【論文】獣人型魔物娘の臀部の進化と秘められた魅力について
女性の胸は大小どちらが良いか、などという議論は取るに足らないものである。
ことに魔物にとっては(無論、これは現魔王陛下即位以降の所謂『魔物娘』のみを指してのことである)。何故ならば大きさに関係なく、それは紛れもなく女性の乳房であり、ただそれだけで価値あるものだからである。当然ながらそれぞれ好みはあるが、『女性の塊』とも言える魔物と結婚した男性であれば私の主張に一定の理解を示してくれるはずだ。現在、教団から最重要危険人物として追われながらも世界を旅し、『魔物娘図鑑』を記している我が師もきっとそう仰るだろう。
ただし本論文のテーマは『魔物たちの臀部』、すなわちお尻についてなので、胸の話は二の次だ。
不思議なことに、胸の大小についての不毛な議論が絶えない一方で、お尻のサイズについてそうした議論が行われることは滅多に無い。確かに乳房は母性の象徴であり、実用的な意味もあるため、女性の体の部位としてはお尻より重要度は高いかもしれない。ことに魔物の乳房と言えば、男の性欲と食欲、二つの意味で男の飢えを癒すホルスタウロスの巨乳だったり、その背徳感で大勢の真面目人間に道を踏み外させるバフォメットやアリスの貧乳だったりと、多種多様かついずれも抗いがたい魅力を持っている。
しかし、魔物のお尻の魅力が胸の魅力に劣るなどということが果たしてあるだろうか?
答えは否である。
師から破門を言い渡された後、たまたま迷い込んだ不思議の国でそれを思い知った。小生は教団のスパイと勘違いされ、トランパートに捕らえられた。彼女の可愛らしいウィンクと共に放たれた「貴方を逮捕するので、大人しくついてきてくださいね」という言葉に思わず「はい」と答えた結果である。
その後、小生が味わったのは彼女曰く『地獄の拷問』であった。彼女のふっくらとした、食べごろの桃を思わせる丸いお尻が顔面に、次いで股間にのしかかってきたのである。先に言っておくが、疑いは逮捕後三分で解けた。彼女は私の持っていた書きかけの論文『魔物娘のおへその必要性とその窪みの愛らしさについて』を興味深げに読み、とても面白いと褒めてくれた。が、拷問は自分の趣味だからやると宣言された。
彼女の臀部の弾力と柔らかさに翻弄され、その桃を精液で真っ白に染め上げることになった。その後、肛門のきつい締め付けによって残りの精液も搾り出された。
その後、彼女……トランパート『クラブのエース』、イルティナの家に居候しつつ、不思議の国で多くの魔物たちを観察しているうちに、ますますお尻への興味は深まった。結局のところ、この不思議の国でも話題に上るのは尻より胸である。とはいえお尻へのフェティズムを持つ者は多く、そうした人々から手助けを受けたからこそこの研究ができた。彼らの他には丁度ヒマを持て余していたハートの女王、そして何よりイルティナから多くの協力を得たので、ここで感謝を申し上げる。
さて、前置きが長くなったが、今回記した研究レポートは二つ。どちらも獣人型魔物娘の臀部に焦点を当てている。まず何を言いたいかと言えば、上記の乳房の多様性に負けず劣らず、魔物のお尻もまた様々な進化を遂げているということだ。魔物の肉体や生態は汲めども尽きぬ謎の泉であり、その全てを書き記せるわけではない。しかし小生の今回の研究によって、多くの魔物とその夫が普段見逃しがちな『お尻』の奥深さを知ることとなり、その夫婦生活はより明るいものとなるであろう。
研究レポート1
獣人型魔物娘(ケンタウロス属を除く)の臀部
不思議の国で1週間ほど過ごしたとき、小生はあることに気づいた。イルティナと花畑で青姦をしているとき、近くで同じように楽しんでいたカップルたちをちらりと見た。最も魔物らしいとされる騎上位の他に、正上位、後背位など、皆様々な体勢でセックスを楽しんでいた。
しかしその中で、後背位で交わる魔物娘にはチェシャ猫やマーチヘアといった獣人型が非常に多かったのである。
彼女たちは動物の要素を受け継いでいるため、本能的にその姿勢を好むというのが一般論だ。だが小生はそれだけではないと思った。彼女たちを後ろから犯す男たちの興奮ぶりからだ。その息の荒さ、無我夢中で相手の臀部を撫で回す手の動きなどから、極度に発情しているのが伺えた。
折しもイルティナの拷問によって、お尻の持つ力に気付き始めていた矢先である。小生の獣人型魔物娘のお尻には特別な力があるのではないか、という仮説が思い浮かんだ。
イルティナにそれを打ち明けると、彼女は私のペニスをお尻の谷間で一度射精させてから、快活にこう答えた。「じゃあ、自分で確かめてみたらいいんじゃない?」と。
