
「ん? なんだ?」
「………」
「誰に説明してんのかって?」
「………(コクリ)」
「あぁ、そう言えば誰に説明してるんだったかなぁ…」
「………」
「え? そんな事より早く『ヤろう』だって?」
「………(コクリ)」
「おいおい勘弁してくれよ……これで三週間連続だぞ?」
「………」
「お前は良くても俺はダメなんだよ!!」(肉体的な意味で)
「………」
「なに? ヤってくれなきゃ種抜きにするぞコノヤローだって?」
「………(コクリ)」
「どっちにしろ種抜きじゃねえかよ俺!!」
ガバッ!
「うおっ!? た、頼む! 今日だけはマジで勘弁してく………うあああぁぁぁぁぁぁ………!!」
世間は俺達を『恋人』と言っているが、決してそんな事はない。
ただヤる。 ただヤる。 ただヤる。 (ヤられる)
これの繰り返し。
こんなカップル全世界探しても俺達だけしか………いや、他にもいるな。
魔物に捕まった男は皆そうだろう、きっと。
俺も被害者ってわけか……。
………
でも、悪くない。
これはこれで刺激のある毎日を送ることができる。
あの店主が売っていた薬は、コイツを映し出していたのか。
なるほど………うっ!?
どぴゅっ!!!
種抜きにされる日は
そう遠くない………
「き、貴様あああ!! 待てえ! 待たぬかああ!!」
遺跡から帰還後の、町中のとある酒場にて。
「はぁ……ソフィア、もう一杯…」
「ネス、飲み過ぎよ? 何かあったの?」
「いや、そういうわけじゃない…」
「もう、ネスらしくないわねぇ…。 本当にどうしたのよ?」
「刺激……そう、刺激がない……俺の人生には…」
「トレジャーハントが充実していないってこと?」
「いや、お宝はちゃんと手に入れてる。 現に、こうやって酒飲んでんだろ…?」
「じゃぁ…どういう事?」
「……わからん」
俺は何でトレジャーハンターになった?
死んだ爺ちゃんに憧れて? まぁそれもある。
一番の理由は、刺激が欲しかったからだと思う。
平凡な人生に飽き飽きしていた俺は、爺ちゃんの跡を継ぐ決意をした。
当初はドキドキワクワクのオンパレードだった。
遺跡を見つけ、罠を避け、秘宝を守るBOSSと対峙して………
何もかもが楽しい毎日を過ごしていた。
だが…それも長くは続かなかった。
俺が成長するにつれて、もちろん俺のハント技術や戦闘能力も向上していく。
無論、これは非常に喜ばしいことだ。
しかしだからと言って、ダンジョンレベルも一緒に上がるわけではない。
何が言いたいかわかるか?
要するに、『遺跡攻略が簡単になってくる』ってことだ。
別にいいじゃないか?と言う奴もいる。(ソフィアにも言われた)
まぁ金には困らないから経済的には恵まれている。
だがなぁ……刺激を求める俺にとっては致命傷なんだよ、この事態は。
やっとのことで辿り着いた遺跡をわずか数時間でクリア、秘宝獲得に成功。
(遺跡までの移動時間の方が長い)
………ダメだろ!? これじゃぁ何のありがたみも無い!!
秘宝っていうのはなぁ…苦労に苦労を重ねて、ようやく手にすることができる物なんだよ!
………。
遺跡に生息するスフィンクスやアヌビスと言った魔物。
駆け出しの頃は本当に驚異だったこいつらも……俺にとっては今や道中の雑魚に等しい。
宝を守ってるのは十中八九アヌビス。
呪いにさえ気を付けていれば無傷で攻略可能。
実際に、さっきも近場の遺跡でアヌビスをからかってきた。
暇なんだよ……ほんと………
「………zzz」
「あれ…ネス? ……寝ちゃった」
今の俺には……何が足りねぇのかなぁ……………
翌日。
目が覚めると、そこは自宅のベット。
「あ、あれ……俺…いつの間に…?」
昨晩は酒場で寝てしまった記憶があるんだが……。
自力で帰ってきたのか?
