『水っぽいパートナー』
「ええ〜っと次はぁ…隣町のお得意様かぁ………」
ウェッジ配達は有名な宅配企業。
企業と言っても、働いている人数は彼1人。
理由は簡単。
企業を立ち上げたのは、まぎれもなく彼、『レイナード=ウェッジ』本人だから。
物を届けるという概念が薄いこの時代、青年は『世間の役に立ちたい!』という若くして熱い情熱に突き動かされ、この企業を設立した。
夢は………世界中にウェッジ配達の名を轟かせること!
その希望は、遠い遠い夢物語…のはずだった………。
「ありがとうございました!! またいつでもご利用ください!」
「いつもありがとね、レイ。 ………そうだ! お茶でも飲んでいかない?」
「あ、いやぁ…まだ仕事が残ってるんで………ま、またの機会に!!」
逃げるようにその場を後にする。
「ああん、ちょっと! …もう……また逃がしちゃった………。 まぁいっか……また何か運んでもらえばいいんだし………その時はもっと強引に……ふふっ♪」
ブツブツ言いながら扉を閉める。
「はぁ……最近あぁゆうお客さん多いんだよなぁ………」
企業を立ち上げて早5年。
25になった僕は、未だ仕事に明け暮れている。
でもそのおかげで、この大陸でウェッジ配達の名を知らぬ者はほとんどいない。
良く頑張ったなぁ…我ながら感心するよ………。
………。
さっきみたいなお客さん(20代独身女性 主にお嬢様)が増え始めたのは、ちょうど去年の今頃。
利用してくれるのは嬉しいんだけど………お茶の誘いやらデートの誘いやら、配達と関係ない話を切り出されて、正直困っている。
やめてください!……とは言えないしなぁ………仕事柄。
そろそろ身を固めろってことかな………?
いつまでもああ言ったお誘いを受けるわけにはいかないし………。
あ〜〜〜やめやめ!
先に仕事を片づけないと………!
次はぁ……ええっと……………………………………………
結局、朝から晩まで大陸中を走り回った。
いつものことだけどね。
おかげで無駄に体力が付いちゃったよ。
あぁ…てゆうか…今日はもう寝よ………。
明日は月に一度の定休日、昼まで寝てても罰は当たらないよね………。
…結婚なんて……僕にはまだ……早いよ………。
疲れ切った体は、すぐにレイナードを夢の世界へと誘い込んだ…………
「ええっと〜…この荷物はアグリアスさん…これはミルウーダさん…こっちは……」
早朝5時。
早く目が覚めたから、配達物の整理をしている。
これをしないと落ち着かないんだよねぇ………。
………ってあれ?
僕なんで早く起きてるんだろ?
………まぁいっか。 もう眠くないし、それにいつもの事だから。
これが終わったら散歩にでも行こうかな………。
「うう〜〜〜〜〜ん………はぁ〜……仕事の無い朝は、また一味違うなぁ」
荷物整理を終わらせ、まだ日の昇りきらない草原をゆっくりと歩く。
特に行き先は決めていない。
どうしようかなぁ………海で砂浜ダッシュでもしようかな?
休日だからって怠けてると、仕事の時に動けなくなっちゃうし。
………いや、休日だからちゃんと休むべきかな?
う〜〜〜ん………着いてから考えよう!
………って、もう着いちゃったし。
さぁて………どうしようかな?
………。
何にもすること無いなぁ………。
良く考えると、僕には仕事しかない。
趣味は配達、特技も配達………配達は特技じゃないか。
じゃぁ………荷物を早く届けられること!!
