読切小説
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ラ・クカラチャ
「ラ・クカラーチャ ラ・クカラーチャ もう歩きたくねぇ」

 鬱蒼とした山の中。歌いたい気分ではなく、誰かに頼まれたわけでもないのに、俺は一人口ずさんでいた。

「だって無ぇんだもん もう無ぇもん マリファナが無ぇもん」

 このクソッタレな状況にはクソッタレな歌詞がお似合いだ。右手に持つライフル銃が重いし、その先端に着いていた銃剣は敵を四人突っ殺したところで折れやがった。その挙げ句に一人で山の中を歩かにゃならんとは無様にもほどがある。戦いの最中に頬をかすった弾の傷が疼くように痛み、それも無性にイライラした。

 それでも歩くしかない。革命に終わりが来るのかも、昨日一緒にテキーラを飲んだ奴が生きているかもこの際知ったことじゃない。死にたくないから生きる。それこそクカラチャ(ゴキブリ)のようにしぶとく、ぶっ叩かれても歩き続けるしかない。

「ラ・クカラーチャ ラ・クカラーチャ」

 ひたすら歌い続け、足を前に運び続ける。体がだるくても重くても、こうするしかない。
 だがそのとき、先の方の茂みがガサリと動いた。

 俺は足と歌を同時に止める。風は吹いていない、何かがいるのだ。
 すぐさまライフルのボルトを引き、細長い弾丸を一発押し込んだ。残っているライフル弾はこれだけ、腰には刃こぼれしたサーベルをぶら下げているが、頼りになるかは怪しい。構えたとき、再び茂みが動く。
 あれは人間の動きじゃない。肉にありつける!

「逃げるなよ……」

 逸る気持ちを抑えつつ、照準を定める。これで準備は整った。
 大丈夫だ……自分にそう言い聞かせた。銃剣攻撃で多少銃身が歪んでいるかもしれないが、この距離ならなんとか仕留められるだろう。

 俺は引き金に指をかけ……

「!?」

 その瞬間、『何か』が茂みから飛び出した。翅のような物を広げ、弧を描きながら俺に向かって突っ込んでくる。

 咄嗟に引き金を引き、炸裂音が轟いた。硝煙の香が鼻をつく。だが飛び出した弾は『何か』に当たらなかっただろう。何故ならそいつは止まること無く、俺に飛びついてきたのだ。

「うおっ!」

 人間にそうされたときのように、肩を両手で押さえられ、地面に倒される。だがそいつはどう見ても人間ではなかった。確かに手は二本、足も二本ある。肌も健康的な色をしていた……茶色い甲殻で覆われているところを除けば。

 虫。そう、そいつは虫だった。俺の肩をつかむ手は節のある虫のそれだし、背中には光沢のある翅、頭からはムダに長い触覚が生えていやがる。まさしく俺が今歌っていた虫……クカラチャじゃないか。
 人間に虫を足した化け物……それだけでもぞっとするだろうが、一番驚いたというか戦慄したのはそいつの顔だ。

 醜いわけでも、大口開けて噛りついてくるわけでもない。そいつは可愛い女の子だった。
 動けない俺を赤茶色の瞳で見つめ、虫娘は何処か心配そうな顔をしている。

「離れろ、化け物」
「……イタ、そう」
「……あん?」

 こいつはどうやら口がきけるらしい。だが一瞬、何を言っているのか分からなかった。

「これ、イタそう……」

 ふいに、頬の傷を舐められた。まるで犬が仲間をいたわるように、虫娘はペロペロと舐め続ける。傷口に唾が染みて少し痛かったが、くすぐったい舌の感触が気持ちよかった。

「……お前、優しい奴なのか?」
「ヤサ、し? ……ンっ」

 何故か頬を赤らめ、虫娘は体をよじらせた。褒められて照れたのかと思ったが、よく見たら違った。こいつは手足と背中の羽以外は女そのもの。そしてその股間を、人間の女と変わらない丸出しのソコを俺の体にこすりつけていたのだ。

