後編
「では、この部屋を使ってください。僕は寝ますので」
俺と同い年くらいの兵士が、俺達にそう言った。
「ああ、ありがとよ……」
「あ、ありがとうございます」
俺達が礼を言うと、兵士は欠伸をしながら去っていく。すでに深夜なのだから、眠いのは当然だろう。
俺とミンスは顔を見合わせる。彼女が「ごめんなさい」と呟いた。
「謝ること無いって」
「で、でもっ……」
ミンスは泣きそうな目で、じっと俺を見つめていた。濃紺の綺麗な瞳だが、こんな顔で見つめられたくない。
「わ、私のせいでコルバさんは、ま、町いられなくなったし、そ、それに私、コルバさんを……」
……町から逃げ出した後、俺はひたすら西を目指した。ルージュ・シティの詳しい場所など知らなかったが、それしかなかった。俺の荷車は魔力で移動を補助するパワーアシスト式荷車という代物で、重い荷物を積んで走っても殆ど疲労しない優れものだ。旅の魔法使いが溜まったツケの代わりにと置いていった物なんだが、重宝している。
とはいえ暴走したミンスに散々搾られた後に、荷車を引いて全力疾走したのだから、いくら体力のある俺でも相当疲労した。丘を越えるときにルージュ・シティの兵士達(夜戦の訓練をしていたらしい)に出会うことができなければ、何処かで倒れていたかもしれない。
そして今、ひとまず『亡命者』扱いで、街の城塞に泊めてもらうことになったのだ。魔物と人間の完全共存を掲げているのは伊達じゃないようで、兵士達も人間の男だけでなく、隊長がトカゲの尻尾の生えた美女だったり、馬に跨った美女だと思ったのが下半身が馬の魔物だったり、衛生兵に至っては全身が半透明の蒼い粘液でできた女性だったり、多種多様だった。
「ミンス、死んだ親父が俺にこう言ったんだ。店で飯を食ってくれた人を、他人だと思うな……ってな」
俺はミンスの頭をそっと撫でた。牛の耳がピクピクと動く。
「俺は身内を助けただけだ、当たり前のことをしたんだよ」
「で、でも私は、こ、コルバさんを……」
「それは……どうせ乳揉んだ仲じゃないか」
彼女が言うには、ミノタウロスの仲間は赤い物を見続けると興奮して暴走するらしい。あの騎士が着ていた鎧が原因だったみたいだ。
……牛は色盲だから、本当は赤を見ても反応はないって聞いたことがあるが……まあ、魔物は別だよな。
「こうなった以上は一蓮托生だろ? この街で一緒に暮らそうぜ」
「こ、コルバさん……」
そのとき、背後につかつかという足音が聞こえた。
振り向くと、そこに立っていたのは顔に包帯を巻いた不気味な男。ミンスが俺の背後に隠れる。
「おっと、お邪魔したか?」
意外と気さくそうな声だった。包帯の合間から覘く目も、何処か優しげだ。
「あんた、ここの兵隊じゃ無さそうだな?」
「ああ、一昨日来た者だ。市民権をもらえるまで時間がかかってな、まだここに寝泊まりさせてもらっている」
その言葉を聞いて、俺はふと不安を覚えた。
「俺たちも今日夜逃げしてきたんだけど、市民権って簡単にはもらえないのか?」
「いや、俺は一人だから、教会のスパイじゃないか調査されててな。そっちは魔物と夫婦だから、すぐに受け入れてもらえるだろう」
「ふ、夫婦……」
ミンスの顔が真っ赤になる。今鏡を見たらまた暴走するんじゃないか?
