『魔物と悪魔』
俺の腕は………
俺の左腕は……『悪魔の腕』………
生まれた時から?
わからない………。
物心付いた時に、自分の腕の異常さに気付いた。
親の愛も知らない。
覚えているのは……俺の目の前で血にまみれ、冷たくなっていた両親の亡骸だけ。
そしてその時、自分の左腕に…両親の血が付いていたことも………
とある宿屋の一室にて。
「………」
この町とも…そろそろお別れだ。
少し…長く居すぎた。
早く…出て行かねえと……人を………殺すことになる。
幼少の頃から、俺は各地を転々としてきた。
町に滞在するのは、長くて２ヶ月程。
滞在した町に根をはらぬよう、極力女とは関係を持たないようにしている。
それでも、そんな俺を誘う女は少なくない。
だが、営みを終えた後の女に………心臓の鼓動は聞こえない。
気付けば俺は、その女の首を………息を吸うことを止めるまで締め続ける。
この…『悪魔の腕』で………。
俺の意志じゃない…決して………。
俺の腕が…この……血の滲んだような、どす黒い色をした腕が……勝手に………。
無駄だとわかっている。
自分の…本当の腕を探す旅なんて………。
でも何もせずにじっとしていると……自分を見失いそうで………。
だから俺は旅を続ける。
俺のせいで犠牲になる女がいたとしても………俺は旅を続ける。
自分の…失った左腕を求めて。
明日にはここを発とう。
俺が…人を殺す前に………。
…寝るか……次の町までは長くなりそうだ………。
目を閉じ、眠りにつこうとする…と………
………コンコン
部屋の扉を静かに叩く音。
…なんだ、こんな時間に………
宿の人間じゃない…いや……人間ですらないな………?
扉の前に近づいてくる時、気配をまるで感じなかった。
なぁに………この腕を持ってるおかげで、俺は上級の魔物共に狙われやすいからな………。
これぐらいの感覚を身に付けてねえと………今頃、俺は魔界に住居を移転してるとこだ……。
ギィィィ〜
ゆっくりと開く扉。
さて…今回はどんな魔物が来たのか………
ベットの中で、包帯で厳重に巻かれた左腕を構える。
…こちらに近づく足音。
寝込みを襲ってくる魔物は、これが初めてじゃない。
が………足音は今までに聞いたことがないタイプだ。
とっ……とっ……とっ……とっ……と………
ベットのすぐ傍で歩みを止める。
さぁ…来んなら来いよ………！
受け流しの体勢(カウンター)を敷く俺に、足音の主は………
「罪人よ…明日……迎えに来る………」
そう言い放つ。
!!??
瞬時に起きあがり周囲を確認する…が………あるのは開きっぱなしの扉と、微かに残る女の匂いだけ………。
急いで部屋の外へ出るものの、気配は既に消えた後。
「…………」
もう１日…ここに残るか………
翌日。
なるべく人目につかない様に町の酒場を訪れる。
ちなみにこの店のマスターはホルスタウロス、正真正銘魔物だ。
数年前にこの酒場を継いだらしい。
このマスターには、俺がこの町に来た時から世話になっている。
(余談だが、ここを町と言っているが実は村。 名前はぁ………確かホルン。少し先に広い砂漠があるらしい。)
マスターは俺の境遇を察したらしく、深くは追求してこない。
俺が今まで会ってきた人?の中で、一番気を許せる相手だ。
もちろん特別な感情は無いが………。
そんな彼女に昨晩の出来事を話してみる。
「…『デュラハン』?」
「顔を見てないって言うからぁ、絶対とは言い切れないけどぉ〜」
「けど………マスターはそう思うんだな?」
「そうねぇ〜」
「なら…間違いねえな………」
「確証は持てないのよぉ〜?」
「あんたの勘は…良く当たるからな………」
「んふふ〜♪ 信頼されてるみたいでぇ嬉しいわぁ〜♪」
そうか…あれがデュラハン………。
神話によると、死の迫る人間に死期を伝えに来る…ってやつだったか………。
まっ…神話は神話だ…所詮そのデュラハンは魔物………。
よもや本当に…俺の死を宣告しに来たわけじゃないだろ………。
なら…なんのために………?