「あンっ、ふゃ、イイ……」

 恥じらいも躊躇いもなく、俺の汚ぇズボンに大事なところをこすりつけ、虫娘は気持ち良さそうに喘ぐ。股の割れ目からは温かい汁が垂れ流され、ズボンに染みを作っていた。

「……面白ぇ奴だな、お前」

 思わず笑みがこぼれてしまった。半分虫でも、女の子が側にいるってのはいいもんだ。いや、そりゃ男が単純なだけか。
 俺が笑ったのを見て安心したのか、虫娘も俺に微笑みかけてきた。素朴で可愛い顔だ。不気味な化け物でも、女の子で言葉が通じて優しい奴ならわざわざ怖がることはない……そう考える事にした。

「食い物はないか?」
「く……ゴハン?」
「そう、ゴハン」

 安心すると空腹を思い出しちまった。虫娘は俺の言っていることを理解したのか、羽の裏側辺りをごそごそとまさぐる。

「コレ、あげる」

 彼女が優しく笑って差し出してきたのは、ピンク色の柔らかそうな木の実。いわゆるハート形をしたような、宝石のように透き通った果実だった。
 見たこともない生き物から見たこともない食べ物を勧められた。だがその果物の甘い匂いが、空きっ腹をこれでもかというくらい刺激してきやがる。
 もしかしたらこの世の食い物じゃないのかもしれない……そんなことを考えるくらい美味そうだった。

 もういい、食っちまおう。
 目の前に差し出された果物を口に入れ、ヘタを食いちぎる。柔らかい果実は歯で噛むまでもなく、舌でつぶれた。その瞬間、匂い通りの濃厚な甘さが口一杯に広がり、果汁が口から溢れそうになる。甘い物自体久しぶりに食べたが、こいつは別格だ。疲れた体に、その甘さが染み渡っていく。いい気分だ。

「……ありがとよ、セニョリータ」
「えへへ」

 彼女は相変わらず俺に股をこすりつけており、口から漏れる熱い息が俺の顔にかかっている。なんだか本格的に、この化け物が可愛く思えてきた。少なくとも俺の撃った弾が外れてくれて本当によかった。

「……イイにおい」
「ん?」
「アナタ、イイにおい……」

 うっとりとした顔で、彼女は俺の胸元に顔を押し付ける。

「よせ、くすぐってぇよ」
「イイ……イイにおい……」

 顔を上げさせると、彼女は少し息が荒くなっていた。頬も紅潮し、股を擦りつける動きも激しくなってきている。ズボンは汁まみれだ。
 俺まで変な気分になってきやがった。そんなとき、虫娘は口を開いた。

「……えっち、しよ」

 ……セックス? この化け物と?

 殺し合いよりはマシかもしれない。俺の脳みそが出した結論はそれだった。それにクカラチャの翅がついていても、ボロボロの俺をこんなに労ってくれる女の子だ。可愛がって何が悪い。

「ちょっと待ってな」

 頭を撫でてやると、その茶色い髪は以外にもさらさらとして触り心地がよかった。その間に片手でズボンを降ろし、ナニを引っ張りだす。男ってのは無節操なもんだ、最初は化け物とビビっていても、股を擦り付けられればもう勃っちまう。虫娘は体を起こし、俺の肉棒を見てぱっと笑顔を浮かべる。

「おー? そんなにこいつが欲しいのか」
「ほしいっ!」
「ははっ、可愛いスケベ虫め」

 そう言っているうちに、彼女の股は俺のナニの上にきていた。割れ目から垂れる汁が肉棒を濡らしていく。脚を広げているせいか少し開いており、柔らかそうなピンク色の中身が見えていた。物欲しそうに口を開けている姿は人間の娼婦の倍はいやらしい気がする。

