ルージュ街の、ある鬼教官
「では、この部屋を使ってください。僕は寝ますので」
ベルアンの町から亡命してきた背信者に、僕はそう言った。
料理人だとか言うその男は、牛の角を生やした女を連れていた。おどおどした態度だが、所詮は男を誘惑して堕落させる魔物だ。やたらとでかい胸が、それを象徴している。
彼らを残して、僕は一般兵士の寝室へと向かう。この城塞には人間と魔物の兵士が混在しており、いたる所に魔物がいる。
このルージュ・シティ自体『人間と魔物の完全な共存』なんていうプロパガンダを掲げているのだ。領主はヴァンパイアだというが、人間を餌としか見ていないくせにふざけた話だ。この街にいる人間は皆、堕落の一途を辿る奴らである。
僕はもちろん、好きでこんな街の私設軍にいるわけではない。僕は教会の信徒であり、仲間にこの街の情報を流すのが仕事だ。ここの軍備は想像以上に強力で、僕はそれらを詳しく分析し、ベルアンにいる同士たちに伝えなければならない。いつか僕ら教団が、この街を浄化するために。
しかし先日、僕との連絡のため忍び込んできた仲間が、この街の兵士に捕らえられた。サバト局とやらに引き渡されたらしいが、僕からベルアンへの連絡手段はこれで途絶えてしまったのである。
だからいずれ、自力で街から脱走するしかない。同士達への手土産として、掴めるだけの情報を掴んだ上で、だ。その目的のために、僕は魔物だらけの穢れた城砦で、背信者になりすまして生活している。
……なんだけど。
「おう、ソラ! こんなところにいたか!」
粗野な、それでいてスカッとするような女声が、廊下に響く。
二本の尖った角、薄緑色の肌、勝気な釣り目。大柄で優雅な肢体を持つ美女がそこにいた。
「……セシリア教官、何か……?」
「便所に起きたら目が冴えちまってな。せっかくだから風呂場で稽古つけてやろうかと思ってよ」
「ええっ!? 今からですか!?」
現在時刻は夜二時を過ぎており、僕も眠くて仕方がない。だがこの人は、僕の都合なんて気にしてはくれない。
「つべこべ言うな! ほら行くぜ!」
彼女は僕の腕を掴み、強引に引っ張る。彼女の腕力に対抗できるわけがないので、大人しく従うしかない。ああ、今晩の安眠は諦めた方がよさそうだ……。
大浴場の更衣室で、セシリア教官は露出度の高い服を脱ぎ捨てた。
彼女はオーガと呼ばれる魔物で、魔力は低いものの直接戦闘においては無類の強さを発揮する。魔物が全て女の姿となった今でも、その凶暴性は衰えていない。
しかしそれでも、裸体の美しさには息をのんでしまう。無駄な肉が一切なく、それでいて出るところは出ている。
「おっ、勃ってるじゃん。準備万端だな」
同じく全裸になった僕のペニスを、セシリア教官が指先でつつく。毎日毎日、強制的に彼女の『訓練』を受けさせられているせいで、その薄緑色の裸体を見るだけで勃起するようになってしまった。
彼女は忌むべき魔物なのに。そして僕は教会の使途なのに。いくら自分に言い聞かせても、体は言うことを聞いてくれなかった。
セシリア教官は教導部隊の所属で、その卓越した戦闘技術を兵士に教えるのが仕事だ。僕はどういうわけか彼女に気に入られ、毎日訓練を受けているのだが、それは戦闘だけでは済まなかった。
浴場に入ると、いつも通りの目を覆いたくなるような光景。城塞にいる人間と魔物とが、思うがままに、淫乱に交わっていた。セックスは子を為すための神聖な行為のはずなのに、それを理解できないくらい堕落した連中なのだ。しかし、僕も……。
「行くぜソラ、状況開始!」
その瞬間、僕はセシリア教官に押し倒された。僕の上に彼女が覆いかぶさり、股を開く。緑色の皮膚に白い陰毛、その奥にあるピンク色の花園が、ぱっくりと開いて僕のペニスを見下ろしている。
「うりゃ!」
片手でペニスの角度を調整しつつ、教官は勢いよく腰を沈める。ずぬっ、と一気に根元までくわえ込まれたかと思うと、きつい締めつけがペニスを襲った。
「くぅっ……!」
彼女の膣はすでに臨戦態勢だったのか、十分濡れていた。
オーガというのは打撃の戦闘のみならず、性的に相手を制圧することに喜びを感じる習性があるらしい。なのでこれは愛からのセックスではなく、僕に対する戦闘訓練なのだ。
セシリア教官が激しく、暴力的に腰を振り始めた。
彼女の太ももやお尻が打ちつけらる。ペニスが膣に摩擦される!