いや、ソフィアが連れてきてくれたんだな。
今日にでもちゃんと礼言っとかねぇと………ん?
モゾモゾ……
?
俺のベットの中で何かが動く。
なんだ?
「ん〜…むにゃむにゃ……」
??
むにゃむにゃ?
「んん…ネス〜………zzz」
???
え? 俺の名前?
おいおい…酔った勢いで女と過ごしたなんて、シャレにならんぞ?
てゆうか……誰だ?
ソッとベットの中を覗き込むと………
「……うおっ! ソフィア!?」
良く知った顔があった。 しかも下着に俺の私服ときた。
いやいや! 何でソフィアがここに!? つーか何で俺のベットの中に俺の服で!?
確かに仲は悪くないが、ここまでする関係じゃぁ……。
………
ちょっと待て…この状況は色々とマズイぞ……。
言ってなかったけど、ソフィアは町一番の美人で、しかも魔物。
まぁエルフが魔物に入るのかは謎だけど…。(エルフにしては珍しく愛想が良い)
そんなソフィア目当てに酒場を訪れる者も少なくない。
何度かデートやら交際の誘いもあったらしいが、謹んでお断りしたそうだ。
そして、誘ってくる男のほとんどは超イケメンか大富豪。
俺からしたら勿体ないの一言に尽きるが、本人曰く『好みじゃない』らしい。
まぁ顔とか名声で相手を決める様な奴じゃないからな、ソフィアは。
で……そんなソフィアと、俺は一夜を共にした。
いやマズイだろ?
この事実が世間にばれたら、俺は町中の人間(主に男)を敵に回すことになる。
しかも普段から『盗掘家』やら『遺跡荒らし』だのと罵声を浴びてる俺が、町のアイドルとヤらかしたんだぞ?
この状況をマズイと言わずなんと言う?
………。
……いや、まだ俺とソフィアが『ヤった』とは限らない。
実際に俺はまったく覚えてないんだからな。
早く起こして、ソフィアの口から真実を………ん?
良く見るとベットの内部には、至る所にシミのような跡がある。
何だよ…これ……。
まさかこれは…俺の……俺の!?
「うわあああああああああああああああ!!!」
色々な感情が入り交じった状態で、俺は自分の家から飛び出した。
ちょっと後。
「ん…んん〜…良く寝た……あら、ネスは? …いないわね」
モソモソと動き出すソフィア。
「帰るの面倒で、シャワーに服、ベットまで借りちゃったから…怒って出てったのかしら? ……まさか、ネスはそんな人じゃないわね」
ゆっくりと起きあがる。
「いやだ…ベットに『ヨダレ』付けちゃった……後で洗っておかないと」
服を脱ぎ始める。
「でもその前に……もう一回シャワー借りちゃお♪」
下着も外す。
「仕事も休みだし…今日はネスの家で、ノンビリしようかしら♪」
ネスの自宅からシャワーの音が聞こえ始める。
「ぜぇ…ぜぇ…ぜぇ……」
全力で町から離れた。
どこへ行くでも無く、ただ全力で駆けた。
「はぁ…はぁ……ふぅ…。 追っ手…無し……」
こんな全力で逃げなくても…と思わなくもなかったが、逃走に加減を入れるほど器用でもない。
あぁ……疲れた。
つーか俺…帰れないじゃん?
なぜなら町の男達から奇襲攻撃や闇討ちに遭う可能性がある。
いや、ほぼ100%間違いないな。
なんたって……『奪った』んだからな、アイドルの純潔を。
相応の代償と言っていい。
むしろ誇るべきか?
良い女を抱くのは男の夢って言うしな。
俺はそれを達成した。
よっしゃああああああああああああああああああああああ!!