 そこを指で軽くつついてやった。

「ひゃんっ!?」

 俺の上でぴくりと体を震わせる虫娘。触覚が上にピンと立ってやがる。ぬめった割れ目をすっとなぞるともぞもぞと身をよじる。ガキの頃、ジャングルでゾウカブトムシをつつき回して遊んだことを思い出した。
 もう片方の手でヘソをつついてやる。くすぐったそうに笑いながら、虫娘も俺の体をつついてきた。ガキに戻った気分だ。

「やんっ、ひゅぃ、ひゅぅぅん」

 割れ目の中へ向かって、ほじくるように指を進めた。どんどん滴って彼女は小鳥のような声で喘ぎながら、熱い視線で俺を見つめている。顔に息がかかってくすぐったい。
 虫娘の体が次第に汗ばんできている。だが半分クカラチャだっていうのに、その汗はほのかに甘いニオイがした。

「……お前、いつもあの果物を食ってるのか?」
「くだ、もの?」
「さっきくれたゴハンだよ」
「うん。アレ、わたしのゴハン」

 虫娘は犬猫のように顔を舐めてきた。柔らかい舌の感触が気持ちよく、その口からも微かに果実のニオイがした。

「そうか、それでいいニオイがするんだな」
「イイ、におい……わたし、イイにおい?」

 嬉しそうに虫娘は繰り返した。返事をする代わりに、腋の辺りのニオイをクンクン嗅いでやる。

「やんっ!」

 身をよじらせ、彼女は俺からぱっと離れる。だが次の瞬間にはまた飛びついてきた。それも、股を俺の顔をまたぐように。

「んぐっ!」

 口の上に、虫娘のアソコが押し付けられた。むわっと広がるメスのニオイ、だらだらと垂れてくる汁に咽せそうになる。嫌悪感が無いのは彼女とじゃれ合ったからか、それともマリファナやりすぎて俺の頭がいかれたのか。

「ココも? ココもイイにおい?」

 少し調子外れな声で虫娘はさえずる。女の子の大事なところを、平気で人の顔に押し付けやがって。
 俺はまた悪戯心を起こした。密着している汁まみれの割れ目を、舌で舐め上げたのだ。

「ひゅううぅん♥」

 甲高い声を上げながら、虫娘はぐりぐりとソコを擦り付けてくる。やっぱり気持ちいいのか。
 彼女の尻に手を添え、今度は奥まで舌を挿れてやる。染み出してくる汁が口に入ってきた。これまた嫌悪感なく飲み込めちまう。不思議な味と果物のニオイがする。

「ひぃぃぃぃ♥ も、もっとぉ……」

 本当に相当なスケベ虫だ、こいつは。ちょっと教育してやるか。
 ぷにっとした尻を揉んでやりながら、アソコの奥の方を舌先でぐりぐりと責める。虫娘が翅をばさばさと動かしてよがるのと同時に、アソコが舌を締め付けてきた。ここにナニをぶち込んだら気持ちいいだろうと躊躇いもなく思う。

「ひゅぃ、あひぃ♥」

 だが、もう少しいじめてやってもいいか。
 舌を奥に突っ込んだまま、穴の少し上にある豆みたいなやつを指でつついてやる。

「ひぅぅぅぅ!?」

 俺の顔の上で、跳ねるように震える虫娘。あまり暴れられたら危ない、尻をしっかり押さえて舌責めを続ける。
 それにしてもこいつの尻柔らけぇ。それほど大きくないのに、揉むとちゃんとムニッとした肉の感触がある。胸は小さいが、こいつ結構いい女かもしれない。

 ふと、いやらしいことを考えついた。そしてすぐに実行だ。
 虫娘の尻の谷間に指をするりと入れ、そこにある穴を探し当てる。後はその入り口や周りをくすぐってやるのだ。

「きゅうぅぅぅ♥ や、らめ、そこ、そこ、キタナイ、だよ……?」

 驚いている虫娘に返事もせず。
 汁をゴクゴクと飲み干しながら、俺は彼女の奥を思い切り舌でえぐった。

「ひゅいいいいぃぃぃ♥」

 虫娘の体が大きく仰け反ったかと思うと、女の穴から一気に汁が溢れ出してきた。舌を引き抜き、口に入ってきた物はそのまま飲み込んでしまう。虫娘はブルブルと痙攣したかと思うと、俺の顔からごろんと転がり落ちた。