………結局は配達か。
お客さんから『まだ独身ですよね?』っと良く聞かれるようになってから、自分の生活や立場を少し考えるようになった。
やっぱり、いつまでも独り身じゃダメだよね………もう25なわけだし………。
でも………僕には結婚を前向きに考えられない訳がある。
仮に僕が結婚したとしよう。
そして僕には配達という大事な仕事がある。
するとどうなるか………。
僕が仕事に行っている間、妻はずっと家で…僕の帰りを1人寂しく待っているってことになる。
考え過ぎかなぁ……でも、そうなる可能性は十分にある。
結婚しても………僕は自分の妻を、きっと悲しませてしまう。
そんなのは嫌だよ…絶対………。
砂浜に座り、波の満ち引きをボンヤリと眺めながら、そんなことを考える。
「僕には…女性を幸せにすることが…できないのかな…………」
マイナス思考をどうしても振り払えない。
僕が家庭を持つときは、その時はきっと、僕が仕事を辞めた後なんだろうな………。
仕事を辞めるなんて…考えられないけど………。
「だったら……ずっと独りの方が…誰も悲しませずに済む………」
そうだ………その方がいい。
こうやって今まで通り、他人を寄せ付けないようにすれば………。
………
「ねえねえ、お兄さん♪」
「………」
「あ、あれぇ? もしも〜し、お兄さ〜〜〜ん!?」
「……………」
「う〜〜〜ん、ダメか。 こうなったら………!!」
「………はぁ…あ…え? うわあああああああ!?」
「やっほ〜〜♪ やっと気付いてくれたね、お兄さん♪」
座っていた後ろから、何かが急に覆い被さった。
そのまま砂浜へ前のめりに倒れ込む。
「わっ! うわっ!? な、なんだなんだ!?」
「ありゃぁ…そんなに驚くとは思わなかったよぉ……」
何かが手、足、背中にのし掛かっている。
なんだか………粘着質のドロドロした感触………。
まったく身動きがとれない。
とりあえず…冷静に………。
「あ……あなたは………だ、誰……ですか?」
人間じゃないことは確かだけど………。
「落ち着いたみたいだね………う〜ん魔族名でいいかな? アタシはぁ『ダークスライム』。 ただのスライムじゃないよ? スライムの強化バージョン!………ってところかな!」
「…そう…ですか………」
「あれれぇ? なんか反応薄いなぁ〜………」
「あ、あの…とりあえず…離れてくれませんか?」
「あ……そうだね! ごめんごめん………!」
そう言ってニュルニュルと体から離れていく。
うぅ…なんか変な感じ………。
「ごめんねぇお兄さん! なかなか気付いてくれないもんだから………つい………」
「い、いえ……それは構わないんですけど………ひょっとして僕、呼ばれてました……?」
「うん。 けっこう大音量で。」
「す、すいません…ちょっと考え事してたもので………」
体中が濃い紫色をしたスライムの亜種。
ダークスライムなんて話に聞いただけで、実際に見るのは初めて。
好色で凶暴だと聞いていたけど………見た感じそういった印象は受けない。
でも…まぁ好色そうな顔はしてるかな………。
………うん?
どうして僕………魔物と普通に会話してるんだろ?
遭遇しちゃったんだから、逃げるべきかな………?
「えっと……それで…僕に何か…御用ですか?」
「用って程の事じゃないんだけど………ただ、アタシの食事に付き合ってくれると嬉しいなぁ♪」
「え? 食事…ですか?」
このまま食べられちゃうのかと思ってた………。
でも…食事ぐらいなら………。
「…僕なんかで良ければ、別に……構いませんけど………」
「ええ!? ホント!? ラッキー! これで手間が省けるよ♪」
ラッキー? 手間が省ける?
「お兄さん珍しいね! アタシの誘いにOKくれるなんて♪」
「そんな…大袈裟な………」
「普通は『た、助けて〜〜!』とか言って逃げ出す輩が多いんだよ……まぁ逃がさないけど。」
「………え? 逃げ出す?」
「それに比べてお兄さんは勇敢だね! アタシ、お兄さんみたいな人初めて♪」
「は、はぁ………」
………。
今思えば、食事に勇敢や逃走などの言葉が入る時点で怪しむべきでした、はい………。
「じゃぁ早速………食事にしようか♪」
「え……え? 食事なら町に戻らないと………」
「ん〜〜? お兄さんは羞恥プレイが好みなのかなぁ? 町中でヤろうだなんてぇ………///」
?????