「この村にぃ〜デュラハンの女性が来るのはぁ………たぶん初めてじゃないかしらぁ〜?」
「………そんなに珍しい事なのか?」
「少なくともぉ〜私が生きていた中でぇデュラハンに会ったっていう話はぁ、今まで聞いた事ないものぉ〜〜」
「そりゃぁ光栄だな…稀少な魔物に御対面できるってわけか」
手と同じぐらいの温度になった酒を軽く煽る。
「で……そいつは何をしに来たのか………あんたはわかるか?」
「う〜ん…そうねぇ〜〜〜」
腕を組んで小さく頭を捻るマスター。
立派な双瓜を抱えるような格好になっている。
………
まったく…何を考えてるんだ…俺は………。
マスターは十分魅力的だが…この人を巻き込むわけにはいかない………。
「私達と同じ魔物ならぁ〜…目的はみんな一緒なんじゃないかしらぁ〜?」
「…目的?」
魔物の目的…目的………
あぁ…なるほどな………。
「大体わかった」
「勘のいい人…キライじゃないわぁ〜♪」
「………」
…誘うなよ…まったく………。
「とは言っても…対策らしい対策は立てられん…ぶつけ本番だな………」
「話し合いが大事よぉ〜?」
「わかってるよ………」
相手の出方次第だがな………。
「そうゆうわけだ、マスター…夜まで暇潰させてもらう………」
「退屈せずに済みそうねぇ〜♪」
結局、宿に戻ったのは零時ちょっと過ぎ。
途中から来た酒豪のミノタウロス姉さんのおかげで楽しい時間を過ごせた。
またいつか語り合いたいもんだ………。
あぁもちろん、酒はあまり入れなかった。
昨日と同時刻に来るなら…あと数分ってとこだな………。
そろそろベットに入るか…別に入らなくてもいいんだが………。
ただベットなら、こちらが警戒していることを相手に悟られないからな………。
はぁ………。
まっ…成るようになれだ………。
……………ん?
………コンコン
………来たな。
ギィィィ〜〜〜
静かに扉が開く。
こうなりゃぁ…あっちがどう動くか………とことん見極めてやるか………。
とっ……とっ……とっ……とっ……と………
昨晩と同じ歩数で、同じ位置に立ち止まる。
相手の顔を窺うために、今回は仰向けの体勢で眠ったフリをする。
さぁ…お前は一体……どんな顔をしてるんだ………?
…おっと!! 危ねぇ……俺の顔を凝視してやがるな…コイツ………。
目を瞑ってても気配でわかる………。
…………………………………………………………………………
…………………………………………………………………………
…………………………………………………………………………
「………」
無言で俺の眠るベットに腰をかける。
なんのつもりだ…?
………ん? 俺の顔に手を伸ばしてきたぞ………?
一体…何を………
なでなで…すりすり………
「やめろおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!」
大声をあげながら飛び起きる。
な…な……な………なああ!?
コイツ………俺の額を撫でてきやがった!?
前髪を掻き分けて…ガキをあやすように………!!
「起きていたか…。 沈黙の札を貼っておいて正解だった………」
そこには………少し残念そうに肩を落とす美女がいた。
百人すれ違えば百人振り向く程の、凛とした顔の美女。
まぁ鎧やら剣やら、装備は物騒だが………。
「な…なんのつもりだ………!?」
「迎えに来ると言ったはずだ」
「今の行動の意味は………?」
「愛おしかった………とでも言っておこうか」
「………本気か?」
「嘘だ………半分はな」
「…もう半分は?」
「お前が……哀れだったから。」
「………」
哀れ…か………。
俺の前で良くそんな事が言えるな………。
確かに哀れな男だがな…俺は………。
「なるほど…。 それで………こんな哀れな男に何の用だ?」
「慰めてやろうと思ってな」
「そうか…わざわざ抱かれに来てくれたのか?」
「そうだ」
………
冗談で言ったんだがなぁ………。
「どうした? さぁ、早く抱くがいい。」
「………」
こうゆう時…男はどうすればいいんだ?
「やれやれ…仕様のない。 ならば、私からイかせてもらう。」
それは一瞬の出来事。
気付けば、俺はベットに体を投げ出されていた。
な…何が起きた………!?