彼女が連れて行ってくれたのは、友人のマーチヘアの家だった。目の中にハートマークが多数泳ぎ、股間からは汁が滴っている、典型的な独身のマーチヘアだった。小生が「はじめまして」と言ったのを、彼女は「はじめまして、いきなりですが貴女のお尻をよく調べたいのでセックスしてください」という意味に受け取ったようだ。余談だが、イルティナは他の女性を交えたセックスに興味があったようで、小生に他にも性交相手を紹介したいと前から言っていた。
まず騎上位で最初のセックスを行った。イルティナとは違った締め付け方の膣、そしてウサギの脚力を生かした腰の動きは新鮮な快感だった。互いに一回ずつ絶頂したところで一度中断し、後背位に移った。
マーチヘアはウサギの脚をしているため、その体毛もあって下半身が大きく見える。しかし実際に見てみると、そのお尻は意外にも引き締まっていた。触れると弾力に指先が押し返されるし、丸いピンク色の尻尾がなんとも可愛らしかった。小生は思わず生唾を飲み込み、お尻の下に見える女性器へ怒張したペニスを挿入した。
先ほど味わったのと同じ膣の感触だった。にも関わらず、小生は一心不乱に腰を振り、相手を感じさせ、自分も気持ちよくなり、何度も何度も射精していたのである。騎上位と後背位、両方を1回ずつ行って比較するつもりでいたのに、だ。そのことに気づいたとき、マーチヘアは幸せな顔で小生に寄り添い、イルティナが口でペニスを綺麗にしてくれていた。
こうして小生は2人目の恋人を得ると同時に、自分の仮説が正しいことを確信した。とは言え己の体験のみでは正明にはならないし、第一マーチヘア(以後『ミザリー』と名前で表記する)と交わっている間、イルティナが背中にぴったりと張り付いていたため、興奮はお尻だけから生み出されたわけでは無いかもしれなかった。
そこで小生はより明確な結果を出すべく、各地の獣人型魔物娘たちにインタビューを行った。イルティナとミザリーと伴い、セックスを交えながらの旅はとても刺激的だった。
その中で得た証言から代表的なものを抜粋する。
「そう言えば、ご主人様から性交を求められるときは後ろからが多いですね。ただご主人様はシャイな方なので、私のお尻のせいなのか、顔を見合わせるのがお恥ずかしいのかは分かりませんが」(ポローヴェ在住 キキーモラ)
「あー、多分あんたの考えてること当たってるぜ。アタシはいつも騎上位派なんだけど、この前ちょっと気まぐれで後ろから挿れさせてみたんだよ。そしたらいつも受け身のアイツがやたら一生懸命腰振っちゃってさ。お互いイキまくったぜ。まあその後あいつが先に疲れて寝ちゃって、次の日の朝飯はアタシが作ってやるっていつものパターンだったけどな」(バスクロゥ火山在住 ヘルハウンド)
「うーん……確かに、後ろからするときはいつもより息を荒げてる感じはあるわね。今宵……友達の稲荷とヤるときも後背位が一番興奮してる気がする。……ところで、全ての魔物のためになる研究だっていうから話してるけど、本当なの? ただの興味本位で人の性生活に首突っ込んでるんじゃないでしょうね?」(レスカティエ在住 ワーウルフ)
こうして仮説が正しいという確信は深まったが、小生はより明確な結果を出すべく試験を実施した。イルティナはトランパートの最上位であるエース階級のため、様々な方面に顔が効く。ハートの女王様の協力も得て、実験のために人間と魔物のカップルを多数集めることができた。
・実験方法
サキュバスとの夫婦、コボルドとの夫婦をそれぞれ50組ずつ用意。1組ずつ夫のみを小部屋に入れ、伴侶の魔物を隣の部屋に入れる。壁には直径50cmの穴が空けてあり、魔物にはそこから自分の乳房、女性器、臀部の三箇所を順番に夫に見せてもらい、各部位ごとに夫の発情度を計測。50組の平均値を出す。
可能な限り公平なデータを得るため、夫がすでにインキュバス化している夫婦のみを集めた。発情度の単位は不思議の国でもっとも一般的な『Ma』を使う。
(注:1Ma=平常時のマーチヘア1名分の発情具合に相当。一般的にインキュバス化していない人間は5Maを超えると意識を保てなくなるとされる)
・結果
サキュバスとの夫婦の場合
乳房……発情度6.6Ma
性器……発情度9.8Ma
臀部……発情度4.6Ma
サキュバスは最もオーソドックスな魔物娘である。体全身が淫らな凶器だが、その膣の感触を初めて味わったときの衝撃や感動は忘れがたいものであるという。そのためその女の穴を見ただけで、マーチヘアおよそ9人分に匹敵する発情ぶりを見せるのだろう。
では、サキュバスではなく獣人ならどうだろうか?