「でぇも…今はぁ…2人っきりがいいかなぁ………♪」
「…あ………ええ?」
「と、いうことでぇ………いっただっきま〜〜〜っす♪♪♪」
「え……え!?…う、うわああああああああああああああ!!!」
液状の体を目一杯広げて僕を包み込む。
あ……い……息が!?………あ、あれ? 苦しく………ない?
「安心していいよ! 溺れたりはしないから♪」
「ぼ、僕を………どうする気ですか!?」
「うん? なにって…食事だよ? さっきOKくれたでしょ?」
しょ…食事って…こうゆうことだったのか………!
「んふふ〜〜♪ 大人しく……しててねぇん♪」
「あっ…!?」
服の中にスライムの一部が侵入したかと思うと、僕の逸物だけを器用に取り出す。
………ちなみに少し大きめ…うぅ…恥ずかしい………!
「うわぁ〜…おっきぃ………///」
とろけた様な声で僕のものを評価する。
「た〜〜〜くさん出してねぇ………♪」
そう言うと、棒の部分に集中するように、スライムが一点に集まってくる。
「うっ!? あぁ………!?」
「どう? 気持ちいいでしょ〜? んふふ……♪」
ニュルニュルと柔らかいはずなのに、ものすごい圧力を感じる。
スライムは敏感なペニスの内側まで入り込んでくる。
「うっ…うぅ………!?」
「男の人はココが弱いんだよね〜〜♪」
蛇のようにまとわりつくスライム娘。
シゴくのは当然のこと、舐めるように撫でてみたり、絞ってみたり、押し潰してみたり………。
様々な刺激に対応しきれない。
「くぅ………! う…あっ………」
「ぁああん♪ まぁだ大きくなるんだぁ………♪」
弱い刺激の後の強い刺激………まさに雨と鞭。
も…もう……ダメ………
ぴゅっ……どびゅ……びゅくん…びゅる! びゅるる! びゅっ………
「あ…あ…うぅ………」
「あぁ………熱いドロドロのザーメン………いっぱ〜い………♪♪」
紫の透明な体に、白い液体が浮かびあがる。
体全体で感じる様に、ビクビクと震えるスライム娘。
プカプカと浮いていた精液は、時間と共に体へ吸収されていく。
「はぁ…はぁ……」
「ふぅ…まだまだ食べたり無いなぁ………♪」
「はぁ…はぁ………ちょ…ちょっと……まっ………!?」
「んふふ……こっちは固いままだよぉ? もっともっと…いっぱいアタシにちょうだい…♪」
再び僕を弄び始める。
……………
「う………あぁ………」
「はぁぁぁ……ごちそう様ぁ♪」
9回目の射精。
ようやく止まってくれた。
あと一回出していたら、間違いなく種無しになってしまうところだった………。
「お兄さん♪ ありがとね♪ あぁでも………やっぱり勿体ないからぁ……デザート代わりにもう一回出してね!」
「!? や…やめ………」
まさかのもう一発!?
それだけは避けないと………!
「さぁて………最後も派手に、どぴゅっ!と出してね♪」
こうなったら………徹底的に暴れてやる!
そうすればきっと、いくらスライムでも離れてくれるはず!!
「う、こ…このおおおおおお!!」
「きゃあ!? ちょ…ちょっと!? アタシの中で………あ、暴れないでよお!!」
よし…いいぞ! もう少しで…って、なんだろ………この丸いの?
「あああ!!! ダ、ダメ…それは………!」
なんか、焦ってるみたい………。
よ〜し! なんだかしらないけど………握っちゃえ!!
………むぎゅっ!!!
「ひゃああああああああああぁぁぁぁぁぁぁ………」
スライム娘は弾けるように僕から離れた。
はぁ…助かった………。
砂のある地面に、小さな池のようなものができる。
…し、死んじゃったのかな?