とは喜べない。
良く覚えてないから。
「はてさて…どうしたもんか……」
これからの事を考える。
しばらくは自宅に帰れない。
ならやる事は一つ………
「……お宝探しといきますか!」
前向きに検討した結果、やはりトレジャーということになった。
「あれ……こんな場所に遺跡なんてあったか?」
俺は住居である町を拠点として遺跡を探索するスタイルをとっている。
とは言ってもほとんどの遺跡は制覇し、BOSS達のブラックリストに載っている。
なので港から船を使って、別の大陸に足を運んだ。
(以前にも来たことはあるが、あまり長く滞在していなかったため、この大陸については詳しくない)
「まぁそうだよな……この大陸に来たのは随分前だし、記憶も曖昧だったんだな」
別の大陸とは言うものの、船に乗れば小一時間で着ける場所にある。
(金がかかるため渡来頻度は低かった)
今は砂漠の真ん中にあるピラミッド型の遺跡にいる。
「さぁて…ここにはどんなプリンセス(秘宝)が眠ってんのかねぇ……」
…
……
………
…………
……………なるほど。
罠なし・敵なし・宝なし。
見事なまでの空振り。
いや…普通宝は無くても敵はいるだろ……。
まったく…わざわざ船まで使って来たっつーのに、こうまで収穫がないと逆に清々しい。
まぁ別に急いで帰る理由はない。
良い機会だ、この大陸について少し調べることにしよう。
まだまだ知らないことが多いからな、この大陸は。
そうと決まれば適当に町入って、宿でも探すか……。
町の道具屋(露店)にて。
「なぁ店主……ここ…道具屋だよな?」
「見てのとおりじゃ。 ここは正真正銘、立派な道具屋じゃぞ?」
「………」
「この店は普通の人間には見えんのじゃが…お主、素質があるのう?」
「まぁ魔物と関わりが無いわけじゃないからなぁ……」
店を間違えた。
こういった露店の方が、ちょっとした小物を買う時には安く譲ってもらえるのだが……。
「で……何用じゃ? 『バフォメット様の媚薬店』を訪ねるぐらいの男じゃ、何か深い事情があるに違いないのう?」
「………」
バフォメット出店の店に手を出してしまった。
あぁ…露店なんかに目を付けるんじゃなかった……。
「事情があると言えばあるんだが……」
「なんじゃ? 娘(魔物)との子作りが上手くいかんのか?」
「いや、そうじゃない」
「ならば何用じゃ?」
バフォメットと言ったら魔界を統べる覇者。
下手に怒らせるのは得策じゃないな。
(なぜ露店を出しているのかは謎だが………)
「いや、まぁそうだなぁ………店主、なんかオススメは?」
とりあえず何か買っておこう。
「そうじゃのう……これはどうじゃ?」
「それ何だよ?」
「これは『万里眼の薬』と言ってのう、飲めば己が望むモノがどこにあるのかを探り当てる事ができる代物じゃ」
「そりゃ便利だなぁ」
「本来は魔物娘が獲物(男)を逃がしてしまった時に使う物じゃ」
「それは物でも探せんのか?」
「無論じゃ。 人間の男が使う事もできるぞい」
「人間の女は?」
「ただの苦い薬じゃ」
「……なんか都合の良いアイテムだな」
「そんなもんじゃろ。 で……買うかのう?」
「………」
効果のわりには格安だったので、とりあえず購入。
いや、思いがけず良い買い物をした。
とは言っても、トレジャーで使うつもりはない。
もしもの時のために保存しておくことにした。
「毎度ぉなのじゃ! また来るとよいぞ!」
「まぁ、気が向いたら」
本当に気が向いたら行くつもりだ。
こんな便利な商品売ってる店は他にないからな。
「じゃぁ俺はこれで。 店主、ありがとな」
「うむ」
別れを告げ宿屋に戻る。
「ふむ……奴め、強大な潜在能力を秘めておる。 人間にしておくには勿体ないのう…。 じゃが、儂の好みではないのう」
散々言われていることに気付かない俺。