「魔物と共存しているような街なら、俺の容姿についてとやかく言われることも無いと思ってきたが……まあゆっくり市民権が出るのを待つさ。……俺はエーリッヒ=クラウ。ケチなギター弾きだ」
「コルバ=ラグネッティ。こいつはミンス。ところであんた、こんな時間に何を?」
「水を飲んできたんだ。立ち入り禁止区域以外は自由に歩いていいことになってる。あんたらも風呂でも浴びてきたらどうだ? 大浴場はまだ開いてるぞ」
それだけ言うと、そいつは「おやすみ」と手を挙げて、俺たちの隣の部屋へ入っていく。
俺もミンスも相当汚れているので、言われたように大浴場に行くことにした。廊下を歩いている最中、ミンスは幸せそうな顔で「夫婦……夫婦だなんて……♪」と呟き続けていた。そんなに嬉しかったのか。
これからこの街でやっていけるか、不安もある。だがミンスが側にいてくれれば、勇気が出る気がする。市民権を得られたら、しばらく屋台か何かで営業して、金が貯まったら店を建てよう。できれば前と同じ内装で……。
そんなことを考えながら大浴場についたが、ここで一つ問題が発生した。
男女の兵士がいる城塞なら、当然男湯と女湯があると考えていたのだが、これが大違い。混浴しか無いのだ。しかしミンスが気にすることなく中に入っていくので、俺も続いた。まあ今更気兼ねする必要はないだろうし、彼女のオールヌードは勿論見たいからな。
服を脱ぐと、ミンスの生のおっぱいが露わになった。その美しさに思わず見とれ、脱衣に時間がかかった。
そして浴場に入ると、深夜なのにかなり賑わっていた。
「ああん! そうだ、もっと激しく! 乱暴に!」
「あう……気持ちいい……もっとシてぇ……」
「ううっ、もう……もう出る……!!」
「オラオラどうした!? テメェのチンポはその程度かぁ!?」
「もっと……もっと……」
「ふふっ、石鹸でぬるぬるで、気持ちいいでしょ?」
……おい。
この浴場は何のための場所だ?
洗い場で男女(人間♂×魔物♀)が交わっていた。
右を見ればトカゲの女が、屈強な男のペニスで穴を突かれてよがっている。……が。
「ああっ、気持ちいい! もっと乱暴に突け!」
「あうう……もっと、もっとほじってくれ! 奥まで指を突っ込んでくれぇ!」
……彼女は男のアナルに細い指を突っ込んでほじくっており、激しく喘がせていた。どっちが責めでどっちが受けなんだ?
左を見れば、首のないグラマラスな女の体が少年兵と体を洗いあっていた。その傍らには彼女のものらしい美女の首が転がっており、快感に喘いでいる。
首が甘ったるい声でキスをせがむと、少年はその首を拾い上げて要望に答えた。
前方ではうす緑色の肌をした大柄な女が、俺と同年齢くらいの青年と騎乗位で激しく交わっている。女の頭にはミンスの物より長い角があり、嗜虐的な笑みを浮かべている。
「オラ、頑張れ! もっと突き上げろ! 手がお留守になってんぞ、あたしの乳を揉んでみろ!」
「ハイッ、教官!」
教官なのかよ。ってよく見たらあの男、俺を案内してくれた兵士じゃないか。
寝るんじゃなかったのかよ、浴場で女教官と別の夜間訓練かよ。
「あんッ! そうだ、その調子で……あ、出ちまったか」
「うう……申し訳ありません」
「初めてあたしを喘がせたじゃないか! 進歩してるぜ、もう一回ヤるぞ!」
「ハイッ、教官!」
……もう勝手にしやがれ。
さらにその奥じゃ、下半身が蛇の美女が男の体に巻き付いてイチャついてるし。
ここは軍事施設じゃないのかよ?
「うわ〜、み、皆さん凄いですね〜」
……とりあえず座ろう。
俺が空いている椅子に腰掛けると、ミンスは俺の膝の上に、俺と向かい合う姿勢で座ってきた。
そしてそのまま、巨乳を俺にギュッと押し当ててくる。
「こ、コルバさん……」
「ミンスっ!」
周りの状態が状態だ。飛び交う嬌声と肉のはじける音が、俺の理性も疲労も吹き飛ばした。
俺は彼女の乳首に口をつけ、しゃぶりはじめた。
「やん……わ、私、お乳出ないんですよぅ〜」
それでもいい。
ちょんと勃った乳首を、舌先でクニクニする。じっくり味わう。
とても安らぐ。母乳が出ないくらいなんだ! この安心感さえあれば十分だ!