「ひゅぴぃぃ……あは、あははぁ……♥」

 だらしなくよだれを垂らし、虫娘は明後日の方を見て笑っていた。開かれたままの股からはまだ汁が垂れ流され、その穴はぱっくりと開いている。中のピンク色のがよく見えた。

「……イっちまったか」

 本当に、可愛い奴だ。クカラチャの翅や触覚がついてるからって何だ、可愛い顔して優しくてエロい女なんて最高じゃねぇか。仰向けで震えながら余韻に浸っている虫娘を見て、俺はこいつが何よりも大切に思えてきた。

「あひ、はぁ、きもち、ヨカッタぁ……」

 俺を見て、お礼を言うかのように虫娘は呟いた。満足してもらえたようで何よりだ。
 だが。俺のムスコは飢えていた。

「……え?」

 俺は虫娘の上にのしかかり、組み敷いた。少し不安そうな顔をする彼女に向かって、舌なめずりをしてみせる。

「今度は俺が愉しむ番だろ?」

 ぱっくり開いた割れ目に、パンパンに張ったムスコを押し当てる。虫娘がそれを理解するよりも早く、一気に腰を叩きつけた。

「ひゅううぅぅん♥」
「うおっ、すげぇ……!」

 挿れた瞬間虫娘は痙攣し、アソコはぎゅっと締まってきた。温かい肉の中でムスコはどんどん締め上げられていく。
 股をおっ広げて涙を流しながら、虫娘は明らかに物欲しそうな目で俺を見ていた。こいつそんなにエロいことが好きか。

「へへっ……ゴハンのお礼をしてやんよ!」

 腰を引き、ずんと突入れる。

「ひぎぃ……♥」

 虫娘は震えながら中を締め付けてくる。さらに二回、三回と腰をぶつけ、アソコの中を掻き回した。弾力のある肉がムスコに抱きつき、その摩擦が最高に気持ちいい。汁でヌルヌルした感触も病み憑きになりそうだ。

「ひゅぁぁ、ひゅいぃ、あぁうぅぅ♥」

 甘ったるい息を吐きながら、虫娘はただただ俺に弄ばれていた。ガキの頃弄くり回したゾウカブトムシはどうなったんだっけ……そんなどうでもいいことを考えながら、ひたすら目の前にいる虫を犯しまくる。こんなエロくて可愛い虫なら尚更弄りたくなるもんだ。

「おらっ、これが嬉しいのかッ!? この変態クカラチャ!」
「ひっぁぁ……♥ イイ、ひぃ、キモチー、イ、イィ!」

 よだれを垂らしながらガクガク震える虫娘。よだれを舐めとってやると、嬉しそうに身をよじらせる。

「こっちも、お前の、ココがっ、すげぇイイぜ……っ!」
「うれ、ひぃ……♥ あひ、ひゅぁぃぃ!」

 虫娘が悶えるたび、その動きでムスコが刺激される。こいつの穴はムスコを逃がすまいとみっしり吸い付き、隙間無く刺激してくるのだ。引き抜くのに力がいるくらいだが、汁のおかげで前後運動はスムーズだ。

 人間の娼婦より何倍もいい。何よりも虫娘の表情がもうトロトロに蕩けていて、それがとてつもなく可愛い。興奮が快感を増やしちまう。
 虫娘は相当感じやすいらしく、またさっきのようにイきそうな気配を見せた。俺の方も可愛い化け物虫とのセックスに、こみ上げてきた物が限界に達していた。