「………」
さて翌日。
俺の今いる町、アラビアータの周囲には無数の遺跡が存在する。
昨日行ってきた遺跡もその一つ。(ハズレだったが)
ただ砂漠が行く手を遮っているため、そう遠くまでは行けない。
ここは昨日同様、近場で手を打とう。
「………」
その前に、どうしても気になるのがこの薬。
緊急用と考えていたつもりだったが、やはり気になる。
いや……使ってみたい。
誘惑に負けそうになる。
「………」
トレジャーでは使わないと決めたはず。
でも……どうしても使ってみたい。
それに、俺の望むモノが秘宝とは限らないわけだし。
「………」
使おう。
これが最初で最後だ。
よし、そうと決まれば……
………ゴクリッ
「うっ…苦……」
店主の宣告通り苦かった。
だが……
「ん…なんだ?」
頭の中にイメージが流れ込んでくる。
なるほど…こういう仕組みになってたのか。
頭に意識を集中させる。
「ん? この場所は……」
「そうか…隠し扉があったか……」
頭に浮かんだイメージは、昨日俺が訪れた『ハズレの遺跡』。
遺跡内部までイメージが鮮明に映し出されている。
『効果は目的のモノに辿り着くまで継続するぞい!』
店主はこうも言っていた。
やはり…こりゃ相当便利だ。
ただ問題が一つ……。
俺の望むモノがイマイチ良くわからない。
最初は秘宝か何かかと思っていたが、どうやら違うらしい。
頭の中のイメージにも、秘宝なんて影も形もない。
………。
まぁいい。
俺の望むがここにある事は確かだ。
自分の目で確かめてやれば何の問題もない。
「行くか……」
隠し扉は小さく、人一人通るのがやっとの大きさ。
さぁて、何があるのかね……。
「よっと………ん?」
くぐり抜けた先には、四角形の小部屋があった。
同時に薬の効果も切れる。
………。
何も無い。
あるのは女の形をした、包帯でグルグル巻きにされたミイラのみ。
「おいおい…どういう事だ?」
効果が切れたら目標達成のはず。
なのにこの部屋には何もない。
……あの店主に騙されたか?
「はぁ……まっ、特に期待してなかったし……」
賠償請求するほどの金額を払ったわけでもない。
ここは目を瞑ることにしよう…。
「家…帰ろっかなぁ……」
なんかもう、どうでも良くなった。
町の男共に狙われようが関係ない。
そん時はそん時だ。
たとえ狙われても、ソフィアは助けてくれそうな気がする。
「……帰るか」
そう思い立ち、小部屋から出ようと背を向ける。
が………
ガシッ
「うおっ!?」
何かに足を掴まれた。
メチャメチャ驚いた。
誰もいなかったはずだが…。
恐る恐る後ろを振り向くと……
「………」
さっき見たミイラが無言のまま、俺の足首をシッカリと掴んでいた。
あぁ、なるほど。
こいつはアレだ……『マミー』だ。
いやぁ…びびった。
「………」
足を軽く振っても離そうとしない。
というより、力が強くてちょっと痛い。
「ちょっ…おい! 何のつもりだ!?」
「………」
呼びかけに反応しない。
マミーだから知能が低いのか?
「………」
「お、おい………うおおお!?」
もの凄い力で足を引っ張られすっ転ぶ。
「………」
「いっ…いってぇ……っておい! 何してんだ!?」
自分に巻き付けてある包帯で、あろうことか俺を拘束し始めた。
マミーってこんな知能高かったか!?
「………♪」
両腕・両足を包帯により封じられた。
まったく動けない。
心なしか少し満足そうに見える。
「………」
スルスルと(性交に)必要最低限の部分の包帯を緩めていく。
「ま…まさかお前……」
「♪♪♪」
喋らなくても目でわかる。
俺は今から……コイツの『餌』になる。
「はぁ…はぁ……うっ!?」
びゅっ! びゅくん…びゅる…びゅる………
お、おかしい……。
なんでマミーの膣は…こんな気持ちいいんだ?