「あンっ、ち、乳首気持ちいい……♪」
彼女の背中に手を回し、滑らかな肌を撫でる。
幸せだ。周りの雑音が聞こえなくなるほど、俺の意識はミンスに集中していた。
「あれ……んっ、な、何か変……」
ふいに、舌先に甘くて温かい液体が触れた。牛乳に似た、しかしそのまろやかさとコクは、普通の牛乳とは比べものにならないほど上質だ。
再び乳首を吸ってみると、その液体が少しずつしみ出してきた。
「お、お乳が出てる……? お乳が、で、出てますぅ〜」
ミンスが歓喜の声を挙げた。
何故急に出るようになったかなんて気にしていられない。ひたすら味わう。美味い。
飲んでいるうちに、体力が少しずつ回復していく。
と、急に乳首が口から離された。湿気の多い浴場の空気が口に入ってくる。
「あ、あの、後でまた、の、飲んでください」
そう言って、ミンスは胸を俺の下半身へ移動させる。
「今は……き、気持ちよくなってください〜」
むにゅっと、柔らかい物が俺のナニを挟みこむ!
そしてそのまま、両側から押しつけたり、上下に動かしたりしてくる! 押しつけてきたときなんて、俺の肉棒を完全に覆い隠すくらいにおっぱいが盛り上がる!
「こ、こんなのどうですか〜?」
ミンスは手で石鹸を泡立て、それを胸の谷間に垂らす。そして再び、肉棒を挟みこんだ!
柔らかさにぬるついた感触が加わって……!
「ううっ、ミンス、気持ちいい!」
ひとたまりもなかった。
彼女の胸の中で、俺の欲望が噴出した。谷間から飛び出して、彼女の顔にまで白濁液が付着する。
「こ、コルバさんのミルク〜♪」
ミンスがうっとりした表情をする。
出したばかりだというのに、俺の分身は胸の谷間で再び勃起していた。
「お、お乳の効果ですね〜」
「ミンス、俺……我慢できそうにない」
「わ、私もです〜」
ミンスが立ち上がって、俺の下半身をまたぐ。白黒の体毛で覆われた彼女の股関部分に、人間同様最も大事な所があった。
片手で肉棒の角度を調節し、一気に挿入してくる!
「ああああぁン!」
「ミンス……すげぇ……!」
気持ちいい。
ミンスの蜜壺の中で、柔らかいヒダが肉棒にびっしりと食い込んでくる!
まるで彼女が腰を揺さぶる度に、全ての神経がくすぐられているみたいだ!
「こ、コルバさんのおちんちん、長くて、き、気持ちイイところをコンコン、コンコン
してます〜っ♪」
「ミンス、一緒に、な」
「は、はい〜♪」
俺たちはどんどん高まっていく。
ミンスのおっぱいを揉みながらその媚態を味わう!