コボルドとの夫婦の場合
乳房……発情度6.1
性器……発情度6.9
臀部……発情度9.1
コボルドの夫たちの場合、臀部を見て大きく発情する者が多いという結果になった。話を聞くと、50人全員が「コボルドにお尻を見せられると『セックスしたい』という気持ちが強くなる』と答えた。
これらの結果から、獣人型魔物娘の臀部には明らかな興奮作用があるのは間違いない。それは何のためで、どういった原理なのか?
それについては『インキュバス化による順化現象』で説明がつく。我が師の著書を読んだ方はご存知かと思うが、人間男性がインキュバス化すると精力以外にも何らかの変化が起こるのだ。例えば伴侶が酷寒の地に住むイエティやゆきおんなであれば、それと交わってインキュバスとなった男は同じ寒さに耐えられる。ギルタブリルと結婚した男なら少ない水で生きていける。ドラゴニアの竜騎士は常人なら酸欠に陥る高空でさえ、騎竜に乗って飛行できる。
極端な例として、シー・ビショップの儀式によってインキュバス化したタイプがあり、完全に水中生活が可能となる。
また獣人には特に強力な『順化現象』を起こす者がいる。猿の魔物・カクエンだ。彼女たちの臀部の美しさについては語るまでもなく、師の書いた『魔物娘図鑑II』の挿絵でも強調されている。彼女たちと共に生活した人間は徐々にカクエンと同じ価値観・性欲を持つようになり、人間女性であれば体もカクエンに変化してしまう。そして四六時中交わり続ける猿の魔物が増えて行くのだ。
これは人間の中に眠っている『獣の本能』を呼び覚まし、相手が女であれば体さえも獣にしてしまうという、強烈な『順化現象』である。だが今回の試験結果から分かる通り、これはカクエンだけの能力ではない。もちろんカクエンのそれが飛び抜けて強力なのは間違いないが、他の獣人型魔物娘たちも(人間に従って生きるコボルドでさえ)人間を獣に近づける力を持っているのだ。
そしてその能力を人間に向けて放つ末端が、他ならぬ臀部ということだ。獣人にとって本能的に好ましい体位である後背位に人間を誘うことで、夫の精神をより自分に近づけ、より強い絆を結ぶための進化と見て良いだろう。
すなわち、特に獣人型の魔物たちはお尻の魅力を磨くのと同時に、そのアピールを行うことが大事である。少なくとも私は一晩中イルティナの愛撫を受けながらミザリーのお尻を愛で続けた結果、獣人型ではないイルティナのお尻からも同じ効果を受けるようになり、翌日は二つの桃に股間を押しつぶされながら過ごすことになった。
研究レポート2
ケンタウロス属の臀部
レポート1で敢えて省略したケンタウロス属の臀部について。
下半身が丸ごと馬体となっているケンタウロス属のお尻は、ウルフ属やキャット属とは分けて考えるべきだと判断した。ただし他の獣獣型のお尻より魅力が無いということではない。
まずは人間とケンタウロスとの夫婦を集め、レポート1と同じ方法で実験を行い、発情度の平均値を算出した。ただしケンタウロス属は女性器を二つ有するため、前後両方で試験した。結果は以下の通り。
乳房 ……7.2Ma
性器(前)……6.6Ma
性器(後)……7.7Ma
臀部 ……1.9Ma
臀部のみを見ての平均発情値は低い(それでもマーチヘア二体分に近いわけだが)。しかし前の性器より後ろの性器、つまり馬のお尻の側にある女性器への欲情値が高くなっているのは興味深いことだ。
果たしてケンタウロス属の臀部には発情効果があるのか? より正確な結果を出すため、実験に参加した男性に以下のアンケートを実施した。
1.奥さんと最初に交わったとき、前後どちらの女性器を使ったか?
前部……46人
後部……4人
2.出会ったばかりの頃、後部女性器で交わることに抵抗はあったか?
あった ……41人
なかった……9人
3.現在、馬体の性器である後部女性器で交わることに抵抗はあるか?
ある……0人
ない……50人
4.奥さんのお尻は好きか?