俺も女を知らないわけじゃないが……人間の女とは比べものにならん。
「………♪」
「ま、待て……少し…休ませ……うあっ!?」
ぱちゅん ぱちゅん ぱちゅん ぱちゅん ぱちゅん!
休み無しの4回戦目。
あぁ…もう体力が……。
一回か二回で満足すると踏んでいたが、コイツの腰はとどまる事を知らない。
まずい…種抜きにされる………うっ!?
どぴゅっ! どぷっ どぷん………
5回目。
もう……ムリ………ああ!?
びゅっ…びゅる……びゅうぅぅぅ〜〜〜……
遂にダウン。
気を失った俺に構う事なく、それでもマミーは性交を続ける。
腹の中にタプタプと精液が溜まっても、それでもマミーは止まらなかった………
「もう満足だろ? 付いてくんなよ?」
「………(フルフル)」
「フルフルって……俺に付いて来ても何も良いことねえぞ?」
「………(コクリ)」
「コクリってお前……」
目が覚めたら、コイツは正座で大人しくしていた。(なぜ正座だったのかは謎)
そのまま帰ろうとしたら、なぜか付いてきた。
説得しても効果無し。
「………」
「はぁ…物好きな奴」
まぁ一緒にいて害があるわけでもない。
しばらくは傍に置いといてやるか。
ただ奇異の目では見られるだろうな。
それに、飽きたら勝手に離れていくだろう。
「わかった…連れてってやる」
「………♪」
目元がやや綻ぶ。
喜んでんのか?
「帰る前に、その格好…どうにかしねぇとな」
「………?」
港に直行する前に、アルビアータで旅用のローブを購入していった。
自宅に戻っても、待ち伏せ・奇襲攻撃は受けなかった。
俺がソフィアとヤったというのは、どうやら誤解だったらしい。
ソフィア本人から聞き出した。
(一緒のベットで寝た事実はそのまま)
遺跡から連れ帰ったコイツは、今も俺の家に住み着いている。
さすがに包帯のままは見栄えが悪かったので、ソフィアに頼んで服を作ってもらった。
ただの服じゃない。
コイツの巻いていた包帯をそのまま生地として使い、身体の乾きを防ぐ『耐乾性服』だ。
ちなみに見た目は普通の服と変わり無い。
こういう器用な事ができるのも、ソフィアの魅力の一つと言える。
「………」
「ん? なんだ?」
「………」
「誰に説明してんのかって?」
「………(コクリ)」
「あぁ、そう言えば誰に説明してるんだったかなぁ…」
「………」
「え? そんな事より早く『ヤろう』だって?」
「………(コクリ)」
「おいおい勘弁してくれよ……これで三週間連続だぞ?」
「………」
「お前は良くても俺はダメなんだよ!!」(肉体的な意味で)
「………」
「なに? ヤってくれなきゃ種抜きにするぞコノヤローだって?」
「………(コクリ)」
「どっちにしろ種抜きじゃねえかよ俺!!」
ガバッ!
「うおっ!? た、頼む! 今日だけはマジで勘弁してく………うあああぁぁぁぁぁぁ………!!」
世間は俺達を『恋人』と言っているが、決してそんな事はない。
ただヤる。 ただヤる。 ただヤる。 (ヤられる)
これの繰り返し。
こんなカップル全世界探しても俺達だけしか………いや、他にもいるな。
魔物に捕まった男は皆そうだろう、きっと。
俺も被害者ってわけか……。
………
でも、悪くない。
これはこれで刺激のある毎日を送ることができる。
あの店主が売っていた薬は、コイツを映し出していたのか。
なるほど………うっ!?
どぴゅっ!!!
種抜きにされる日は
そう遠くない………
10/01/08 07:13更新 / HERO