「おらっ、出してやるよ!」

 そう言うと虫娘の触覚がピンと立った。待ち望んでいるかのように。

「ひあぁん、く、クるの? ダす? デる? ダして、ナカに、ひゅぃっ♥ ナカにダしてぇ!」

 叫ぶのと同時に、虫娘の脚は俺の腰にしっかりしがみついてきやがった。ふとももの柔らかさが気持ちいい。それだけじゃなく、アソコの入り口もさらにしっかりと締まってきた。俺の出す物を、一滴も漏らしたくないかのように。

「ナカ、ナカナカ、ナカぁ♥ ナカがイイの!」
「分かってんよ! そら……たんと喰らえや!」

 一際強く締め付けられたのと同時に、俺は彼女の中で盛大に射精した。

「キ……キタぁぁぁ♥ ナカぁぁ♥」

 ぶちまけたドロドロしたやつが、虫娘の中を満たしていくのが分かる。自分でもたまげるくらい出てきやがった。ムスコへの締め付けは甘い気持ちよさを生み続けている。体中の液体が全部吸い出されそうだ。だが俺はこの優しい虫娘が、俺を殺すはずはないと確信できていた。

 俺の精液を、虫娘は貪欲に受け止めてくれていた。よだれをだらだらと流しながら、幸せそうに……。

 ああ、いい気分だ……。






















「う……」

 ……鬱蒼とした山の中で、俺は目を覚ました。すでに日は暮れ、辺りは闇に包まれ始めている。朦朧とした頭で記憶をたぐり、近くに転がっているライフル銃のボルトを引いた。中から空薬莢が弾き出されるのを見て、先ほどこれをぶっ放したことを確信した。それも人間や獣ではない、優しくて可愛いクカラチャ娘に、だ。

 辺りを見回してみても、俺以外には誰もいない。風の音が木々の間を通り抜けるだけだ。あとは俺の下半身がまだ裸なことだけが、あれが夢じゃなかった証拠だろう。もしかしたらマリファナのせいで、幻覚を見て一人でヤっちまったのか。この辺じゃ普通に吸ってるが、吸いすぎておとぎの国から帰って来られなくなった奴もいた。

 だけどまぁ、正体が何だろうといなくなっちまえば関係ない。腹はまた減っちまったが、いい思いができた。それだけで十分って考えよう。

「アディオス、セニョリータ……」

 それだけ呟き、俺はズボンを上げ、立ち上がった。ここが何処か分からないが、とりあえず川を探そう。川を伝って行けば山から降りられるし、人が住んでいるところも見つかる。後はまあ、そこに敵がいねぇことを祈るだけだ。

 また腹が減ってきた。だがとにかく歩くしかねぇ。忌々しいライフルを手に、俺は足を踏み出し、





「ゴハン!」
「うおぉぉっ!?」




 茂みからいきなり飛び出てきたそいつに、情けなく尻餅をついた。

 触覚をゆらゆらさせ、虫娘は楽しそうに笑っていた。そしてその手にはあの果物をどっさり抱えて、鼻に甘い香りが漂ってくる。

「ゴハン、いーっぱい! オイシーよ? タべる?」
「……ははっ!」

 ご馳走を抱えて無邪気にすり寄ってくる虫娘に、俺は噴き出してしまった。こんなに楽しい事ってあるかよ?

「お前、本当にいい奴だ!」
「イイやつ? わたし、イイやつ?」

 鈴のようにコロコロした声を愉しみながら、俺は虫娘の肩を抱き寄せた。抱えている果物を一つもらい、頬張る。甘い。疲れが一瞬で吹き飛んじまう。
 俺は同じように果物をむさぼる、虫娘の顔を掴んだ。不思議そうな顔をした彼女にこちらを向かせ、じっくりとキスをする。

「んみゅっ!?」

 虫娘は驚いたが、抵抗せずに俺の舌を受け入れた。果汁で味付けされた口の中を舐め回し、彼女の舌を絡めとる。華奢な肩を抱きながら、ゆっくり味わった。
 唇が離れると、虫娘は笑っていた。