はい ……50人
いいえ……0人
まず最初の交わりではほとんどのペアが前部の女性器を使っている。ただしこれは、ケンタウロスの最初のセックスの大半が逆レイプであることに起因するだろう。単に発情しやすい個体だったにせよ、酒の勢いにせよ、男を押さえつけて強引に犯すなら前部性器の方がやりやすい。
しかし多くの男性が、最初のうちは後部女性器に抵抗を感じていた。その理由としては「人間とかけ離れていて欲情できなかった」「何か不衛生な気がした」という答えが大半だった。だがどの男性も、インキュバス化する頃には抵抗を感じなくなっていたのだ。そして前後どちらの性器も、感触にこそ違いはあるが気持ち良さは変わらないとのことだった。
これらの結果を踏まえて結論を出すと、ケンタウロス属のお尻にも発情効果は確かにある。ただし人間(一部の特殊な性癖の持ち主を覗く)が欲情できる形からはかけ離れているため、順化現象の発生まで時間がかかるということだ。
後部性器への発情度が高いのは明らかに臀部効果である。彼らは大きな馬体のお尻の下にある女性器に、強い魅力を感じているのだ。
では何故臀部自体への発情値が低いのかと言えば、それはただ単に「ケンタウロスは普段からお尻を隠さないので見慣れている」からだ。しかしその見慣れた状態もまた順化現象と言うことができ、人間男性の性的思考がケンタウロスのそれに近づいている証左であると言えよう。ケンタウロスと交わってインキュバス化したからといって、下半身が馬体になるわけでも脚が速くなるわけでもない(伴侶の背に乗せてもらえば良いのだから速くなる必要性がない)が、彼らは立派な『ケンタウロスのオス』になっているのだ。
ケンタウロス属には自分のお尻にコンプレックスを持つ者も多いという。
しかしそのお尻は間違いなく、時間をかけて男性を虜にする武器であり、魔物としては何ら恥じることもないと、小生は断言する次第である。
あとがき
小生の二つのレポートを読んでいただけたことにまず感謝する。
今回は獣人型魔物娘の臀部についてだったが、他にも様々なお尻について研究中だ。イルティナとミザリーの茶飲み友達であるマッドハッターとセックスしたとき、背面座位で感じるお尻の弾力に特別な何かを感じた。お茶会をしながら交わることを好むマッドハッターの臀部はもしかしたら、背面座位に特化した独自の進化を遂げているのかもしれない。その仮説が正しいか否かは、現在自分と彼女の体を使って実験を繰り返している。
またバフォメットや魔女といった、サバト系の魔物の臀部についても詳しく調査すべきだろう。幼い体の背徳を旨とする彼女たちにとって、乳房の小ささは当たり前である。しかし同時にその臀部は貧乳に優るとも劣らぬ武器のはずだ。
しかしサバトの魔物たちについては、我が師が近々サバトについて詳しく調べた書籍を発行する。その内容を踏まえてレポートを書いた方が読者には分かりやすいだろう。
総じて、魔物の臀部は乳房に劣らぬ奥深さがあること、彼女たちが何よりも優先する性生活において重大な役割を果たしていることは紛れもない事実だ。当の魔物達でさえ自覚していないことも多いが、彼女らのお尻は性的効果をもたらす魔力の末端として常に機能しているのだ。今後も小生はしばらく、魔物娘の臀部や肛門について研究を続けようと思う。それらが常に実利をもたらすとは限らず、無駄に性的快感を得るだけの結果に終わることもあるだろう。
しかし人間が魔物と共存を図る上では、彼女たちのことを知り続けなくてはならない。師は教団に追われながらも命がけで『魔物娘図鑑』を執筆している。小生の弟弟子もまた、竜皇国ドラゴニア、レスカティエの城塞都市サルバリシオンなどを渡り歩いて風土記を記している。
何故そこまでするのか? それは人間の『知的好奇心』こそが、人と魔物たちとの隔たり、主神教団の息の詰まるような抱擁を打ち破る破城槌となり得るからだと、私は断言する。
どんなことでもいい、まずは一人の魔物についてよく知れ。話をせよ。手を取り合え。そしてお尻を撫でろ。
それらは小さな一歩だが、『何千年もの間誰にも踏み出せなかった人魔共存(これについては諸説あるが)』への着実な一歩となるのだ。
ーーとある放浪の魔物学者のコメントーー
消息不明となっていた元弟子の論文を読む機会を得た。まずはそれを喜ぶとしよう。
そして世間一般から見れば馬鹿馬鹿しいことを大真面目に研究する姿勢が未だに変わっていないことを、ある意味では頼もしく思っている。性生活についての描写が赤裸々に書かれているのは論文としては問題だが、魔物のために書いたものならこのくらいで丁度良いかもしれない。
そもそも破門にしたのは出来が悪いからではなく、そうしたスタイルの持ち主は早いうちに魔物側についた方が才能を生かせると判断したからだ。元より彼は魔物と人間を総称して『人類』と呼ぶべきだという説を提唱していた。これはある意味では正しいと私も思う。現魔王によって魔物が人間との共存・交配を前提とした存在になった以上、全く別の生物という扱いは不適当かもしれない。
一方の私は教団のお尋ね者となったし、旅の道連れに一人のリャナンシーを伴っているが、彼とは違いあくまでも傍観者の立場として世界を見つめている。今後も私が得て紹介した広く浅い知識を、彼のような研究者が深く掘り下げていくことで、未来は常に動いていくことだろう。
もう一人の弟子は水都コートアルフに逗留し、風土記を執筆していると聞く。私の方は教団の妨害をかわしながら、ついにサバトに関する資料を一冊の本にまとめることができそうだ。それが彼の手に届いた後どうなるかは予想できるが(不思議の国にもサバトの支部はある)、それが有意義な結果を生むことを祈ろう。
ことに魔物にとっては(無論、これは現魔王陛下即位以降の所謂『魔物娘』のみを指してのことである)。何故ならば大きさに関係なく、それは紛れもなく女性の乳房であり、ただそれだけで価値あるものだからである。当然ながらそれぞれ好みはあるが、『女性の塊』とも言える魔物と結婚した男性であれば私の主張に一定の理解を示してくれるはずだ。現在、教団から最重要危険人物として追われながらも世界を旅し、『魔物娘図鑑』を記している我が師もきっとそう仰るだろう。
ただし本論文のテーマは『魔物たちの臀部』、すなわちお尻についてなので、胸の話は二の次だ。
不思議なことに、胸の大小についての不毛な議論が絶えない一方で、お尻のサイズについてそうした議論が行われることは滅多に無い。確かに乳房は母性の象徴であり、実用的な意味もあるため、女性の体の部位としてはお尻より重要度は高いかもしれない。ことに魔物の乳房と言えば、男の性欲と食欲、二つの意味で男の飢えを癒すホルスタウロスの巨乳だったり、その背徳感で大勢の真面目人間に道を踏み外させるバフォメットやアリスの貧乳だったりと、多種多様かついずれも抗いがたい魅力を持っている。
しかし、魔物のお尻の魅力が胸の魅力に劣るなどということが果たしてあるだろうか?