「やば……もう出る!」
「あ、あぁ……イっちゃう……♪」
「ミンス、一緒に……ううっ!」
「こ、こ、コルバさ、ああぁあぁぁぁん!」
勢いよく、精液が肉棒の中を通って迸る。
ミンスも盛大に潮を吹きながら、きゅっと締め付けてきた。おかげで子宮の奥深くへ放出した精液は、ほとんどこぼれてこない。全て、彼女が受け止めたのだ。
対面座位のまま脱力し、余韻を味わう俺達。彼女の柔らかい体を抱きながら、俺はこれからのことに思いを馳せた……
……数日後。
ミンスの出すミルクの量はどんどん増えていき、他のホルスタウロスと変わらないまでになった。急に出るようになった理由は、どうやら二つあるらしい。
まず、俺の薬草スープ。あの中には母乳がよく出るようになる薬草も数種類入っており、それらはミンスも試したことのある薬草らしいが、俺の調理によって効果が高まったのだと思う。一年間研究した甲斐があった。
もう一つは、暴走して俺と性交したことが刺激となり、彼女の母乳を作る器官が呼び起こされたのではないかと、街の医者は言っていた。あれから毎晩交わっているが、彼女に赤い物を見せないように注意している。
そして、今。
「これより、開店いたしまーす」
屋台の前に並ぶ、長蛇の列。人間と魔物のカップルが多く、浴場で見かけた鬼教官もあの若い兵士を連れて並んでいる。
鍋から熱々のシチューをよそり、ミンスがお客の前に出していく。薬草スープにミンスのミルクを足して作ったシチューだ。元々の美容効果などに加え、ホルスタウロスのミルクによる滋養強壮の効果から、男女で食べに来るお客が多い。味の方も絶対の自信があり、現に毎日屋台にはお客が一杯だ。
あのエーリッヒというギター弾きも市民権を得て演奏活動をしており、俺とも友達になった。
「大盛りでくれ。女房には猫舌用で」
「は、は〜い」
ミンスも俺の傍らで注文を受けたり、代金を受け取ったりしている。今は市民権を得てアパートに住み、屋台で営業しているわけだが、この分なら自分の店を建てるのもそう遠くは無さそうだ。ただ、さっき言ったように毎晩ミンスとあんなことやこんなことをしているため、彼女が身籠もる日も遠くはないだろう。どっちが早いかの競争だ。
「こ、コルバさん……」
ミンスが俺の後ろにまわり、胸を押し当ててきた。
この感触を味わう度に、自分が一人ではないことを実感する。人と魔物が入り乱れるこの街で、たった一人の掛け替えのない恋人と共に、シチューを売って暮らしているのだ。
俺はお客から見えないよう、後ろ手でその胸を揉んだ。
……end
俺と同い年くらいの兵士が、俺達にそう言った。
「ああ、ありがとよ……」
「あ、ありがとうございます」
俺達が礼を言うと、兵士は欠伸をしながら去っていく。すでに深夜なのだから、眠いのは当然だろう。
俺とミンスは顔を見合わせる。彼女が「ごめんなさい」と呟いた。
「謝ること無いって」
「で、でもっ……」
ミンスは泣きそうな目で、じっと俺を見つめていた。濃紺の綺麗な瞳だが、こんな顔で見つめられたくない。
「わ、私のせいでコルバさんは、ま、町いられなくなったし、そ、それに私、コルバさんを……」
……町から逃げ出した後、俺はひたすら西を目指した。ルージュ・シティの詳しい場所など知らなかったが、それしかなかった。俺の荷車は魔力で移動を補助するパワーアシスト式荷車という代物で、重い荷物を積んで走っても殆ど疲労しない優れものだ。旅の魔法使いが溜まったツケの代わりにと置いていった物なんだが、重宝している。
とはいえ暴走したミンスに散々搾られた後に、荷車を引いて全力疾走したのだから、いくら体力のある俺でも相当疲労した。丘を越えるときにルージュ・シティの兵士達(夜戦の訓練をしていたらしい)に出会うことができなければ、何処かで倒れていたかもしれない。
そして今、ひとまず『亡命者』扱いで、街の城塞に泊めてもらうことになったのだ。魔物と人間の完全共存を掲げているのは伊達じゃないようで、兵士達も人間の男だけでなく、隊長がトカゲの尻尾の生えた美女だったり、馬に跨った美女だと思ったのが下半身が馬の魔物だったり、衛生兵に至っては全身が半透明の蒼い粘液でできた女性だったり、多種多様だった。