僕も下から突き上げる。しかし彼女はそれを楽しむかのような目つきで、僕を見下ろしていた。
「オラオラどうした!? お前のチンポはその程度かぁ!?」
叱咤され、僕は魔物の膣を必死で突き上げた。腰が痛み始める。
突くたびに、膣がキュッと収縮してペニスを圧迫する。そして彼女も腰を振り、さらにくねらせる。肉と肉が激しくぶつかり合う!
それがたまらなく気持ちいい!
しかし、僕は懸命に射精を堪える。これは訓練であり、勝負なのだ。
「オラ、頑張れ! もっと突き上げろ! 手がお留守になってんぞ、あたしの乳を揉んでみろ!」
「ハイッ、教官!」
僕はセシリア教官の胸に手を伸ばし、言われた通り乳房を掴んだ。
こんな野蛮な魔物でも、母性の象徴たる乳房は柔らかくてモチモチしている。彼女を感じさせるはずが、逆に僕の方が気持ちよくなるくらい。
彼女のピストン運動にうっかり手を滑らせ、僕の両手は乳房から離れそうになった。何とか掴みなおそうとしたが、つまめたのはピンク色の乳首だけだった。
「む……」
と、セシリア教官がわずかに顔を歪ませた。
感じているのか?
なら今がチャンスだ。僕は腰を弾ませ、快感を必死で我慢しつつ、渾身の力を込めて突き上げた。
「あんッ♪」
いきなりだった。初めてセシリア教官が喘ぎ声を上げたのだ。艶やかで透き通った、普段聞かない声。
そしてその時の、彼女の顔。快楽にとろけた、少女のような表情だった。
可愛い。
一瞬だけ、とてつもなく可愛いセシリア教官の姿を見た。
「そうだ、その調子で……」
しかし。
直後に膣が急激に締めつけられ、ペニスを圧迫してきた!
その快感が脳に伝わった瞬間、尿道を精液が迸る!
びゅるっ、どぴゅぴゅっ、びゅくっ……リズミカルに、大量に、子種を膣内に注ぎ込んでしまう。
「あ、出ちまったか」
「うぅ……申し訳ありません」
絶頂の余韻を感じつつ、射精してしまったことを後悔する。
セシリア教官の意外な一面を、僅かな隙間から覗いてしまった。そのせいで我慢が利かなくなり、同時に僕の中で、何かが壊れていく。
いや、彼女に強要されて交わる度に、僕の中にある何かが壊れる感じがしいた。そして今、最も深く、大きく壊された。
「初めてあたしを喘がせたじゃないか! 進歩してるぜ、もう一回ヤるぞ!」
「ハイッ、教官!」
悩む暇も休む暇も、与えられなかった。
セシリア教官が締め付けを強め、勃起を促す。彼女の中でペニスが再び膨張すると、あの暴力的な快楽が再開された。
「うりゃっ、うりゃっ!」
上下、前後、左右。セシリア教官は四方八方に腰を振り、膣内でペニスをこねくり回す!
カリにひだが引っかかる! 甘く、強烈な締め付けと相まって、凄まじい快感が生み出される!
だが僕も必死に突き上げ、乳房を揉みしだき応戦する。彼女が魔物であることも、自分が教会のスパイであることも、どうでもよかった。彼女の喘ぎ声をもう一度聞きたい。あの快感にとろけた表情を見たい。そのことだけを考えて、無我夢中で攻めていた。
気持ちいい。膣のぬめりも、乳房の揉みごたえも、肉のぶつかり合う感触も。
僕は今だけ使命を忘れ、彼女同様の淫獣となる……神よ、お許しくださいッ……!
