読切小説
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闇夜に潜む新たな人生♥
 暗い、暗い廃屋の中で ふと、目を覚ます。
 そして何年も変わらぬ景色を見て 目を閉じる。儂はもう幾つになったのか、と
数えても意味のないことを数えるのは何度目だろう。
心の中であの日のことを思いだし…再び眠りにつく。はずだった…
 

ガタッガタタガタッ  キィィー  
古くなった部屋の戸が風に吹かれて音を立てる。
普段ならば気にも留めぬ些細なことだ。  しかし、今日はやけに気になる。
戸を見つめていると……  奇妙な事に何かが聞こえる。
風の音ではない…  微かに聴こえるその音はまるで誰かが私を見て笑っているようで………


          『……やっと気がついたのね』   
背後からの声に虚を突かれ、恐る恐る振り向く、そこに居たのは…
魔性の美しさを持ち、妖しい笑みを浮かべる女だった。
   しかし、瞬きをする僅かな時間で女は視界から消えていた。
背後からはまるで隠そうとしない気配……そのまま振り返れば、まるで少女のような微笑みをこちらに向けていた。


 『何をしに来たのかね』
掠れた声で女に問いかける。   
  女が口を開いた。  
『そうね、これも暗殺になるのかしら?』

やはり、まともな人間では無かったようだ。
しかし自らを暗殺者という者はいるのだろうか?
儂は疑惑に満ちた女の言葉に耳を傾けながらも、何とかして正体を暴こうとしていた。

『暗殺など結構』   『儂はもとより、死んだようなものだ』


あの日を思い出す…   全てを失い、全てを捨てた日の事を……

『あの日の後から、あなたは死んだのね?』

(何故それを!知っているのか!)    
女の口から出された言葉に激しく動揺しながらも決して、感情を表に出さぬように耐えていた。
しかし、女はそんな事など眼中にないかのように言葉を続けた。

『あの日、あなたに何があったのか教えてくれないかしら?』
フン、自ら暗殺者だと名乗りを上げるような奴だ、全てを知っていてもおかしくはないだろう。
白々しい奴め、と毒突きながらも、儂は再び口を開いた。





『あの日は深い霧が出ていたな……儂は自身が仕える主君の、宿敵との戦いに参加していた』
『儂は主君に応える為に、己の頭を振り絞り、
ある一つの献策をしたのだ』
『山に布陣した軍は必ず下山せねばならん。
そこを突く挟撃作戦。  儂はこの策に絶対の自信を持っていた…
だがその策が戦いを制する事はなかった』
『敵には全てをを見抜かれていたのだ。
逆にこちらが奇襲された…   味方は壊滅し、最高幹部であった副将までもが命を落とした』
『そんな戦いで儂は生き延びてしまったのだ。
その日から儂は死んだも同然なのだよ』
  『 貴方が生き延びられたのは貴方を慕う人達の御蔭……   なのね?』
『ああ、その通りだ』

儂は一生誰かに慕われる事など無いと思っていた。
思えばその逆、人に妬まれ、疎まれ続けることしかなかった。
同僚から妬まれる事も度々あった。
しかし、皆、儂の事を認めてくれたのだ。
その時の喜び、安らぎは忘れられる筈など無い。
誹謗と中傷に怯えながら歩んで来たこの人生の中で、唯一と言っていいほどの幸福な時間だった……
それが、たった一日で消えてしまった…    儂が自らの手で消してしまった。
『 だから…だから!儂は…死んでしまった者たちに会わせる顔が無いのだ!』
『儂の事を慕い、逃がしてくれた者たちは皆…若者だった…
親子ほど年の離れた者たちだったが、儂をまるで父のように慕ってくれた。
儂は彼らの人生をも奪ってしまった』

『貴方の言う事も良くわかるわ』『  でもね、今の貴方を見て、死んでいった彼らはどう思うかしら?』

『何が言いたい?』

『貴方はこのままでいいの?』
『貴方は死んでいった者たちのためにすることがあるでしょう。
あなたはこれまで何をしてきたの?』
『既に居ない者に縛られ続け、自分勝手な思い込みで後悔し続けていただけ。
これを彼らが望んでいるとおもう?』
これこそ命を懸けた者たちへの冒涜よ。


『それでもいいの?』
『それでもよい』  『もう儂にはそう時間は残されていない。
死した後…謝りにいければそれで…』

『あなたって本当に強情っ張りね』
   『もういいわ』   『そもそも私はあなたの話を聞きに来たわけじゃ無い』
『ならば何を』 ヒュッ 
『んむぅ!? 』  (口を塞がれた!?)