……ん? 良く見ると、微かに水面?が揺れている。
………。
今の内に逃げようかな…。
でもこのままにするのも、なんだか気が引けるなぁ…。
「う…うにゅぅ……あ…あれぇ……アタシ………」
「ああ、起きたね。良かったぁ………」
水溜まりがゆっくりとスライムの形を取り戻していく。
「お兄さん…どうして………」
「いやぁ…君をこのままにしておくのも……どうかと思って………」
小一時間ほどで目が覚めた彼女。
今はちょうど太陽が昇りきった頃合い。
「あ、あのぉ………触っちゃいけないところ…触っちゃったみたいで………ご、ごめんなさい…」
「……え? あ、いいのいいの! ア…アタシこそ、調子乗っちゃって………」
正直、逃げる………極端な話、立ち上がる程の体力が残っていなかった。
だからここに留まざるを得なかったんだけど。
でも、逃げる必要は無いかなぁ………と思って。
「はぁ………」
「お、お兄さん…やっぱり…怒ってる………?」
「あぁいや…その………は、初めてだったから………こうゆうことされるの…」
「あ、そうなんだ…通りで敏感だと………」
「うぅ……///」
そう………僕はチェリーだった。
たぶん知ってると思うけど………。
「じゃぁ…アタシが初めての相手……なんだ?」
「恥ずかしながら………」
まさか魔物と初めてを経験するなんて………夢にも思わなかった。
「アタシは…いろんな男から栄養を摂ってきた。 男を餌としか見て無かった。けど…お兄さんは……その………ちょっと違うと言うか…なんと言うか………」
もじもじ(ニュルニュル)しながら言葉を紡ぐ。
………なんだか様子が変だな?
「そのぉ…初めてアタシに触れてくれた人なんだよ? お兄さんは………」
「………え?」
「アタシにされるがままの男ばっかりだったけど………でも、お兄さんは違う」
「………」
「アタシの大事なところに触ってくれて…アタシを求めてくれた………///」
…………。
そうゆう意味で触ったわけじゃ………。
「ア…アタシ………」
ゆっくりと僕に顔を近づけて……………
「お兄さんと………ずっと一緒にいたい!!」
口を塞がれた。
不思議な………ゼリーを口に含んだような接吻。
「ん〜〜〜〜〜〜〜〜〜!」
「……っ……っ……!?」
男を慰める技術が高いスライム娘。
けどこのキスは、なんだか初々しい………。
なんだか不思議と、彼女の純粋な好意が伝わってくる様な気がする。
「〜〜〜〜〜〜〜〜………ぷはぁ!」
「はぁ…はぁ………え、えっと………」
「…一緒に……いたいよ………」
この子は人間じゃない。
でも………。
断る理由なんて………ないよね。
「ネル! ウィーノ大陸へ運ぶ荷物、ちゃんと確認したかい?」
「心配しないで! レイこそ大丈夫なの?」
「僕はもう6年もやってるんだよ? 今更そんな初歩的ミスしないよ。」
「長くやってるからこそ、そういうミスが出てくるんだよ?レイ!」
ネルと結ばれて、もう1年が経つ。
彼女とは1つ屋根の下、仕事を共にこなしながら生活をしている。
彼女と暮らすようになったと同時に、僕は………なんと夢を叶えることができた。
「いつもゴメンね………海の移動は大変だろ?」
「もう! なんて事ないって言ってるでしょ? 確かに荷物が多い時は時間がかかるけど……」
そう………海の向こうへ配達が可能になった。
船を使うと、乗船料・貨物料が報酬を上回ってしまう。
だからここで、ネルの出番というわけ。
彼女は日頃から溜めている魔力を分裂に使わず、海上移動に使用している。
「ほんとに………ありがとう………」
「んもう………レイったらぁ………」
彼女のおかげで、ウェッジ配達は世界に名を連ねることになった。
その分、忙しさは前の比にならない程。
「アタシは…レイが……アタシを求めてくれるだけで………十分なんだよ………?」
「ネル……」
営みは魔力補給と解釈して構わない。
でも………それはただの言い訳。
僕は毎晩………いや、時間が許される限り彼女を求める。
魔力補給なんてどうでもいい。
僕はただ………彼女が欲しい。
「あ……あのさ………ネル………」
「…いいよ……時間…まだ余裕あるし………」
「…うん…ありがとう………」
「ああん…レイ………♪ 好きにして………いいよ?」
最大の名誉と、最愛の女性を手に入れた。
僕は…自分の人生を………誇りに思わなくちゃ……………………………………
彼らは今日も
世界中を駆け回る………
ウェッジ配達は有名な宅配企業。
企業と言っても、働いている人数は彼1人。
理由は簡単。
企業を立ち上げたのは、まぎれもなく彼、『レイナード=ウェッジ』本人だから。
物を届けるという概念が薄いこの時代、青年は『世間の役に立ちたい!』という若くして熱い情熱に突き動かされ、この企業を設立した。
夢は………世界中にウェッジ配達の名を轟かせること!