「うおぉぉぉッ!!」
「くあああああああッ!」
セシリア教官の目も、燃えていた。彼女は淫獣ではなく、狂戦士(バーサーカー)と言うべきかも知れない。戦いに生き、戦いに死す者。恐ろしく、そして美しい存在。
その膣に、全力でペニスを打ち込む。射精を堪えただひたすら。
次第にセシリア教官が表情がゆるんでくる。感じているんだ。もう少し、もう少しで、またあの声が……
「そりゃあ!」
「ッ!?」
突如、膣がぐるんと捩れた!
ペニスがぬめりを帯びた肉に包まれたまま、一緒に捩れ、ひだに擦れていく!
セシリア教官が挿入したまま、体を百八十度回転させたのだ。
「こいつはおまけだ!」
そう叫ぶなり、彼女は僕の肛門に指を突っ込んだ!
「! ああああぁぁーっ!」
腸内を、ほじるように動くセシリア教官の指。
その動きが、その刺激が、魔物の膣に翻弄されるペニスへ、波動の如く伝わる!
排泄をするための器官で、こんな……!
「あ、ああ……! 出るっ!!」
爆発。
そう言ってよいほどの勢いで、僕は射精した。ペニスが激しく脈打ち、先ほどに増して大量の精液が、彼女の膣から逆流するほどに迸った。
「うわ、すげ! どんだけ出してんだよ、そんなに効いたか?」
セシリア教官の声が、妙に遠く聞こえた。快楽という泥沼の中を、僕の意識は漂っている。
このまま漂っていれば、僕は苦しみからも解放されるかもしれない……
「ソラ? おーい、ソラ。……やべ、トンじまったか」
ああ、教官……ちょっとは心配してくれているみたいだ。やっぱり彼女はいい人なんだ。野蛮で滅茶苦茶だけど、凄く自然で、美しくて……。
でも、魔物なんだ。魔物は倒さなければならない。
なぜ? それは淫らで穢れていて、人を堕落させるから。そして堕落した人間と魔物が交われば、子供は魔物しか生まれない。魔物と共存しようとしていては、いつか人間が滅んでしまう。
でも、そうしたら魔物も困るんじゃないか? 人間がいなくなったら、子供を作れないだろ。情欲のはけ口も無くなってしまう。
魔王はどうするつもりなんだろう。その内なんとかするのかな。
「起きろ、ソラ!」
突如、顔に冷水を浴びせかけられた。目の前にかかった霞が一掃され、僕の頭は現実に引き戻される。セシリア教官の手を借りて、風呂場の床から起き上がる。
「ま、今日はこの辺にしておくか」
「は、はい。ご指導ありがとうございました」
教官は僕の背中をぽんぽんと叩き、体を洗って寝るぞと言った。
こんな風に、僕は毎日彼女の訓練と気まぐれに付き合わされる日々を送っている。最初はスパイだとばれないようにと思い、嫌々従っていたが、今はこれが幸せにさえ感じられる。
いつか戦わなくてはならないと分かっていても……この野蛮で戦闘的で、魅力的な魔物を好きになっていく自分を、止められないでいた……
「……ふう」
ベッドの中で、僕は溜め息をつく。一般兵士用ではなく、将校用のふかふかのベッドだ。同じベッドの中で、セシリア教官が寝息を立てている。
風呂を出た後、僕はそのまま彼女の部屋に連れ込まれたのだ。明日はお互い非番なので、朝一番から今日の続きをするとのことだ。僕はへとへとだが、明朝に届くハチミツミルクによって回復させられることだろう。ただのハチミツミルクではなく、魔物の体内で精製された物をブレンドした物で、大いに精力を増強させる。そんな物を飲みたくはなかったが、頑なに拒否しては怪しまれると思って飲んでいるうちに、あの濃厚な甘さが癖になりつつある。
僕はセシリア教官の顔を見た。
交わっているときの激しさなど微塵も感じさせない、子供のような綺麗な寝顔。今の彼女なら、誰が見ても穢れているなどと言えないだろう。本当に安らいだ寝顔だ。
「僕、教団のスパイなんですよ……?」
寝ている彼女に、僕は呟いてみる。
僕はどうなるんだろう。僕がスパイだと分かったら、教官は僕を殺すのだろうか。セシリア教官になら、殺されてもいいかもしれない。そのとき彼女はどんな顔をするのだろう。泣くのだろうか。それとも、何も言わずに一撃で殺すのだろうか。