「ミンス、死んだ親父が俺にこう言ったんだ。店で飯を食ってくれた人を、他人だと思うな……ってな」
俺はミンスの頭をそっと撫でた。牛の耳がピクピクと動く。
「俺は身内を助けただけだ、当たり前のことをしたんだよ」
「で、でも私は、こ、コルバさんを……」
「それは……どうせ乳揉んだ仲じゃないか」
彼女が言うには、ミノタウロスの仲間は赤い物を見続けると興奮して暴走するらしい。あの騎士が着ていた鎧が原因だったみたいだ。
……牛は色盲だから、本当は赤を見ても反応はないって聞いたことがあるが……まあ、魔物は別だよな。
「こうなった以上は一蓮托生だろ? この街で一緒に暮らそうぜ」
「こ、コルバさん……」
そのとき、背後につかつかという足音が聞こえた。
振り向くと、そこに立っていたのは顔に包帯を巻いた不気味な男。ミンスが俺の背後に隠れる。
「おっと、お邪魔したか?」
意外と気さくそうな声だった。包帯の合間から覘く目も、何処か優しげだ。
「あんた、ここの兵隊じゃ無さそうだな?」
「ああ、一昨日来た者だ。市民権をもらえるまで時間がかかってな、まだここに寝泊まりさせてもらっている」
その言葉を聞いて、俺はふと不安を覚えた。
「俺たちも今日夜逃げしてきたんだけど、市民権って簡単にはもらえないのか?」
「いや、俺は一人だから、教会のスパイじゃないか調査されててな。そっちは魔物と夫婦だから、すぐに受け入れてもらえるだろう」
「ふ、夫婦……」
ミンスの顔が真っ赤になる。今鏡を見たらまた暴走するんじゃないか?
「魔物と共存しているような街なら、俺の容姿についてとやかく言われることも無いと思ってきたが……まあゆっくり市民権が出るのを待つさ。……俺はエーリッヒ=クラウ。ケチなギター弾きだ」
「コルバ=ラグネッティ。こいつはミンス。ところであんた、こんな時間に何を?」
「水を飲んできたんだ。立ち入り禁止区域以外は自由に歩いていいことになってる。あんたらも風呂でも浴びてきたらどうだ? 大浴場はまだ開いてるぞ」
それだけ言うと、そいつは「おやすみ」と手を挙げて、俺たちの隣の部屋へ入っていく。
俺もミンスも相当汚れているので、言われたように大浴場に行くことにした。廊下を歩いている最中、ミンスは幸せそうな顔で「夫婦……夫婦だなんて……♪」と呟き続けていた。そんなに嬉しかったのか。
これからこの街でやっていけるか、不安もある。だがミンスが側にいてくれれば、勇気が出る気がする。市民権を得られたら、しばらく屋台か何かで営業して、金が貯まったら店を建てよう。できれば前と同じ内装で……。
そんなことを考えながら大浴場についたが、ここで一つ問題が発生した。
男女の兵士がいる城塞なら、当然男湯と女湯があると考えていたのだが、これが大違い。混浴しか無いのだ。しかしミンスが気にすることなく中に入っていくので、俺も続いた。まあ今更気兼ねする必要はないだろうし、彼女のオールヌードは勿論見たいからな。
服を脱ぐと、ミンスの生のおっぱいが露わになった。その美しさに思わず見とれ、脱衣に時間がかかった。
そして浴場に入ると、深夜なのにかなり賑わっていた。
「ああん! そうだ、もっと激しく! 乱暴に!」
「あう……気持ちいい……もっとシてぇ……」
「ううっ、もう……もう出る……!!」
「オラオラどうした!? テメェのチンポはその程度かぁ!?」
「もっと……もっと……」
「ふふっ、石鹸でぬるぬるで、気持ちいいでしょ?」
……おい。
この浴場は何のための場所だ?
洗い場で男女(人間♂×魔物♀)が交わっていた。
右を見ればトカゲの女が、屈強な男のペニスで穴を突かれてよがっている。……が。
「ああっ、気持ちいい! もっと乱暴に突け!」
「あうう……もっと、もっとほじってくれ! 奥まで指を突っ込んでくれぇ!」
……彼女は男のアナルに細い指を突っ込んでほじくっており、激しく喘がせていた。どっちが責めでどっちが受けなんだ?