「あははっ、イマのなーに?」
「仲良くなった印さ」
「シルシ?」

 虫娘の触覚が俺をつついてくる。くすぐったい。

「じゃあわたしも……シルシ!」

 そう言ってキスしてくる彼女。柔らかい唇が触れ、小さな舌が俺の口に入り込んでくる。

 ああ、このまま時間が止まってくれ。
 虫娘の頭を撫でながら、俺は幸せを感じていた。

















………








……
















「んみゅう! きゃはぁ♥」
「ちゅぷ……じゅるっ……じゅるるっ……」
「はぁ……んっ……」

 入り口から光が差し込む、洞穴の中。草でできたベッドの上で、俺は虫娘たちに群がられていた。こいつらは文字通り、俺の娘。俺とあいつの間に産まれた可愛い子供達だ。

「あはぁっ♥ イイ、キモチイイよぉ!」

 やんちゃ盛りの次女・チャロは、俺の上で小さな体を一杯に使い腰を振っている。口の端からよだれを垂らし、母親そっくりの蕩けた顔をしていた。

「んにゅっ……ココ、オイシイの……」

 繋がっている所を、三女のキュカが小さな舌で舐めていた。こいつは舐めるのが大好きで、俺と姉の結合部を丁寧に舐め上げてくれる。これがかなり気持ちいい。時々玉袋を舌先でつついてくるのが可愛かった。

「ふぅ……いっぱいでた」

 洞穴の隅でおしっこを済ませた長女・ラリがすり寄ってきた。母親も含めてトイレのしつけは大変だったが、決められた場所で用を足したときに褒めてやればちゃんと覚える。
 腕枕をしてやると、ラリは嬉しそうに寝転ぶ。素っ裸の股からはさっき中出しした精液が垂れており、この分だとこいつも近いうちに身ごもるだろう。

「うっ! 出るぜ、チャロっ!」
「き、キたぁ、パピのセーエキぃぃぃ♥ んんんっ、きゃはぁぁぁぁっ♥」

 身を震わせる次女の中に、遠慮なく射精する俺。まだ小さい器から少し溢れるくらい、白く濃いのが出ていった。チャロが俺の上にぱたりと倒れると、その股からムスコがつるんと抜けた。
 快感の余韻に浸っているうちに、今度はキュカが股がってくる。ぴったり閉じた、チャロよりももっと小さい割れ目をムスコにくっつけ、無理矢理挿れてしまった。手でぎゅっと握られたような、強い締め付けを満喫する。

「はっぅぅん♥」

 太いのを股に咥え込み、三女はゆっくり、ぺたんぺたんと腰を動かし始めた。そうしている間にチャロは俺の胸板を、ラリは耳を舐めてくれる。三人の娘に奉仕されるこの感覚はたまらねぇ。

 長女のラリが熟し始めてから、親子で交わることをタブーと思わなくなるまで時間はかからなかった。みんな俺をパピ(お父さん)と呼びはするが、平気でヤろうとしてくる。こいつらの母親も娘たちと交わることを勧めるし、そういう生物なのだからと思ってヤり始めると、後はもうどうでもよくなっちまった。
 ヤった後もすぐ勃つようになったのも、いつの頃からだったか。

 まあ、そんなことを考える暇があったら、娘達に中出ししてやった方がいい。その方が喜ばれる。

「おーら、キュカ。一杯出るぞ……!」
「きゃうぅぅぅんんっ♥ デてるっ、パピの、トロトロ、いっぱい、いっぱいぃぃぃ♥」

 狭苦しい子供マンコの中に、俺はまた盛大に射精する。ちっちゃな体から溢れた精液を、ラリとチャロは樹液に集まる虫のように舐めとっていた。キュカは体をビクビクさせ、ポカンとした表情で快楽に浸っている。
 ああ、俺もいい気持ちだ。可愛い娘たちと一緒で。
 翅が生えてる? 触覚がある? だからどうした、それでもメチャクチャ可愛いぞ。