チュピュ、クチュ、ンクチュゥ、くっ、むぅ、ピチャアァチュプ
ンンッ、ハアァァ    ツゥーっと混じり合った唾液が糸を引く。
『こんな事されたのは初めてかしら?
私も初めて…』
『むぅ、貴様は何者だ?何故このような事を』
掠れて、注意して聞かねば、聞こえぬような声で、ずっと知りたかった事を尋ねる。

『私?』  『私は暗殺者よ。最初に言ったでしょ』


(違う、儂が聞きたいのはそうではなくて……何故お前は……)


(違う、私は… 私の本当の気持ちは…)

『儂を暗殺した所で、誰も得になどなりはしないだろう。』
『そうよ。』
『だから…これは正確に言えば暗殺じゃない。
私が…私が貴方に夜這いをしに来ただけ…』

『何故、儂なのだ?  片目しかなく、指も揃わず、足も満足に動きはしないのに…』
声にならぬ声で、己の感情を吐き出していく。
だが、聞こえてはいないだろう。    (もう、喉がが限界だ…)


『私にとって貴方は特別』
『目が二つとも開いていて、指が綺麗に揃ってて、足が自由に動く人が居ても、
貴方には…なれない』
…でしょう?

『おしゃべりはここまでよ。  貴方も辛いでしょう?
そろそろ、目的を果たさなくちゃ』

(やはり、目的とは…)
フフッ、   『もう……がまんなんて…できない……』


んぅぴちゃくちゅ、はむ、むぁ、あぁん、ぴちゃくちゅぅ、ふうぅあん

儂と話をしていた時とは、似ても似つかないほど淫らな声で、
まるで恋人のように、愛おしそうな顔で、儂の逸物をしゃぶっている…
(信じられん、もう思い出せぬほど前に力なく萎びてしまった筈なのに…)
逸物はこれまで見た事も無いほど膨れ上がり、真上を向いている…

『これが忍びの技。 如何かしら?』

そう言って女は服を脱ぐ、    
その姿は、一見、人に見えるが、細くしなやかな尾が、女を人ならざる存在だと証明していた。
『ああ、だが女を知らぬこの身体には、少々刺激が強すぎるようだ。』
(ッ!声が出る?!何故?)
『喋らなくていいのよ…』

『私に全部委ねて…
貴方はそのままでいい…
あぁ…貴方が欲しくて堪らない…』

女はそう言うと…立ち上がり…まるで、覆い被さるように……

ッ!ぐぁあうぅあぁ……  はぁぁぁあん♥ぁあんふぁぁんぅぅ♥ああぁぁんぅぅ
 ドクンッドクゥドプゥドクッ
ぅぐああぁあああぁ


(意識が遠のく…何だこの感覚は…)
どうして、このような事になったのだったか……
そうだ、大事な事を忘れていた…あの女は何故、儂の事を知って…)

(クゥッ、意識が引き戻され…る)
『あぁん…やっと…やっと一つに…なれたぁ♥』


(やっと?  儂はこの女とは初めて会ったはずだ。なのに、
どう言う事だ?)
かはぁ! 駄目だ!考えが…纏まらん…

『私ぁ…この時の為にぃ……はぁあん…』
ドクゥ、ドピュウドクン

おい…おい!
ふぁぁあ?

『何故、儂の事をそこまで知っている?』

『私ぁ、貴方の事を想い続けてぇ、 いつか…いつかこうなる事ぉ、 あぁん 』
(駄目だ…会話にならん…)

しかし、足の痛みが、消えている…
(どういう事だ?)
『だが、好都合だ』
グッ!    ;いひゃあぁぁん! あぁぁ、もっもうっだめぇ
ひゃあぁぁあ!