左を見れば、首のないグラマラスな女の体が少年兵と体を洗いあっていた。その傍らには彼女のものらしい美女の首が転がっており、快感に喘いでいる。
首が甘ったるい声でキスをせがむと、少年はその首を拾い上げて要望に答えた。
前方ではうす緑色の肌をした大柄な女が、俺と同年齢くらいの青年と騎乗位で激しく交わっている。女の頭にはミンスの物より長い角があり、嗜虐的な笑みを浮かべている。
「オラ、頑張れ! もっと突き上げろ! 手がお留守になってんぞ、あたしの乳を揉んでみろ!」
「ハイッ、教官!」
教官なのかよ。ってよく見たらあの男、俺を案内してくれた兵士じゃないか。
寝るんじゃなかったのかよ、浴場で女教官と別の夜間訓練かよ。
「あんッ! そうだ、その調子で……あ、出ちまったか」
「うう……申し訳ありません」
「初めてあたしを喘がせたじゃないか! 進歩してるぜ、もう一回ヤるぞ!」
「ハイッ、教官!」
……もう勝手にしやがれ。
さらにその奥じゃ、下半身が蛇の美女が男の体に巻き付いてイチャついてるし。
ここは軍事施設じゃないのかよ?
「うわ〜、み、皆さん凄いですね〜」
……とりあえず座ろう。
俺が空いている椅子に腰掛けると、ミンスは俺の膝の上に、俺と向かい合う姿勢で座ってきた。
そしてそのまま、巨乳を俺にギュッと押し当ててくる。
「こ、コルバさん……」
「ミンスっ!」
周りの状態が状態だ。飛び交う嬌声と肉のはじける音が、俺の理性も疲労も吹き飛ばした。
俺は彼女の乳首に口をつけ、しゃぶりはじめた。
「やん……わ、私、お乳出ないんですよぅ〜」
それでもいい。
ちょんと勃った乳首を、舌先でクニクニする。じっくり味わう。
とても安らぐ。母乳が出ないくらいなんだ! この安心感さえあれば十分だ!
「あンっ、ち、乳首気持ちいい……♪」
彼女の背中に手を回し、滑らかな肌を撫でる。
幸せだ。周りの雑音が聞こえなくなるほど、俺の意識はミンスに集中していた。
「あれ……んっ、な、何か変……」
ふいに、舌先に甘くて温かい液体が触れた。牛乳に似た、しかしそのまろやかさとコクは、普通の牛乳とは比べものにならないほど上質だ。
再び乳首を吸ってみると、その液体が少しずつしみ出してきた。
「お、お乳が出てる……? お乳が、で、出てますぅ〜」
ミンスが歓喜の声を挙げた。
何故急に出るようになったかなんて気にしていられない。ひたすら味わう。美味い。
飲んでいるうちに、体力が少しずつ回復していく。
と、急に乳首が口から離された。湿気の多い浴場の空気が口に入ってくる。
「あ、あの、後でまた、の、飲んでください」
そう言って、ミンスは胸を俺の下半身へ移動させる。
「今は……き、気持ちよくなってください〜」
むにゅっと、柔らかい物が俺のナニを挟みこむ!
そしてそのまま、両側から押しつけたり、上下に動かしたりしてくる! 押しつけてきたときなんて、俺の肉棒を完全に覆い隠すくらいにおっぱいが盛り上がる!
「こ、こんなのどうですか〜?」
ミンスは手で石鹸を泡立て、それを胸の谷間に垂らす。そして再び、肉棒を挟みこんだ!
柔らかさにぬるついた感触が加わって……!