答えは否である。
師から破門を言い渡された後、たまたま迷い込んだ不思議の国でそれを思い知った。小生は教団のスパイと勘違いされ、トランパートに捕らえられた。彼女の可愛らしいウィンクと共に放たれた「貴方を逮捕するので、大人しくついてきてくださいね」という言葉に思わず「はい」と答えた結果である。
その後、小生が味わったのは彼女曰く『地獄の拷問』であった。彼女のふっくらとした、食べごろの桃を思わせる丸いお尻が顔面に、次いで股間にのしかかってきたのである。先に言っておくが、疑いは逮捕後三分で解けた。彼女は私の持っていた書きかけの論文『魔物娘のおへその必要性とその窪みの愛らしさについて』を興味深げに読み、とても面白いと褒めてくれた。が、拷問は自分の趣味だからやると宣言された。
彼女の臀部の弾力と柔らかさに翻弄され、その桃を精液で真っ白に染め上げることになった。その後、肛門のきつい締め付けによって残りの精液も搾り出された。
その後、彼女……トランパート『クラブのエース』、イルティナの家に居候しつつ、不思議の国で多くの魔物たちを観察しているうちに、ますますお尻への興味は深まった。結局のところ、この不思議の国でも話題に上るのは尻より胸である。とはいえお尻へのフェティズムを持つ者は多く、そうした人々から手助けを受けたからこそこの研究ができた。彼らの他には丁度ヒマを持て余していたハートの女王、そして何よりイルティナから多くの協力を得たので、ここで感謝を申し上げる。
さて、前置きが長くなったが、今回記した研究レポートは二つ。どちらも獣人型魔物娘の臀部に焦点を当てている。まず何を言いたいかと言えば、上記の乳房の多様性に負けず劣らず、魔物のお尻もまた様々な進化を遂げているということだ。魔物の肉体や生態は汲めども尽きぬ謎の泉であり、その全てを書き記せるわけではない。しかし小生の今回の研究によって、多くの魔物とその夫が普段見逃しがちな『お尻』の奥深さを知ることとなり、その夫婦生活はより明るいものとなるであろう。
研究レポート1
獣人型魔物娘(ケンタウロス属を除く)の臀部
不思議の国で1週間ほど過ごしたとき、小生はあることに気づいた。イルティナと花畑で青姦をしているとき、近くで同じように楽しんでいたカップルたちをちらりと見た。最も魔物らしいとされる騎上位の他に、正上位、後背位など、皆様々な体勢でセックスを楽しんでいた。
しかしその中で、後背位で交わる魔物娘にはチェシャ猫やマーチヘアといった獣人型が非常に多かったのである。
彼女たちは動物の要素を受け継いでいるため、本能的にその姿勢を好むというのが一般論だ。だが小生はそれだけではないと思った。彼女たちを後ろから犯す男たちの興奮ぶりからだ。その息の荒さ、無我夢中で相手の臀部を撫で回す手の動きなどから、極度に発情しているのが伺えた。
折しもイルティナの拷問によって、お尻の持つ力に気付き始めていた矢先である。小生の獣人型魔物娘のお尻には特別な力があるのではないか、という仮説が思い浮かんだ。
イルティナにそれを打ち明けると、彼女は私のペニスをお尻の谷間で一度射精させてから、快活にこう答えた。「じゃあ、自分で確かめてみたらいいんじゃない?」と。
彼女が連れて行ってくれたのは、友人のマーチヘアの家だった。目の中にハートマークが多数泳ぎ、股間からは汁が滴っている、典型的な独身のマーチヘアだった。小生が「はじめまして」と言ったのを、彼女は「はじめまして、いきなりですが貴女のお尻をよく調べたいのでセックスしてください」という意味に受け取ったようだ。余談だが、イルティナは他の女性を交えたセックスに興味があったようで、小生に他にも性交相手を紹介したいと前から言っていた。
まず騎上位で最初のセックスを行った。イルティナとは違った締め付け方の膣、そしてウサギの脚力を生かした腰の動きは新鮮な快感だった。互いに一回ずつ絶頂したところで一度中断し、後背位に移った。