ズチュゥ、グチュ…   ピチャァ、ポタ…ポタポタ…
狂ったように腰を振る女を尻目に、逸物を引き抜く。

『どうして…?』
つい、先ほどまで繋がっていた結合部からは、痛々しい程の血が垂れていた…
『いい加減にしろ!、少しは話を聞け!』
『それはこれの後でぇ…』
『駄目だ、今話せ』
『 ………はいぃ  』

(何だ?えらく、素直になったな)
  『貴方に嫌われたく… ないからぁ』
『落ち着け、息を整えろ』     
『はいぃ』




『私が貴方に初めて会ったのは、貴方が死んだあの日…』
『私はあの当時、伝令の任務に就いていたの』
  『伝令だと?』
『そう』
『貴方と同じ君主に仕えていた、忍びと、里を繋ぐ伝令よ』
 『里…とはなんだ?』
『私たちの故郷でもあり、修行の場所でもある…』
『里は、常に情報を集め、私たちを送り込む』
『私たちの任務は、もちろん…暗殺もあるけれど…
 諜報活動などの、情報収集が主体なの』  
  『それで得た情報を持ってして、暗殺…か』
『うん…』
 『それで、儂とはどこで会った?』
『情報を受け取った後…里に帰る途中で…』
『貴方の参加した戦の状況を確認しに行ったの』

 『そう、か…』
『大まかに戦況を確認し終えた後…』
『たった、一騎で戦場を離れる貴方を見つけたの…』
『私は、それが気になって、貴方を追いかけた…』
『私が追いついた時には…貴方は、泣いていたわ…』
  『ぁ…ああ、その通りだ」
あの時…儂は確かに泣いていた…
だが、それは…何故だかわからなかった。
儂を慕ってくれていた者たちを失った悲しみか、
或いは、死に場所を無くした悲しみか…

儂は、周りを気にする事も無く、
ただ…童のように…泣きじゃくっていた。

『私は、あの時の貴方を見て…ずっと…こうしてあげたかった…』
そっと…本当にそっ、と首に手をかけて、
女は…儂を抱きしめてくれた…

『もう少しだけ…そのままでいてくれ…』
『うん…』

本当は…あの時にしてあげたかった…
でも、私は、任務を選んだ。
少しでも早く、暗殺任務を任されるようになる為に…

『あれから私は、里の誰よりも任務をこなしたわ』
『全部…貴方と一つになる為に…』

『私ね…普段はこんなにお喋りじゃないの…』
  『そうか…』
『ずっと、ずっと…会いたかった人が側に…
すぐ側にいるからぁ……
  『うん…よくがんばったな…』
『これ…これからは…ずっと…側にぃ…』
  『 ああ、ずっと一緒だ』

これまで、人に泣かれながらお願いされた事などあっただろうか?
いや、無いだろうな…

それにしても、泣く程、儂の事を想い続けてくれていたとは…
何やら、よくわからんがでも、嬉しくなる…
こんな、気持ちも久しぶりだ。

(ん?そういえば、儂、杖なしで立てたか?)

立てている…二本の足でちゃんと…
目は、片方しか見えんし、小指も生えて来てはいないから、
気付かなかった…

『それはね、忍びの秘薬の御蔭よ』
  『 秘薬?何だ、それは?』
『効能は、病快復、若返りに、寿命延長、それから…』
  『それから?』
『性欲増進!…よ?』

(何というモノだ…それは…普通ならばあり得んぞ…)

『フフッ  何で飲ませたか、分かってくれるわよね?』
  『先程まで泣いておった癖に、何を言うか…』
『あら、私、仮にも忍びよ?変り身は早くなくちゃ』
 『まったく…生意気な口だ』
(いっそ、このまま、これをねじ込んでやろうか…)

何だか目を輝かせながら、此方を見つめているが…
 『おい、お前の望み通りにしてやるから、もう少し此方に来い』
『はぁい』
 
(ふふっ、恨むならば、自分を恨めよ…)

 『此処で膝立ちになって』
『ぇ?』
一方、儂は立ち上がって…口の中目掛けて…
スゥッッ…『ハッ!』

もごお?! うむぅあぁっ?! むあぁあぁん!
パンッ!パンッ!  あぁぁむぐぅぅああん♥
もっひょ!もっひょ、ひゃげしくぅぅ♥…
パンッ!パンパンッ‼  ッ!くぅ…
ひゃああん⁉あはぁ、はぁん♥