その希望は、遠い遠い夢物語…のはずだった………。
「ありがとうございました!! またいつでもご利用ください!」
「いつもありがとね、レイ。 ………そうだ! お茶でも飲んでいかない?」
「あ、いやぁ…まだ仕事が残ってるんで………ま、またの機会に!!」
逃げるようにその場を後にする。
「ああん、ちょっと! …もう……また逃がしちゃった………。 まぁいっか……また何か運んでもらえばいいんだし………その時はもっと強引に……ふふっ♪」
ブツブツ言いながら扉を閉める。
「はぁ……最近あぁゆうお客さん多いんだよなぁ………」
企業を立ち上げて早5年。
25になった僕は、未だ仕事に明け暮れている。
でもそのおかげで、この大陸でウェッジ配達の名を知らぬ者はほとんどいない。
良く頑張ったなぁ…我ながら感心するよ………。
………。
さっきみたいなお客さん(20代独身女性 主にお嬢様)が増え始めたのは、ちょうど去年の今頃。
利用してくれるのは嬉しいんだけど………お茶の誘いやらデートの誘いやら、配達と関係ない話を切り出されて、正直困っている。
やめてください!……とは言えないしなぁ………仕事柄。
そろそろ身を固めろってことかな………?
いつまでもああ言ったお誘いを受けるわけにはいかないし………。
あ〜〜〜やめやめ!
先に仕事を片づけないと………!
次はぁ……ええっと……………………………………………
結局、朝から晩まで大陸中を走り回った。
いつものことだけどね。
おかげで無駄に体力が付いちゃったよ。
あぁ…てゆうか…今日はもう寝よ………。
明日は月に一度の定休日、昼まで寝てても罰は当たらないよね………。
…結婚なんて……僕にはまだ……早いよ………。
疲れ切った体は、すぐにレイナードを夢の世界へと誘い込んだ…………
「ええっと〜…この荷物はアグリアスさん…これはミルウーダさん…こっちは……」
早朝5時。
早く目が覚めたから、配達物の整理をしている。
これをしないと落ち着かないんだよねぇ………。
………ってあれ?
僕なんで早く起きてるんだろ?
………まぁいっか。 もう眠くないし、それにいつもの事だから。
これが終わったら散歩にでも行こうかな………。
「うう〜〜〜〜〜ん………はぁ〜……仕事の無い朝は、また一味違うなぁ」
荷物整理を終わらせ、まだ日の昇りきらない草原をゆっくりと歩く。
特に行き先は決めていない。
どうしようかなぁ………海で砂浜ダッシュでもしようかな?
休日だからって怠けてると、仕事の時に動けなくなっちゃうし。
………いや、休日だからちゃんと休むべきかな?
う〜〜〜ん………着いてから考えよう!
………って、もう着いちゃったし。
さぁて………どうしようかな?
………。
何にもすること無いなぁ………。
良く考えると、僕には仕事しかない。
趣味は配達、特技も配達………配達は特技じゃないか。
じゃぁ………荷物を早く届けられること!!