マーチヘアはウサギの脚をしているため、その体毛もあって下半身が大きく見える。しかし実際に見てみると、そのお尻は意外にも引き締まっていた。触れると弾力に指先が押し返されるし、丸いピンク色の尻尾がなんとも可愛らしかった。小生は思わず生唾を飲み込み、お尻の下に見える女性器へ怒張したペニスを挿入した。
先ほど味わったのと同じ膣の感触だった。にも関わらず、小生は一心不乱に腰を振り、相手を感じさせ、自分も気持ちよくなり、何度も何度も射精していたのである。騎上位と後背位、両方を1回ずつ行って比較するつもりでいたのに、だ。そのことに気づいたとき、マーチヘアは幸せな顔で小生に寄り添い、イルティナが口でペニスを綺麗にしてくれていた。
こうして小生は2人目の恋人を得ると同時に、自分の仮説が正しいことを確信した。とは言え己の体験のみでは正明にはならないし、第一マーチヘア(以後『ミザリー』と名前で表記する)と交わっている間、イルティナが背中にぴったりと張り付いていたため、興奮はお尻だけから生み出されたわけでは無いかもしれなかった。
そこで小生はより明確な結果を出すべく、各地の獣人型魔物娘たちにインタビューを行った。イルティナとミザリーと伴い、セックスを交えながらの旅はとても刺激的だった。
その中で得た証言から代表的なものを抜粋する。
「そう言えば、ご主人様から性交を求められるときは後ろからが多いですね。ただご主人様はシャイな方なので、私のお尻のせいなのか、顔を見合わせるのがお恥ずかしいのかは分かりませんが」(ポローヴェ在住 キキーモラ)
「あー、多分あんたの考えてること当たってるぜ。アタシはいつも騎上位派なんだけど、この前ちょっと気まぐれで後ろから挿れさせてみたんだよ。そしたらいつも受け身のアイツがやたら一生懸命腰振っちゃってさ。お互いイキまくったぜ。まあその後あいつが先に疲れて寝ちゃって、次の日の朝飯はアタシが作ってやるっていつものパターンだったけどな」(バスクロゥ火山在住 ヘルハウンド)
「うーん……確かに、後ろからするときはいつもより息を荒げてる感じはあるわね。今宵……友達の稲荷とヤるときも後背位が一番興奮してる気がする。……ところで、全ての魔物のためになる研究だっていうから話してるけど、本当なの? ただの興味本位で人の性生活に首突っ込んでるんじゃないでしょうね?」(レスカティエ在住 ワーウルフ)
こうして仮説が正しいという確信は深まったが、小生はより明確な結果を出すべく試験を実施した。イルティナはトランパートの最上位であるエース階級のため、様々な方面に顔が効く。ハートの女王様の協力も得て、実験のために人間と魔物のカップルを多数集めることができた。
・実験方法
サキュバスとの夫婦、コボルドとの夫婦をそれぞれ50組ずつ用意。1組ずつ夫のみを小部屋に入れ、伴侶の魔物を隣の部屋に入れる。壁には直径50cmの穴が空けてあり、魔物にはそこから自分の乳房、女性器、臀部の三箇所を順番に夫に見せてもらい、各部位ごとに夫の発情度を計測。50組の平均値を出す。
可能な限り公平なデータを得るため、夫がすでにインキュバス化している夫婦のみを集めた。発情度の単位は不思議の国でもっとも一般的な『Ma』を使う。
(注:1Ma=平常時のマーチヘア1名分の発情具合に相当。一般的にインキュバス化していない人間は5Maを超えると意識を保てなくなるとされる)
・結果
サキュバスとの夫婦の場合
乳房……発情度6.6Ma
性器……発情度9.8Ma
臀部……発情度4.6Ma
サキュバスは最もオーソドックスな魔物娘である。体全身が淫らな凶器だが、その膣の感触を初めて味わったときの衝撃や感動は忘れがたいものであるという。そのためその女の穴を見ただけで、マーチヘアおよそ9人分に匹敵する発情ぶりを見せるのだろう。
では、サキュバスではなく獣人ならどうだろうか?