(何だ⁉こいつ、泣くどころか、喜んでいる…)
むぁあむっ、ぴちぁぺちゃ…むふぅぅん、れろぉっぴちゅぅぅう…


 『くっ!も…もう無理だ…出すぞ!』
『らしてぇ♥ぜんぶぅ…くひぃのなかにぃ…♥
ドグンッ、ドプッ、ドビュウッ!
(この短時間で三度、出したにも関わらず、まるで衰えないとは…
やはり、人智の及ばぬ存在になってしまったのか?)
『がっ!がはっ!はぁあ…はぁあ…♥』
『ん、んぅ、』
  ぺちゃあ、ポタ…ポタポタ…
口の中に収まりきらなかった分が、音を立てて零れ落ちる。
『んっ、ごくっ、こくっ、こくんっ』
『ッ!はぁあ…おいひぃ…これもはじめてぇ♥』

相変わらず、目を輝かせて、恍惚の表情を浮かべている…
(まずいな、逆効果だったか……)

『ねぇ、上だけじゃなくてぇ……
下の口にも飲ませてぇ…』

 『まっ、待て!すっ、少し休みを……』
『駄ぁ目…』






ふぁぁ、ああんっ♥んぅあぁ…  はぁ、はぁ、ああんっ♥
んむぅ、くちゅ、ぴちゃぁ、はむ、むぅ、んぁぁ、ぷふぅ、ぷはあっぁぁ♥
あぁっんん…ッああん!♥
も…もうだめぇ…はっ、はあん!
また…イクッゥ!ふぅぁあん!
ん、むぁあ、あむ、くちゅう、んぅ、れろぉ…
んぅぅ、しゅきぃ♥だいしゅきぃぃ♥……






『ん、むぅぅ、はっ!』
周りを見渡すが、気配は感じられない…
 『まさか…全て…夢であったというのか?…』
『そんな訳ないでしょ』
 『良かった…本当に…』
『そんなに…気にしてくれるの…?』
 『ああ、恩人だからな…』
たった、少しの時間だった筈なのに…
これまでの人生で、最も満たされた時間だった…
それだけは、確信できる…
『それで、これからどうするの?』
 『ふむ、生き直すしかないだろう?
  誰かの御蔭でな』
『何か、あてはあるの?』
  『そうだなぁ、お前の故郷の忍びの里とやらにでも行こうか。
『本当に…?』
 『約束しただろう…』

『忍びの卵たちに、軍学でも教えてやろうかね』
『実戦では、役に立たんかったが、
教えられる事は多いつもりだよ』

『是非、お願いします…』

 『そういえば、お前の名前を聞いてなかったな…』
『聞かせておくれ…』

『フフッ、  みつき…深月よ』

『深月…か… いい名前だな…』
『あぁ、儂の名前は…』
『いいわよ、言わなくて…もう、知ってるから』

  『ふふっ、そうか…』
 『それよりも、一つお願いがあるんだ』
『なぁに?』

一つだけ、やらなくてはいけない事を…

 『墓…参りを…させてくれ…』
『うん…』











済まなかったな… あれからろくに、供養もせんで…
儂は、お前たちを裏切り続けた事を、詫びねばならん…
本当に…済まなかった…

……ふふっ、安心しろ…もう死にたいなどとは思わんよ…
あいつが側にいるからな…
儂は見つける事ができたよ…
生きる場所も、死に場所も…
最期まで…あいつの側に居て…やれれば…
生き延びた意味はあるのだろうな…


最後に、儂は…此処に眠る…若き勇士たちの存在を…
決して…忘れぬ事を約束する…

ありがとう…













ありが……とう……


12/06/30 08:06更新 / Vein

■作者メッセージ
記念すべき、第一作目となります。
クールで、大人びたクノイチを期待した人はごめんなさい…
こういうところもあるよね、といったモノを表現したいなぁと思って書きました。
任務より、運命の人を優先する娘たちですからね。
如何せん、処女作なもので、変なところとかあったり、読みづらかったりするかもしれません。 そこはご容赦いただけますようお願いします。
それと、日本史から少々、引用というか、モデルにした人物がいるため、おいおい、ちょっと、これはどうなの?と思われる方は遠慮なく言って下さい。
勿論、感想もお待ちしております。
投稿は、かなり不定期になりそうですが、これからよろしくお願いします。

6/30 文字化けを修正しました。
 見苦しいものをお見せしてすみませんでした…

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