「ううっ、ミンス、気持ちいい!」
ひとたまりもなかった。
彼女の胸の中で、俺の欲望が噴出した。谷間から飛び出して、彼女の顔にまで白濁液が付着する。
「こ、コルバさんのミルク〜♪」
ミンスがうっとりした表情をする。
出したばかりだというのに、俺の分身は胸の谷間で再び勃起していた。
「お、お乳の効果ですね〜」
「ミンス、俺……我慢できそうにない」
「わ、私もです〜」
ミンスが立ち上がって、俺の下半身をまたぐ。白黒の体毛で覆われた彼女の股関部分に、人間同様最も大事な所があった。
片手で肉棒の角度を調節し、一気に挿入してくる!
「ああああぁン!」
「ミンス……すげぇ……!」
気持ちいい。
ミンスの蜜壺の中で、柔らかいヒダが肉棒にびっしりと食い込んでくる!
まるで彼女が腰を揺さぶる度に、全ての神経がくすぐられているみたいだ!
「こ、コルバさんのおちんちん、長くて、き、気持ちイイところをコンコン、コンコン
してます〜っ♪」
「ミンス、一緒に、な」
「は、はい〜♪」
俺たちはどんどん高まっていく。
ミンスのおっぱいを揉みながらその媚態を味わう!
「やば……もう出る!」
「あ、あぁ……イっちゃう……♪」
「ミンス、一緒に……ううっ!」
「こ、こ、コルバさ、ああぁあぁぁぁん!」
勢いよく、精液が肉棒の中を通って迸る。
ミンスも盛大に潮を吹きながら、きゅっと締め付けてきた。おかげで子宮の奥深くへ放出した精液は、ほとんどこぼれてこない。全て、彼女が受け止めたのだ。
対面座位のまま脱力し、余韻を味わう俺達。彼女の柔らかい体を抱きながら、俺はこれからのことに思いを馳せた……
……数日後。
ミンスの出すミルクの量はどんどん増えていき、他のホルスタウロスと変わらないまでになった。急に出るようになった理由は、どうやら二つあるらしい。
まず、俺の薬草スープ。あの中には母乳がよく出るようになる薬草も数種類入っており、それらはミンスも試したことのある薬草らしいが、俺の調理によって効果が高まったのだと思う。一年間研究した甲斐があった。
もう一つは、暴走して俺と性交したことが刺激となり、彼女の母乳を作る器官が呼び起こされたのではないかと、街の医者は言っていた。あれから毎晩交わっているが、彼女に赤い物を見せないように注意している。
そして、今。
「これより、開店いたしまーす」
屋台の前に並ぶ、長蛇の列。人間と魔物のカップルが多く、浴場で見かけた鬼教官もあの若い兵士を連れて並んでいる。
鍋から熱々のシチューをよそり、ミンスがお客の前に出していく。薬草スープにミンスのミルクを足して作ったシチューだ。元々の美容効果などに加え、ホルスタウロスのミルクによる滋養強壮の効果から、男女で食べに来るお客が多い。味の方も絶対の自信があり、現に毎日屋台にはお客が一杯だ。
あのエーリッヒというギター弾きも市民権を得て演奏活動をしており、俺とも友達になった。
「大盛りでくれ。女房には猫舌用で」
「は、は〜い」
ミンスも俺の傍らで注文を受けたり、代金を受け取ったりしている。今は市民権を得てアパートに住み、屋台で営業しているわけだが、この分なら自分の店を建てるのもそう遠くは無さそうだ。ただ、さっき言ったように毎晩ミンスとあんなことやこんなことをしているため、彼女が身籠もる日も遠くはないだろう。どっちが早いかの競争だ。
「こ、コルバさん……」
ミンスが俺の後ろにまわり、胸を押し当ててきた。
この感触を味わう度に、自分が一人ではないことを実感する。人と魔物が入り乱れるこの街で、たった一人の掛け替えのない恋人と共に、シチューを売って暮らしているのだ。
俺はお客から見えないよう、後ろ手でその胸を揉んだ。
……end
12/02/25 11:11更新 / 空き缶号
戻る
次へ