コボルドとの夫婦の場合
乳房……発情度6.1
性器……発情度6.9
臀部……発情度9.1
コボルドの夫たちの場合、臀部を見て大きく発情する者が多いという結果になった。話を聞くと、50人全員が「コボルドにお尻を見せられると『セックスしたい』という気持ちが強くなる』と答えた。
これらの結果から、獣人型魔物娘の臀部には明らかな興奮作用があるのは間違いない。それは何のためで、どういった原理なのか?
それについては『インキュバス化による順化現象』で説明がつく。我が師の著書を読んだ方はご存知かと思うが、人間男性がインキュバス化すると精力以外にも何らかの変化が起こるのだ。例えば伴侶が酷寒の地に住むイエティやゆきおんなであれば、それと交わってインキュバスとなった男は同じ寒さに耐えられる。ギルタブリルと結婚した男なら少ない水で生きていける。ドラゴニアの竜騎士は常人なら酸欠に陥る高空でさえ、騎竜に乗って飛行できる。
極端な例として、シー・ビショップの儀式によってインキュバス化したタイプがあり、完全に水中生活が可能となる。
また獣人には特に強力な『順化現象』を起こす者がいる。猿の魔物・カクエンだ。彼女たちの臀部の美しさについては語るまでもなく、師の書いた『魔物娘図鑑II』の挿絵でも強調されている。彼女たちと共に生活した人間は徐々にカクエンと同じ価値観・性欲を持つようになり、人間女性であれば体もカクエンに変化してしまう。そして四六時中交わり続ける猿の魔物が増えて行くのだ。
これは人間の中に眠っている『獣の本能』を呼び覚まし、相手が女であれば体さえも獣にしてしまうという、強烈な『順化現象』である。だが今回の試験結果から分かる通り、これはカクエンだけの能力ではない。もちろんカクエンのそれが飛び抜けて強力なのは間違いないが、他の獣人型魔物娘たちも(人間に従って生きるコボルドでさえ)人間を獣に近づける力を持っているのだ。
そしてその能力を人間に向けて放つ末端が、他ならぬ臀部ということだ。獣人にとって本能的に好ましい体位である後背位に人間を誘うことで、夫の精神をより自分に近づけ、より強い絆を結ぶための進化と見て良いだろう。
すなわち、特に獣人型の魔物たちはお尻の魅力を磨くのと同時に、そのアピールを行うことが大事である。少なくとも私は一晩中イルティナの愛撫を受けながらミザリーのお尻を愛で続けた結果、獣人型ではないイルティナのお尻からも同じ効果を受けるようになり、翌日は二つの桃に股間を押しつぶされながら過ごすことになった。
研究レポート2
ケンタウロス属の臀部
レポート1で敢えて省略したケンタウロス属の臀部について。
下半身が丸ごと馬体となっているケンタウロス属のお尻は、ウルフ属やキャット属とは分けて考えるべきだと判断した。ただし他の獣獣型のお尻より魅力が無いということではない。
まずは人間とケンタウロスとの夫婦を集め、レポート1と同じ方法で実験を行い、発情度の平均値を算出した。ただしケンタウロス属は女性器を二つ有するため、前後両方で試験した。結果は以下の通り。
乳房 ……7.2Ma
性器(前)……6.6Ma
性器(後)……7.7Ma
臀部 ……1.9Ma
臀部のみを見ての平均発情値は低い(それでもマーチヘア二体分に近いわけだが)。しかし前の性器より後ろの性器、つまり馬のお尻の側にある女性器への欲情値が高くなっているのは興味深いことだ。
果たしてケンタウロス属の臀部には発情効果があるのか? より正確な結果を出すため、実験に参加した男性に以下のアンケートを実施した。
1.奥さんと最初に交わったとき、前後どちらの女性器を使ったか?
前部……46人
後部……4人
2.出会ったばかりの頃、後部女性器で交わることに抵抗はあったか?
あった ……41人
なかった……9人
3.現在、馬体の性器である後部女性器で交わることに抵抗はあるか?
ある……0人
ない……50人
4.奥さんのお尻は好きか?