「いくら声をあげても構わない。 外には聞こえん」
「………」
マウントをとられた。
俺の股間と女の股が………ほぼ密着状態になっている。
こ、こりゃぁ………勃つ。
「ん……ふふっ……♪ 逞しいな」
早く入りたいと言わんばかりに、俺の逸物はむくむくと膨れあがる。
そして女のアソコからも………トロトロと密のようなものが流れてくる。
「満足…させてやるからな………」
秘部を隠す最低限の装備を外し、同時に俺のモノもまさぐり出す。
そして………
「く…うぅ…あっ……くっ……!」
ずぶずぶと俺を飲み込んでいく。
うっ……!? き……きつくて………熱い………!
今までに感じた事のない膣内………。
これが…魔物………。
「私が…動く……じっと…していろ」
くぷっ……にち……にゅぷ……にゅぷ……ちゅぷ……ぱちゅっ………
ゆっくりと動き出す。
中はきついが、ヌルヌルと具合がいい。
…すぐに出ちまいそうだ………。
「はぁ…はぁ……どうだ…はぁ……はぁ……きもち……いいか………?」
「…っ……」
快楽に耐えながら無言で頷く。
それに応えるように、さらにスピードを上げる。
ぱちゅん! ぱちゅん! ぱちゅん! ぱちゅん!
くぅ…! 出ちまう………!!
けど…やられっぱなしは性に合わん………
ここは………!
女を後方に押し返し、俺が覆い被さるような形になる。
「…あっ………!」
「悪いな…今度は……こっちからイかせてもらう………！」
にゅる……ぬぷ………ぱん!ぱん!ぱん!ぱん!ぱん!ぱん!ぱん!
射精寸前のペニスを勢い良く打ち付ける。
その度に、膣が収縮を繰りかえし精液をねだる。
「あ…くふっ!……あん……う……ああ!!」
女も、絶頂がすぐ近くまで迫る。
う…く……中に出すのは……まずい………!
射精間近のペニスを引き抜こうとすると………
ガシリッ!!!
脚部防具が身に付いたままの足を、俺の腰に絡ませてくる。
な!? ぬ、抜けん………!
くっ……!? もう…出………
びゅっ…びゅくん………びゅる! びゅるる! びゅーーー!!
強制的に種付けをさせられた………。
久しいとゆうこともあり、ザーメンの量は異常。
ごびゅっ! ごぷっ……どぷっ……とぷっ………
ようやく止まった頃には、女の凛とした表情は何処へやら………。
だらしなく舌を垂らして、目線は宙を彷徨い放心状態。
………。
俺も…眠くなってきた………。
この女とベットを共有することになるが…今更だな………。
そう思い、目を閉じようとした時……………
………ズキッ!!
「ぐっ………!?」
左腕が………!?
そうか…しまった……!
奇跡でも起きない限り、俺の左腕は…例外なくこの女を殺す………!
頼む…逃げてくれ………!!
「……zzz」
おおおおい!
命が危なねぇのに寝てんじゃねーよ!!
ぐっ…腕が……勝手に………!?
この腕に一度捕まれば、恐らく死ぬまで離そうとしない………!
「zzz……zzz……」
眠る女の首に、少しずつ近づく俺の腕。
うぅ…と…止まれえええ………!
そして…………
ガッ!!
終わった………
俺は…また人?を手にかけた………
次期にこの女の息も止まるだろう………
そう思い諦めた時………
ゴロン………
………んなああ!?
く…首が………千切れた!?
あぁ…俺は……なんて惨いことを………!
窒息死より質が悪い……!!
好きなだけ…恨んでくれ………。
「いつか…必ず……償うからな………」
「…何を償うつもりだ?」
「っ!?」
生前に聞いた女の声。
………。
幻聴か………?