………結局は配達か。
お客さんから『まだ独身ですよね?』っと良く聞かれるようになってから、自分の生活や立場を少し考えるようになった。
やっぱり、いつまでも独り身じゃダメだよね………もう25なわけだし………。
でも………僕には結婚を前向きに考えられない訳がある。
仮に僕が結婚したとしよう。
そして僕には配達という大事な仕事がある。
するとどうなるか………。
僕が仕事に行っている間、妻はずっと家で…僕の帰りを1人寂しく待っているってことになる。
考え過ぎかなぁ……でも、そうなる可能性は十分にある。
結婚しても………僕は自分の妻を、きっと悲しませてしまう。
そんなのは嫌だよ…絶対………。
砂浜に座り、波の満ち引きをボンヤリと眺めながら、そんなことを考える。
「僕には…女性を幸せにすることが…できないのかな…………」
マイナス思考をどうしても振り払えない。
僕が家庭を持つときは、その時はきっと、僕が仕事を辞めた後なんだろうな………。
仕事を辞めるなんて…考えられないけど………。
「だったら……ずっと独りの方が…誰も悲しませずに済む………」
そうだ………その方がいい。
こうやって今まで通り、他人を寄せ付けないようにすれば………。
………
「ねえねえ、お兄さん♪」
「………」
「あ、あれぇ? もしも〜し、お兄さ〜〜〜ん!?」
「……………」
「う〜〜〜ん、ダメか。 こうなったら………!!」
「………はぁ…あ…え? うわあああああああ!?」
「やっほ〜〜♪ やっと気付いてくれたね、お兄さん♪」
座っていた後ろから、何かが急に覆い被さった。
そのまま砂浜へ前のめりに倒れ込む。
「わっ! うわっ!? な、なんだなんだ!?」
「ありゃぁ…そんなに驚くとは思わなかったよぉ……」
何かが手、足、背中にのし掛かっている。
なんだか………粘着質のドロドロした感触………。
まったく身動きがとれない。
とりあえず…冷静に………。
「あ……あなたは………だ、誰……ですか?」
人間じゃないことは確かだけど………。
「落ち着いたみたいだね………う〜ん魔族名でいいかな? アタシはぁ『ダークスライム』。 ただのスライムじゃないよ? スライムの強化バージョン!………ってところかな!」
「…そう…ですか………」
「あれれぇ? なんか反応薄いなぁ〜………」
「あ、あの…とりあえず…離れてくれませんか?」
「あ……そうだね! ごめんごめん………!」
そう言ってニュルニュルと体から離れていく。
うぅ…なんか変な感じ………。
「ごめんねぇお兄さん! なかなか気付いてくれないもんだから………つい………」
「い、いえ……それは構わないんですけど………ひょっとして僕、呼ばれてました……?」
「うん。 けっこう大音量で。」
「す、すいません…ちょっと考え事してたもので………」
体中が濃い紫色をしたスライムの亜種。
ダークスライムなんて話に聞いただけで、実際に見るのは初めて。
好色で凶暴だと聞いていたけど………見た感じそういった印象は受けない。
でも…まぁ好色そうな顔はしてるかな………。
………うん?
どうして僕………魔物と普通に会話してるんだろ?
遭遇しちゃったんだから、逃げるべきかな………?
「えっと……それで…僕に何か…御用ですか?」
「用って程の事じゃないんだけど………ただ、アタシの食事に付き合ってくれると嬉しいなぁ♪」
「え? 食事…ですか?」
このまま食べられちゃうのかと思ってた………。
でも…食事ぐらいなら………。
「…僕なんかで良ければ、別に……構いませんけど………」
「ええ!? ホント!? ラッキー! これで手間が省けるよ♪」
ラッキー? 手間が省ける?
「お兄さん珍しいね! アタシの誘いにOKくれるなんて♪」
「そんな…大袈裟な………」
「普通は『た、助けて〜〜!』とか言って逃げ出す輩が多いんだよ……まぁ逃がさないけど。」
「………え? 逃げ出す?」
「それに比べてお兄さんは勇敢だね! アタシ、お兄さんみたいな人初めて♪」
「は、はぁ………」
………。
今思えば、食事に勇敢や逃走などの言葉が入る時点で怪しむべきでした、はい………。
「じゃぁ早速………食事にしようか♪」
「え……え? 食事なら町に戻らないと………」
「ん〜〜? お兄さんは羞恥プレイが好みなのかなぁ? 町中でヤろうだなんてぇ………///」
?????
「でぇも…今はぁ…2人っきりがいいかなぁ………♪」
「…あ………ええ?」
「と、いうことでぇ………いっただっきま〜〜〜っす♪♪♪」
「え……え!?…う、うわああああああああああああああ!!!」
液状の体を目一杯広げて僕を包み込む。
あ……い……息が!?………あ、あれ? 苦しく………ない?