彼女の肩に、そっと触れてみる。温かい。彼女が生きている証だ。僕と同じように、魔物もまた生きている。特にこの街では、人間も魔物も平和に笑い合っている。いくら教団でも、そんな人達から平和を奪っていいのだろうか。
……もう少し、悩んでみよう。
悩んでいる時間はあまりない。だが結論を急いでは、後できっと後悔する……そんな気がするのだ。
今はまだ、セシリア教官の側にいよう。彼女からもっといろいろ学べば、新しいことが分かるかも知れない。
「おやすみなさい、教官」
僕は目を閉ざし、睡魔に身をゆだねた。
………………
ソラは寝たみたいだな。やれやれ、あたしが狸寝入りしてることにも気づかないか。
あたしはとっくに知ってるさ、お前がスパイだってことくらい。最初に押し倒して犯したとき、お前「神よ、お助けを……」とか呟いてたじゃないか。自分でも覚えてないだろうけど。それに捕まったお前の仲間が全部白状したんだよ。サバト局の連中に何されたんだかしらないが、あんたがスパイだってことも、他にどんな計画を企てているかも、みんな喋ったんだ。
だけど、ね。
あたしはお前を気に入っちまったからな。そりゃお前はヘタレで早漏だけど、一番ヤってて楽しい男はお前なんだよ、ソラ。ヤってて楽しい、それが重要なのさ。
お前があたしの側にいる限り、あたしがお前を守ってやる。そう決めたんだ。ガンガン鍛えてやる。あたしをイかせられるようになるまで、そしてお前が自分の答えを出すまで、な。
どうしても魔物を倒すって言うなら、そのときはあたしが相手になってやる。領主や将軍も、あたしが全部責任を持つなら任せるって言ってくれたからな。全部受け止めてやる。こう見えて度量は大きいんだぜ、オーガってのは。乳のデカさは伊達じゃないのさ。
だから、安心して悩め。
おやすみ、ソラ。
〜end〜
ベルアンの町から亡命してきた背信者に、僕はそう言った。
料理人だとか言うその男は、牛の角を生やした女を連れていた。おどおどした態度だが、所詮は男を誘惑して堕落させる魔物だ。やたらとでかい胸が、それを象徴している。
彼らを残して、僕は一般兵士の寝室へと向かう。この城塞には人間と魔物の兵士が混在しており、いたる所に魔物がいる。
このルージュ・シティ自体『人間と魔物の完全な共存』なんていうプロパガンダを掲げているのだ。領主はヴァンパイアだというが、人間を餌としか見ていないくせにふざけた話だ。この街にいる人間は皆、堕落の一途を辿る奴らである。
僕はもちろん、好きでこんな街の私設軍にいるわけではない。僕は教会の信徒であり、仲間にこの街の情報を流すのが仕事だ。ここの軍備は想像以上に強力で、僕はそれらを詳しく分析し、ベルアンにいる同士たちに伝えなければならない。いつか僕ら教団が、この街を浄化するために。
しかし先日、僕との連絡のため忍び込んできた仲間が、この街の兵士に捕らえられた。サバト局とやらに引き渡されたらしいが、僕からベルアンへの連絡手段はこれで途絶えてしまったのである。
だからいずれ、自力で街から脱走するしかない。同士達への手土産として、掴めるだけの情報を掴んだ上で、だ。その目的のために、僕は魔物だらけの穢れた城砦で、背信者になりすまして生活している。
……なんだけど。
「おう、ソラ! こんなところにいたか!」
粗野な、それでいてスカッとするような女声が、廊下に響く。
二本の尖った角、薄緑色の肌、勝気な釣り目。大柄で優雅な肢体を持つ美女がそこにいた。
「……セシリア教官、何か……?」
「便所に起きたら目が冴えちまってな。せっかくだから風呂場で稽古つけてやろうかと思ってよ」
「ええっ!? 今からですか!?」
現在時刻は夜二時を過ぎており、僕も眠くて仕方がない。だがこの人は、僕の都合なんて気にしてはくれない。