「やれやれ…せっかく気持ち良く眠っていたのに………」
首の無い胴体が動き出す。
そして地面に転がっている自らの首を拾いあげる。
「あ…なっ……」
「顔に傷が付くところだったぞ………?」
何事も無かったかのように、胴体と首が再連結。
「それが例の…。 ふふっ……『悪魔の腕』とは、良く言ったものだ」
「…っ…なぜ……それを………?」
「お前は…魔界ではちょっとした有名人だからな。」
「………」
なるほど…だから俺を狙う魔物が多いわけだ………。
それと…今思い出した………。
神話より伝わるデュラハンは、『首の無い堕天使』と呼ばれていた。
正確には、首が無いわけではない。
恐らく首を持っていることが異様な光景のため、『首の無い』とゆう名が付いたのだろう。
俺としたことが…こんな当たり前な事を忘れていた………。
「………はぁ」
「安心したのか?」
「あぁ…まあな………」
「私と共に生きれば、そんな心配をする必要も無くなるぞ?」
「……え?」
「お前が求めるのなら…私はいつでもそれに応えよう。 もちろん、その後に死ぬような事はない………安心しろ」
「魔界に…連れて行くのか?」
「行きたいのか?」
「いや……」
「ふふっ…そう言うと思った。 だから、私がお前に同行する。 それで問題無いだろう?」
「なぜ………俺にかまう?」
こんな危険な男の傍に居たがるなんて………
「お前が哀れだからだ。 言ったはずだが?」
「………」
「その腕のおかげで…お前は誰も愛せず、誰からも愛されない。 だから私が来たのだ」
「仕方なく引き取りに来た……としか聞こえん………」
「あながち間違いではない。 だが、まぁ一番の理由は……」
「理由は………?」
「『母性本能』…というやつだ。」
「………」
「嘘を言っても仕方ないだろう?」
「俺は…魔物の母性本能をくすぐる程………哀れなのか?」
「今までお前に近づいて来た魔物達も、皆同じ事を言うだろうな」
「………」
魔物の好みが…まったくわからねぇ……。
「もういい、わかった……好きにしろよ………」
「そうか。 以後…いや、死ぬまで宜しく頼むぞ」
「旅の目的…わかってんのか?」
「お前の腕を探しているのだろう?」
「……一生終わらないかもしれないんだぞ?」
「終わるまで続ければいい」
「………」
………負けた。
「眠い…とりあえず寝よう………」
「そうだな…が、その前に………」
「ん………?」
「先程首が取れたせいで魔力を切らした。 もう一度…付き合ってもらいたいのだが?」
「はぁ………もう好きにしろ!!!」
「了解した。 尽きるまで吸わせてもらう」
………。
明日は動けないかもしれんな………。
まぁしかし…初めて女を愛する事ができそうだ………
相手は魔物だが………………
風の噂
とある町で左腕を包帯で巻いた男と、騎士風の美女を目撃したとのこと。
旅の連れというよりかは、２人は恋人のようだったという。
女のお腹が少し膨らんでいたのは…見間違いだったのだろうか………?
奇妙なカップルを見かけた際には
十分にご注意を……………
俺の左腕は……『悪魔の腕』………
生まれた時から?
わからない………。
物心付いた時に、自分の腕の異常さに気付いた。
親の愛も知らない。
覚えているのは……俺の目の前で血にまみれ、冷たくなっていた両親の亡骸だけ。
そしてその時、自分の左腕に…両親の血が付いていたことも………
とある宿屋の一室にて。
「………」
この町とも…そろそろお別れだ。
少し…長く居すぎた。
早く…出て行かねえと……人を………殺すことになる。
幼少の頃から、俺は各地を転々としてきた。
町に滞在するのは、長くて２ヶ月程。
滞在した町に根をはらぬよう、極力女とは関係を持たないようにしている。
それでも、そんな俺を誘う女は少なくない。
だが、営みを終えた後の女に………心臓の鼓動は聞こえない。
気付けば俺は、その女の首を………息を吸うことを止めるまで締め続ける。
この…『悪魔の腕』で………。
俺の意志じゃない…決して………。
俺の腕が…この……血の滲んだような、どす黒い色をした腕が……勝手に………。
無駄だとわかっている。
自分の…本当の腕を探す旅なんて………。
でも何もせずにじっとしていると……自分を見失いそうで………。
だから俺は旅を続ける。
俺のせいで犠牲になる女がいたとしても………俺は旅を続ける。
自分の…失った左腕を求めて。
明日にはここを発とう。
俺が…人を殺す前に………。
…寝るか……次の町までは長くなりそうだ………。
目を閉じ、眠りにつこうとする…と………
………コンコン
部屋の扉を静かに叩く音。
…なんだ、こんな時間に………
宿の人間じゃない…いや……人間ですらないな………?
扉の前に近づいてくる時、気配をまるで感じなかった。
なぁに………この腕を持ってるおかげで、俺は上級の魔物共に狙われやすいからな………。
これぐらいの感覚を身に付けてねえと………今頃、俺は魔界に住居を移転してるとこだ……。
ギィィィ〜
ゆっくりと開く扉。
さて…今回はどんな魔物が来たのか………
ベットの中で、包帯で厳重に巻かれた左腕を構える。
…こちらに近づく足音。
寝込みを襲ってくる魔物は、これが初めてじゃない。
が………足音は今までに聞いたことがないタイプだ。
とっ……とっ……とっ……とっ……と………
ベットのすぐ傍で歩みを止める。
さぁ…来んなら来いよ………！
受け流しの体勢(カウンター)を敷く俺に、足音の主は………
「罪人よ…明日……迎えに来る………」
そう言い放つ。
!!??