「安心していいよ! 溺れたりはしないから♪」
「ぼ、僕を………どうする気ですか!?」
「うん? なにって…食事だよ? さっきOKくれたでしょ?」
しょ…食事って…こうゆうことだったのか………!
「んふふ〜〜♪ 大人しく……しててねぇん♪」
「あっ…!?」
服の中にスライムの一部が侵入したかと思うと、僕の逸物だけを器用に取り出す。
………ちなみに少し大きめ…うぅ…恥ずかしい………!
「うわぁ〜…おっきぃ………///」
とろけた様な声で僕のものを評価する。
「た〜〜〜くさん出してねぇ………♪」
そう言うと、棒の部分に集中するように、スライムが一点に集まってくる。
「うっ!? あぁ………!?」
「どう? 気持ちいいでしょ〜? んふふ……♪」
ニュルニュルと柔らかいはずなのに、ものすごい圧力を感じる。
スライムは敏感なペニスの内側まで入り込んでくる。
「うっ…うぅ………!?」
「男の人はココが弱いんだよね〜〜♪」
蛇のようにまとわりつくスライム娘。
シゴくのは当然のこと、舐めるように撫でてみたり、絞ってみたり、押し潰してみたり………。
様々な刺激に対応しきれない。
「くぅ………! う…あっ………」
「ぁああん♪ まぁだ大きくなるんだぁ………♪」
弱い刺激の後の強い刺激………まさに雨と鞭。
も…もう……ダメ………
ぴゅっ……どびゅ……びゅくん…びゅる! びゅるる! びゅっ………
「あ…あ…うぅ………」
「あぁ………熱いドロドロのザーメン………いっぱ〜い………♪♪」
紫の透明な体に、白い液体が浮かびあがる。
体全体で感じる様に、ビクビクと震えるスライム娘。
プカプカと浮いていた精液は、時間と共に体へ吸収されていく。
「はぁ…はぁ……」
「ふぅ…まだまだ食べたり無いなぁ………♪」
「はぁ…はぁ………ちょ…ちょっと……まっ………!?」
「んふふ……こっちは固いままだよぉ? もっともっと…いっぱいアタシにちょうだい…♪」
再び僕を弄び始める。
……………
「う………あぁ………」
「はぁぁぁ……ごちそう様ぁ♪」
9回目の射精。
ようやく止まってくれた。
あと一回出していたら、間違いなく種無しになってしまうところだった………。
「お兄さん♪ ありがとね♪ あぁでも………やっぱり勿体ないからぁ……デザート代わりにもう一回出してね!」
「!? や…やめ………」
まさかのもう一発!?
それだけは避けないと………!
「さぁて………最後も派手に、どぴゅっ!と出してね♪」
こうなったら………徹底的に暴れてやる!
そうすればきっと、いくらスライムでも離れてくれるはず!!
「う、こ…このおおおおおお!!」
「きゃあ!? ちょ…ちょっと!? アタシの中で………あ、暴れないでよお!!」
よし…いいぞ! もう少しで…って、なんだろ………この丸いの?
「あああ!!! ダ、ダメ…それは………!」
なんか、焦ってるみたい………。
よ〜し! なんだかしらないけど………握っちゃえ!!
………むぎゅっ!!!
「ひゃああああああああああぁぁぁぁぁぁぁ………」
スライム娘は弾けるように僕から離れた。
はぁ…助かった………。
砂のある地面に、小さな池のようなものができる。
…し、死んじゃったのかな?