「つべこべ言うな! ほら行くぜ!」
彼女は僕の腕を掴み、強引に引っ張る。彼女の腕力に対抗できるわけがないので、大人しく従うしかない。ああ、今晩の安眠は諦めた方がよさそうだ……。
大浴場の更衣室で、セシリア教官は露出度の高い服を脱ぎ捨てた。
彼女はオーガと呼ばれる魔物で、魔力は低いものの直接戦闘においては無類の強さを発揮する。魔物が全て女の姿となった今でも、その凶暴性は衰えていない。
しかしそれでも、裸体の美しさには息をのんでしまう。無駄な肉が一切なく、それでいて出るところは出ている。
「おっ、勃ってるじゃん。準備万端だな」
同じく全裸になった僕のペニスを、セシリア教官が指先でつつく。毎日毎日、強制的に彼女の『訓練』を受けさせられているせいで、その薄緑色の裸体を見るだけで勃起するようになってしまった。
彼女は忌むべき魔物なのに。そして僕は教会の使途なのに。いくら自分に言い聞かせても、体は言うことを聞いてくれなかった。
セシリア教官は教導部隊の所属で、その卓越した戦闘技術を兵士に教えるのが仕事だ。僕はどういうわけか彼女に気に入られ、毎日訓練を受けているのだが、それは戦闘だけでは済まなかった。
浴場に入ると、いつも通りの目を覆いたくなるような光景。城塞にいる人間と魔物とが、思うがままに、淫乱に交わっていた。セックスは子を為すための神聖な行為のはずなのに、それを理解できないくらい堕落した連中なのだ。しかし、僕も……。
「行くぜソラ、状況開始!」
その瞬間、僕はセシリア教官に押し倒された。僕の上に彼女が覆いかぶさり、股を開く。緑色の皮膚に白い陰毛、その奥にあるピンク色の花園が、ぱっくりと開いて僕のペニスを見下ろしている。
「うりゃ!」
片手でペニスの角度を調整しつつ、教官は勢いよく腰を沈める。ずぬっ、と一気に根元までくわえ込まれたかと思うと、きつい締めつけがペニスを襲った。
「くぅっ……!」
彼女の膣はすでに臨戦態勢だったのか、十分濡れていた。
オーガというのは打撃の戦闘のみならず、性的に相手を制圧することに喜びを感じる習性があるらしい。なのでこれは愛からのセックスではなく、僕に対する戦闘訓練なのだ。
セシリア教官が激しく、暴力的に腰を振り始めた。
彼女の太ももやお尻が打ちつけらる。ペニスが膣に摩擦される!
僕も下から突き上げる。しかし彼女はそれを楽しむかのような目つきで、僕を見下ろしていた。
「オラオラどうした!? お前のチンポはその程度かぁ!?」
叱咤され、僕は魔物の膣を必死で突き上げた。腰が痛み始める。
突くたびに、膣がキュッと収縮してペニスを圧迫する。そして彼女も腰を振り、さらにくねらせる。肉と肉が激しくぶつかり合う!
それがたまらなく気持ちいい!
しかし、僕は懸命に射精を堪える。これは訓練であり、勝負なのだ。
「オラ、頑張れ! もっと突き上げろ! 手がお留守になってんぞ、あたしの乳を揉んでみろ!」
「ハイッ、教官!」
僕はセシリア教官の胸に手を伸ばし、言われた通り乳房を掴んだ。
こんな野蛮な魔物でも、母性の象徴たる乳房は柔らかくてモチモチしている。彼女を感じさせるはずが、逆に僕の方が気持ちよくなるくらい。
彼女のピストン運動にうっかり手を滑らせ、僕の両手は乳房から離れそうになった。何とか掴みなおそうとしたが、つまめたのはピンク色の乳首だけだった。
「む……」
と、セシリア教官がわずかに顔を歪ませた。
感じているのか?
なら今がチャンスだ。僕は腰を弾ませ、快感を必死で我慢しつつ、渾身の力を込めて突き上げた。
「あんッ♪」
いきなりだった。初めてセシリア教官が喘ぎ声を上げたのだ。艶やかで透き通った、普段聞かない声。
そしてその時の、彼女の顔。快楽にとろけた、少女のような表情だった。
可愛い。
一瞬だけ、とてつもなく可愛いセシリア教官の姿を見た。
「そうだ、その調子で……」
しかし。
直後に膣が急激に締めつけられ、ペニスを圧迫してきた!