瞬時に起きあがり周囲を確認する…が………あるのは開きっぱなしの扉と、微かに残る女の匂いだけ………。
急いで部屋の外へ出るものの、気配は既に消えた後。
「…………」
もう１日…ここに残るか………
翌日。
なるべく人目につかない様に町の酒場を訪れる。
ちなみにこの店のマスターはホルスタウロス、正真正銘魔物だ。
数年前にこの酒場を継いだらしい。
このマスターには、俺がこの町に来た時から世話になっている。
(余談だが、ここを町と言っているが実は村。 名前はぁ………確かホルン。少し先に広い砂漠があるらしい。)
マスターは俺の境遇を察したらしく、深くは追求してこない。
俺が今まで会ってきた人?の中で、一番気を許せる相手だ。
もちろん特別な感情は無いが………。
そんな彼女に昨晩の出来事を話してみる。
「…『デュラハン』?」
「顔を見てないって言うからぁ、絶対とは言い切れないけどぉ〜」
「けど………マスターはそう思うんだな?」
「そうねぇ〜」
「なら…間違いねえな………」
「確証は持てないのよぉ〜?」
「あんたの勘は…良く当たるからな………」
「んふふ〜♪ 信頼されてるみたいでぇ嬉しいわぁ〜♪」
そうか…あれがデュラハン………。
神話によると、死の迫る人間に死期を伝えに来る…ってやつだったか………。
まっ…神話は神話だ…所詮そのデュラハンは魔物………。
よもや本当に…俺の死を宣告しに来たわけじゃないだろ………。
なら…なんのために………?
「この村にぃ〜デュラハンの女性が来るのはぁ………たぶん初めてじゃないかしらぁ〜?」
「………そんなに珍しい事なのか?」
「少なくともぉ〜私が生きていた中でぇデュラハンに会ったっていう話はぁ、今まで聞いた事ないものぉ〜〜」
「そりゃぁ光栄だな…稀少な魔物に御対面できるってわけか」
手と同じぐらいの温度になった酒を軽く煽る。
「で……そいつは何をしに来たのか………あんたはわかるか?」
「う〜ん…そうねぇ〜〜〜」
腕を組んで小さく頭を捻るマスター。
立派な双瓜を抱えるような格好になっている。
………
まったく…何を考えてるんだ…俺は………。
マスターは十分魅力的だが…この人を巻き込むわけにはいかない………。
「私達と同じ魔物ならぁ〜…目的はみんな一緒なんじゃないかしらぁ〜?」
「…目的?」
魔物の目的…目的………
あぁ…なるほどな………。
「大体わかった」
「勘のいい人…キライじゃないわぁ〜♪」
「………」
…誘うなよ…まったく………。
「とは言っても…対策らしい対策は立てられん…ぶつけ本番だな………」
「話し合いが大事よぉ〜?」
「わかってるよ………」
相手の出方次第だがな………。
「そうゆうわけだ、マスター…夜まで暇潰させてもらう………」
「退屈せずに済みそうねぇ〜♪」
結局、宿に戻ったのは零時ちょっと過ぎ。
途中から来た酒豪のミノタウロス姉さんのおかげで楽しい時間を過ごせた。
またいつか語り合いたいもんだ………。
あぁもちろん、酒はあまり入れなかった。
昨日と同時刻に来るなら…あと数分ってとこだな………。
そろそろベットに入るか…別に入らなくてもいいんだが………。
ただベットなら、こちらが警戒していることを相手に悟られないからな………。
はぁ………。
まっ…成るようになれだ………。
……………ん?
………コンコン
………来たな。
ギィィィ〜〜〜
静かに扉が開く。
こうなりゃぁ…あっちがどう動くか………とことん見極めてやるか………。
とっ……とっ……とっ……とっ……と………
昨晩と同じ歩数で、同じ位置に立ち止まる。
相手の顔を窺うために、今回は仰向けの体勢で眠ったフリをする。
さぁ…お前は一体……どんな顔をしてるんだ………?