……ん? 良く見ると、微かに水面?が揺れている。
………。
今の内に逃げようかな…。
でもこのままにするのも、なんだか気が引けるなぁ…。
「う…うにゅぅ……あ…あれぇ……アタシ………」
「ああ、起きたね。良かったぁ………」
水溜まりがゆっくりとスライムの形を取り戻していく。
「お兄さん…どうして………」
「いやぁ…君をこのままにしておくのも……どうかと思って………」
小一時間ほどで目が覚めた彼女。
今はちょうど太陽が昇りきった頃合い。
「あ、あのぉ………触っちゃいけないところ…触っちゃったみたいで………ご、ごめんなさい…」
「……え? あ、いいのいいの! ア…アタシこそ、調子乗っちゃって………」
正直、逃げる………極端な話、立ち上がる程の体力が残っていなかった。
だからここに留まざるを得なかったんだけど。
でも、逃げる必要は無いかなぁ………と思って。
「はぁ………」
「お、お兄さん…やっぱり…怒ってる………?」
「あぁいや…その………は、初めてだったから………こうゆうことされるの…」
「あ、そうなんだ…通りで敏感だと………」
「うぅ……///」
そう………僕はチェリーだった。
たぶん知ってると思うけど………。
「じゃぁ…アタシが初めての相手……なんだ?」
「恥ずかしながら………」
まさか魔物と初めてを経験するなんて………夢にも思わなかった。
「アタシは…いろんな男から栄養を摂ってきた。 男を餌としか見て無かった。けど…お兄さんは……その………ちょっと違うと言うか…なんと言うか………」
もじもじ(ニュルニュル)しながら言葉を紡ぐ。
………なんだか様子が変だな?
「そのぉ…初めてアタシに触れてくれた人なんだよ? お兄さんは………」
「………え?」
「アタシにされるがままの男ばっかりだったけど………でも、お兄さんは違う」
「………」
「アタシの大事なところに触ってくれて…アタシを求めてくれた………///」
…………。
そうゆう意味で触ったわけじゃ………。
「ア…アタシ………」
ゆっくりと僕に顔を近づけて……………
「お兄さんと………ずっと一緒にいたい!!」
口を塞がれた。
不思議な………ゼリーを口に含んだような接吻。
「ん〜〜〜〜〜〜〜〜〜!」
「……っ……っ……!?」
男を慰める技術が高いスライム娘。
けどこのキスは、なんだか初々しい………。
なんだか不思議と、彼女の純粋な好意が伝わってくる様な気がする。
「〜〜〜〜〜〜〜〜………ぷはぁ!」
「はぁ…はぁ………え、えっと………」
「…一緒に……いたいよ………」
この子は人間じゃない。
でも………。
断る理由なんて………ないよね。
「ネル! ウィーノ大陸へ運ぶ荷物、ちゃんと確認したかい?」
「心配しないで! レイこそ大丈夫なの?」
「僕はもう6年もやってるんだよ? 今更そんな初歩的ミスしないよ。」
「長くやってるからこそ、そういうミスが出てくるんだよ?レイ!」
ネルと結ばれて、もう1年が経つ。
彼女とは1つ屋根の下、仕事を共にこなしながら生活をしている。
彼女と暮らすようになったと同時に、僕は………なんと夢を叶えることができた。
「いつもゴメンね………海の移動は大変だろ?」
「もう! なんて事ないって言ってるでしょ? 確かに荷物が多い時は時間がかかるけど……」
そう………海の向こうへ配達が可能になった。
船を使うと、乗船料・貨物料が報酬を上回ってしまう。
だからここで、ネルの出番というわけ。
彼女は日頃から溜めている魔力を分裂に使わず、海上移動に使用している。
「ほんとに………ありがとう………」
「んもう………レイったらぁ………」
彼女のおかげで、ウェッジ配達は世界に名を連ねることになった。
その分、忙しさは前の比にならない程。
「アタシは…レイが……アタシを求めてくれるだけで………十分なんだよ………?」
「ネル……」
営みは魔力補給と解釈して構わない。
でも………それはただの言い訳。
僕は毎晩………いや、時間が許される限り彼女を求める。
魔力補給なんてどうでもいい。
僕はただ………彼女が欲しい。
「あ……あのさ………ネル………」
「…いいよ……時間…まだ余裕あるし………」
「…うん…ありがとう………」
「ああん…レイ………♪ 好きにして………いいよ?」
最大の名誉と、最愛の女性を手に入れた。
僕は…自分の人生を………誇りに思わなくちゃ……………………………………
彼らは今日も
世界中を駆け回る………
10/09/19 23:26更新 / HERO