その快感が脳に伝わった瞬間、尿道を精液が迸る!
びゅるっ、どぴゅぴゅっ、びゅくっ……リズミカルに、大量に、子種を膣内に注ぎ込んでしまう。
「あ、出ちまったか」
「うぅ……申し訳ありません」
絶頂の余韻を感じつつ、射精してしまったことを後悔する。
セシリア教官の意外な一面を、僅かな隙間から覗いてしまった。そのせいで我慢が利かなくなり、同時に僕の中で、何かが壊れていく。
いや、彼女に強要されて交わる度に、僕の中にある何かが壊れる感じがしいた。そして今、最も深く、大きく壊された。
「初めてあたしを喘がせたじゃないか! 進歩してるぜ、もう一回ヤるぞ!」
「ハイッ、教官!」
悩む暇も休む暇も、与えられなかった。
セシリア教官が締め付けを強め、勃起を促す。彼女の中でペニスが再び膨張すると、あの暴力的な快楽が再開された。
「うりゃっ、うりゃっ!」
上下、前後、左右。セシリア教官は四方八方に腰を振り、膣内でペニスをこねくり回す!
カリにひだが引っかかる! 甘く、強烈な締め付けと相まって、凄まじい快感が生み出される!
だが僕も必死に突き上げ、乳房を揉みしだき応戦する。彼女が魔物であることも、自分が教会のスパイであることも、どうでもよかった。彼女の喘ぎ声をもう一度聞きたい。あの快感にとろけた表情を見たい。そのことだけを考えて、無我夢中で攻めていた。
気持ちいい。膣のぬめりも、乳房の揉みごたえも、肉のぶつかり合う感触も。
僕は今だけ使命を忘れ、彼女同様の淫獣となる……神よ、お許しくださいッ……!
「うおぉぉぉッ!!」
「くあああああああッ!」
セシリア教官の目も、燃えていた。彼女は淫獣ではなく、狂戦士(バーサーカー)と言うべきかも知れない。戦いに生き、戦いに死す者。恐ろしく、そして美しい存在。
その膣に、全力でペニスを打ち込む。射精を堪えただひたすら。
次第にセシリア教官が表情がゆるんでくる。感じているんだ。もう少し、もう少しで、またあの声が……
「そりゃあ!」
「ッ!?」
突如、膣がぐるんと捩れた!
ペニスがぬめりを帯びた肉に包まれたまま、一緒に捩れ、ひだに擦れていく!
セシリア教官が挿入したまま、体を百八十度回転させたのだ。
「こいつはおまけだ!」
そう叫ぶなり、彼女は僕の肛門に指を突っ込んだ!
「! ああああぁぁーっ!」
腸内を、ほじるように動くセシリア教官の指。
その動きが、その刺激が、魔物の膣に翻弄されるペニスへ、波動の如く伝わる!
排泄をするための器官で、こんな……!