…おっと!! 危ねぇ……俺の顔を凝視してやがるな…コイツ………。
目を瞑ってても気配でわかる………。
…………………………………………………………………………
…………………………………………………………………………
…………………………………………………………………………
「………」
無言で俺の眠るベットに腰をかける。
なんのつもりだ…?
………ん? 俺の顔に手を伸ばしてきたぞ………?
一体…何を………
なでなで…すりすり………
「やめろおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!」
大声をあげながら飛び起きる。
な…な……な………なああ!?
コイツ………俺の額を撫でてきやがった!?
前髪を掻き分けて…ガキをあやすように………!!
「起きていたか…。 沈黙の札を貼っておいて正解だった………」
そこには………少し残念そうに肩を落とす美女がいた。
百人すれ違えば百人振り向く程の、凛とした顔の美女。
まぁ鎧やら剣やら、装備は物騒だが………。
「な…なんのつもりだ………!?」
「迎えに来ると言ったはずだ」
「今の行動の意味は………?」
「愛おしかった………とでも言っておこうか」
「………本気か?」
「嘘だ………半分はな」
「…もう半分は?」
「お前が……哀れだったから。」
「………」
哀れ…か………。
俺の前で良くそんな事が言えるな………。
確かに哀れな男だがな…俺は………。
「なるほど…。 それで………こんな哀れな男に何の用だ?」
「慰めてやろうと思ってな」
「そうか…わざわざ抱かれに来てくれたのか?」
「そうだ」
………
冗談で言ったんだがなぁ………。
「どうした? さぁ、早く抱くがいい。」
「………」
こうゆう時…男はどうすればいいんだ?
「やれやれ…仕様のない。 ならば、私からイかせてもらう。」
それは一瞬の出来事。
気付けば、俺はベットに体を投げ出されていた。
な…何が起きた………!?
「いくら声をあげても構わない。 外には聞こえん」
「………」
マウントをとられた。
俺の股間と女の股が………ほぼ密着状態になっている。
こ、こりゃぁ………勃つ。
「ん……ふふっ……♪ 逞しいな」
早く入りたいと言わんばかりに、俺の逸物はむくむくと膨れあがる。
そして女のアソコからも………トロトロと密のようなものが流れてくる。
「満足…させてやるからな………」
秘部を隠す最低限の装備を外し、同時に俺のモノもまさぐり出す。
そして………
「く…うぅ…あっ……くっ……!」
ずぶずぶと俺を飲み込んでいく。
うっ……!? き……きつくて………熱い………!
今までに感じた事のない膣内………。
これが…魔物………。
「私が…動く……じっと…していろ」
くぷっ……にち……にゅぷ……にゅぷ……ちゅぷ……ぱちゅっ………
ゆっくりと動き出す。
中はきついが、ヌルヌルと具合がいい。
…すぐに出ちまいそうだ………。
「はぁ…はぁ……どうだ…はぁ……はぁ……きもち……いいか………?」
「…っ……」
快楽に耐えながら無言で頷く。
それに応えるように、さらにスピードを上げる。
ぱちゅん! ぱちゅん! ぱちゅん! ぱちゅん!
くぅ…! 出ちまう………!!
けど…やられっぱなしは性に合わん………
ここは………!
女を後方に押し返し、俺が覆い被さるような形になる。
「…あっ………!」
「悪いな…今度は……こっちからイかせてもらう………！」
にゅる……ぬぷ………ぱん!ぱん!ぱん!ぱん!ぱん!ぱん!ぱん!
射精寸前のペニスを勢い良く打ち付ける。
その度に、膣が収縮を繰りかえし精液をねだる。
「あ…くふっ!……あん……う……ああ!!」
女も、絶頂がすぐ近くまで迫る。
う…く……中に出すのは……まずい………!
射精間近のペニスを引き抜こうとすると………
ガシリッ!!!
脚部防具が身に付いたままの足を、俺の腰に絡ませてくる。
な!? ぬ、抜けん………!
くっ……!? もう…出………
びゅっ…びゅくん………びゅる! びゅるる! びゅーーー!!
強制的に種付けをさせられた………。
久しいとゆうこともあり、ザーメンの量は異常。
ごびゅっ! ごぷっ……どぷっ……とぷっ………
ようやく止まった頃には、女の凛とした表情は何処へやら………。
だらしなく舌を垂らして、目線は宙を彷徨い放心状態。
………。
俺も…眠くなってきた………。
この女とベットを共有することになるが…今更だな………。
そう思い、目を閉じようとした時……………
………ズキッ!!