 そして……

「み・ん・な! ゴ・ハ・ン・だ・よ!」

 今日もどっさりと果物を抱えて、娘たちの母親……俺の女房が帰ってくる。満面の笑みを浮かべて。

「いつもありがとうな、ラチャ」
「えへへっ。ゴハン、いっぱい! みんなうれしい!」

 そう言う妻の腹は、ぽっこりと膨らんでいた。もう四人目の卵がお腹にいるのだ。それでも元々すばしっこいこいつは、食料探しがほとんど苦にならないらしい。結果、俺が娘の面倒を見て、こいつが食べ物をとってくることになっているのだ。そして帰ってきた後は、彼女の労をねぎらってみんなで仲良く遊ぶ。

「みんな、お母さんにお礼するからどいてくれ」
「はぁい」

 快感の余韻に浸っていた娘たちが俺の体から離れた。頭は悪くても聞き分けがいいから助かる。
 食べ物を置いて、期待に満ちた眼差しで俺を見つめる妻……ラチャ。こいつらは身ごもっていても、むしろ身ごもっていると尚更積極的にセックスをねだってくる。最初は心配だったが、それでちゃんと三人産まれたんだから、そうやって暮らす生き物ってことだろう。

「ほぉれ、お前の大好きなチンポだぞ」
「うん! イれてイれてっ♥」

 熱のこもった物欲しそうな眼をして、ラチャは足を開いた。もう数えきれないほど中出ししてきたソコは準備万端なようで、すでに液を滴らせてやがる。
 頭を撫でてやりながら、ねっとりしたつゆだくのマンコに挿入していく。

「ひゅぃぃぃ♥ キたぁ……コレ、だいすきぃ♥」

 大きくなったお腹をゆすり、ラチャは悶えた。同時に娘達が群がって、俺とラチャの体をペロペロと舐め始める。この仕草がたまらなく可愛い。こいつらの父親になれてよかったと思う。
 そして何より、ラチャと会えて。

「おらおら! 産ませて、孕ませてっ! 繰り返してやるよ!」
「ひゅぅぅん! ひゅぃぃっ♥ うんっ、いっぱい、いーっぱいうむの! あかちゃんいーっぱい! みんなでアソぶのっ♥」

 ラリの頭を撫でながら、ラチャは蕩けきった顔で笑う。この顔が毎日の楽しみだ。そのままガンガンと腰を振り、いずれ同時に絶頂する。後は眠くなるまで、娘たち共々ヤったり飯を食ったりして過ごす。
 これが今の俺の日常。言うまでもなく幸せだし、戦場に戻る気はない。

 大丈夫、革命はきっと成功しただろう。国はまだまだ大変な時代が続くだろうが、俺ら庶民がブルジョアに負けないってことは証明されたはずだ。
 俺は戦場で何人も敵兵を殺し、味方は助けた。革命への奉公はもう十分しただろう。

「出すぜ……! 赤ん坊の分までな!」
「ひゅぃ、ひゅぅぅぅぃ♥ キたぁ♥ アツいの、イッパイはいってくるぅぅ♥」



 ……ラチャたちと交わるとき、そしてあの甘い果物を食べるとき、時々思う。俺はすでに死んでいて、この森は死後の世界じゃないか、と。
 だがまあ、これでいいかもしれない。クカラチャの翅が生えていても、女房や娘ってのは可愛い。こいつらに囲まれて暮らしているんだから。



 少なくとも、最悪の死に方じゃないだろ?








〜fin〜
12/12/29 08:07更新 / 空き缶号

■作者メッセージ
お読みいただき、誠にありがとうございます。
ラ・クカラチャ(スペイン語でゴキブリの意味)という歌は、昔とある国の革命軍兵士が行軍中に口ずさんだと言われています。
何故ゴキブリなのかは、兵士の服装が黒っぽかったからとか、付き従っていた女性のリュックがゴキブリの翅に見えたからとか、いろいろな説があるようです。

まあとにかく、その辺からインスパイアしました。
あとはまあ、バグちゃんが天使に見えるシチュを書きたくて。

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