「あ、ああ……! 出るっ!!」
爆発。
そう言ってよいほどの勢いで、僕は射精した。ペニスが激しく脈打ち、先ほどに増して大量の精液が、彼女の膣から逆流するほどに迸った。
「うわ、すげ! どんだけ出してんだよ、そんなに効いたか?」
セシリア教官の声が、妙に遠く聞こえた。快楽という泥沼の中を、僕の意識は漂っている。
このまま漂っていれば、僕は苦しみからも解放されるかもしれない……
「ソラ? おーい、ソラ。……やべ、トンじまったか」
ああ、教官……ちょっとは心配してくれているみたいだ。やっぱり彼女はいい人なんだ。野蛮で滅茶苦茶だけど、凄く自然で、美しくて……。
でも、魔物なんだ。魔物は倒さなければならない。
なぜ? それは淫らで穢れていて、人を堕落させるから。そして堕落した人間と魔物が交われば、子供は魔物しか生まれない。魔物と共存しようとしていては、いつか人間が滅んでしまう。
でも、そうしたら魔物も困るんじゃないか? 人間がいなくなったら、子供を作れないだろ。情欲のはけ口も無くなってしまう。
魔王はどうするつもりなんだろう。その内なんとかするのかな。
「起きろ、ソラ!」
突如、顔に冷水を浴びせかけられた。目の前にかかった霞が一掃され、僕の頭は現実に引き戻される。セシリア教官の手を借りて、風呂場の床から起き上がる。
「ま、今日はこの辺にしておくか」
「は、はい。ご指導ありがとうございました」
教官は僕の背中をぽんぽんと叩き、体を洗って寝るぞと言った。
こんな風に、僕は毎日彼女の訓練と気まぐれに付き合わされる日々を送っている。最初はスパイだとばれないようにと思い、嫌々従っていたが、今はこれが幸せにさえ感じられる。
いつか戦わなくてはならないと分かっていても……この野蛮で戦闘的で、魅力的な魔物を好きになっていく自分を、止められないでいた……
「……ふう」
ベッドの中で、僕は溜め息をつく。一般兵士用ではなく、将校用のふかふかのベッドだ。同じベッドの中で、セシリア教官が寝息を立てている。
風呂を出た後、僕はそのまま彼女の部屋に連れ込まれたのだ。明日はお互い非番なので、朝一番から今日の続きをするとのことだ。僕はへとへとだが、明朝に届くハチミツミルクによって回復させられることだろう。ただのハチミツミルクではなく、魔物の体内で精製された物をブレンドした物で、大いに精力を増強させる。そんな物を飲みたくはなかったが、頑なに拒否しては怪しまれると思って飲んでいるうちに、あの濃厚な甘さが癖になりつつある。
僕はセシリア教官の顔を見た。
交わっているときの激しさなど微塵も感じさせない、子供のような綺麗な寝顔。今の彼女なら、誰が見ても穢れているなどと言えないだろう。本当に安らいだ寝顔だ。
「僕、教団のスパイなんですよ……?」
寝ている彼女に、僕は呟いてみる。
僕はどうなるんだろう。僕がスパイだと分かったら、教官は僕を殺すのだろうか。セシリア教官になら、殺されてもいいかもしれない。そのとき彼女はどんな顔をするのだろう。泣くのだろうか。それとも、何も言わずに一撃で殺すのだろうか。
彼女の肩に、そっと触れてみる。温かい。彼女が生きている証だ。僕と同じように、魔物もまた生きている。特にこの街では、人間も魔物も平和に笑い合っている。いくら教団でも、そんな人達から平和を奪っていいのだろうか。
……もう少し、悩んでみよう。
悩んでいる時間はあまりない。だが結論を急いでは、後できっと後悔する……そんな気がするのだ。
今はまだ、セシリア教官の側にいよう。彼女からもっといろいろ学べば、新しいことが分かるかも知れない。
「おやすみなさい、教官」
僕は目を閉ざし、睡魔に身をゆだねた。
………………
ソラは寝たみたいだな。やれやれ、あたしが狸寝入りしてることにも気づかないか。
あたしはとっくに知ってるさ、お前がスパイだってことくらい。最初に押し倒して犯したとき、お前「神よ、お助けを……」とか呟いてたじゃないか。自分でも覚えてないだろうけど。それに捕まったお前の仲間が全部白状したんだよ。サバト局の連中に何されたんだかしらないが、あんたがスパイだってことも、他にどんな計画を企てているかも、みんな喋ったんだ。
だけど、ね。
あたしはお前を気に入っちまったからな。そりゃお前はヘタレで早漏だけど、一番ヤってて楽しい男はお前なんだよ、ソラ。ヤってて楽しい、それが重要なのさ。
お前があたしの側にいる限り、あたしがお前を守ってやる。そう決めたんだ。ガンガン鍛えてやる。あたしをイかせられるようになるまで、そしてお前が自分の答えを出すまで、な。
どうしても魔物を倒すって言うなら、そのときはあたしが相手になってやる。領主や将軍も、あたしが全部責任を持つなら任せるって言ってくれたからな。全部受け止めてやる。こう見えて度量は大きいんだぜ、オーガってのは。乳のデカさは伊達じゃないのさ。
だから、安心して悩め。
おやすみ、ソラ。
〜end〜
12/03/08 00:09更新 / 空き缶号