「ぐっ………!?」
左腕が………!?
そうか…しまった……!
奇跡でも起きない限り、俺の左腕は…例外なくこの女を殺す………!
頼む…逃げてくれ………!!
「……zzz」
おおおおい!
命が危なねぇのに寝てんじゃねーよ!!
ぐっ…腕が……勝手に………!?
この腕に一度捕まれば、恐らく死ぬまで離そうとしない………!
「zzz……zzz……」
眠る女の首に、少しずつ近づく俺の腕。
うぅ…と…止まれえええ………!
そして…………
ガッ!!
終わった………
俺は…また人?を手にかけた………
次期にこの女の息も止まるだろう………
そう思い諦めた時………
ゴロン………
………んなああ!?
く…首が………千切れた!?
あぁ…俺は……なんて惨いことを………!
窒息死より質が悪い……!!
好きなだけ…恨んでくれ………。
「いつか…必ず……償うからな………」
「…何を償うつもりだ?」
「っ!?」
生前に聞いた女の声。
………。
幻聴か………?
「やれやれ…せっかく気持ち良く眠っていたのに………」
首の無い胴体が動き出す。
そして地面に転がっている自らの首を拾いあげる。
「あ…なっ……」
「顔に傷が付くところだったぞ………?」
何事も無かったかのように、胴体と首が再連結。
「それが例の…。 ふふっ……『悪魔の腕』とは、良く言ったものだ」
「…っ…なぜ……それを………?」
「お前は…魔界ではちょっとした有名人だからな。」
「………」
なるほど…だから俺を狙う魔物が多いわけだ………。
それと…今思い出した………。
神話より伝わるデュラハンは、『首の無い堕天使』と呼ばれていた。
正確には、首が無いわけではない。
恐らく首を持っていることが異様な光景のため、『首の無い』とゆう名が付いたのだろう。
俺としたことが…こんな当たり前な事を忘れていた………。
「………はぁ」
「安心したのか?」
「あぁ…まあな………」
「私と共に生きれば、そんな心配をする必要も無くなるぞ?」
「……え?」
「お前が求めるのなら…私はいつでもそれに応えよう。 もちろん、その後に死ぬような事はない………安心しろ」
「魔界に…連れて行くのか?」
「行きたいのか?」
「いや……」
「ふふっ…そう言うと思った。 だから、私がお前に同行する。 それで問題無いだろう?」
「なぜ………俺にかまう?」
こんな危険な男の傍に居たがるなんて………
「お前が哀れだからだ。 言ったはずだが?」
「………」
「その腕のおかげで…お前は誰も愛せず、誰からも愛されない。 だから私が来たのだ」
「仕方なく引き取りに来た……としか聞こえん………」
「あながち間違いではない。 だが、まぁ一番の理由は……」
「理由は………?」
「『母性本能』…というやつだ。」
「………」
「嘘を言っても仕方ないだろう?」
「俺は…魔物の母性本能をくすぐる程………哀れなのか?」
「今までお前に近づいて来た魔物達も、皆同じ事を言うだろうな」
「………」
魔物の好みが…まったくわからねぇ……。
「もういい、わかった……好きにしろよ………」
「そうか。 以後…いや、死ぬまで宜しく頼むぞ」
「旅の目的…わかってんのか?」
「お前の腕を探しているのだろう?」
「……一生終わらないかもしれないんだぞ?」
「終わるまで続ければいい」
「………」
………負けた。
「眠い…とりあえず寝よう………」
「そうだな…が、その前に………」
「ん………?」
「先程首が取れたせいで魔力を切らした。 もう一度…付き合ってもらいたいのだが?」
「はぁ………もう好きにしろ!!!」
「了解した。 尽きるまで吸わせてもらう」
………。
明日は動けないかもしれんな………。
まぁしかし…初めて女を愛する事ができそうだ………
相手は魔物だが………………
風の噂
とある町で左腕を包帯で巻いた男と、騎士風の美女を目撃したとのこと。
旅の連れというよりかは、２人は恋人のようだったという。
女のお腹が少し膨らんでいたのは…見間違いだったのだろうか………?
奇妙なカップルを見かけた際には
十分にご注意を……………
10/09/19 23:49更新 / HERO