はい ……50人
いいえ……0人
まず最初の交わりではほとんどのペアが前部の女性器を使っている。ただしこれは、ケンタウロスの最初のセックスの大半が逆レイプであることに起因するだろう。単に発情しやすい個体だったにせよ、酒の勢いにせよ、男を押さえつけて強引に犯すなら前部性器の方がやりやすい。
しかし多くの男性が、最初のうちは後部女性器に抵抗を感じていた。その理由としては「人間とかけ離れていて欲情できなかった」「何か不衛生な気がした」という答えが大半だった。だがどの男性も、インキュバス化する頃には抵抗を感じなくなっていたのだ。そして前後どちらの性器も、感触にこそ違いはあるが気持ち良さは変わらないとのことだった。
これらの結果を踏まえて結論を出すと、ケンタウロス属のお尻にも発情効果は確かにある。ただし人間(一部の特殊な性癖の持ち主を覗く)が欲情できる形からはかけ離れているため、順化現象の発生まで時間がかかるということだ。
後部性器への発情度が高いのは明らかに臀部効果である。彼らは大きな馬体のお尻の下にある女性器に、強い魅力を感じているのだ。
では何故臀部自体への発情値が低いのかと言えば、それはただ単に「ケンタウロスは普段からお尻を隠さないので見慣れている」からだ。しかしその見慣れた状態もまた順化現象と言うことができ、人間男性の性的思考がケンタウロスのそれに近づいている証左であると言えよう。ケンタウロスと交わってインキュバス化したからといって、下半身が馬体になるわけでも脚が速くなるわけでもない(伴侶の背に乗せてもらえば良いのだから速くなる必要性がない)が、彼らは立派な『ケンタウロスのオス』になっているのだ。
ケンタウロス属には自分のお尻にコンプレックスを持つ者も多いという。
しかしそのお尻は間違いなく、時間をかけて男性を虜にする武器であり、魔物としては何ら恥じることもないと、小生は断言する次第である。
あとがき
小生の二つのレポートを読んでいただけたことにまず感謝する。
今回は獣人型魔物娘の臀部についてだったが、他にも様々なお尻について研究中だ。イルティナとミザリーの茶飲み友達であるマッドハッターとセックスしたとき、背面座位で感じるお尻の弾力に特別な何かを感じた。お茶会をしながら交わることを好むマッドハッターの臀部はもしかしたら、背面座位に特化した独自の進化を遂げているのかもしれない。その仮説が正しいか否かは、現在自分と彼女の体を使って実験を繰り返している。
またバフォメットや魔女といった、サバト系の魔物の臀部についても詳しく調査すべきだろう。幼い体の背徳を旨とする彼女たちにとって、乳房の小ささは当たり前である。しかし同時にその臀部は貧乳に優るとも劣らぬ武器のはずだ。
しかしサバトの魔物たちについては、我が師が近々サバトについて詳しく調べた書籍を発行する。その内容を踏まえてレポートを書いた方が読者には分かりやすいだろう。
総じて、魔物の臀部は乳房に劣らぬ奥深さがあること、彼女たちが何よりも優先する性生活において重大な役割を果たしていることは紛れもない事実だ。当の魔物達でさえ自覚していないことも多いが、彼女らのお尻は性的効果をもたらす魔力の末端として常に機能しているのだ。今後も小生はしばらく、魔物娘の臀部や肛門について研究を続けようと思う。それらが常に実利をもたらすとは限らず、無駄に性的快感を得るだけの結果に終わることもあるだろう。
しかし人間が魔物と共存を図る上では、彼女たちのことを知り続けなくてはならない。師は教団に追われながらも命がけで『魔物娘図鑑』を執筆している。小生の弟弟子もまた、竜皇国ドラゴニア、レスカティエの城塞都市サルバリシオンなどを渡り歩いて風土記を記している。
何故そこまでするのか? それは人間の『知的好奇心』こそが、人と魔物たちとの隔たり、主神教団の息の詰まるような抱擁を打ち破る破城槌となり得るからだと、私は断言する。
どんなことでもいい、まずは一人の魔物についてよく知れ。話をせよ。手を取り合え。そしてお尻を撫でろ。
それらは小さな一歩だが、『何千年もの間誰にも踏み出せなかった人魔共存(これについては諸説あるが)』への着実な一歩となるのだ。
ーーとある放浪の魔物学者のコメントーー
消息不明となっていた元弟子の論文を読む機会を得た。まずはそれを喜ぶとしよう。
そして世間一般から見れば馬鹿馬鹿しいことを大真面目に研究する姿勢が未だに変わっていないことを、ある意味では頼もしく思っている。性生活についての描写が赤裸々に書かれているのは論文としては問題だが、魔物のために書いたものならこのくらいで丁度良いかもしれない。
そもそも破門にしたのは出来が悪いからではなく、そうしたスタイルの持ち主は早いうちに魔物側についた方が才能を生かせると判断したからだ。元より彼は魔物と人間を総称して『人類』と呼ぶべきだという説を提唱していた。これはある意味では正しいと私も思う。現魔王によって魔物が人間との共存・交配を前提とした存在になった以上、全く別の生物という扱いは不適当かもしれない。
一方の私は教団のお尋ね者となったし、旅の道連れに一人のリャナンシーを伴っているが、彼とは違いあくまでも傍観者の立場として世界を見つめている。今後も私が得て紹介した広く浅い知識を、彼のような研究者が深く掘り下げていくことで、未来は常に動いていくことだろう。
もう一人の弟子は水都コートアルフに逗留し、風土記を執筆していると聞く。私の方は教団の妨害をかわしながら、ついにサバトに関する資料を一冊の本にまとめることができそうだ。それが彼の手に届いた後どうなるかは予想できるが(不思議の国にもサバトの支部はある)、それが有意義な結果を生むことを祈ろう。
18/07/28 10:36更新 / 空き缶号